(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料ガスの組成変動を抑制するタンクにおいて、活性炭等の吸着材が充填されたタンク本体には、燃料ガスが出入りするための開口部が設けられる。そして、この開口部を通じての活性炭の漏出を抑制するために、タンク本体の内部に、パンチングメタル等のメッシュ部材が取り付けられることがある。
【0006】
しかし、このようにメッシュ部材を備えたタンク(ガス組成変動抑制タンク)を製造する場合は、タンク本体に鏡板(タンクの両側を塞ぐ板)を溶接する前に、タンク本体の内部にメッシュ部材を溶接し、その後に、タンク本体の外側から鏡板を溶接する必要が生じる。このため、タンク製造にかかるコストが多くなる。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、低コストで製造できるガス組成変動抑制タンクと、このガス組成変動抑制タンクに用いられるストレーナを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一態様のガス組成変動抑制タンクでは、内部に吸着材が充填されるタンク本体と、前記タンク本体に設けられて前記タンク本体への流体の出入りを可能とする複数の開口部の少なくとも1つから前記タンク本体の外側に延出される管部と、前記管部内に位置する基部と、前記管部の軸方向
に向けて見て前記管部の内周内に収まる形状で前記基部から突出して前記タンク本体内に位置し
前記タンク本体内で前記吸着材に接触する突出部と、を備え、前記タンク本体と前記管部との前記流体の通過は許容し前記吸着材の通過は阻止するストレーナと、前記ストレーナを前記管部に固定する固定部と、を有する。
【0009】
このガス組成変動抑制タンクでは、1つの開口部を通じてタンク本体の内部に燃料ガスを導入し、他の開口部を通じてタンク本体から外部に燃料ガスを排出できる。燃料ガスにおいては、可燃性ガスの成分に応じて吸着材に対する吸着特性及び脱着特性が異なる。燃料ガスがタンク本体の内部を通過する際に、このように可燃性ガスの成分によって吸着特性及び脱着特性が異なることを利用し、燃料ガスの組成変動を抑制できる。
【0010】
開口部の少なくとも1つからは管部がタンク本体の外部に延出されている。この管部に、燃料ガスが流れる配管を接続することができる。
【0011】
ガス組成変動抑制タンクは、タンク本体と管部との流体の通過は許容し吸着材の通過は阻止するストレーナを有している。したがって、タンク本体への燃料ガスの出入りを阻害することなく、タンク本体からの吸着材の漏出を抑制できる。
【0012】
ストレーナの基部は、管部内に位置しており、ストレーナの突出部は、管部の軸方向
に向けて見て管部の内周内に収まる形状で基部から突出してタンク本体内に位置し
タンク本体内で吸着材に接触している。そしてストレーナは、固定部によって管部に固定される。ストレーナを筒部に対し、タンク本体の反対側から挿入して固定でき、タンク本体の内部にメッシュ部材を取り付ける必要がないので、低コストでガス組成変動抑制タンクを製造できる。
【0013】
突出部は、基部からタンク本体の内部に突出しており、この突出部がない構造と比較して、タンク本体の内部におけるストレーナの表面積が広い。すなわち、広い表面積である突出部を燃料ガスが通過できるので、燃料ガスがストレーナを通過する際の流動抵抗が大きくなることを抑制できる。
【0014】
第二態様では、第一態様において、少なくとも前記突出部に、当該突出部の内周側と外周側とを貫通する複数の貫通部を有している。
【0015】
これにより、突出部の内周側と外周側とを、貫通部を通じて燃料ガスが移動できる。
【0016】
第三態様では、第二態様において、前記基部は、前記開口部の内周面と対向している。
【0017】
管部内において、開口部は、管部とタンク本体との境界部分でもある。ストレーナの基部が開口部の内周面と対向することで、基部の外周面と開口部の内周面との間に、吸着材が密に詰まるような狭小な部分が生じない。すなわち、吸着材が密に詰まって燃料ガスの流動抵抗が大きくなることを抑制できる。
【0018】
第四態様では、第三態様において、前記基部が、前記管部の内周面と対向している。
【0019】
基部は、管部の内周面と対向しているので、たとえばストレーナを管部に挿入する際に、ストレーナのがたつきを抑制できる。
【0020】
第五態様では、第四態様において、前記基部は、前記管部の内周面との間で前記流体の通過は許容し前記吸着材の通過は阻止する間隙を成す外径であり、前記貫通部が前記基部に設けられている。
【0021】
燃料ガスは、タンク本体の内部と外部との間で、間隙から、基部に設けられた貫通部を通って流れる。すなわち、燃料ガスが基部の貫通部を流れる経路が生じるので、燃料ガスの流動抵抗をより小さくすることが可能である。
【0022】
第六態様では、第三から第五のいずれか一つの態様において、前記基部は、前記管部の軸方向と直交する方向の断面が環状である。
【0023】
断面が環状の基部、タンク本体と管部との境界部分と対向する構造を簡易に実現できる。
【0024】
第七態様では、第二から第六のいずれか一つの態様において、前記突出部における前記貫通部の総断面積が、前記管部の断面積よりも広い。
【0025】
これにより、燃料ガスが管部を通過する際の流動抵抗よりも、燃料ガスがストレーナを通過する際の流動抵抗が小さくなるので、燃料ガスがストレーナを通過しやすい。
【0026】
第八態様では、第一から第七のいずれか1つの態様において、前記ストレーナは、前記基部における前記突出部と反対側部分から張り出すフランジを有し、前記固定部は、前記フランジを前記管部に固定する。
【0027】
したがって、ストレーナのフランジを固定部によって管部に固定する簡単な構造で、ストレーナを管部に取付できる。
【0028】
第九態様では、第一から第八のいずれか一つの態様において、前記突出部が、前記タンク本体の内側に向かって細くなる形状である。
【0029】
したがって、突出部が、タンク本体の内側に向かって一定の径を有する形状と比較して、タンク本体の外側から管部にストレーナを挿入しやすい。
【0030】
第十態様のストレーナでは、内部に吸着材が充填されるタンク本体への流体の出入りを可能とする開口部から前記タンク本体の外側に延出される管部内に位置する基部と、前記管部の軸方向
に向けて見て前記管部の内周内に収まる形状で前記基部から前記タンク本体内に突出して前記タンク本体内に位置し
前記タンク本体内で前記吸着材に接触する突出部と、を備え、前記タンク本体と前記管部との前記流体の通過は許容し前記吸着材の通過は阻止する。
【0031】
このストレーナは、タンク本体と管部との間での流体の通過は許容し吸着材の通過は阻止する。すなわち、タンク本体への燃料ガスの出入りを阻害することなく、タンク本体からの吸着材の漏出を抑制できる。
【0032】
ストレーナの基部は、管部内に位置し、ストレーナの突出部は、管部の軸方向
に向けて見て管部の内周内に収まる形状で基部からタンク本体内に突出してタンク本体内に位置し
タンク本体内で吸着材に接触する。そしてストレーナは、固定部によって管部に固定される。ストレーナを筒部に対し、タンク本体の反対側から挿入して固定でき、タンク本体の内部にメッシュ部材を取り付ける必要がないので、低コストでガス組成変動抑制タンクを製造できる。
【0033】
突出部は、基部からタンク本体の内部に突出しており、この突出部がない構造と比較して、タンク本体の内部におけるストレーナの表面積が広い。すなわち、広い表面積である突出部を燃料ガスが通過できるので、燃料ガスがストレーナを通過する際の流動抵抗が大きくなることを抑制できる。
【発明の効果】
【0034】
本願では、低コストで製造できるガス組成変動抑制タンクと、このガス組成変動抑制タンクに用いられるストレーナが得られる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0037】
図1には、第一実施形態のガス組成変動抑制タンク12を備えた気化ガス供給設備14が示されている。この気化ガス供給設備14は、LNG貯槽16、気化器18及びガス組成変動抑制タンク12を備えている。気化ガス供給設備14は、たとえば、LNGサテライトとして、ガス使用者の敷地内に設置され、図示しないローリー車等によって輸送された液化天然ガスを気化して気化ガスを生成し、この気化ガスを、ガス使用者のガス使用機器に供給するための設備である。ガス使用者としては、プラント、工場、商業施設、集合住宅及び戸建住宅等を挙げることができる。また、この気化ガス供給設備14から供給されるガスの使用先であるガス使用機器としては、ガスエンジン、ボイラー、発電機、燃料電池システム、給湯システム、空調システム等を挙げることができる。
【0038】
LNG貯槽16には、天然ガスを液化した液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)が貯留されている。
【0039】
LNG貯槽16と気化器18とは、移送配管20で接続されている。移送配管20の図示しないバルブを開弁することで、貯槽16の液化天然ガスが、液相状態で気化器18に送られる。
【0040】
気化器18には、供給配管22の一端が接続されている。供給配管22の他端は、たとえば、バルブ22Vを介してガス使用機器に接続されている。そして、供給配管22の途中に、ガス組成変動抑制タンク12が設けられている。換言すれば、供給配管22が途中で分割されており、分割部分に、ガス組成変動抑制タンク12が配設された構造である。以下では、供給配管22において、気化器18からガス組成変動抑制タンク12までの部分を第一部分22A、ガス組成変動抑制タンク12からガス使用機器までの部分を第二部分22Bとする。
【0041】
図2にも示すように、ガス組成変動抑制タンク12は、タンク本体24を有している。タンク本体24は、本実施形態では円筒状の部材であり、軸方向が鉛直方向に沿う姿勢で設置されている。この「鉛直方向に沿う」とは、軸方向が完全に鉛直方向と一致している構成の他に、後述する気化ガスの主流れ方向が略縦方向である構成を含む。タンク本体24の軸方向が鉛直方向に沿う姿勢で配置される構成は、縦型タンクと称される。
【0042】
タンク本体24の一方の側壁26A(
図2では上側の側壁)には、第一開口部28Aが設けられており、他方の側壁26B(
図2では下側の側壁)には第二開口部28Bが設けられている。そして、
図2に示す縦型タンクでは、第一開口部28Aを通じてタンク本体24内に燃料ガスが流入し、第二開口部28Bを通じてタンク本体24から燃料ガスが排出される。したがって、この縦型タンクでは、タンク本体24の内部を上下方向(鉛直方向)に燃料ガスが流れる。すなわち、矢印F1で示す方向が、タンク本体24における燃料ガスの主流れ方向である。
【0043】
第一開口部28A及び第二開口部28Bのそれぞれからは、タンク本体24の外側に向けて第一接続管30A及び第二接続管30Bが延出されている。供給配管22の第一部分22Aが第一開口部28Aに接続され、第二部分22Bが中継管38を介して第二開口部28Bに接続されている。したがって、供給配管22を流れる気化ガスは、流れの途中でガス組成変動抑制タンク12を経由する。
【0044】
より具体的には、第一接続管30Aには、径方向外側に張り出す環状の第一固定片32Aが設けられている。この第一固定片32Aに第一部分22Aの固定片36Aが接触され、図示しないボルト等を用いて第一固定片32Aと固定片36Aとが固定されることで、第一部分22Aが第一接続管30Aに接続されている。
【0045】
また、第二接続管30Bには、径方向外側に張り出す環状の第二固定片32Bが設けられている。この第二固定片32Bには、中継管38の固定片40Cが、後述するストレーナ42のフランジ48(
図4参照)を介して対向される。そして、図示しないボルト等を用いて第一固定片32Aと固定片40Cとが固定されることで、中継管38が第二接続管30Bに接続されている。第一実施形態では、第二固定片32Bと、この第二固定片32Bに対向する固定片40Cとが、本願における「固定部」の一例である。
【0046】
中継管38において、固定片40Cの反対側にも固定片40Dが設けられている。この固定片40Dに、第二部分22Bの固定片36Bが接触され、図示しないボルト等により、固定片40Dと固定片36Bとが固定されることで、第二部分22Bが中継管38に接続されている。
【0047】
なお、第一実施形態においては、第二接続管30Bが、本願における「管部」の一例であり、以下では管部30と符号を付す。
【0048】
図3及び
図4にも示すように、第二接続管30Bには、ストレーナ42が備えられている。ストレーナ42は、第二接続管30B内に位置する基部44と、この基部44からタンク本体24内に突出する突出部46と、基部44において突出部46の反対側部分に設けられたフランジ48と、を有している。
【0049】
基部44は円筒形状であり、軸方向の長さが、第二接続管30Bの軸方向の長さと一致している。基部44の外周の全体が、第二接続管30Bの内周に対し対向している。
【0050】
図3に示すように、フランジ48は、第二接続管30Bの第二固定片32Bと、中継管38の固定片40Cとの間に挟持され、これによって、ストレーナ42が第二接続管30Bに対し同芯で固定される。フランジ48の外径は、第一固定片32Aと固定片40Cとを固定する図示しないボルトに接触しないように決められている。
【0051】
本実施形態では、基部44の外径D1は、第二接続管30Bの内径N1よりも僅かに短い。
図5に示すように、基部44が第二接続管30Bに対し同芯で固定された状態で、基部44の外周と第二接続管30Bの内周面との間には、間隙GP1が生じている。この間隙GP1は、タンク本体24内の燃料ガスは流動するが、活性炭34は入り込むことがない長さである。換言すれば、このような間隙GP1が生じるように、第二接続管30Bの内径N1との関係で、基部44の外径D1が決められている。第一実施形態では、第二接続管30Bの内周面が、本願における「管部の内周面」の例である。
【0052】
基部44の一部、具体的には
図5において基部44の上部は、第二開口部28Bの内周面50と対向し、上記した隙間GP1を構成している。この第二開口部28Bは、第二接続管30Bとタンク本体24との境界部分でもある。したがって、第二接続管30Bと、ストレーナ42の間には、活性炭34が入り込んで密に詰まるような狭小な部分は生じていない。第一実施形態では、第二開口部28Bの内周面50が、本願における「開口部の内周面」の例である。
【0053】
突出部46は、基部44からタンク本体24内に向かうにしたがって細くなる円錐台形状である。したがって、ストレーナ42は全体として、すなわち基部44及び突出部46のいずれにおいても、第二接続管30Bの軸方向(矢印A1方向)と直交する方向の断面が環状である。そして、突出部46は、第二接続管30Bの軸方向に見て、第二接続管30Bの内周内に収まる(第二接続管30Bの内周から径方向外側に出っ張らない)形状である。
【0054】
基部44及び突出部46にはそれぞれ、ストレーナ42の内周側と外周側とを貫通する複数の貫通孔52が形成されている。この貫通孔52の内径は、燃料ガスは通過するが、活性炭34は通過しない大きさに設定されている。
【0055】
突出部46では、タンク本体24内の燃料ガスが、
図5に矢印F2で示すように貫通孔52を通過し、突出部46の内側に流入する。そして、矢印F3で示すように、突出部46から基部44内を流れる。さらにこの燃料ガスは、ストレーナ42内から第二接続管30B、中継管38を経て供給配管22の第二部分22Bへ流れる。
【0056】
突出部46における複数の貫通孔52の総体での流路断面積は、第二接続管30Bの断面積よりも大きくなるように、貫通孔52の数及びそれぞれの内径が決められている。
【0057】
また、タンク本体24内の燃料ガスの一部は、
図5に矢印F4で示すように、間隙GP1に流入する。そして、矢印F5で示すように、基部44の貫通孔52を通過し、基部44の内側に流入する。そして、矢印F6で示すように、ストレーナ42内から第二接続管30B、中継管38を経て供給配管22の第二部分22Bへ流れる。
【0058】
タンク本体24には、活性炭34が充填されている。活性炭34は、多数の細孔が形成された粒子によって構成されており、気化ガス中の重炭化水素成分(エタン、プロパン、イソブタン、ブタン、イソペンタン及びペンタン等)を吸着する。これにより、気化ガスにおけるメタンの組成が所定範囲内となるので、ガス使用機器において、実際の発熱量を定格の発熱量の許容範囲に収めたり、ガス使用機器の制御の負荷を低減して安定的な燃焼や運転に寄与したりすることが可能である。活性炭34は、吸着材の一例である。気化ガス中の重炭化水素成分を吸着材としては、活性炭の他に、たとえば、ゼオライト、シリカゲル、金属錯体等を挙げることができる。
【0060】
図2に矢印F1で示すように、ガス組成変動抑制タンク12においては、燃料ガスが第一開口部28Aからタンク本体24の内部に導入される。そして、この燃料ガスはタンク本体24内を矢印F1で示すように流れる。
【0061】
タンク本体24内の燃料ガスは、
図5に矢印F2で示すように、突出部46の貫通孔52を通過し、ストレーナ42内を矢印F3で示すように流れる。
【0062】
また、タンク本体24内の燃料ガスの一部は、
図5に矢印F4で示すように、間隙GP1に流れる。そして、この燃料ガスは、矢印F5で示すように、基部44の貫通孔52を通過し、ストレーナ42内を矢印F6で示すように流れる。実質的に、突出部46の貫通孔52を通過した燃料ガスと合流する。そして、この燃料ガスは、第二接続管30B、中継管38を経て供給配管22の第二部分22Bへ流れる。さらに、この燃料ガスは、
図1に示すように、供給配管22を通って、図示しないガス使用機器に供給される。
【0063】
図2に示すように、タンク本体24には活性炭34が充填されている。タンク本体24を気化ガスが通過する際に、この活性炭34によって、気化ガス中の重炭化水素成分(エタン、プロパン、イソブタン、ブタン、イソペンタン及びペンタン等)が吸着される。これにより、第二開口部28Bを経てタンク本体24の外部に排出される燃料ガスの組成変動が抑制されるので、ガス使用機器における発熱量が安定する。また、ガス使用機器の制御にかかる負荷を低減し、安定的な燃料や運転に寄与できる他、ガス使用機器の長寿命化にも寄与できる。なお、気化ガス中の重炭化水素成分が少ない場合は、活性炭34に吸着されていた重炭化水素成分が脱着されることもある。
【0064】
ガス組成変動抑制タンク12は、ストレーナ42を有している。このストレーナ42によって、タンク本体24内から気化ガスが排出されると共に、活性炭34は漏出しない構造が実現されている。
【0065】
ストレーナ42は、基部44と突出部46とを備えている。基部44は、第二接続管30B、すなわち、第一実施形態における管部30内に位置している。また、突出部46は、第二接続管30Bの軸方向(矢印A1方向)に見て、第二接続管30Bの内周内に収まる形状であり、第二接続管30Bの内周から径方向外側に出っ張らない。ストレーナ42を、第二接続管30Bに対し、タンク本体24と反対側から挿入して所定位置に配置できる。
【0066】
ここで、
図6には、第一比較例のガス組成変動抑制タンク112が示されている。第一比較例のガス組成変動抑制タンク112では、金属板を湾曲させて形成した円筒状のタンク本体114を有している。このタンク本体114の軸方向の両端部分には、あらかじめ第一接続管30A及び第二接続管30Bがそれぞれ取り付けられた第一鏡板116A及び第二鏡板116Bが溶接されている。そして、タンク本体114内に、燃料ガスの通過は許容し活性炭34の通過を抑制するフィルタ部材118が溶接されている。
図6及び
図7に示す例では、タンク本体114内における下側にフィルタ部材118が取り付けられている。
【0067】
このような構造のガス組成変動抑制タンク112では、タンク本体114内にフィルタ部材118を溶接する必要がある。そして、タンク本体114にフィルタ部材118を溶接した後、さらに鏡板(
図6及び
図7に示す例では第二鏡板116B)を溶接する必要があり、製造のための工数が多く、製造コストが高い。
【0068】
これに対し、第一実施形態のガス組成変動抑制タンク12では、ストレーナ42を第二接続管30Bにタンク本体24と反対側から挿入し、フランジ48を第二固定片32Bに固定すれば、ストレーナ42を第二接続管30Bに取り付けることができる。内部を燃料ガスは通過し、活性炭34の漏出は抑制する構造のガス組成変動抑制タンクを製造する工数が、第一比較例よりも少なく、製造コストが低い。
【0069】
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0070】
図8に示すように、第二実施形態のガス組成変動抑制タンク62では、タンク本体24内を流れる燃料ガスの流れ方向が水平方向となるように、タンク本体24が設置(横置き)される。すなわち、第二実施形態のガス組成変動抑制タンク62は横型タンクである。
【0071】
第二実施形態のガス組成変動抑制タンク62では、第二接続管30Bだけでなく、第一接続管30Aにも、ストレーナ42が配置されている。そして、第一接続管30Aと中継管38との間でフランジ48が挟持されることで、第一接続管30Aにストレーナ42が固定されている。これにより、横置きされたタンク本体24においても、第一接続管30Aを通じて燃料ガスがタンク本体24内に流入すると共に、活性炭34は漏出しない構造が実現されている。第二実施形態では、第一固定片32Aと、この第一固定片32Aに対応する固定片40Cとが、本願における「固定部」の一例である。
【0072】
ここで、
図9には、第二比較例のガス組成変動抑制タンク122が示されている。第二比較例のガス組成変動抑制タンク122は、第一比較例のガス組成変動抑制タンク112と同様のタンク本体114、第一鏡板116A及び第二鏡板116Bを有しているが、第一比較例と異なり、タンク本体114が横置きされている。
【0073】
第二比較例のガス組成変動抑制タンク122では、タンク本体114内において、第一鏡板116A側にもフィルタ部材118を溶接する必要がある。すなわち、第一比較例のガス組成変動抑制タンク112よりもさらに構造が複雑化する。
【0074】
しかも、第二比較例のガス組成変動抑制タンク122では、タンク本体114の軸方向両側にフィルタ部材118があるので、第一接続管30A又は第二接続管30Bを通じてタンク本体114内に活性炭を導入したり入れ換えたりすることができない。このため、タンク本体114の側面に、活性炭導入用の導入孔124及び導入筒126を設けると共に、活性炭導入後あるいは入換後にこの導入筒126を蓋128で塞ぐ必要があり、さらなる構造の複雑化や製造コストの上昇を招く。
【0075】
これに対し、第二実施形態のガス組成変動抑制タンク62では、タンク本体24内への活性炭34の充填が容易である。たとえば、第二実施形態のガス組成変動抑制タンク62において、タンク本体24を第一接続管30Aにはストレーナ42を設けず第二接続管30Bにはストレーナ42を設けた状態で、第二接続管30Bが下になるように縦方向に配置する。そして、第一接続管30Aから活性炭をタンク本体24に導入し、その後、第一接続管30Aにもストレーナを配置すれば、タンク本体24内に活性炭34が充填された構造を容易に実現できる。
【0076】
第一実施形態のガス組成変動抑制タンク12及び第二実施形態のガス組成変動抑制タンク62のいずれにおいても、基部44の軸方向における長さは、管部30(第一実施形態では第二接続管30B、第二実施形態では第一接続管30Aと第二接続管30Bの両方)の長さと同じである。そして、管部30において、開口部の内周面50に対し、基部44が対向している。
【0077】
ここで、
図10には、第三比較例のガス組成変動抑制タンク132が部分的に示されている。第三比較例のガス組成変動抑制タンク132では、ストレーナ134が全体として円錐形状であり、その高さは、第二接続管30Bの長さよりも短い。そして、ストレーナ134の外周面と、第二接続管30Bの内周面との間には、狭小部136が生じている。この狭小部136は、
図10から分かるように、タンク本体24側から中継管38側に向かって徐々に狭くなる形状である。
【0078】
このような狭小部136が生じていると、タンク本体24内の活性炭34が狭小部136に入り込んで密に詰まる(圧縮される)ことがある。そして、活性炭34が密に詰まった箇所では、燃料ガスの流動抵抗が大きくなるため、タンク本体24と中継管38(あるいは供給配管22の第二部分22B)との差圧が大きくなる。
【0079】
これに対し、本願各実施形態のガス組成変動抑制タンク12、62では、
図10に示すような狭小部136が生じず、活性炭が密に詰まる箇所も存在しない。このため、燃料ガスの流動抵抗が大きくならず、タンク本体24と中継管38(あるいは供給配管22の第二部分22B)との差圧が大きくなることもない。
【0080】
本願各実施形態において、ストレーナ42は、管部30の軸方向と直交する方向の断面が環状である。したがって、基部44の外周面が、管部30の内周面と対向している構造を容易に実現できる。特に、基部44の長さを管部30の長さと等しくすることで、基部44が開口部の内周面50と対向する構造を簡易に実現できる。
【0081】
ストレーナ42には、複数の貫通孔52が形成されている。少なくとも突出部46に貫通孔52が形成された構造とすることで、突出部46の外周側と内周側とを、貫通孔52を通じて燃料ガスが流れる構造を実現できる。
【0082】
突出部46における複数の貫通孔52の総断面積は、管部30の断面積よりも大きい。したがって、燃料ガスが管部30を通過する際の流動抵抗よりも、燃料ガスがストレーナ42を通過する際の流動抵抗が小さくなるので、燃料ガスがストレーナ42を通過しやすい。
【0083】
また、基部44の外周面が、管部30の内周面と対向しているので、ストレーナ42を管部30に挿入する際にストレーナ42のがたつきが抑制され、ストレーナを挿入しやすい。
【0084】
基部44の外周面と、管部30の内周面との間には、間隙GP1が生じている。そして、基部44にも貫通孔52が形成されている。したがって、燃料ガスは、タンク本体24の内部と外部との間で、この間隙GP1から、基部44の貫通孔52を通って流れる。すなわち、燃料ガスが基部44の貫通孔52を流れる経路が生じるので、燃料ガスの流動抵抗をより小さくすることが可能である。ただし、本願において、基部44に貫通孔52が形成されていない構造を排除するものではない。たとえば、上記のように、突出部46に形成された貫通孔52を燃料ガスが通過する構造では、燃料ガスの流動抵抗が十分に小さくなるように貫通孔52を形成すれば、基部44に貫通孔52が無い構造でもよい。
【0085】
ストレーナ42は、フランジ48を有している。このフランジ48を固定部によって管部30に固定する簡単な構造で、ストレーナ42を管部30に取付できる。
【0086】
図3〜
図5に示す例では、突出部46は、タンク本体24の内側に向かって細くなる形状である。これに代えて、
図11に示す第一変形例のガス組成変動抑制タンク72のように、タンク本体24の内側に向かって一定の径を有する形状の突出部76を備えたストレーナ74を有する構造であってもよい。すなわち、本願では、第一変形例の突出部76の形状を排除するものではない。
図11に示す突出部76の形状と比較して、
図3に示すように先端へ次第に細くなる形状の突出部46であれば、タンク本体24の外側、すなわち中継管38側からストレーナ42を管部30に挿入しやすい。
【0087】
また、本願において、
図12に示す第二変形例のガス組成変動抑制タンク82のように、タンク本体24内において先端側の部分が半球状(ドーム状)に湾曲した形状の突出部86を備えたストレーナ84を有する構造であってもよい。
【0088】
本願の各実施形態において、タンク本体24内を燃料ガスが流れる方向は、各図面における矢印F1と反対の方向でもよい。
【解決手段】内部に活性炭34(吸着材)が充填されるタンク本体24の複数の開口部の少なくとも1つから延出される管部30に、ストレーナ42が設けられる。ストレーナ42は、管部30内に位置する基部44と、管部30の軸方向で見て管部30の内周内に収まる形状で基部44からタンク本体24内に突出する突出部46と、を備える。さらに、ストレーナ42を管部に固定する固定部と、を有する。