(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記採血管取出カムの凸状部の形状が、その横断面形状において、採血管取出カムの回転軸線を中心として、凸状部の頂部を半径とする真円を描いた時に、前記傾斜面を画定する輪郭線が、前記真円の内側に位置する形状である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の採血管自動準備装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出願人は、採血管自動準備装置の小型化を実現するために、複数の採血管収容部を上下に重ねて配置するのではなく、前後に並べて配置し、採血管収容部の下方に、採血管収容部に沿って移送ユニットを配置すると共に、前記移送ユニットの下方にラベル印字貼付ユニット及び手貼りラベル印字装置を配置し、採血管収容部の下方から採血管を取り出すように構成した採血管自動準備装置を提案した(特許文献2)。
上記した特許文献2で出願人が提案した採血管自動準備装置においては、
図18に示すように、採血管収容部60の下方の一方の角部に、採血管を収容可能な凹溝61が形成された取出ロール62を設け、この取出ロール62を
図18における時計方向に回転させることにより、採血管を凹溝61に収容し、さらに取出ロール62を時計方向に回転させることにより、凹溝61に収容された採血管を採血管収容部60の下方に配置された移送コンベア63のバケット64に落下供給するように構成されている。
出願人は、上記した採血管自動準備装置の提案後も、採血管自動準備装置の処理の高速化及びさらなる小型化等を目的として鋭意研究を続け、さらに処理を高速化でき、かつ、小型化が可能な採血管の取出機構を備えた採血管収容部を有する採血管自動準備装置を発明するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した目的を達成するために、本発明に係る採血管自動準備装置は、採血管を収容する複数の採血管収容部を水平方向に並べて配置し、前記採血管収容部の下方に採血管収容部に沿って移送ユニットを設け、前記移送ユニットの下方に、患者に関する情報を印字したラベルを貼り付けるラベル印字貼付ユニットを設け、前記ラベル印字貼付ユニットの下方に、ラベル貼付済採血管を回収する採血管回収手段を配置した採血管自動準備装置において、各採血管収容部が、複数の採血管を採血管収容部の並設方向に直交する方向に向けて水平な状態で積み重ねて収容できる、底部が開口したケーシングを有し、該ケーシングの底部開口の中央に、ケーシングの底部開口を塞ぐと共に、ケーシングに収容された採血管を一本ずつ取り出して、下方に配置された移送ユニットに受け渡すように構成された採血管取出カムを設け、前記採血管取出カムが、採血管収容部の長手方向に沿って伸び、その長手方向軸線を中心に左右に回動可能に構成され、前記採血管取出カムの上部に凸状部を形成し、該凸状部が、上方に向けて突出する横断面山形の形状を成し、その頂部から採血管収容部の左右の側壁に向けて、それぞれ下方に傾斜する左右対称の長手方向にのびる傾斜面を形成し、前記採血管取出カムの下部に、その長手方向に沿って伸びる凹溝を左右一対に形成し、採血管取出カムが、その中心位置にある時に、前記凸状部が採血管収容部の内方に向けられ、採血管収容部の底面を形成すると共に、前記各凹溝が採血管収容部の各側壁側に向くようにされ、採血管取出カムを、その中心位置から一方向に回転させた時に、一方の凹溝が採血管収容部の内方に表れて、採血管収容部に収容された採血管が該一方の凹溝内に一本入り、他方の凹溝に収容された採血管が移送ユニットに落下供給され、採血管取出カムを、その中心位置から他方向に回転させた時に、前記他方の凹溝が採血管収容部の内方に表れて、採血管収容部に収容された採血管が該他方の凹溝内に一本入り、前記一方の凹溝に収容された採血管が移送ユニットに落下供給されるように構成されていることを特徴とする。
また、前記採血管収容部における各側壁における前記凸状部の各傾斜面に対応する位置に、前記各傾斜面の下端に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部を設けてもよい。
また、好ましくは、前記採血管取出カムの凸状部の形状は、その横断面形状において、採血管取出カムの回転軸線を中心として、凸状部の頂部を半径とする真円を描いた時に、前記傾斜面を画定する輪郭線が、前記真円の内側に位置する形状であり得る。
さらに、好ましくは、前記採血管取出カムにおける長手方向一方の端部は、収容された採血管のキャップ部分を避けるように段付き形状に形成され得る。
また、前記採血管収容部は、採血管の長さに合わせて、その長手方向の長さを可変することができるように構成され得る。
さらにまた、前記採血管収容部は、採血管の径又は収容する採血管の数に応じて、その幅方向の長さを可変することができるように構成され得る。
また、好ましくは、前記採血管収容部の左右側壁における、前記採血管取出カムの凸状部の頂点に対応する位置又は凸状部の頂点より上方に対応する位置に、長手方向に伸びる突起部を各々形成してもよい。
さらに、前記採血管取出カムにおける凸状部の頂部に、長手方向に伸びる連続した凸部又は長手方向に沿って断続的に配置された複数の凸部を形成してもよい。
さらにまた、前記採血管取出カムにおける凸状部が形成する傾斜面に、各々長手方向に伸びる連続した凸部又は長手方向に沿って断続的に配置された複数の凸部を形成してもよい。
さらにまた、前記採血管取出カムにおける凸状部の傾斜面を段付き形状に形成してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る採血管自動準備装置は、採血管を収容する複数の採血管収容部を水平方向に並べて配置し、前記採血管収容部の下方に採血管収容部に沿って移送ユニットを設け、前記移送ユニットの下方に、患者に関する情報を印字したラベルを貼り付けるラベル印字貼付ユニットを設け、前記ラベル印字貼付ユニットの下方に、ラベル貼付済採血管を回収する採血管回収手段を配置した採血管自動準備装置において、各採血管収容部が、複数の採血管を採血管収容部の並設方向に直交する方向に向けて水平な状態で積み重ねて収容できる、底部が開口したケーシングを有し、該ケーシングの底部開口の中央に、ケーシングの底部開口を塞ぐと共に、ケーシングに収容された採血管を一本ずつ取り出して、下方に配置された移送ユニットに受け渡すように構成された採血管取出カムを設け、前記採血管取出カムが、採血管収容部の長手方向に沿って伸び、その長手方向軸線を中心に左右に回動可能に構成され、前記採血管取出カムの上部に凸状部を形成し、該凸状部が、上方に向けて突出する横断面山形の形状を成し、その頂部から採血管収容部の左右の側壁に向けて、それぞれ下方に傾斜する左右対称の長手方向にのびる傾斜面を形成し、前記採血管取出カムの下部に、その長手方向に沿って伸びる凹溝を左右一対に形成し、採血管取出カムが、その中心位置にある時に、前記凸状部が採血管収容部の内方に向けられ、採血管収容部の底面を形成すると共に、前記各凹溝が採血管収容部の各側壁側に向くようにされ、採血管取出カムを、その中心位置から一方向に回転させた時に、一方の凹溝が採血管収容部の内方に表れて、採血管収容部に収容された採血管が該一方の凹溝内に一本入り、他方の凹溝に収容された採血管が移送ユニットに落下供給され、採血管取出カムを、その中心位置から他方向に回転させた時に、前記他方の凹溝が採血管収容部の内方に表れて、採血管収容部に収容された採血管が該他方の凹溝内に一本入り、前記一方に凹溝に収容された採血管が移送ユニットに落下供給されるように構成されている。このように、採血管取出カムを一方向に回転させるのではなく、左右に回転させるように構成し、採血管取出カムを左右に回転させる度に、採血管の落下供給と採血管の収容とを同時に行うことができるので常に凹溝内に採血管を収容して待機しておくことが可能になり、かつ、採血管取出カムの回転量を一方向に回転させる場合に比べて著しく小さくすることができ、その結果、採血管の取出し速度を上げることが可能になる。さらに、このように採血管取出カムの回転量を小さくすることで、細径の管がカムの凹溝内で暴れても、他の採血管と競合し噛み込むことを回避することが可能になり、結果として、細径の採血管と太径の採血管を同一の採血管取出カムで取り出すことが可能になる。また、採血管取出カムの上部に凸状部を形成し、該凸状部が、上方に向けて突出する横断面山形の形状を成し、その頂部から採血管収容部の左右の側壁に向けて、それぞれ下方に傾斜する左右対称の長手方向にのびる傾斜面を形成するように構成することで、採血管収容部の底部に、その中心から左右に斜め下方に傾斜した傾斜面を形成することができ、これにより、採血管収容部に収容された採血管をその底部で左右に振り分けることができ、結果として、採血管収容部内の採血管を偏りなく取り出すことが可能になる。
また、前記採血管収容部における各側壁における前記凸状部の各傾斜面に対応する位置に、前記各傾斜面の下端に向けて斜め下方に傾斜する傾斜部を設けることで、前記凸状部の傾斜面と、前記側壁に設けた傾斜部とでV字状の空間を形成することが可能になり、該V字状の空間で次に凹溝に収容する採血管を保持することが可能になる。
前記採血管取出カムの凸状部の形状を、その横断面形状において、採血管取出カムの回転軸線を中心として、凸状部の頂部を半径とする真円を描いた時に、前記傾斜面を画定する輪郭線が、前記真円の内側に位置する形状にすることによって、凸状部によって形成される傾斜面の傾斜角が比較的鋭角になり、これにより、採血管取出カムを回転させた時に、採血管収容部に収容されている採血管が、より凸状部の左右に振り分けられ易くなる。また、凸状部の傾斜面の傾斜角を鋭角にすることで、該傾斜面と採血管収容部の側壁との間の隙間を小さくすることが可能になるので、傾斜面と側壁との間に入る採血管の数を制限することが可能になり、結果として、採血管の噛み合いを低減することが可能になる。
また、前記採血管収容部の左右側壁における、前記採血管取出カムの凸状部の頂点に対応する位置又は凸状部の頂点より上方に対応する位置に、長手方向に伸びる突起部を各々形成することにより、傾斜面と側壁との間に入る採血管の数を制限することが可能になり、結果として、採血管の噛み合いを低減することが可能になる。
さらに、前記採血管取出カムにおける凸状部の頂部に、長手方向に伸びる連続した凸部又は長手方向に沿って断続的に配置された複数の凸部を形成することで、凸状部が山形に形成されていることも相俟って、採血管取出カムを回転させる度に、採血管収容部に収容されている採血管を上方に押し上げて動かして、採血管を整列させることが可能になる。これにより、使用中に採血管の姿勢が斜めに傾き、凹溝に収容されない等の問題が生じなくなる。
上記した効果は、前記採血管取出カムにおける凸状部が形成する傾斜面に、各々長手方向に伸びる連続した凸部又は長手方向に沿って断続的に配置された複数の凸部を形成することによっても得ることが可能である。
また、前記採血管取出カムにおける凸状部の傾斜面を段付き形状に形成することにより、採血管取出カムが回転した時に、採血管取出カムの近辺の採血管の下端(即ち、キャップと反対側の部分)が段付き形状の部分に落ちて、採血管の向きが採血管取出カムの長手方向に整列される。これにより、採血管取出カムが回転している間に、採血管の向きが、採血管取出カムの長手方向に対して斜めに傾くことが防止される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面に示した一実施例を参照して、本発明に係る採血管自動準備装置の実施の形態について説明していく。
【0009】
始めに、採血管自動準備装置の構成する各構成要素のレイアウトについて
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、採血管自動準備装置の外観図を示し、
図2は
図1におけるハウジングの右側面を省略した右側面図を示している。
【0010】
図面に示すように、この採血管自動準備装置は、
水平に一列に並べて配置された六つの採血管収容部1と、
これら採血管収容部1の下方に配置された移送ユニット2と、
移送ユニット2のさらに下方に配置されたラベル印字貼付ユニット3及び手貼ラベルプリンタ4と、
ラベル貼付後の採血管及び印字済手貼ラベルを収容するように配置されたトレイ5と
を備えている。
図中、符号6は、上記した各構成要素を収容するハウジングを示している。図面に示すように、採血管収容部1、移送ユニット2、ラベル印字貼付ユニット3及び手貼ラベルプリンタ4はハウジング6の内部に収容され、トレイ5は使用者が交換することができるように外部に露出している。
上記したように構成された採血管自動準備装置によれば、医師からの指示に基づいて、患者の検査に必要な採血管を収容した採血管収容部1から採血管が取り出され、取り出された採血管は移送ユニット2に受け渡され、移送ユニット2は受け取った採血管をラベル印字貼付ユニット3へ移送する。一方、ラベル印字貼付ユニット3では、移送されてくる採血管に対応する患者に関する情報をラベルに印字し、その印字済ラベルを移送されてきた採血管に貼り付けて、ラベル貼付後の採血管をトレイ5に排出する。同時に、手貼ラベルプリンタ4は、医師からの採血オーダ情報に基づいて採血指示書を印字すると共に、必要に応じて(即ち、患者の検査に必要な採血管が採血管収容部1に収容されていない場合)、手貼用ラベルを印字し、これら採血指示書及び手貼ラベルをトレイ5に排出する。上記した動作は、患者一人分の採血管がトレイ5に収容されるまで繰り返し行われ、患者一人分の採血管がトレイ5に収容されると、使用者がトレイ5を次のトレイに交換することができるように、使用者に対して処理終了を表示する何等かの視覚的及び/又は聴覚的出力がなされる。
【0011】
以下、
図3を参照して採血管収容部1の構成について説明していく。
図3は、採血管収容部1の概略正面図である。
尚、
図2に示すように、六つの採血管収容部1は、全て完全に同じ構成ではなく、採血管の太さ、採血管の収容本数等により、寸法及び構成が若干異なるが、主たる構成は同じである。従って、以下の説明では、
図2における一番左側の採血管収容部1の構成について説明する。
採血管収容部1は、複数の採血管を水平な状態で積み重ねて収容することができるケーシング10を有する。このケーシング10は、左右一対の側壁11と、後壁12aと、前面の下部を覆う前壁12b(
図5及び
図6参照)とを備え、その底面、上面及び前面の上部は開口しており、底面の開口部には、採血管取出カム13が設けられている。
採血管取出カム13は、採血管収容部1に収容された採血管を一本ずつ取出し、取り出した採血管を下方に位置する移送ユニット2に落下供給するように構成されている。
【0012】
以下、採血管取出カム13の構成について、
図4〜
図7を参照して説明していく。
図4は、
図3における採血取出カム13周囲の概略拡大図、
図5は、
図4における概略上面図、
図6は、
図5における概略A−A断面図、
図7(a)は採血取出カム13の概略上面図、そして
図7(b)は
図7(a)におけるB−B断面図を各々示している。
採血管取出カム13は、
図5及び
図6に示すように、ケーシング10の内部でケーシング10の全長に亘って伸びる長さを有し、ケーシング10の底面開口を塞ぐようにケーシング10の幅方向中央に配置されている。
また、採血管取出カム13は、採血管を収容した時に、採血管のキャップ部分を避けることができるように、その前側部分が縮径した段付き形状にされている。
図3及び
図4に示すように、採血管取出カム13は、その下部に長手方向に伸びる左右一対の凹溝14が形成されている。この凹溝14は、採血管収容部1に収容されている採血管が一本収容できる寸法である。
採血管取出カム13の上部は、採血管収容部1の内方(即ち、上方)に向けて突出する凸状部15を形成し、採血管取出カム13がその中心位置にある時に、左右対称の傾斜した底面(傾斜面)16を形成する。具体的には、この実施例では、
図7(b)に示すように、採血管取出カム13の凸状部15は、その横断面形状において、採血管取出カムの回転軸線A1を中心として、凸状部の頂部を半径とする真円C1を描いた時に、前記傾斜面16を画定する輪郭線Pが、前記真円Cの内側に位置する形状にされている。これにより、凸状部15は、採血管取出カム13が中心位置にある時に、その頂部を中心に、比較的鋭角な傾斜面16を形成する。
採血管取出カム13における前記凸状部15の頂部には、採血管取出カム13の長手方向に沿って伸びる突起部17が形成されている。使用時に採血管収容部1には、
図1に示すように多数の採血管が積み重ねて収容されているが、採血管が取り出されて下方に下がるにつれて、上方に位置する採血管の姿勢が斜めにずれることがあり、その斜めに姿勢がずれた採血管がそのまま下方に下がってくると、採血管取出カム13に形成された凹溝14に入らなくなる可能性がある。前記突起部17は、このような問題を解決するもので、採血管取出カム13が回転させられるたびに、突起部17によって上方にある採血管が僅かに上方に動かされ、その採血管の動きによって収容されている採血管の姿勢が整列されることになる。
上記したように構成された採血管取出カム13は、その回転軸18を中心に、不図示のモータ等によって左右に回動することができるように構成され、右方向に一定量回転した時に、左側に位置する凹溝14に採血管を収容すると共に、右側に位置する凹溝14に収容された採血管を移送ユニット2に落下供給し、左方向に一定量回転した時に、右側に位置する凹溝14に採血管を収容すると共に、左側に位置する凹溝14に収容された採血管を移送ユニット2に落下供給する。この採血管取出カム13の回転量は、採血管収容部1に収容される採血管のサイズに応じて適宜調整可能である。
また、上記したように構成された採血管取出カム13は、
図5〜
図7に示すように、その長手方向後方に、環状の切欠き19が形成されている。この実施例では、採血管収容部1が、使用する管の管長に応じてケーシング10の長さを調整することができるように構成されており、この切欠き19は、長さ調整のために取り付けられる後壁12aを避けるために設けられているものである。
【0013】
一方で、ケーシング10の両側壁11には、
図4に示すように採血管取出カム13の凸状部15に向かう方向に斜め下方に傾斜する傾斜部20が形成されている。
採血管取出カム13が回転して凹溝14に採血管が入る前は、この傾斜部20と前記凸状部15が形成する傾斜面16との間で採血管が保持される。つまり、傾斜部20端部と傾斜面16の水平方向の距離(
図4のL1)は採血管の直径よりも小さいため、採血管は凹溝14には入らない構成となっている。側壁11に前記傾斜面20を設けることにより、特に、採血管取出カム13が中心位置にある時に、凸状部15が形成する傾斜面16と、側壁11に形成された傾斜部20との間にV字状の空間が形成されることになり、そのV字状の空間の最下端に一本の採血管が導かれ、その位置で保持されるようになる。
また、ケーシング10の両側壁11における、前記傾斜部20の上方には、長手方向に伸びる突起部21が形成されている。この突起部21は、採血管取出カム13がその中心位置にある時に、凸状部15の頂部より若干上方に位置するように形成されており、採血管取出カム13の凸状部15の傾斜面16と、両側壁11に形成された傾斜部20との間に、複数の採血管が入り込むことを防止している。これにより、作動中に採血管取出カム13の凸状部15の傾斜面16と、両側壁11に形成された傾斜部20との間で保持される採血管が1本に保たれ、複数の採血管が入り込んで、採血管取出カム13の回転を妨げるような噛み込みが発生することを防止している。
特に、
図6を参照するとよく分かるように、前述のとおり、この実施例では、ケーシング10の後壁12aは、上方にスライドして取り外すことができるように構成されている。後壁12aを取り外すことで、採血管収容部1の長さをのばすことができ、これにより、この実施例で使用している採血管より長い採血管を収容することも可能になる。尚、後壁12aの構成は本実施例に限定されることなく、前後に動くように構成してもよい。
さらに、採血管収容部1のケーシング10の幅は、収容すべき採血管の数及び管径に応じて任意に設定することができる。
【0014】
次に、上記したように構成された採血管収容部1における採血管検知センサ及び採血管取出カム原点センサの構成について説明する。
図8(a)は、これらのセンサの構成を説明するための採血管収容部1における採血管取出カム周辺の拡大図である。
上記したように構成された採血管収容部1には、採血管取出カム13の凹溝14に採血管が収容されているか否かを検知する採血管検知センサ22が設けられている。この採血管検知センサ22は、一端が凹溝14に入り込み、他端が、採血管収容部1の下方に位置する移送ユニット2に上方に伸びるよう立設されたブラケット28に回動可能に支持されたアーム部22aと、このアーム部22aの動きを検知するセンサ部22bとから成り、そのアーム部22aが、採血管が凹溝14に収容されると採血管によって下方に押され、採血管が凹溝14から排出されると、再び凹溝14に戻るように構成されており、このアーム部22aの動きをセンサ部22bで検知することで、凹溝14に採血管が収容されているか否かを検知することができるように構成されている。例えば、センサ部22bを光透過型センサとし、光透過型センサがONまたはOFFの状態を検出することで採血管が収容されているか否かを検知可能となる。
また、採血管取出カム原点センサ23は、採血管取出カム13と共に回転する略扇形遮蔽板23aと、採血管取出カム13が原点にある時の前記略扇形遮蔽板23aの位置を検知するセンサ部23bとから成る。例えば、センサ部23bを光透過型センサとし、光透過型センサの受光側と発光側との間に略扇形遮蔽板23aを配置する。そして、採血管取出カム13と共に略扇形遮蔽板23aが回転した際に、光透過型センサがONからOFFまたはOFFからONに切替わり、その切替タイミングを検出することで原点と判断することが可能となる。なお、前記センサ部23bは、採血管収容部1の下方に位置する移送ユニット2に上方に伸びるよう立設されたブラケット29に固定されている。
上記したように、この実施例では、採血管検知センサ22を、採血管収容部1のケーシング10ではなく、移送ユニット2に立設されたブラケット28に設けているため、ケーシング10を上方にスライドさせて取り外すと、採血管検知センサ22とケーシング10とが分離する(
図8(b)参照)。これにより、採血管検知センサ22のメンテナンスが容易になる。
同様に、この実施例では、採血管取出カム原点センサ23におけるセンサ部23bを、採血管収容部1のケーシング10ではなく、移送ユニット2に立設されたブラケット29に設けているため、ケーシング10を上方にスライドさせて取り外すと、センサ部23bとケーシング10とが分離する(
図8(b)参照)。これにより、採血管取出カム原点センサ23のメンテナンスが容易になる。
【0015】
次に、上記したように構成された採血管収容部1において採血管取出カム13によって採血管を取り出す工程を
図9(a)〜(g)を参照しながら説明していく。
図9(a)は、採血管取出カム13が中心位置にある状態を示している。図面に示すように、採血管取出カム13が中心位置にある状態において、凸状部15は、採血管収容部1の内方に表れ、その頂部を中心に、左右に傾斜する傾斜面16で、ケーシング10の底部開口を塞ぐ底壁を形成している。この状態において、凸状部15の左右の傾斜面16と両側壁11の傾斜部20との間で、それぞれ一本ずつ採血管が保持されている。また、採血管取出カム13が中心位置にある状態において、凹溝14は、ケーシング10の側壁11と向き合うように位置している。
この
図9(a)に示す状態は初期状態であり、凹溝14には、採血管は収容されてなく、左右両方の採血管検知センサ22のアーム部22aは初期位置にある。
この状態から、
図9(b)に示すように、採血管取出カム13を左方向に一定量回転させると、右側の凹溝14がケーシング10の内方に表れる。そして、右側の側壁11と、対応する傾斜面16の最下端との間の水平距離が採血管の管径より広くなると、保持されていた採血管が、この右側の凹溝14に入ると共に、次の採血管が凹溝14に入った採血管と接触した状態で、側壁11の傾斜部20で保持される。
この状態から、採血管取出カム13を、右方向に回転させると、右側の凹溝14に採血管を収容した状態で、採血管取出カム13は中心位置に戻る(
図9(c)参照)。この状態において、凹溝14は、ケーシング10の側壁11と向き合う状態になり、その中に採血管を収容した状態で保持する。また、この状態において、再び、凸状部15の左右の傾斜面16と両側壁11の傾斜部20との間で、それぞれ一本ずつ採血管が保持される。また、採血管検知センサ22のアーム部22aは採血管に押されて下方に下げられ、センサ部22bが左側の凹部14における採血管の存在を検知することになる。
次いで、
図9(d)に示すように、採血管取出カム13を右方向に一定量回転させると、右側の凹溝14は側壁11と向き合う位置から下方の開口へ動くため、凹溝14に収容された採血管が、採血管収容部1の下方に配置された移送ユニット2へ落下供給されることになる。図中、符号24は、移送ユニット2を構成する搬送バケットを示している。移送ユニット2の具体的構成については後で説明する。この時、同時に、採血管取出カム13の左側の凹溝14がケーシング10の内方に表れ、左側の側壁11と、対応する傾斜面16の最下端との間の水平距離が採血管の管径より広くなり、採血管が左側の凹溝14に入る。
さらに、この状態から採血管取出カム13を、その中心位置まで左方向に回転させると、左側の凹溝14に採血管が保持され(
図9(e))、次いで、採血管取出カム13を一定量左方向に回転させると、左側の凹溝14に保持されていた採血管が移送ユニット2に落下供給されると共に、右側の凹溝14に採血管が収容され(
図9(f))、その後、採血管取出カム13を、その中心位置まで右方向に回転させると、右側の凹溝14に採血管が保持された状態になる(
図9(g))。
上記したように、採血管取出カム13を左右に回転させることにより、その都度、一方の凹溝14への採血管の収容と、他方の凹溝14からの採血管の落下供給が行われることになり、初期状態から一度、作動し始めると、常に何れかの一方の凹溝14に採血管が収容された状態で待機することになるため、採血管の取出しが速くなる。
また、採血管取出カム13が左右に回転させられる度に、凸状部15の頂部に設けられた突起部17が、ケーシング10に収容されている採血管を上方へ向けて動かして採血管を整列させるため、使用中に採血管の姿勢が斜めに傾いて、採血管の取出しができなくなることがなくなる。
さらにまた、凸状部15が、その頂部を中心に左右に傾斜面16を形成しているため、採血管取出カム13が左右に回転させられる度に、採血管収容部1に収容された採血管が左右に振り分けられることになるため、採血管収容部1に収容された採血管を均等に取り出すことが可能になる。
さらにまた、両側壁11に設けられた突起部21により、凸状部15の傾斜面16と、側壁11の傾斜部20との間に複数の採血管が入り込むことがなくなるので、この領域での採血管の噛み込みがなくなり、採血管の噛み込みによる採血管取出カム13の回転不良等の問題が生じない。
【0016】
次に、移送ユニット2の構成について説明していく。
図2及び
図10に示すように、移送ユニット2は、採血管収容部1の下方に、採血管収容部1に沿って水平に配置された一対のガイドレール25と、一対のプーリー26aと、プーリー26a間に架け渡されたベルト26bと、前記ベルト26bによってガイドレール25に沿って往復移動するように構成された搬送バケット24とを有する。前記ベルト26bは、一方のプーリー26aを不図示のモータ等の駆動手段で駆動することによって任意の方向に動かされる。
搬送バケット24は、
図10に示すように、上面及び下面が開口したバケット部24aと、このバケット部24aの下面を塞ぐスライド蓋部材24bとを有する。前記スライド蓋部材24bは、常時、バケット部24aの下面開口を塞ぐ方向にバネ等の適当な付勢手段(図示せず)によって付勢されている。前記スライド蓋部材24bには、下方に突出する突起部24cが形成されており、バケット部24aが採血管落下供給位置まで移動された時に、前記突起部24cが適当な位置に設けられた係止部27に係止して、前記付勢手段(図示せず)の力に抗してバケット部24aの下面開口を開く方向に動かされる。
搬送バケット24は、前記スライド蓋部材24bがバケット部24aの下面開口を閉じた状態で、医師等からの採血オーダに対応する採血管が収容された採血管収容部1の下方までガイドレール25に沿って動かされる。
その位置で、前記採血管取出カム13から、検査に必要な採血管がバケット部24aに落下供給されると、搬送バケット24は受け取った採血管を保持した状態で、
図2における左側に位置する採血管落下供給位置まで移送される。採血管落下供給位置に対応する位置には、前記係止部27が固定されており、搬送バケット24が所定の位置まで移送される途中で、スライド蓋部材24bの前記突起部24cが前記係止部27に係止して、スライド蓋部材24bの動きが規制され、その位置からさらに搬送バケット24のみが動くと、前記スライド蓋部材24bが開かれて、バケット部24aの下面が開放し、該搬送バケット24に収容されていた採血管が下方に落下供給される(
図10参照)。
【0017】
搬送バケット24から落下供給された採血管は、ラベル印字貼付ユニット3のラベル貼付け位置に落下供給される。
ラベル印字貼付ユニット3は、連続したラベル付き剥離台紙を供給するラベル供給ロール30(
図2参照)と、剥離台紙を巻き取るための巻取ロール31(
図2参照)とに加えて、
図11に示すように、印字ヘッド32と、プラテンローラ33と、剥離板34とを有する。ラベル供給ロール30から繰り出されるラベル付き剥離台紙は、印字ヘッド32とプラテンローラ33との間を通過する時に、そのラベル部分に印字ヘッド32によって患者の検査に関する情報(患者氏名、患者ID、検体ID等)が印字され、次いで、剥離板34を通過することによって鋭角に折り曲げられる時に、剥離台紙より弾力があって折れにくいラベルのみが剥離台紙から剥離されて、直進してラベル貼付位置において採血管に貼り付けられる。
ラベル印字貼付ユニット3は、ラベル貼付ローラ35、補助ローラ36及び加圧ローラ37を備えている。
前記加圧ローラ37は、ラベル貼付ローラ35及び補助ローラ36と共に採血管を支持して、採血管の表面に印字済ラベルを貼り付けるラベル貼付位置と、移送ユニット2から落下供給される採血管を受け取る採血管受取位置と、ラベル貼付後の採血管を、トレイ5に落下排出する採血管排出位置との三つの位置の間で移動可能に構成されている。
図11(a)は加圧ローラ37が採血管受取位置にある状態を、
図11(b)は加圧ローラ37がラベル貼付位置にある状態を、そして、
図11(c)は加圧ローラ37が採血管排出位置にある状態を各々示している。
上記した移送ユニット2から落下供給された採血管は、採血管受取位置にある加圧ローラ37で支持される(
図11(a))。次いで、加圧ローラ37は採血管を押し上げながらラベル貼付位置まで移動し、ラベル貼付ローラ35及び補助ローラ36と共に採血管を三点支持する。剥離された印字済ラベルは、その先端が、ラベル貼付位置において、採血管の表面とラベル貼付ローラ35との間に入り、該ラベル貼付ローラ35で採血管を回転させている間に、前記ラベルは採血管の表面に貼り付けられる(
図11(b))。
ラベル貼付けが完了すると、加圧ローラ37はラベル貼付後の採血管を支持しながら採血管排出位置まで下がる(
図11(c))。これにより、ラベル貼付後の採血管は、下方に位置するトレイ5に落下排出されることになる。
【0018】
手貼ラベルプリンタ4は、医師からの採血オーダに基づいて採血指示書を印字すると共に、必要に応じて手貼ラベルを印字して、トレイ5に排出する。
【0019】
上記したように構成された採血管自動準備装置のハウジング6は、
図1に示すように、その上面の長手方向の軸を中心に開閉可能に構成されたドア部6aを有し、ドア部6aを開くことにより、各採血管収容部1に前方から採血管を収容することができるように構成されている。
また、
図1中、符号8は、採血管自動準備装置の前面に設けられたタッチスクリーン式のモニタであり、使用者は、このモニタ8を介して該採血管自動準備装置の現在の稼働状況、採血管収容部における採血管の残量状況、ラベルの残量状況等の情報を知ることができ、かつ、情報や信号を入力することができるように構成されている。
【0020】
次に、
図12〜
図16を参照して、本発明に係る採血管自動準備装置における採血管収容部の第二実施例を説明していく。
第二実施例の構成部材中、第一実施例の構成部材と同等の構成部材には、第一実施例で使用した符号と同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図12は水平に並べて配置される複数の採血管収容部40の一つの側面図を示している。
図13は
図12におけるA-A断面図、
図14は
図13におけるB-B断面図、
図15は
図13における円弧Xの部分の概略拡大図、そして、
図16はカム及びハウジングの一部の斜視図を各々示している。
図面に示すように、この採血管収容部40はケーシング41を有し、このケーシング41は、左右一対の側壁42、後壁43及び前面の下部を覆う前壁44を備え、その底面、上面及び前面の上部は開口しており、底面の開口部には、採血管取出カム45が設けられている。
採血管取出カム45は、採血管収容部40に収容された採血管を一本ずつ取出し、取り出した採血管を下方に位置する移送ユニット2(第一実施例の移送ユニット2を参照)に落下供給するように構成されている。
【0021】
採血管取出カム45は、
図13〜
図15に示すように、ケーシング40の内部でケーシング40の全長に亘って伸びる長さを有し、ケーシング40の底面開口を塞ぐようにケーシング40の幅方向中央に配置されている。
また、特に
図14及び
図16から分かるように、採血管取出カム45は、採血管を収容した時に、採血管のキャップ部分を避けることができるように、その前側部分46が縮径した段付き形状にされている。
図13及び
図15に示すように、採血管取出カム45は、その下部に長手方向に伸びる左右一対の凹溝47が形成されている。この凹溝47は、採血管収容部40に収容されている採血管が一本収容できる寸法である。
採血管取出カム45の上部は、採血管収容部40の内方(即ち、上方)に向けて突出する凸状部48を形成し、採血管取出カム45がその中心位置にある時に、左右対称の傾斜した底面(傾斜面)49を形成する。具体的には、前記凸状部48は、
図15に示すように、横断面形状において、頂点から下方に向けて鋭角に傾斜した後に、略水平方向外方にのび、その後さらに鋭角に下方に向けて傾斜する段付き形状を成し、かつ、
図15に示すように、採血管取出カムの回転軸線A2を中心として、凸状部48の頂部を半径とする真円C2を描いた時に、前記傾斜面49を画定する輪郭線Pが、前記真円C2の内側に位置する形状にされている。これにより、凸状部48は、採血管取出カム45が中心位置にある時に、その頂部を中心に、比較的鋭角な左右対称の傾斜面49を形成する。
上記したように、凸状部48の傾斜面49を段付き形状とすることにより、採血管取出カム45が回転した時に、採血管取出カム45の近辺の採血管の下端(即ち、キャップと反対側の部分)が段付き形状の部分に落ちて、採血管の向きが採血管取出カム45の長手方向に整列される。これにより、採血管取出カム45が回転している間に、採血管の向きが、採血管取出カム45の長手方向に対して斜めに傾くことが防止される。
上記したように構成された採血管取出カム45は、その回転軸50を中心に、不図示のモータ等によって左右に回動することができるように構成され、右方向に一定量回転した時に、左側に位置する凹溝47に採血管を収容すると共に、右側に位置する凹溝47に収容された採血管を移送ユニット2に落下供給し、左方向に一定量回転した時に、右側に位置する凹溝47に採血管を収容すると共に、左側に位置する凹溝47に収容された採血管を移送ユニット2に落下供給する。この採血管取出カム45の回転量は、採血管収容部40に収容される採血管のサイズに応じて適宜調整可能であり、具体的には、例えば、直径12mmの採血管の場合には38度であり、直径16mmの採血管の場合には44度であり得る。
また、上記したように構成された採血管取出カム45は、
図14に示すように、その長手方向後方に、環状の切欠き51が形成されている。この実施例では、採血管収容部40が、使用する管の管長に応じてケーシング41の長さを調整することができるように構成されており、この切欠き51は、長さ調整のために取り付けられる後壁43を避けるために設けられているものである。
また、上記したように構成された採血管収容部40は、第一実施例において説明した採血管検知センサ22と同様の構成の採血管検知センサ22を備えており、採血管取出カム45の長手方向略中央に形成された環状の切欠き52(
図14参照)は、採血管検知センサ22を避けるために形成されている切欠きである。
【0022】
一方で、ケーシング40の両側壁42には、図面に示すように、第一実施例と同様、採血管取出カム45の凸状部48に向かう方向に斜め下方に傾斜する傾斜面53が形成されている。
採血管取出カム45が回転して凹溝47に採血管が入る前は、この傾斜面53と前記凸状部48が形成する傾斜面49との間で採血管が保持される。つまり、傾斜面53の端部と傾斜面49の水平方向の距離(
図15のL2)は採血管の直径よりも小さいため、採血管は凹溝47には入らない構成となっている。側壁42に前記傾斜面53を設けることにより、特に、採血管取出カム45が中心位置にある時に、凸状部48が形成する傾斜面49と、側壁42に形成された傾斜面53との間にV字状の空間が形成されることになり、そのV字状の空間の最下端に一本の採血管が導かれ、その位置で保持されるようになる。
また、ケーシング41の両側壁42の長手方向後方における、前記傾斜面53の上方には、長手方向に伸びる突起部54が形成されている(特に、
図15及び
図16参照)。この突起部54は、採血管取出カム45がその中心位置にある時に、凸状部48の頂部に対応する高さに位置するように形成されており、採血管取出カム45の凸状部48の傾斜面49と、両側壁42に形成された傾斜面53との間に、複数の採血管が入り込むことを防止している。これにより、作動中に採血管取出カム45の凸状部48の傾斜面49と、両側壁42に形成された傾斜面53との間で保持される採血管が1本に保たれ、複数の採血管が入り込んで、採血管取出カム45の回転を妨げるような噛み込みが発生することを防止している。
採血管収容部40のケーシング41の幅は、第一実施例と同様、収容すべき採血管の数及び管径に応じて任意に設定することができる。
【0023】
上記した第一実施例では、採血管取出カム13の凸状部15が形成する傾斜面16が緩やかに湾曲しており、第二実施例では、採血管取出カム45の凸状部48が形成する傾斜面49が段付き形状にされているが、凸状部の形状は本実施例に限定されることなく、例えば、その傾斜面が直線状になるように、即ち、凸状部の横断面が二等辺三角形になるように形成してもよい。
また、上記した第一実施例では、凸状部15の頂部に突起部17が形成されているが、この突起部17は必須の構成要件ではない。また、突起部17を設ける場合、その位置は本実施例に限定されることなく、採血管受取カム13を回転させた時に、採血管収容部1に収容されている採血管を上下に動かすことができる位置であれば任意の位置でよく、例えば、傾斜面16に形成してもよい。
さらにまた、上記した第一実施例では、凸状部15の頂部に設けられた突起部17は、採血管取出カム13の長手方向に連続して伸びるように構成されているが、この構成は本実施例に限定されることなく、例えば、採血管取出カム13の長手方向に向けて断続的に設けてもよい。
【0024】
また、上記した第一及び第二実施例では、ケーシング10;41の両側壁11;42に突起部21;54を設けているが、この突起部21;54は必須ではなく、
図17に示すように突起部を設けなくてもよい。
図17は、側壁42に突起部を設けていない第三実施例を示す
図16に対応する図である。側壁42に突起部を設けていないこと以外は、第二実施例と同一の構成であるため、同一の構成要件には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
また、上記した第二実施例では、例えば、直径12mmの採血管の場合、採血管取出カム45を、その中心位置から右方向又は左方向に38度回転させことによって、回転方向の反対側に位置する凹溝47に採血管が入り、次いで採血管取出カム45を中心位置に戻した後、反対方向に38度回転させるように採血管取出カム45の動作を制御しているが、この採血管取出カム45の動作は、本実施例に限定されることなく、例えば、採血管取出カム45を、その中心位置から、採血管取出カム45を右方向に38度回転させた後、左方向に25度戻し、再び右方向に38度回転させてから、中心位置に戻すように制御してもよい。このように採血管取出カム45を、一度反対方向に戻した後に、再度回転させるように構成することで、例えば、一回目の右方向の回転で凹溝47に採血管が入り損ねた場合でも、二度目の右方向の回転で凹溝47に入るので、採血管が凹溝に入り損ねることがない。また、このように採血管取出カム45を一度反対方向に戻すことにより、採血管収容部の下側に残る採血管のキャップ部分が、確実に縮小された前側部分46に入り込むことになり、それにより、採血管が水平に保たれることになる。