(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827126
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】軽合金を素材とする計時器文字盤
(51)【国際特許分類】
G04B 19/12 20060101AFI20210128BHJP
G04B 19/14 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
G04B19/12 Z
G04B19/14 A
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-551746(P2019-551746)
(86)(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公表番号】特表2020-501169(P2020-501169A)
(43)【公表日】2020年1月16日
(86)【国際出願番号】EP2017082534
(87)【国際公開番号】WO2018114500
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2019年6月12日
(31)【優先権主張番号】16205879.6
(32)【優先日】2016年12月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519195497
【氏名又は名称】ルバテル・エ・ワイエルマン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】バルフュス,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンルノー,フレデリク
【審査官】
佐々木 祐
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭48−081565(JP,A)
【文献】
特表2013−529777(JP,A)
【文献】
実開昭54−017763(JP,U)
【文献】
スイス国特許発明第00343312(CH,A5)
【文献】
特開2010−223786(JP,A)
【文献】
特開2007−237253(JP,A)
【文献】
特開昭49−098274(JP,A)
【文献】
実開昭52−034265(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽合金を素材とする計時器文字盤(1)であって、第1の軽合金を素材とするフランジ(2)を含み、前記フランジ(2)は、第1の側面上に、ユーザが見ることができる少なくとも1つの表示区域(3)と、第2の側面上に、前記文字盤(1)を計時器ムーブメント(100)内に位置決めおよび/または固定するための少なくとも1つの脚部(4)とを含み、前記フランジ(2)は、少なくとも1つの前記脚部(4)の端部区域(6)と補完的な少なくとも1つの受容区域(5)を含み、前記1つの脚部(4)は溶接可能な脚部(40)であり、前記フランジ(2)に前記受容区域(5)と前記端部区域(6)との間の前記接触面で溶接またはロウ付けされるように構成される計時器文字盤(1)であって、前記溶接可能な脚部(40)の前記素材は前記第1の軽合金または前記第1の軽合金に溶接またはロウ付け可能な第2の軽合金であり、前記端部区域(6)および前記補完的受容区域(5)から形成される少なくとも1つの対は、第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、雄ねじと協働する雌ねじを含み、前記端部区域(6)および前記補完的受容区域(5)から形成される各対において、前記端部区域(6)および前記受容区域(5)は、前記フランジ(2)と、関連する前記溶接可能な脚部(40)との間の溶接またはロウ付けされた接続部で恒久的に結合されることを特徴とする、計時器文字盤(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の文字盤(1)であって、前記第1の軽合金および前記第2の軽合金は、アルミニウム合金、チタン合金またはマグネシウム合金から選択されることを特徴とする、文字盤(1)。
【請求項3】
請求項2に記載の文字盤(1)であって、前記第1の軽合金および前記第2の軽合金は2つのアルミニウム合金であることを特徴とする、文字盤(1)。
【請求項4】
請求項2に記載の文字盤(1)であって、前記第1の軽合金はアルミニウム合金であり、前記第2の軽合金はチタン合金であり、または、前記第1の軽合金はチタン合金であり、前記第2の軽合金はアルミニウム合金であることを特徴とする、文字盤(1)。
【請求項5】
請求項1に記載の計時器文字盤(1)を備える一体型の文字盤アセンブリ(10)であって、前記文字盤アセンブリ(10)は、陽極表面層、またはクロムもしくは硫酸陽極酸化の表面層を含むことを特徴とする、文字盤アセンブリ(10)。
【請求項6】
請求項5に記載の文字盤アセンブリ(10)を含む腕時計(1000)。
【請求項7】
軽合金を素材とする一体型の計時器文字盤アセンブリ(10)を製造するための方法であって、
−第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、軽合金を素材とする計時器文字盤(1)を製造するステップであって、前記計時器文字盤(1)は、第1の軽合金を素材とするフランジ(2)を含み、前記フランジ(2)は、第1の側面上に、ユーザが見ることができる少なくとも1つの表示区域(3)と、第2の側面上に、前記文字盤(1)を計時器ムーブメント(100)内に位置決めおよび/または固定するための少なくとも1つの脚部(4)とを含み、前記フランジ(2)は、少なくとも1つの前記脚部(4)の端部区域(6)と補完的な少なくとも1つの受容区域(5)を含み、前記1つの脚部(4)は溶接可能な脚部(40)であり、前記フランジ(2)に前記受容区域(5)と前記端部区域(6)との間の接触面で溶接またはロウ付けされるように構成され、前記溶接可能な脚部(40)の素材は前記第1の軽合金または前記第1の軽合金に溶接またはロウ付け可能な第2の軽合金であるステップと、
−前記端部区域(6)および前記補完的受容区域(5)から形成される少なくとも1つの対に、前記第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、雄ねじと協働する雌ねじを形成するステップと、
−前記第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、少なくとも1つの前記受容区域(5)と前記端部区域(6)とをねじ接続するステップと、
−溶接またはロウ付けによって、各前記溶接可能な脚部(40)を前記フランジ(2)に不可逆的に組み付け、前記一体型の文字盤アセンブリ(10)を形成するステップと、
を、上記の順番で実施することを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の文字盤アセンブリ(10)を製造するための方法であって、前記第1の軽合金および前記第2の軽合金は、アルミニウム合金、チタン合金またはマグネシウム合金から選択されることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の文字盤アセンブリ(10)を製造するための方法であって、前記第1の軽合金および前記第2の軽合金は2つのアルミニウム合金となるように選択されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の文字盤アセンブリ(10)を製造するための方法であって、前記第1の軽合金および前記第2の軽合金は2つのチタン合金となるように選択されることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の文字盤アセンブリ(10)を製造するための方法であって、前記第1の軽合金および前記第2の軽合金は2つのマグネシウム合金となるように選択されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項8に記載の文字盤アセンブリ(10)を製造するための方法であって、前記第1の軽合金はアルミニウム合金となるように選択され、前記第2の軽合金はチタン合金となるように選択され、または前記第1の軽合金はチタン合金となるように選択され、前記第2の軽合金はアルミニウム合金となるように選択されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽合金を素材とする計時器文字盤に関する。文字盤は第1の軽合金を素材とするフランジを含み、フランジは、第1の側面に、ユーザから見える少なくとも1つの表示区域と、第1の側面に対向する第2の側面に、文字盤を計時器ムーブメント内に位置決めし、および/または固定するための少なくとも1つの脚部とを含む。
【0002】
本発明はまた、上記文字盤を含み、軽合金を素材とする一体型の文字盤アセンブリに関する。
【0003】
本発明はまた、軽合金を素材とする、一体型の計時器文字盤アセンブリを製造するための方法に関する。
【0004】
本発明は、時計学の表示部品または、科学機器もしくは測定装置の表示部品の分野に関する。
【背景技術】
【0005】
計時器文字盤または科学機器は、地板上またはムーブメント内部に、取り付けおよび/または位置決め用の脚部を含む。
【0006】
しばしば、これらの脚部は、文字盤製造方法において有益である。支持部を取り付けるため、または、保定要素と電流誘導の二重機能を果たすことによって、電気めっき槽での析出を実行する。
【0007】
一般に、これらの脚部は銅からなり、金の薄膜で被覆され、酸化を防ぎ、電気接触を改善する。文字盤は一般に、銅合金、真鍮、洋銀などからなり、したがって、方法の異なるステップにおける挙動は、文字盤および文字盤に含まれる脚部では同一である。
【0008】
抵抗溶接法によって、脚部の方向において、脚部と文字盤をエネルギーパルスにさらすことによって、脚部と文字盤を接続することができる。文字盤と脚部との接触面で、エネルギーによって、枢軸と呼ばれる脚部の一端部で金属は局所的に溶融される。枢軸と呼ばれる脚部の一端部は、規定の高さにわたって規定の直径を有し、その直径は脚部の直径より小さいことが多く、可溶性の要素を形成し、それによって文字盤に接続する。
【0009】
ただし、このような銅合金脚部は、特定の軽合金、具体的にはアルミニウム合金からなる文字盤を製造するのには適さない。実際に、銅合金脚部は、硫酸またはニトロ硫酸を含む槽または電解質における陽極酸化、陽極酸化などの電気化学変換工程中に溶解する。
【0010】
したがって、脚部を文字盤の素材と同一の挙動を有する素材から作ることが望ましい。脚部を文字盤フランジと一体化して製造することは、削合加工工程で費用がかかり、またはプレス加工によって実現することは困難である。
【0011】
そのため、軽合金からなり、すべての電流処理を受けるフランジを備え、フランジ上に銅合金脚部がその後配置される文字盤は珍しくない。または脚部を備えない文字盤であって、ループによってムーブメントに固定される文字盤も珍しくはない。
【0012】
清水による特許文献1は、腕時計の文字盤を開示する。腕時計の文字盤は、アルミニウムの平面な板からなる本体と、リベットアルミニウム素材からなるピン部材を形成し、ムーブメントへの取り付け部材を形成するリベットとを含む。各ピンの頭部は、本体の裏面に形成された凹部内に適合するような形状にされ、凹部に超音波溶接によって一体化して固定される。1つの製造方法として、超音波溶接機械を実装し、頭部と凹部を一体的に接合する。
【0013】
RIHSによる特許文献2は、特に、数字を浮き彫りで形成するために、板金からプレス加工し、切断し、その後浮き彫りの数字を下塗りして文字盤を製造するための方法を開示する。少なくとも1つの染料製品によって陽極酸化が施される前に地板は化学的に研磨される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許出願第3803832A号
【特許文献2】スイス国特許出願第332878A号
【発明の概要】
【0015】
本発明は軽合金、具体的にはアルミニウムまたはチタン合金からなる脚部を、軽合金、具体的にはアルミニウムまたはチタン合金からなる裸の文字盤フランジ上に配置し、この裸の文字盤を文字盤アセンブリに変換することを提示する。文字盤アセンブリは、しっかりとフランジに接合された脚部と含み、フランジと同一の化学的挙動を有する。
【0016】
そのために、本発明は、請求項1に記載の計時器文字盤に関する。
【0017】
本発明はまた、請求項6に記載の一体型の文字盤アセンブリに関する。
【0018】
本発明はまた、請求項10に記載の一体型の計時器文字盤アセンブリを製造するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明のその他の輪郭および有利点は、添付図を参照して以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
【0020】
【
図1】組み立てられているが、溶接またはロウ付けされていない裸の文字盤の概略断面図を表す。文字盤は、上部表示面に対向してフランジと、下部面とを備える。下部面上にはフランジに溶接またはロウ付けされるための脚部を示す。
【
図2】裸の文字盤の詳細の概略断面図を表す。脚部とフランジの間の接合部は平面である。
【
図3】裸の文字盤の詳細の概略断面図を表す。脚部とフランジの間の接合部は円筒形であり、フランジの穴を貫通する脚部が嵌合する。
【
図4】裸の文字盤の詳細の概略断面図を表す。脚部とフランジの間の接合部は、フランジに含まれるわずかな浮き彫りと、脚部に含まれる収容部との間の接触点である。
【
図5】裸の文字盤の詳細の概略断面図を表す。脚部とフランジの間の接合部は、フランジに含まれる雌ねじの開口と脚部の雄ねじとの間のねじ接続である。
【
図6】裸の文字盤の詳細の概略断面図を表す。脚部とフランジの間の接合部は、フランジに含まれる円形の溝上であり、脚部に含まれるU字型のノッチを含む。
【
図7】裸の文字盤の詳細の概略断面図を表す。脚部とフランジの間の接合部は、フランジに含まれる円形のスロット内であり、脚部に含まれる側面と平行な直線のスタッドを受容する。
【
図8】溶接またはロウ付けによって、不可逆的に組み立てられる文字盤アセンブリの概実図を表す。
【
図9】前述の文字盤アセンブリを含む腕時計の概略図を表す。
【
図10】前述の文字盤アセンブリを含む測定機器または科学装置の概略図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、計時器文字盤1に関する。計時器文字盤1は軽合金を素材とし、第1の軽合金を素材とするフランジ2を含む。
【0022】
より具体的には、本文字盤1は平面、または実質的に平面であり、または30mmを超える曲率半径を有する。
【0023】
本フランジ2は、第1の側面上に、ユーザが見ることができる少なくとも1つの表示区域3と、第1の正面に対向し、裏面と呼ばれる第2の側面上に、文字盤1を計時器ムーブメント100内に位置決めおよび/または固定するための少なくとも1つの脚部4とを含む。
【0024】
本文字盤1は、構成部品、特に脚部4が分解可能な文字盤である。
【0025】
本発明によると、フランジ2は少なくとも1つの受容区域5を含む。受容区域5は、溶接可能な脚部40である少なくとも1つの脚部4の端部区域6を補完する。溶接可能な脚部40は、受容区域5と端部区域6の間の接触面でフランジ2に溶接またはロウ付けされるように構成される。このような溶接可能な脚部40を形成する素材は第1の軽合金、または第1の軽合金に溶接またはロウ付け可能な第2の軽合金である。
【0026】
少なくとも1つのこのような受容区域5は、同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対してそれぞれの端部区域6を囲む。または少なくとも1つの端部区域6は、同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対してそれぞれの受容区域5を囲む。端部区域6と補完的受容区域5から形成されるまたは少なくとも1つの対は、第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、雄ねじと協働する雌ねじを含む。
【0027】
後続する操作中に、準備および保定を促進する有利な変形では、少なくとも1つの受容区域5は、当接して補完的な様式で補完的輪郭と係合するように構成される輪郭を含む。補完的輪郭は、同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対してそれぞれの端部区域6に含まれる。
【0028】
変形では、少なくとも1つの受容区域5は、それぞれの端部区域6を同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対して囲む。
【0029】
別の変形では、少なくとも1つの端部区域6は、それぞれの受容区域5を同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対して囲む。
【0030】
別の変形では、少なくとも1つの受容区域5は、同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対してそれぞれの端部区域6上に平面に位置するように構成される。
【0031】
さらに別の変形では、端部区域6および補完的受容区域5から形成される少なくとも1つの対は、第1の非溶接、非ロウ付け組み立て状態において、雄ねじと協働する雌ねじを含む。
【0032】
さらに別の変形では、少なくとも1つの受容区域5は円形のスロットまたはリブの一部であり、特に旋盤工程中にフランジ2上に形成され、受容区域5と補完的である端部区域6、補完的円形のリブまたはスロットの一部である。
【0033】
より具体的には、第1の軽合金および第2の軽合金はアルミニウム、チタンまたはマグネシウムの合金から選択される。
【0034】
別の変形では第1の軽合金および/または第2の軽合金は、大気と接触することで生成される酸化層で被覆された純金属から形成されるアセンブリに代替される。たとえば、アルミニウムでは、Al
2O
3、またはチタンではTiO
2である。
【0035】
変形では第1の軽合金および第2の軽合金は2つのアルミニウム合金である。これらの合金は好ましくは、溶接が最も容易であるアルミニウム合金から選択される。より具体的には、および非限定的に、これらの合金は析出硬化のない次のアルミニウム合金から選択される。つまり、1000シリーズ(合金素子なし)、より具体的には焼きなまし状態の1050−Oシリーズ、3000シリーズ(マンガン追加)、より具体的には焼きなまし状態の3003−Oシリーズ、溶接しやすく、陽極酸化に適した5000シリーズ(マンガン追加)、より具体的には焼きなまし状態の5086−Oシリーズ、または加工硬化および安定化5083H111シリーズから選択される。
【0036】
別の変形では、第1の軽合金はアルミニウム合金であり、第2の軽合金はTiO
2、TA6Vと呼ばれるTiAl
6V
4などのチタン合金である。または第2の軽合金はアルミニウム合金であり、第1の軽合金はTiO
2、TA6Vと呼ばれるTiAl
6V
4などのチタン合金である。
【0037】
さらに別の変形では、第1の軽合金はアルミニウム合金であり、第2の軽合金はアルミニウムと容易に溶接するマグネシウム合金であり、たとえばG−A6Z3と呼ばれるMgAl
6Zn
3、またはG−A9Zと呼ばれるMgAl
9Zn、またはMgZn
5Th
2Zr、またはMgZrなどである。反対の構成も当然可能である。
【0038】
本発明はまた、軽合金を素材とし、裸の文字盤1を備える一体型の文字盤アセンブリ10に関する。具体的には、フランジ2と脚部4のすべてまたは一部である、すでに溶接またはロウ付け済みのこれらの部品を不可逆的に接続する少なくとも1つの溶接またはロウ付け工程によって、本文字盤1を変換することによって、文字盤アセンブリ10が得られる。溶接またはロウ付けされる接続区域は、溶接またはロウ付け工程に影響され、端部区域6および補完的受容区域5の元来の形状の形跡はもはや持たない。
【0039】
このように、本発明によれば、1つの端部区域6および補完的受容区域5から形成される少なくとも1つの対において、端部区域6および受容区域5はフランジ2と関連する溶接可能な脚部40との間の溶接またはロウ付けされた接続部で恒久的に結合される。
【0040】
そのため、可視表示区域3のいかなる変形も避けるために、明確に標的を定めた様式で行われるアルミニウムおよび/またはチタンの微細溶接と両立する技術がある。この技術は、レーザまたはプラズマ技術を用いて、非常に小さな直径の加熱区域を有し、約100ミクロンで低い温度で行われる。これらの技術によって、軽合金、具体的にはチタンまたはアルミニウム合金からなる溶接可能な脚部40を、突き合わせ溶接またはスポット溶接によって、特に、レーザ、プラズマまたは超音波溶接によって、溶接またはロウ付けすることが可能となる。
【0041】
より具体的には、端部区域6および補完的受容区域5から形成される各対において、端部区域6および受容区域5は、フランジと関連する溶接可能な脚部40との間で、溶接またはロウ付けされた接続部で恒久的に結合される。
【0042】
有利な変形では、一体型の文字盤アセンブリ10は、陽極表面層、またはクロムもしくは硫酸陽極酸化の表面層を含む。対応する表面処理は溶接またはロウ付け工程の後に行われる。
【0043】
本発明はまた、少なくとも1つの前述の文字盤アセンブリ10を含む腕時計1000に関する。
【0044】
本発明はまた、少なくとも1つの前述の文字盤アセンブリ10を含む科学機器に関する。
【0045】
本発明はまた、少なくとも1つの前述の文字盤アセンブリ10を含む測定装置に関する。
【0046】
本発明はまた、軽合金を素材とする、一体型の計時器文字盤アセンブリを製造するための方法に関する。本発明によると、以下のステップが以下の順番で実施される。
−第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、軽合金を素材とする計時器文字盤1を製造するステップであって、計時器文字盤1は、第1の軽合金を素材とするフランジ2を含み、フランジ2は、第1の側面上に、ユーザが見ることができる少なくとも1つの表示区域3と、第2の側面上に、文字盤1を計時器ムーブメント100内に位置決めおよび/または固定するための少なくとも1つの脚部4とを含み、フランジ2は、少なくとも1つの脚部4の端部区域6と補完的な少なくとも1つの受容区域5を含み、1つの脚部4は溶接可能な脚部40であり、フランジ2に受容区域5と端部区域6との間の接触面で溶接またはロウ付けされるように構成され、溶接可能な脚部40の素材は第1の軽合金または第1の軽合金に溶接またはロウ付け可能な第2の軽合金であるステップと、
−少なくとも1つの受容区域5を端部区域6と補完的にし、または少なくとも1つの端部区域6を受容区域5と補完的にし、それによって一方が他方を囲むようにし、および/または区域に雄ねじと協働する雌ねじを提供するステップと、
−第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、少なくとも1つの受容区域5がそれぞれの端部区域6を同一の溶接可能な脚部40の前記アセンブリに対して囲むように、またはそれぞれの端部区域6が少なくとも1つの受容区域5を同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対して囲むように、少なくとも1つの受容区域5を位置決めするステップと、および/または互いにねじ接続するステップと、
−溶接またはロウ付けによって、少なくとも1つの溶接可能な脚部40をフランジ2に不可逆的に組み付け、一体型の文字盤アセンブリ10を形成するステップと、
を、上記の順番で実施することを特徴とする、方法。
【0047】
より具体的には、本文字盤1は平面、または実質的に平面であり、または30mmを超える曲率半径を有する。
【0048】
より具体的には、各溶接可能な脚部40は、溶接またはロウ付けによってフランジ2に不可逆的に組み付けされる。
【0049】
より具体的には、文字盤1は、溶接またはロウ付け前に形成され、少なくとも1つの受容区域5を囲む。少なくとも1つの受容区域5は、第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、それぞれの端部区域6を同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対して囲む。
【0050】
より具体的には、文字盤1は溶接またはロウ付け前に形成され、少なくとも1つの端部区域6を備える。第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、それぞれの受容区域5を同一の溶接可能な脚部40のアセンブリに対して囲む。
【0051】
より具体的には、文字盤1は、端部区域6および補完的受容区域5から形成される少なくとも1つの対に溶接またはロウ付けされる前に形成される。少なくとも1つの対は、第1の非溶接および非ロウ付け組み立て状態において、雄ねじと協働する雌ねじを含む。
【0052】
より具体的には、溶接またはロウ付けによる不可逆的な組み付けの後に、文字盤アセンブリ10の表面層の陽極酸化、またはクロムもしくは硫酸陽極酸化工程を実施する。
【0053】
変形では、第1の軽合金および第2の軽合金は、アルミニウム合金、チタン合金またはマグネシウム合金から選択される。
【0054】
変形では、第1の軽合金および第2の軽合金は2つのアルミニウム合金となるように選択される。
【0055】
変形では、第1の軽合金および第2の軽合金は2つのチタン合金となるように選択される。
【0056】
変形では、第1の軽合金および第2の軽合金は2つのマグネシウム合金となるように選択される。
【0057】
変形では、第1の軽合金はアルミニウム合金となるように選択され、第2の軽合金はチタンとなるように選択され、または、第1の軽合金はチタン合金となるように選択され、第2の軽合金はアルミニウム合金となるように選択される。
【0058】
第1の軽合金および第2の軽合金がどちらもアルミニウム合金である特定の選択は、陽極酸化工程に適用するにあたって有利である。
【0059】
チタンまたはチタン合金からなる逆部の代替から、適用する処理の数に関係なく寸法安定性を得られることで、同一の可能性を得ることができる。この代替は有利である。様々な変換処理を適用する際に有利である。
【0060】
サイクル開始時に脚部を溶接またはロウ付けすることによって、製品の価値が最大に高まった製造工程最後に傷つけてしまう危険性が避けられる。