(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、大病院や、大規模及び中小規模の薬局では、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。この種の薬剤払出し装置は、散薬分配装置と、薬剤包装装置とを内蔵するものであり、散薬分包装置とも称されている。散薬分包装置は、特許文献1に開示された装置の様に、薬等を一服用分ずつ個別に包装する機能を備えた薬剤払出し装置である。また本発明は、薬剤フィーダを内蔵した薬剤払出し装置に関するものである。
ところで、実用化されている散薬分包装置は、いずれも半自動装置と言えるものであり、人手による作業が必要である。
即ち実用化されている散薬分包装置は、薬瓶から所定量の散薬を量り出して散薬分配装置のホッパー等に投入する作業までは自動化されていない。
そのため散薬分包装置を使用する場合であっても、薬剤師は、医師の処方箋を確認し、薬棚から処方された散薬が入った薬瓶を取り出し、さらに天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出し、これをホッパー等に投入する時間と労力を強いられる。
【0003】
もちろん、散薬を量り出して散薬分配装置のホッパー等に投入する作業についても自動的に行えることが望ましく、過去にこの機能を備えた散薬分包装置が提案されている(特許文献2)。
しかしながら特許文献2に開示された散薬分包装置は、本発明者らの知る限りにおいて実用化されていない。
【0004】
以下、特許文献2に開示された散薬分包装置200の構造及び機能について説明する。特許文献2に開示された散薬分包装置200は、
図18の様に、散薬収納庫201と、分割分包器202を有している。
【0005】
散薬収納庫201は、チェーン等の無端軌道203に多数の薬剤カセット205が取り付けられたものである。
薬剤カセット205のストック部206は、
図20の様に、縦置きの円筒形である。ストック部206の中には攪拌羽根207が設けられている。
ストック部206の正面下部には、その半径方向に沿った方向たる横向きの円筒部208がある。円筒部208は、小径である。そして円筒部208の中にスクリュー210が配されている。
スクリュー210の回転軸211は、
図19の様に後方に突出している。
【0006】
分割分包器202は、
図18の様に配分/分割装置221を2台有している。配分/分割装置221は、断面が円弧状に窪んだ環状の凹溝225を備えた回転体226を備えている。
【0007】
特許文献2に開示された散薬分包装置200では、配分/分割装置221の近傍の特定の位置が供給位置212a,bと規定されている。そして
図18の様に供給位置212a,bにはそれぞれ計量装置213が設けられている。また計量装置213には、振動フィーダ215が設けられている。
特許文献2に開示された散薬分包装置200では、計量装置213は、計量位置と、分配位置と、清掃位置の間を移動する。
また供給位置212a,bには、モータ217が設置されており、モータ217の出力軸にカップリング220が設けられている。
【0008】
特許文献2に開示された散薬分包装置200では、散薬収納庫201の、無端軌道203を動作させて薬剤カセット205を無端軌道203に沿って移動させ、所望の散薬が内蔵された薬剤カセット205を供給位置212a,bに移動させる。
そして無端軌道203に繋がれたままの薬剤カセット205に、モータ217のカップリング220を係合させ、スクリュー210と攪拌羽根207とを回転させて薬剤カセット205内の薬剤を排出する。
【0009】
またこの際に、計量装置213を計量位置に移動させておき、薬剤カセット205から排出された薬剤を計量装置213で計量する。所定量の計量を終えるとモータ217を停止する。そして計量装置213を分配位置に移動し、振動フィーダ215を動作させて配分/分割装置221の回転体226に薬剤を投入する。
即ち配分/分割装置221の回転体226を一定速度で回転し、振動フィーダ215から薬剤を序々に回転体226の凹溝225に投入する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記した様に特許文献2に開示された散薬分包装置200は、本発明者らの知る限りにおいて実用化されていない。以下、特許文献2に開示された散薬分包装置200の問題点を説明する。
【0012】
特許文献2に開示された散薬分包装置200では、薬剤カセット205を無端軌道203に接続したままの状態でスクリュー210の回転軸211を回転して薬剤を排出する。そのため薬剤カセット205を配分/分割装置221に近づけることができず、別途に薬剤を搬送する機器が必要となる。
そのため特許文献2に開示された散薬分包装置200は、部品点数が多く、且つ搬送する機器を設置するスペースを確保することが必要であるため、全体形状が大きい。
【0013】
また特許文献2に開示された散薬分包装置200では、薬剤カセット205を供給位置212a,bに移動させて薬剤を排出するが、薬剤の排出先は計量装置213である。そのため特許文献2に開示された散薬分包装置200では、装置を平面視したとき、計量装置213が専有する領域が必要であり、散薬分包装置200自体が大型にならざるを得ない。
【0014】
また特許文献2に開示された散薬分包装置200では、薬剤カセット205のストック部206が縦置きの円筒形である。そのため薬剤を排出する機器たるスクリュー210は、
図20の様にストック部206の底面の一部を占めるに過ぎない。
明細書の記載によると、
図20の様に、薬剤カセット205のストック部206の底が円形であり、スクリュー210が線状である。そのためストック部206の底面に溜まった薬剤をスクリュー210にかき入れる方策が必須である。そこで薬剤カセット205は、ストック部206の内部に攪拌羽根207を内蔵している。この様に薬剤カセット205は、内部に攪拌羽根207と、スクリュー210があるので、清掃が困難である。
【0015】
さらに特許文献2に開示された薬剤カセット205は、
図19の様に、ストック部206の底面の直径に比べてスクリュー210の部分が短い。そのため薬剤カセット205から排出される薬剤の量はばらつく。
これに対して配分/分割装置221の回転体226の凹溝225に対する薬剤の投入は、単位時間あたりの投入量が一定となる様に行う必要がある。即ち回転体226の凹溝225に対して、均等に薬剤を投入する必要がある。
従って特許文献2に開示された薬剤カセット205から直接、回転体226の凹溝225に対して薬剤を投入することはできない。そのため特許文献2に開示された散薬分包装置200では、薬剤カセット205と配分/分割装置221の間に振動フィーダ215を介在させ、振動フィーダ215によって単位時間あたりの投入量が一定となる様に構成されている。
【0016】
また特許文献2に開示された薬剤カセット205は、後端部にスクリュー210の回転軸211が突出している。そしてモータ217の出力軸に設けられたカップリング220を前進させ、カップリング220を回転軸211に係合させてスクリュー210を回転する。この様に特許文献2に開示された薬剤カセット205は、カップリング220を機械的に係合して動力を伝達するので、摩擦や磨耗による滓や埃が発生する。また滓や埃が発生する位置は、配分/分割装置221の回転体226に近い位置である。一方、回転体226の凹溝225は、常時開放された溝である。そのため摩擦や磨耗による滓や埃が凹溝225内に混入する懸念がある。
特許文献2に記載の散薬分包装置200には、多くの問題点があり、実用化には至っていない。
【0017】
本発明は、薬瓶から所定量の散薬を量り出す作業についても自動で行うことができる新たな薬剤フィーダを開発することを課題とするものであり、より実用的な薬剤フィーダを提案するものである。
また本発明は、より実用性の高い薬剤払出し装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、散薬を収容した状態で保管される薬剤容器と、本体側装置とによって構成される薬剤フィーダと、複数の前記薬剤容器を保管する薬剤容器収納棚と、薬剤容器収納棚の下方に位置し、前記薬剤容器から排出される散薬を受ける分配皿と、薬剤容器収納棚から本体側装置に前記薬剤容器を移動する薬剤容器移動装置とを備え、前記薬剤容器は、散薬を収容する薬剤収容部と、散薬を排出する薬剤排出部とを有し、前記薬剤容器は、本体側装置に対して着脱自在であり、本体側装置は、前記薬剤容器の重量を直接的又は間接的に測定する重量測定手段を有し、薬剤フィーダの本体側装置は複数であって、複数の本体側装置は分配皿の近傍に固定され、薬剤容器移動装置によって、本体側装置から離脱した状態にあった薬剤容器収納棚に保管された前記複数の薬剤容器のいずれかを複数の本体側装置のいずれかに載置することが可能であり、薬剤排出部から散薬を排出し、重量測定手段の検出値の減少値に基づいて散薬の排出量を検知することが可能である薬剤払出し装置である。
好ましい態様は、薬剤容器移動装置は、上下昇降方向及び水平方向に前記薬剤容器を移動することが可能である薬剤払出し装置である。
さらに、好ましい態様は、前記薬剤容器は、薬剤排出部から散薬を分配皿に直接排出する薬剤払出し装置である。
さらに、好ましい態様は、薬剤容器移動装置は、薬剤容器収納棚の近傍に配置され、
薬剤容器移動装置によって、薬剤容器収納棚と本体側装置とから離脱した状態にあった前記薬剤容器を本体側装置に載置することが可能である薬剤払出し装置である。
さらに、好ましい態様は、前記薬剤容器を移動する際、薬剤容器収納棚に配置された複数の前記薬剤容器の中から前記薬剤容器を選定し、薬剤容器移動装置を用いて前記選定された薬剤容器を移動する薬剤払出し装置である。
さらに、好ましい態様は、さらに調剤する散薬の種類と処方量を入力する入力手段と、前記薬剤容器収納棚に保管されている散薬の種類及び残量を記憶する記憶手段とを有し、
前記入力手段に入力された散薬が収容されている前記薬剤容器を選択して前記薬剤容器移動装置で本体側装置に載置し、前記入力手段に入力された処方量の散薬を排出する動作を実行し、前記薬剤容器収納棚に保管されている処方対象の散薬の残量が前記処方量に対して不足する場合には、排出動作に先立って所定の報知がなされる報知手段を有する薬剤払出し装置である。
さらに、好ましい態様は、報知手段は、前記散薬の残量が前記処方量に対して不足する場合には、前記散薬の残量が不足する旨の表示を行う表示装置である薬剤払出し装置である。
さらに、好ましい態様は、さらに薬剤フィーダと分配皿との間に振動フィーダが設けられ、前記薬剤フィーダから一旦前記振動フィーダに散薬を供給し、前記振動フィーダから分配皿に散薬が供給される薬剤払出し装置である。
さらに、好ましい態様は、さらに散薬を包装する薬剤包装装置を有し、前記薬剤フィーダは運転と停止を繰り返して散薬を一服用分ずつ排出し、前記薬剤包装装置によって散薬を一服用分ずつ包装することが可能である薬剤払出し装置である。
さらに、好ましい態様は、前記薬剤フィーダは散薬を一服用分ずつ排出する動作を所定の回数繰り返す薬剤払出し装置である。
上記の課題を解決するために開発された本発明の別の態様は、薬剤容器と、本体側装置によって構成される薬剤フィーダであって、前記薬剤容器は、薬剤を収容する薬剤収容部と、薬剤を排出する薬剤排出部と、薬剤移動部材とを有し、前記薬剤移動部材はその一部又は全部が薬剤収容部内又は薬剤収容部と連通する部位にあり、前記薬剤容器は、本体側装置に対して着脱自在であり、本体側装置は、薬剤容器の重量を直接的又は間接的に測定する重量測定手段を有し、本体側装置から離脱した状態にあった薬剤容器を本体側装置に載置し、前記薬剤移動部材を動作して薬剤収容部内の薬剤を薬剤排出部側に移動させ、薬剤排出部から薬剤を排出し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知することが可能であることを特徴とする薬剤フィーダである。
【0019】
本
態様の薬剤フィーダでは、薬剤移動部材の一部又は全部が薬剤収容部内又は薬剤収容部と連通する部位にある。
そのため薬剤移動部材を駆動することにより、薬剤容器内の薬剤を薬剤排出部から排出することができる。
また
関連発明の薬剤フィーダは、薬剤容器の重量を直接的又は間接的に測定する重量測定手段を有している。そして本体側装置から離脱した状態にあった薬剤容器を本体側装置に載置し、薬剤排出部から薬剤を排出し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知することができる。
即ち前述した特許文献2に開示された薬剤カセット205は、無端軌道203に接続したままの状態でスクリュー210を回転して薬剤を排出するものであったから、薬剤容器の重量の内、相当部分が無端軌道203に掛かっていた。そのため特許文献2に開示された薬剤カセット205では、薬剤容器の重量変化と薬剤の排出量とは一致しない。そのため特許文献2では、薬剤カセット205から排出された薬剤の重量を別途の装置で測定する必要があった。
これに対して
関連発明は、本体側装置から離脱した状態にあった薬剤容器を本体側装置に載置して薬剤容器の重量を検知するから、他の部位に重量が掛かることがなく、薬剤容器と内部に残留する薬剤の重量の合計を正確に測定することができる。そのため別途の計量装置213を必要とせず、計量装置213が専有する領域は不要である。そのため
関連発明の薬剤フィーダを採用すると、薬剤払出し装置の外形形状の全体形状の小型化を図ることができる。
【0020】
上記した関連発明は、本体側装置に駆動源があり、非接触で動力を伝導する動力伝導部材を有し、薬剤移動部材は前記駆動源から動力伝導部材を介して動力伝達を受け、薬剤収容部内で動作すること
が好ましい。
【0021】
この好ましい態様の薬剤フィーダは、駆動源から非接触で動力伝導される。そのため摩擦や磨耗による滓や埃が発生せず、薬剤に対する異物混入の機会が少ない。
【0022】
上記した関連発明は、本体側装置に駆動源と、当該駆動源から動力伝導を受けて運動する駆動側部材があり、薬剤容器には薬剤移動部材に動力を伝達して薬剤容器側を動作させる受動部材があり、前記受動部材は、薬剤容器の隔壁で覆われた位置にあって駆動側部材とは非接触であり、駆動側部材の運動が磁力によって受動側部材に伝導されること
が好ましい。
【0023】
この好ましい態様の薬剤フィーダは、磁力によって動力伝導がなされる。そのため摩擦や磨耗による滓や埃が発生せず、薬剤に対する異物混入の機会が少ない。
さらに
、この好ましい態様の薬剤フィーダは、受動部材は、薬剤容器の隔壁で覆われた位置にある。受動側部材の軸受け等から生じる滓が外部に飛散せず、薬剤に対する異物混入の機会が少ない。
【0024】
上記した好ましい態様の薬剤フィーダは、前記受動部材は、薬剤収容部の外にあり、前記隔壁は薬剤収容部に対して着脱可能であること
がより好ましい。
【0025】
このより好ましい態様によると、受動部材を覆う隔壁を取り外すことができる。そのため受動側部材の軸受け等から生じる滓等を清掃することができる。また何らかの原因で、受動側部材側に入り込んだ薬剤を清掃して取り除くこともできる。
【0026】
上記した関連発明は、薬剤移動部材は螺旋構造部を有し、螺旋構造部を回転させて薬剤収容部内の薬剤を移動させること
が好ましい。
【0027】
この好ましい態様の薬剤フィーダは、薬剤移動部材に螺旋構造部がある。螺旋構造部を回転させることによって薬剤を巻き込み、あるいは押すことにより薬剤収容部内の薬剤を移動させ、薬剤容器内の薬剤を薬剤排出部から排出することができる。
【0028】
この好ましい態様は、薬剤容器は筒状であってその端面に薬剤投入口があり、薬剤容器は本体側装置に横置きに載置され、薬剤移動部材は薬剤容器を本体側装置に載置した姿勢を基準として薬剤容器の底面側にあり、螺旋構造部は薬剤収容部の底面の長さの80パーセント乃至120パーセントの長さを有することが
さらに好ましい。
【0029】
前記した特許文献2に開示された薬剤カセット205は、円筒形であり且つ縦置き姿勢に設置される。これに対して
本態様の薬剤フィーダは、薬剤容器を横置きにして本体側装置に載置される。
そのため本体側装置に載置した姿勢を基準として、薬剤移動部材の占有面積と、薬剤容器の底面との差が小さい。その結果、
本態様の薬剤フィーダは底の薬剤をかき集める機構(特許文献2の攪拌羽根207)は、必ずしも必要ではない。
また
本態様では、螺旋構造部の長さが長いので、螺旋に薬剤が導入される機会が多く、且つ螺旋に薬剤が密に入って隙間が少なくなる。そのため螺旋部材が一回転する間に排出される薬剤の量が安定する。即ち単位時間あたりの薬剤の排出量が均一化される。
【0030】
薬剤移動部材は、回転軸の回りにブレード又は溝が螺旋状に設けられたものであることが推奨
される。
【0031】
さらに好ましくは、ブレード又は溝が複数条設けられていること
である。
【0032】
本発明者らの実験によると、ブレード又は溝が複数条設けられることにより、螺旋部材が一回転する間に排出される薬剤の量が安定する。即ち単位時間あたりの薬剤の排出量が均一化される。
【0033】
さらに好ましくは、ブレード又は溝の壁面に欠落部があるこ
とである。
【0034】
このさらに好ましい態様は、ブレード又は溝の壁面に欠落部がある。そのため薬剤を押し出す過程で、薬剤の一部が欠落部に入り、剪断力を受ける。そのため薬剤が塊状になりにくい。
【0035】
上記した関連発明は、薬剤収容部内と連通し薬剤移動部材を収容する移動部材収納室を有し、薬剤容器を本体側装置に載置した姿勢を基準としたとき、移動部材収納室は薬剤容器の底面側となる位置にあり、移動部材収納室の端部に開閉部があり、当該開閉部を開いて薬剤移動部材を移動部材収納室から抜き出すことが可能であること
が好ましい。
【0036】
この好ましい態様では、薬剤移動部材を移動部材収納室から抜き出すことが可能である。そのため薬剤移動部材の清掃が容易である。
【0037】
上記した関連発明は、薬剤容器には断面積が大きな主収容部があり、薬剤容器先端側に薬剤排出部があり、薬剤排出部近傍の断面積は主収容部に比べて小さく、薬剤移動部材は螺旋構造部を有し、螺旋構造部は主収容部から薬剤排出部近傍に跨がる位置に設けられ、薬剤排出側における螺旋構造部の径は、主収容部側における螺旋構造部の径よりも小さいこと
が好ましい。
【0038】
この好ましい態様によると、薬剤容器内の薬剤を攪拌しつつ薬剤排出部から排出することができる。
即ち
、この好ましい態様の薬剤フィーダでは、薬剤移動部材が螺旋構造部を有している。ここで
本態様で採用する螺旋構造部は、部位によって径が異なり、薬剤収容部側における径は大きく、薬剤排出側における螺旋構造部の径は小さい。そのため薬剤収容部側にある螺旋構造部によって薬剤収容部内の薬剤がかき混ぜられ、薬剤が塊状になることが阻止される。
【0039】
薬剤移動部材は螺旋構造部を有し、螺旋構造部の径は、薬剤収容部側から薬剤排出側に向かうに連れて次第小さくなっていることが望
ましい。
【0040】
上記した関連発明は、薬剤容器は筒状であり、薬剤排出部は、薬剤容器の先端部にあり、薬剤容器は薬剤排出部が下になる様に傾斜する姿勢で本体側装置に載置されること
が好ましい。
【0041】
この好ましい態様では、薬剤容器は薬剤排出部が下になる様に傾斜する姿勢で本体側装置に載置される。そのため薬剤収容部内の薬剤の残量が少なくなった場合でも、円滑に薬剤を排出することができる。
【0042】
上記した関連発明は、重量測定手段によって、薬剤を排出する以前の薬剤容器の重量たる原重量を測定し、薬剤移動部材を動作させて薬剤排出部から薬剤を排出する際に前記重量測定手段によって薬剤容器の重量を監視し、薬剤容器の現在の重量たる現重量が、原重量から目標排出量を引いた値に一致した際あるいは略一致した際に薬剤移動部材の動作を停止する計量機能を備えたことを特徴とすること
が好ましい。
【0043】
薬剤容器の重量の測定手段について付言すると、薬剤容器の重量の測定は直接的であると間接的であるとを問わない。即ち薬剤容器の重量だけを直接接続しても良いし、本体側装置のいずれかの部材の重量を含めた重量を測定してもよい。
この好ましい態様では、薬剤を排出する以前の薬剤容器の重量たる原重量と、薬剤容器の現在の重量たる現重量とを活用し、現重量が原重量から目標排出量を引いた値に一致した際に薬剤移動部材を停止させる。あるいは排出途中の薬剤の重量を勘案して、現重量が原重量から目標排出量を引いた値から僅かに多く、略一致した際に薬剤移動部材を停止させる。そのため目標量の薬剤が排出された後に、薬剤移動部材が停止され、薬剤の排出が停止する。
【0044】
上記した関連発明は、薬剤移動部材は、動作状態と停止状態を繰り返し、薬剤を一服用分ずつ排出可能であること
が好ましい。
【0045】
この好ましい態様では、薬剤を一服用分ずつ排出するから、散薬分配装置を省略することができる。
即ち従来技術では、薬剤フィーダから散薬分配装置に対して薬剤が供給され、散薬分配装置で散薬が一服分ずつに分割される。そしてさらに分割された散薬が薬剤包装装置に供給され、個別に包装される。
これに対して
この好ましい態様の薬剤フィーダは、薬剤を一服用分ずつ排出することができるから、散薬分配装置を経ずに直接薬剤包装装置に薬剤を供給し、個別に包装することができる。
【0046】
上記した関連発明は、前記薬剤容器は、本体側装置に対して着脱自在であり、
本体側装置から離脱した状態にあった薬剤容器を本体側装置に載置することが可能であることが好ましい。
関連発明の他の態様は、複数の薬剤容器を保管する容器保管部と、
上記した薬剤フィーダと、容器保管部から所定の薬剤容器を取り出して薬剤フィーダの本体側装置に載置する容器移動手段を備え、さらに調剤する薬剤の種類と処方量を入力する入力手段と、容器保管部に保管されている薬剤の種類及び残量を記憶する記憶手段を有し、入力手段に入力された薬剤が収容されている薬剤容器を選択して容器移動手段で本体側装置に載置し、螺旋構造部を回転させて入力手段に入力された処方量の薬剤を排出する調剤動作を実行し、容器保管部に保管されている処方対象の薬剤の残量が前記処方量に対して不足する場合には、調剤動作に先立って所定の報知がなされることを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0047】
本態様の薬剤払出し装置は、容器保管部から所定の薬剤容器を取り出して薬剤フィーダの本体側装置に載置する容器移動手段を備えている。そのため薬剤容器を選定し、薬剤フィーダに載置するまでの工程についても自動化される。
また
本態様の薬剤払出し装置は、薬剤の保有在庫を管理する機能を備えている。さらに容器保管部に保管されている処方対象の薬剤の残量が前記処方量に対して不足する場合には、調剤動作に先立って所定の報知がなされ、使用者にその事実を知らせることができる。
【0048】
関連発明の他の態様は、散薬を分配する散薬分配装置と、振動台と、
上記した薬剤フィーダとを有し、薬剤フィーダと散薬分配装置との間に振動台が設けられ、薬剤フィーダから一旦振動台に薬剤を供給し、振動台から散薬分配装置に薬剤が供給されることを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0049】
本態様の薬剤払出し装置は、例えば、従来技術で説明した様な散薬分配装置を備えている。そのため散薬分配装置による作業効率の向上作用と、
上記した薬剤フィーダの作用とが相まって、高いレベルの自動化が図れ、且つ高効率に、散薬の分包等を行うことができる。
また
本態様の薬剤払出し装置では、薬剤フィーダと散薬分配装置との間に振動台が設けられ、薬剤フィーダから一旦振動台に薬剤を供給し、振動台から散薬分配装置に薬剤が供給される。そのため単位時間あたりの投入量のばらつきがより小さくなり、散薬分配装置に均一に薬剤を投入することができる。
【0050】
関連発明の他の態様は、薬剤を包装する薬剤包装装置と、
上記した薬剤フィーダとを有し、薬剤フィーダは運転と停止を繰り返して薬剤を一服用分ずつ排出し、前記薬剤包装装置によって薬剤を一服用分ずつ包装することが可能であることを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0051】
本態様によると、従来必須であった散薬分配装置を省略することができる。
本態様の薬剤払出し装置は、薬剤フィーダは薬剤を一服用分ずつ排出する動作を所定の回数繰り返すことがより好ましい。
【0052】
薬剤移動部材は、回転する部材を有し、回転力によって薬剤収容部内の薬剤を薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0053】
薬剤移動部材は、振動する部材を有し、薬剤収容部内の薬剤を振動させて薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0054】
薬剤移動部材は、前後方向に移動する部材を有し、薬剤収容部内の薬剤に力を与えて薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0055】
薬剤移動部材は、波うち運動を行う部材を有し、薬剤収容部内の薬剤を波に乗せて薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0056】
薬剤移動部材は、送風する部材を有し、送風によって薬剤収容部内の薬剤を薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0057】
本発明薬剤フィーダは、高い薬剤払出し装置等に採用した場合に必要な付属装置が少なく、実用的である。また本発明薬剤フィーダは、高い薬剤払出し装置等に採用した場合に装置の全体形状を実用的な大きさに抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下さらに本発明の実施形態について説明する
本実施形態の薬剤フィーダ1は、例えば
図11の様な散薬分包装置あるいは散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置100の一部を構成するものである。
本実施形態の薬剤フィーダ1は、
図1、
図6の様に薬剤容器2と、本体側装置3によって構成されている。薬剤容器2と本体側装置3は、
図6の様に完全に独立した部品であり、両者を機械的に締結する部材はない。
【0060】
薬剤容器2は、さらに
図5、
図8の様に、容器組立体5と、下カバー6によって構成されている。以下、順次説明する。
薬剤容器2は、長細い形状をしているが、
図1乃至4の様に示すように、横に寝かせた状態で使用される。
そのため薬剤容器2の説明に関し、上下方向の説明は、
図1乃至4の様に薬剤容器2を横に寝かせた姿勢を基準として説明する。
【0061】
容器組立体5は、
図7の様に容器本体8、蓋部材10、排出口形成部材11、螺旋部材12、及び受動部材13によって構成されている。
容器本体8は、樹脂によって形成された横長形状のケースであり、一端側に二つの開放面15a,15bを有する筒体である。
即ち容器本体8は、開放面15a,15bを除く他の面が閉塞され、内部に散薬を入れることができる筒状の容器である。
二つの開放面15a,15bの内、大きい方の開放面15aは、薬剤投入口である。
また小さい方の開放面15bは、薬剤排出口である。ある大きい方の開放面15aを薬剤投入口15aと称し、小さい方の開放面15bを薬剤排出口15bと称する。薬剤排出口15bは円筒形である。
【0062】
容器本体8の中間部分の断面形状は、
図4の様に、概ね五角形であり、使用時の姿勢を基準として底面側が狭まる状態に傾斜している。
そして容器本体8の中心であって最も底に相当する部位は、半円筒形状となっている。即ち容器本体8の底には、長手方向に延びる半円筒形状部16がある。
そのため容器本体8の内部は、大容積の主収容部7と、下部の半円筒形状部16に分かれている。主収容部7と半円筒形状部16との間には仕切りは存在せず、両者は連通していて一つの薬剤収容部52を構成している。
なお、半円筒形状部16は、前記した円筒形の薬剤排出口15bと連通している。
【0063】
容器本体8の外観に目を移すと、
図3に示すように、奥面14は、傾斜面18となっていて下部側が斜め方向に大きく欠落した形状をしている。ただし奥面14の前記した半円筒形状部16と繋がる部位は、
図3の様に垂直壁17となっている。また傾斜面18と垂直壁17は水平壁19で繋がっている。そのため容器本体8の外側であって、奥面14の近傍には、傾斜面18と水平壁19及び垂直壁17とによって囲まれた欠損部21がある。
欠損部21は、後記する受動部材収容空間22を構成する部位であり、垂直壁17には
図4の様に軸挿通孔23が設けられている。
【0064】
容器本体8の底には、
図3、
図7の様に磁性体板25が設けられている。磁性体板25は、鉄、ニッケル等の磁性体を主成分とする板であり、本実施形態では、フェライトを含む鋼板である。
【0065】
蓋部材10は、容器本体8の薬剤投入口15aを閉鎖するものである。蓋部材10には図示しない係合部があり、容器本体8の薬剤投入口15aに対して着脱可能である。
【0066】
排出口形成部材(開閉部)11は、容器本体8の薬剤排出口15bを閉鎖する部材である。排出口形成部材11には、散薬を排出するためのスリット状の薬剤排出部24が縦に複数本設けられている。排出口形成部材11には図示しない係合部があり、容器本体8に対して着脱可能である。排出口形成部材11は、開閉部として機能し、清掃時には薬剤排出口15bを開放することができる。
【0067】
螺旋部材12は、スクリューであり、回転軸26の周囲にブレード27a,27b,27cが設けられたものである。
即ち螺旋部材12は、3条のブレード27a,27b,27cを有するスクリューである。
3条のブレード27a,27b,27cは、
図8の様に、1系統に属するブレード(例えばブレード27a)が他の2系統に属するブレード27(例えばブレード27b,27c)に挟まれる様に設けられている。
また各系統のブレード27a,27b,27cには、一定間隔で欠落部28が設けられている。
ブレード27が設けられた部位の長さは、容器本体8の底面の長さと同一である。
散薬を押し出す方向を基準としてその先頭側と後端部側のブレード27の間隔を比較すると、後端部側のブレード27の間隔は、先頭側に比べて広い。
本実施形態では、ブレード27の外径は、いずれの部位も同一である。
【0068】
螺旋部材12の先端には回転軸26の先端部が突出している。また螺旋部材12の後端には係合部30が設けられている。係合部30は、後記するように、受動部材13の支持軸31aが係合するものであり、支持軸31aの断面形状と合致する凹穴(図示せず)を有している。
【0069】
螺旋部材12は、容器本体8の半円筒形状部16に挿入されている。そして容器本体8の奥側の垂直壁17に設けられた軸挿通孔23から係合部30が容器本体8の外部に突出している。また螺旋部材12の先端側では、回転軸26の先端部が排出口形成部材11の内面に設けられた図示しない凹部によって支持されている。
従って、螺旋部材12は、前端側の回転軸26の先端部が排出口形成部材11の内面によって支持され、螺旋部材12の後端側が奥壁14に設けられた貫通孔23によって支持されており、半円筒形状部16内で回転可能である。
【0070】
受動部材13は、円筒形の磁石であり、本体部40の両端に支持軸31a,bが突出している。受動部材13は、後記する駆動側部材63と組み合わされて一つの動力伝導部材を構成するものであり、非接触で駆動側部材63から動力伝導を受けることができる。
受動部材13は、支持部材32によって容器本体8の容器本体8の外側であって前記した傾斜面18と水平壁19及び垂直壁17によって囲まれた欠損部21に回転可能に取り付けられている。
即ち支持部材32は、金属板を「コ」の字状に曲げ加工したものであり、前面壁35と、天面壁36と、後面壁37とを有している。また前面壁35と後面壁37には貫通孔38a,bが設けられている。
【0071】
受動部材13は、本体部40が、支持部材32の前面壁35と後面壁37で囲まれる空間に挿入され、受動部材13の支持軸31a,bが貫通孔38a,bに挿通されている。そしてこの状態で図示しない部材によって、支持部材32の天面壁36が容器本体8に固定され、受動部材13が欠損部21に回転可能に取り付けられている。
そして受動部材13の支持軸31aが、容器本体8の半円筒形状部16の奥壁14から突出する螺旋部材12の係合部30と係合している。
従って、受動部材13は螺旋部材12と一体的に回転し、容器本体8の外部で受動部材13が回転すると容器本体8の中に配された螺旋部材12が回転する。
【0072】
下カバー6は、
図7の様に、容器本体8の下面45の全域と側面46の一部、及び欠損部21を覆う部材である。下カバー6は、
図7の様に、底壁47、傾斜側壁48a,b及び奥壁50を有する部材である。
ここで傾斜側壁48a,bの後端を除く部位と底壁47は、容器本体8の外壁と概ね合致する形状をしている。これに対して下カバー6の奥壁50は、略垂直姿勢であり、容器本体8の外形形状と合致しない。また傾斜側壁48a,bの後端側は、容器本体8の全高に及ぶ高さを有しており、容器本体8の欠損部21を囲む面を有している。
また下カバー6の底壁47には開口51が設けられている。
【0073】
下カバー6は、図示しないネジによって容器本体8の下面45に取り付けられる。下カバー6が容器本体8に装着された状態においては、下カバー6の奥壁50と、容器本体8の外壁との間に受動部材収容空間22が形成される。即ち下カバー6は、容器本体8の欠損部21をすっぽりと囲む面を有しており、容器本体8の欠損部21が外部に対して遮蔽された受動部材収容空間22となる。前記した様に容器本体8の欠損部21に、受動部材13があるから、下カバー6によって受動部材13の周囲が囲まれ、受動部材13が遮蔽される。
また下カバー6が容器本体8に装着された状態においては、
図3、
図7の様に、容器本体8の下面45に設けられた磁性体板25が下カバー6の開口51から露出する。
【0074】
前記した様に蓋部材10は、容器本体8の主収容部7に相当する部位を閉鎖するものであり、容器本体8に対して着脱可能である。
本実施形態では、容器本体8の蓋部材10を取り外して主収容部7の薬剤投入口15a開口し、容器本体8の内部に散薬が収容される。また容器本体8の内部は、主収容部7と半円筒形状部16が連通していて両者が一つの薬剤収容部52を構成している。
【0075】
次に本体側装置3について説明する。
本体側装置3は、
図9の様に、上から載置台60、重量測定手段61及び基礎部材64によって構成されている。
以下、順次説明する。
載置台60は薬剤容器2を載置する台であり、その表面は、薬剤容器2の下カバー6の形状と合致する形状をしている。即ち載置台60の表面は、下カバー6の底に当接する載置天面70と、下カバー6の傾斜側壁48a,bと合致する載置傾斜側面71a,bを有している。また下カバー6の奥壁50と当接する直立面72を有している。
【0076】
載置台60の内部には、電磁石62と、駆動側部材63が設けられている。また載置台60にはモータ65が取り付けられている。モータ65は駆動源として機能するものである。
即ち、載置台60の載置天面70には、磁石取り付け穴66が設けられており、当該磁石取り付け穴66に電磁石62が内蔵されている。
【0077】
また磁石取り付け穴66と並ぶ位置に駆動部材収容部75が設けられており、当該駆動部材収容部75に駆動側部材63が内蔵されている。駆動部材収容部75は、載置天面70の下に設けられた空洞であり、駆動側部材63は、駆動部材収容部75の中に内蔵されているので載置天面70に露出しない。駆動側部材63を露出させない理由は、雰囲気中に存在する散薬が駆動側部材63に付着したり噛み込むことを防止するためであり、推奨される構成であるが、散薬の付着を防止するために有効な方策を施すことができれば駆動側部材63を載置天面70から露出させてもよい。
駆動側部材63は、円筒形の磁石である。
モータ65は、通常の小型の直流モータであり、
図4の様に出力軸76が駆動側部材63に直結された状態で、載置台60の下に取り付けられており、モータ65の一部は
図1,2,3の様に載置台60から露出している。
モータ65を回転すると、駆動側部材63が駆動部材収容部75内で回転する。
【0078】
重量測定手段61は、公知のロードセルであり、上設置面78と下設置面80とを有し、両者がオフセットした位置にある。
【0079】
基礎部材64は、「コ」の字状部81とフランジ部82a,bを有する台である。基礎部材64は、他の部材に対して薬剤フィーダ1の本体側装置3を取り付けるための治具に過ぎず、実施例の形状には特段の意味はない。
【0080】
本実施形態の本体側装置3は、載置台60の下部に、重量測定手段61が配され、さらにその下部には基礎部材64が配されている。
重量測定手段61は、上設置面78が載置台60の下面に接続され、重量測定手段61の下設置面80は基礎部材64に取り付けられている。
前記した様に、上設置面78と下設置面80とは、オフセットした位置にあるから、重量測定手段61の中間部分は、基礎部材64に対して片持ち支持された構造となっており、その自由端側で載置台60を支えている。
本実施形態では、載置台60と基礎部材64の間を接続する部材は、前記した重量測定手段61以外には無い。そのため載置台60は、重量測定手段61によって基礎部材64から中空に支持された構造となっている。
【0081】
そのため本実施形態では、載置台60に薬剤容器2を載置すると、薬剤容器2の重量が間接的に測定される。即ち載置台60と薬剤容器2の重量が重量測定手段61によって検知され、既知の載置台60の重量を引くことにより、薬剤容器2の重量が測定される。
【0082】
本実施形態の薬剤フィーダ1は、前記した様に薬剤容器2と、本体側装置3によって構成されているが、通常は、両者は別々のものであり、散薬を分包する際に、両者が結合されて薬剤フィーダ1を構成する。
即ち薬剤フィーダ1の本体側装置3は、
図11、12の様に、薬剤払出し装置100の分配皿112の近傍に固定されている。
これに対して薬剤容器2は、
図10の様な薬剤容器収納棚101に載置されて保管されている。即ち薬剤容器2には、所定の散薬が充填され、例えば
図11の様な横姿勢で、薬剤容器収納棚101に載置されている。
【0083】
次に、薬剤フィーダ1の周辺機器について説明する。
本実施形態の薬剤フィーダ1は、散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置100の一部を構成するものである。
薬剤払出し装置100の全体構造は、例えば
図10に示す様なものである。薬剤払出し装置100は、機能上、上下方向に薬剤棚部領域103と、薬剤分割領域105と、薬剤包装領域106とに分けられる。
最上部の薬剤棚部領域103は、周囲に薬剤容器収納棚101が並べられており、その内部に薬剤容器移動装置102が設けられている。
【0084】
薬剤容器移動装置102は、ロボットであり、上下昇降軸107と、水平移動アーム108と、薬剤容器2を保持するハンド部110とを有している。
【0085】
薬剤分割領域105には、散薬分配装置111が設けられている。本実施形態では、散薬分配装置111は、分配皿112を2枚、有している。散薬分配装置111には、本実施形態の薬剤フィーダ1が複数台設置されている。本実施形態では、各分配皿112に薬剤フィーダ1が3台ずつ設置されている。
さらに薬剤包装領域106には、薬剤包装装置120が内蔵されている。
また薬剤払出し装置100には、処方箋を読み取る処方箋読み取り手段121と、各機器の動作を制御する制御装置122とを備えている。
制御装置122には、薬剤払出し装置100に保管されている薬剤の種類と量を管理するデータが格納されている。即ち薬剤払出し装置100では、全ての薬剤容器2について、どの薬剤容器2に、どの様な薬剤が、どれだけの量、収容されているかを示すデータを持っている。そして当該データは、刻々書き換えられ、常に、今、どの様な薬剤が、どれだけの量、収容されているかが管理されている。
また薬剤払出し装置100には、表示装置123が設けられている。
表示装置123には、必要な薬剤が不足している場合や、装置に異常が生じた場合に所定の表示がなされる。
【0086】
次に、本実施形態の薬剤フィーダ1の機能について説明する。なお薬剤フィーダ1は、薬剤払出し装置100の一部を構成するものであるから、散薬分包装置全体の動作を含めて薬剤フィーダ1の動作を説明する。
本実施形態では、薬剤払出し装置100の処方箋読み取り手段121で処方箋の内容が読み込まれることによって全ての動作が開始される。
即ち処方箋の内容が入力されると、直ちに薬剤容器2の搬出作業が開始される。より具体的には、薬剤容器移動装置102が駆動され、薬剤棚部領域103に配置された多数の薬剤容器2の中から、処方箋に合致する薬剤が収容された薬剤容器2を選定し、薬剤フィーダ1の本体側装置3に設置する。
本実施形態では、前記した様に薬剤容器2と、本体側装置3とが別々のものであり、散薬を分包する際に、両者が結合されて薬剤フィーダ1を構成する。
即ち本実施形態では、薬剤容器2は横姿勢で保管され、散薬は、薬剤容器収納棚101に収納されている。
本実施形態では、薬剤容器移動装置102で薬剤容器2を掴み、薬剤容器2を移動し、
図1,2の様に本体側装置3の載置台60に載置する。
【0087】
そして載置台60に内蔵された電磁石62に通電する。その結果、電磁石62に磁力が発生し、薬剤容器2の磁性体板25が載置台60側の吸着面に吸着される。
ここで本実施形態では、薬剤容器2の下カバー6に開口51が設けられており、当該開口51から磁性体板25が露出している。そのため電磁石62は、磁性体板25に直接接触して磁着することができ、薬剤容器2を載置台60に強力に固定することができる。
この状態においては、載置台60の駆動部材収容部75の真上の位置に、薬剤容器2の受動部材13がある。ただし、駆動側部材63と受動部材13との間には、下カバー6の底壁47が隔壁となり、駆動側部材63と受動部材13が直接接することはない。
【0088】
そして載置台60に取り付けられたモータ65を回転する。ここでモータ65の出力軸76には駆動側部材63に直結されているから、モータ65を起動することによって駆動部材収容部75内の駆動側部材63が回転する。
ここで駆動側部材63は、円筒形の磁石であり、且つ薬剤容器2の受動部材13は駆動側部材63の近傍にある。また受動部材13についても円筒形の磁石である。そのため受動部材13は、駆動側部材63の磁力の影響を受けて引き合い、駆動側部材63と共に回転する。
即ち受動部材13は、下カバー6によって囲まれた受動部材収容空間22内にあり、駆動側部材63とは非接触である。また受動部材13と駆動側部材63との間には下カバー6の底壁47がある。この様に受動部材13は駆動側部材63と接触しておらず、且つ両者の間に底壁47があるが、駆動側部材63の磁力線は底壁47を貫通して受動部材13に磁力を作用し、受動部材13を回転させる。
【0089】
その結果、受動部材13に連結された螺旋部材12が、容器本体8内の半円筒形状部16内で回転する。
ここで、螺旋部材12は、スクリューであり、回転軸26の周囲にブレード27a,27b,27cが設けられたものである。
また主収容部7と半円筒形状部16との間には仕切りは存在せず、両者は連通していて一つの薬剤収容部52を構成している。
【0090】
そのため半円筒形状部16内に、薬剤収容部52内の散薬が入る。ここで半円筒形状部16内は、薬剤収容部52の底にあり、且つ容器本体8の断面形状は、
図5様に、概ね五角形であり、底面側が狭まる状態に傾斜している。さらに容器本体8の奥面14は、傾斜面18となっている。そのため、容器本体8の内部は、全体的に半円筒形状部16に向かって収斂する形状となっており、薬剤収容部52内の散薬が集まって半円筒形状部16に集まりやすい構造となっている。
そのため薬剤収容部52の散薬は、半円筒形状部16内に集まり、螺旋部材12の回転によってブレード27a,27b,27cに押され、薬剤排出部24側に向かって進む。そして散薬は、最終的に排出口形成部材11の薬剤排出部24から外部に排出される。
【0091】
また本実施形態では、薬剤収容部52の底の全長に渡る長さに螺旋部材12のブレード27があり、ブレード27が設けられている領域が特許文献2に開示されたものに比べて長い。
そのため薬剤が押されて移動する距離が長い。従ってブレード27に押されて移動する間にも、ブレード27の隙間に新たな散薬が入り込み、排出口形成部材11側に進むに連れて、ブレード27の間に散薬が密に詰まる。さらに、先頭側の27の間隔は、後端側に比べて狭いので、排出口形成部材11側に進むに連れてブレード27の間に散薬が密に詰まることとなる。
そのため本実施形態では、排出口形成部材11から排出される量が安定している。
【0092】
さらに本実施形態では、ブレード27が3条設けられているから、排出口形成部材11から単位時間あたり、一定量の散薬が排出される。
即ち散薬は、ブレード27の末端に薬剤が到達した時に排出されるが、ブレード27の末端の回転姿勢によって、ブレード27の末端から排出される量は異なる。ここで本実施形態では、ブレード27が複数条設けられており、各ブレードの末端がいずれも螺旋部材12の先端にある。そのため末端の回転姿勢の違いによる排出量の変動が相殺され、排出口形成部材11から排出される薬剤の量が安定する。
【0093】
また本実施形態では、各系統のブレード27a,27b,27cに、一定間隔で欠落部28が設けられている。そのため、螺旋部材12が回転する間に、散薬に塊が出来たとしても、当該塊が欠落部28で破壊される。そのため排出口形成部材11からはサラサラした状態の散薬が排出される。
【0094】
またモータ65の起動と前後して散薬分配装置111の分配皿112を回転させる。
モータ65の起動と前後して、薬剤容器2の重量が測定される。薬剤容器2の重量は、重量測定手段61の検知重量から、一定値を引いたものである。より具体的には、薬剤容器2の重量は、重量測定手段61の検知重量から、本体側装置3の重量測定手段61より上の部材の重量を引いたものである。
即ち重量測定手段61によって、重量測定手段61よりも、上にある部材の全ての重量が測定される。
そのため薬剤容器2が、載置台60に載置された状態においては、載置台60等の重量に薬剤容器2の重量が加算された値が、重量測定手段61で検知される。
ここで載置台60等の重量は既知であるから、重量測定手段61で検知された重量から載置台60等の重量を引くことにより、薬剤容器2の重量が間接的に検知できる。
載置台60に設置直後の薬剤容器2の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器2の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器2の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0095】
モータ65が回転を開始すると、容器本体8内で螺旋部材12が回転し、薬剤収容部52内の散薬が螺旋部材12で押されて排出口形成部材11側にゆっくりと移動し、排出口形成部材11から少しずつ排出される。そして散薬の落下量Hが所望の重量となったところで、モータ65の回転を停止する。
【0096】
その後は、従来技術の散薬分包装置と同様、分配皿112の回転を停止し、分配皿112を分配個数に応じた角度だけ回転させて、掻き出し装置で散薬を分配皿112の外に掻き出し、後段側の薬剤包装装置に送り、個別に包装する。
【0097】
また本実施形態の薬剤払出し装置100では、処方箋の内容が入力された段階で、薬剤払出し装置100に保管されている薬剤の在庫を確認し、処方できるだけの在庫があるか否かを確認する機能を備えている。そして処方するだけの在庫が無い場合には、表示装置123にその旨の表示を行う。
【0098】
一連の排出工程や包装工程が終了すると、電磁石の通電を停止し、薬剤容器移動装置102を動作させて薬剤容器2を元の位置に戻す。
【0099】
本実施形態の薬剤フィーダ1は、薬剤を排出する際に螺旋部材12を回転させるが、螺旋部材12の大部分は、容器本体8の内部にある。即ち螺旋部材12のブレード27a,27b,27cは、いずれも薬剤収容部52内にあり、略密閉された空間内にある。そのためブレード27a,27b,27cの部位から薬剤が外に出ることはない。
また螺旋部材12の後端は、容器本体8から突出している。しかしながら、螺旋部材12の後端部は、受動部材収容空間22にある。ここで受動部材収容空間22は、下カバー6で覆われた空間であり、略密閉空間である。そのため例え散薬が、螺旋部材12の回転軸を支持する貫通孔23から漏れ出たとしても、受動部材収容空間22の外にまで出ることはない。即ち、本実施形態では、容器本体8と下カバー6によって二重に散薬の漏れ防止処置がなされており、散薬が外部に飛散することはない。
【0100】
同様に、回転部材たる受動部材13についても受動部材収容空間22内にあるから、受動部材13が発する塵や滓についても外部に飛散しない。さらに受動部材13は直接的には駆動側部材63と接しないから、そもそも受動部材13が発生する塵や滓自身が少ない。そのため、薬剤に対する異物混入はない。
【0101】
上記した実施形態の薬剤フィーダ1を清掃する際には、薬剤排出口15bに取り付けられている排出口形成部材11を外す。即ち排出口形成部材11は、図示しない係合部によって容器本体8に取り付けられており、容器本体8に対して着脱可能である。
排出口形成部材11を外すと、螺旋部材12の先端側の支持が外れると共に、螺旋部材12の先端側が露出する。
【0102】
また螺旋部材12の後端側は、容器本体8の奥壁14に設けられた貫通孔23によって支持されている。そして螺旋部材12の後端に係合部30があり、係合部30は容器本体8から露出して受動部材13の支持軸31aと係合している。
そのため、実施形態の薬剤フィーダ1では、排出口形成部材11を外して螺旋部材12の先端を露出させ、螺旋部材12の先端をラジオペンチ等で摘んで引っ張ると、後端部の係合部30が受動部材13の支持軸31aから離脱し、螺旋部材12が容器本体8の半円筒形状部16から抜け出る。
そのため実施形態の薬剤フィーダ1では、螺旋部材12を取り出して清掃することができる。
また本実施形態では、図示しないネジによって下カバー6を取り外すこともできるから、受動部材収容空間22内を清掃することもできる。
【0103】
以上説明した実施形態では、受動部材13と駆動側部材63は、共に磁石であったが、一方がコイルであってもよい。例えば受動部材13がコイルであっても磁力によって駆動側部材63の動力を伝導することができる。
【0104】
上記した実施形態では、螺旋部材12にブレード27があり、ブレード27が設けられている領域は、薬剤収容部52の底の全長に渡っている。即ち上記した実施形態では、薬剤移動部材たる螺旋部材12は、薬剤容器の底面側にあり、ブレード27(螺旋構造部)が設けられた領域の長さは、薬剤収容部52の底面の長さに対して100パーセントの長さを有している。
ブレード27部分の長さは、薬剤収容部52の底の全長を基準として80パーセント以上であることが望ましい。またブレード27部分は、薬剤収容部52よりも長くてもよい。ブレード27部分は、薬剤収容部52の底面の長さの80パーセント乃至120パーセントの長さを有していることが望ましい。
【0105】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。
第二実施形態の薬剤フィーダ130についても、容器本体131と、本体側部材128によって構成されている。
前記した実施形態の薬剤フィーダ1は、螺旋部材12が容器本体8の底に設けられていたのに対し、本実施形態の薬剤フィーダ130では、容器本体131の中心に螺旋部材132が設けられている。
また前記した実施形態の薬剤フィーダ1では、容器本体8を横姿勢にして薬剤を排出していたのに対し、本実施形態の薬剤フィーダ130では、薬剤排出部側が下になる様な傾斜姿勢に保持して薬剤を排出する。
【0106】
以下、本実施形態の薬剤フィーダ130について説明する。
薬剤フィーダ130の薬剤容器133は、前記した様に、容器本体131の中心に螺旋部材132が設けられたものである。本実施形態で採用する容器本体131は、通常のボトルの様な形状をしており、円筒形の本体部135と、本体部135の先端に設けられた首部136によって構成されている。本体部135と首部136は同心状に設けられている。また首部136は、本体部135に対して明らかに径が小さい。
薬剤フィーダ130では、容器本体131の内部が空洞である。そして本体部135の内部が主収容部160となっている。
【0107】
そして首部136に、口金部材140が装着されている。
口金部材140は、図の様に、取り付け部141と、回転リング142と、先端支持部145によって構成されている。
取り付け部141は、薬剤容器133の先端に結合される部位である。また本実施形態に特有の構成として、取り付け部は141にL形の取り付け金具146が設けられている。取り付け金具146は、磁性体で作られており、水平バー147と傾斜バー148が一体化されたものである。
【0108】
回転リング142は、他の部材に対して相対回転を許すリングである。回転リング142の外側には歯車143a,bが刻まれている。
先端支持部145は外径が細く作られた部位である。
口金部材140の内部には貫通孔150が設けられており、当該貫通孔150の先端が口金部材140の先端に開口していて薬剤排出部150aを形成している。
【0109】
口金部材140の内部には、
図14に示すように、螺旋部材132が設けられている。螺旋部材132は、細長部材137が螺旋を構成しているものである。細長部材137は、リボン状であって薄く、細長い。
螺旋部材132の外径は、先端側に向かうに連れて次第小さくなっている。
螺旋部材132の先端側には、回転軸138が存在するが、中程から後端にかけては細長部材137だけによって螺旋を構成している。
【0110】
螺旋部材132は、口金部材140に保持されている。より詳細に説明すると、口金部材140の中間部に前記した回転リング142があり、回転リング142に螺旋部材132が取り付けられている。また口金部材140の先端には薬剤排出部150aが開口しており、螺旋部材132の先端は、薬剤排出部150aに至っている。
また螺旋部材132の後端は、容器本体131の内にある。即ち本実施形態では、螺旋部材132は主収容部160から薬剤排出部150aの近傍に跨がる位置に設けられ、薬剤排出側における螺旋部材132の径は、主収容部160側における螺旋構造部の径よりも小さい。
【0111】
次に本体側装置128について説明する。
本体側装置128は、
図12, 13の様に、上から載置台152、重量測定手段151及び基礎部材164によって構成されている。また載置台152と一体に台ケース165があり、当載置台152にモータ170及び歯車セット171が取り付けられている。
【0112】
載置台152には、先の実施形態と同様に薬剤容器133を載置する台であり、その表面は、薬剤容器133の取り付け金具146の水平バー147の形状と合致する形状をしている。
載置台152には、先の実施形態と同様に電磁石166が設けられ、この磁着面(図示せず)は載置台152の表面に露出している。
【0113】
台ケース165は載置台152を保持するものである。また台ケース165の中にモータ170及び歯車セット171がある。モータ170はやや傾斜した縦置き姿勢であり、その先端に傘歯車Aが設けられている。
歯車セット171は、この傘歯車Aの回転動力を回転リング142の歯車143a,bに伝導するものであり、二つの傘歯車Ba,Bbと、各傘歯車Ba,Bbと一体回転する平歯車Ca,Cbによって構成されている。
モータ170が回転するとその回転力によって平歯車Ca,Cbが回転する。
【0114】
重量測定手段151は、先の実施形態と同一のものであり、公知のロードセルであり、上設置面78と下設置面80とを有し、両者がオフセットした位置にある。
本実施形態では、載置台152とモータ170及び歯車セット171が、全て台ケース165に固定されており、台ケース165は重量測定手段151の上設置面78に固定されている。従って、載置台152とモータ170、歯車セット171及び台ケース165の全ての重量が重量測定手段151に掛かる。
【0115】
本実施形態においても、薬剤容器133と、本体側装置128とが別々のものであり、散薬を分包する際に、両者が結合されて薬剤フィーダ130を構成する。
本実施形態の薬剤フィーダ130においても、電磁石166の力で薬剤容器133が本体側装置128に固定される。そしてこの状態において、歯車セット171の平歯車Ca,Cbが、回転リング142の歯車143a,bと係合する。そしてモータ170を回転すると、容器本体131の中で螺旋部材132が回転し、内部の散薬を掻き出す。
【0116】
以上説明した実施形態では、薬剤移動部材はいずれも螺旋構造を有するものであり、且つブレードやリボンの様な細い部材を有するものであった。他に、丸棒に溝を設けて螺旋を設けたものを薬剤移動部材として使用してもよい。即ち先の実施形態では、ブレードやリボンで形成される螺旋状の溝が、ブレードやリボンの幅よりも広いものであったが、逆に溝幅の方が狭くてもよい。
【0117】
また薬剤移動部材は、螺旋構造を有するものに限定されず、他の構造のものであってもよい。例えば薬剤移動部材は、水車の様に回転軸が薬剤の移動方向に対して交差する方向の回転部材を設け、この回転力によって薬剤収容部内の薬剤を薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0118】
また薬剤移動部材は、振動する部材を有し、薬剤収容部内の薬剤を振動させて薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0119】
薬剤移動部材は、前後方向に移動する部材を有し、薬剤収容部内の薬剤に力を与えて薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0120】
薬剤移動部材は、波うち運動を行う部材を有し、薬剤収容部内の薬剤を波に乗せて薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0121】
薬剤移動部材は、送風する部材を有し、送風によって薬剤収容部内の薬剤を薬剤排出部側に移動させるものであってもよい。
【0122】
図14に示すように、薬剤フィーダ1の下流に振動フィーダ180を設けると、最終的に分配皿112に投入される薬剤の量(単位時間当たりの投入量)が安定する。即ち単位時間あたりの薬剤の排出量が均一化される。
【0123】
また
図15に示す薬剤払出し装置182の様に、分配皿112を経ずに直接薬剤包装領域106に薬剤を投下し、薬剤包装領域106に設けられた薬剤包装装置120で一服用分ずつ個別に包装することも可能である。
即ち
図15に示す薬剤払出し装置182は分配皿を持たず、薬剤フィーダ1の直下の位置に薬剤包装装置120の投入ホッパー183が設けられている。薬剤包装装置120は、公知のそれと同一の構造を有するものであり、投入ホッパー183に一服用分ずつ薬剤を投入し、個別を包装する装置である。
【0124】
図15に示した薬剤払出し装置182では、薬剤フィーダ1を間欠的に動作させて、薬剤を一服用分ずつ排出する。そしてこれを薬剤包装装置120の投入ホッパー183に直接的に投入し、個別に包装する。
即ち薬剤払出し装置182では、薬剤フィーダ1は、起動と停止を繰り返し、薬剤フィーダ1から薬剤を一服用分ずつ排出する様にプログラムされている。そして薬剤の排出と連動して薬剤包装装置120が動作し、薬剤を一服用分ずつ排出する。
薬剤フィーダ1は、処方箋の内容に応じて所定の回数だけ起動と停止を繰り返し、処方された服用回数に分けて薬剤を排出し、薬剤包装装置120で包装される。
【0125】
また
図16に示す薬剤払出し装置185は、これをさらに発展させたものであり、薬剤フィーダ1の下流に振動フィーダ180が配されている。
図16に示す薬剤払出し装置185についても分配皿を持たず、振動フィーダ180の直下の位置に薬剤包装装置120の投入ホッパー183が設けられている。
図16に示す薬剤払出し装置185では、振動フィーダ180にも重量測定手段186が設けられている。
【0126】
図16に示す薬剤払出し装置185では、薬剤フィーダ1に設けられた重量測定手段61の検知重量と、振動フィーダ180に設けられた重量測定手段186の双方から最終的な排出量を演算する。
即ち薬剤フィーダ1に設けられた重量測定手段61によって、薬剤フィーダ1から振動フィーダ180に投入された薬剤の重量Gが検出される。なお重量Gは、重量測定手段61の検出値の減少値である。
【0127】
薬剤払出し装置185では、振動フィーダ180は、薬剤フィーダ1から薬剤の供給を受けつつ、下流側の薬剤包装装置120に薬剤を投入するから、薬剤フィーダ1から振動フィーダ180に投入された薬剤の重量GAから、振動フィーダ180側の重量測定手段186の検出値の変化量ga(正の場合だけでなく負の場合もある)を引いた値が、最終的な排出量となる。
【0128】
以上説明した実施形態は、いずれも容器本体8、131に、螺旋部材12が一本だけ設けられている。しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではなく、螺旋部材12を複数本、設けてもよい。
図17に示す薬剤フィーダ187では、薬剤容器の容器本体189に、2本の螺旋部材190,191が設けられている。
2本の螺旋部材190,191は、個別に受動部材(図示せず)、それぞれ別個の駆動側部材(図示せず)によって駆動される。
本実施形態では、螺旋部材190が一回転するごとに所定量の薬剤を排出することができる。これに対して他方の螺旋部材191は螺旋部材190よりも径が小さく、一回転ごとに排出される薬剤の量が少ない。
【0129】
図17に示す薬剤フィーダ187では、一服用当たりの薬剤の量が少ない場合には、細い側の螺旋部材191を回転させて薬剤を排出させる。これに対して一服用当たりの薬剤の量が多い場合には、太い側の螺旋部材190を回転させて薬剤を排出させる。また一服用当たりの薬剤の量がさらに多い場合には、双方の螺旋部材190,191を回転させて薬剤を排出させる。