特許第6827139号(P6827139)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6827139データセンターの電子装置に電力を提供すること
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827139
(24)【登録日】2021年1月20日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】データセンターの電子装置に電力を提供すること
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20210128BHJP
   H02J 9/06 20060101ALI20210128BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20210128BHJP
   G06F 1/18 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   H02J1/00 304A
   H02J1/00 309C
   H02J9/06
   G06F1/16 311A
   G06F1/18 D
   G06F1/16 313
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2020-81338(P2020-81338)
(22)【出願日】2020年5月1日
(62)【分割の表示】特願2019-528876(P2019-528876)の分割
【原出願日】2017年12月29日
(65)【公開番号】特開2020-124109(P2020-124109A)
(43)【公開日】2020年8月13日
【審査請求日】2020年5月19日
(31)【優先権主張番号】15/395,323
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/395,756
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/395,361
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サカルカー,バルン
(72)【発明者】
【氏名】サストリー,ジョーティ
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,エデュアルド
(72)【発明者】
【氏名】マローン,クリストファー・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】カム,パスカル
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/200463(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0320779(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/00
G06F1/16−1/20
H02J1/00−1/16
H02J9/00−11/00
H05K7/02−7/10
H05K7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部ボリュームを規定するエンクロージャと、
前記内部ボリュームに取り付けられ、前記エンクロージャから外部に延在して主電力供給源と電気的に連結する第1の直流電力バスと、
前記内部ボリュームに取り付けられ、前記エンクロージャから外部に延在して前記主電力供給源に電気的に連結する第2の直流電力バスと、
前記内部ボリュームに取り付けられた複数の切替スイッチとを備え、各切替スイッチは前記第1の直流電力バスまたは前記第2の直流電力バスの一方に電気的に連結されており、
複数の直流電力導体を備え、各直流電力導体は、前記第1の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチおよび前記第2の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチを含む一対の切替スイッチに電気的に連結されており、各直流電力導体は、複数の電子装置を支持するデータセンターラックの各々に電気的に連結するように構成されており、
前記第1および第2の直流電力バスは、前記第1または第2の直流電力バスの一方をメンテナンスを行うために前記主電力供給源から電気的に連結解除され、メンテナンスを行うことと同時に、前記第1または第2の複数の切替スイッチのそれぞれを通して前記第1または第2の直流電力バスの他方から前記直流電力導体に直流電力を提供するように、構成されている、データセンター電力システム。
【請求項2】
前記複数の切替スイッチの少なくとも一部は、自動切替スイッチを含む、請求項1に記載のデータセンター電力システム。
【請求項3】
前記複数の切替スイッチの少なくとも一部は、ヒューズの付いた接触子を含む、請求項1に記載のデータセンター電力システム。
【請求項4】
前記主電力供給源は、電力変換装置を通して、前記第1および第2の直流電力バスに電気的に連結されている、請求項1〜3のいずれかに記載のデータセンター電力システム。
【請求項5】
前記主電力供給源は、電力系統電源または予備電源の少なくとも一方を含む、請求項4に記載のデータセンター電力システム。
【請求項6】
前記予備電源は、発電機電源または再生可能電源の少なくとも一方を含む、請求項5に記載のデータセンター電力システム。
【請求項7】
前記第1の直流電力バスと前記第2の直流電力バスとは前記エンクロージャの中において分離されている、請求項1〜6のいずれかに記載のデータセンター電力システム。
【請求項8】
複数のデータセンターラックに直流電力を送電する方法であって、
主電力供給源から、エンクロージャの内部ボリュームに取り付けられた第1の直流電力バスに、直流電力をするステップと、
前記主電力供給源から、前記エンクロージャの前記内部ボリュームに取り付けられた第2の直流電力バスに、直流電力を提供するステップと、
前記第1の直流電力バスから、前記内部ボリュームに取り付けられた第1の複数の切替スイッチに、前記直流電力を送るステップと、
前記第2の直流電力バスから、前記内部ボリュームに取り付けられて前記第1の複数の切替スイッチを含まない第2の複数の切替スイッチに、前記直流電力を送るステップと、
(i)前記第1の複数の切替スイッチのうちの1つからの直流電力、または(ii)前記第2の複数の切替スイッチのうちの1つからの直流電力を、複数の電子装置を支持するデータセンターラックの各々に電気的に連結された直流電力導体の各々に供給するステップと、
前記供給された直流電力を用いて前記複数の電子装置に電力を提供するステップと、
前記第1または第2の直流電力バスの一方を前記主電力供給源から電気的に連結解除するステップと、
前記第1または第2の直流電力バスの前記一方のメンテナンスを行うステップと、
メンテナンスを行うことと同時に、前記第1または第2の複数の切替スイッチのそれぞれを通して、前記第1または第2の直流電力バスの他方から前記直流電力導体に前記直流電力を送るステップとを含む、方法。
【請求項9】
前記複数の切替スイッチの各々は、自動切替スイッチを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の切替スイッチの各々は、ヒューズの付いた接触子を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記主電力供給源は、交流電力を含み、前記方法は、前記第1の直流電力バスおよび前記第2の直流電力バスに前記直流電力を提供する前に前記交流電力を前記直流電力に変換するステップをさらに含む、請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記主電力供給源は、電力系統電源または予備電源の少なくとも一方を含む、請求項8〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の直流電力バスを、電力変換装置を通して、前記電力系統電源および前記予備電源に電気的に連結するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記電力系統電源からの主電力の喪失を検出するステップと、
前記検出された喪失に基づいて、前記電力系統電源から前記第1および第2の直流電力バスに直流電力を提供することから、前記予備電源から前記第1および第2の直流電力バスに直流電力を提供することに切り替えるステップとをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第1の直流配電盤モジュールを備え、前記第1の直流配電盤モジュールは、
エンクロージャと、
前記エンクロージャの中に取り付けられ、前記エンクロージャから外部に延在して主電力供給源と電気的に連結する第1の直流電力バスと、
前記エンクロージャの中に取り付けられ、前記エンクロージャから外部に延在して前記主電力供給源に電気的に連結する第2の直流電力バスと、
前記エンクロージャの中に取り付けられた複数の切替スイッチとを備え、各切替スイッチは、前記第1の直流電力バスまたは前記第2の直流電力バスの一方に電気的に連結されており、
複数の直流電力導体を備え、各直流電力導体は、前記第1の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチおよび前記第2の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチを含む一対の切替スイッチに電気的に連結されており、
複数の電子装置を含む第1の複数のラックを備え、前記第1の複数のラックの少なくとも一部の各々は、前記第1の直流配電盤モジュールの特定の直流電力導体に電気的に連結されており、
前記第1および第2の直流電力バスは、前記第1または第2の直流電力バスの一方をメンテナンスを行うために前記主電力供給源から電気的に連結解除され、メンテナンスを行うことと同時に、前記第1または第2の複数の切替スイッチのそれぞれを通して前記第1または第2の直流電力バスの他方から前記直流電力導体に直流電力を提供するように、構成されている、データセンター電力システム。
【請求項16】
第2の直流配電盤モジュールをさらに備え、前記第2の直流配電盤モジュールは、
エンクロージャと、
前記エンクロージャの中に取り付けられ、前記エンクロージャから外部に延在して主電力供給源と電気的に連結する第1の直流電力バスと、
前記エンクロージャの中に取り付けられ、前記エンクロージャから外部に延在して前記主電力供給源に電気的に連結する第2の直流電力バスと、
前記エンクロージャの中に取り付けられた複数の切替スイッチとを含み、各切替スイッチは、前記第1の直流電力バスまたは前記第2の直流電力バスの一方に電気的に連結されており、
複数の直流電力導体を含み、各直流電力導体は、前記第1の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチおよび前記第2の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチを含む一対の切替スイッチに電気的に連結されており、
複数の電子装置を含む第2の複数のラックを含み、前記第2の複数のラックの少なくとも一部の各々は、前記第2の直流配電盤モジュールの特定の直流電力導体に電気的に連結されている、請求項15に記載のデータセンター電力システム。
【請求項17】
前記第2の複数のラックの別の一部の各々は、前記第1の直流配電盤モジュールの特定の直流電力導体に電気的に連結されており、前記第1の複数のラックの別の一部の各々は、前記第2の直流配電盤モジュールの特定の直流電力導体に電気的に連結されている、請求項16に記載のデータセンター電力システム。
【請求項18】
前記第2の複数のラックの前記一部および前記第2の複数のラックの前記別の一部は、前記データセンターの複数のラック列のうちの別々の列に配置されている、請求項17に記載のデータセンター電力システム。
【請求項19】
前記第1および第2の複数のラックの前記一部は、前記複数のラック列のうちの1つの特定の列に配置されている、請求項17に記載のデータセンター電力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、データセンターにおける、サーバー、ネットワーク機器、およびその他の電子装置など、電子装置に電力を供給するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
データセンターを稼働させるための計画、建設、および配備には、通常、市場に投入するまでの長い時間的要素が含まれる。商用データセンターを市場に投入するまでにかかる時間(time to market)を短くすることは、経済的に成功するための、企業の大きな原動力であり得る。市場に投入するまでに長い時間がかかってしまう原因の1つとして、完成したデータセンタービルにラックおよびサーバーを配備することがある。従来、データセンターIT(Information Technology)アーキテクチャ、ラック、およびサーバーは、物理的に設置されて、ケーブル接続されて、電源が投入される必要がある。ラックおよびサーバーを物理的に設置して電力を供給する間、機械的誤差および人為ミスがあり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
一般的な実装形態では、データセンター電力システムは、通電している導体表面を含み、データセンターの、人が使用できる作業空間の全体に電源からの直流電力を送るように構成される電力導体と、人が使用できる作業空間において電力導体とは離れて配置される接地導体と、電力導体の通電している導体表面に電気的に接触するように移動可能であって、複数の電子装置を支持するデータセンターラックに取り付けられるように構成された第1の電気コネクタと、ラック上に配置され、接地導体に電気的に接触するように構成された第2電気導体とを備える。
【0004】
一般的な実装形態では、データセンター電力システムは、内部ボリュームを規定するエンクロージャと、内部ボリュームに取り付けられ、エンクロージャから外部に延在して主電力供給源と電気的に連結する第1の直流電力バスと、内部ボリュームに取り付けられ、エンクロージャから外部に延在して主電力供給源に電気的に連結する第2の直流電力バスと、内部ボリュームに取り付けられ、第1の直流電力バスまたは第2の直流電力バスの一方に各々が電気的に連結される複数の切替スイッチと、第1の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチおよび第2の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチから構成される一対の切替スイッチに各々が電気的に連結された複数の直流電力導体とを備え、各直流電力導体は、複数の電子装置を支持するデータセンターラックに電気的に連結するように構成される。
【0005】
一般的な実装形態では、データセンター電力コネクタは、内部ボリュームを規定するコンジットと、コンジットの内部ボリュームを通って延在し、データセンターの主電力供給源からの電力を、データセンターの、人が使用できる作業空間に配備されたラックに取り付けられた少なくとも1つの電子装置に送り、かつ、少なくとも1つの電子装置とデータセンター制御システムとの間でデータを送るように構成される少なくとも1つの導体とを備える。
【0006】
一般的な実装形態と組み合わせ可能な態様では、通電している導体表面の少なくとも一
部は、人が使用できる作業空間に露出している。
【0007】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、通電している導体表面は、カテナリー導体を含み、第1の電気コネクタは、データセンターラックの上部に取り付けられるように構成される。
【0008】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、通電している導体表面は、データセンターの床に取り付けられるように構成されたレールを含み、第1の電気コネクタは、データセンターラックの下部に取り付けられるように構成される。
【0009】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、接地導体は、データセンターの床内に埋め込み可能である。
【0010】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、通電している導体表面は、メッシュまたは平坦な導体表面を含む。
【0011】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、メッシュまたは平坦な導体表面は、人が使用できる作業空間を少なくとも部分的に囲む天井構造の少なくとも一部を含む。
【0012】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、メッシュの導体表面は、人が使用できる作業空間を少なくとも部分的に囲む天井構造に埋め込まれた、または取り付けられた、格子状の十字に交差配置された電気導体を含む。
【0013】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、第1の電気コネクタは、データセンターラックから遠ざかるように移動して電力導体の通電している導体表面に電気的に接触するように付勢される。
【0014】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、第1の電気コネクタは、パンタグラフを含む。
【0015】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、電力導体は、第1の電力導体を含む。
【0016】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、データセンターの、人が使用できる作業空間の全体に電源からの直流電力を送るように構成された第2の電力導体をさらに備える。
【0017】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、第2の電力導体は、通電している導体表面を含み、第1の電気コネクタは、第2の電力導体の通電している導体表面に電気的に接触するように移動可能である。
【0018】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、第1の電気コネクタは、第1および第2の電力導体の通電している導体表面に同時に電気的に接触するように移動可能である。
【0019】
一般的な実装形態と組み合わせ可能な態様では、複数の切替スイッチの少なくとも一部は、自動切替スイッチを含む。
【0020】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数の切替スイッチの
少なくとも一部は、ヒューズの付いた接触子を含む。
【0021】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、主電力供給源は、電力変換装置を通して、第1および第2の直流電力バスに電気的に連結されている。
【0022】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、主電力供給源は、電力系統電源または予備電源の少なくとも一方を含む。
【0023】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、予備電源は、発電機電源または再生可能電源の少なくとも一方を含む。
【0024】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、エンクロージャの中において、第1の直流電力バスと第2の直流電力バスとは分離されている。
【0025】
一般的な実装形態と組み合わせ可能な態様では、少なくとも1つの導体は、直流電力を通すように構成された直流電気導体を含む。
【0026】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、直流電力は、1000ボルト未満の電圧の直流電力を含む。
【0027】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも1つの導体は、600ボルト未満の電圧の交流電力を通すように構成された交流電気導体を含む。
【0028】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも1つの導体は、送電線通信用導体を含む。
【0029】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、送電線通信用導体は、CANバス,DC−LIN(LIN−bus over power line)、DC−BUS、LonWorks、またはSAE J1772規格の送電線通信用導体のうちの1つを含む。
【0030】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも1つの導体は、コンジットの中において連結されたデュアル導体を含み、デュアル導体の一方は電力を送電するように構成され、デュアル導体の他方はデータを伝送するように構成される。
【0031】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、データは、少なくとも1つの電子装置の識別子を含む。
【0032】
別の一般的な実装形態では、直流電力をデータセンターラックに送電する方法は、データセンターの、人が使用できる作業空間の全体に延在する電力導体に、データセンター電源から直流電力を提供するステップと、人が使用できる作業空間の電力導体の近くの位置にデータセンターラックを移動させるステップと、上記位置にデータセンターラックがあることに基づいて、データセンターラック上に取り付けられた第1の電気コネクタを移動させて、電力導体の通電している導体表面に電気的に接触させるステップと、上記位置にデータセンターラックがあることに基づいて、人が使用できる作業空間において電力導体とは離れて配置される接地導体を、ラック上に位置する第2電気導体に電気的に接触させて電力回路を完成させるステップと、完成した電力回路に基づいて、データセンターラックによって支持される複数の電子装置に電力導体からの直流電力を提供するステップとを含む。
【0033】
一般的な実装形態と組み合わせ可能な態様では、電力導体は、カテナリー導体を含み、第1の電気コネクタを移動させるステップは、第1の電気コネクタを、データセンターラックの上部から遠ざかるように移動させて、データセンターラックの上部の上方において人が使用できる作業空間の全体に露出および延在するカテナリー導体に電気的に接触させるステップを含む。
【0034】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、電力導体は、データセンターの床に取り付けられたレール導体を含み、第1の電気コネクタを移動させるステップは、第1の電気コネクタをデータセンターラックの下部から遠ざかるように移動させて、データセンターラックの下方において人が使用できる作業空間の全体に露出および延在するレール導体に電気的に接触させるステップを含む。
【0035】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、接地導体は、データセンターの床内に埋め込まれている。
【0036】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、通電している導体表面は、メッシュまたは平坦な導体表面を含む。
【0037】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、メッシュまたは平坦な導体表面は、人が使用できる作業空間を少なくとも部分的に囲む天井構造の少なくとも一部を含む。
【0038】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、メッシュの導体表面は、人が使用できる作業空間を少なくとも部分的に囲む天井構造に埋め込まれた、または取り付けられた、格子状の十字に交差配置された電気導体を含む。
【0039】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、第1の電気コネクタを移動させるステップは、第1の電気コネクタをデータセンターラックから遠ざかるように付勢して電力導体の通電している導体表面を付勢装置と電気的に接触させるステップを含むことをさらに含む。
【0040】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、付勢装置は、パンタグラフを含む。
【0041】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、電力導体は、第1の電力導体を含む。
【0042】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、データセンターの、人が使用できる作業空間の全体に延在する第2の電力導体に、データセンター電源からの直流電力を提供するステップと、前記位置にデータセンターラックがあることに基づいて、第1の電気コネクタを移動させて、第1または第2の電力導体のうちの少なくとも1つの、通電している導体表面と電気的に接触させるステップとをさらに含む。
【0043】
別の一般的な実装形態では、データセンターラックに直流電力を送電する方法は、エンクロージャの内部ボリュームに取り付けられた第1の直流電力バスに、主電力供給源からの直流電力を提供するステップと、エンクロージャの内部ボリュームに取り付けられた第2の直流電力バスに、主電力供給源からの直流電力を提供するステップと、内部ボリュームに取り付けられた第1の複数の切替スイッチに、第1の直流電力バスから直流電力を送るステップと、内部ボリュームに取り付けられた、第1の複数の切替スイッチを含まない第2の複数の切替スイッチに、第2の直流電力バスから直流電力を送るステップと、(i
)第1の複数の切替スイッチのうちの1つからの直流電力、または(ii)第2の複数の切替スイッチのうちの1つからの直流電力を、複数の電子装置を支持するデータセンターラックに電気的に連結された直流電力導体に供給するステップと、供給された直流電力を用いて複数の電子装置に電力を提供するステップとを含む。
【0044】
一般的な実装形態と組み合わせ可能な態様では、複数の切替スイッチの各々は、自動切替スイッチを含む。
【0045】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数の切替スイッチの各々は、ヒューズの付いた接触子を含む。
【0046】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、主電力供給源は、交流電力を含み、第1の直流電力バスおよび第2の直流電力バスに直流電力を提供する前に交流電力を直流電力に変換するステップをさらに含む。
【0047】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、主電力供給源は、電力系統電源または予備電源の少なくとも一方を含む。
【0048】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、第1および第2の直流電力バスを、電力変換装置を通して、電力系統電源および予備電源に電気的に連結するステップをさらに含む。
【0049】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、商用電力系統からの主電力の喪失を検出するステップと、検出された喪失に基づいて、第1および第2の直流電力バスに商用電力系統から直流電力を提供することから、第1および第2の直流電力バスに予備電源から直流電力を提供することに切り替えるステップとをさらに含む。
【0050】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、第1または第2の直流電力バスの一方を主電力供給源から電気的に連結解除するステップと、第1または第2の直流電力バスの一方のメンテナンスを行うステップと、メンテナンスを行うことと同時に、第1または第2の複数の切替スイッチのそれぞれを通して、第1または第2の直流電力バスの他方から直流電力導体に直流電力を送るステップとをさらに含む。
【0051】
別の一般的な実装形態では、データセンター電力接続システムは、データセンターの主電力供給源に電気的に連結されたデータセンター電力制御システムと、データセンター電力制御システムに通信可能および電気的に連結された複数の電力コネクタとを備え、複数の電力コネクタの各々は、(i)主電力供給源からデータセンターの、人が使用できる作業空間に配備されたラックに取り付けられた複数の電子装置に電力を送り、かつ、(ii)複数の電子装置とデータセンター電力制御システムとの間でデータを送るように構成された電力導体を含む。
【0052】
一般的な実装形態と組み合わせ可能な態様では、データセンター電力制御システムは、少なくとも1つのプロセッサと、命令を格納した少なくとも1つのメモリとを備え、命令は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのプロセッサに動作を実行させ、動作は、複数の電子装置から、電力導体を通して、複数の電子装置に対応付けられた識別情報を含むデータを受信することと、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいてデータセンターの少なくとも1つの仮想モデルを生成することとを含む。
【0053】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、識別情報は、複数の電子装置のうちの特定の電子装置の名前、型番、または製造番号のうちの少なくとも1つを
含む。
【0054】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、識別情報は、複数のラックのうち、複数の電子装置の少なくとも一部を支持する特定のラックのラック名称または名前のうちの少なくとも1つを含む。
【0055】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数の仮想モデルのうちの1つは、地理的トポロジーモデルを含む。
【0056】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいてデータセンターの少なくとも1つの仮想モデルを生成することは、複数のラックのラックごとに、人が使用できる作業空間におけるラックの地理的位置を判断することと、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいて、複数の電子装置の一部をラックに割り当てることと、ラックの判断された地理的位置に割り当てられた電子装置の一部を割り当てることとによって地理的トポロジーモデルを生成することを含む。
【0057】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数の仮想モデルのうちの1つは、冷却トポロジーモデルを含む。
【0058】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいてデータセンターの少なくとも1つの仮想モデルを生成することは、複数のラックのラックごとに、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいて、人が使用できる作業空間におけるラックの地理的位置を判断することと、データセンターの複数の冷却ドメインのうち、ラックの地理的位置に対応付けられた冷却ドメインを判断することと、ラックを判断された冷却ドメインに割り当てることとによって冷却トポロジーモデルを生成することを含み、冷却ドメインは、ラックで支持される電子装置を冷却するように動作する少なくとも1つの冷却装置を含む。
【0059】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数の仮想モデルのうちの1つは、電力トポロジーモデルを含む。
【0060】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいてデータセンターの少なくとも1つの仮想モデルを生成することは、複数のラックのラックごとに、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいて、人が使用できる作業空間におけるラックの地理的位置を判断することと、データセンターの複数のパワードメインのうち、ラックの地理的位置に対応付けられたパワードメインを判断することと、ラックを判断されたパワードメインに割り当てることとによって電力トポロジーモデルを生成することを含み、パワードメインは、ラックで支持される電子装置に電力を送電するように動作する少なくとも1つの電力装置を含む。
【0061】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数の仮想モデルのうちの1つは、ネットワークトポロジーモデルを含む。
【0062】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいてデータセンターの少なくとも1つの仮想モデルを生成することは、複数のラックのラックごとに、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいて、人が使用できる作業空間におけるラックの地理的位置を判断することと、データセンターの複数のネットワークドメインのうち、ラックの地理的位置に対応付けられたネットワークドメインを判断することと、ラックを判断されたネットワークドメインに割り当てることとによってネットワークトポロジーモデルを生成することを含み、ネットワークドメインは、
ラックで支持される電子装置をデータセンターのネットワークに通信可能に連結するように動作する少なくとも1つのネットワーク装置を含む。
【0063】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、受信したデータは、第1時刻に電力導体を通して複数の電子装置から受信したデータを含む。
【0064】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、動作は、第1時刻の後の第2時刻に電力導体を通して複数の電子装置から受信した、複数の電子装置に対応付けられた更新された識別情報を含む追加データを受信することと、受信した更新された識別情報の少なくとも一部に基づいて、データセンターの少なくとも1つの仮想モデルを更新することとをさらに含む。
【0065】
別の一般的な実装形態では、データセンター電力システムは、エンクロージャと、エンクロージャの中に取り付けられ、エンクロージャから外部に延在して主電力供給源と電気的に連結する第1の直流電力バスと、エンクロージャの中に取り付けられ、エンクロージャから外部に延在して主電力供給源に電気的に連結する第2の直流電力バスと、エンクロージャの中に取り付けられ、第1の直流電力バスまたは第2の直流電力バスの一方に各々が電気的に連結される複数の切替スイッチと、第1の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチおよび第2の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチから構成される一対の切替スイッチに各々が電気的に連結された複数の直流電力導体とを含む第1の直流配電盤モジュールと、複数の電子装置を含み、少なくとも一部が第1の直流配電盤モジュールの特定の直流電力導体に電気的に連結された第1の複数のラックとを備える。
【0066】
一般的な実装形態と組み合わせ可能な態様は、エンクロージャと、エンクロージャの中に取り付けられ、エンクロージャから外部に延在して主電力供給源と電気的に連結する第1の直流電力バスと、エンクロージャの中に取り付けられ、エンクロージャから外部に延在して主電力供給源に電気的に連結する第2の直流電力バスと、エンクロージャの中に取り付けられ、第1の直流電力バスまたは第2の直流電力バスの一方に各々が電気的に連結される複数の切替スイッチと、第1の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチおよび第2の直流電力バスに電気的に連結された1つの切替スイッチから構成される一対の切替スイッチに各々が電気的に連結された複数の直流電力導体とを含む第2の直流配電盤モジュールをさらに含む。
【0067】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、複数の電子装置を含み、少なくとも一部が第2の直流配電盤モジュールの特定の直流電力導体に電気的に連結された第2の複数のラック。
【0068】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、第2の複数のラックの別の一部の各々は、第1の直流配電盤モジュールの特定の直流電力導体に電気的に連結され、第1の複数のラックの別の一部の各々は、第2の直流配電盤モジュールの特定の直流電力導体に電気的に連結されている。
【0069】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、第2の複数のラックの一部および第2の複数のラックの別の一部は、データセンターの複数のラック列のうちの別々の列に位置する。
【0070】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、第1および第2の複数のラックの一部は、複数のラック列のうちの1つの特定の列に位置する。
【0071】
別の一般的な実装形態では、データセンターの電子装置に電力を提供するための方法は、データセンターの電力制御システムを通して、複数の電力コネクタをデータセンターの電力供給源に電気的に連結するステップと、複数の電力コネクタのそれぞれの導体を通して、電力供給源からの電力をデータセンターの複数の電子装置に送電するステップと、それぞれの導体を通して、データを複数の電子装置から電力制御システムに伝送するステップとを含む。
【0072】
一般的な実装形態と組み合わせ可能な態様では、電力供給源は、直流電力の供給源を含み、送電された電力は、直流電力を含む。
【0073】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、データは、複数の電子装置に対応付けられた識別情報を含む。
【0074】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、電力制御システムの少なくとも1つのハードウェアプロセッサとともに、識別情報の少なくとも一部に基づいてデータセンターの少なくとも1つの仮想モデルを生成するステップをさらに含む。
【0075】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも1つの仮想モデルは、地理的トポロジーモデルを含む。
【0076】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、人が使用できる作業空間の複数のラックの各々の地理的位置を判断するステップと、受信した識別情報の少なくとも一部に基づいて、複数の電子装置の一部を各ラックに割り当てるステップと、ラックの判断された地理的位置を割り当てられた電子装置の一部に割り当てるステップとをさらに含む。
【0077】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも1つの仮想モデルは、冷却トポロジーモデルを含む。
【0078】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、識別情報の少なくとも一部に基づいて人が使用できる作業空間の複数のラックの各々の地理的位置を判断するステップと、データセンターの複数の冷却ドメインのうち、各ラックの地理的位置に対応付けられた冷却ドメインを判断するステップと、ラックを判断された冷却ドメインに割り当てるステップとをさらに含み、冷却ドメインは、ラックで支持される電子装置を冷却するように動作する少なくとも1つの冷却装置を含む。
【0079】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも1つの仮想モデルは、電力トポロジーモデルを含む。
【0080】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、識別情報の少なくとも一部に基づいて、人が使用できる作業空間の複数のラックの各々の地理的位置を判断するステップと、データセンターの複数のパワードメインのうち、各ラックの地理的位置と対応付けられたパワードメインを判断するステップと、ラックを判断されたパワードメインに割り当てるステップとをさらに含み、パワードメインは、ラックで支持される電子装置に電力を送電するように動作する少なくとも1つの電力装置を含む。
【0081】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、少なくとも1つの仮想モデルは、ネットワークトポロジーモデルを含む。
【0082】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様は、識別情報の少なくとも一
部に基づいて、人が使用できる作業空間の複数のラックの各々の地理的位置を判断するステップと、データセンターの複数のネットワークドメインのうち、各ラックの地理的位置に対応付けられたネットワークドメインを判断するステップと、ラックを判断されたネットワークドメインに割り当てるステップとをさらに含み、ネットワークドメインは、ラックで支持される電子装置をデータセンターのネットワークに通信可能に連結するように動作する少なくとも1つのネットワーク装置を含む。
【0083】
前述の態様のうちのいずれかと組み合わせ可能な別の態様では、電力コネクタの各々は、電力供給源からデータセンターの複数の電子装置の少なくとも一部に電力を送電するように構成された第1導体と、複数の電子装置の一部から電力制御システムにデータを伝送するように構成された第2導体とを含む。
【0084】
本開示に係る実装形態は、下記の特徴のうちの1つ以上を含んでもよい。たとえば、本開示に係る実装形態は、データセンターの電子装置の配備、識別、棚卸し作業、およびメンテナンスを従来技術と比べて効率よく有意に行うことができるであろう。さらには、本開示に係る実装形態は、より安全でより速く、より柔軟性のある、データセンターの電子装置への送電を可能にするであろう。また、本開示に係る実装形態は、データセンターの電子装置への送電の余剰を増やすことを容易にするであろう。
【0085】
本開示に記載する主題の1つ以上の実装形態の詳細を、添付の図面および以下の説明に記載する。主題のその他の特徴、態様、および利点は、説明、添付の図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1A】データセンター電力システムの例示的な実装形態を上から見た概略図である。
図1B】データセンター電力システムの別の例示的な実装形態を上から見た概略図である。
図1C】データセンター電力システムの例示的な実装形態を横から見た概略図である。
図1D】データセンター電力システムの別の例示的な実装形態を横から見た概略図である。
図2A】データセンター電力システムの別の例示的な実装形態を上から見た概略図である。
図2B】データセンター電力システムの別の例示的な実装形態を横から見た概略図である。
図3A】直流データセンター電力モジュールの概略図である。
図3B図3Aの1つ以上の直流データセンター電力モジュールによって電力が供給されるラックを有するデータセンターの例示的な実装形態の概略図である。
図3C図3Aの1つ以上の直流データセンター電力モジュールによって電力が供給されるラックを有するデータセンターの例示的な実装形態の概略図である。
図4】電力およびデータを1つ以上のサーバーラック間で伝送するデータセンターの電源コネクタを利用する制御システムを備えるデータセンターの概略図である。
図5】本開示に係るデータセンター冷却システムのための例示的なコントローラの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
詳細な説明
本開示では、データセンター電力システムのシステム、装置、および方法などの実装形態を説明する。いくつかの態様では、データセンター電力システムは、電力の1つ以上の
主電源から(たとえば、1つ以上の変圧器および/または1つ以上の整流器を経由して)直流電力をサーバーラックに供給して、ラックにおいて支持されている電子装置に電力を供給する直流電力提供システムを含む。いくつかの例示的な実装形態では、データセンター電力システムは、サーバーラックを囲むデータセンターの作業空間内に設置されたカテナリー導体など、オーバーヘッド導体(たとえば、配線またはバスバー)を含み、復路(接地)がデータセンターの床上に、またはラック支持構造の一部として提供される。いくつかの態様では、サーバーラックは、ラックを床上でキャスターで転がし、接地し、オーバーヘッド導体に接続することができるパンタグラフなど、電気コネクタを備えてもよい。このような電力システムは、サーバーラックの寸法(たとえば、高さ、幅、またはその両方)を自在に変えて、当該サーバーラックを床上の任意の位置に設置させることができるため、柔軟な配備が可能になる。
【0088】
その他の例示的な実装形態では、データセンター電力システムは、サーバーラックに隣接するデータセンターの床上に敷設された床置式導体(たとえば、レール)を含む。データセンターの床上に設置された構成は、床置式導体(たとえば、レール)と接地の復路とを含む。サーバーラックは、集電装置またはラックを床置式導体に電気的に連結する伝導性を有するシューなど、電気コネクタを含む。床置式導体は、データセンター電力の主電源に電気的に接続され、直流電気をサーバーラックに伝導する。
【0089】
その他の例示的な実装形態では、データセンター電力システムは、同時メンテナンスが可能な複数の導体(たとえば、バスバー)を含んだ直流電力モジュールを備える。各直流電力モジュールは、特定のサーバーラックに電気的に接続されて当該特定のサーバーラックに直接連結された切替スイッチを備える。切替スイッチによって、主電力供給源までの1つの経路を通して電力をラックに送電することから、主電力供給源に続く別の異なる経路を通して電力をラックに送電することに(たとえば、手動または自動で)切り替えられる。よって、各ラックは、メンテナンス用または動作不良のために1つの電力経路を閉鎖するなどのシャットダウンイベントの際にサーバーラックへの当該経路が喪失してしまっても大丈夫なように、主電力供給源(複数可)からデュアルで供給される構成となっている。
【0090】
別の例示的な実装形態では、データセンター電力システムは、サーバーラックを主要直流電力の供給源に電気的に連結する直流電力コネクタを備える。主要直流電力の供給源は、電力をサーバーラックに送電してデータをラックから制御システムに、または制御システムからラックに伝送する。制御システムは、サーバーラックからデータを受信し、受信したデータの少なくとも一部に基づいて、データセンターを仮想的にモデル化する。いくつかの態様では、直流電力コネクタは、直流電力コネクタを用いてサーバーラックを主電源に電気的に連結するための特別な訓練/免許を設置者が有している必要がないインターロックコネクタを含む。また、サーバーラックに電気的に連結されると、直流電力コネクタは、ラックとコネクタとの通信を容易にしてラックに電力が供給される前に電力ハンドシェイクが行われることを可能にしてもよい。それにより、直流電力コネクタは、サーバーラックへの安全な電力接続が容易にする。
【0091】
図1Aは、データセンター電力システム100の例示的な実装形態を上から見た概略図である。一般に、直流電力システム100は、データセンタービル102のサーバー、プロセッサ、メモリモジュール、ネットワーク装置、およびその他のITおよびデータ処理装置など、電子装置に電力を提供するために動作する。いくつかの態様では、電子装置に直接届けられた電力は、商用電力系統、発電機からのオンサイト発電、太陽光発電または風力発電、水力発電、原子力発電、またはその他の形態の発電など、電力の主電源からの直流電力である。いくつかの態様では、電力の主電源は、電子装置に届けられる前に直流電力に変換される交流電力を提供する。いくつかの態様では、1つ以上の変圧器が、電力
の主電源を中圧電力(たとえば、13.5kVAC、4160VAC)から低圧電力(たとえば、460VAC、230VAC)に変圧してから、電子装置に送電される前に直流電力(たとえば、750VDC、1500VDC)に変圧する。データセンタービル102の、人が使用できる作業空間104に少なくとも部分的に露出した導体によって直流電力が電子装置に送電される。
【0092】
本明細書における特定の説明では、系統電力と、ローカルまたはオンサイト発電とが区別される場合がある。別段の記載がない限り、系統電力は、公益事業によって一般に多くの顧客に提供される電力であり、その発電および制御は、公益事業によって処理される。また、このような商用電力は、データセンター施設から遠く離れた場所で発電されてもよい。ローカルまたはオンサイト発電は、より広大な電力会社とは反対に、その大部分はデータセンターの敷地にある施設によってのみ利用され、データセンターの敷地のオペレータによって管理される。オンサイト発電は、一般に、データセンターファーム(たとえば、エンジン動力発電機、燃料電池、または太陽電池の大規模バンク)と同じ所有地または施設の近くに発電機ファームを備えてもよく、基本的に専用の、当該施設への電源接続を有する(たとえば、データセンターが近くの風力発電基地から特定量の電力を購入する契約を結び、一般的な商用電力系統を通さないで電力がファームにおよびデータセンターの敷地に直接接続される状況)。
【0093】
図1Aに示すように、データセンタービル102の、人が使用できる作業空間104に、複数のデータセンターラック106が配置される。いくつかの態様では、ラック106は、装置が配置されるための構造を提供することによって物理的に、そして、電力の主電源から(たとえば、整流器、変圧器、またはその両方を経由して)装置に電力を提供することによって電気的に電子装置を支持する。一般に、図に示すラック106(「サーバーラック」とも称する)は、各々、データセンタービル102内のいくつかあるサーバーラックのうちの1つであってもよい。データセンタービル102は、様々なラックマウント式のコンピュータシステムを含んだサーバーファームまたはコロケーション施設を含んでもよい。各サーバーラック106は、サーバーラック106内に整然と繰り返し配置される複数のスロットを定めてもよく、各スロットは、対応するサーバーラックサブアセンブリ134(図1C図1Dに示す)が配置または取り外され得るラックにおける空間である。たとえば、サーバーラックサブアセンブリは、ラック106の両側から突出するレール上で支持され得る。レールは、スロットの位置を定め得る。また、複数のサーバーラックサブアセンブリ134がラック106内に取り付けられていると図示しているが、サーバーラックサブアセンブリは、1つあるだけでもよい。
【0094】
図1C図1Dに示すように、スロット、およびサーバーラックサブアセンブリ134は、図に示した横配置(重力に対して)で配置され得る。これに代えて、スロット、およびサーバーラックサブアセンブリ134は、縦方向(重力に対して)に配置され得る。スロットが横に配置された場合、当該スロットは、ラック106において縦に積み重ねられてもよく、スロットが縦に配置された場合、当該スロットは、ラック106において横に積み重ねられてもよい。
【0095】
たとえば、より大規模なデータセンターの一部としてのサーバーラック106は、データ処理および格納能力を提供してもよい。動作中、データセンターは、ネットワークに接続されていてもよく、データを取り出す、処理する、および/または格納するための様々な要求をネットワークから受け付け、かつ、それら要求に応答してもよい。動作中、たとえば、サーバーラック106は、通常、データセンターのコンピュータ上で実行中のアプリケーションが提供するサービスを要求するユーザのウェブブラウザアプリケーションによって生成されたユーザインタフェースとのネットワークを用いた情報の伝達を容易にする。たとえば、サーバーラック106は、ウェブブラウザを利用するユーザにインターネ
ットまたはワールドワイドウェブ上のウェブサイトへのアクセスを提供または提供することに役立ってもよい。
【0096】
サーバーラックサブアセンブリ134は、サーバーラックに取り付けられ得るいろいろな構造のうちの1つであってもよい。たとえば、いくつかの実装形態では、サーバーラックサブアセンブリ134は、「トレイ」またはサーバーラック106にスライド可能に挿入できるトレイアセンブリであってもよい。用語「トレイ」は、特定の配置に限定されず、代わりに、マザーボードまたはマザーボードをラック構造における適切な位置に支持するための、マザーボードに付随するその他の比較的平坦な構造に該当する。いくつかの実装形態では、サーバーラックサブアセンブリ134は、サーバーシャーシ、またはサーバーコンテナ(たとえば、サーバーボックス)であってもよい。いくつかの実装形態では、サーバーラックサブアセンブリ134は、ハードドライブケージであってもよい。
【0097】
各サーバーラックサブアセンブリ134は、フレームまたはケージと、フレーム上で支持されるマザーボードなどのプリント回路基板と、プリント回路基板に実装されたプロセッサまたはメモリなどの1つ以上の電子装置136とを含み得る。電子装置136は、たとえば、プロセッサ、メモリ、ハードドライブ、ネットワークスイッチ、またはその他のITコンポーネントを含み得る。冷却装置、ファン、無停電電源装置(UPS)(たとえば、バッテリモジュール)など、その他の付属装置がサーバーラックサブアセンブリ134(または、ラック106)に取り付けられ得る。
【0098】
図1A図1Bに示すように、データセンタービル102に1つ以上の列108のデータセンターラック106が配置されている。一般に、図1A図1Bに示すように、複数の直流導体アセンブリ114は、人が使用できる作業空間104の全体に、(この例では)列108に平行して延在する。これらの例では、直流導体アセンブリ114は、サーバーラック106の列108に平行に延在し、各列108は、ラック106の前面111の近くにまたは隣接して配置される直流導体アセンブリ114をそれぞれ有する。各直流導体アセンブリ114は、(たとえば、1つ以上の変圧器および整流器を経由して)主電力供給源に電気的に連結された主要直流電力ブランチ116からの直流電力を送電する少なくとも1つの通電している導体を含む。
【0099】
図1A図1Bにさらに示すように、複数の接地導体118も、人が使用できる作業空間104の全体に、列108に(この例では)平行して延在する。これらの例では、接地導体118は、サーバーラック106の列108に平行に延在し、各列108は、ラック106の近くに接地導体118を有する。各接地導体118は、直流導体アセンブリ114によって送電される直流電力の「アース」または接地までの低インピーダンス経路を提供する。
【0100】
具体的に図1Aに関して、データセンター冷却システムは、サーバーラック106の隣接する列108の間の温風通路110に位置する、冷却ユニット112を備える。一般に、各冷却ユニット112は、1つ以上の冷却コイル(たとえば、水、液体、または冷媒ベースの)および冷却ユニット112の上端部に取り付けられた1つ以上のファンを含み、ここでは、6つのファンが図示されている。この例では、冷却ユニット112は、サーバーラック106の隣接する列108の間、すなわち、温風通路110内に位置する。動作中、冷却ユニット112は、ラック106の(たとえば、人が使用できる作業空間104に向かって開口した)前面111を通して冷却気流109を循環させる。冷却気流109は、ラック106の電子装置136からの熱を受け止め、気流109を温めて熱気流107にし、熱気流107は、温風通路110に入る。熱気流107は、冷却ユニット112に吸い込まれて(たとえば、ファンによって)1つ以上の冷却コイルによって(たとえば、冷却された液体の流動、凝縮器の水、冷媒、またはペルチェ式クーラーなどの電動クー
ラーによって)冷却される。冷却された気流は、循環されて(たとえば、ファンによって)ラック106の前面111に隣接する、人が使用できる作業空間104に戻される。
【0101】
いくつかの態様では、冷却ユニット112は、チラープラント、1つ以上の蒸発冷却ユニット(たとえば、冷却タワー)、1つ以上のコンデンシングユニット(たとえば、直接膨張式冷却の場合)、冷却液の天然の供給源(たとえば、湖、海、川、またはその他の自然水域)、または、それらの組合せなど、冷却液の供給源に流体結合されてもよい。いくつかの態様では、冷却ユニット112は、データセンタービル102(たとえば、「CRAC」ユニットとして従来知られている)の外部に位置する1つ以上のコンデンシングユニットに流体結合された独立型の冷媒ベースの(DX)冷却ユニットであってもよい。
【0102】
図1Aでは、床置式(たとえば、図1C図1Dに示すデータセンターの床132の上で支持される)の冷却ユニット112が示されているが、冷却ユニット112は、天井取り付け式であってもよく、床仕上げ面(たとえば、スラブ、上げ床、またはその他)の上方に吊り下げられてもよい。図1Aに示すように、1つ以上の列108内の特定の数のラック106を冷却するように特定の冷却ユニット112が配置されてもよい。いくつかの態様では、冷却ユニット112は、たとえば、特定のユニット112に隣接する冷却ユニット112が当該特定のユニット112が故障した場合に十分な冷却能力(たとえば、気流、コイルの大きさ)を有するよう、余剰動作するように設計または列108同士の間に配置されてもよい。
【0103】
具体的に図1Bに関して、別のデータセンター冷却システムは、冷却通路113の終わりの、ラック106の列108同士の間に位置する、冷却ユニット120を備える。一般に、各冷却ユニット120は、(たとえば、水、液体、または冷媒ベースの)1つ以上の冷却コイルおよび(たとえば、冷却気流119を冷却通路113の長さ方向に循環させるために取り付けられた)1つ以上のファンを備える。この例では、冷却ユニット120は、冷却気流11が通路113を進んでラック106の開口した前面111に入っていくよう、サーバーラック106の隣接する列108の間に位置する。冷却気流119は、ラック106にある電子装置136からの熱を受け止め、気流119を温めて熱気流121にし、熱気流121は、循環されてユニット120の気流の入り口に戻される。熱気流121は、冷却ユニット120に吸い込まれて(たとえば、ファンによって)1つ以上の冷却コイル(たとえば、冷却された液体の流れによって、凝縮器の水、冷媒、またはペルチェ式クーラーなどの電動クーラー)によって冷却される。冷却された気流は、循環されて(たとえば、ファンによって)通路113にあるラック106の前面111に隣接する、人が使用できる作業空間104に戻される。
【0104】
いくつかの態様では、冷却ユニット120は、チラープラント、1つ以上の蒸発冷却ユニット(たとえば、冷却タワー)、1つ以上のコンデンシングユニット(たとえば、直接膨張式冷却の場合)、冷却液の天然の供給源(たとえば、湖、海、川、またはその他の自然水域)、または、それらの組合せなど、冷却液の供給源に流体結合されてもよい。いくつかの態様では、冷却ユニット120は、データセンタービル102(たとえば、「CRAC」ユニットとして従来知られている)の外部に位置する1つ以上のコンデンシングユニットに流体結合された独立型の冷媒ベースの(DX)冷却ユニットであってもよい。
【0105】
図1Bでは、床置式(たとえば、図1C図1Dに示すデータセンターの床132の上で支持される)の冷却ユニット120が示されているが、冷却ユニット120は、天井取り付け式であってもよく、床仕上げ面(たとえば、スラブ、上げ床、またはその他)の上方に吊り下げられてもよい。図1Bに示すように、隣接する列108内の特定の数のラック106を冷却するように特定の冷却ユニット120が配置されてもよい。いくつかの態様では、図示しないが、たとえば余剰の冷却能力またはさらなる冷却能力のために、通路
113の反対側の終わりに配置される、図1Bに示すような、冷却ユニット120がさらにあってもよい。たとえば、各通路113の終わりに設置された冷却ユニット120の場合、各特定の冷却ユニット120は、2つの隣接した列内のラック106のおよそ半数(すなわち、その特定のユニット120に近い方の半数)を冷却する責任を負ってもよい。しかし、通路113の一端にある冷却ユニット120が故障した場合、同じ通路113の他端にある冷却ユニット120は、2つの隣接した列108内のラック106のすべてを冷却できる十分な能力(たとえば、気流およびコイル容量)を有していてもよい。
【0106】
図1Cを参照すると、この図は、図1Aまたは図1Bのいずれかに示すデータセンター電力システム100の例示的な実装形態の側面図を示す。図1Cに示すシステム100の実装形態では、直流導体アセンブリ114は、ラック106の列108の上方に直流導体アセンブリ114が吊り下げられるよう、(たとえば、データセンタービル102の天井またはその他のオーバーヘッド構造によって)支持されている。この例では、直流導体アセンブリ114は、ラック106の電子装置136が電気的に接続されるカテナリー電力導体を形成してもよい。カテナリー電力システムとして、直流導体アセンブリ114は、人が使用できる作業空間104内で覆い126(または、伝導性を有さないその他の仕切り)によって少なくとも部分的に覆われ、かつ、(たとえば、ラック106の上部の上方の天井またはその他の構造から)ハンガー128によって吊り下げられた導体表面124として図1Cに示す剛体(たとえば、バスバー)または半剛体の(たとえば、ケーブル)導体であってもよい。
【0107】
この例では、導体表面124は、主電力(たとえば、直流電力)の供給源によって電力が供給された場合、ラック106に電力(たとえば、中電圧または低電圧)を送る通電している導体であってもよい。たとえば、いくつかの態様では、導体表面124は、直流電力(たとえば、750VDC、1000VDC)を通してもよい。その他の態様では、導体表面124は、中圧直流電力(たとえば、1000VDCを下回る電圧)を通してもよい。中圧直流電力は、ラック106において低圧電力にさらに変圧されて電子装置136に提供されてもよい。
【0108】
図1Cの例に示すように、各ラック106(または、特定の列108内のラック106の少なくとも一部)は、電気コネクタ122を通して導体表面124に電気的に連結されてもよい。電気コネクタ122は、ラック(複数可)106に取り付けられ、コネクタ138を通してサーバートレイサブアセンブリ134の電子装置136に電気的に連結されている。たとえば、電気コネクタ122は、付勢されて(たとえば、ばね荷重、油圧運転、電動、またはその他によって)コネクタ122を導体表面124と電気接触させる1つ以上の連結アームを含むパンタグラフ(または、集電装置)であってもよい。いくつかの態様では、連結アームは、人間のオペレータによって、導体表面124と電気接触させられてもよい。
【0109】
いくつかの態様では、ラック106が動作位置に移動された場合、パンタグラフは、導体表面124と電気接触させられる、または電気接触から解除されてもよい。たとえば、人が使用できる作業空間104内でラック106が特定の列108に配置されると、ラック106は、床132に取り付けまたは連結されたストップ130に当接してもよい。ストップ130は、たとえば、人が使用できる作業空間104内で延在して列108の配置を定める線状部材(たとえば、アングル鉄またはその他)として配置されてもよい。よって、各ラック106の配備は、単純に、(たとえば、キャスターで移動させる)ラック106を(電子装置136がすでに設置されて電気コネクタ122に電気的に連結されている状態で)ストップ130に接触するまで移動させることを含んでもよく、確実にラック106が列108内で正確に配置されて、直流導体アセンブリ114に電気的に連結され、接地導体118に電気的に連結される。
【0110】
接地導体118は、この例に示すように、床132(たとえば、スラブ、上げ床、またはその他の支持面)内に埋め込まれ、人が使用できる作業空間104に少なくとも一部が露出した導体を含む。よって、ストップ130に接触する位置に移動させられると、ラック106は、導電性キャスター140(または、ラック106に電気的に接続されたその他の導電部材)を通して接地導体118に電気的に連結されてもよい。別の実装形態では、接地導体118は、ラック106(たとえば、ラック106の導電部材)同士の間の接触が床の高さよりも高い位置にあるよう、床132の上方に取り付けられてもよい。
【0111】
動作中、各ラック106は、特定の列108内の適切な位置に移動させられてもよい。ラック106は、電子装置136をすでにラック106内のサーバートレイサブアセンブリ134上に取り付けて、かつ、電気コネクタ122に電気的に接続していてもよい。ラック106が動作位置に移動させられた(たとえば、キャスターで転がされた)場合、たとえば、ストップ130に接触して接地導体118に電気的に接続された場合、電気コネクタ122を付勢または移動させて、導体表面124と電気接続させてもよい。いくつかの態様では、電気コネクタ122は、ラック106が接地導体118に接地されると(たとえば、人を介さずにまたは人間のオペレータを介さずに自動的に)電気接続させられるだけであってもよい。次に、電力(たとえば、直流電力)が、導体表面124を通過し、電気コネクタ122を通過して、ラック106の電子装置136に送電されてもよい。
【0112】
別の実施形態では、直流導体アセンブリ114は、ラック106の列108の上方以外の位置に配置されてもよい。ラック106(かつ、人が使用できる作業空間104の歩行エリア内ではない場所)の上方が好ましいが、いくつかの態様では、たとえば、床132とラック106の上部との間の高さの位置(または、110内のラック106の上方)に、直流導体アセンブリ114が温風通路110を通って延在するように取り付けられてもよい。
【0113】
図1Dを参照すると、この図は、図1Aまたは図1Bのいずれかに示すデータセンター電力システム100の例示的な実装形態の別の側面図を示す。図1Dに示すシステム100の実装形態では、直流導体アセンブリ114は、列108になったラック106の近くで直流導体アセンブリ114がデータセンタービル102の全体を長さ方向に配置および延在するように、データセンタービル102の床132に取り付けられている。この例では、直流導体アセンブリ114は、ラック106の電子装置136が電気的に接続されたレール電力導体を形成してもよい。レール電力システムとして、直流導体アセンブリ114は、人が使用できる作業空間104に露出した導体としての剛構造部材であってもよい。図示しないが、図1Dでは、レール導体114の少なくとも一部は、レール導体114の上面のみが人が使用できる作業空間104に露出するよう、カバーまたは覆われていてもよい。
【0114】
この例では、レール導体114は、主電力(たとえば、直流電力)の供給源によって電力が供給された場合、ラック106に電気(たとえば、中電圧または低電圧)を送る通電している導体であってもよい。たとえば、いくつかの態様では、レール導体114は、直流電力(たとえば、750VDC、1000VDC)を通してもよい。その他の態様では、レール導体114は、中圧直流電力(たとえば、1000VDCを下回る電圧)を通してもよい。中圧直流電力は、ラック106において低圧電力にさらに変圧されて電子装置136に提供されてもよい。
【0115】
図1Dの例に示すように、ラック106(または、特定の列108内のラック106の少なくとも一部)が電気コネクタ122を通して各レール導体114に電気的に連結されてもよい。電気コネクタ122は、この例では、ラック(複数可)106の下部に取り付
けられ、かつ、コネクタ138を通してサーバートレイサブアセンブリ134の電子装置136に電気的に連結される。たとえば、この例における電気コネクタ122は、付勢されて(たとえば、ばね荷重されるなど)コネクタ122をレール導体114と電気接触させる1つ以上の連結アームを含む集電装置/導体シューであってもよい。
【0116】
いくつかの態様では、ラック106が動作位置(たとえば、レール導体114が設置される前、または、ストップ130とレール導体114との間)に移動された場合、集電装置/導体シューは、レール導体114と電気接触させられる、または電気接触から解除されてもよい。この例では、レール導体114は、ラック106の前面111と隣接して延在していると図示されている。別の実装形態では、レール導体114は、温風通路110内など、前面111の反対側であるラック106の裏側に隣接する、人が使用できる作業空間104の全体に延在してもよい。
【0117】
たとえば、人が使用できる作業空間104内でラック106が特定の列108に配置されると、ラック106は、床132に取り付けまたは連結されたストップ130に当接してもよい。ストップ130は、たとえば、人が使用できる作業空間104内で延在して列108の配置を定める線状部材(たとえば、アングル鉄またはその他)として配置されてもよい。よって、各ラック106の配備は、単純に、(たとえば、キャスターで移動させる)ラック106(電子装置136が既に設置されて電気コネクタ122に電気的に連結されている状態で)をストップ130に接触するまで移動させることを含んでもよく、ラック106が確実に列108内で正確に配置され、レール導体114に電気的に連結され、接地導体118に電気的に連結される。
【0118】
接地導体118は、この例に示すように、床132(たとえば、スラブ、上げ床、またはその他の支持面)内に埋め込まれ、人が使用できる作業空間104に少なくとも一部が露出した導体を含む。よって、ストップ130に接触する位置に移動させられると、ラック106は、導電性キャスター140(または、ラック106に電気的に接続されたその他の導電部材)を通して接地導体118に電気的に連結されてもよい。
【0119】
動作中、各ラック106は、特定の列108内の適切な位置に移動させられてもよい。ラック106は、電子装置136をすでにラック106内のサーバートレイサブアセンブリ134上に取り付けて、かつ、電気コネクタ122に電気的に接続していてもよい。ラック106が動作位置に移動させられた(たとえば、キャスターで転がされた)場合、たとえば、ストップ130に接触して接地導体118に電気的に接続された場合、電気コネクタ122は、付勢または移動させられてレール導体114と電気接続させられてもよい。いくつかの態様では、電気コネクタ122は、ラック106が接地導体118に接地されると(たとえば、人を介さずにまたは人間のオペレータを介さずに自動的に)電気接続させられるだけであってもよい。次に、電力(たとえば、直流電力)が、レール導体114を通過し、電気コネクタ122を通過して、ラック106の電子装置136に送電されてもよい。当然、いくつかの態様では、電気コネクタ122は、付勢または移動させられて、複数の(たとえば、2つ以上の)レール導体114(または、導体表面124)と同時または実質的に同時に(たとえば、数秒以内で)電気接続させられてもよい。
【0120】
図2Aおよび図2Bは、データセンター電力システム200の別の例示的な実装形態をそれぞれ上からおよび横から見た概略図である。一般に、直流電力システム200は、サーバー、プロセッサ、メモリモジュール、ネットワーク装置、ならびにその他のITおよびデータ処理装置など、データセンタービル202にある電子装置に電力を提供するように動作する。いくつかの態様では、電子装置に直接届けられた電力は、商用電力系統、発電機、太陽光発電もしくは風力発電、水力発電、原子力発電、またはその他の形態の電源など、電力の主電源からの直流電力である。いくつかの態様では、電力の主電源は、電子
装置に送電される前に直流電力に変換される交流電力を提供する。いくつかの態様では、1つ以上の変圧器が電力の主電源を中圧電力(たとえば、13.5kVAC、4160VAC)から低圧電力(たとえば、460VAC、230VAC)に、そして、電子装置に送電される前に直流電力(たとえば、750VDC、1000VDC)に変圧する。直流電力は、データセンタービル202の、人が使用できる作業空間204に少なくとも部分的に露出した導体によって電子装置に送電される。
【0121】
図2Aに示すように、データセンタービル202の、人が使用できる作業空間204に、複数のデータセンターラック208が配置される。いくつかの態様では、ラック208は、装置が配置されるための構造を提供することによって物理的に、そして、電力の主電源から(たとえば、整流器もしくは電力変換装置、変圧器、またはその両方を経由して)装置に電力を提供することによって電気的に電子装置を支持する。一般に、図に示すラック208(「サーバーラック」とも称する)は、各々、データセンタービル202内にいくつかあるサーバーラックのうちの1つであってもよい。データセンタービル202は、様々なラックマウント式のコンピュータシステムを含んだサーバーファームまたはコロケーション施設を含んでもよい。各サーバーラック208は、サーバーラック208内に整然と繰り返し配置される複数のスロットを定めてもよく、各スロットは、対応するサーバーラックサブアセンブリ218(図2Bに示す)が配置または取り外され得るラックにおける空間である。たとえば、サーバーラックサブアセンブリは、ラック208の両側から突出するレール上で支持され得る。レールは、スロットの位置を定め得る。また、複数のサーバーラックサブアセンブリ218がラック208内に搭載されていると図示しているが、サーバーラックサブアセンブリは、1つあるだけでもよい。
【0122】
図2Bに示すように、スロット、およびサーバーラックサブアセンブリ218は、図に示した横配置(重力に対して)で配置され得る。これに代えて、スロット、およびサーバーラックサブアセンブリ218は、縦方向(重力に対して)に配置され得る。スロットが横に配置された場合、当該スロットは、ラック208において縦に積み重ねられてもよく、スロットが縦に配置された場合、当該スロットは、ラック208において横に積み重ねられてもよい。
【0123】
たとえば、より規模の大きなデータセンターの一部としてのサーバーラック208は、データ処理および格納能力を提供してもよい。動作中、データセンターは、ネットワークに接続されていてもよく、データを取り出す、処理する、および/または格納するための様々な要求をネットワークから受け付け、かつ、それら要求に応答してもよい。動作中、たとえば、サーバーラック208は、通常、データセンターのコンピュータ上で実行中のアプリケーションが提供するサービスを要求するユーザのウェブブラウザアプリケーションによって生成されたユーザインタフェースとのネットワークを用いた情報の伝達を容易にする。たとえば、サーバーラック208は、ウェブブラウザを利用するユーザにインターネットまたはワールドワイドウェブ上のウェブサイトへのアクセスを提供または提供することに役立ってもよい。
【0124】
サーバーラックサブアセンブリ218は、サーバーラックに搭載され得るいろいろな構造のうちの1つであってもよい。たとえば、いくつかの実装形態では、サーバーラックサブアセンブリ218は、「トレイ」またはサーバーラック208にスライド可能に挿入できるトレイアセンブリであってもよい。用語「トレイ」は、特定の配置に限定されず、代わりに、マザーボードまたはマザーボードをラック構造における適切な位置に支持するための、マザーボードに付随するその他の比較的平坦な構造に該当する。いくつかの実装形態では、サーバーラックサブアセンブリ218は、サーバーシャーシ、またはサーバーコンテナ(たとえば、サーバーボックス)であってもよい。いくつかの実装形態では、サーバーラックサブアセンブリ218は、ハードドライブケージであってもよい。
【0125】
各サーバーラックサブアセンブリ218は、フレームまたはケージと、フレーム上で支持されるマザーボードなどのプリント回路基板と、1つ以上の電子装置220、たとえば、プリント回路基板に実装されたプロセッサまたはメモリとを含み得る。電子装置220は、たとえば、プロセッサ、メモリ、ハードドライブ、ネットワークスイッチ、またはその他のITコンポーネントを含み得る。冷却装置、ファン、無停電電源装置(UPS)(たとえば、バッテリモジュール)など、その他の付属装置がサーバーラックサブアセンブリ218(または、ラック208)に取り付けられ得る。
【0126】
図2A図2Bに示すように、データセンタービル202では、データセンターラック106がラック208の群206で配置されている。一般に、図2A図2Bに示すように、直流導体アセンブリ210は、人が使用できる作業空間204において、ラック208の群206の上方に平面的に配置されている。図に示すように、ラック208の各群206は、円形の配置であってもよい。その他の態様では、ラック208の群206は、円形以外の非線形な(たとえば、列ではない)配置であってもよい。
【0127】
この例では、直流導体アセンブリ210は、サーバーラック208の群206の上方に、人が使用できる作業空間204の全体の面方向に延在する導体表面211を含む。直流導体アセンブリ210は、(たとえば、1つ以上の変圧器および整流器を経由して)主要直流電力の供給源からの直流電力を送電する平面状のアセンブリ210を十字に交差配置する複数の通電している導体212および214を備える。たとえば、図2Aに示すように、通電している導体212および214は、人が使用できる作業空間204の端から端までのそれぞれの直交方向に延在する。いくつかの態様では、通電している導体212および214は、アセンブリ210の平坦な面211に電力(たとえば、直流電力)を送電し、平坦な面211を電気的に通電させて導電性を有する面にし得る。
【0128】
図2Bにさらに示すように、複数の接地導体226も、人が使用できる作業空間204の全体に延在する。この例では、接地導体226は、データセンタービル202の床228の全体に並列配置された状態で延在している。各接地導体226は、直流導体アセンブリ210によって送電される直流電力の「アース」または接地(または、これに代えて、高インピーダンスまたはしっかりと接地されたシステム)までの低インピーダンス経路を提供する。
【0129】
図示しないが、図2Aには、データセンタービル202は、データセンター冷却システムも備えてもよい。たとえば、データセンター冷却システムは、図1Aおよび図1Bにそれぞれ示すシステム112または120と同様または同一であってもよい。その他の態様では、データセンター冷却システムは、冷却された液体、直接膨張式冷媒、蒸発冷却、またはその他を利用した従来のオーバーヘッド冷却システムまたは従来の床下冷却システムを含んでもよい。
【0130】
図2Bを参照すると、この図は、図2Aに示すデータセンター電力システム200の例示的な実装形態の側面図を示す。図2Bに示すシステム200の実装形態では、直流導体アセンブリ210は、直流導体アセンブリ210(ならびに、電気的に導体表面211に電力を供給する十字に交差配置された導体212および214)がラック206の群206の上部の上方に吊り下げられるよう、(たとえば、データセンタービル102の天井またはその他のオーバーヘッド構造によって)支持されている。
【0131】
この例では、導体表面211は、導体212および214を通して主電力(たとえば、直流電力)の供給源によって電力が供給されると、ラック208に電気(たとえば、中電圧または低電圧)を送る通電している導体表面になってもよい。たとえば、いくつかの態
様では、導体表面211は、直流電力(たとえば、750VDCまたはその他の1000VDCを下回る電圧)を通してもよい。その他の態様では、導体表面211は、直流電圧の電力を通してもよい。当該直流電圧の電力は、ラック208においてさらに別の電圧の電力に変圧されて電子装置218に提供されてもよい。
【0132】
図2Bの例において示すように、各ラック208(または、特定の群206内のラック208の少なくとも一部)は、電気コネクタ216を通して導体表面211に電気的に連結されてもよい。電気コネクタ216は、ラック(複数可)208に取り付けられ、コネクタ222を通してサーバートレイサブアセンブリ218の電子装置220に電気的に連結されている。たとえば、電気コネクタ216は、付勢されて(たとえば、ばね荷重されるなどして)コネクタ216を導体表面211と電気接触させる1つ以上の連結アームを含むパンタグラフであってもよい。
【0133】
いくつかの態様では、ラック208が動作位置に移動されたときに、パンタグラフが降下または導体表面211と電気接触してもよい。たとえば、人が使用できる作業空間204でラック208が特定の群206に配置される。図2Bでは、図1C図1Dに示すストップ130のようなラック停止部を示していないが、同様のストップまたはガイド装置を用いてラック208を正確に群206に配置してもよい。その他の態様では、オペレータがストップまたはガイドなしに特定のラック208を群206に移動してもよい。たとえば、導体表面211によって、ラック208の上方の、人が使用できる作業空間204のすべてまたはほとんどのエリアに、導電性を有する表面211が提供され得るので、人が使用できる作業空間204内の特定の位置にラック208が配置されなくてもよい。
【0134】
各接地導体226は、この例に示すように、床228(たとえば、スラブ、上げ床、またはその他の支持面)内に埋め込まれ、人が使用できる作業空間204に少なくとも一部が露出した導体を含む。よって、適切な位置に移動させられると、ラック208は、導電性キャスター224(または、ラック208に電気的に接続されるその他の導電部材)を通して接地導体226に電気的に連結されてもよい。
【0135】
動作中、各ラック208は、特定の群206内の適切な位置(または、人が使用できる作業空間204の規則的な、不規則な、グループ化されない位置)に移動させられてもよい。ラック208は、電子装置220をすでにラック208内のサーバートレイサブアセンブリ218上に取り付けて、かつ、電気コネクタ216に電気的に接続していてもよい。ラック208が動作位置に移動させられた(たとえば、キャスターで転がされた)場合、たとえば、接地導体226に電気的に接続された場合、電気コネクタ216は、付勢または移動させられて導体表面211と電気接続させられてもよい。いくつかの態様では、電気コネクタ216は、ラック208が接地導体226に接地されると(たとえば、人を介さずにまたは人間のオペレータを介さずに自動的に)電気接続させられるだけであってもよい。次に、電力(たとえば、直流電力)は、導体表面211を通過し、電気コネクタ216を通過して、ラック20の電子装置2208に送電されてもよい。
【0136】
図3Aは、直流データセンター電力モジュール300(「直流電力モジュール300」)の概略図である。一般に、直流電力モジュール300は、複数のデータセンターラック、またはサーバーラックを、データセンターの主電源(または、供給源)への複数の電気経路に電気的に連結する。さらには、直流電力モジュール300は、データセンターのサーバーラック毎に切替可能な(たとえば、手動または自動で)電源を可能にしてもよく、確実にいずれの特定のラックも、余剰のために、複数の電源経路によって主電力の1つ以上の供給源に接続されている。よって、主電源からの特定の経路が、(たとえば、動作不良またはその他によって)サーバーラックから電気的に連結解除された場合、電力をサーバーラックに送電するために余剰経路が利用可能である。
【0137】
図3Aに示すように、直流電力モジュール300は、複数の切替スイッチ320を収容する筐体302(たとえば、エンクロージャ、キャビネット、またはその他)を備える。いくつかの態様では、直流電力モジュール300は、特定のサーバーラック群(たとえば、列、列の一部、直線状でない群、またはその他)内のサーバーラックの数よりも多い数(たとえば、2倍)の切替スイッチ320を備えてもよい。各切替スイッチ320は、自動切替スイッチであってもよく、手動切替スイッチであってもよい。たとえば、各切替スイッチ320は、1つの電源経路から特定のサーバーラックへの電力(たとえば、直流電力)の送電を制御してもよい。
【0138】
図3Aに示すように、各切替スイッチ320は、主要(または、第1の)電力接続316を通して主要(または、第1の)直流電力バス304に連結されるか、二次(または、第2の)電力接続318を通して二次(または、第2の)直流電力バス306に連結されるかのいずれかである。一般に、主要および二次電力バス304および306は、バスバー(たとえば、銅製バスバー)を備えてもよい。主要直流電力バス304は、筐体302(かつ、できればデータセンタービルの外に)の外部で主要コンバータ314に電気的に連結される。二次直流電力バス306は、筐体302(かつ、できればデータセンタービルの外に)の外部で二次コンバータ312に電気的に連結される。いくつかの態様では、主要と二次直流電力バス304および306とは、筐体302内で分離されている(たとえば、物理的に、電気的に、またはその両方)。
【0139】
各コンバータ312および314は、一般に、主電力の1つ以上の供給源(308および310)から電力を受電し、調整された電力をそれぞれの直流電力バス304および306に送電する。たとえば、いくつかの態様では、主電源は、電力系統電源308および予備発電機電源310であってもよい。主電力その他の供給源は、電力系統電源308および発電機電源310とは独立して、たとえば、太陽光発電、風力発電、原子力発電、天然ガス、または石炭電源などを含んでもよい。
【0140】
コンバータ312および314によって送電される調整された電力は、交流電力から直流電力に調整されてもよい。たとえば、電力308および310の主電源が交流電力を生成し、コンバータ312および314が交流電力を直流電力に変換して直流電力モジュール300に送電してもよい。さらには、電力の主電源が中圧電力(たとえば、13.5kV)を生成またはコンバータ312および314に送電してもよい。コンバータ312および314(変圧器としても動作する)は、高圧電力を低圧電力(たとえば、200Vと5000Vとの間)またはさらに直流電力(たとえば、1000VDC未満)に変圧してもよい。よって、コンバータ312および314の各々は、電力変換装置(たとえば、交流から直流に)または電力変換/変圧装置を表してもよい。
【0141】
この例に示すように、切替スイッチ320の各ペアが1つの電気導体322に接続する。当該電気導体322は、筐体302の外部に延在してデータセンターの(何十、何百、さらには何千ものサーバーラックのうちの)特定のサーバーラックに電気的に連結する。よって、直流電力モジュール300のこの例示的な実装形態では、各サーバーラックは、特定の一対の切替スイッチ320に電気的に連結され、当該特定の一対の切替スイッチ320を通して電力(たとえば、直流電力)を受電する。
【0142】
いくつかの態様では、直流電力バス304および306は、バス304または306の一方が機能していない場合であっても、直流電力が直流電力モジュール300からサーバーラックに必ず送電される、別個に保守可能なバスバーを可能にする。たとえば、場合によっては、電力バス304または306の一方がメンテナンスまたは修繕のために機能していない場合がある。このような場合、電力バス304および306の各々は、バス30
4または306の他方(保守されていない)が直流電力を切替スイッチ320に送電しつつ、別々に保守可能であってもよい。
【0143】
図3B図3Cは、図3Aの1つ以上の直流データセンター電力モジュール300によって電力が供給されるラック358を有するデータセンター350の例示的な実装形態の概略図である。たとえば、人が使用できる作業空間354を定めるデータセンタービル352を含んだ図3Aの例示的なデータセンター350では、2つ直流電力モジュール300があり、各モジュール300は、特定的には、データセンター350のサーバーラック358の定められた部分を提供する。この例では、当該特定の部分は、2つの隣接する列356に位置するラック358を含む。よって、この例では、電力(たとえば、直流電力)がラック358の2つの列356に提供される、一意かつ独立した直流電力モジュール300がある。
【0144】
これに代えて、いくつかの構成例では、1つの列356のラック358は、1つの特定の直流電力モジュール300(たとえば、列358の直流電力モジュール300との1対1の割合)から電力の提供を受けてもよい(たとえば、直流電力を受電してもよい)。いくつかの他の構成例では、ラック358の1列356は、2つ以上の直流電力モジュール300(たとえば、列358と直流電力モジュール300との1対nの割合。但し、n>1)から電力の提供を受けてもよい(たとえば、直流電力を受電してもよい)。いくつかの他の構成例では、ラック358の2列356以上が1つの直流電力モジュール300(たとえば、列358と直流電力モジュール300とのn対1の割合。但し、n>1)から電力の提供を受けてもよい(たとえば、直流電力を受電してもよい)。当然、いくつかの例示的な実装形態では、いくつかの数のラック358が直線状でない配置(たとえば、1つのかたまり、またはその他の配置など)にグループ化されて、1つ以上の直流電力モジュール300が1つの特定のまたは複数の群のラック358に電力を提供してもよい。
【0145】
図3Bを参照すると、この図の例示的なデータセンター350では、2つの直流電力モジュール300があり、各モジュール300は、いくつかの列356の1つ以上のラック358に提供する。この例では、直流電力モジュール300のうちの1つは、この配置例に示す各列356のいくつかの数のラック358に電力を提供する。たとえば、図に示すように、各列356のラック358の一部360が各直流電力モジュール300によって電力の提供を受ける。よって、たとえば、動作不良の場合または特定の直流電力モジュール300から電力(たとえば、直流電力)が送電できない場合、ラック358の列356全体の電力(よって、動作)が喪失することはない。このような配置では、1つの列(または、直線状でない群)のサーバーラック358が1つの直流電力モジュール300の喪失によって動作不能にならないよう、送電を多様化することができる。
【0146】
図4は、1つ以上のサーバーラック410と電力制御システム406との間で電力およびデータを伝送する1つ以上のデータセンター電源コネクタ412を利用する電力制御システム406を備えたデータセンター400の概略図である。伝送されたデータに基づいて、たとえば、電力制御システム406は、データセンター400の1つ以上の仮想モデルを生成してもよい。いくつかの態様では、仮想モデルによって、特に、以下のようなタスクを行う際の効率(たとえば、コスト、時間、マンパワー、その他)が向上するだろう。サーバーラック410およびラック410において支持されている1つ以上の電子装置の棚卸し作業;サーバーラック410およびラック410において支持されている1つ以上の電子装置を、データセンター400の、人が使用できる作業空間404内で地理的に特定する作業;サーバーラック410およびラック410において支持されている1つ以上の電子装置を、データセンター400のネットワークトポロジー404内で特定する作業;サーバーラック410およびラック410において支持されている1つ以上の電子装置を、データセンター400の冷却トポロジー内で特定する作業;ならびに、サーバーラ
ック410およびラック410において支持されている1つ以上の電子装置を、データセンター400の電力トポロジー内で特定する作業。
【0147】
図4のデータセンター400の概略図は、簡略化されており、送電構造、冷却構造、およびネットワーク構造など、特定の構造を図示していない。そのため、図4のデータセンター400の例示的な実装形態は、たとえば、図1A図1D図2A図2B、および図3A図3Cのうちのいずれか1つに示す直流電力システム、および、直流電力をサーバーラックの電子装置に送電するための直流電力送電システム、サーバーラックの電子装置を冷却するための冷却システム、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、ピアツーピアネットワーク(アドホックまたは静的メンバを有する)、グリッドコンピューティングインフラストラクチャ、およびインターネットなどの1つ以上のネットワークに電子装置を、適宜、通信可能に連結するネットワーキングシステムを含むその他の電力構造、冷却構造、またはネットワーク構造を有して実装され得る。例示的な電力制御システム406は、(たとえば、1つ以上の整流器および変圧器を経由して)主電力408の供給源に電気的に連結されている。
【0148】
図に示すように、電力制御システム406は、電源コネクタ412を通してサーバーラック410に通信可能に電気的に連結されている。電力制御システム406は、いくつかの態様では、たとえば、直流電力をサーバーラック410に送電するマイクロプロセッサベースの電力提供システムなど、コントローラベースの電力提供システムであり得る。たとえば、電源コネクタ406は、コントローラベースのデータセンター電力モジュール300であり得る。また、電源コネクタ406は、データセンター電力システム100またはデータセンター電力システム200の少なくとも一部であり得る。よって、電源コネクタ412は、いくつかの態様では、1つ以上の直流電力モジュール300、直流電力導体114、または直流導体アセンブリ210にサーバーラック410を接続するために使用され得る。
【0149】
各電源コネクタ412は、1つ以上のサーバーラック410に交流または直流電力を送電して、電子装置(たとえば、プロセッサ、メモリ、ネットワーク装置、ファンなどの冷却装置、およびその他)に電源を供給し得る。また、各電源コネクタ412は、サーバーラックと(たとえば、電子装置と)制御システム406との間でデータを伝送し得る。たとえば、いくつかの態様では、各電源コネクタ412は、データおよび交流または直流電力を同時に伝送する電力線通信(PLC:Power−Line Communications)導体を含む。PLC導体は、広帯域または狭帯域PLC導体であり得、デジタル情報および直流電力を届け得る。たとえば、PLC導体は、CANバス、DC−LIN(LIN−bus over power line)、DC−BUS、およびLonWorksなど、いくつかある標準の直流PLC導体のうちの1つであり得る。さらに別の例として、直流PLC導体として、電源コネクタ412は、PLCにSAE J1772規格を利用し得る。
【0150】
前述したように、各電源コネクタ412は、電力およびデータの両方を伝送する1つの導体を備え得る。これに代えて、各電源コネクタ412は、1つのシースまたはコンジット内で連結された2つの導体を備える。たとえば、導体のうちの一方がデータを伝送し、導体のうちの他方が電力を伝送し得る。
【0151】
動作中、電源コネクタ412を用いて電力制御システム406をサーバーラック410に電気的に接続することに続いて、直流電力が電源コネクタ412を通してサーバーラック410に送電されて、電子装置に電力を供給する。電源コネクタ406をサーバーラック410に通信可能に電気的に連結すると、電源コネクタ406は、ラック410と電源コネクタ406との間でデータ転送を開始し、1つ以上の仮想モデルを生成してもよい。
たとえば、接続されると、電源コネクタ406は、電源コネクタ412を通してサーバーラック412をポーリング(または、情報を要求)してもよい。要求された情報は、たとえば、各サーバーラック410の各電子装置(たとえば、プロセッサ、メモリ、スイッチ、またはその他)の名前、型番、または製造番号、サーバーラックの名前または名称、およびその他の識別情報など、サーバーラック410およびサーバーラック上で支持された電子装置のそれぞれについての「識別」情報を含んでもよい。このような要求またはポーリングは、たとえば、定期的に、サーバーラックがデータセンター400に設置された後に1度だけ、サーバーラックさらにはサーバーラック内の電子装置を移動または交換する度に毎回行われてもよい。
【0152】
識別情報が電源コネクタ406に伝達されると、電源コネクタ406は、データセンター400の1つ以上の仮想モデルを構築または完成させてもよい。1つの例示的な仮想モデルは、地理的トポロジーモデルであってもよい。たとえば、電源コネクタ406は、サーバーラック410さらには各サーバーラック410内の電子装置ごとの識別情報を、データセンタービル402の、人が使用できる作業空間404内の具体的な地理的位置と対応付けてもよい。いくつかの態様では、電源コネクタ406は、GPSまたはその他の地理対応付け技術を用いて識別情報を具体的な地理的位置と対応付けてもよい。その他の態様では、サーバーラック410を配備する前に、電源コネクタ406は、データセンター400の「空の(blank)」地理的トポロジーを含むまたは格納してもよい。「空の」地理的トポロジーは、サーバーラック410の提案位置を含むが、特定のサーバーラック410を(たとえば、列における、群における、またはその他の)提案位置と対応付けた識別情報を含まない。そのため、受信した識別情報を提案位置に入力して地理的トポロジーの仮想モデルを生成してもよい。いくつかの態様では、特定のサーバーラック410およびサーバーラック410内の個々の構成要素の具体的な位置が分かるように、生成された地理モデルを利用してもよい。よって、たとえば、ある構成要素が故障または動作不良を起こした場合、(このような構成要素を何百、何千、何万と備えている可能性がある)データセンター400内のその位置が効率よく特定されるだろう。
【0153】
別の例示的な仮想モデルは、ネットワークトポロジーモデルであってもよい。たとえば、サーバーラック410を配備する前に、電源コネクタ406は、サーバーラック410の提案ネットワークドメインを含んだ、データセンター400の「空の」ネットワークトポロジーを含むまたは格納してもよい。各ネットワークドメインによって、データセンター400内で共通ネットワークに通信可能に連結されたサーバーラック410(および、このようなラック410上で支持される電子装置)の数が定められてもよい。「空の」ネットワークトポロジーは、特定のサーバーラック410を(たとえば、ラックの列、ラックの群、またはその他によって定められる)提案ネットワークドメインに対応付ける識別情報を含まない可能性がある。そのため、受信した識別情報を提案ドメインに入力してネットワークトポロジーの仮想モデルを生成してもよい。いくつかの態様では、特定のサーバーラック410およびサーバーラック410内の個々の構成要素が含まれている具体的なネットワークドメインが分かるように、生成されたネットワークモデルを利用してもよい。よって、たとえば、あるネットワークドメインが故障または動作不良を起こした場合、特定のラック410または故障したドメイン内のラック410内の電子装置は、たとえば、別のドメインに送られてもよい。
【0154】
別の例示的な仮想モデルは、冷却トポロジーモデルであってもよい。たとえば、サーバーラック410を配備する前に、電源コネクタ406は、サーバーラック410の提案冷却ドメインを含んだ、データセンター400の「空の」冷却トポロジーを含むまたは格納してもよい。各冷却ドメインによって、データセンター400内で特定の冷却ユニット(たとえば、ファンコイルユニット、CRACユニット、チラー、冷却タワー、ファン、ポンプ、ヒートポンプ、コンデンシングユニット、またはその他などの蒸発冷却ユニット)
によって冷却されるサーバーラック410(および、このようなラック410上で支持される電子装置)の数が定められてもよい。「空の」冷却トポロジーは、特定のサーバーラック410を(たとえば、ラックの列、ラックの群、またはその他によって定められる)提案冷却ドメインに対応付ける識別情報を含まない可能性がある。そのため、受信した識別情報を提案ドメインに入力して冷却トポロジー仮想モデルを生成してもよい。いくつかの態様では、特定のサーバーラック410およびサーバーラック410内の個々の構成要素が含まれている具体的な冷却ドメインが分かるように、生成された冷却モデルを利用してもよい。よって、たとえば、1つの冷却ドメインが(たとえば、このようなドメインの1つ以上の冷却ユニットの故障によって)故障または動作不良を起こした場合、故障したドメイン内のラック410内の特定のラック410または電子装置は、たとえば、別の冷却ドメインに移動されてもよく、または、故障したドメイン内のラック410を冷却するように別の冷却ドメインが(たとえば、気流またはその他の冷却流量を上げて)調整されてもよい。これに加えて、いくつかの態様では、冷却トポロジーは、冷却ドメイン内の1つ以上の冷却ユニットの故障を判断するために利用されてもよい。たとえば、特定のラック410の電子装置の温度、特定のラック410から出る(たとえば、ラック410に隣接する温風通路に入る)気流の温度、またはその他のパラメータなど、特定のサーバーラック410の検知されたパラメータ(たとえば、温度またはその他)に基づいて、電源コネクタ406は、特定のサーバーラック410が位置する冷却ドメインを担当する1つ以上の冷却ユニットが故障したまたは機能していないと判断してもよい。よって、メンテナンスまたは故障した冷却ユニット(複数可)の交換が行われるだろう。
【0155】
別の例示的な仮想モデルは、電力トポロジーモデルであってもよい。たとえば、サーバーラック410を配備する前に、電源コネクタ406は、サーバーラック410の提案パワードメインを含んだ、データセンター400の「空の」電力トポロジーを含むまたは格納してもよい。各パワードメインによって、データセンター400内で共通のパワードメイン上で電気的に連結されたサーバーラック410(および、このようなラック410上で支持される電子装置)の数が定められてもよい。いくつかの態様では、1つ以上のサーバーラック410、電子装置、または、データセンター電力システムの特定の電力導体、データセンター電力システムの特定の直流電力モジュール、データセンター電力システムの特定の変圧器、データセンター電力システムの特定の整流器、データセンター電力システムの特定の電源、もしくはデータセンター電力システムのこのような構成要素の組合せから電力を受電する、電力を消費するその他の装置(たとえば、冷却または照明)の群として、パワードメインが定められてもよい。「空の」電力トポロジーは、特定のサーバーラック410を提案パワードメインに対応付ける任意の識別情報を含まない可能性がある。そのため、受信した識別情報を提案ドメインに入力して電力トポロジー仮想モデルを生成し、配備されたサーバーラック410(および関連する電子装置)を提案パワードメインのうちの少なくとも1つとリンク付けしてもよい)。いくつかの態様では、特定のサーバーラック410およびサーバーラック410内の個々の構成要素が含まれている具体的なパワードメインが分かるように、生成された電力モデルを利用してもよい。よって、たとえば、パワードメイン(たとえば、このようなドメインの一部である電力コンポーネント)が故障または動作不良を起こした場合、特定のラック410または故障したドメイン内のラック410内の電子装置は、たとえば、別のパワードメインから送られた電力を受電してもよい。
【0156】
仮想モデル例のうちの1つ以上は、たとえば、更新された識別情報に基づいて定期的に(たとえば、随時、所定の期間ごとに、動的にリアルタイムなど)更新されてもよい。たとえば、電源コネクタ406は、ラック410と電源コネクタ406との間で伝送される識別情報のために開始またはポーリングされてもよい。これは、定期的に発生してもよい(たとえば、週に1回、月に1回、1日に1回、またはその他)。これは、データセンターのオペレータによって開始されたとき、1つ以上の電子装置またはサーバーラックが(
たとえば、物理的または仮想的に)調整されたときなども、動的に発生してもよい。それぞれのサーバーラック410およびサーバーラック上で支持される電子装置についての識別情報は、(たとえば、サーバーラック410またはデータセンターの初期始動の)後のデータ転送で更新されてもよい。識別情報が更新済みであると確認されると、生成された仮想モデル(複数可)を新しい識別情報で更新してもよい。
【0157】
記載の仮想モデルを生成することによって、サーバーラックおよび/または電子装置のデータセンター内での位置を特定することについて、従来技術と比べていくつかの利点がもたらされるであろう。たとえば、従来技術では、(データセンターの何十、何百、または何千ものラックの中の)各サーバーラックの個々の位置を人間のオペレータが目視で確認および記録することが含まれている可能性がある。このような目視による確認および記録は、誤りや不備をはらんでおり、これは、本開示に係る生成された仮想モデルによって低減または排除できる。たとえば、サーバーラックに特有の識別情報および電子装置に特有の識別情報の識別および記録が電力制御システム406によって自動的に行われるので、生成された仮想モデルは、より正確であろう。さらには、このような電力制御システム406によるサーバーラックに特有の識別情報および電子装置に特有の識別情報の識別および記録は、サーバーラックまたは電子装置を移動、撤去、または交換する度など、いつでも、そして従来技術よりも何倍も簡単に開始および完了させることができる。これに加えて、特定のデータセンターインフラストラクチャの設備(たとえば、冷却ユニット、送電コンポーネント、ネットワークコンポーネント)を交換することによる、生成された仮想モデルへの影響はないだろう。また、記載の仮想モデルは、冷却要件、電力要件、資産診断および管理のためのサーバーラックおよび/または電子装置の動的またはリアルタイム状態、ならびにデータセンターの床の動的マッピングを提供してもよい。
【0158】
図5は、電力制御システム406など、データセンター電力システムの例示的なコントローラ500(または、制御システム)の概略図である。たとえば、コントローラ500は、電源コネクタ412など、1つ以上の電源コネクタを含むデータセンター電力システムと通信可能に連結されてもよく、または、当該データセンター電力システムの一部であってもよく、電子装置を支持する1つ以上のラックに電力を提供する。
【0159】
コントローラ500は、PCB(Printed Circuit Board)、プロセッサ、デジタル回路、または車両の一部であるその他など、様々な形態のデジタルコンピュータを含むよう、意図される。これに加えて、システムは、USB(Universal Serial Bus)フラッシュドライブなど、持ち運び可能な記憶媒体を含み得る。たとえば、USBフラッシュドライブは、オペレーティングシステムおよびその他のアプリケーションを格納してもよい。USBフラッシュドライブは、ワイヤレス送信器または別のコンピューティングデバイスのUSBポートに挿入でき得るUSBコネクタなど、入出力コンポーネントを含み得る。
【0160】
コントローラ500は、プロセッサ510と、メモリ520と、記憶装置530と、入出力装置540とを備える。構成要素510、520、530、および540の各々は、システムバス550を用いて互いに接続されている。プロセッサ510は、コントローラ500内で実行するための命令を処理することができる。プロセッサは、任意の数のアーキテクチャを利用して設計されてもよい。たとえば、プロセッサ510は、CISC(Complex Instruction Set)プロセッサ、RISC(Reduced Instruction Set Computer)プロセッサ、または、MISC(Minimal Instruction Set Computer)プロセッサであってもよい。
【0161】
一実装形態では、プロセッサ510は、シングルスレッドプロセッサである。別の実装
形態では、プロセッサ510は、マルチスレッドプロセッサである。プロセッサ510は、メモリ520にまたは記憶装置530上に格納された命令を処理して、入出力装置540上のユーザインタフェースのためのグラフィック情報を表示することができる。
【0162】
メモリ520は、コントローラ500内の情報を格納する。一実装形態では、メモリ520は、コンピュータ読み取り可能な媒体である。一実装形態では、メモリ520は、揮発性記憶装置である。別の実装形態では、メモリ520は、不揮発性記憶装置である。
【0163】
記憶装置530は、コントローラ500用の大容量ストレージを提供することができる。一実装形態では、記憶装置530は、コンピュータ読み取り可能な媒体である。様々な異なる実装形態では、記憶装置530は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、またはテープ装置であってもよい。
【0164】
入出力装置540は、コントローラ500の入出力動作を提供する。一実装形態では、入出力装置540は、キーボードおよび/またはポインティングデバイスを含む。別の実装形態では、入出力装置540は、グラフィカルユーザインタフェースを表示するためのディスプレイ装置を含む。
【0165】
記載の特徴は、デジタル電子回路で、または、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアで、または、それらの組合せで実現され得る。装置は、情報担体、たとえば、プログラマブルプロセッサによって実行される機械読み取り可能な記憶装置に有形に含まれるコンピュータプログラムプロダクトで実現され得、入力データを操作して出力を生成することによって記載の実装形態の機能を実行する命令からなるプログラムをプログラマブルプロセッサが実行することによって、方法ステップが実行され得る。記載の特徴は、有利には、データ記憶システム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置とデータおよび命令を送受信するために連結された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを備えるプログラマブルシステム上で実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムで実現され得る。コンピュータプログラムは、特定のアクティビティを実行するまたは特定の結果をもたらすためにコンピュータにおいて直接または間接的に利用され得る命令セットである。コンピュータプログラムは、コンパイラ言語またはインタプリタ言語など、いかなる形式のプログラミング言語によっても書くことができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境において使用するのに適したその他の構成単位としてなど、いかなる形態にもデプロイできる。
【0166】
命令を含んだプログラムを実行するのに適したプロセッサとして、一例として、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方、および単独のプロセッサまたは任意の種類のコンピュータに含まれる複数のプロセッサのうちの1つなどがある。一般的に、プロセッサは、ROM(Read−Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、またはその両方から命令およびデータを受信することになる。コンピュータの必須の構成要素は、命令を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを格納するための1つ以上のメモリである。また、一般的に、コンピュータは、データファイルを格納するための1つ以上の大容量記憶装置を含むまたは当該装置に動作可能に連結される。このような装置は、内蔵ハードディスクおよびリムーバルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、および光ディスクを含む。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に含むのに適した記憶装置は、すべての形態の不揮発性メモリを含み、一例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリ装置などの半導体記憶装置、内蔵ハードディスクおよびリムーバルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMおよびDVD−ROMディスクなどが挙げられる。プロセッサおよびメモリは、特定用途向け集積回路(ASIC:Applicatio
n−Specific Integrated Circuit)によって補われ得、特定用途向け集積回路に内蔵され得る。
【0167】
ユーザとのやり取りを可能にするために、特徴は、ブラウン管(CRT)または液晶ディスプレイ(LCD)モニタなど、ユーザに情報を表示するための表示装置と、マウスまたはトラックボールなど、ユーザがコンピュータに入力を行えるキーボードおよびポインティングデバイスとを備えたコンピュータ上に実装され得る。これに加えて、このようなアクティビティは、タッチスクリーンフラットパネルディスプレイおよびその他の適したメカニズムを介して実施され得る。
【0168】
これらの特徴は、データサーバなど、バックエンドコンポーネントを備える制御システム、アプリケーションサーバーまたはインターネットサーバーなど、ミドルウェア・コンポーネントを備える制御システム、グラフィカルユーザインタフェースまたはインターネットブラウザを有するクライアントコンピュータなど、フロントエンドコンポーネントを備える制御システム、またはそれらの任意の組合せで実現され得る。システムの構成要素は、通信ネットワークなど、デジタルデータ通信の任意の形態または媒体によって接続され得る。通信ネットワークとして、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、ワイドエリアネットワーク(「WAN」)、ピアツーピアネットワーク(アドホックまたは静的メンバを有する)、グリッドコンピューティングインフラストラクチャ、およびインターネットなどが挙げられる。
【0169】
本明細書は、多くの具体的な実装形態の詳細を含むが、これらは、発明または請求の範囲の限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の発明の特定の実装形態に特有の特徴の説明であると解釈されるべきである。別々の実装形態の枠内で本明細書に記載のいくつかの特徴は、組み合わされて1つの実装形態で実現され得る。その逆に、1つの実装形態の枠内で記載されたさまざまな特徴は、別々の複数の実装形態または任意の適した部分的な組み合わせで実現することもできる。また、特徴は、いくつかの実装形態で動作するものとして上述され、そのように最初にクレームされ得たが、クレームされた組み合わせからの1つ以上の特徴は、場合によっては、組み合わせから削除することができ、クレームされた組み合わせは、部分的な組み合わせ、または部分的な組み合わせの変形例を対象としてもよい。
【0170】
同様に、動作を特定の順番で図面に示したが、所望の結果を実現するために、示された特定の順番または順序でこのような動作が行われる、または、図示した動作のすべてが行われる必要があると理解されるべきではない。いくつかの状況では、多重タスク処理および並列処理が有利である場合がある。また、上述の実装形態におけるさまざまなシステム構成要素を分離することは、このような分離がすべての実装形態において必要であると理解されるべきではなく、記載のプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、1つのソフトウェアプロダクトに一体化され得るまたは複数のソフトウェアプロダクトにパッケージ化され得ると理解されるべきである。
【0171】
いくつかの実装形態を説明したが、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、さまざまな変更がなされてもよいことが理解されるだろう。たとえば、本明細書に記載の例示的な動作、方法、または処理は、記載のステップよりも多いまたは少ないステップを含んでもよい。さらには、このような例示的な動作、方法、または処理におけるステップは、記載した順序または図に示した順序とは異なる順序で実行されてもよい。したがって、他の実装形態は、添付の特許請求の範囲に含まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5