(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で、操向可能ロボティックシステム10が提供され、操向可能ロボティックシステム10は、ベース16から片持ち梁方式で延在するアーム14から懸垂保持されるガイドトレイ12内に搭載される。ベース16は、ここでは、複数のロック可能ホイール20を含む可動カート18上に搭載されて示され、複数のロック可能ホイール20は、外科医または他の専門家が、患者に隣接する所望の位置までカート18を移動させ、移動に抗してカート18をロックすることを可能にし、それにより、カート18を所定の場所にロックする。ベース16は、カート18に対して垂直方向に並進的に可動である。アーム14は、ここでは、弧状片持ち梁部分22、片持ち梁部分22に対するスイベル接続26によって、旋回可能に接続され、水平面内に支持された第1のサブアーム24を含む。第2のサブアーム28は、同様に、その第1の端で第1のサブアーム24に旋回可能に接続され、直角ハンガー30は、第2のサブアーム28の対向する遠位端30に旋回可能に接続される。第1のサブアーム24に対する第2のサブアーム28の旋回接続部は、第1のサブアーム24に対する第2のサブアームの旋回接続部を中心とする弧の周りの、第2のサブアームの遠位端30の制御された搖動運動を可能にし、それにより、遠位端30は、カート18のホイール20がその上に載る支持表面に対して上方または下方に移動することができる。直角支持体32は、遠位端30から旋回可能に懸垂保持され、さらなるスイベル34において接続された第1および第2の部分を含み、第2の部分はガイドトレイ12に接続される。ガイドトレイ12は、アーム22、24、および28のスイベル接続部ならびに直角支持体32によって、ガイドトレイ12上のハンドル36によって、水平および垂直方向に対してユーザー位置決め可能である。結果として、カート18に対してガイドトレイ12を位置決めするための5つの自由度は、3つの並進自由度、1つのピッチ運動、および1つのヨー運動を含む。
【0008】
可撓性シース52、例えば、カテーテルの外側シース、および、可撓性シース52内でまた最終的に可撓性シース52から延在する操向可能ガイドワイヤ54(例えば、
図2A参照)がそこから延在するロボティックコントローラ50は、ガイドトレイ12内に位置し、ガイドトレイ12によって支持される。ガイドトレイ12は、ロボティックコントローラ50がその上に搭載され支持されるトラフに似た支持領域38、および、漏斗状シュラウド40を含み、漏斗状シュラウド40は、支持領域38の一端から延在し、漏斗状シュラウド40の内方テーパ付き端に縮小径ガイド開口42を有する。シース52であって、シース52内に可動に配設される操向可能ガイドワイヤ54を有する、シース52は、ロボティックコントローラ50から、また、開口42から外方に延在する。ガイドトレイ12は、操向可能ガイドワイヤ54が患者の身体内の処置部位に達するために、患者に対して、また、シース52が患者の切開部内に内方に延在する所望の配向に対して位置決め可能である。
【0009】
ここで、最初に、内部にガイドワイヤ54を有するシース52は、患者の中に手作業で誘導される。シース52およびガイドワイヤ54の遠位端がそれによって観察され得る別個のビジュアルスコープまたはシース52およびガイドワイヤ54の遠位端上のX線不透過性マーカーは、患者の身体のX線撮像(radiological imaging)と組み合わされて、その後、シース52およびガイドワイヤ54の遠位端を患者内の所望のロケーションに誘導し得る。
【0010】
図2Aおよび
図3Aを参照すると、ロボティックコントローラ50から延在するシース52およびガイドワイヤ54を有するロボティックコントローラ50は、等角的に(
図2A)また平面図で(
図3A)示される。ロボティックコントローラのこの構造において、ロボティックコントローラ50は、シースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64を含み、シースドライバー62はガイドトレイ12に固定されたロボティックコントローラのベース60に固定して接続され、ガイドワイヤドライバー64は、ベース60に摺動可能に接続される。この構造において、シースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64のそれぞれは、ベース60に対するガイドワイヤ54およびシース52の位置決めの精密移動制御を可能にするように構成され、ガイドワイヤ54は、ベース60に沿ってガイドワイヤドライバー64を摺動可能に移動させることによってシース52に対してさらに可動である。そのため、シースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64のそれぞれが互いに対して固定して保持され、両者がそれぞれ、シース52およびガイドワイヤ54を、ガイドトレイ12上の開口42に向かってまたは開口42から外方に同時に移動させる場合、シース52およびガイドワイヤ54は、開口42に対して、したがって、患者の切開部を通して、したがって、患者の身体内に移動するにもかかわらず、互いに対して移動しないことになる。代替的に、シースドライバー62が、シースドライバー62に対してシース52を移動させる場合、ガイドワイヤドライバー64は、ガイドワイヤ54がガイドワイヤドライバー64に対して固定のままである状態で、それ自身移動して、シース52およびガイドワイヤ54の同時移動を、互いに対してではなく、開口42に対して行うことができる。いずれの場合も、曲がりくねった解剖学的構造内にガイドワイヤが挿入されるにつれて、ガイドワイヤ54の遠位先端56は、同様に制御可能に、コントローラによるシースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64の操作(
図7)によって、シース52の遠位端58から外方に前進することができる、あるいは、遠位端58に向かってまたはさらに遠位端58内に後退することができる。
【0011】
シースドライバー62は、搭載用ベース60に全体的に垂直に延在するフランジプレート66の端上で固定して支持されたベース61を含み、ここで、ベース61は、2対のピンチローラー組み立て体68a、68b(
図3A、
図3B)を有するロー
ラーハウジングを形成する。ピンチローラー組み立て体68a、68bの2つの対のそれぞれは、2つのローラー70a、70bを含み、2つのローラー70a、70bは、2つのローラー70a、70bを通るシース52のドライブ経路に全体的に垂直に延在するドライブシャフト72a、72b上で回転可能に支持される。ローラー70a、70bの複数の対の1つの対のドライブシャフト72a、72bの対の1つのドライブシャフト、ここでは、ピンチローラー組み立て体68bのローラー70bのシャフト72bは、その出力シャフト74の精密制御可能な弧状移動を有するモーター73、ここでは、モーターに結合されて、モーター73の出力シャフト74の小さい弧状運動を可能にする。出力シャフト74は、ローラー組み立て体68bのローラー70bのドライブシャフト72bを駆動するのに専用の、一対の円錐ギアまたはベベルギアを有するギアボックス75に接続される。ここで、出力シャフト74の中心線は、シース52のドライブ経路に全体的に平行であり、ドライブシャフト72a、72bは、そのドライブ経路に全体的に垂直であるため、ベベルギアの一対は、回転がそれを通して起こる中心線の方向を、ドライブ経路に平行からドライブ経路に垂直に変換しながら、出力シャフト74の回転を伝達する。ピンチローラー組み立て体68a、68bのピンチング特性を可能にするために、ローラー70aのドライブシャフト72aは、摺動可能ハウジング67a、67b上に位置し、各摺動可能ハウジングは、ばね69a、69bまたは他の付勢機構によってばねで留められて、ローラー70aの外周表面をローラー70bの対応する外周表面に向かって押し、それにより、ローラー70aと70bとの間に延在するシース52を把持する。ローラー70bまたはピンチローラー組み立て体68aが物理的に駆動されるため、ピンチローラー組み立て体68bの回転するローラー70a、70bの間でのシースのピンチングは、ローラーの間に捕捉されたシースの対応する直線運動を引き起こし、シース52の運動は、ピンチローラー組み立て体68bのローラー70a、70bの回転を引き起こす。ローラー70a、70bが、ローラーの間でシース52外側表面をピンチングするピンチローラーとして機能するため、各対68a、68bの2つの70a、70bの一方のみが駆動される必要があり、他のローラーは、フォロワーローラー表面を提供する。代替的に、モーター74の第2の出力シャフトに接続された第2の対のベベルギアまたは第2のモーターおよびベベルギアセットは、ピンチローラー組み立て体68aのドライブローラー70bを駆動するために設けられ得る。
【0012】
ガイドワイヤドライバー64は、シースドライバー62に対して直線的に可動であり、シースドライバー62のローラー構造と同じローラー構造を同様に含む。ガイドワイヤドライバー64は、ベース80であって、搭載用ベース60のスライドバー凹所84内に受取られるように構成される下側スライド部分82を含む、ベース80、上方に(搭載用ベース60から離れる方向に)延在する後方ドライバーマウント86、および後方ドライバーマウント86から延在する前方側面フランジ90を含む。搭載用ベース60は、前方側面フランジ90に全体的に平行に延在する側面フランジ88を含む。1次モーター92、ここでは、その出力シャフト94の制御可能な小角度移動が可能なステッパーモーターまたはサーボモーターは、出力シャフト94を通して、ねじ山付きロッド96の第1の端98に結合される。ねじ山付きロッド96の第2の端100は、側面フランジ88の開口102内の軸受け(図示せず)によって支持される。前方側面フランジ90は、前方側面フランジ90を貫通するねじ山付き開口104、ここでは、ねじ山付き開口104を含み、ねじ山付き開口104は、側面フランジ90の側面に向く1次モーターから延在するボス106を貫通して延在し、シャフト94の中心および側面フランジ88内の開口102と軸方向に整列する。安定化器開口110、112が、それぞれフランジ88、90を貫通して設けられ、安定化器開口110、112は、出力シャフト94軸の周りの側面フランジ90の弧状運動を防止するために、トレイ12またはベースの更なる要素によって支持される安定化器バー(図示せず)を、フランジを貫通して受け取るためのものである。1次モーター92は、フランジプレート66に隣接して搭載用ベース60に搭載され、したがって、側面フランジ88の位置に対して固定される。そのため、1次モーター92、したがって、ボス106内のねじ山にねじ込み式に係合したねじ山付きロッド96の回転は、側面フランジ88に対する前方側面フランジ90の直線運動、したがって、ガイドワイヤドライバー64の対応する直線運動をもたらす。
【0013】
上記で論じたように、ガイドワイヤドライバー64は、シースドライバー62と同じ全体的な構造を有し、ローラーハウジングを形成するベース61および2つの対のピンチローラー組み立て体68a、68bを含む。ピンチローラー組み立て体68a、68bの対のそれぞれは、2つのローラー70a、70bを含み、2つのローラー70a、70bは、ローラーを通るガイドワイヤ54のドライブ経路に全体的に垂直に延在するドライブシャフト72a、72b上に回転可能に支持される。ローラー70a、70bの複数の対の1つの対のドライブシャフト72a、72bの対の1つのドライブシャフト、ここでは、ピンチローラー組み立て体68bのローラー70bのシャフト72bは、その出力シャフト74の精密制御可能な弧状移動を有するモーター、ここでは、モーター73に結合されて、モーター73の出力シャフト74の小さい弧状運動を可能にする。出力シャフト74は、ローラー組み立て体68bのローラー70bのドライブシャフト72bを駆動するのに専用の、ギアボックスに接続される。ここで、出力シャフト74の中心線は、シース52のドライブ経路に全体的に平行であり、ドライブシャフト72a、72bは、そのドライブ経路に全体的に垂直であるため、円錐ギアの対は、回転がそれを通して起こる中心線の方向を、ドライブ経路に平行からドライブ経路に垂直に変換しながら、出力シャフト74の回転を伝達する。ピンチローラー組み立て体68a、68bのピンチング特性を可能にするために、ローラー70aのドライブシャフト72aは、摺動可能ハウジング67a、67b上に位置し、各摺動可能ハウジングは、ばね69a、69bまたは他の付勢機構によってばねで留められて、ローラー70aの外周表面をローラー70bの対応する外周表面に向かって押し、それにより、ローラー70aと70bとの間に延在するガイドワイヤ54を把持する。ローラー70bまたはピンチローラー組み立て体68aが物理的に駆動されるため、ピンチローラー組み立て体68bのローラー70a、70bの間のガイドワイヤ54のピンチングは、ローラーの間に捕捉されたガイドワイヤ54の対応する直線運動を引き起こし、ガイドワイヤ54の運動は、ピンチローラー組み立て体68bのローラー70a、70bの回転を引き起こす。ローラー70a、70bが、ローラーの間でガイドワイヤ54外側表面をピンチングするピンチローラーとして機能するため、各対68a、68bの2つの70a、70bの一方のみが駆動される必要があり、他のローラーは、フォロワーローラー表面を提供する。代替的に、モーター74の第2の出力シャフトに接続された第2の対のベベルギアまたは第2のモーターおよびベベルギアセットは、ピンチローラー組み立て体68aのドライブローラー70bを駆動するために設けられ得る。
【0014】
シースドライバー62のベース61と対照的に、ガイドワイヤドライバー64のベース61は、その後方端114で、ドライバーマウント86内の軸受け118内に支持されるスタブシャフト116に搭載され、スタブシャフト116は、次に、タイミングギア120に接続される。
図4Aを参照すると、回転ドライブモーター122はベース80に取り付けられ、駆動タイミングギア124は、回転ドライブモーター122の出力シャフトに取り付けられ、出力シャフトは、ドライバーマウント86内の開口128を通して延在し、開口128内の軸受け126内で支持される。アイドラープーリ127は、ドライバーマウント86内の開口内の軸受け126上で同様に支持される。
図5Aのタイミングベルト130は、タイミングギア120、アイドラープーリ127、および駆動タイミングギア124の周りに延在し、それにより、モーターの出力シャフト94を回転させるモーター動作は、タイミングベルト130を移動させ、+/−θ方向へのタイミングギア120の回転を引き起こす。これは、次に、ガイドワイヤドライバー64のベース61をスタブシャフト116軸の周りにスタブシャフトと共に回転させる。ガイドワイヤ54はローラー68a、68bの間でピンチングされるため、この回転運動は、ガイドワイヤドライバー64内でガイドワイヤ54の対応する回転を引き起こす。シースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64が同じ配向を有する
図4Bに示すように、ガイドワイヤの先端部分56は、ここで、Z方向に延在するガイドワイヤ54の部分から延在する湾曲部分に沿って全体的にY軸に延在する。ガイドワイヤドライバー64のベース61部分をスタブシャフト軸の周りに回転させることによって先端56の配向を
図5Bに示す位置まで独立に修正しなければ、ガイドワイヤ54の先端部分56の配向は、Z方向のガイドワイヤ54の部分から延在する湾曲部分に沿って全体的にY軸に延在する。
【0015】
ここで、シースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64のそれぞれのピンチローラー組み立て体68a、68bのドリブンローラー70bおよびドライブローラー70aは、シースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64内でガイドワイヤ54およびシース52の
図4Aの+/−Z方向への並進移動を可能にする。さらに、ガイドワイヤドライバー54全体は、
図4Aおよび
図5Aの両者の相対的位置を
図6Aに示す相対的位置と比較することによって示すように、シースドライバー62に対してZ方向に並進的に可動である。
図6Aにおいて、1次モーター92に取り付けられたねじ山付きロッド96を回転させる1次モーター92の動作は、ベース60に固定されるシースドライバー62に向かってガイドワイヤドライバー64を移動させた。結果として、ガイドワイヤドライバーのドリブンローラー70bが静止したままである場合、ガイドワイヤ54は、シース52の近位端上のフェルール140の内方に押されることになり、それによって、ガイドワイヤ54はシース52の内部に導入される。これは、フェルール140とシースドライバー62との間のシース52の領域をねじれさせる可能性がある。したがって、フェルール140は、ガイドワイヤドライバー64の側面フランジ90に物理的に接続され(接続は示されない)、したがって、ガイドワイヤドライバー64が並進移動すると、並進移動することができる。この運動を生じさせるために、シース52は、前方側面フランジ90の並進移動と同じ並進速度でかつ同じ方向に、シースドライバー62のピンチローラー組み立て体68bのドリブンローラー70bによって駆動されなければならない。同様に、
図2Bを
図6Bと比較すると、前方側面フランジ90の、
図2Aにおけるその位置から
図6Bにおけるその位置までの並進運動は、シース52が図の左に移動しており、一方、ガイドワイヤ54位置が固定のままであったことを示す。これは、そのローラー組み立て体68bのドリブンローラー70bを回転させて、ガイドワイヤ54の位置をガイドトレイ12に対して固定して維持し、したがって、シース52が、シース52内にありかつシース52の近位端および遠位端から延在するガイドワイヤ54に対して移動することを可能にするようにガイドモーター73を動作させるコントローラによって達成される。
【0016】
ここで、シースドライバー62内のシース52の駆動方向およびガイドワイヤドライバー64内のガイドワイヤ54の駆動方向は、シースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64の相対的配向によって固定される。例えば
図2Bに示す実装態様において、ガイドワイヤ54は、ドリブンローラー70bおよび残りのローラーによって押され、ガイドワイヤ54をシース52の近位端で直接フェルールに押し込む。換言すれば、ガイドワイヤがローラーによって押される方向は、シース52の内部容積の中心線に沿う。したがって、ガイドワイヤがガイドワイヤドライバーによって回転すると、シース52内のガイドワイヤの部分およびシース52の遠位端58から延在するガイドワイヤの部分は、同様に、同じ方向に回転することになる。対照的に、ガイドワイヤがシースに対して或る角度で導入される従来のデバイスにおいて、ガイドワイヤは、導入ロケーションの外部で屈曲またはループすることになり、そこでのガイドワイヤの遠位端の制御可能な回転は不安定である。さらに、シースドライバー62に対するガイドワイヤドライバー64の相対的移動に関するローラーの適切な動作によって、シース52のフェルールがガイドワイヤドライバー64の側面フランジ90に物理的に留められると、シース52は、側面フランジ90とシースドライバー62のローラーとの間でしっかり保持されて、直線経路で延在し得る。さらに、シースドライバー62およびガイドワイヤドライバーのそれぞれのローラー70は、シース52またはガイドワイヤ54の前進/後退方向に沿って整列するデテントを内部に含んで、シース52およびガイドワイヤ54の相対的位置を両者のそれぞれのドライバー62、64内で保証し得る。これは、ガイドワイヤが、シース52近位端内に前進するまたは近位端に対して回転するときに、外方に屈曲またはループする可能性が低いことを保証する。シースドライバー62およびガイドワイヤドライバー64を互いに対して適切に整列させることによって、両者のそれぞれのドライバーを通るシースおよびガイドワイヤの経路は、平行かつ同一直線上になり得る。
【0017】
図7を参照すると、ロボティックコントローラの制御システム132が概略的に示される。制御システムは、プログラム可能メモリを含み、プログラム可能メモリは、制御プログラムを一時的にその内部に記憶するための少なくとも1つのランダムアクセスメモリ、システムの動作パラメータおよび制御プログラムがその中に永久的に記憶される読出し専用メモリ136、および、制御プログラムを使用してロボティックコントローラ50を動作させ制御するように構成されるプロセッサ138を含む。したがって、コントローラは、1次モーター122およびピンチローラー組み立て体68bのドライブシャフト72bを駆動するモーターに配線で接続されるまたは無線で接続されて、全て制御システム132の制御の下で、シース52およびガイドワイヤ54の選択的な前進および後退ならびにガイドワイヤ54の回転を可能する制御信号をそれらのモーターに提供する。これは、ガイドワイヤ54、シース52、ならびに、それらのガイドワイヤドライバー64およびシースドライバー62の種々の相対的運動を可能にする。
【0018】
患者管腔内でシース52の遠位端58を適切に位置決めするために、シース52は、ガイドワイヤ54がシース52に沿って延在する状態で、患者の切開部(incision)に最初に導入され、外科医が観察するためにX線撮像され(radiologically imaged)ながら、管腔に沿って前進させられる。これは、最初、手作業で行われる場合があり、その後、外科医は、管腔、ガイドワイヤ遠位先端56、およびシース遠位端58をX線で観察しながら、ジョイスティックまたは他のデバイスを作動させて、ガイドワイヤおよびシースの前進、後退、および回転を同時にまたは独立して制御すると共に、遠位先端56の屈曲配向を制御する。結果として、外科医は、ガイドワイヤ、したがって、シースを患者の身体内の所望のロケーションに方向付けることができる。
【0019】
ここで、
図1に示す配向と、例えば
図4Bに示す配向との間でガイドワイヤの遠位先端56の配向の移行を実施するために、ガイドワイヤは、屈曲可能端部分150を含む。
図8Aは、屈曲可能部分150の一実施形態の斜視図であり、直線モードにおける屈曲可能部分150を示す。屈曲可能部分150は、ポリマー電解質層211を含むイオン電気活性ポリマーアクチュエータ210を含み、ポリマー電解質層211は、ガイドワイヤ54の遠位端200に隣接して配設され、ポリマー電解質層211の周りの角度分布した複数の独立に通電可能な電極212内の中心に配設される。ポリマー電解質層211の外部表面213を共に囲む複数の電極212のそれぞれは、導電性ワイヤ152(
図9A、
図9B)の遠位端123に接続され、導電性ワイヤ152を通して、電気信号または電流を、接続された電極212に供給することができる。一実施形態において、角度分布した電極212は、ポリマー電解質層211の外部表面213の周りに等角度分布している。制限としてではなく例えば、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ210は、
図8Aの実施形態において、4つの角度分布した電極212を備え、4つの角度分布した電極212は、その中心線において、約90度(1.571ラジアン)だけ互いに分離する。複数の電極212のそれぞれが、ポリマー電解質層の表面に沿う外周スパンを占めること、および、「角度分離(angular separation)」が、したがって、隣接する電極の隣接するエッジにずっと近いことになる電極の隣接するエッジによる代わりに、電極の中心線217によって述べることができることが理解されるであろう。幾つかの実施形態において、電極は、隣接する電極の中間の絶縁チャネル216として実質的なギャップを提供するように離間される。電極212の1つまたは複数に対する電流/電圧の選択的な印加は、屈曲可能部分150を、
図8Aの屈曲可能部分150の配向と
図8Bの配向との間で移動させる。
【0020】
一実施形態において、ガイドワイヤ54の屈曲可能端部分150は、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ210として構成される。一実施形態において、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ210は、(電解質として)EMITFで含浸されるPVDF−HFPで作られたポリマー電解質層211を含む。代替的に、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ210の他の実施形態は、Aciplex(商標)(東京(日本)のAsahi Kasei Chemical Corp.から入手可能)、Flemion(登録商標)(米国ペンシツルベニア州エクストン(Exton,Pennsylvania,USA)のAGC Chemical Americas, Inc.から入手可能)、fumapem(登録商標)F−series(Fumatech BWT GmbH(ビーティッヒハイム・ビッシンゲン、ドイツ連邦共和国(Bietigheim−Bissingen,Federal Republic of Germany))から入手可能)、または、Nafion(登録商標)(米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware,USA)のChemours Companyから入手可能)などのペルフルオロイオノマの少なくとも1つを含むポリマー電解質層211を含むことができる。
【0021】
一実施形態において、電極212は、プラチナ、金、炭素系材料、またはその組み合わせ(例えば、複合体)のうちの1つを含むことができる。他の実施形態において、炭素材料は、例えば、カーバイド誘導炭素(CDC:carbide−derived carbon)、カーボンナノチュ−ブ(CNT:carbon nanotube)、グラフェン、カーバイド誘導炭素とポリマー電解質層211の複合体、および、カーボンナノチュ−ブとポリマー電解質層211の複合体を含むことができるが、それに限定されない。例示的な実施形態において、
図9に示すように、電極212は、2重層化され、炭素(CDCおよび/またはCNT)およびPVDF−HFP/EMITFの複合体層212aおよび複合体層212aを覆う金層212bを含む。電極212は、任意の適した技法を使用して、ポリマー電解質層211の外部表面213上に集積され得る。制限としてではないが例えば、金属電極212(例えば、プラチナまたは金電極)が、電気化学プロセスを使用して外部表面213上に堆積され得る。代替的に、2重層化電極212は、以下のステップによって外部表面213上で調製され集積され得る。以下のステップとは、外部表面213上に複合体層をスプレーし、複合体層上に金層をスプレーコーティングし、それに続いて、リフロープロセスを使用して両方の層を集積することである。リフロープロセスの詳細は、PCT出願第PCT/US17/16513号に論じられており、その出願は、参照によりその全体が本明細書に完全に組み込まれる。
【0022】
屈曲可能部分150は、以下でさらに詳細に説明するように、複数の電極212の1つまたは複数の選択的通電によって屈曲モードに選択的にかつ制御可能に変形され得る。
図8Bは、変形または屈曲モードにおける
図8Aの屈曲可能部分150の部分の等角図である。複数の電極212のそれぞれは、導電性ワイヤ152(
図9A)の遠位端220に接続され、導電性ワイヤ152を通して、電気信号が、ワイヤ152が接続される先の電極212に印加され、それにより、ポリマー電解質層211内の金属陽イオンを、印加される電気信号によって決定される方向に移動させることができる。印加される電気信号によって生じるこの陽イオン移動は、ポリマー電解質層211が、アノードに近接して配設されたポリマー電解質層211の部分で膨張し、残りの非膨張部分の方向に屈曲するまたは反るようにさせる。結果として、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ210のポリマー電解質層211の屈曲変形の大きさおよび方向は、通電する電極212を戦略的に選択することによって、また、導電性ワイヤ152を通してそれらの電極212に印加される電気信号を調整することによって制御され得る。
【0023】
代替的に、複数の電極212の1つまたは複数に対する1つまたは複数の電気信号の印加がない状態で、屈曲可能部分150が変形モードにあることが観測される場合、観測される偏向の大きさは、屈曲可能部分150に加えられる外力の大きさおよび方向を決定するために使用され得る、または代替的に、電極212に対する既知の電流の印加が、屈曲可能部分150の予想される変形を生じることができない場合、予想される変形と実際の変形(もしあれば)との差は、ガイドワイヤ52の屈曲可能部分150に加えられる外力の大きさの指標として使用され得る。
【0024】
図8Cは、
図8A及び
図8Bの屈曲可能部分150の断面図であり、2自由度(例えば、X軸方向および/またはY軸方向に沿う屈曲)を提供するために、第1の選択されたセットの4つの電気信号が、ポリマー電解質層211の外部表面213の周りに配設された、外周上に分布した4つの電極212に印加される、一実施形態を示す。
図8Cは、矢印3の方向への屈曲可能部分150の屈曲を与えるために複数の角度分布した電極212に印加することができる電気信号を示す。
図8Cの屈曲可能部分150の左および右側の電極212に対する正電荷(電位)の印加、さらに、
図8Cの上部の電極212に対する正電荷(電位)の印加、そしてさらに、
図8Cの底部の電極212に対する負電荷(電位)の印加が、
図8Cの上部の電極212に対して正電荷(電位)を印加し、負電荷(電位)を残りの電極212に与える結果として起こると思われるのと異なる量の変形をもたらすことができることが理解されるであろう。ユーザーが所望する変形を生じる複数の電気信号をユーザーが選択することができることが理解されるであろう。
【0025】
図8Dは、
図8A及び
図8Bの屈曲可能部分150の断面図であり、第2の選択されたセットの4つの電気信号が、ポリマー電解質層211の外部表面213の周りに配設された外周上に分布した電極212に印加される別の実施形態を明らかにする。
図8Dは、
図8Dの屈曲可能部分150の上部の電極212に対する、また同様に、
図8Dの屈曲可能部分150の右側の電極212に対する正電荷(電位)の印加を示し、
図8Dは、
図8Dの底部の電極212に対する、また同様に、
図8Dの左側の電極212に対する負電荷(電位)の印加をさらに示す。これらの電荷(電位)に起因するポリマー電解質層211の変形は、矢印4の方向である。
【0026】
個々の電極212のそれぞれに与えられる電荷の符号(+、−)および大きさの戦略的制御によって、屈曲可能部分150が、複数の方向に、また、いろいろな程度の変形または偏向を持って屈曲され得ることが
図8Cおよび
図8Dから理解されるであろう。
図8A〜
図8Dに示す実施形態は、4つの電極212を含む屈曲可能部分150を示すが、ガイドワイヤ54の屈曲可能部分150が4つより少ないまたは4つより多い電極212を含むことができ、そのような他の実施形態が、異なる偏向または変形の指向性能力を有し、したがって、或る程度の自由度(複数可)を提供することが理解されるであろう。
【0027】
導電性ワイヤ152は、任意の適した接続技法を使用して種々の構成で電極212と相互接続され得る。例えば、導電性ペーストまたはレーザー溶接が使用されて、導電性ワイヤ152および電極212を物理的にかつ電気的に接続し得る。
図9Aおよび
図9Bは、米国仮出願第62/612,233号に開示され、参照によりその全体が本明細書に完全に組み込まれる、導電性ワイヤ152および電極212の物理的かつ電気的接続の一実施形態を示すイオン電気活性ポリマーアクチュエータ210の断面を示す。ここで、導電性ワイヤ152は、導電性ペーストまたはレーザー溶接を使用して、イオン電気活性ポリマーアクチュエータ210の近位端202で電極212のそれぞれの少なくとも一部分と相互接続される(例えば、集積される(例えば、
図9A参照)または埋め込まれる(例えば、
図9B参照))。その後、ポリマースリーブ204が、身体管腔または通路内でのガイドワイヤ操縦性を促進するために設けられる。ポリマースリーブ204は、ガイドワイヤコア206、近位端202の一部分、および近位端202の一部分に接続される導電性ワイヤ152の上に載せられて、それらを共にしっかり留める。
【0028】
ガイドワイヤ54の近位端202は、コネクタ300(例えば、
図4A参照)にさらに結合され、コネクタ300は、電気コントローラ(図示せず)にさらに電気接続され得る。電気コントローラは、複数の電極212に対して、導電性ワイヤ152によって保持される電荷を選択的に制御し与えて、ガイドワイヤ54の屈曲可能部分150を操作し操向するように構成される。幾つかの実施形態において、電気コントローラは、マスターコントローラ(図示せず)からのユーザーの入力信号に応答して、電極に印加される電気信号の値を計算するプロセッサ(図示せず)を備えることができる。マスターコントローラは、例えば、電気コントローラを通して2自由度の屈曲を提供するために、屈曲可能部分150の電極212に対する屈曲制御信号をユーザーが入力することを可能にするためのジョイスティックを含むことができる。
【0029】
ここで、電気活性ポリマーおよび電極構造を使用したガイドワイヤ54の遠位先端56の局在化操作のための機構、ならびに、周囲シース52の遠位端58に対して遠位先端56を前進させる能力、ならびに、ガイドワイヤ54を回転させる、したがって、遠位先端56を円形経路で移動させる能力が設けられ、円形経路の半径は、ガイドワイヤ54の残りの部分に対して遠位先端56の運動を引き起こす電気活性ポリマーおよび電極の使用に起因する遠位先端56の屈曲に依存する。そのため、外科医による使用時、シースの遠位端58は、患者の身体管腔内など、患者内に最初に導入される。ここで、遠位端58に隣接するシース52の部分は1つまたは複数の放射性マーカーを含み、遠位端が、身体管腔内でX線で撮像されることを可能にする。その後、曲がりくねった不自由なアーキテクチャに遭遇するため、同様に放射線的にマーク付けされるガイドワイヤ54の遠位先端56は、ガイドワイヤドライバー64のモーター73を動作させて、ガイドワイヤドライバー64の少なくとも1つのローラー70を回転させ、シース52の遠位端58に対するガイドワイヤの前進を引き起こすことによって、シース52の遠位端58に対して前進させられ得る。ガイドワイヤ54が前進している間、外科医は、コントローラに接続されたジョイスティックまたは他のデバイスの操作によって、ガイドワイヤ54の前進を制御し、電極212の選択された電極にコントローラが電力供給する結果としての電極および電気活性ポリマーの動作によって引き起こされる屈曲方向および屈曲の量を制御し、また同様に、ガイドワイヤ54端の屈曲が達成されると、遠位先端を管腔の更なる部分または管腔の分岐に整列させるための弧に沿って移動させ、それに続いて、不自由部の更なる部分または分岐内への遠位先端56の前進が行われる。シース52は、その後、必要である場合、ガイドワイヤに沿って前進させられ、操作のシーケンスは、シースの遠位端が患者の身体内の所望のロケーションに位置決めされるまで反復され得る。
【0030】
シースの遠位端は、例えば、ステント、バルーン、または他の展開可能なデバイスを保持することができる。そのため、シースの遠位端が所望の管腔ロケーションまで前進すると、ステントまたはバルーンを展開することができ、シース52およびガイドワイヤ54を患者から取り除くことができる。
また、本発明は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
患者身体内で、シースおよびガイドワイヤを備えるカテーテルを位置決めするためのロボティックコントローラであって、
シースドライバーであって、シースドライバー内に延在するシース前進および後退経路に沿って、中空内部を有するシースを前進させ後退させるように構成される、シースドライバーと、
ガイドワイヤドライバーであって、ガイドワイヤドライバー内に延在するガイドワイヤ前進および後退経路に沿って、ガイドワイヤを前進させ後退させるように構成される、ガイドワイヤドライバーとを備え、
前記シース前進および後退経路ならびに前記ガイドワイヤ前進および後退経路のそれぞれは、前記それぞれのシースおよびローラードライバー内で複数の対のローラーの間に延在し、それぞれの前記経路は互いに平行である、ロボティックコントローラ。
(態様2)
前記シース前進および後退経路ならびに前記ガイドワイヤ前進および後退経路は、複数の対のローラーの間に延在し、同一直線上にある、態様1に記載のロボティックコントローラ。
(態様3)
前記シースドライバーはベースに接続され、前記ガイドワイヤドライバーは、前記ベース上で摺動可能に支持され、かつ、前記ベースに対してまた前記シースドライバーに対して可動である、態様1に記載のロボティックコントローラ。
(態様4)
前記ガイドワイヤドライバーは、シース取り付け部分をさらに備え、前記シース取り付け部分は、前記シースドライバーから延在するシースの近位端を前記シース取り付け部分に物理的に固定するためのものである、態様3に記載のロボティックコントローラ。
(態様5)
前記ベースに接続された1次モーターおよび前記ベースから延在する送りねじをさらに備え、前記ガイドワイヤドライバーは、前記送りねじにねじ込み式に接続される、態様3に記載のロボティックコントローラ。
(態様6)
前記ガイドワイヤドライバーはローラーハウジングおよびローラーハウジングフランジをさらに備え、前記ローラーハウジングは前記ローラーハウジングフランジから延在する、態様3に記載のロボティックコントローラ。
(態様7)
前記ガイドワイヤドライバーは、ベルトによって前記ローラーハウジングに接続された回転モーターをさらに備える、態様6に記載のロボティックコントローラ。