(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1LED素子、前記第1蛍光体樹脂及び前記第1反射層は前記基板上で二分された2つの部分領域のうちの一方に配置され、前記第2LED素子、前記第2蛍光体樹脂及び前記第2反射層は前記2つの部分領域のうちの他方に配置されている、請求項1に記載のLED発光装置。
前記第1LED素子、前記第1蛍光体樹脂及び前記第1反射層と、前記第2LED素子、前記第2蛍光体樹脂及び前記第2反射層とは、前記基板上で交互に帯状に配置されている、請求項1に記載のLED発光装置。
前記第1LED素子、前記第1蛍光体樹脂及び前記第1反射層は前記基板上の中心部に配置され、前記第2LED素子、前記第2蛍光体樹脂及び前記第2反射層は、前記基板上の前記中心部を取り囲む外周部に配置されている、請求項1に記載のLED発光装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して、LED発光装置について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0019】
図1(a)はLED発光装置1の平面図であり、
図1(b)はLED発光装置1の第1蛍光体樹脂150A及び第2蛍光体樹脂150Bが透過した状態の平面図である。また、
図2は、LED発光装置1の
図1(a)に示すII−II線断面図である。
【0020】
LED発光装置1は、主要な構成要素として、実装基板110、回路基板120、第1LED素子130A、第2LED素子130B、反射枠140、第1蛍光体樹脂150A、第2蛍光体樹脂150B、第1反射層160A及び第2反射層160Bを有する。なお、以下では、第1LED素子130A及び第2LED素子130B、第1蛍光体樹脂150A及び第2蛍光体樹脂150Bのことを、それぞれ単に「LED素子130A、130B」、「蛍光体樹脂150A、150B」ともいう。また、第1反射層160A及び第2反射層160Bをまとめて「反射層160」という。
【0021】
実装基板110は、その上面にLED素子130A、130Bが実装される平面領域を有する基板であり、放熱性を高めるために金属部材で構成される。実装基板110は、例えば、耐熱性及び放熱性に優れたAl(アルミニウム)製の基台で構成される金属基板である。実装基板110は一例として正方形の形状を有する。
【0022】
回路基板120は、一例として、実装基板110と同じ大きさの正方形の形状を有し、その中心部に円形の開口部121が形成された絶縁基板である。回路基板120の下面は、接着シートにより実装基板110上に貼り付けられて固定される。また、回路基板120の上面には、開口部121を取り囲むように配線パターン123A、123Bが形成される。配線パターン123Aは接続電極124Aに、配線パターン123Bは接続電極124Bに、それぞれ電気的に導通している。接続電極124A、124Bは一方がアノード電極で他方がカソード電極となり、これらが外部電源に接続されて電圧が印加されることによって、LED発光装置1は発光する。
【0023】
第1LED素子130Aは、白色光用の青色LED素子であり、回路基板120の開口部121から露出している実装基板110上に配置された第1反射層160Aの上に、透明な絶縁性の接着剤などによって実装される。第2LED素子130Bは、白色光用の青色LED素子であり、回路基板120の開口部121から露出している実装基板110上に配置された第2反射層160Bの上に、透明な絶縁性の接着剤などによって実装される。
図1(b)では、8個の第1LED素子130A、及び、8個の第2LED素子130Bが実装される場合の例を示している。LED素子130A、130B同士の接続パターンについては後述する。なお、LED素子の発光色は青色に限らず、他の任意の発光色のLED素子を用いることができる。
【0024】
反射枠140は、開口部121の大きさに合わせて白色の樹脂で構成された円形の枠体であり、回路基板120の上面で配線パターン123A、123Bと重なる位置に固定される。反射枠140は、LED素子130A、130B及び蛍光体樹脂150A、150B内の蛍光体から側方に出射された光を、LED発光装置1の上方(LED素子130A、130Bから見て実装基板110とは反対側)に向けて反射させる。
【0025】
第1蛍光体樹脂150Aと第2蛍光体樹脂150Bとは、開口部121を二分するように、開口部121の略中心を通り実装基板110に略垂直な略平面によって区画されている。第1LED素子130A、第1蛍光体樹脂150A及び第1反射層160Aは、開口部121内の実装基板110上で二分された2つの半円領域のうちの一方に配置され、第2LED素子130B、第2蛍光体樹脂150B及び第2反射層160Bは、その2つの半円領域のうちの他方に配置されている。
【0026】
第1蛍光体樹脂150Aは、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの無色かつ透明な樹脂であり、第1LED素子130Aを被覆し保護する。第1蛍光体樹脂150Aは、例えばYAGなどの蛍光体を含有しており、当該蛍光体が第1LED素子130Aの青色光により励起されて青色光に対して波長変換された黄色光を発する。そして、当該黄色光と第1LED素子130Aが発する青色光が混ざり、色温度5000Kの白色光が発せられる。
【0027】
第2蛍光体樹脂150Bは、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの無色かつ透明な樹脂であり、第2LED素子130Bを被覆し保護する。第2蛍光体樹脂150Bは、例えばYAGとCASNなどの蛍光体を含有しており、当該蛍光体が第2LED素子130Bの青色光により励起されて青色光に対して波長変換された黄色光または赤色光を発する。そして、当該黄色光と当該赤色光と第2LED素子130Bが発する青色光とが混ざり、色温度2700Kの白色光が発せられる。上述した蛍光体は一例であり、これに限るものではない。
【0028】
図3は、
図2のIII部の拡大図である。なお、
図3は各構成要素の位置関係を模式的に示しており、各構成要素の大きさの関係は必ずしも正確ではない。
【0029】
反射層160は、LED素子130A、130Bの実装面に近い側から順に、TiO
2(二酸化チタン)層161A、161B、SiO
2(二酸化ケイ素)層162、Al層163及びアルマイト層164を有する。後述の様に、反射層160は、第1反射層160A及び第2反射層160Bに区画され、第1反射層160Aと第2反射層160Bとは、最上層のTiO
2層161A、161Bの厚さのみが異なる。
【0030】
TiO
2層161A、161BとSiO
2層162とは、互いに異なる屈折率を有する薄膜であり、これらの層と他の層との各境界面において、入射光の一部を反射させる。更に、各境界面において反射された光同士は干渉し合うため、各反射光を合わせた反射光全体の強度は波長によって異なるところ、干渉の条件はTiO
2層161A、161B及びSiO
2層162の厚さによって変化する。したがって、TiO
2層161A、161BとSiO
2層162とは、後述のAl層163の光反射機能を補強する機能(増反射機能)を有しており、更に、それらの層の厚さを調節することにより、波長によって当該増反射機能を変化させることが可能である。
【0031】
TiO
2層161Aは第1蛍光体樹脂150Aの下部に、TiO
2層161Bは第2蛍光体樹脂150Bの下部に、それぞれ配置される。TiO
2層161AとTiO
2層161Bとは同一の素材から成るが、TiO
2層161Aの厚さTA1は約45nmであり、TiO
2層161Bの厚さTB1は約70nmである。反射層160のうち、TiO
2層161Aを含む領域を第1反射層160Aとし、TiO
2層161Bを含む領域を第2反射層160Bとする。なお、TiO
2層161Aの厚さTA1及びTiO
2層161Bの厚さTB1は、上記の厚さに限らず、LED実装面の光の反射効率を向上させることができる限り、任意の厚さに調整してもよい。
【0032】
Al層163は、光反射材としてAlを含有する層である。Al層163は、LED素子130A、130B及び蛍光体樹脂150A、150Bに含有された蛍光体により実装基板110側に出射された光をLED発光装置1の上方に向けて反射させるための反射層として機能する。Al層163の厚さは、例えば約100nmである。
【0033】
アルマイト層164は化学的安定性に優れており、下地層としてAl層163の実装基板110への密着性を高める機能を有する。アルマイト層164の厚さは、例えば約0.5〜2μmである。
【0034】
図4は、LED発光装置1の光の反射効率を説明するためのグラフである。
【0035】
曲線aは第1反射層160Aの反射スペクトルを示し、曲線bは第2反射層160Bの反射スペクトルを示す。また、曲線cは、第1LED素子130A及び第1蛍光体樹脂150Aから構成される第1の構成(第1の発光領域、第1の発光部)の発光スペクトルを示し、曲線dは、第2LED素子130B及び第2蛍光体樹脂150Bから構成される第2の構成(第2の発光領域、第2の発光部)の発光スペクトルを示す。グラフの横軸は波長λ(nm)であり、縦軸は反射率R(%)または相対発光強度I(%)である。
【0036】
曲線aで示す様に、第1反射層160Aは、400〜500nmの波長域において概ね95%の反射率を有する。そして、波長が500nmから大きくなるにつれて反射率が徐々に減少し、波長800nm付近において反射率は85%程度となる。
【0037】
これに対し、曲線bで示す様に、第2反射層160Bは、波長400nmの付近において約85%の反射率を有する。そして、波長が400nmから大きくなるにつれて反射率が徐々に増加し、波長550nm付近において反射率は約95%程度となる。更に、波長が550nmから大きくなるにつれて、反射率は徐々に緩やかに減少し、波長800nm付近において反射率は約90%程度となる。
【0038】
このように、第1反射層160Aと第2反射層160Bとで反射スペクトルが異なるのは、TiO
2層161Aの厚さとTiO
2層161Bの厚さとが異なるため、干渉によって高い反射率を示す光の波長が異なるからである。
【0039】
第1LED素子130A及び第1蛍光体樹脂150Aから構成される第1の構成から出射される光線に対する、第1反射層160A及び第2反射層160Bそれぞれの反射効率を測定した。すると、第1反射層160Aの反射効率を100.0%としたとき、第2反射層160Bの反射効率は98.2%であった。したがって、第1の構成から出射される光線に対しては、第2反射層160Bよりも第1反射層160Aの方が、反射効率が高い。すなわち、第1の構成から出射される光線に対しては、反射層の最上層であるTiO
2層の厚さが約70nmよりも約45nmである方が、反射効率が高い。
【0040】
同様に、第2LED素子130B及び第2蛍光体樹脂150Bから構成される第2の構成から出射される光線に対する、第1反射層160A及び第2反射層160Bそれぞれの反射効率を測定した。すると、第1反射層160Aの反射効率を100.0%としたとき、第2反射層160Bの反射効率は100.7%であった。したがって、第2の構成から出射される光線に対しては、第1反射層160Aよりも第2反射層160Bの方が、反射効率が高い。すなわち、第2の構成から出射される光線に対しては、反射層の最上層であるTiO
2層の厚さが約45nmよりも約70nmである方が、反射効率が高い。
【0041】
以上より、LED発光装置1においては、第1の構成の下部には、第1の構成に対する反射効率が第2反射層よりも高い第1反射層が配置され、第2の構成の下部には、第2の構成に対する反射効率が第1反射層よりも高い第2反射層が配置される。このような構成により、LED実装面の光の反射効率が向上したLED発光装置が得られる。
【0042】
図5(a)〜5(d)は、LED発光装置1の製造方法を説明するための図である。
【0043】
図5(a)に示す様に、実装基板110に、配線パターンが設けられた回路基板120が接着シートにより接着され、開口部121内において実装基板110上に反射層160が形成される。反射層160は、スパッタリング、蒸着、またはその他の様々な方法を用いて、実装基板110側の各層から順次積層することにより形成される。
【0044】
TiO
2層161A、161Bについては、例えば、TiO
2層161B側をマスキングした状態でTiO
2層161Aを先に形成し、その後当該マスキングを外し、更にTiO
2層161Aの上部にマスキングをした状態で、TiO
2層161Bを形成してもよい。或いは、まずTiO
2層161A、161Bの全体を約45nmの厚さで形成し、その後、TiO
2層161Aにのみマスキングをしてから、TiO
2層161Bを更に厚さ約70nmになるまで形成してもよい。
【0045】
次に、
図5(b)に示す様に、第1反射層160Aの上面(TiO
2層161Aの上面)に第1LED素子130Aが、第2反射層160Bの上面(TiO
2層161Bの上面)に第2LED素子130Bが、それぞれダイボンド材によって接着される。次に、
図5(c)に示す様に、金属ワイヤ132によって8個の第1LED素子130A同士、及び8個の第2LED素子130B同士がそれぞれ直列に接続される。端部に位置するLED素子はそれぞれ、配線パターン123Aまたは配線パターン123Bに金属ワイヤ132によって接続される。したがって、配線パターン123Aと配線パターン123Bの間に、第1LED素子130Aの列及び第2LED素子130Bの列が並列に接続される。
【0046】
次に、
図5(d)に示す様に、配線パターン123A、123Bを覆うようにして、回路基板120上に反射枠140が形成される。その後、第1反射層160A及び第2反射層160Bの境界に衝立を置き、第1反射層160Aの上部に第1LED素子130Aを保護するように第1蛍光体樹脂150Aが形成される(
図1(a)参照)。更に、衝立を取り除いてから、第2反射層160Bの上部に第2LED素子130Bを保護するように第2蛍光体樹脂150Bが形成される(
図1(a)参照)。以上より、LED発光装置1が得られる。
【0047】
図6(a)は他のLED発光装置2の平面図であり、
図6(b)はLED発光装置2の第1蛍光体樹脂250A及び第2蛍光体樹脂250Bが透過した状態の平面図である。また、
図7は、LED発光装置2の
図6(a)に示すVII−VII線断面図である。
【0048】
LED発光装置2は、主要な構成要素として、実装基板210、回路基板220、第1LED素子230A、第2LED素子230B、反射枠240、第1蛍光体樹脂250A、第2蛍光体樹脂250B、第1反射層260A及び第2反射層260Bを有する。符号223A、223Bは配線パターン123A、123Bと同様の配線パターンを、符号224A、224Bは接続電極124A、124Bと同様の接続電極を示す。
図7では、第1反射層260A及び第2反射層260Bをまとめて符号260で示している。以下では、LED発光装置2の構成のうちLED発光装置1と同様の点については適宜その説明を省略する。
【0049】
図6(a)に示す様に、LED発光装置2においては、第1蛍光体樹脂150Aと同様の組成を有する第1蛍光体樹脂250Aと、第2蛍光体樹脂150Bと同様の組成を有する第2蛍光体樹脂250Bとが、開口部221において交互に帯状に形成される。更に、
図6(b)に示す様に、第1蛍光体樹脂250Aの下部には、第1反射層160Aと同様の層構成を有する第1反射層260Aが形成され、第2蛍光体樹脂250Bの下部には、第2反射層160Bと同様の層構成を有する第2反射層260Bが形成される。すなわち、LED発光装置2においては、第1LED素子230A、第1蛍光体樹脂250A及び第1反射層260Aと、第2LED素子230B、第2蛍光体樹脂250B及び第2反射層260Bとは、それぞれ開口部221内の実装基板210上で複数の帯状の領域に分かれており、それらが交互に配置されている。なお、蛍光体樹脂は、交互に帯状に配置された形状に限らず、例えば、同心円状、ランダムパターンなど、他の任意の形状で配置することができる。
【0050】
以上より、LED発光装置2においては、第1の構成の下部には、第1の構成に対する反射効率が第2反射層よりも高い第1反射層が配置され、第2の構成の下部には、第2の構成に対する反射効率が第1反射層よりも高い第2反射層が配置される。第1の構成は、第1LED素子230A及び第1蛍光体樹脂250Aから構成され、第2の構成は、第2LED素子230B及び第2蛍光体樹脂250Bから構成される。このような構成により、LED実装面の光の反射効率が向上したLED発光装置が得られる。
【0051】
なお、LED発光装置1、2においては、第1LED素子130A、230Aと第2LED素子130B、230Bとは同じ種類の素子(青色LED素子)であり、第1蛍光体樹脂150A、250Aは第2蛍光体樹脂150B、250Bとは異なった種類の蛍光体樹脂である。しかしながら、LED実装面の光の反射効率を向上させることができる限り、第1LED素子と第2LED素子とは異なった種類の素子であり、第1蛍光体樹脂と第2蛍光体樹脂とは同じ種類の蛍光体樹脂であってもよい。
【0052】
図8(a)は更に他のLED発光装置3の平面図であり、
図8(b)はLED発光装置3の第1蛍光体樹脂350A及び第2蛍光体樹脂350Bが透過した状態の平面図である。また、
図9は、LED発光装置3の
図8(a)に示すIX−IX線断面図である。
【0053】
LED発光装置3は、主要な構成要素として、実装基板310、回路基板320、第1LED素子330A、第2LED素子330B、反射枠340、第1蛍光体樹脂350A、第2蛍光体樹脂350B、第1反射層360A及び第2反射層360Bを有する。符号323A、323Bは配線パターン123A、123Bと同様の配線パターンを、符号324A、324Bは接続電極124A、124Bと同様の接続電極を示す。なお、以下では、第1LED素子330A及び第2LED素子330B、第1蛍光体樹脂350A及び第2蛍光体樹脂350Bのことを、それぞれ単に「LED素子330A、330B」、「蛍光体樹脂350A、350B」ともいう。また、第1反射層360A及び第2反射層360Bをまとめて「反射層360」という。以下では、LED発光装置3の構成のうちLED発光装置1と同様の点については適宜その説明を省略する。
【0054】
図8(a)に示す様に、第1蛍光体樹脂350Aと第2蛍光体樹脂350Bとは、開口部321において交互に帯状に形成される。第1蛍光体樹脂350Aは、黄色、緑色、及び赤色それぞれの蛍光体を含有した、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの無色かつ透明な樹脂から成る。一方、第2蛍光体樹脂350Bは、青色、黄色、及び赤色それぞれの蛍光体を含有した、エポキシ樹脂またはシリコン樹脂などの無色かつ透明な樹脂から成る。
【0055】
図8(b)に示す様に、第1蛍光体樹脂350Aの下部には第1反射層360Aが形成され、第2蛍光体樹脂350Bの下部には第2反射層360Bが形成される。また、第1反射層360Aの上面には第1蛍光体樹脂350Aに保護された第1LED素子330Aが配置され、第2反射層360Bの上面には第2蛍光体樹脂350Bに保護された第2LED素子330Bが配置される。すなわち、LED発光装置3においては、第1LED素子330A、第1蛍光体樹脂350A及び第1反射層360Aと、第2LED素子330B、第2蛍光体樹脂350B及び第2反射層360Bとは、それぞれ開口部321内の実装基板310上で複数の帯状の領域に分かれており、それらが交互に配置されている。
【0056】
第1LED素子330Aは青色光を発するLED素子である。第1蛍光体樹脂350Aに含まれる黄色、緑色、及び赤色の蛍光体は、第1LED素子330Aの青色光により励起されてそれぞれ青色光に対して波長変換された黄色光、緑色光、及び赤色光を発する。そして、当該黄色光、緑色光、及び赤色光と第1LED素子330Aの青色光とが混ざり、白色光となる。
【0057】
第2LED素子330Bは紫色光を発するLED素子である。第2蛍光体樹脂350Bに含まれる青色、黄色、及び赤色の蛍光体は、第2LED素子330Bの紫色光により励起されてそれぞれ紫色光に対して波長変換された青色光、黄色光、及び赤色光を発する。そして、当該青色光、黄色光、及び赤色光と第2LED素子330Bの紫色光とが混ざり、白色光となる。
【0058】
図10は、
図9のX部の拡大図である。なお、
図10は各構成要素の位置関係を模式的に示しており、各構成要素の大きさの関係は必ずしも正確ではない。
【0059】
反射層360は、LED素子330A、330Bの実装面に近い側から順に、TiO
2層361A、361B、SiO
2層362、Al
2O
3層363、Ag(銀)層364及びアルマイト層365を有する。後述の様に、反射層360は、第1反射層360A及び第2反射層360Bに区画され、第1反射層360Aと第2反射層360Bとは、最上層のTiO
2層361A、361Bの厚さのみが異なる。
【0060】
TiO
2層361A、361BとSiO
2層362とは、LED発光装置1の場合と同様に、後述のAg層364の光反射機能を補強する増反射機能を有しており、更に、それらの層の厚さを調節することにより、波長によって当該増反射機能を変化させることが可能である。
【0061】
TiO
2層361Aは第1蛍光体樹脂350Aの下部に、TiO
2層361Bは第2蛍光体樹脂350Bの下部に、それぞれ配置される。TiO
2層361AとTiO
2層361Bとは同一の素材から成るが、TiO
2層361Aの厚さTA3は約30nmであり、TiO
2層361Bの厚さTB3は約50nmである。なお、反射層360のうち、TiO
2層361Aを含む領域を第1反射層360Aとし、TiO
2層361Bを含む領域を第2反射層360Bとする。
【0062】
Al
2O
3層363は、Ag層364とSiO
2層362とを接着させるための中間層である。
【0063】
Ag層364は、光反射材として銀を含有する層である。Ag層364は、LED素子330A、330B及び蛍光体樹脂350A、350Bに含有された蛍光体により実装基板310側に出射された光をLED発光装置3の上方に向けて反射させるための反射層として機能する。Ag層364の厚さは、例えば約100nmである。
【0064】
アルマイト層365は化学的安定性に優れており、下地層としてAg層364の実装基板310への密着性を高める機能を有する。アルマイト層365の厚さは、例えば約0.5〜2μmである。
【0065】
図11は、LED発光装置3の光の反射効率を説明するためのグラフである。
【0066】
曲線eは第1反射層360Aの反射スペクトルを示し、曲線fは第2反射層360Bの反射スペクトルを示す。また、曲線gは、第1LED素子330Aの発光スペクトルを示し、曲線hは、第2LED素子330Bの発光スペクトルを示す。グラフの横軸は波長λ(nm)であり、縦軸は反射率R(%)または相対発光強度I(%)である。
【0067】
曲線eで示す様に、第1反射層360Aは、500〜750nmの波長域において概ね97%の反射率を有する。そして、波長が500nmから小さくなるにつれて反射率が急激に減少し、波長380nm付近において反射率は75%程度となる。
【0068】
これに対し、曲線fで示す様に、第2反射層360Bは、波長500nm付近において反射率は97%程度である。そして、波長が500nmから大きくなるにつれて反射率が緩やかに減少し、波長750nm付近において反射率は95%程度である。一方、波長が500nmから小さくなるにつれて反射率が徐々に減少し、波長380nm付近において波長は93%程度となる。
【0069】
このように、第1反射層360Aと第2反射層360Bとで反射スペクトルが異なるのは、TiO
2層361Aの厚さとTiO
2層361Bの厚さとが異なるため、干渉によって高い反射率を示す光の波長が異なるからである。
【0070】
第1LED素子330Aの発光スペクトルである波長450nm付近においては、第1反射層360Aと第2反射層360Bとで、反射率に大きな差は無い。一方、上述の通り、第1蛍光体樹脂350Aに含まれる蛍光体は黄色光、緑色光、及び赤色光を発するが、これら光はいずれも波長域が約500〜750nmの範囲に含まれる。そして、波長域が約500〜750nmの範囲においては、第1反射層360Aよりも第2反射層360Bの方が高い反射率を示し、また、それら反射率の差は概ね波長450nm付近における反射率の差よりも大きい。
【0071】
したがって、第1LED素子330A及び第1蛍光体樹脂350Aから構成される第1の構成から出射される光線に対しては、第2反射層360Bよりも第1反射層360Aの方が、反射効率が高い。すなわち、第1の構成から出射される光線に対しては、反射層の最上層であるTiO
2の厚さは約50nmよりも約30nmの方が、反射効率が高い。
【0072】
一方、第2LED素子330Bの発光スペクトルである波長400nm付近においては、第1反射層360Aの反射率(約89%)と、第2反射層360Bの反射率(約95%)との差は約6%である。一方、上述の通り、第2蛍光体樹脂350Bに含まれる蛍光体は青色光、黄色光、及び赤色光を発するが、これら光はいずれも波長域が約500〜750nmの範囲に含まれる。そして、当該波長域においては、第1反射層360Aの反射率(約95%)と第2反射層360Bの反射率(約95〜97%)との差は最大でも約3%と、波長400nm付近における反射率の差よりも小さい。
【0073】
したがって、第2LED素子330B及び第2蛍光体樹脂350Bから構成される第2の構成から出射される光線に対しては、第1反射層360Aよりも第2反射層360Bの方が、反射効率が高い。すなわち、第2の構成から出射される光線に対しては、反射層の最上層であるTiO
2の厚さは約30nmよりも約50nmの方が、反射効率が高い。
【0074】
以上より、LED発光装置3においては、第1の構成の下部には、第1の構成に対する反射効率が第2反射層よりも高い第1反射層が配置され、第2の構成の下部には、第2の構成に対する反射効率が第1反射層よりも高い第2反射層が配置される。このような構成により、LED実装面の光の反射効率が向上したLED発光装置が得られる。
【0075】
図12(a)は更に他のLED発光装置4の平面図であり、
図12(b)はLED発光装置4の第1蛍光体樹脂450A及び第2蛍光体樹脂450Bが透過した状態の平面図である。また、
図13は、LED発光装置4の
図12(a)に示すXIII−XIII線断面図である。
【0076】
LED発光装置4は、主要な構成要素として、実装基板410、回路基板420、第1LED素子430A、第2LED素子430B、反射枠440、第1蛍光体樹脂450A、第2蛍光体樹脂450B、第1反射層460A及び第2反射層460Bを有する。LED発光装置4は、回路基板420及び反射枠440の形状を除いて、LED発光装置1と同様の構成を有する。このため、LED発光装置1と重複する点については説明を省略する。
【0077】
回路基板420は、全体として円形となる2つの半円形の開口部421A、421Bを有し、開口部421A、421Bの間に直線状の壁部422を有する。また、反射枠440は、開口部421A、421Bの円周と壁部422の直線に沿った形状を有し、回路基板420の上に固定される。
【0078】
LED発光装置4においては、開口部421Aから露出している実装基板410上に第1反射層460Aが形成され、開口部421Bから露出している実装基板410上に第2反射層460Bが形成される。また、第1反射層460A上には複数の第1LED素子430Aが実装され、第1LED素子430Aを一体的に覆うように第1蛍光体樹脂450Aが形成される。一方、第2反射層460B上には複数の第2LED素子430Bが実装され、第2LED素子430Bを一体的に覆うように第2蛍光体樹脂450Bが形成される。すなわち、第1LED素子430A、第1蛍光体樹脂450A及び第1反射層460Aは、実装基板410上で二分された2つの半円領域のうちの一方に配置され、第2LED素子430B、第2蛍光体樹脂450B及び第2反射層460Bは、その2つの半円領域のうちの他方に配置されている。このように、第1LED素子、第1蛍光体樹脂及び第1反射層と、第2LED素子、第2蛍光体樹脂及び第2反射層とは、反射枠により隔てられていてもよい。
【0079】
図14は、更に他のLED発光装置4’の断面図である。
図14では、LED発光装置4’について、
図13と同様の断面図を示している。
【0080】
LED発光装置4’は、LED発光装置4の実装基板410と回路基板420がセラミック基板420’に替わっている点がLED発光装置4とは異なるが、その他はLED発光装置4と同じ構成を有する。セラミック基板420’は、その上面に配線パターン及び接続電極、並びに第1反射層460A及び第2反射層460Bが形成され、第1LED素子430A及び第2LED素子430Bが実装される平坦な基板であり、実装基板と回路基板を兼ねている。このように、LED発光装置の基板は、開口部がない1枚の基板で構成されていてもよい。なお、LED発光装置4’の平面図は、符号420が符号420’に替わる点を除いて、
図12(a)及び12(b)に示したものと同じである。
【0081】
図15(a)は更に他のLED発光装置5の平面図であり、
図15(b)はLED発光装置5の第1蛍光体樹脂550A及び第2蛍光体樹脂550Bが透過した状態の平面図である。また、
図16は、LED発光装置5の
図15(a)に示すXVI−XVI線断面図である。
【0082】
LED発光装置5は、主要な構成要素として、実装基板510、回路基板520、第1LED素子530A、第2LED素子530B、反射枠540A、540B、第1蛍光体樹脂550A、第2蛍光体樹脂550B、第1反射層560A及び第2反射層560Bを有する。LED発光装置5は、第1LED素子530A及び第2LED素子530Bの配置、並びに回路基板520、反射枠540A、540B、第1蛍光体樹脂550A、第2蛍光体樹脂550B、第1反射層560A及び第2反射層560Bの形状を除いて、LED発光装置1と同様の構成を有する。このため、LED発光装置1と重複する点については説明を省略する。
【0083】
回路基板520は、円形の開口部521Aと、開口部521Aを取り囲む円環状の開口部521Bとを有し、開口部521A、521Bの間に円形の壁部522を有する。また、反射枠540A、540Bはともに円形の枠体であり、反射枠540Aは開口部521Aを取り囲むように壁部522上に固定され、反射枠540Bは開口部521Bを取り囲むように回路基板520上における開口部521Bの縁に固定される。
【0084】
LED発光装置5においては、開口部521Aから露出している実装基板510上に第1反射層560Aが形成され、開口部521Bから露出している実装基板510上に第2反射層560Bが形成される。また、第1反射層560A上には複数の第1LED素子530Aが実装され、第1LED素子530Aを一体的に覆うように第1蛍光体樹脂550Aが形成される。一方、第2反射層560B上には複数の第2LED素子530Bが実装され、第2LED素子530Bを一体的に覆うように第2蛍光体樹脂550Bが形成される。すなわち、第1LED素子530A、第1蛍光体樹脂550A及び第1反射層560Aは、実装基板510上の中心部に配置され、第2LED素子530B、第2蛍光体樹脂550B及び第2反射層560Bは、実装基板510上の中心部を取り囲む外周部に配置されている。
【0085】
図17は、更に他のLED発光装置5’の断面図である。
図17では、LED発光装置5’について、
図16と同様の断面図を示している。
【0086】
LED発光装置5’は、LED発光装置5の実装基板510と回路基板520がセラミック基板520’に替わっている点がLED発光装置5とは異なるが、その他はLED発光装置5と同じ構成を有する。セラミック基板520’は、その上面に配線パターン及び接続電極、並びに第1反射層560A及び第2反射層560Bが形成され、第1LED素子530A及び第2LED素子530Bが実装される平坦な基板である。なお、LED発光装置5’の平面図は、符号520が符号520’に替わる点を除いて、
図15(a)及び15(b)に示したものと同じである。
【0087】
図18(a)は更に他のLED発光装置6の平面図であり、
図18(b)はLED発光装置6の第1蛍光体樹脂650A及び第2蛍光体樹脂650Bが透過した状態の平面図である。また、
図19は、LED発光装置6の
図18(a)に示すXIX−XIX線断面図である。
【0088】
LED発光装置6は、主要な構成要素として、実装基板610、回路基板620、第1LED素子630A、第2LED素子630B、反射枠640、第1蛍光体樹脂650A、第2蛍光体樹脂650B、第1反射層660A及び第2反射層660Bを有する。LED発光装置6は、第1LED素子630A及び第2LED素子630Bの配置、並びに第1蛍光体樹脂650A、第2蛍光体樹脂650B、第1反射層660A及び第2反射層660Bの形状を除いて、LED発光装置1と同様の構成を有する。このため、LED発光装置1と重複する点については説明を省略する。
【0089】
LED発光装置6においては、回路基板620の円形の開口部621から露出している実装基板610上において、中心部に円形の第1反射層660Aが形成され、第1反射層660Aを取り囲むように外周部に円環状の第2反射層660Bが形成される。また、第1反射層660A上には複数の第1LED素子630Aが実装され、第1LED素子630Aを一体的に覆うように第1蛍光体樹脂650Aが形成される。一方、第2反射層660B上には複数の第2LED素子630Bが実装され、第2LED素子630Bを一体的に覆うように第2蛍光体樹脂650Bが形成される。すなわち、第1LED素子630A、第1蛍光体樹脂650A及び第1反射層660Aは、実装基板610上の中心部に配置され、第2LED素子630B、第2蛍光体樹脂650B及び第2反射層660Bは、実装基板610上の中心部を取り囲む外周部に配置されている。
【0090】
図20は、更に他のLED発光装置6’の断面図である。
図20では、LED発光装置6’について、
図19と同様の断面図を示している。
【0091】
LED発光装置6’は、LED発光装置6の実装基板610と回路基板620がセラミック基板620’に替わっている点がLED発光装置6とは異なるが、その他はLED発光装置6と同じ構成を有する。セラミック基板620’は、その上面に配線パターン及び接続電極、並びに第1反射層660A及び第2反射層660Bが形成され、第1LED素子630A及び第2LED素子630Bが実装される平坦な基板である。なお、LED発光装置6’の平面図は、符号620が符号620’に替わる点を除いて、
図18(a)及び18(b)に示したものと同じである。
【0092】
LED発光装置4、4’、5、5’、6、6’においては、第1LED素子430A、530A、630A及び第1蛍光体樹脂450A、550A、650Aが第1の構成に相当し、第2LED素子430B、530B、630B及び第2蛍光体樹脂450B、550B、650Bが第2の構成に相当する。これらのLED発光装置でも、第1の構成の下部には、第1の構成に対する反射効率が第2反射層よりも高い第1反射層が配置され、第2の構成の下部には、第2の構成に対する反射効率が第1反射層よりも高い第2反射層が配置される。このような構成により、LED実装面の光の反射効率が向上したLED発光装置が得られる。