特許第6827112号(P6827112)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827112
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】制御回路、及び理想ダイオード回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/21 20060101AFI20210128BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20210128BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20210128BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   H02M7/21 A
   H02M7/12 Y
   G05F1/56 310S
   H03K17/687 A
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-526098(P2019-526098)
(86)(22)【出願日】2017年6月30日
(86)【国際出願番号】JP2017024167
(87)【国際公開番号】WO2019003421
(87)【国際公開日】20190103
【審査請求日】2019年10月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 和彦
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/004738(WO,A1)
【文献】 特開2003−244946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/21
G05F 1/56
H02M 7/12
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボディーダイオードが順方向になるように接続されている電界効果トランジスタのソース端子の電圧とドレイン端子の電圧との差に応じて、電界効果トランジスタのゲート端子の電圧を制御するトランジスタ制御部と、
前記電界効果トランジスタのソース端子を介して接続される負荷が軽い場合に、前記トランジスタ制御部を動作させる動作電流を減少させ、前記負荷が重い場合に、前記動作電流を増大させる電流制御部と
を備え
前記電流制御部は、
前記ゲート端子の電圧が、前記電界効果トランジスタに流れるトランジスタ電流が所定の電流値以下の状態になる電圧になった場合に、前記トランジスタ制御部を動作させる動作電流を減少させ、
前記ゲート端子の電圧が、前記トランジスタ電流が前記所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、前記動作電流を増大させる
御回路。
【請求項2】
前記電流制御部は、
起動時の前記動作電流の基準となる定電流を供給する第1電流源と、
前記ゲート端子の電圧が、前記電界効果トランジスタに流れるトランジスタ電流が前記所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、前記第1電流源に追加の定電流を付加して供給する第2電流源と
を備える請求項に記載の制御回路。
【請求項3】
前記電流制御部は、
前記動作電流の基準となる定電流を供給する複数の電流源を備え、前記ゲート端子の電圧に応じて、前記複数の電流源を切り替えて、前記動作電流の基準となる定電流を供給する
請求項1記載の制御回路。
【請求項4】
ボディーダイオードが順方向になるように接続されている電界効果トランジスタのソース端子の電圧とドレイン端子の電圧との差に応じて、電界効果トランジスタのゲート端子の電圧を制御するトランジスタ制御部と、
前記電界効果トランジスタのソース端子を介して接続される負荷が軽い場合に、前記トランジスタ制御部を動作させる動作電流を減少させ、前記負荷が重い場合に、前記動作電流を増大させる電流制御部と
を備え、
前記電流制御部は、
前記動作電流の基準となる定電流を供給する複数の電流源を備え、前記ゲート端子の電圧に応じて、前記複数の電流源を切り替えて、前記動作電流の基準となる定電流を供給する
制御回路。
【請求項5】
前記電流制御部は、前記ゲート端子の電圧に応じて、前記複数の電流源のうちのいずれかの電流源、又は組み合わせの電流源を選択して、前記動作電流の基準となる定電流を供給する
請求項3又は請求項4に記載の制御回路。
【請求項6】
前記トランジスタ制御部は、前記ドレイン端子の電圧と前記ソース端子の電圧との差分に応じて、前記ゲート端子の電圧を制御する差動増幅回路を備える
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の制御回路。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の制御回路と、
前記電界効果トランジスタと
を備える理想ダイオード回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路、及び理想ダイオード回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電界効果トランジスタを、理想ダイオードとして使用する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような、理想トランジスタでは、制御回路が、電界効果トランジスタのソース電圧と、ドレイン電圧とを比較するコンパレータを備え、当該コンパレータの比較結果に応じて、ゲート電圧を制御することにより、電界効果トランジスタをダイオードとして動作させる制御を行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−255425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の制御回路では、例えば、理想ダイオードに大電流を流す必要がある場合には、逆流阻止する際に逆流を防止するために、ゲート電圧を制御する駆動能力を大きくする必要があった。そのため、従来の制御回路では、例えば、理想ダイオードに軽負荷が接続される待機状態において、消費電流が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、理想ダイオードの機能を維持しつつ、待機状態において消費電流を低減することができる制御回路、及び理想ダイオード回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、ボディーダイオードが順方向になるように接続されている電界効果トランジスタのソース端子の電圧とドレイン端子の電圧との差に応じて、電界効果トランジスタのゲート端子の電圧を制御するトランジスタ制御部と、前記電界効果トランジスタのソース端子を介して接続される負荷が軽い場合に、前記トランジスタ制御部を動作させる動作電流を減少させ、前記負荷が重い場合に、前記動作電流を増大させる電流制御部とを備え、前記電流制御部は、前記ゲート端子の電圧が、前記電界効果トランジスタに流れるトランジスタ電流が所定の電流値以下の状態になる電圧になった場合に、前記トランジスタ制御部を動作させる動作電流を減少させ、前記ゲート端子の電圧が、前記トランジスタ電流が前記所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、前記動作電流を増大させる制御回路である。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の制御回路において、前記電流制御部は、起動時の前記動作電流の基準となる定電流を供給する第1電流源と、前記ゲート端子の電圧が、前記電界効果トランジスタに流れるトランジスタ電流が前記所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、前記第1電流源に追加の定電流を付加して供給する第2電流源とを備えてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の制御回路において、前記電流制御部は、前記動作電流の基準となる定電流を供給する複数の電流源を備え、前記ゲート端子の電圧に応じて、前記複数の電流源を切り替えて、前記動作電流の基準となる定電流を供給するようにしてもよい。
また、本発明の一態様は、ボディーダイオードが順方向になるように接続されている電界効果トランジスタのソース端子の電圧とドレイン端子の電圧との差に応じて、電界効果トランジスタのゲート端子の電圧を制御するトランジスタ制御部と、前記電界効果トランジスタのソース端子を介して接続される負荷が軽い場合に、前記トランジスタ制御部を動作させる動作電流を減少させ、前記負荷が重い場合に、前記動作電流を増大させる電流制御部とを備え、前記電流制御部は、前記動作電流の基準となる定電流を供給する複数の電流源を備え、前記ゲート端子の電圧に応じて、前記複数の電流源を切り替えて、前記動作電流の基準となる定電流を供給する制御回路である。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の制御回路において、前記電流制御部は、前記ゲート端子の電圧に応じて、前記複数の電流源のうちのいずれかの電流源、又は組み合わせの電流源を選択して、前記動作電流の基準となる定電流を供給するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の制御回路において、前記トランジスタ制御部は、前記ドレイン端子の電圧と前記ソース端子の電圧との差分に応じて、前記ゲート端子の電圧を制御する差動増幅回路を備えてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の制御回路と、前記電界効果トランジスタとを備える理想ダイオード回路である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トランジスタ制御部が、ボディーダイオードが順方向になるように接続されている電界効果トランジスタのソース端子の電圧とドレイン端子の電圧との差に応じて、電界効果トランジスタのゲート端子の電圧を制御する。そして、電流制御部が、電界効果トランジスタのソース端子を介して接続される負荷が軽い場合に、トランジスタ制御部を動作させる動作電流を減少させる。また、電流制御部が、前記負荷が重い場合に、前記動作電流を増大させる。これにより、制御回路は、例えば、軽負荷時などの待機状態において、トランジスタ制御部を動作させる動作電流を減少させるため、理想ダイオードの機能を維持しつつ、待機状態において消費電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態による理想ダイオード回路の構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態によるVGS検出電圧電流変換回路の構成例を示す図である。
図3】第1の実施形態におけるトランジスタ制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態における電流制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
図5】第1の実施形態における制御回路の動作の一例を示す第1のタイミングチャートである。
図6】第1の実施形態における制御回路の動作の一例を示す第2のタイミングチャートである。
図7】第1の実施形態における電流制御部の動作の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態による理想ダイオード回路の構成の一例を示すブロック図である。
図9】第2の実施形態における電流制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態による制御回路、及び理想ダイオード回路について図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
【0016】
図1は、本実施形態による理想ダイオード回路1の構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、理想ダイオード回路1は、MOSトランジスタ2と、制御回路10とを備える。
【0017】
理想ダイオード回路1は、バッテリなどの直流電源(不図示)と、負荷(不図示)の間に接続されるものとする。すなわち、理想ダイオード回路1のVIN端子(入力端子)とGND端子とに、例えば、バッテリが接続され、VOUT端子(出力端子)と、GND信号線との間に、負荷が接続されるものとする。
【0018】
理想ダイオード回路1は、VIN端子(ノードN1)の電圧が、VOUT端子(ノードN2)の電圧以上である場合(順方向の場合)に、VIN端子とVOUT端子との間を導通する。また、理想ダイオード回路1は、VOUT端子の電圧が、VIN端子の電圧より高くなった場合(逆方向の場合)に、VIN端子とVOUT端子との間の導通を遮断し、電流の逆流を阻止する。
【0019】
MOSトランジスタ2(電界効果トランジスタの一例)は、例えば、Pチャネル型MOSFET(Metal Oxide Semiconductor field effect transistor)であり、ボディーダイオード21を有している。MOSトランジスタ2のソース端子がノードN2に、ドレイン端子がノードN1に、ゲート端子がノードN3にそれぞれ接続されている。ここで、MOSトランジスタ2は、ボディーダイオード21が順方向になるように接続されている。MOSトランジスタ2は、後述するトランジスタ制御部11によって、ゲート端子の電圧が制御されることにより、理想ダイオード回路1においてダイオード素子として機能する。
【0020】
なお、MOSトランジスタ2は、ボディーダイオード21を有しているため、ドレイン端子(ノードN1)の電圧が、ソース端子(ノードN2)の電圧より、順方向電圧以上高くなると、ドレイン端子(ノードN1)からソース端子(ノードN2)に電流が流れる。
【0021】
制御回路10は、トランジスタ制御部11と、電流制御部12とを備える。
トランジスタ制御部11は、MOSトランジスタ2のソース端子(ノードN2)の電圧とドレイン端子(ノードN1)の電圧との差に応じて、MOSトランジスタ2のゲート端子(ノードN3)の電圧を制御する。
【0022】
トランジスタ制御部11は、例えば、ドレイン端子(ノードN1)の電圧が、ソース端子(ノードN2)の電圧以上である場合に、負荷に応じた電流がMOSトランジスタ2に流れるように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を制御して、MOSトランジスタ2を導通状態(オン状態)にする。また、トランジスタ制御部11は、例えば、ソース端子(ノードN2)の電圧が、ドレイン端子(ノードN1)の電圧より高い場合に、逆バイアスの電流がMOSトランジスタ2に流れることを阻止するように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を制御して、MOSトランジスタ2を非導通状態(オフ状態)にする。
また、トランジスタ制御部11は、差動アンプ111を備える。
【0023】
差動アンプ111(差動増幅回路の一例)は、例えば、オペアンプであり、ドレイン端子(ノードN1)の電圧とソース端子(ノードN2)の電圧との差分に応じて、ゲート端子(ノードN3)の電圧を制御する。ここで、負荷に応じて、Vds電圧(=ドレイン電圧−ソース電圧)が変化する。差動アンプ111は、このVds電圧が正の値である場合に、Vds電圧の値が大きい程、MOSトランジスタ2に大きい電流が流れるように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を制御し、Vds電圧の値が小さい程、MOSトランジスタ2に小さい電流が流れるように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を制御する。また、差動アンプ111は、このVds電圧が負の値である場合に、MOSトランジスタ2をオフ状態にするように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を制御する。なお、Vds電圧は、正の値である場合に、負荷が大きい程、大きい値となる。
【0024】
具体的に、差動アンプ111は、MOSトランジスタ2を導通させる場合に、ソース端子(ノードN2)の電圧よりも低い電圧を、ゲート端子(ノードN3)に出力する。また、差動アンプ111は、MOSトランジスタ2の導通を遮断する場合に、ソース端子(ノードN2)の電圧以上の電圧を、ゲート端子(ノードN3)に出力する。
【0025】
差動アンプ111では、+端子(非反転入力端子)がノードN2に、−端子(反転入力端子)がノードN1に、出力端子がMOSトランジスタ2のゲート端子(ノードN3)に、それぞれ接続されている。なお、差動アンプ111は、例えば、差動部(比較器)と、出力アンプ部とを含んでもよい。また、差動アンプ111は、+端子(非反転入力端子)と−端子(反転入力端子)との比較の際に、所定のオフセット値を有するようにしてもよい。
また、差動アンプ111は、電流制御部12から供給される電流源により動作する。
【0026】
電流制御部12は、負荷に応じて、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を制御する。電流制御部12は、例えば、ゲート端子(ノードN3)の電圧が、MOSトランジスタ2に流れるトランジスタ電流が所定の電流値以下の状態になる電圧になった場合に、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を減少させる。すなわち、電流制御部12は、負荷が所定の閾値以下である場合に、トランジスタ制御部11に供給する電流源の電流を減少させる。これにより、電流制御部12は、トランジスタ制御部11の動作電流を低減させる。
【0027】
また、電流制御部12は、ゲート端子(ノードN3)の電圧が、トランジスタ電流が所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、動作電流を増大させる。すなわち、電流制御部12は、負荷が所定の閾値を超える場合に、トランジスタ制御部11に供給する電流源の電流を増大させる。これにより、電流制御部12は、トランジスタ制御部11の動作電流を増加させる。
また、電流制御部12は、起動電流源121と、VGS検出電圧電流変換回路122と、電流加算部123とを備える。
【0028】
起動電流源121(第1電流源の一例)は、制御回路10における起動時の動作電流の基準となる定電流を供給する。起動電流源121は、例えば、バンドギャップリファレンス回路などの定電圧源に基づいて、定電流源を生成する。起動電流源121は、制御回路10が起動している状態において、常に定電流源として動作し、電流加算部123を介して、トランジスタ制御部11に動作電流を供給する。
【0029】
VGS検出電圧電流変換回路122(第2電流源の一例)は、ゲート端子(ノードN3)の電圧に応じた電流源を生成し、電流加算部123を介して、トランジスタ制御部11に供給する。VGS検出電圧電流変換回路122は、ゲート端子(ノードN3)の電圧の低下(負荷の増加)に応じて、トランジスタ制御部11に供給する電流源を増大させる。すなわち、VGS検出電圧電流変換回路122は、例えば、MOSトランジスタ2に流れるトランジスタ電流が所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、起動電流源121に追加の定電流を付加して供給する。
【0030】
また、VGS検出電圧電流変換回路122は、ゲート端子(ノードN3)の電圧の上昇(負荷の低下)に応じて、トランジスタ制御部11に供給する電流源を減少させる。
なお、VGS検出電圧電流変換回路122の具体例については、図2を参照して後述する。
【0031】
電流加算部123は、起動電流源121からの電流と、VGS検出電圧電流変換回路122からの電流とを加算して、電流源として、トランジスタ制御部11に供給する。
【0032】
次に、図2を参照して、VGS検出電圧電流変換回路122の具体例について説明する。
図2は、本実施形態によるVGS検出電圧電流変換回路122の構成例を示す図である。
図2に示すように、VGS検出電圧電流変換回路122は、抵抗124と、MOSトランジスタ125とを備える。VGS検出電圧電流変換回路122は、抵抗124と、MOSトランジスタ125とを直列に接続することで、電流源を構成している。
【0033】
抵抗124は、第1端子がノードN2に、第2端子がMOSトランジスタ125のソース端子に、それぞれ接続されている。
MOSトランジスタ125は、MOSトランジスタ2と同様のPチャネル型MOSFETである。MOSトランジスタ125のソース端子がノードN2に、ドレイン端子がノードN4に、ゲート端子がノードN3にそれぞれ接続されている。MOSトランジスタ125は、ゲート端子(ノードN3)の電圧に応じて、ノードN2から抵抗124を介して、ドレイン端子から電流を、電流源として出力する。
【0034】
なお、図2において、ノードN4において、起動電流源の出力線と、VGS検出電圧電流変換回路122の出力線とが接続されており、ノードN4は、上述した電流加算部123に対応する。このように、ノードN4において、起動電流源の出力線と、VGS検出電圧電流変換回路122の出力線とが接続されることにより、起動電流源121からの電流と、VGS検出電圧電流変換回路122からの電流とが加算されて、電流源として、トランジスタ制御部11に供給される。
【0035】
また、VGS検出電圧電流変換回路122は、ゲート端子(ノードN3)の電圧が所定の電圧以上(例えば、Vgs電圧(ゲート端子の電圧とソース端子の電圧との差分)の負の値の大きさが閾値Vth以下)になると、MOSトランジスタ125が非導通状態(オフ状態)になり、電流源の供給を停止する。
【0036】
次に、図面を参照して、本実施形態による制御回路10及び理想ダイオード回路1の動作について説明する。
図3は、本実施形態におけるトランジスタ制御部11の動作の一例を示すフローチャートである。
【0037】
図3に示すように、制御回路10のトランジスタ制御部11は、ノードN1の電圧がノードN2の電圧以上((ノードN1の電圧−ノードN2の電圧)≧0)であるか否かを判定する(ステップS101)。例えば、トランジスタ制御部11の差動アンプ111が、ノードN1の電圧と、ノードN2の電圧とを比較して、ノードN1の電圧がノードN2の電圧以上であるか否かを判定する。トランジスタ制御部11は、ノードN1の電圧がノードN2の電圧以上である場合(ステップS101:YES)に、処理をステップS103に進める。また、トランジスタ制御部11は、ノードN1の電圧がノードN2の電圧より低い((ノードN1の電圧−ノードN2の電圧)<0)場合(ステップS101:NO)に、処理をステップS102に進める。
【0038】
ステップS102において、トランジスタ制御部11は、MOSトランジスタ2をオフ状態にするように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を制御する。すなわち、差動アンプ111は、MOSトランジスタ2をオフ状態にする電圧を、MOSトランジスタ2のゲート端子(ノードN3)に供給する。トランジスタ制御部11は、ステップS102の処理後に、処理をステップS101に戻す。
【0039】
また、ステップS103において、トランジスタ制御部11は、ノードN1の電圧とノードN2の電圧の差分(ノードN1の電圧−ノードN2の電圧)に応じた電圧をゲート端子(ノードN3)に印加して、MOSトランジスタ2をオン状態にする。すなわち、差動アンプ111は、(ノードN1の電圧−ノードN2の電圧)の値が大きい程、MOSトランジスタ2の電流(トランジスタ電流)が増大し、(ノードN1の電圧−ノードN2の電圧)の値が小さい程、トランジスタ電流が減少するように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を変更して供給する。トランジスタ制御部11は、ステップS103の処理後に、処理をステップS101に戻す。
【0040】
次に、図4を参照して、本実施形態による電流制御部12の動作について説明する。
図4は、本実施形態における電流制御部12の動作の一例を示すフローチャートである。
【0041】
図4に示すように、制御回路10の電流制御部12は、まず、ゲート端子(ノードN3)の電圧が所定の電圧以上であるか否かを判定する(ステップS201)。すなわち、電流制御部12のVGS検出電圧電流変換回路122は、MOSトランジスタ125のオン状態であるか否かによって、ゲート端子(ノードN3)の電圧が所定の電圧以上であるか否かを判定する。電流制御部12は、ゲート端子(ノードN3)の電圧が所定の電圧以上である場合(ステップS201:YES)に、処理をステップS202に進める。また、電流制御部12は、ゲート端子(ノードN3)の電圧が所定の電圧より低い場合(ステップS201:NO)に、処理をステップS203に進める。
【0042】
ステップS202において、電流制御部12は、VGS検出電圧電流変換回路122を停止する。すなわち、MOSトランジスタ125がオフ状態になることにより、VGS検出電圧電流変換回路122による電流源が停止し、電流制御部12は、トランジスタ制御部11の動作電流を低減させる。電流制御部12は、ステップS202の処理後に、処理をステップS201に戻す。
【0043】
また、ステップS203において、電流制御部12は、VGS検出電圧電流変換回路122による電流を起動電流源121の起動電流に付加してトランジスタ制御部11に供給する。すなわち、MOSトランジスタ125がオン状態になることにより、VGS検出電圧電流変換回路122が、電流源として機能し、起動電流源121の起動電流に、抵抗124及びMOSトランジスタ125を流れる電流(追加の定電流)を付加してトランジスタ制御部11に供給する。これにより、電流制御部12は、トランジスタ制御部11の動作電流を増加させる。電流制御部12は、ステップS203の処理後に、処理をステップS201に戻す。
【0044】
次に、図5図7を参照して、本実施形態による制御回路10及び理想ダイオード回路1の動作について説明する。
図5は、本実施形態における制御回路10の動作の一例を示す第1のタイミングチャートである。この図において、各グラフの縦軸は、上から順に、ノードN1及びノードN2の電圧、バッテリからの入力電流、MOSトランジスタ2を通過した電流、負荷の電流、及び、GND端子の電流を示している。また、各グラフの横軸は、時間を示している。
【0045】
また、図5において、波形W1〜波形W6は、順番に、ノードN1の電圧波形、ノードN2の電圧波形、バッテリからの入力電流波形、MOSトランジスタ2を通過した電流波形、負荷の電流波形、及び、トランジスタ制御部11の動作電流を含む制御回路10の電流波形を示している。ここで、ノードN1の電圧は、バッテリの出力電圧である。また、各電流は、入力される方向の電流を正の電流とし、出力される電流を負の電流として示している。
【0046】
図5の時刻T1において、負荷の電流が増大すると(波形W5参照)、負荷の電流に応じて、ノードN2の電圧が、ノードN1の電圧よりノードN2の電圧が低下する。これにより、トランジスタ制御部11の差動アンプ111は、ノードN1の電圧とノードN2の電圧との差分に応じて、MOSトランジスタ2に流れる電流が増加するように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を低下させる。ゲート端子(ノードN3)の電圧が低下すると、バッテリからの入力電流、及びMOSトランジスタ2を通過する電流が増加する(波形W3及び波形W4参照)。また、ゲート端子(ノードN3)の電圧が低下すると、VGS検出電圧電流変換回路122が動作を開始し、トランジスタ制御部11の動作電流が増加する(波形W6参照)。
【0047】
また、時刻T2において、負荷の電流が低下し、且つ、ノードN2が高電圧になって逆バイアスが発生すると(波形W2参照)、トランジスタ制御部11の差動アンプ111は、逆バイアスによる電流の逆流を阻止するように、MOSトランジスタ2をオフ状態にする電圧を、ゲート端子(ノードN3)に供給する。これにより、MOSトランジスタ2がダイオードとして機能し、ノードN2の高電圧がバッテリに逆流することを防止する。
【0048】
また、時刻T3において、ノードN2の高電圧が解消され(波形W2参照)、例えば、負荷の電流が小さい待機状態などに移行すると、電流制御部12は、VGS検出電圧電流変換回路122が動作を停止し、トランジスタ制御部11の動作電流が低下させる。この場合、波形W6に示すように、トランジスタ制御部11の動作電流を含む制御回路10の電流を低く抑えることができる。
【0049】
また、図6は、本実施形態における制御回路10の動作の一例を示す第2のタイミングチャートである。この図において、各グラフの縦軸は、上から順に、ゲート端子(ノードN3)の電圧、ソース端子(ノードN2)の電圧、Vgs電圧、及び、負荷の電流を示している。また、各グラフの横軸は、時間を示している。
【0050】
また、図6において、波形W11〜波形W14は、順番に、ゲート端子(ノードN3)の電圧波形、ソース端子(ノードN2)の電圧波形、Vgs電圧、及び、負荷の電流波形を示している。ここで、Vgs電圧は、ゲート端子(ノードN3)の電圧からソース端子(ノードN2)の電圧を減算した電圧(ゲート端子の電圧−ソース端子の電圧)を示している。
また、図6において、時刻T1〜時刻T3は、図5に示す時刻T1〜時刻T3と同一の時刻である。
【0051】
時刻T1において、負荷の電流が増大すると(波形W14参照)、ソース端子(ノードN2)の電圧が低下する。これに応じて、トランジスタ制御部11の差動アンプ111は、ノードN1の電圧とノードN2の電圧との差分に応じて、MOSトランジスタ2に流れる電流が増加するように、ゲート端子(ノードN3)の電圧を低下させる(波形W11参照)。また、これにより、MOSトランジスタ2のVgs電圧は、波形W13に示すような波形となり、MOSトランジスタ2がオン状態になる。この場合、MOSトランジスタ2は、順方向に電流が流れるダイオードとして機能する。
【0052】
また、時刻T2において、負荷の電流が低下し、且つ、ノードN2が高電圧になって逆バイアスが発生すると、トランジスタ制御部11の差動アンプ111は、波形W11に示すように、MOSトランジスタ2をオフ状態にする電圧を、ゲート端子(ノードN3)に供給する。この場合、MOSトランジスタ2は、逆バイアスが印加されたダイオードとして機能し、逆バイアスによる電流の逆流を阻止する。
【0053】
また、時刻T3において、ノードN2の高電圧が解消され(波形W12参照)、例えば、負荷の電流が小さい待機状態などに移行すると、トランジスタ制御部11の差動アンプ111は、負荷の電流に応じた電圧をゲート端子(ノードN3)に供給する(波形W11参照)。すなわち、差動アンプ111は、ノードN1の電圧とノードN2の電圧との差分に応じた電圧をゲート端子(ノードN3)に供給する。
【0054】
また、図7は、本実施形態における電流制御部12の動作の一例を示す図である。この図において、各グラフの縦軸は、上から順に、Vds電圧、及び、制御回路10の消費電流を示している。また、各グラフの横軸は、負荷の電流(負荷電流Iout)のlogプロット(対数プロット)を示している。
【0055】
また、図7において、波形W21、及び波形W22は、順番に、Vds電圧波形、及び、制御回路10の消費電流波形を示している。ここで、Vds電圧は、MOSトランジスタのドレイン端子(ノードN1)の電圧からソース端子(ノードN2)の電圧を減算した電圧(ドレイン端子の電圧−ソース端子の電圧)を示している。
【0056】
図7の波形W21に示すように、負荷電流Ioutの増加に応じて、MOSトランジスタ2のVds電圧は上昇する。また、負荷電流Ioutの増加に応じて、電流制御部12は、トランジスタ制御部11の動作電流を増大させる。これにより、波形W22に示すように、負荷電流Ioutの増加に応じて、制御回路10の消費電流が増加する。なお、この場合、トランジスタ制御部11の動作電流が増大するため、MOSトランジスタ2を素早くオフ状態にすることができる。
また、電流制御部12は、トランジスタ制御部11の動作電流が減少した場合に、トランジスタ制御部11の動作電流を減少させる。これにより、待機状態などの軽負荷時に、制御回路10の消費電流が低減される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態による制御回路10は、トランジスタ制御部11と、電流制御部12とを備える。トランジスタ制御部11は、ボディーダイオード21が順方向になるように接続されているMOSトランジスタ2(電界効果トランジスタ)のソース端子(ノードN2)の電圧とドレイン端子(ノードN1)の電圧との差に応じて、MOSトランジスタ2のゲート端子(ノードN3)の電圧を制御する。電流制御部12は、MOSトランジスタ2のソース端子(ノードN2)を介して接続される負荷が軽い場合に、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を減少させ、負荷が重い場合に、動作電流を増大させる。
【0058】
これにより、トランジスタ制御部11が、MOSトランジスタ2を理想ダイオードとして制御するとともに、電流制御部12が、負荷に応じて、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を適切に制御する。よって、本実施形態による制御回路10は、例えば、軽負荷時などの待機状態において、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を減少させるため、理想ダイオードの機能を維持しつつ、待機状態において消費電流を低減することができる。
【0059】
また、本実施形態では、電流制御部12は、ゲート端子(ノードN3)の電圧が、MOSトランジスタ2に流れるトランジスタ電流が所定の電流値以下の状態になる電圧になった場合に、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を減少させ、ゲート端子(ノードN3)の電圧が、トランジスタ電流が所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を増大させる。
【0060】
これにより、電流制御部12は、ゲート端子(ノードN3)の電圧が軽負荷時に対応する電圧である場合に、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を減少させ、重い負荷に対応する電圧である場合に、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を増大させる。よって、本実施形態による制御回路10は、ゲート端子(ノードN3)の電圧により動作電流を増減させるという簡易な手法により、理想ダイオードの機能を維持しつつ、待機状態において消費電流を低減することができる。
【0061】
また、本実施形態では、電流制御部12は、起動時の動作電流の基準となる定電流を供給する起動電流源121(第1電流源)と、ゲート端子の電圧が、MOSトランジスタ2に流れるトランジスタ電流が所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、起動電流源121に追加の定電流を付加して供給するVGS検出電圧電流変換回路122(第2電流源)とを備える。
これにより、本実施形態による制御回路10は、起動電流源121に追加の電流源(VGS検出電圧電流変換回路122)を追加するという簡易な構成により、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を適切に制御することができる。
【0062】
また、本実施形態では、トランジスタ制御部11は、ドレイン端子の電圧とソース端子の電圧との差分に応じて、ゲート端子の電圧を制御する差動アンプ111(差動増幅回路)を備える。
これにより、本実施形態による制御回路10は、簡易な回路構成により、MOSトランジスタ2を理想ダイオードとして、適切に制御することができる。
【0063】
また、本実施形態による理想ダイオード回路1は、制御回路10と、MOSトランジスタ2とを備える。
これにより、本実施形態による理想ダイオード回路1は、制御回路10と同様に、理想ダイオードの機能を維持しつつ、待機状態において消費電流を低減することができる。
【0064】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による制御回路10a及び理想ダイオード回路1aについて説明する。
【0065】
図8は、本実施形態による理想ダイオード回路1aの構成の一例を示すブロック図である。
図8に示すように、理想ダイオード回路1aは、MOSトランジスタ2と、制御回路10aとを備える。
なお、この図において、上述した図1と同一の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0066】
理想ダイオード回路1aは、VIN端子(ノードN1)の電圧が、VOUT端子(ノードN2)の電圧以上である場合(順方向の場合)に、VIN端子とVOUT端子との間を導通する。また、理想ダイオード回路1は、VOUT端子の電圧が、VIN端子の電圧より高くなった場合(逆方向の場合)に、VIN端子とVOUT端子との間の導通を遮断し、電流の逆流を阻止する。
【0067】
制御回路10aは、トランジスタ制御部11と、電流制御部12aとを備える。
本実施形態では、電流制御部12aの構成が異なる点が、第1の実施形態と異なる。
【0068】
電流制御部12は、負荷に応じて、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を制御する。電流制御部12は、例えば、ゲート端子(ノードN3)の電圧が、MOSトランジスタ2に流れるトランジスタ電流が所定の電流値以下の状態になる電圧になった場合に、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を減少させる。すなわち、電流制御部12は、負荷が所定の閾値以下である場合に、トランジスタ制御部11に供給する電流源の電流を減少させる。これにより、電流制御部12は、トランジスタ制御部11の動作電流を低減させる。
【0069】
電流制御部12aは、ゲート端子(ノードN3)の電圧が、トランジスタ電流が所定の電流値を超える状態になる電圧になった場合に、動作電流を増大させる。すなわち、電流制御部12aは、負荷が所定の閾値を超える場合に、トランジスタ制御部11に供給する電流源の電流を増大させる。これにより、電流制御部12aは、トランジスタ制御部11の動作電流を増加させる。
【0070】
また、電流制御部12aは、複数の電流源120(第1電流源120−1、第2電流源120−2、・・・)と、VGS検出部126と、電流源選択部127と、スイッチ部128とを備える。
なお、本実施形態において、第1電流源120−1、第2電流源120−2、・・・は、電流値の異なる電流源であり、制御回路10aが備える任意の電流源を示す場合、又は特に区別しない場合には、電流源120として説明する。
【0071】
また、電流制御部12aは、ゲート端子(ノードN3)の電圧に応じて、複数の電流源120を切り替えて、トランジスタ制御部11の動作電流の基準となる定電流を供給する。なお、電流制御部12aは、ゲート端子(ノードN3)の電圧に応じて、複数の電流源120のうちのいずれかの電流源、又は組み合わせの電流源120を選択して、動作電流の基準となる定電流を供給するようにしてもよい。
【0072】
電流源120は、動作電流の基準となる定電流を生成し、生成した定電流をトランジスタ制御部11に供給する。なお、第2電流源120−2は、例えば、第1電流源120−1より大きい定電流を供給するものとし、複数の電流源120は、それぞれが大きさの異なる定電流を供給するものとする。
【0073】
VGS検出部126は、ゲート端子(ノードN3)の電圧(Vgs電圧)を検出する。
スイッチ部128は、例えば、トランジスタなどの切り替えスイッチであり、電流源選択部127によって選択された電流源120の出力である定電流をトランジスタ制御部11に供給する。
【0074】
電流源選択部127は、VGS検出部126が検出したゲート端子(ノードN3)の電圧(Vgs電圧)に応じて、複数の電流源120のうちからトランジスタ制御部11に定電流を供給する電流源120を選択する。電流源選択部127は、選択した電流源120からトランジスタ制御部11に定電流が供給されるように、スイッチ部128に制御信号を出力する。
【0075】
電流源選択部127は、例えば、ゲート端子(ノードN3)の電圧が、トランジスタ電流が所定の電流値以下の状態になる電圧(第1閾値以上)になった場合に、第1電流源120−1を選択して、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を減少させる。また、電流源選択部127は、例えば、ゲート端子(ノードN3)の電圧が、トランジスタ電流が所定の電流値を超える状態になる電圧(第1閾値未満)になった場合に、第2電流源120−2を選択して、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を増大させる。
【0076】
次に、図面を参照して、本実施形態による制御回路10a及び理想ダイオード回路1aの動作について説明する。
図9は、本実施形態における電流制御部12aの動作の一例を示すフローチャートである。
【0077】
図9において、電流制御部12aは、まず、Vgs電圧を検出する(ステップS301)。すなわち、電流制御部12aのVGS検出部126は、ゲート端子(ノードN3)の電圧(Vgs電圧)を検出する。
【0078】
次に、電流制御部12aは、Vgs電圧に応じて、電流源120を選択する(ステップS302)。すなわち、電流制御部12aの電流源選択部127は、VGS検出部126が検出したゲート端子(ノードN3)の電圧(Vgs電圧)に応じて、複数の電流源120のうちからトランジスタ制御部11に定電流を供給する電流源120を選択する。電流源選択部127は、例えば、Vgs電圧が、第1閾値以上である場合に、第1電流源120−1を選択する。また、電流源選択部127は、例えば、Vgs電圧が、第1閾値未満である場合に、第1電流源120−1より大電流である第2電流源120−2を選択する。電流源選択部127は、選択した電流源120からトランジスタ制御部11に定電流が供給されるように、スイッチ部128に制御信号を出力する。電流制御部12aは、ステップS302の処理後に、処理をステップS301に戻す。
【0079】
なお、上述した電流制御部12a以外の動作は、第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態による制御回路10aは、トランジスタ制御部11と、電流制御部12aとを備える。トランジスタ制御部11は、ボディーダイオード21が順方向になるように接続されているMOSトランジスタ2(電界効果トランジスタ)のソース端子(ノードN2)の電圧とドレイン端子(ノードN1)の電圧との差に応じて、MOSトランジスタ2のゲート端子(ノードN3)の電圧を制御する。電流制御部12aは、MOSトランジスタ2のソース端子(ノードN2)を介して接続される負荷が軽い場合に、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を減少させ、負荷が重い場合に、動作電流を増大させる。
【0081】
これにより、本実施形態による制御回路10aは、第1の実施形態と同様の効果を奏し、理想ダイオードの機能を維持しつつ、待機状態において消費電流を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態では、電流制御部12aは、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流の基準となる定電流を供給する複数の電流源120を備え、ゲート端子(ノードN3)の電圧(Vgs電圧)に応じて、複数の電流源120を切り替えて、動作電流の基準となる定電流をトランジスタ制御部11に供給する。
これにより、本実施形態による制御回路10aは、複数の電流源120を切り替えて使用するという簡易な構成により、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を適切に制御することができる。
【0083】
また、本実施形態では、電流制御部12aは、ゲート端子の電圧に応じて、複数の電流源120のうちのいずれかの電流源、又は組み合わせの電流源120を選択して、動作電流の基準となる定電流を供給するようにしてもよい。すなわち、 電流制御部12aは、ゲート端子(ノードN3)の電圧(Vgs電圧)に応じて、トランジスタ電流が大きい程、供給する定電流が大きくなるように、複数の電流源120のうちのいずれかの電流源、又は組み合わせの電流源120を選択して、動作電流の基準となる定電流をトランジスタ制御部11に供給する。
【0084】
これにより、本実施形態による制御回路10aは、複数の電流源120の選択、又は組み合わせにより、トランジスタ制御部11を動作させる動作電流を細かく制御することが可能になり、消費電流を低減することができる。
【0085】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、電界効果トランジスタの一例として、Pチャネル型MOSFETを使用する場合を説明したが、これに限定されるものではない。理想ダイオード回路1(1a)は、電界効果トランジスタとして、例えば、Nチャネル型MOSFETなどの他の種類の電界効果トランジスタを用いるようにしてもよい。
【0086】
また、上記の第2の実施形態において、電流制御部12aが、第1電流源120−1と、第2電流源120−2との2つの電流源120を切り替えて使用する例を説明したが、3つ以上の電流源120を切り替えて使用するようにしてもよい。また、電流制御部12aは、第1の実施形態のように、第1電流源120−1に第2電流源120−2を追加の定電流として、付加して供給するようにしてもよい。
【0087】
また、上述した制御回路10(10a)及び理想ダイオード回路1(1a)の機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1、1a 理想ダイオード回路
2、125 MOSトランジスタ
10、10a 制御回路
11 トランジスタ制御部
12、12a 電流制御部
21 ボディーダイオード
111 差動アンプ
120 電流源
120−1 第1電流源
120−2 第2電流源
121 起動電流源
122 VGS検出電圧電流変換回路
123 電流加算部
124 抵抗
126 VGS検出部
127 電流源選択部
128 スイッチ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9