【実施例】
【0017】
図1に示すように、使用状態の一例として本発明に係る粉粒混合気体生成器(以下、容器という。)20及び蓋40は、歯面清掃装置10に搭載されている。歯面清掃装置10は、水タンク11及び容器20を備える箱状の制御ユニット13と、この制御ユニット13から延びている第1チューブ14と、この第1チューブ14の先端に接続される歯石除去用ハンドピース15と、制御ユニット13から延びている第2チューブ16と、この第2チューブ16の先端に接続される歯面クリーニング用ハンドピース17とを有する。
【0018】
水タンク11から給水を受けつつ歯石除去用ハンドピース15を超音波振動させることで、歯から歯石を剥離し、水で除去する。また、歯面クリーニング用ハンドピース17は、容器20から気体に粉が混じっている混合気体の供給を受け、この混合気体を歯面へ噴出する役割を果たす。
【0019】
容器20は、箱状のケース21と、このケース21を支持するケース基台22とを備えている。容器20は樹脂製であり、そのうちケース21及び容器本体23(
図2参照)は透明である。なお、ケース21を有色の樹脂製とした場合は、ケース21の正面に透明な点検窓20aを設け、この点検窓20aを通して粉の残量を確認することができる。また、実施例では、容器20を樹脂製としたが、これに限定されず、金属製としても差し支えない。
【0020】
以下、容器20の詳細を説明する。
図2に示すように、容器20は、底が半球殻である容器本体23と、この容器本体23から延びる筒状口部24と、この筒状口部24から外方に延びる容器肩部25と、容器本体23に取付けられる気体噴出部26及び混合気体排出部27とを備えている。筒状口部24の外周面には雄ねじ28が形成され、この雄ねじ28に、筒状口部24の上部開口を塞ぐ蓋40がねじ結合されている。
【0021】
蓋40は、筒状口部24の雄ねじ28にねじ結合する雌ねじ(ねじ部)43を有する外
蓋41と、この外蓋41に回転可能に且つ所定範囲外で上下動不能に取り付けられ筒状口部24の内周面29で潰されるシール材(以下、Oリングという場合もある。)71を有する内蓋61を備えている。なお、実施例では、シール材71をOリングとしたが、これに限定されず、容器20と蓋40との間をシールできれば他の一般的な弾性部材であってもよい。
【0022】
外蓋41は、内側に配置された金属製の第1外蓋42と、この第1外蓋42外側に配置された樹脂製の第2外蓋52とを備える。第1外蓋42に対して内蓋61を滑らかに回転させることができる。さらに、第2外蓋52を樹脂製とすることで、外観形状を容易に形成でき、外観性を向上させるとともに、蓋40全体の部品コストを低減することができる。
【0023】
外蓋41を捩ることで、第1外蓋42に設けた雌ねじ43に雄ねじ28をねじ込むことができる。ねじ込む場合と逆に捻る(回す)と、雌ねじ43から雄ねじ28を緩めることができる。蓋40を閉じる際に外蓋41を最後まで捻っても、筒状口部24の上端33は、外蓋41にも内蓋61にも当接しない。このため、蓋40を最後まで閉じても、筒状口部24の上端33に蓋40から下方向への力を受けることがない。結果、蓋40を閉じる際、筒状口部24の上端33に摩擦力は発生しない。同様に、蓋40を開く際も、筒状口部24の上端に摩擦力は発生しない。
【0024】
なお、実施例では、蓋40を最後まで閉じた際、外蓋41の下端44が容器肩部25に当接しないが、これに限定されず、外蓋41の下端44が容器肩部25に接触しても差し支えない。
【0025】
容器本体23は、内面が半球面28である半球殻部31と、この半球殻部31から上へ延びる円筒部32とを備えている。半球殻部31と円筒部32は、連続した一体物である。
【0026】
容器20は、歯面清掃用パウダー(以下、粉という。)を貯留する空間を有するチャンバー34(チャンバー34は、実施例では容器本体23と蓋40で構成される。)を有する。気体噴出部26から気体を噴出することによって、チャンバー34の内部を周回する循環流を形成し、粉と気体とが混合され混合気体が生成される。この混合気体の一部が、混合気体排出部27から外部へ排出される。容器本体23と蓋40との間は、シール材71によってシールされているので、粉がシール材71よりも外側に漏れることはない。
【0027】
図3に示すように、蓋40は、外蓋41と、この外蓋41の内側に組み付けられる内蓋61とを備える。詳細には、第2外蓋52の支持部53に第1外蓋42の取付部45が締結部材54で締結され、第1外蓋42の内側に内蓋61が組み付けられ、内蓋42の外周にOリング71が組み付けられ、第1外蓋42の内側に内蓋61を第1外蓋42に支持するリング部材72が組み付けられる。
【0028】
第1外蓋42には、切り欠き43aが形成されている。蓋40を容器20(
図2参照)にねじ結合する際、切り欠き43aによって、蓋40の雌ねじ43が容器20の雄ねじ28に噛み合う位置が定まり、蓋40を最後まで閉じた際の位置も定まる。
【0029】
第2外蓋の横方向の4つの側面55a、55b、55c、55dの内、1つは基準位置の側面55aであり、他の3つの側面55b、55c、55dよりも平面部分の面積が大きい。この基準位置の側面55aは、蓋40を最後まで閉じることで、ケース21(
図1参照)の基準位置のケース面21aと一致する。基準位置のケース面21aは、他の3つのケース面よりも平面部分の面積が大きい。このように、基準位置の側面55aによって
、蓋40が最後まで閉じていることを容易に確認することができる。
【0030】
図2、
図4、
図5に示すように、内蓋61は、筒状口部24の開口を塞ぐ蓋板62と、この蓋板62の外周から外方に延びるフランジ部63と、蓋板62から筒状口部24の内周面29に沿って延びる内突出部64と、この内突出部64の外周に形成されたOリング71が嵌る環状溝65とを備える。
【0031】
第1外蓋42は、雌ねじ43が形成される筒状の外筒部46と、この外筒部46の上端から中心へ向かって延びフランジ部63の上方への移動を規制する上部規制部47と、この上部規制部47の下方で外筒部46の内側に設けられフランジ部63の下方への移動を規制するリング部材72とを備えている。上部規制部47の内側には開口部48が形成されている。開口部48によって、金属製の第1外蓋42を軽量にすることができる。
【0032】
図6に示すように、外筒部46の内周には、リング部材72を保持するための保持溝部49が形成されている。この保持溝部49にリング部材72の爪73が嵌合することで、リング部材72は第1外蓋42に対する上下方向の移動が規制される。
【0033】
内蓋61は、外蓋41に対して横方向及び上下方向に若干移動可能に設けられている。外筒部46の内周とフランジ部63の外周の間には横方向の隙間66が形成されている。横方向の隙間66により、内蓋61は外蓋41に対して横方向に相対移動可能であるため、蓋40を筒状口部24にねじ込む際、内蓋61が筒状口部24の内周面29側に容易に案内できる。また、横方向の隙間66により、内蓋61は外蓋41に対して滑らかに回動できる。また、横方向の隙間66により、内蓋61の中心と外蓋41の回転軸線との位置関係に依存することなく蓋40の開閉を適切に行うことができる。
【0034】
自然な状態において、上部規制部47の下面とフランジ部63の上面の間には上下方向の隙間67が形成されている。この上下方向の隙間67は、内蓋61が外蓋41の上部規制部47側に移動した際、フランジ部63の下面とリング部材72の上面の間に移動する(形成される)。このため、内蓋61は外蓋41に回動可能に且つ所定範囲外で上下動不能に取り付けられている。換言すると、内蓋61は外蓋41に所定範囲内で上下移動可能に取り付けられている。
【0035】
以上に述べた容器20用の蓋40の作用について次に説明する。
図7(a)は蓋40を閉める状態を示す。蓋40を閉じ方向に回すと、内蓋61が筒状口部24の内周面29に沿って下降し、Oリング71が筒状口部24の上端33内側に接触する。さらに蓋40を閉じ方向に回すと、内蓋61は回らないで外蓋41だけが回り始める。外蓋41が回ることで、外蓋41は筒状口部24に対して矢印(1)のように下降する。内蓋61は回転しないが矢印(2)のように外蓋41に対して相対的に上昇し、外蓋61に押し下げられる。詳細には、内蓋61は、筒状口部24に対して、下降を一旦停止した後、再度下降する。
【0036】
このときにOリング71に上昇方向での摩擦力が発生する。この摩擦力は、従来技術の(上昇方向の摩擦力成分+回転方向での摩擦力成分)よりも小さい。よって、蓋40の閉トルクを軽減させ、蓋40を容易に閉じることができる。
【0037】
図7(b)は蓋40の全閉状態を示す。この状態から蓋40を開き方向に回すと、内蓋61は回らないで外蓋41だけが回り始める。外蓋41が回ることで外蓋41は筒状口部24に対して矢印(3)のように上昇する。内蓋61は回転せずに、上下方向の隙間67があるため外蓋41に対して矢印(4)のように相対移動する。
【0038】
仮に、蓋40の全閉状態において、外蓋41の内側を筒状口部24の上端33に押しつけることでシールすると、上端33には下方向の力が発生するので、蓋40を開ける際の静摩擦力が大きくなり、筒状口部24の上端33からも回転方向の摩擦力が発生する。
【0039】
この点、本発明では、上下方向の隙間67によって、内蓋61を外蓋41に対して所定範囲内で上下移動可能としたので、筒状口部24の上端33で静摩擦力を受けることがなく、筒状口部24の上端33から回転方向の摩擦力が発生しない。結果、蓋40を全閉状態から開ける際の回転方向での摩擦力がなく、容易に蓋40を開き始めることができる。
【0040】
図7(c)は蓋40を開ける状態を示す。さらに外蓋41が回ることで外蓋41は筒状口部24に対して矢印(5)のように上昇する。内蓋61は回転しないが、外蓋41のリング部材72で持ち上げられる。
【0041】
このときにOリング71に下降方向での摩擦力が発生する。この摩擦力は、従来技術の(下降方向の摩擦力成分+回転方向での摩擦力成分)よりも小さい。よって、蓋40の閉トルクを軽減させ、蓋40を容易に開けることができる。
【0042】
尚、本発明の容器用の蓋40は、歯面清掃装置10の容器20に好適であるが、歯面清掃装置10の容器20以外の、一般的な密閉容器に供することは差し支えない。
また、本発明では、シール材71を蓋40に設けたが、これに限定されず、シール材71を容器20に設けても差し支えない。
【0043】
上述してきた本願発明の容器用の蓋40について、異なる観点からの説明を以下に記載する。上述してきたように、本願発明の容器用蓋40は、内容物を収容する容器20の筒状口部24を閉じる内蓋61と、その内蓋61による筒状口部24の開閉を支援する外蓋41とを備えている。容器20の筒状口部24は内部側面を有する円筒状であり、内蓋61は、その内部側面に対向する蓋板側面を含んでいる。また、内蓋61は、筒状口部24の内部側面に接するシール材71を備えている。そのシール材71は、内蓋61の蓋板側面に配置されている。
内蓋61は、容器20の筒状口部24が鉛直上方に開口されているとき、その容器20を基準に下降と上昇とを行なう。外蓋41は、内蓋61を筒状口部24に対して下降させる第1平面47aを備えている。また、外蓋41は、内蓋61を筒状口部24に対して上昇させる第2平面72aを備えている。
本願発明においては、第1平面47aと内蓋61との摩擦係数は、壁側面とシール材71との摩擦係数よりも低く、また、第2平面72aと内蓋61との摩擦係数も、壁側面とシール材71との摩擦係数よりも低い。これによって、蓋を開閉する際のユーザの負担を軽減することができる。
【0044】
より具体的に説明するならば、外蓋41は、筒状口部24の外側の壁(以下、開口外周と記載する。)に対向する外蓋側の内部側面を備えている。開口外周には、容器側螺子(雄ねじ)28が設けられている。また、外蓋側の内部側面は、その容器側螺子28に対応する蓋側螺子(雌ねじ)43を備えている。外蓋41は、容器側螺子28と蓋側螺子43との案内に従って回転する。このとき、シール材71は、筒状口部24は内部側面との摩擦に基づいて内蓋61の回転を抑制する。そして、第1平面47aまたは第2平面72aは、外蓋41と内蓋61との摺動を許容する。これによって、回転方向と逆向きの摩擦力による負荷が緩和され、蓋40を開閉する際のユーザの負担が軽減する。
【0045】
また、外蓋41は、筒状の外筒部46と、上部規制部47と、リング部材72とを備えている。上部規制部47は、外筒部46の内側に配置され、内蓋61と接する第1平面47aを含んでいる。リング部材72は、上部規制部47とは別体に外筒部46の内側に構
成されている。そのリング部材72は、内蓋61と接する第2平面72aを含んでいる。
内蓋61は、上部規制部47とリング部材72との間に挟まれるフランジ部63を備えている。このフランジ部63の厚さは、上部規制部47とリング部材72との距離よりも小さい。
【0046】
内蓋61の蓋側側面は、シール材71を保持可能な内突出部64として構成されている。その内突出部64は、フランジ部63から連続的に設けられている。筒状口部24を構成する壁は内径を有する円筒状である。環状のシール材71の外径は、筒状口部24の内径よりも大きい。
【0047】
また、内蓋61のフランジ部63の直径(以下、鍔状部分外径と記載する。)は、外蓋41の外筒部46の最小内径よりも小さく、内蓋61の径方向の移動を許容する。さらに、上部規制部47は第1の内径を有し、同様に、リング部材72は第2の内径を有している。このとき、鍔状部分外径は、第1の内径または第2の内径よりも大きい。また、当然に、内蓋61の内突出部64の直径は、第1の内径または第2の内径よりも小さい。
【0048】
なお、上述の実施形態では、内蓋61がフランジ部63を備える構成を例示して本発明の説明を行なってきたが。本発明はこのような構成に制限されることはない。例えば、外蓋41の外筒部46の内側にフランジ部63に対応する環状部分を配置する構成であっても良い。この場合、その環状部分が第1平面47aと第2平面72aとを含むことになる。また、内蓋61は、上部規制部47とリング部材72に対応するような溝状部分を備えることとなる。