(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。本出願書類におけるいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。なお、本出願書類において、「樹脂成形」とは、成形型により樹脂を成形することを意味し、成形型により封止樹脂部を成形する「樹脂封止」を含む概念の表現である。また、「樹脂成形品」とは、少なくとも樹脂成形された樹脂部分を含む製品を意味し、後述するような基板に装着された半導体チップが成形型により樹脂成形されて樹脂封止された形態の封止済基板を含む概念の表現である。
〔実施形態1〕
【0012】
(成形型の構成)
本発明に係る成形型は、成形型の一部を選択的に取り付けることによってサイズや形状の異なる樹脂成形品を製造することを可能にする成形型である。成形型は、すべての製品に共通して使用される共通部材と特定の製品に対応して使用される選択部材とによって構成される。実施形態1では、樹脂成形する対象物としてプリント基板やリードフレームなどの基板を樹脂成形する場合を示す。以下、実施形態1において使用される5つの成形型の構成について
図1〜
図5を参照してそれぞれ説明する。なお、選択部材とは、他の選択部材に対して、選択的に取付けられる部材のことである。
【0013】
(第1の形態)
実施形態1に係る成形型において、第1の形態として使用される成形型の構成について、
図1を参照して説明する。
図1に示される成形型は、例えば、圧縮成形法を用いた樹脂成形装置において使用される成形型である。第1の形態に示す成形型は、例えば、樹脂成形する基板が矩形形状でサイズが大きい場合に使用される成形型である。樹脂成形する基板が大きいので、基板に対応して成形型に設けられるキャビティも大きくなる。
【0014】
図1(b)に示されるように、成形型1は、上型2と上型2に対向して配置される下型3とを備える。下型3は、下型3のベースとなる基台4と、基台4の上に固定される内側部材5と、内側部材5の周囲を取り囲むようにして設けられる枠状部材6とを備える。枠状部材6は矩形の開口部6aを有する。内側部材5には、内側部材5が有する型面の外周部に段差部7が設けられる。したがって、内側部材5は、内側部材5の上部を構成する上部部材5aと内側部材5の下部を構成する下部部材5bとを備える。枠状部材6と基台4との間には、枠状部材6を支持するためスプリングなどの弾性部材8が設けられる。
【0015】
下型3において、基台4と内側部材5と枠状部材6と弾性部材8とは、すべての製品に共通して使用される共通部材となる。段差部7の位置には、樹脂成形する基板のサイズや形状などに対応して選択部材が設けられる。製品が異なる場合であっても、共通部材に選択部材を取り付けることによって成形型を使用することができる。
【0016】
枠状部材6が有する矩形の開口部6aに沿って、内側部材5は昇降することができる。言い換えれば、枠状部材6と内側部材5とは、相対的に上下方向に移動する。枠状部材6の内側面と内側部材5が有する下部部材5bの外側面との間の隙間が、内側部材5(内側部材5が有する下部部材5b)が摺動する摺動部9となる。
【0017】
第1の形態においては、内側部材5の段差部7に選択部材として底面部材10が取り付けられる。底面部材10は内側部材5の段差部7にはめ込まれる。底面部材10の上面が内側部材5(内側部材5が有する上部部材5a)の上面と一致し、底面部材10の外側面が内側部材5(内側部材5が有する下部部材5b)の外側面と一致するようにして、底面部材10は段差部7に取り付けられる。したがって、
図1(b)に示されるように、枠状部材6の内側面と内側部材5及び底面部材10の上面とによって囲まれる空間が、下型3におけるキャビティ11を構成する。
【0018】
枠状部材6の内側面と底面部材10の外側面との間の隙間が、底面部材10が摺動する摺動部12となる。摺動部(隙間)9と摺動部(隙間)12とは連通する。したがって、内側部材5と底面部材10とが一体となって、摺動部9及び摺動部12に沿って昇降することができる。
【0019】
上型2には、例えば、半導体チップ13が装着されたサイズが比較的大きい基板14が供給される。基板14は半導体チップ13が装着された面を下側にして、クランプ又は吸着によって上型2に固定される。本実施形態においては、吸引機構(図示なし)によって、上型2に設けられた複数の吸引孔15を介して基板14を上型2に吸着して固定する場合を示す。第1の形態に示される成形型1は、樹脂成形する基板14が比較的大きい場合に使用される成形型である。より具体的には、基板14のサイズは、後述する
図2に示された第2の形態の基板24及び
図3に示された第3の形態の基板35のサイズよりも大きい。
【0020】
下型3には、樹脂成形品の離型を容易にするための離型フィルム16が供給される。離型フィルム16は、吸引機構(図示なし)によってキャビティ11の型面に沿って吸着される。第1の形態においては、摺動部12及び摺動部9を介して離型フィルム16がキャビティ11の型面に吸着される。
【0021】
第1の形態によれば、内側部材5の段差部7に選択部材として底面部材10を取り付ける。このことにより、枠状部材6の内側面と内側部材5及び底面部材10の上面とによって、下型3におけるキャビティ11を構成する。第1の形態に示される成形型1では、選択部材として底面部材10を取り付けることによって、下型3にサイズが比較的大きいキャビティ11を設けることができる。したがって、成形型1を用いてサイズが比較的大きい基板14に装着された半導体チップ13を樹脂封止することができる。
【0022】
(第2の形態)
実施形態1に係る成形型において、第2の形態として使用される成形型の構成について、
図2を参照して説明する。第2の形態に示す成形型は、樹脂成形する基板が比較的小さい場合に使用される成形型である。樹脂成形する基板が比較的小さいので、基板に対応してキャビティも比較的小さくなる。なお、ここで、基板及びキャビティが比較的小さいとは、上述の
図1に示された第1の形態の基板14と比較して小さいことを意味している。
【0023】
図2(b)に示されるように、成形型17は、上型2と上型2に対向して配置される下型18とを備える。第1の形態と同様に、下型18は、下型18のベースとなる基台4と、基台4の上に固定される内側部材5と、内側部材5の周囲を取り囲む枠状部材6とを備える。内側部材5には型面の外周部に段差部7が設けられる。内側部材5は、内側部材5の上部を構成する上部部材5aと内側部材5の下部を構成する下部部材5bとを備える。枠状部材6と基台4との間には、スプリングなどの弾性部材8が設けられる。下型18において、下型18を構成するこれらの要素部材については第1の形態と同じである。これらの要素部材はすべての製品に対して共通する要素部材である。より具体的には、前述した第1の形態(
図1)及び後述する第5の形態(
図5(a))の下型3と、第2の形態(
図2)及び後述する第5の形態(
図5(b))の下型18と、後述する第3の形態(
図3)の下型28と、後述する第4の形態(
図4)の下型38とにおいて、基台4と内側部材5と枠状部材6とが、共通する要素部材となる。
【0024】
第2の形態においては、枠状部材6の内側上部に選択部材として側面部材19が取り付けられる。
図2(b)に示されるように、側面部材19は、内側部材5の段差部7に対応する位置に取り付けられる。側面部材19の上面が枠状部材6の上面と一致するようにして、側面部材19が枠状部材6の内側上部に取り付けられる。下型18において、側面部材19の内側面と内側部材5(内側部材5が有する上部部材5a)の上面とによって囲まれる空間が、下型18におけるキャビティ20を構成する。側面部材19と内側部材5が有する下部部材5bとの間には、側面部材19を支持する弾性部材21が設けられる。
【0025】
枠状部材6の上部に取り付けられた側面部材19の内側面と内側部材5が有する上部部材5aの外側面との間の隙間が、上部部材5aが摺動する摺動部22となる。摺動部22(隙間)は、段差部7を介して摺動部9(隙間)と連通する。したがって、内側部材5が有する上部部材5aは摺動部22に沿って昇降し、内側部材5が有する下部部材5bは摺動部9に沿って昇降する。
【0026】
上型2には、半導体チップ23が装着されたサイズが比較的小さい基板24が供給される。基板24は半導体チップ23が装着された面を下側にして、上型2に設けられた複数の吸引孔15から吸引されることにより、上型2に吸着される。
【0027】
第2の形態に示される成形型17は、樹脂成形する基板24が比較的小さい場合に使用される成形型である。したがって、上型2に設けられた吸引孔15のうち、基板24のサイズ内に含まれる吸引孔15を使用して基板24が吸着される。基板24のサイズ内に含まれない吸引孔15aは基板24を吸引するためには不要な吸引孔となる。したがって、基板24を吸着する際に、空気が漏れないように固定部材25などによって吸引孔15aを塞ぐようにする。あるいは、吸引孔15aと基板24を吸引する吸引孔15とを別の吸引機構にそれぞれ接続するようにして、吸引孔15に接続された吸引機構のみを使用して基板24を吸引するようにしてもよい。
【0028】
第1の形態と同様に、下型18には離型フィルム26が供給される。離型フィルム26は、吸引機構(図示なし)によってキャビティ20の型面に沿って吸着される。第2の形態においては、摺動部22、段差部7及び摺動部9を介して離型フィルム26がキャビティ20の型面に吸着される。
【0029】
第2の形態によれば、枠状部材6の内側上部に選択部材として側面部材19を取り付ける。このことにより、側面部材19の内側面と内側部材5(内側部材5が有する上部部材5a)の上面とによって、下型18におけるキャビティ20を構成する。第2の形態に示される成形型17では、選択部材として側面部材19を取り付けることによって、下型18にサイズが比較的小さいキャビティ20を設けることができる。したがって、成形型17を用いてサイズが比較的小さい基板24に装着された半導体チップ23を樹脂封止することができる。
【0030】
第1の形態及び第2の形態で示したように、内側部材5の型面の外周部には段差部7が設けられる。内側部材5は、内側部材5の上部を構成する上部部材5aと内側部材5の下部を構成する下部部材5bとを備える。内側部材5が有する上部部材5aの平面積が最も小さいキャビティの平面積に相当し、内側部材5が有する下部部材5bの平面積が最も大きいキャビティの平面積に相当する。したがって、内側部材5が有する上部部材5aの平面積と下部部材5bの平面積とによって、下型において使用可能なキャビティのサイズが設定される。
【0031】
(第3の形態)
実施形態1に係る成形型において、第3の形態として使用される成形型の構成について、
図3を参照して説明する。第3の形態に示す成形型は、第1の形態及び第2の形態で示した基板のサイズに対してこれらの中間のサイズを有する基板を樹脂成形する場合に使用される成形型である。
【0032】
図3(b)に示されるように、成形型27は、上型2と上型2に対向して配置される下型28とを備える。下型28は、基台4と、基台4の上に固定される内側部材5と、内側部材5の周囲を取り囲む枠状部材6とを備える。内側部材5には型面の外周部に段差部7が設けられる。内側部材5は、内側部材5の上部を構成する上部部材5aと内側部材5の下部を構成する下部部材5bとを備える。枠状部材6と基台4との間には弾性部材8が設けられる。下型28において、下型28を構成するこれらの要素部材については第1の形態及び第2の形態と同じである。
【0033】
第3の形態においては、内側部材5の段差部7に選択部材として底面部材29が取り付けられる。底面部材29の上面が内側部材5(内側部材5が有する上部部材5a)の上面と一致するようにして、底面部材29は内側部材の段差部7に取り付けられる。
【0034】
枠状部材6の内側上部に選択部材として側面部材30が取り付けられる。側面部材30は、内側部材5の段差部7に対応する位置に取り付けられる。側面部材30の上面が枠状部材6の上面と一致するようにして、側面部材30が枠状部材6の内側上部に取り付けられる。
【0035】
下型28において、側面部材30の内側面と内側部材5及び底面部材29の上面とによって囲まれる空間が、下型28におけるキャビティ31を構成する。側面部材30と内側部材5が有する下部部材5bとの間には、側面部材30を支持する弾性部材32が設けられる。
【0036】
枠状部材6の上部に取り付けられた側面部材30の内側面と内側部材5が有する上部部材5aに取り付けられた底面部材29の外側面との間の隙間が、上部部材5aと底面部材29とが一体となって摺動する摺動部33となる。摺動部(隙間)33は、段差部7を介して摺動部(隙間)9と連通する。したがって、内側部材5が有する上部部材5aと底面部材29とは摺動部33に沿って昇降し、内側部材5が有する下部部材5bは摺動部9に沿って昇降する。
【0037】
上型2には、半導体チップ34が装着された中間サイズの基板35が供給される。基板35は半導体チップ34が装着された面を下側にして、上型2に設けられた複数の吸引孔15から吸引されることにより、上型2に吸着される。
【0038】
第3の形態に示される成形型27は、樹脂成形する基板35のサイズが中間サイズである場合に使用される成形型である。第2の形態と同様に、上型2に設けられた吸引孔15のうち、基板35のサイズ内に含まれる吸引孔15から吸引されることにより、基板35が吸着される。基板35のサイズ内に含まれない吸引孔15aは、空気が漏れないように固定部材25によって塞がれる。
【0039】
下型28には離型フィルム36が供給される。離型フィルム36は、吸引機構(図示なし)によってキャビティ31の型面に沿って吸着される。第3の形態においては、摺動部33、段差部7及び摺動部9を介して離型フィルム36がキャビティ31の型面に吸着される。
【0040】
第3の形態によれば、内側部材5の段差部7に選択部材として底面部材29を取り付ける。枠状部材6の内側上部に選択部材として側面部材30を取り付ける。このことにより、側面部材30の内側面と内側部材5及び底面部材29の上面とによって、下型28におけるキャビティ31を構成する。第3の形態に示される成形型27では、選択部材として底面部材29と側面部材30とを取り付けることによって、サイズが中間のキャビティ31を下型28に設けることができる。したがって、成形型27を用いてサイズが中間の基板35に装着された半導体チップ34を樹脂封止することができる。なお、サイズが中間のキャビティ31とは、第3の形態のキャビティ31のサイズが、第1の形態のキャビティ11のサイズと第2の形態のキャビティ20のサイズと間であることを意味している。
【0041】
第1の形態〜第3の形態で示したように、内側部材5の型面の外周部には段差部7が設けられる。内側部材5の段差部7には、選択部材として底面部材を取り付けることができる。一方、枠状部材6の内側上部には、内側部材5の段差部7に対応する位置に選択部材として側面部材を取り付けることができる。したがって、選択部材として底面部材と側面部材とを選択して取り付けることにより、任意のサイズのキャビティを下型に設けることができる。このことにより、サイズの異なる基板であっても選択部材だけを交換して取り付けることによって樹脂成形することができる。
【0042】
(第4の形態)
実施形態1に係る成形型において、第4の形態として使用される成形型の構成について、
図4を参照して説明する。第4の形態に示す成形型は、樹脂成形する樹脂成形品の形状が第1の形態〜第3の形態で示した樹脂成形品の形状と異なる場合に使用される成形型である。言い換えれば、キャビティの形状が第1の形態〜第3の形態で示したキャビティの形状と異なる成形型である。
【0043】
図4(b)に示されるように、成形型37は、上型2と上型2に対向して配置される下型38とを備える。下型38は、基台4と、基台4の上に固定される内側部材5と、内側部材5の周囲を取り囲む枠状部材6と、枠状部材6と基台4との間に設けられた弾性部材8とを備える。これらの構成は、第1の形態〜第3の形態と同じである。
【0044】
第4の形態においては、
図4(a)に示されるように、例えば、選択部材として平面視して多角形(六角形)の形状を有する底面部材39が内側部材5の段差部7に取り付けられる。底面部材39は、内側部材5が有する上部部材5aの外側面にはめ込まれる。底面部材39の上面が内側部材5の上面と一致するようにして、底面部材39は内側部材5の段差部7に取り付けられる。
【0045】
枠状部材6の内側上部には、選択部材として底面部材39の形状(多角形(六角形)の形状)に対応するように形成された側面部材40が取り付けられる。
図4(a)に示されるように、側面部材40は、底面部材39の形状に対応して多角形の開口部40aを有する。側面部材40の上面が枠状部材6の上面と一致するようにして、側面部材40が枠状部材6の内側上部に取り付けられる。
【0046】
下型38において、側面部材40の内側面と内側部材5及び底面部材39の上面とによって囲まれる空間が、下型38におけるキャビティ41を構成する。キャビティ41は、底面部材39の形状に対応して多角形の形状を有する。側面部材40と内側部材5が有する下部部材5bとの間には、側面部材40を支持する弾性部材42が設けられる。
【0047】
枠状部材6の上部に取り付けられた側面部材40の内側面と内側部材5が有する上部部材5aに取り付けられた底面部材39の外側面との間の隙間が、上部部材5aと底面部材39とが一体となって摺動する摺動部43となる。摺動部(隙間)43は、段差部7を介して摺動部(隙間)9と連通する。
【0048】
上型2には、例えば、高耐圧デバイスを含む半導体チップ44と制御系の半導体チップ45とが装着された基板46が供給される。基板46は半導体チップ44、45が装着された面を下側にして上型2に吸着される。基板46のサイズ内に含まれない吸引孔15aは、空気が漏れないように固定部材25によって塞がれる。
【0049】
下型38には離型フィルム47が供給される。離型フィルム47は、吸引機構(図示なし)によってキャビティ41の型面に沿って吸着される。第4の形態においては、摺動部43、段差部7及び摺動部9を介して離型フィルム47がキャビティ41の型面に吸着される。
【0050】
第4の形態によれば、内側部材5の段差部7に選択部材として多角形の形状を有する底面部材39を取り付ける。枠状部材6の内側上部に選択部材として底面部材39の形状に対応する側面部材40を取り付ける。このことにより、側面部材40の内側面と内側部材5及び底面部材39の上面とによって、多角形の形状を有するキャビティ41を下型38に形成することができる。したがって、成形型37を用いることによって多角形の形状を有する樹脂成形品を製造することができる。
【0051】
第4の形態においては、内側部材5の段差部7に選択部材として多角形の形状を有する底面部材39を取り付けた。これに限らず、選択部材として円形形状、楕円形形状、台形形状及び特殊な形状を有する底面部材を内側部材5の段差部7に取り付けることができる。したがって、製品に対応して選択部材である底面部材及び側面部材の形状を選択することによって、任意の形状を有する樹脂成形品を製造することができる。
(第5の形態)
【0052】
実施形態1に係る成形型において、第5の形態として使用される成形型の構成について、
図5を参照して説明する。第5の形態に示す成形型は、キャビティの深さを変えることによって樹脂成形品の厚さを調整することができる成形型である。
【0053】
図5(a)に示される成形型は、サイズが比較的大きい基板を樹脂成形する場合に使用される成形型である。
図5(a)に示されるように、第1の形態(
図1)で示した成形型1において、内側部材5(内側部材5が有する上部部材5a)及び底面部材10の上面に選択部材として板状部材48を取り付ける。言い換えれば、キャビティ11の型面に板状部材48を取り付ける。このことによって、キャビティ11の深さを任意に変えることができる。離型フィルム16は板状部材48の上に配置される。なお、
図5(a)の構成において、底面部材10を省略することもできる。
【0054】
図5(b)に示される成形型は、サイズが比較的小さい基板を樹脂成形する場合に使用される成形型である。
図5(b)に示されるように、第2の形態(
図2)で示した成形型17において、内側部材5(内側部材5が有する上部部材5a)の上面に選択部材として板状部材49を取り付ける。キャビティ20の型面に板状部材49を取り付ける。このことによって、キャビティ20の深さを任意に変えることができる。離型フィルム26は板状部材49の上に配置される。
【0055】
第5の形態によれば、キャビティの型面に選択部材として板状部材を取り付ける。このことによって、キャビティの深さを任意に変えることができる。したがって、製品に対応してキャビティの深さを変えることにより樹脂成形品の厚さを調整することができる。板状部材は、任意のサイズ及び形状を有するキャビティに対して取り付けることができる。
【0056】
第1の形態〜第5の形態で示したように、本実施形態において、下型は、基台4と内側部材5と枠状部材6と弾性部材8とを共通部材として備える。樹脂成形品の形状、大きさ(面積)及び厚さに対応して、底面部材、側面部材及び板状部材を選択部材として下型に選択して取り付けることができる。このことによって、製品が異なっても成形型一式を新たに作製することなく、一部の選択部材のみを作製して取り付けることによって樹脂成形することができる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。さらに、成形型を作製する納期を短縮することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0057】
(作用効果)
本実施形態では、成形型1、17は、互いに対向して配置される第1型である下型3、18及び第2型である上型2を有する成形型であって、下型3、18は、枠状部材6と枠状部材6の内側に配置される内側部材5とを備え、枠状部材6と内側部材5とは、相対的に上下方向に移動可能であり、内側部材5は、型面の外周部に段差部7が設けられており、枠状部材6には、段差部7と対応する位置に第1部材である側面部材19が取付け可能であり、内側部材5には、側面部材19と選択的に、第2部材である底面部材10が取付け可能な構成としている。
【0058】
このような構成とすることにより、内側部材5と枠状部材6とをすべての製品に共通して使用される共通部材とし、底面部材10と側面部材19とを特定の製品に対応して選択される選択部材とすることができる。したがって、製品に対応して任意の形状、大きさ及び深さを有するキャビティを下型に設けることができる。樹脂成形する基板が異なっても、成形型一式を新たに作製することなく、一部の選択部材のみを作製して取り付けることによって樹脂成形することができる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。さらに、成形型を作製する納期を短縮することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0059】
第1の形態によれば、下型3において、内側部材5の段差部7に選択部材として底面部材10を取り付ける。このことにより、枠状部材6の内側面と内側部材5及び底面部材10の上面とによって、下型3におけるキャビティ11を構成する。内側部材5に選択部材として底面部材10を取り付けることによって、下型3にサイズが比較的大きいキャビティ11を設けることができる。したがって、成形型1を用いてサイズが比較的大きい基板14に装着された半導体チップ13を樹脂封止することができる。
【0060】
第2の形態によれば、下型18において、枠状部材6の内側上部に選択部材として側面部材19を取り付ける。このことにより、側面部材19の内側面と内側部材5の上面とによって、下型18におけるキャビティ20を構成する。枠状部材6に選択部材として側面部材19を取り付けることによって、下型18にサイズが比較的小さいキャビティ20を設けることができる。したがって、成形型17を用いてサイズが比較的小さい基板24に装着された半導体チップ23を樹脂封止することができる。
【0061】
第3の形態によれば、下型28において、内側部材5の段差部7に選択部材として底面部材29を取り付け、枠状部材6の内側上部に選択部材として側面部材30を取り付ける。このことにより、側面部材30の内側面と内側部材5及び底面部材29の上面とによって、下型28におけるキャビティ31を構成する。内側部材5に選択部材として底面部材29を取り付け、枠状部材6に選択部材として側面部材19を取り付けることによって、下型28にサイズが中間のキャビティ31を設けることができる。したがって、成形型27を用いてサイズが中間の基板35に装着された半導体チップ34を樹脂封止することができる。
【0062】
第4の形態によれば、下型38において、内側部材5の段差部7に選択部材として多角形の形状を有する底面部材39を取り付け、枠状部材6の内側上部に選択部材として底面部材39の形状に対応する側面部材40を取り付ける。このことにより、側面部材40の内側面と内側部材5及び底面部材39の上面とによって、下型38において多角形の形状を有するキャビティ41を構成する。内側部材5に形状の異なる底面部材39を取り付け、枠状部材6に底面部材39の形状に対応する側面部材40を取り付けることによって、下型38に形状の異なるキャビティ41を設けることができる。したがって、成形型37を用いることによって形状の異なる樹脂成形品を製造することができる。
【0063】
第5の形態によれば、下型において、キャビティの型面に選択部材として板状部材を取り付ける。このことによって、キャビティの深さを任意に変えることができる。したがって、製品に対応してキャビティの深さを変えることにより樹脂成形品の厚さを調整することができる。板状部材は任意の形状及びサイズを有するキャビティに対して取り付けることができる。
【0064】
本実施形態によれば、下型は基台4と内側部材5と枠状部材6と弾性部材8とを共通部材として備える。樹脂成形品の形状、大きさ及び厚さに対応して、底面部材、側面部材及び板状部材を選択部材として下型に選択して取り付けることができる。このことによって、製品が異なっても成形型一式を新たに作製することなく、一部の選択部材のみを作製して取り付けることによって樹脂成形することができる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。さらに、成形型を作製する納期を短縮することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
〔実施形態2〕
【0065】
(第6の形態)
実施形態2に係る成形型において、第6の形態として使用される成形型の構成について、
図6を参照して説明する。実施形態2に示す成形型は、樹脂成形する対象物としてシリコンウェーハなどの円形形状を有するウェーハを樹脂封止する場合に使用される成形型である。第6の形態においては、例えば、最も大きいウェーハとして300mmの口径を有するシリコンウェーハを樹脂封止する成形型について説明する。
【0066】
図6(b)に示されるように、成形型50は、上型51と上型51に対向して配置される下型52とを備える。下型52は、基台53と基台53の上に固定される内側部材54と内側部材54の周囲を取り囲む枠状部材55とを備える。内側部材54には、内側部材54の型面の外周部に段差部56が設けられる。内側部材54は、内側部材54の上部を構成する上部部材54aと内側部材54の下部を構成する下部部材54bとを備える。
図6(a)に示されるように、内側部材54を構成する上部部材54a及び下部部材54bは円形形状を有する。枠状部材55と基台53との間には、枠状部材55を支持するための弾性部材57が設けられる。
【0067】
実施形態1と同様に共通部材が存在し、下型52において、基台53と内側部材54と枠状部材55と弾性部材57とは、後述する第7の形態における口径の異なるウェーハの樹脂成形に共通して使用される共通部材となる。段差部56の位置には、ウェーハの口径に対応して選択部材が設けられる。ウェーハの口径が異なっても、選択部材のみを交換することによってウェーハを樹脂封止することができる。
【0068】
実施形態2においては、例えば、150mm(6インチ)〜300mm(12インチ)の口径を有するウェーハを樹脂封止することが可能な成形型を説明する。成形型を型締めする際に上型51及び下型52がウェーハ周辺のクランプする範囲をウェーハ端部から5mmの範囲とする。このことによって、内側部材54が有する上部部材54aの直径が140mm(
図7(a)参照)、内側部材54が有する下部部材54bの直径が290mmに設定される(
図6(a)参照)。内側部材54を構成する上部部材54a及び下部部材54bの直径によって樹脂封止することが可能なウェーハの口径が設定される。
【0069】
枠状部材55と内側部材54とは、相対的に上下方向に移動する。枠状部材55の内側面と内側部材54が有する下部部材54bの外側面との間の隙間が、内側部材54(内側部材54が有する下部部材54b)が摺動する摺動部58となる。
【0070】
第6の形態においては、内側部材54の段差部56に選択部材として底面部材59が取り付けられる。底面部材59は円環状の形状を有し、内側部材54の段差部56にはめ込まれる。底面部材59の上面が内側部材54の上面と一致し、底面部材59の外側面が内側部材54の外側面と一致するようにして、底面部材59は段差部56に取り付けられる。したがって、
図6(b)に示されるように、枠状部材55の内側面と内側部材54及び底面部材59の上面とによって囲まれる空間が、下型52におけるキャビティ60を構成する。
【0071】
枠状部材55の内側面と底面部材59の外側面との間の隙間が、底面部材59が摺動する摺動部61となる。摺動部(隙間)61と摺動部(隙間)58とは連通する。したがって、内側部材54と底面部材59とが一体となって、摺動部58及び摺動部61に沿って昇降する。
【0072】
上型51には、例えば、半導体チップ62が装着された300mmウェーハ63が供給される。300mmウェーハ63は半導体チップ62が装着された面を下側にして上型2に設けられた複数の吸引孔64から吸引されることにより、上型51に吸着される。
【0073】
下型52には、樹脂封止されたウェーハの離型を容易にするための離型フィルム65が供給される。離型フィルム65は、吸引機構(図示なし)によってキャビティ60の型面に沿って吸着される。第6の形態においては、摺動部61及び摺動部59を介して離型フィルム65がキャビティ60の型面に吸着される。
【0074】
第6の形態によれば、内側部材54の段差部56に選択部材として底面部材59を取り付ける。このことにより、枠状部材55の内側面と内側部材54及び底面部材59の上面とによって、下型52におけるキャビティ60を構成する。第6の形態に示される成形型50では、選択部材として底面部材59を取り付けることによって、下型52に300mmウェーハ63に対応するキャビティ60を設けることができる。したがって、成形型50を用いて300mmウェーハ63に装着された半導体チップ62を樹脂封止することができる。
【0075】
(第7の形態)
実施形態2に係る成形型において、第7の形態として使用される成形型の構成について、
図7を参照して説明する。第7の形態に示す成形型は、最も小さいウェーハとして150mmの口径を有するシリコンウェーハを樹脂封止する成形型について説明する。
【0076】
図7(b)に示されるように、成形型66は、上型51と上型51に対向して配置される下型67とを備える。下型67は、基台53と、基台53の上に固定される内側部材54と、内側部材54の周囲を取り囲む枠状部材55と、枠状部材55と基台53との間に設けられた弾性部材57とを備える。これらの構成は、第6の形態と同じである。
【0077】
第7の形態においては、枠状部材55の内側上部に選択部材として側面部材68が取り付けられる。側面部材68は円環状の形状を有し、内側部材54の段差部56に対応する位置に取り付けられる。側面部材68の上面が枠状部材55の上面と一致するようにして、側面部材68が枠状部材55の内側上部に取り付けられる。下型67において、側面部材68の内側面と内側部材54の上面とによって囲まれる空間が、下型67におけるキャビティ69を構成する。側面部材68と内側部材54が有する下部部材54bとの間には、側面部材68を支持する弾性部材70が設けられる。
【0078】
枠状部材55の上部に取り付けられた側面部材68の内側面と内側部材54が有する上部部材54aの外側面との間の隙間が、上部部材54aが摺動する摺動部71となる。摺動部(隙間)71は、段差部56を介して摺動部(隙間)58と連通する。
【0079】
上型51には、半導体チップ72が装着された150mmウェーハ73が供給される。150mmウェーハ73は半導体チップ72が装着された面を下側にして上型51に設けられた複数の吸引孔64から吸引されることにより、上型51に吸着される。実施形態1と同様に、150mmウェーハ73のサイズ内に含まれない吸引孔64aは、空気が漏れないように固定部材74によって塞がれる。
【0080】
下型67には離型フィルム75が供給される。離型フィルム75は、吸引機構(図示なし)によってキャビティ69の型面に沿って吸着される。第7の形態においては、摺動部71、段差部56及び摺動部58を介して離型フィルム75がキャビティ69の型面に吸着される。
【0081】
第7の形態によれば、枠状部材55の内側上部に選択部材として側面部材68を取り付ける。このことにより、側面部材68の内側面と内側部材54の上面とによって、下型67におけるキャビティ69を構成する。第7の形態に示される成形型66では、選択部材として側面部材68を取り付けることによって、下型67に150mmウェーハ73に対応するキャビティ69を設けることができる。したがって、成形型66を用いて150mmウェーハ73に装着された半導体チップ72を樹脂封止することができる。
【0082】
なお、実施形態1と同様に、キャビティの型面に選択部材として板状部材を取り付けることができる。このことによって、キャビティの深さを任意に変えることができる。したがって、ウェーハを樹脂封止する場合においても樹脂成形品の厚さを調整することができる。
【0083】
(作用効果)
本実施形態では、成形型50、66は、互いに対向して配置される第1型である下型52、67及び第2型である上型51を有する成形型であって、下型52、67は、枠状部材55と枠状部材55の内側に配置される内側部材54とを備え、枠状部材55と内側部材54とは、相対的に上下方向に移動可能であり、内側部材54は、型面の外周部に段差部56が設けられており、枠状部材55には、段差部56と対応する位置に第1部材である側面部材68が取付け可能であり、内側部材54には、側面部材68と選択的に、第2部材である底面部材59が取付け可能な構成としている。
【0084】
このような構成とすることにより、内側部材54と枠状部材55とを樹脂封止することが可能なウェーハに共通して使用される共通部材とし、底面部材59と側面部材68とを樹脂封止する口径のウェーハに対応して選択される選択部材とすることができる。したがって、樹脂封止する口径のウェーハに対応したキャビティを下型に設けることができる。ウェーハの口径が異なっても、成形型一式を新たに作製することなく、一部の選択部材のみを作製して取り付けることによって樹脂成形することができる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。さらに、成形型を作製する納期を短縮することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0085】
第6の形態によれば、下型52において、内側部材54の段差部56に選択部材として底面部材59を取り付ける。このことにより、枠状部材55の内側面と内側部材54及び底面部材59の上面とによって、下型52におけるキャビティ60を構成する。内側部材54に選択部材として底面部材59を取り付けることによって、下型52に300mmウェーハ63に対応するキャビティ60を設けることができる。したがって、成形型50を用いて300mmウェーハ63に装着された半導体チップ62を樹脂封止することができる。
【0086】
第7の形態によれば、下型67において、枠状部材55の内側上部に選択部材として側面部材68を取り付ける。このことにより、側面部材68の内側面と内側部材54の上面とによって、下型67におけるキャビティ69を構成する。枠状部材55に選択部材として側面部材68を取り付けることによって、下型67に150mmウェーハ73に対応するキャビティ69を設けることができる。したがって、成形型66を用いて150mmウェーハ73に装着された半導体チップ72を樹脂封止することができる。
【0087】
本実施形態によれば、下型は基台53と内側部材54と枠状部材55と弾性部材57とを共通部材として備える。樹脂封止するウェーハの口径に対応して、底面部材、側面部材及び板状部材を選択部材として下型に選択して取り付けることができる。このことによって、ウェーハの口径が異なっても成形型一式を新たに作製することなく、一部の選択部材のみを作製して取り付けることによって樹脂封止することができる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。さらに、成形型を作製する納期を短縮することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0088】
本実施形態によれば、150mm〜300mmの口径を有するシリコンウェーハを樹脂封止することが可能な成形型を説明した。これに限らず、さらに口径の大きい450mmウェーハを樹脂封止することが可能な成形型を使用することができる。逆に、口径の小さいウェーハとして、50mm〜125mmの口径を有するウェーハを樹脂封止することが可能な成形型を使用することもできる。また、シリコンウェーハに限らず、化合物半導体ウェーハを樹脂封止することもできる。
〔実施形態3〕
【0089】
(樹脂成形装置の構成)
本発明に係る成形型を備えた樹脂成形装置の構成について、
図8を参照して説明する。
図8に示される樹脂成形装置は、圧縮成形法を用いた樹脂成形装置である。樹脂成形する対象物としてプリント基板やリードフレームなどの基板を樹脂成形する場合を示す。
【0090】
樹脂成形装置76は、基板供給・収納モジュール77と、3つの成形モジュール78A、78B、78Cと、樹脂供給モジュール79とを、それぞれ構成要素として備える。構成要素である基板供給・収納モジュール77と、成形モジュール78A、78B、78Cと、樹脂供給モジュール79とは、それぞれ他の構成要素に対して、互いに着脱されることができ、かつ、交換されることができる。
【0091】
基板供給・収納モジュール77には、封止前基板80を供給する封止前基板供給部81と、封止済基板82を収納する封止済基板収納部83と、封止前基板80及び封止済基板82を受け渡しする基板載置部84と、封止前基板80及び封止済基板82を搬送する基板搬送機構85とが設けられる。所定位置S1は、基板搬送機構85が動作しない状態において待機する位置である。
【0092】
各成形モジュール78A、78B、78Cには、例えば、第1の形態(
図1)で示した成形型1が設けられる。成形型1は、上型2と上型2に対向して配置され昇降可能な下型3とを備える。各成形モジュール78A、78B、78Cは、上型2と下型3とを型締め及び型開きする型締機構86を有する(図の二点鎖線で示される部分)。樹脂材料が供給される空間であるキャビティ11が下型3に設けられる。下型3には、長尺状の離型フィルム16(
図1参照)を供給する離型フィルム供給機構87が設けられる。
【0093】
樹脂供給モジュール79には、X−Yテーブル88と、樹脂材料を収容する樹脂材料収容部89と、樹脂材料収容部89に樹脂材料を投入する樹脂材料投入機構90と、樹脂材料収容部89を搬送する樹脂材料搬送機構91とが設けられる。所定位置R1は、樹脂材料搬送機構91が動作しない状態において待機する位置である。
【0094】
基板供給・収納モジュール77には制御部CTLが設けられる。制御部CTLは、封止前基板80及び封止済基板82の搬送、樹脂材料の搬送、成形型1の加熱、成形型1の型締め及び型開きなどを制御する。言い換えれば、制御部CTLは、基板供給・収納モジュール77、成形モジュール78A、78B、78C、及び材樹脂供給モジュール79における各動作の制御を行う。制御部CTLは、各成形モジュール78A、78B、78Cに設けられてもよく、樹脂供給モジュール79に設けられてもよく、各モジュールの外部に設けられてもよい。制御部CTLは、制御対象となる動作に応じて、少なくとも一部を分離させた複数の制御部として構成することもできる。
【0095】
(樹脂成形品を製造する動作)
図8、
図9を参照して、樹脂成形装置76使用して樹脂成形品を製造する動作について説明する。まず、基板供給・収納モジュール77において、封止前基板供給部81から基板載置部84に封止前基板80を送り出す。次に、基板搬送機構85を所定位置S1から−Y方向に移動させて基板載置部84から封止前基板80を受け取る。基板搬送機構85を所定位置S1に戻す。
【0096】
次に、例えば、成形モジュール78Bの所定位置M1まで+X方向に基板搬送機構85を移動させる。次に、成形モジュール78Bにおいて、基板搬送機構85を−Y方向に移動させて下型3の上方の所定位置C1に停止させる。次に、基板搬送機構85を上昇させて封止前基板80を上型2の型面に供給する(
図9(a)参照)。基板搬送機構85を基板供給・収納モジュール77の所定位置S1まで戻す。
【0097】
次に、材料供給モジュール79において、X−Yテーブル88の上に載置された樹脂材料収容部89を−Y方向に移動させて、樹脂材料収容部89を樹脂材料投入機構90の下方の所定位置に停止させる。X−Yテーブル88をX方向及びY方向に移動させることによって、樹脂材料投入機構90から樹脂材料収容部89に所定量の樹脂材料を投入する。樹脂材料収容部89が載置されたX−Yテーブル88を元の位置に戻す。
【0098】
次に、樹脂材料搬送機構91を所定位置R1から−Y方向に移動させて、X−Yテーブル88の上に載置されている樹脂材料収容部89を受け取る。樹脂材料搬送機構91を所定位置R1に戻す。
【0099】
次に、樹脂材料搬送機構91を成形モジュール78Bの所定位置M1まで−X方向に移動させる。次に、成形モジュール78Bにおいて、樹脂材料搬送機構91を−Y方向に移動させて下型3の上方の所定位置C1に停止させる。樹脂材料搬送機構91を下降させて、樹脂材料92をキャビティ11に供給する(
図9(a)参照)。樹脂材料搬送機構91を所定位置R1まで戻す。なお、
図9においては、樹脂材料92として顆粒状の樹脂を使用する場合を示す。
【0100】
次に、
図9(b)に示されるように、樹脂材料92を溶融して流動性樹脂93を生成する。型締め機構86によって下型3を上昇させ、上型2と下型3とを型締めする。型締めすることによって、封止前基板80に装着された半導体チップ94を、キャビティ11内で溶融した流動性樹脂93に浸漬させる。
【0101】
次に、
図9(c)に示されるように、下型3を更に上昇させることによって内側部材5を上昇させて、キャビティ11内の流動性樹脂93に所定の樹脂圧力を加える。次に、下型3に設けられたヒータ(図示なし)を使用して、流動性樹脂93を硬化させるために必要な時間だけ、流動性樹脂93を加熱する。流動性樹脂93を硬化させて硬化樹脂95を成形する。このことによって、封止前基板80に装着された半導体チップ94を、キャビティ11の形状に対応して成形された硬化樹脂95によって樹脂封止する。
【0102】
次に、
図9(d)に示されるように、流動性樹脂93を硬化させた後に、型締機構86を使用して上型2と下型3とを型開きする。上型2の型面には樹脂封止された樹脂成形品96(封止済基板82)が固定されている。
【0103】
次に、基板供給・収納モジュール77の所定位置S1から上型2の下方の所定位置C1に基板搬送機構85を移動させて、封止済基板82を受け取る。次に、基板搬送機構85を移動させ、基板載置部84に封止済基板82を受け渡す。基板載置部84から封止済基板収納部83に封止済基板82を収納する。この段階において、樹脂封止が完了する。
【0104】
(作用効果)
本実施形態によれば、樹脂成形装置において使用される成形型の一部を選択的に取り付けることができる。成形型は、すべての製品に共通して使用される共通部材とそれぞれの製品に対応して使用される選択部材とによって構成される。樹脂成形品の形状、大きさ及び厚さに対応して、成形型の共通部材に選択部材を選択して取り付けることができる。このことによって、製品が異なっても成形型一式を新たに作製することなく、一部の選択部材のみを作製して取り付けることができる。したがって、樹脂成形装置において、成形型の製造コストを低減することができる。さらに、成形型を作製する納期を短縮することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0105】
本実施形態においては、第1の形態(
図1)で示した成形型を成形モジュールに設けた場合を示した。これに限らず、樹脂成形する製品に対応して、第2の形態(
図2)〜第7の形態(
図7)で示した成形型を設けることができる。樹脂成形装置において、成形型の選択部材のみを交換することによって、多種多様な製品に対応することができる。
【0106】
各実施形態においては、キャビティを下型に設けた場合を示した。これに限らず、キャビティを上型に設けた場合においても、同様の効果を奏する。なお、キャビティを上型に設けた場合には、枠状部材とその内側に配置される内側部材と備える型が上側に配置されることになり、それに対向する型が下側に配置されることになる。したがって、その場合には、選択的に取付けられる選択部材である底面部材、側面部材及び板状部材も上側の型に配置されることになる。
【0107】
本発明は、一般的な樹脂成形品を成形する樹脂成形装置にも適用される。電子部品を樹脂封止する場合に限らず、レンズ、リフレクタ(反射板)、導光板、光学モジュールなどの光学部品、その他の樹脂製品を樹脂成形によって製造する場合に、本発明を適用することができる。
【0108】
以上のように、上記実施形態の成形型では、互いに対向して配置される第1型及び第2型を有する成形型であって、第1型は、枠状部材と枠状部材の内側に配置される内側部材とを備え、枠状部材と内側部材とは、相対的に上下方向に移動可能であり、内側部材は、型面の外周部に段差部が設けられており、枠状部材には、段差部と対応する位置に第1部材が取付け可能であり、内側部材には、第1部材と選択的に、第2部材が取付け可能である構成としている。
【0109】
この構成によれば、選択的に第1部材又は第2部材を取り付けることによって、サイズや形状の異なる対象物を樹脂成形することが可能な成形型を提供できる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0110】
さらに、上記実施形態の成形型では、枠状部材に第1部材が取付けられた場合において、互いに対向する第1部材側面と内側部材側面との間の隙間が、第1部材が取付けられない位置で互いに対向する枠状部材側面と内側部材側面との間の隙間と連通する構成としている。
【0111】
この構成によれば、枠状部材に第1部材を取り付けることによって、サイズが小さい対象物を樹脂成形することが可能な成形型を提供できる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0112】
さらに、上記実施形態の成形型では、内側部材に第2部材が取付けられた場合において、互いに対向する第2部材側面と枠状部材側面との間の隙間が、第2部材が取付けられない位置で互いに対向する枠状部材側面と前記内側部材との間の隙間と連通する構成としている。
【0113】
この構成によれば、内側部材に第2部材を取付けることによって、サイズが大きい対象物を樹脂成形することが可能な成形型を提供できる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0114】
さらに、上記実施形態の成形型では、枠状部材に第1部材が取付けられた場合において、第1部材と内側部材との間に弾性部材が取付け可能である構成としている。
【0115】
この構成によれば、枠状部材に第1部材を取り付けることによって、サイズが小さい対象物を樹脂成形することが可能な成形型を提供できる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0116】
上記実施形態の成形型では、互いに対向して配置される第1型及び第2型を有する成形型であって、第1型は、枠状部材と枠状部材の内側に配置される内側部材とを備え、枠状部材と内側部材とは、相対的に上下方向に移動可能であり、内側部材は、型面の外周部に段差部が設けられた形状の部材と、段差部が設けられない形状の部材とを交換可能であり、枠状部材には、段差部と対応する位置に第1部材が取付け可能である構成としている。
【0117】
この構成によれば、内側部材を交換することによって、サイズや形状の異なる対象物を樹脂成形することが可能な成形型を提供できる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0118】
上記実施形態の成形型では、互いに対向して配置される第1型及び第2型を有する成形型であって、第1型は、枠状部材と枠状部材の内側に配置される内側部材とを備え、枠状部材と内側部材とは、相対的に上下方向に移動可能であり、内側部材は、型面の外周部に段差部が設けられており、第2部材が取付け可能であり、枠状部材は、段差部と対応する位置に突出する突出部が設けられた形状の部材と、突出部が設けられない形状の部材とを交換可能である構成としている。
【0119】
この構成によれば、枠状部材を交換することによって、サイズや形状の異なる対象物を樹脂成形することが可能な成形型を提供できる。したがって、樹脂成形品の製造に用いられる成形型の製造コストを低減することができる。また、樹脂成形の生産性を向上させることができる。
【0120】
上記実施形態の樹脂成形装置は、上記いずれかの成形型を用いる構成としている。
【0121】
この構成によれば、上記いずれかの成形型を用いることによってサイズや形状の異なる対象物を樹脂成形することができる。
【0122】
上記実施形態の樹脂成形品の製造方法は、枠状部材と内側部材とによって形成されるキャビティ内に配置された樹脂を用いて樹脂成形を行う。
【0123】
この方法によれば、枠状部材と内側部材とによってサイズや形状の異なるキャビティを形成することができ、キャビティに配置された樹脂を用いて樹脂成形することができる。
【0124】
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、必要に応じて、任意にかつ適宜に組み合わせ、変更し、又は選択して採用できるものである。