(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記代金受渡処理部は、前記提供者から前記来店情報が受領できないとき、前記予約情報に基づいて前記予約者がサービスの提供を予約した日時から所定期間経過後、所定の支払条件の下、前記支払い相当額に対応する量の前記第2のデジタル通貨を前記提供者の口座に送金する
請求項1〜3のいずれか一項に記載の予約システム用エスクロー決済システム。
前記代金受取処理部は、前記提供者端末から取得した前記来店情報に基づいて、前記提供者が前記予約者に提供したサービスの代金が前記第1の口座に前記入金が完了した前記第1のデジタル通貨の量よりも少ないと判断したとき、所定の返金条件の下、前記第1の口座に前記入金が完了した前記第1のデジタル通貨を前記予約者の口座に返金する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の予約システム用エスクロー決済システム。
前記口座管理部は、前記払い出したデジタル通貨に相当する額の全部又は一部を前記払い出したデジタル通貨とは相違する種類のデジタル通貨の口座である他の口座であって、前記他の口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が低い前記他の口座へ補充する
請求項6に記載の予約システム用エスクロー決済システム。
前記口座管理部は、前記補充が必要なデジタル通貨を、前記補充が必要なデジタル通貨とは相違する種類のデジタル通貨の口座である他の口座であって、前記他の口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が高い前記他の口座からの送金により補充する
請求項6又は7に記載の予約システム用エスクロー決済システム。
前記予約者が、前記予約者と、前記予約者とともにサービスを提供される参加者とが提供されるサービスの提供代金に相当する量の第1のデジタル通貨を第1の口座に入金したとき、
前記代金受取処理部は、
前記提供者端末から取得した前記来店情報に基づいて、前記予約者が前記第1の口座に入金が完了した提供代金のうち、前記参加者に提供されたサービスの提供代金の支払指示を前記参加者が操作する参加者端末に通知し、
前記参加者に提供されたサービスの提供代金に相当する額の第1のデジタル通貨を前記予約者の口座に入金する
請求項1〜8のいずれか一項に記載の予約システム用エスクロー決済システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、予約システムを用いたサービス提供の予約の普及に伴って、予約に関わるトラブルが増えている。具体的には、サービスの提供者側では、予約者が予約をしたにも関わらず店舗への連絡をせずに来店しない無断キャンセルや、予約日時の直前で予約内容が変更されるといったトラブルがあった。また、サービスの予約者側では、予約者が来店したにも関わらず予約したサービスが提供されないといったトラブルがあった。
【0006】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、サービスの予約におけるトラブルを抑制可能な予約システム用エスクロー決済システム、及び予約システム用エスクロー決済方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する予約システム用エスクロー決済システムは、サービスの予約においてエスクロー決済を可能とするエスクローサービスサーバを備える予約システム用エスクロー決済システムであって、前記エスクローサービスサーバが、提供されるサービスの予約が行われる予約サイトサーバから予約情報を受け取る予約情報取得部と、前記予約情報で支払に指定された種類と同じ種類である金銭的価値の流通を管理する第1の口座であって、前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第1の口座に前記予約情報で指定された予約者の口座から前記エスクローサービスサーバが前記予約情報を通知した前記予約者の支払指示による入金が完了したことを認知する代金受取処理部と、提供者からの前記予約者の来店情報の受領に応じて、前記予約者の口座から前記第1の口座に入金された金銭的価値のうちから支払い相当額に対応する量の金銭的価値を、前記エスクローサービスサーバの支払指示に応じて前記エスクローサービスサーバが残高を把握する第2の口座から前記提供者の口座に送金する代金受渡処理部とを備える。
【0008】
上記課題を解決する予約システム用エスクロー決済方法は、サービスの予約においてエスクロー決済を可能とするエスクローサービスサーバで行われる予約システム用エスクロー決済方法であって、提供されるサービスの予約が行われる予約サイトサーバから予約情報を受け取る予約情報取得工程と、前記予約情報で支払に指定された種類と同じ種類である金銭的価値の流通を管理する第1の口座であって、前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第1の口座に前記予約情報で指定された予約者の口座から前記エスクローサービスサーバが前記予約情報を通知した前記予約者の支払指示による入金が完了したことを認知する代金受取処理工程と、前記提供者からの前記予約者の来店情報の受領に応じて、前記予約者の口座から前記第1の口座に入金された金銭的価値のうちから支払い相当額に対応する量の金銭的価値を、前記エスクローサービスサーバの支払指示に応じて前記エスクローサービスサーバが残高を把握する第2の口座から前記提供者の口座に送金する代金受渡処理工程とを備える。
【0009】
上述した構成又は方法によれば、予約者が予約を申し込んだ時、サービスの提供代金をエスクロー決済システムによって決済することで予約手続きが完了し、予約者の来店情報に基づいて提供者にサービスの提供代金が送金されるため、サービスの予約における安全性が確保される。
【0010】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記第1の口座は、前記予約情報で支払に指定された種類と同じ種類である第1のデジタル通貨の流通を管理する第1のデジタル通貨サーバが貸している口座であり、前記第2の口座は、前記第1のデジタル通貨とは相違する種類として前記予約情報で提供者が受取に指定した種類である第2のデジタル通貨の流通を管理する第2のデジタル通貨サーバが貸している口座であり、前記代金受取処理部は、前記予約者の入金が完了したことを認知するとともに、前記入金が完了したことを提供者端末に通知し、前記代金受渡処理部は、前記提供者からの前記予約者の来店情報の受領に応じて、前記予約者の口座から前記第1の口座に入金された前記第1のデジタル通貨のうちから支払い相当額に対応する量の第2のデジタル通貨を、前記第2の口座から前記提供者の口座に送金するとともに、前記提供者に送金完了を通知してもよい。
【0011】
上述した構成によれば、提供者と予約者との間で相違する種類のデジタル通貨が決済に利用されたとしても、それら相違するデジタル通貨の間でエスクロー決済を行うことができる。これにより、エスクロー決済におけるデジタル通貨の利便性を高めることができる。
【0012】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記予約情報には、予約者情報と、提供者情報と、サービス情報とが含まれ、前記代金受取処理部は、前記予約者情報、前記提供者情報、及び前記サービス情報に基づいて、前記第1の口座へ送金する前記第1のデジタル通貨の量を前記予約者に通知するとともに、前記第1の口座に入金された前記第1のデジタル通貨の量が適正であるか否かを判定してもよい。
【0013】
上述した構成によれば、予約者端末に、送金に必要な情報が通知されることから予約者による適正な量のデジタル通貨の支払いが容易になる。また、入金されたデジタル通貨の量が適正であるかどうか判定されることから決済がスムーズになされるようになる。
【0014】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記予約サイトサーバから前記サービスのキャンセル情報を取得することが可能であり、前記代金受取処理部は、前記代金受取処理部から前記提供者端末に前記入金が完了した通知を行ってから所定期間経過後に前記予約サイトサーバから前記サービスのキャンセル情報が得られたとき、所定の返金条件の下、前記第1の口座に前記入金が完了した前記第1のデジタル通貨を前記予約者の口座に返金してもよい。
【0015】
上述した構成によれば、予約者が第1のデジタル通貨を支払った後であっても、予約者がキャンセル手続をした場合には所定の返金条件の下、予約者が予約をキャンセルしたときの返金処理がスムーズになされるようになることから、予約者が予約をキャンセルしたときの返金処理がスムーズになされるようになる。
【0016】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記代金受渡処理部は、前記提供者から前記来店情報が受領できないとき、前記予約情報に基づいて前記予約者がサービスの提供を予約した日時から所定期間経過後、所定の支払条件の下、前記支払い相当額に対応する量の前記第2のデジタル通貨を前記提供者の口座に送金してもよい。
【0017】
上述した構成によれば、予約者が予約した日時での来店を忘れたり、来店しなかったりするような場合であっても、提供者に支払い相当額に対応するデジタル通貨が支払われることから予約の安全性が確保される。
【0018】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記代金受取処理部は、前記提供者端末から取得した前記来店情報に基づいて、前記提供者が前記予約者に提供したサービスの代金が前記第1の口座に前記入金が完了した前記第1のデジタル通貨の量よりも少ないと判断したとき、所定の返金条件の下、前記第1の口座に前記入金が完了した前記第1のデジタル通貨を前記予約者の口座に返金してもよい。
【0019】
上述した構成によれば、支払ったデジタル通貨の価値と提供代金との差額がエスクローサービスサーバ1を介して予約者20に返金、または提供者30に送金されることから、予約の安全性が確保される。
【0020】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記第1の口座の残高及び前記第2の口座の残高を管理する口座管理部を備え、前記口座管理部は、前記第1の口座及び前記第2の口座のうちで残高が設定された上限値を上回った口座について当該口座からデジタル通貨の払い出しをすること、及び、残高が設定された下限値を下回った口座についてデジタル通貨を補充することの少なくとも一方の処理を行ってもよい。
【0021】
上述した構成によれば、第1の口座及び第2の口座の残高が払い出しや補充による調整を通じて設定された上限値と下限値との間に維持されるようになることから、第1の口座及び第2の口座に保持されている資金の量を適正な量に維持することができる。また、設定された上限値や下限値になることによって一定のまとまった額による払い出しや補充が行われることで払い出しや補充にかかる回数を減らすことができるとともに、手間や手数料を低く抑えられるようになる。
【0022】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記口座管理部は、前記払い出したデジタル通貨に相当する額の全部又は一部を前記払い出したデジタル通貨とは相違する種類のデジタル通貨の口座である他の口座であって、前記他の口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が低い前記他の口座へ補充してもよい。
【0023】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記口座管理部は、前記補充が必要なデジタル通貨を、前記補充が必要なデジタル通貨とは相違する種類のデジタル通貨の口座である他の口座であって、前記他の口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が高い前記他の口座からの送金により補充してもよい。
【0024】
上述した構成によれば、エスクローサービスサーバによって管理される複数の口座内において残高の高い口座から、残高の低い口座に資金が移動されることから外部に対する入出金を減らすことができるため資金管理の利便性が高い。
【0025】
上記予約システム用エスクロー決済システムにおいて、前記予約者が、前記予約者と、前記予約者とともにサービスを提供される参加者とが提供されるサービスの提供代金に相当する量の第1のデジタル通貨を第1の口座に入金したとき、前記代金受取処理部は、前記提供者端末から取得した前記来店情報に基づいて、前記予約者が前記第1の口座に入金が完了した提供代金のうち、前記参加者に提供されたサービスの提供代金の支払指示を前記参加者が操作する参加者端末に通知し、前記参加者に提供されたサービスの提供代金に相当する額の第1のデジタル通貨を前記予約者の口座に入金してもよい。
【0026】
上述した構成によれば、予約者を含めたサービスを提供される者が複数いる場合であっても、予約者と提供者との決済、及び予約者と参加者との間の支払代金の清算を円滑に進めることができる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、サービスの予約におけるトラブルを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本実施形態を
図1〜
図6に基づいて説明する。本実施形態においては、サービスの予約におけるエスクロー決済を可能にするエスクロー決済システム、及びエスクロー決済方法について説明する。
【0030】
図1を参照して、本実施形態におけるネットワークNを介しての接続について説明する。ネットワークNは、公衆通信回線でもよいし、専用通信回線でもよいし、それらの組み合わせによって構成された通信回線でもよい。ネットワークNには、エスクローサービスサーバ1、サービスを予約する予約者20が操作する予約者端末2、サービスを提供する提供者30が操作する提供者端末3、第1のデジタル通貨を管理する第1デジタル通貨サーバ4、第2のデジタル通貨を管理する第2デジタル通貨サーバ6、及び予約サイトサーバ10がそれぞれ相互通信可能に接続されている。
【0031】
ここで、デジタル通貨とは、デジタルデータによって表現された金銭的価値(以下、単に価値と記載する)をいう。デジタル通貨は、複数の種類が存在し、電子マネーや暗号資産を含む。
【0032】
電子マネーは、複数の種類が存在しており、それぞれの種類の電子マネーの使用方法は、種類毎に多少の相違がある(少なからず制約がある)。例えば、ある1つの電子マネーは、その電子マネーを取り扱うことができるように調整された所定の決済システムにおいて利用可能である。そのため、通常、ある1つの電子マネーは、それとは異なる他の電子マネーを取り扱うように調整された決済システムにおいて利用することができない。電子マネーサービスの例として、「LINE Pay」(登録商標)、「Yahoo!(登録商標)マネー」等がある。
【0033】
電子マネーの利用者は、円、ドル等の通貨を電子マネーに変換し、その変換した電子マネーを利用して商品やサービスを購入することが可能である。ここでいう商品は、実体のある物品や、データファイル、アプリケーションプログラム等のデジタルコンテンツを含んでもよい。
【0034】
電子マネーの単位は、通貨単位と異なる独自の単位であってもよいが、通貨と同じ単位であってもよい。また、企業が独自に発行するポイントプログラムであって、企業ポイントとも言われる企業通貨も電子マネーに含まれてもよい。また、電子マネーは、ICカードに情報を書き込みクレジットカードのように利用する形態(ICカード型)や、インターネット上でデータとして流通する形態(ネットワーク型)、プリペイドカード型を含んでもよい。このとき、電子マネーを保持している口座は、通常、電子マネーを発行した団体・企業等の管理下にあるが、その口座が、ICカードに配置されていたり、サーバに配置されていたり、携帯端末に配置されていたり、又は配置箇所がそれらの組み合わせから構成されていたりしてもよい。ここで、口座は、管理する団体・企業がユーザの有している電子マネーの量を記憶する電子的情報を含み、各ユーザに割り当てている電子マネーの量を増減可能なかたちで記憶する。
【0035】
第1のデジタル通貨及び第2のデジタル通貨は、相互に異なる種類のデジタル通貨である。第1のデジタル通貨の決済には第1のデジタル通貨に対応している決済システムが必要である。第2のデジタル通貨の決済には第2のデジタル通貨に対応している決済システムが必要である。
【0036】
エスクローサービスサーバ1、予約者端末2、提供者端末3、第1デジタル通貨サーバ4、第2デジタル通貨サーバ6、及び予約サイトサーバ10は、その全部又は一部がそれぞれ異なる団体、企業又は個人に所有されているとともに、管理されていてよい。
【0037】
こうした構成により、本実施形態では、例えば、予約サイトサーバ10で成立した予約者20による提供者30が提供するサービスの予約は、エスクローサービスサーバ1を介しての予約の手続、任意のデジタル通貨による代金の受け渡しにより実行される。
【0038】
図2を参照して、エスクローサービスサーバ1、予約者端末2、提供者端末3、第1デジタル通貨サーバ4、第2デジタル通貨サーバ6、及び予約サイトサーバ10について説明する。
【0039】
予約サイトサーバ10は、例えば、飲食店やホテル、クリニックなどにおけるサービス提供の予約を行う、パーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータである。予約されるサービスは、例えば、公共交通機関における座席の予約や、施設の利用予約であってもよい。予約サイトサーバ10において行われるサービス提供の予約は一般的で周知なものを想定し、説明を省略する。予約サイトサーバ10は、サイト中で行われる予約に利用される情報として、予約情報101を有している。予約情報101は、予約者情報102、提供者情報103、サービス情報104、及び予約ID番号を含んでいる。予約サイトサーバ10は、決済の方法の1つとしてエスクロー決済の選択に対応した処理を行うエスクロー決済部110を備えている。エスクロー決済部110は、決済の方法としてエスクロー決済が選択されたとき、エスクローサービスサーバ1に予約情報101を送信する。予約サイトサーバ10は、決済の方法として、エスクロー決済以外の方法を有していて、エスクロー決済以外の方法が選択されてもよい。
【0040】
予約者端末2は、サービスの予約者20が操作する、たとえば携帯電話やスマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ等のコンピュータである。予約者20は、予約者端末2を操作して予約サイトサーバ10にアクセスし、提供者30が提供しているサービスの確認と予約を行うことや、その他、予約サイトサーバ10における電子商取引に関する各種の操作を行うことができる。また、予約者20は予約者端末2を操作して、エスクローサービスに関する情報をエスクローサービスサーバ1との間でやりとりする。また、予約者20は予約者端末2の操作を通じて、予約者20に割り当てられている予約者口座5を操作したり、予約に利用することを希望している第1のデジタル通貨でサービスの予約代金を支払う。
【0041】
予約者端末2には、エスクローサービスアプリケーション(ESApp)9が設けられて(インストールされて)いる。ESApp9は、エスクローサービスサーバ1との間での情報の授受を容易にするアプリケーションである。ESApp9は、予約者20がエスクローサービスサーバ1に通知しなければならない情報を予約者20に入力させたり、予約者端末2から収集したりして生成して、エスクローサービスサーバ1に通知する。また、ESApp9は、予約者20が予約者端末2を利用して行った予約に関する情報を保持していてもよい。
【0042】
提供者端末3は、提供者30が操作する、たとえば携帯電話やスマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ等のコンピュータである。提供者30は、提供者端末3を操作して予約サイトサーバ10にアクセスし、予約者20からの注文を確認することや、その他、予約サイトサーバ10における電子商取引に関する各種の操作を行うことができる。また、提供者30は提供者端末3を操作して、エスクローサービスに関する情報をエスクローサービスサーバ1との間でやりとりする。また、提供者30は提供者端末3の操作を通じて、提供者30に割り当てられている提供者口座7を操作したり、予約に利用することを希望している第2のデジタル通貨でサービスの提供代金を受け取ったことを確認することができる。
【0043】
第1デジタル通貨サーバ4は、第1のデジタル通貨の流通を管理するサーバである。第1デジタル通貨サーバ4は、第1のデジタル通貨を取り扱える口座を維持管理するものであり、口座をユーザに貸し出している。第1デジタル通貨サーバ4は、貸し出し口座として、予約者20の名義であって、予約者20がデジタル通貨の出入りを管理する予約者口座5と、エスクローサービスサーバ1を管理する者の名義であって、エスクローサービスサーバ1が残高を把握する第1の口座41とを有している。
【0044】
第2デジタル通貨サーバ6は、第1のデジタル通貨とは種類が相違するデジタル通貨である第2のデジタル通貨の流通を管理するサーバである。第2デジタル通貨サーバ6は、第2のデジタル通貨を取り扱える口座を維持管理するものであり、口座をユーザに貸し出している。第2デジタル通貨サーバ6は、貸し出し口座として、提供者30の名義であって、提供者30がデジタル通貨の出入りを管理する提供者口座7と、エスクローサービスサーバ1を管理する者の名義であって、エスクローサービスサーバ1が残高を把握する第2の口座61とを有している。
【0045】
第1及び第2デジタル通貨サーバ4,6は、いずれもデジタル通貨サービスを行う、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータである。第1及び第2デジタル通貨サーバ4,6としてはそれぞれ種類の相違するデジタル通貨の流通を管理するが、周知で一般的なデジタル通貨サービスを可能とするものを想定している。すなわち、図示しないが、デジタル通貨サーバは、デジタル通貨の利用者間の取引情報を取得する取引情報取得手段や、デジタル通貨の購入や現金に戻す際(現金化)に金融機関システムとの決済を行う決済手段や、デジタル通貨の各種の取引や処理を実行する取引実行手段を備えて構成されている。そして、各利用者に紐付けられているデジタル通貨の量が口座に記憶されている。また、デジタル通貨サーバは、デジタル通貨の口座に格納されたデジタル通貨の履歴情報を検索する履歴情報検索手段や、検索された履歴情報を利用者の求めに応じて通知する履歴情報通知手段や、履歴情報を半永久的に保全する履歴情報保全手段等を備えて構成されていてもよい。
【0046】
エスクローサービスサーバ1は、エスクローサービスに関する処理を行う、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータである。エスクローサービスサーバ1は、予約サイトサーバ10から予約情報101を受信すると、予約ID番号のサービスに関して、予約者20の支払いと提供者30における予約に関する処理と、予約者20の来店と提供者30への代金送金とに関する処理とを行う。
【0047】
エスクローサービスサーバ1は、エスクロー決済部110から予約情報101を取得して予約情報保持部16に保持する予約情報取得部11と、予約者端末2との間で代金受取処理を行う代金受取処理部12とを備える。また、エスクローサービスサーバ1は、種類の違う第1のデジタル通貨の価値や、第2のデジタル通貨の価値を相互に換算したり、通貨に換算したりすることのできるデジタル通貨仲介部13を備える。また、エスクローサービスサーバ1は、送金条件が成立することに応じて第2の口座61から提供者口座7に第2のデジタル通貨を送金する代金受渡処理部14を備える。また、エスクローサービスサーバ1は、第1の口座41の残高及び第2の口座61の残高をそれぞれ管理する口座管理部15を備える。
【0048】
続いて、
図3〜
図6を参照して、本実施形態におけるエスクロー決済システムを利用した予約の一例について説明する。
図3は、予約の第1段階として、予約サイトサーバ10で予約者によって申し込まれた予約に対してエスクロー決済が選択され、予約情報を連携するまでを示すシーケンス図である。
【0049】
まず、提供者30が提供者端末3を操作して、予約サイトサーバ10に提供するサービスについての情報を掲載する(
図3のステップS31)。このとき、提供者30は、当該サービスの予約はエスクロー決済によってのみ予約が可能、又はエスクロー決済が選択可能である旨を併せて予約サイトサーバ10に登録する。これにより、予約サイトサーバ10で情報が掲載されたサービスを予約者20がエスクロー決済を選択して予約することが可能な状態になる。
【0050】
なお、提供者30は、予め提供者情報103を登録することで予約サイトサーバ10にサービスについての情報を掲載することが許可される。また、提供者30は、サービスについての情報を掲載するとき、掲載するサービスのそれぞれにサービス情報104を登録する。提供者情報103には、提供者が決済に利用する種類のデジタル通貨が「第2のデジタル通貨」であること、第2デジタル通貨サーバ6に「提供者口座7」を有していることが含まれている。すなわち、提供者30は、エスクローサービスサーバ1で決済可能な複数のデジタル通貨のうちから第2のデジタル通貨を決済用に選択している。また、提供者情報103には、提供者30の住所、氏名、会社名、電話番号、メールアドレス等が含まれている。サービス情報104には、サービスの種別、サービス名、名称、所要時間、サービスの提供を行う担当者等の情報が含まれている。また、予約情報101には、予約に関する情報として、予約した日時、予約した人数、予約価格等が含まれている。
【0051】
また、予約者20が予約者端末2を操作して、予約サイトサーバ10で提供されているサービスを予約するとともに、決済方法としてエスクロー決済を選択する(
図3のステップS32)。これにより、予約者20が、予約サイトサーバ10に掲載されたサービスの予約を決定して、予約に関する手続が進む状態になる。
【0052】
なお、予約者20は、予約者情報102を登録することで予約サイトサーバ10のサービスを予約することができる。予約者情報102には、予約者20が決済に利用する種類のデジタル通貨が「第1のデジタル通貨」であること、第1デジタル通貨サーバ4に「予約者口座5」を有していることが含まれている。すなわち、予約者20は、エスクローサービスサーバ1で決済可能な複数のデジタル通貨のうちから第1のデジタル通貨を決済用に選択している。また、予約者情報102には、予約者20の住所、氏名、会社名、電話番号、メールアドレス等が含まれている。
【0053】
予約者端末2による操作で、予約者20によるサービスの予約が申し込まれると、予約サイトサーバ10は、予約者情報102、提供者情報103、サービス情報104、及び予約ID番号とから予約情報101を作成する。そして、作成した予約情報101をエスクロー決済部110で予約情報として登録する処理を行う(
図3のステップS33)。エスクロー決済部110は、登録された予約情報101をエスクローサービスサーバ1に通知することで予約情報101の連携を行う(
図3のステップS34)。そして、エスクローサービスサーバ1は、通知された予約情報101を予約情報取得部11で取得し、取得した予約情報101に基づいてエスクローサービスを開始する(予約情報取得工程)。また、エスクローサービスサーバ1は、通知された予約情報101を予約情報取得部11で取得して、少なくともエスクローサービスによる予約が完了するまでの期間、予約情報保持部16に保持する。
【0054】
エスクローサービスを開始する際、エスクローサービスサーバ1は、提供者端末3にエスクロー手続開始の通知を行ってもよく(
図3のステップS35−1)、予約者端末2にエスクロー手続開始の通知を行ってもよい(
図3のステップS35−2)。エスクローサービスサーバ1から予約者端末2や提供者端末3への通知は、適宜利用可能な方法が選択される。利用可能な方法は、電子メールや、予約サイトサーバ10の通知機能や、第1デジタル通貨サーバ4や第2デジタル通貨サーバ6の通知機能等である。
【0055】
図4は、予約の第2段階として、予約者20が任意のデジタル通貨でサービスの提供代金を支払う際(代金受取処理工程)のシーケンス図である。
まず、エスクロー手続が開始されると、エスクローサービスサーバ1は、予約者端末2に支払の指示を電子メール等で通知する(
図4のステップS41)。支払の指示には、送金先の第1の口座41の番号や、第1の口座41へ送金する第1のデジタル通貨の量が含まれている。
【0056】
予約者端末2に支払指示が通知されると、予約者20が予約者端末2を操作して予約者口座5から第1の口座41への第1のデジタル通貨の支払操作を行う(
図4のステップS42)。これにより、予約者口座5から第1の口座41に第1のデジタル通貨が送金される(
図4のステップS43)。このとき、予約者口座5と第1の口座41とは同一の種類の第1のデジタル通貨の口座であることから、予約者口座5から第1の口座41への第1のデジタル通貨にかかる費用や手数料は、第1のデジタル通貨の利用の促進を図るためなどから、通常は、無料又は比較的低額である。また、予約者端末2には、予約者口座5から第1の口座41へのデジタル通貨の送金が完了したことを示す送金完了通知が第1デジタル通貨サーバ4の予約者口座5に対応する機能から通知される(ステップS431)。これにより、予約者20は、デジタル通貨の送金が完了したことを確認することができる。
【0057】
第1の口座41にデジタル通貨が入金されると、入金に関する情報を含む入金通知が第1の口座41からエスクローサービスサーバ1へ通知される(
図4のステップS44)。より詳細には、入金通知は、第1デジタル通貨サーバ4からエスクローサービスサーバ1の第1の口座41への入金情報の通知である。入金通知には、予約者20の情報と支払額の情報とが含まれているとともに、予約ID番号が含まれていてもよい。エスクローサービスサーバ1は、予約情報101と入金情報とを照合することに基づいて、予約者20の確認や、支払額の確認を行う(
図4のステップS45)。このとき、予約ID番号が含まれていれば、予約ID番号により予約情報101と入金情報とを照合してもよい。
【0058】
照合によって予約者20と支払額とが一致することが確認できた場合、エスクローサービスサーバ1は、予約されたサービスの提供代金が入金されたことを電子メール等で予約者端末2に通知する(
図4のステップS46)。この通知には、入金した第1のデジタル通貨の量や、送金先等が含まれていてもよい。これにより、予約者20は予約者端末2による操作によって、支払ができたことを確認することができる。
【0059】
一方、照合によって予約者20と支払額との少なくとも一方が不一致である場合、入金額など手続き内容に誤りがある場合に限り、予約者20が利用した第1デジタル通貨サーバ4を介して、予約者端末2に送金金額の訂正と、再送金の手続きを促す通知を行うようにしてもよい。さらに、予約者端末2に通知された手続に対応する送金金額の訂正と、再送金が行われないときや、再送金ができない問題があるとき、予約の中止を通知するようにしてもよい。
【0060】
図5は、予約の第3段階として、予約に関する手続きが完了し、手続きが完了したことを予約者20と提供者30とに通知するまでを示すシーケンス図である。
予約者20による支払が確認できると、エスクローサービスサーバ1は、予約サイトサーバ10に対して、予約者20からの入金が済んだことを示す入金完了通知を電子メール等で通知する(
図5のステップS51)。
【0061】
入金完了通知が通知されると、予約サイトサーバ10は、予約に関する手続きが完了したとして、提供者端末3宛てに予約者20による予約がなされたことを示す予約通知を通知する(
図5のステップS52)。また、予約サイトサーバ10は、予約者端末2宛てに提供者30が提供するサービスの予約手続きが完了したことを示す予約完了通知を通知する(
図5のステップS54)。
【0062】
予約者20は、提供者30のもとへ来店することで、サービスを提供される。提供者30は、提供者端末3を操作することで、来店情報を入力する(
図5のステップS54)。入力される来店情報は、予約者20が来店してサービスの提供を受けたことと、提供者30が提供したサービスの代金とを含む情報である。提供者30がサービスの提供を終了すると、提供者30によって提供者端末3が操作され、来店情報の入力処理が行われる。提供者端末3は、入力された来店情報をエスクローサービスサーバ1に来店情報として通知して、通知した来店情報を登録させる。
【0063】
図6は、予約の第4段階として、提供者30が任意のデジタル通貨サービスで代金の受取を行い、サービス提供の手続きが完了するまで(代金受渡処理工程)のシーケンス図である。
提供者30からの予約者20が来店してサービスを受けたことを示す来店情報が登録されると、エスクローサービスサーバ1は、予約者20から一時的に預かっていた(委託されていた)第1のデジタル通貨によるサービスの予約代金を、第2のデジタル通貨で提供者30に支払う指示を行う(
図6のステップS61)。このとき、エスクローサービスサーバ1は、代金受渡処理部14で支払い相当額に対応する量の第2のデジタル通貨を算出する。なお、支払い相当額は、サービスの提供価格であってもよいし、サービスの提供価格からエスクローサービスの利用料を減じた額であってもよいし、その他税金や立替金等を控除した額であってもよい。入金時にはサービスの提供価格に対応する量の第1のデジタル通貨が支払われていることから、算出された第2のデジタル通貨の量は、予約者20から第1の口座41に入金された第1のデジタル通貨のうちから支出可能である。
【0064】
支払指示に応じて、代金受渡処理部14は、第2の口座61から提供者30の提供者口座7へ支払い相当額に対応する量の第2のデジタル通貨を送金する(
図6のステップS62)。提供者口座7へデジタル通貨が入金されると、入金に関する情報を含む入金通知が提供者口座7から提供者端末3へ通知される(
図6のステップS63)。なお、詳しくは、入金通知としては、第2デジタル通貨サーバ6から提供者端末3へ提供者口座7の情報が通知される。また、代金受渡処理部14(エスクローサービスサーバ1)には、第2の口座61から提供者口座7へのデジタル通貨の送金が完了したことを示す送金完了通知が第2デジタル通貨サーバ6の第2の口座61に対応する機能から通知される(ステップS621)。これにより、エスクローサービスサーバ1は、デジタル通貨の送金が完了したことを確認する。
【0065】
提供者端末3は、入金通知に基づいてサービスの代金受取処理を行う(
図6のステップS64)。代金受取処理は、例えば、提供価格と入金額との照合処理等である。代金受取処理が済むと、提供者端末3は、エスクローサービスサーバ1に代金受取情報を通知する(
図6のステップS65)。
【0066】
第2デジタル通貨サーバ6からの送金完了通知や、提供者端末3からの代金受取情報の登録通知に基づいて、エスクローサービスサーバ1は、支払情報の登録処理を行う(
図6のステップS67)。そして、支払情報の登録処理では、エスクローサービスサーバ1は、予約情報保持部16に保持されている予約情報101について、予約の完了を登録し、その予約に関する処理を完了する。また、エスクローサービスサーバ1は、支払完了通知を電子メール等で予約者20に通知する(
図6のステップS68)。支払完了通知は、提供者30によって代金受取りが完了したことや、提供に係る手続きが完了したことを含んでいてもよい。
【0067】
なお、エスクローサービスサーバ1は、予約者20の予約者端末2の操作によって予約サイトサーバ10において予約のキャンセルが行われたとき、予約サイトサーバ10から送信されたキャンセル情報に基づいて、所定の返金条件の下、代金受取処理部12によって第1のデジタル通貨を予約者20に返金してもよい。キャンセル情報は、キャンセルされた予約に対応する予約ID番号や、キャンセルが行われた日時などが含まれる。なお、返金されるデジタル通貨の価値は、第1の口座41に入金が完了した第1のデジタル通貨と同じ量や価値であってもよいし、入金された量等から所定のキャンセル料が減じられてもよいし時間換算等が行われたものであってもよい。所定のキャンセル料が減じられたとき、代金受渡処理部14によって所定のキャンセル料に相当する量の第2のデジタル通貨が提供者口座7に送金されてもよいし、所定のキャンセル料から所定の手数料等が減じられてもよい。所定の返金条件は、キャンセルした日時から予約日時までの期間や、予約者20による許諾、提供者30による申立等のうちから必要なものを含んでよい。
【0068】
一方、エスクローサービスサーバ1は、予約情報101に記録された予約日時から所定時間経過しても予約者20が来店せず提供者30から来店情報を受領できないとき所定の送金条件の下、第2のデジタル通貨を提供者30に送金してもよい。なお、送金されるデジタル通貨の価値は、第1の口座に入金が完了した第1のデジタル通貨と同じ量や価値であってもよいし、入金された量等から所定の手数料当が減じられてもよいし時価換算等が行われたものであってもよい。所定時間は、数分から数時間、または数日単位で設定することができてよい。所定の送金条件は、予約サイトサーバ10から予約者端末2へ予約日時のリマインドを行った回数や、予約サイトサーバ10による状況確認の結果であったり、提供者30による申立や、強制支払の承諾等のうちから必要なものを含んでよい。
【0069】
一方、代金受取処理部12は、予約日時に予約者20が来店したにも関わらず、サービスの提供が行われなかったとき、または提供されたサービスが予約内容と異なっていたとき、所定の返金条件の下、第1のデジタル通貨を予約者20に返金してもよい。なお、返金されるデジタル通貨の価値は、第1の口座41に入金が完了した第1のデジタル通貨と同じ量や価値であってもよいし、入金された量等から所定の手数料等が減じられてもよいし、時価換算等が行われたものであってもよい。所定の返金条件は、予約サイトサーバ10による状況確認の結果や、提供者30の承諾等のうちから必要なものを含んでよい。
【0070】
また、代金受取処理部12は、提供者端末3から来店情報が入力された後、予約者20が実際に来店して提供されたサービスの提供代金が、予約者20が第1の口座に入金した第1のデジタル通貨の価値よりも低かったとき、所定の返金条件の下、サービスの提供代金と入金した第1のデジタル通貨の価値との差額として、第1のデジタル通貨を予約者20に返金してもよい。例えば、予約者20の人数が変更された場合や、提供されるサービスの内容が変更された場合、または割引クーポンなどが適用された場合に、予約者が入金した第1のデジタル通貨の価値に対して、実際に来店して提供されたサービスの提供代金が変わり得る。返金されるデジタル通貨の価値は、サービスの提供代金と入金した第1のデジタル通貨の価値との差額と同じ量や価値であってもよいし、差額から所定の手数料等が減じられてもよいし、時価換算等が行われたものであってもよい。所定の返金条件は、予約サイトサーバ10による状況確認の結果や、予約者20の承諾等のうちから必要なものを含んでよい。
【0071】
なお、予約者20が実際に来店して提供されたサービスの提供代金が、予約者20が第1の口座に入金した第1のデジタル通貨の価値よりも高かったときは、予約者20は提供者30の店舗等においてサービスの提供代金と入金した第1のデジタル通貨の価値との差額を支払う。予約者20が差額を支払う場合の決済手段は、複数種類のデジタル通貨に加えて、現金、クレジットカード、デビットカード、プリペイドカード等の少なくとも1つ以上を選択可能であってよい。
【0072】
また、予約者20が実際に来店して提供されたサービスの提供代金が、予約者20が第1の口座に入金した第1のデジタル通貨の価値よりも高かったとき、代金受渡処理部14は、提供者30が提供者端末3を通じて入力した来店情報に基づいて、差額に相当する量の第2のデジタル通貨を提供者30に送金してもよい。このとき、エスクローサービスサーバ1は、予約者20に差額に相当する量の第1のデジタル通貨の入金を求める通知を行う。エスクローサービスサーバ1が提供者30に第2のデジタル通貨を送金するタイミングは、予約者20が差額に相当する量の第1のデジタル通貨を入金した後でもよく、入金する前でもよい。
【0073】
(口座残高管理処理)
本実施形態では、エスクローサービスサーバ1は上述の口座管理部15を備えている。
口座管理部15は、第1の口座41の残高、及び、第2の口座61の残高を把握しながら管理し、調整する。例えば、口座管理部15は、第1の口座41には、第1の口座41に対応するデジタル通貨残高の上限値と下限値とを有しているとともに、第2の口座61には、第2の口座61に対応するデジタル通貨残高の上限値と下限値を有している。第1の口座41のデジタル通貨と、第2の口座61のデジタル通貨とは、その流通量の相違等から需要が相違することが考えられるので、需要に応じた上限値と下限値とがそれぞれ設定されることが好ましい。
【0074】
口座管理部15は、第1の口座41のデジタル通貨の残高が、設定された上限値と下限値との間にあるように調整する。例えば、口座管理部15は、第1の口座41の残高が、設定された上限値を上回った場合、当該口座からデジタル通貨を払い出すこと、及び、残高が下限値を下回った場合、当該口座にデジタル通貨を補充することの少なくとも一方の処理を行う。また、口座管理部15は、第1の口座41のデジタル通貨の残高の調整と同様に、第2の口座61のデジタル通貨の残高の調整を行う。
【0075】
口座の残高が上限値や下限値に到達したことに応じて、個々の予約で決済される金額よりも大きな金額を払い出したり、補充したりすることによりデジタル通貨の現金への換金や、購入の回数が減る。このため、デジタル通貨の換金や購入にかかる手間が減るとともに、換金や購入の際、金融機関やデジタル通貨管理団体等に支払う手数料の支出を減らすことができるようになる。
【0076】
なお、エスクローサービスサーバ1では、予約が終了すれば、第1の口座41の残高(価値)と、第2の口座61の残高(価値)との総計は、予約前と同じになる。つまり、エスクローサービスサーバ1では、各口座の総残高は変化しない。また、デジタル通貨の口座を3つ以上所有する場合、各口座の残高の比率が当初の比率から変動することはあるが、全口座の総残高(総価値)は変化しない。よって、各口座の残高の調整を各口座間で行うことができる。また、3つ以上の口座の扱えるデジタル通貨の種類が相違すれば、エスクローサービスサーバ1が仲介することのできるデジタル通貨の種類の組み合わせも増加するようになる。
【0077】
例えば、口座管理部15は、払い出しによって口座の残高の増加を抑える調整を行うとき、払い出したデジタル通貨の量に相当する価値の全部又は一部を、払い出したデジタル通貨とは相違する種類の他のデジタル通貨の口座に補充する。また、補充対象とする他のデジタル通貨の口座が複数あるとき、複数の他の口座のうち、当該口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が低い残高である口座を選択して、この選択した口座に対して補充するようにすることができる。これにより、口座の残高が過剰になるおそれが低減されるようになる。
【0078】
また、例えば、口座管理部15は、補充によって口座の残高の減少を抑える調整を行うとき、補充に必要なデジタル通貨を、補充が必要なデジタル通貨とは相違する種類のデジタル通貨の口座である他の口座から払い出して補充する。また、払い出し対象とする他のデジタル通貨の口座が複数有るとき、複数の他の口座のうち、当該口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が高い残高である他の口座を選択して、この口座から払い出したデジタル通貨の送金により、補充対象の口座の残高を補充する。これにより、口座の残高が不足するおそれが低減されるようになる。
【0079】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)予約者20が予約を申し込んだ時、サービスの提供代金をエスクロー決済システムによって決済することで予約手続きが完了するため、サービスの予約における安全性が確保される。
(2)提供者30と予約者20との間で相違する種類のデジタル通貨が決済に利用されたとしても、それら相違するデジタル通貨の間でエスクロー決済を行うことができる。これにより、エスクロー決済におけるデジタル通貨の利便性を高めることができる。
【0080】
(3)予約者端末2に、送金に必要な情報が通知されることから予約者20による適正な量のデジタル通貨の支払いが容易になる。また、入金されたデジタル通貨の量が適正であるかどうか判定されることから決済がスムーズになされるようになる。
【0081】
(4)予約者20が第1のデジタル通貨を支払った後であっても、予約者20がキャンセル手続をしたとき、所定の返金条件の下、予約者20の入金した種類のデジタル通貨が予約者20に返金されるようになることから予約者20が予約をキャンセルしたときの返金処理がスムーズになされるようになる。
【0082】
(5)予約者20が第1のデジタル通貨を支払った後であっても、提供者30が予約されたサービスを提供しないとき、所定の返金条件の下、予約者20の入金した種類のデジタル通貨が予約者に返金されるようになることから予約の安全性が確保される。
【0083】
(6)予約者20が予約した日時での来店を忘れたり、来店しなかったりするような場合であっても、提供者30に支払い相当額に対応するデジタル通貨が支払われることから予約の安全性が確保される。
【0084】
(7)第1の口座41及び第2の口座61の残高が払い出しや補充による調整を通じて設定された上限値と下限値との間に維持されるようになることから、第1の口座41及び第2の口座61に保持されている資金の量を適正な量に維持することができる。また、設定された上限値や下限値になることによって一定のまとまった額による払い出しや補充が行われることで払い出しや補充にかかる回数を減らすことができるとともに、手間や手数料を低く抑えられるようになる。
【0085】
(8)予約者20が第1のデジタル通貨を支払った後であっても、予約者が支払った第1のデジタル通貨の価値と実際に提供されたサービスの提供代金とが異なっていたとき、支払ったデジタル通貨の価値と提供代金との差額がエスクローサービスサーバ1を介して予約者20に返金、または提供者30に送金されることから、予約の安全性が確保される。
【0086】
(9)エスクローサービスサーバ1によって管理される複数の口座内において残高の高い口座から、残高の低い口座に資金が移動されることから外部に対する入出金を減らすことができるため資金管理の利便性が高い。
【0087】
また、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、予約者20と提供者30との間で価値をやり取りする場合について例示した。一方、予約者20によって行われた1つの予約において、予約者20とともにサービスを提供される参加者がいる場合、参加者の名義であって各参加者がデジタル通貨の出入りを管理する参加者口座と、エスクローサービスサーバ1を管理する者の名義であってエスクローサービスサーバ1が残高を把握する第3の口座とを有する第3デジタル通貨サーバが、ネットワークNに相互通信可能に接続されていてもよい。
【0088】
このとき、予約者20は、予約者20と参加者とに提供されるサービスの提供代金に相当する量の第1のデジタル通貨を第1の口座41に入金することで、予約に関する手続きを完了する。そして、予約者20と参加者とが来店し、提供者30によって来店情報が入力された後、エスクローサービスサーバ1は、代金受渡処理部14において第2の口座61から提供者口座7にサービスの提供代金を送金するとともに、代金受取処理部12から参加者が操作する参加者端末に、参加者が提供されたサービスの提供代金の支払の指示を通知する。そして、参加者が参加者端末を操作して参加者口座から第3の口座へデジタル通貨の支払操作を行ったとき、代金受取処理部12は、参加者が支払ったデジタル通貨に相当する量の第1のデジタル通貨を予約者口座5に入金する。予約者20が第1の口座41に第1のデジタル通貨を入金したときの入金情報と、参加者が第3の口座にデジタル通貨を入金したときの入金情報とはそれぞれ、エスクローサービスサーバ1において予約ID番号に対応付けて管理される。上述した構成によれば、予約者20を含めたサービスを提供される者が複数いる場合であっても、予約者20と提供者30との決済、及び予約者20と参加者との間の支払代金の清算を円滑に進めることができる。
【0089】
なお、このとき、第3のデジタル通貨サーバが流通を管理するデジタル通貨は、第1のデジタル通貨及び第2のデジタル通貨と相違していてもよく、同じであってもよい。また、参加者は1人でもよく、複数人であってもよい。代金受取処理部12は、提供者30によって入力された来店情報に基づいて参加者が提供されたサービスの提供代金に相当する第1のデジタル通貨を予約者20に入金してから、参加者端末に対して参加者が提供されたサービスの提供代金に相当する量のデジタル通貨の支払指示を通知してもよい。
【0090】
また、代金受取処理部12による参加者への支払の指示は、予約サイトサーバから送信された予約情報101に基づいて、予約者20が予約に関する手続きを完了させた後、予約者20と参加者とが来店する前に行ってもよい。
【0091】
さらに、代金受取処理部12は、予約に関する手続きが完了する前に参加者へ支払の指示を行ってもよい。例えば、代金受取処理部12は、予約者20がサービスの予約を申し込んだとき、予約サイトサーバ10から送信された予約情報101に基づいて、予約者20が予約したサービスの提供代金の支払指示を予約者20に対して通知するとともに、参加者に提供されるサービスの提供代金の支払指示を参加者に対して通知してもよい。参加者が支払指示を通知される金額は、予約サイトサーバ10から送信された予約情報101に基づいて算出された、サービスの提供代金の総額を予約者20と参加者との人数で割った金額であってもよく、また、予約者20によって任意に決められた金額であってもよい。参加者による支払が完了した時点で予約者20が負担した金額は、予約者20が提供されたサービスの提供代金と一致してもよく、異なってもよい。
【0092】
そして、代金受取処理部12は、予約者20が予約者20に提供されるサービスと参加者に提供されるサービスとの予約をまとめて申し込んだとき、予約者20によって予約されたサービスのうち、予約者20に提供される予定のサービスの提供代金の支払指示を予約者20に対して通知し、また、参加者に提供される予定のサービスの提供代金の支払指示を参加者に対して通知してもよい。この場合、予約者20による支払と参加者による支払とが全て確認できたとき、エスクローサービスサーバ1は予約サイトサーバ10に対して入金完了通知を通知し、予約サイトサーバ10において予約に関する手続きが完了してもよい。また、予約者20と参加者とのうちの一部から支払が確認できたときに予約に関する手続きが完了してもよい。
【0093】
・上記実施形態では、提供者30が提供するサービスを予約者20が予約する場合について例示した。しかしこれに限らず、エスクローサービスシステムは、商品を販売する販売者に対して、予約者が商品の購入を予約する場合においても適用することは出来る。
【0094】
・上記実施形態では、予約者20のエスクローサービスサーバ1とのやり取りをするためにESApp9を操作する場合について例示した。しかしこれに限らず、予約者20は予約者端末2にインストールされたウェブブラウザ等のアプリからエスクローサービスサーバにアクセスして、支払指示等の通知や、第1のデジタル通貨の支払処理などを行ってもよい。
【0095】
・上記実施形態では、提供者30が予約者20が来店したことの登録をするために提供者端末3を操作する場合について例示した。このとき、来店情報の登録は、提供者30がブラウザ等に表示される入力フォーム(インターフェース)に書き込むことで登録されてもよく、提供者端末3にインストールされたESAppを通じて登録されてもよい。
【0096】
・エスクローサービスサーバ1は、予約者端末2に通知する支払の指示を、電子メール等ではなく、ESApp9を介して行うようにしてもよい。また、このとき、支払う金額(デジタル通貨の量)については、予約者により設定できてもよいし、支払指示に含まれる金額が設定されていてもよい。金額が設定されていれば、入金額を間違えて設定し、提供価格と入金額との間に齟齬が生じるようなことを防止することができる。
【0097】
・エスクローサービスサーバ1は、提供者端末3に対する入金完了通知や出荷指示の通知を、電子メール等ではなく、ESApp9を介して行うようにしてもよい。
・エスクローサービスサーバ1は、予約者20への支払完了通知を、電子メール等ではなく、ESApp9を介して行うようにしてもよい。
【0098】
・エスクローサービスサーバ1は、口座管理部15が設けられていなくてもよい。
・口座の残高が上限値や下限値に到達していなくても、必要に応じて適宜、個々の予約で決済される金額よりも大きな金額を払い出したり、補充したりしてもよい。これにより、デジタル通貨の換金や購入の回数を減らすことができて、デジタル通貨の換金や購入にかかる手間が減るとともに、換金や購入の際、金融機関やデジタル通貨管理団体等に支払う手数料の支出を減らすことができる。
【0099】
・第1の口座41に入金を行う口座は、予約者20の名義と同じ名義である予約者口座5に限られない。第1の口座41に入金を行った者が予約者20であることが確認できれば、第1の口座41に入金を行う口座は、予約者20が所属する組織の名義であってもよく、予約者20の旧姓の名義であってもよく、予約者20の親族や友人などの他者の名義であってもよい。
【0100】
・予約者20によって第1の口座41に入金される第1のデジタル通貨の量は、サービスの提供代金に相当する量に限られない。エスクローサービスサーバ1は、予約者20によって予約したサービスの提供代金よりも少ない保証金の支払いを予約者20に要求し、予約者20が保証金に相当する量の第1のデジタル通貨を第1の口座41に入金することで予約に関する手続きを完了してもよい。予約者20が来店してサービスを受けたとき、予約者20は、実際に提供されたサービスの提供代金と、予め支払った保証金との差額を支払う。予約者20が予約サイトサーバ10にアクセスしてキャンセル手続きをした際、エスクローサービスサーバ1は、所定の返金条件の下、予約者20の予約者口座5に保証金を返金する。来店日時を過ぎても予約者20が来店しなかった場合、エスクローサービスサーバ1は、所定の送金条件の下、保証金を提供者30に送金する。
【0101】
・上記実施形態では、エスクローサービスサーバ1では、第1のデジタル通貨と、第1のデジタル通貨とは相違する種類である第2のデジタル通貨との2つの種類のデジタル通貨が支払や受け取りに使える場合について例示した。しかし、これに限らず、エスクローサービスサーバ1では、予約者20が支払に用いる第1のデジタル通貨と、提供者30が受取に用いる第2のデジタル通貨とが同じ種類のデジタル通貨であってもよい。
【0102】
・上記実施形態では、エスクローサービスサーバ1では、第1のデジタル通貨と第2のデジタル通貨との2つの種類のデジタル通貨が支払や受取に使える場合について例示した。しかし、これに限らず、エスクローサービスサーバでは、残高の把握可能な口座が増えて、支払や受取に使えるデジタル通貨の種類が増えてもよい。これにより、デジタル通貨の利便性が高められるようになる。
【0103】
なお、エスクローサービスサーバは、複数種類のデジタル通貨に加えて、1又は複数の法定通貨によって、予約者20による支払と、提供者30への送金とを行ってもよい。すなわち、エスクローサービスサーバは、予約情報に基づいて予約者20から金銭的価値を第1の口座41に入金され、来店情報に基づいて第2の口座61から提供者口座7へ金銭的価値を送金する構成であれば、上記(1)に準じた効果を得ることはできる。
【0104】
また、エスクローサービスサーバは、予約者口座5から第1の口座41へのお金の入金や、第2の口座61から提供者口座7へのお金の送金に限らず、1又は複数のクレジットカード、1又は複数のデビットカード、1又は複数のプリペイドカード等の少なくとも1つ以上の決済方法を選択可能であってもよい。
【0105】
さらに、予約者20が第1の口座41に入金する方法は1種類の決済方法に限らず、例えば、入金する金額の半分に相当する量の第1のデジタル通貨を入金し、第1のデジタル通貨と相違する種類のデジタル通貨であって、入金する金額のもう半分に相当する量のデジタル通貨をさらに入金してもよい。すなわち、予約者20は複数種類の決済方法を併用して入金してもよい。
【0106】
また、提供者30がサービスの提供代金を受け取る方法は、1種類の決済方法に限らず、例えば、受け取る金額の半分に相当する量の第2のデジタル通貨を受け取り、第2のデジタル通貨とは相違する種類のデジタル通貨であって、受け取る金額のもう半分に相当する量のデジタル通貨を受け取ってもよい。すなわち、提供者は複数種類の決済方法を併用して受け取ってもよい。
【解決手段】予約システム用エスクロー決済システムは、サービスの予約においてエスクロー決済を利用可能とするエスクローサービスサーバ1を備える。予約情報取得部11は予約サイトサーバ10から予約情報101を受け取る。代金受取処理部12は、予約者20による金銭的価値の第1の口座41への入金を認知したことに応じて、入金完了を予約サイトサーバ10に通知し、予約サイトサーバ10は予約手続きを完了させる。代金受渡処理部14は提供者30からの来店情報の受領に応じて、予約者20から第1の口座41に入金された金銭的価値のうちから支払い相当額に対応する量の金銭的価値を、第2の口座から提供者30に送金する。