(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光源の出射側に配置される第1レンズ部と、前記第1レンズ部の光軸側に配置された第2レンズ部とを有し、前記光源から出射された光の進行方向を変える光学レンズであって、
前記第1レンズ部は、
前記光軸に沿って貫通した入光穴の内側面であって、前記光源からの光が入射する入光内側面と、
前記入光内側面に入射した光を出射させる第1出射面と、
前記入光内側面の前記光源側から前記第1出射面へ延び、前記入光内側面から入射した光を照射側に反射する第1反射面と、
前記入光内側面の照射側から前記第1出射面へ延びる接続面と、を有し、
前記第2レンズ部は、
前記光源側に開口した凹形状を有し、前記第1レンズ部の前記入光穴を通過した前記光源からの光が入射する入光凹部と、
前記入光凹部に入射した光を出射させる第2出射面と、
前記入光凹部の内側面の前記光源側から前記第2出射面へ延び、前記入光凹部の内側面から入射した光を照射側に反射する第2反射面と、を有し、
前記第1レンズ部の前記接続面は、前記第2レンズ部の前記第2反射面と対向するように配置され、
前記第2反射面の傾きは、前記第1反射面の傾きよりも小さく、
前記入光内側面および前記入光凹部の内側面はそれぞれ、照射側ほど前記光軸に近づく傾きを有しており、前記入光凹部の内側面の傾きは、前記入光内側面の傾きよりも大きく、
前記入光内側面および前記入光凹部の内側面は、前記光源から入射する光の進行方向が前記第1反射面または前記第2反射面に近づくように、光を屈折させる
光学レンズ。
前記第1反射面は、光軸方向の投影において前記第2反射面と重複する領域では、入射した光を、光軸から離れる方向へ反射する請求項1〜3のいずれか一項記載の光学レンズ。
前記光学レンズの照射側に配置され、光軸から離れる方向に傾いて前記光学レンズを出射した光を、光軸側へ屈折させる配光制御プレートをさらに備える請求項7記載の光源装置。
前記第1レンズ部の照射側に配置され、前記第1反射面で反射されて出射した光の進行方向を、前記入光凹部に入射して出射した光の進行方向と揃える配光制御プレートをさらに備える請求項7記載の光源装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る光学レンズ、光源装置および照明装置の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、
図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る光源装置を示す分解斜視図である。
図2は、実施の形態1に係る光源装置の光の経路を示す断面図である。
図1および
図2に基づき、実施の形態1の光源装置1について説明する。光源装置1は、光を出射する光源10と、光源10から出射された光の進行方向を変える光学レンズ20とを備えている。また光源装置1は、基板11、ワイヤ12、コネクタ13、およびレンズホルダ15等を備えている。
【0011】
光源10は、例えばLED等で構成される。LEDは、440nm〜480nm程度の青色光を発光するLEDチップ上に、青色光を黄色光に波長変換する蛍光体が設けられ、青色光と変換された黄色光との合成光である白色光を発光する発光素子である。光源10は基板11上に実装されており、基板11は例えば、板状のアルミニウム基板である。基板11には、電力供給用の回路パターンが形成されており、光源10として用いられるLEDの他に図示しないダイオード等の素子が実装されている。基板11は、ワイヤ12およびコネクタ13を介し、図示しない電源に接続されている。
【0012】
光学レンズ20は、例えば釣鐘形状の外形を有しており、光源10が光を出射する出射側に配置されている。光学レンズ20は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはガラス等の透明な材料で構成される。
図2に示されるように、光源10と光学レンズ20とは、レンズホルダ15により位置決めされ、光源10の光軸と光学レンズ20の光軸とが一致またはほぼ一致するように配置される。実施の形態1では、光源10と光学レンズ20とはそれぞれの光軸が一致するように配置されているものとして説明する。図中、矢印y方向は光軸14と平行な方向を示し、矢印x方向および矢印z方向は光軸14と垂直な方向を示す。また、矢印y方向の正方向を照射側および負方向を光源10側とし、また矢印x方向において光軸14から離れる方向を外周側とする。
【0013】
光学レンズ20は、第1レンズ部30と第2レンズ部40とを有している。第1レンズ部30は光源10の出射側に配置され、入光内側面32と、第1出射面34と、第1反射面33と、接続面35等とを有している。また第1レンズ部30は、光軸14に沿って貫通した入光穴31が設けられている。入光内側面32は入光穴31の内側面である。また入光内側面32は、光軸14を回転軸とし、光源10側から遠ざかるにつれて径が小さくなる円錐形の一部の形状を有している。第1出射面34は、光軸14に対し略垂直な平面であり、入光内側面32から第1レンズ部30内に入射した光を第1レンズ部30外へ出射させる。第1反射面33は、入光内側面32の光源10側から第1出射面34へ延び、光軸14を回転軸とした回転体形状を有している。第1反射面33は、入光内側面32から入射した光を反射し第1出射面34の方へ導く。具体的には、第1反射面33は、入光内側面32から入射した光を全反射し光軸14と略平行な光にする。接続面35は、入光内側面32の照射側から第1出射面34へ延び、光軸14を回転軸とした回転体形状を有している。なお、実施の形態1においては、例えば、第1レンズ部30を出射する光の大半が光軸14方向と成す角度αが0°〜10°の範囲となるように、入光内側面32および第1反射面33の形状が決定されている。
【0014】
第2レンズ部40は、第1レンズ部30の光軸14側に配置され、入光凹部41と、第2出射面45と、第2反射面44等とを有している。入光凹部41は、光源10側に開口した凹形状を有し、入光凹部41は、光源10から出射されて入光穴31を通過した光が入射する、第2レンズ部40の入射面である。入光凹部41は、側面を形成する内側面42と、上面を形成する凸レンズ部43とにより構成されている。内側面42は、光源10の光軸14を回転軸とし、光源10側から遠ざかるにつれて径が小さくなる円錐形の一部の形状からなる。凸レンズ部43は、光軸14を回転軸とし、光源10側に凸の回転体形状からなる。また第2出射面45は、光軸14に対し略垂直な平面で構成されており、入光凹部41から第2レンズ部40内に入射した光を第2レンズ部40外へ出射させる。第2反射面44は、内側面42の光源10側から第2出射面45へ延び、光軸14を回転軸とした回転体形状を有している。第2反射面44は、入光凹部41の内側面42から入射した光を反射して第2出射面の方へ導く。具体的には、第2反射面44は、内側面42から入射した光を全反射し、また第2レンズ部40は、第2出射面45の外周側に延出した支持部46を有している。支持部46は、第1レンズ部30の第1出射面34の照射側に配置され、第1出射面34からの光を通過させ光学レンズ20外へ出射させる。
【0015】
第1レンズ部30と第2レンズ部40とは、接続面35と第2反射面44とが対向するように配置され位置決めされている。上述したように、接続面35および第2反射面44はそれぞれ、光軸14を回転軸とした回転体形状を有しているが、第2反射面44は接続面35と略同一曲率を有している。つまり第2反射面44の形状は、接続面35を光軸14に沿って照射側へ平行移動した回転体形状となっている。第1レンズ部30と第2レンズ部40とが組み合わされた状態では、接続面35と第2反射面44との間には空気層が形成されている。光源10からの光が光学レンズ20に入射する際、この空気層に入射した光は制御できないため、空気層の幅はできるだけ狭く設けることが望ましい。
【0016】
また、入光内側面32と入光凹部41の内側面42とはそれぞれ、上述したように光軸14を回転軸とした円錐形の一部の形状となっているが、光軸14に対する傾きの大きさは互いに異なっている。具体的には、入光凹部41の内側面42においては、光源10から遠ざかるにつれ光軸14に近づく傾きが、入光内側面32における傾きより大きく形成されており、第2反射面44で制御される光の量が確保されている。
【0017】
また、第1レンズ部30および第2レンズ部40の光軸方向(矢印y方向)における相対的な位置は、支持部46の光源10側の面が第1出射面34の照射側に接することで決まる。第1出射面34と支持部46とは、空気層を介して接していてもよいが、実施の形態1では、接着または溶着等により光学的に一体となっている場合を例に説明する。このように一体構成とすることで、第2レンズ部の支持部46と第1レンズ部の第1出射面34との間の界面反射を抑制でき、光のロスを低減できる。また
図2に示されるように、光学レンズ20は、支持部46の外周においてレンズホルダ15に支持される構成であってもよい。
【0018】
図2には、光源10の中心Poから出射され光源装置1を通る複数の光の経路が示されている。以下、光軸14に垂直(矢印x方向)な、中心Poを通る基準線16を角度0度の線として、基準線16からの角度がそれぞれ異なる方向に出射された光の経路について説明する。なお光軸14方向(矢印y方向)は、基準線16から90度の方向となる。
【0019】
まず、基準線16からの角度が小さい小角度光S1の経路について説明する。小角度光S1は第1レンズ部30で制御される。小角度光S1は、入光穴31を通る途中で入光内側面32に到達し、第1レンズ部30に入射する。このとき、入光内側面32に入射する小角度光S1は、光軸14から離れる方向に屈折作用を受け第1レンズ部30内に入射する。第1レンズ部30に入射した小角度光S1は、第1反射面33に到達し、全反射された後に第1出射面34へ到達する。第1出射面34の照射側と支持部46の光源10側とは、光学的に一体となっているため、第1出射面34に到達した小角度光S1は反射または屈折作用を受けずに支持部46に到達し、支持部46から、光軸14に略平行な角度で出射する。
【0020】
次に、基準線16からの角度が中程度の中角度光M1の経路について説明する。中角度光M1は第2レンズ部40で制御される。中角度光M1は、入光凹部41の内側面42から第2レンズ部40に入射する。このとき、入光凹部41の内側面42に入射する中角度光M1は、光軸14から離れる方向に屈折作用を受け第2レンズ部40内に入射する。第2レンズ部40に入射した中角度光M1は、第2反射面44に到達し全反射された後、光軸14に略平行な角度で第2出射面45から光学レンズ20外へ出射する。
【0021】
次に、基準線16からの角度が大きい大角度光L1の経路について説明する。大角度光L1は、入光凹部41の凸レンズ部43から第2レンズ部40に入射する。このとき、大角度光L1は、凸レンズ部43において光軸14に沿う方向に屈折される、第2レンズ部40内に入射する。第2レンズ部40に入射した大角度光L1は、光軸14に略平行な角度で第2出射面45から光学レンズ20外へ出射する。
【0022】
図3は、完全拡散光源の出射角と光束量の割合とを示す図である。一般的なLED光源は、完全拡散に近い配光特性を有しているため、
図3に示されるような光束量の分布を示す。
図3によれば、光源10からの光は、出射角が大きい光すなわち小角度光の光束量に比べ、出射角が中程度の光すなわち中角度光の光束量が多いことがわかる。実施の形態1では、例えば
図2に示されるように、光学レンズ20は、第1反射面33を設ける範囲と第2反射面44を設ける範囲とが、光軸14方向(矢印y方向)の投影において一部重複するように構成されていてもよい。光学レンズ20をこのように構成した場合、基準線16からの角度が小さい小角度光の一部は、第1反射面33で反射された後に接続面35で再び反射されるため、小角度光の制御性が低下する。しかし、第2反射面44を大きく採ることができるため、入光凹部41の内側面42が光源10からの光を受光する立体角を大きくし、第2反射面44で制御される中角度光の角度範囲を広げることができる。また先述したように、中角度光の光束量は小角度光の光束量より多いので、内側面42の立体角を広げることにより第2反射面44で制御される光の量を効率的に増加させることができる。したがって光学レンズ20全体としては、照射光の方向を制御できる光の割合が増す。
【0023】
以上のように実施の形態1において、光学レンズ20は、光源10の出射側に配置される第1レンズ部30と、第1レンズ部30の光軸14側に配置された第2レンズ部40とを有し、光源10から出射された光の進行方向を変える光学レンズ20であって、第1レンズ部30は、光軸14に沿って貫通した入光穴31の内側面であって、光源10からの光が入射する入光内側面32と、入光内側面32に入射した光を出射させる第1出射面34と、入光内側面32の光源10側から第1出射面34へ延び、入光内側面32から入射した光を照射側に反射する第1反射面33と、入光内側面32の照射側から第1出射面34へ延びる接続面35とを有し、第2レンズ部40は、光源10側に開口した凹形状を有し、第1レンズ部30の入光穴31を通過した光源10からの光が入射する入光凹部41と、入光凹部41に入射した光を出射させる第2出射面45と、入光凹部41の内側面42の光源10側から第2出射面45へ延び、入光凹部41の内側面42から入射した光を照射側に反射する第2反射面44とを有し、第1レンズ部30の接続面35は、第2レンズ部40の第2反射面44と対向するように配置され、入光内側面32および入光凹部41の内側面42は、光源10から入射する光の進行方向が第1反射面33または第2反射面44に近づくように、光を屈折させる形状を有するものである。
【0024】
これより、入光内側面32および入光凹部41の内側面42はそれぞれ、光源10から光学レンズ20に入射する光を、第1反射面33または第2反射面44に近づくように屈折させる。そして、入射した光の方向は各反射面により制御される。
【0025】
ところで、光が入射面でほぼ直進して取り込まれる従来のレンズ(例えば特許文献1参照)では、入射した光を反射面に導くために径または厚みが大きくなる。これに対し、実施の形態1の光学レンズ20は上記の構成により、レンズを大型化することなく、反射面に達する光の量を増加させることができる。その結果、光学レンズ20は、所定の方向に放射するよう制御できる光の割合を増やすことができ、高効率化を実現できる。また、第2反射面44と接続面35とは対向するように配置されているが、間に形成される空気層を狭く設定した場合には、空気層に入射する光すなわちレンズで制御されない光を低減できる。したがって、光学レンズ20および光源装置1は、光学レンズ20の集光性能を大きく損なわずに小型化が実現できる。
【0026】
また、入光内側面32および入光凹部41の内側面42はそれぞれ、照射側ほど光軸14に近づく傾きを有しており、入光凹部41の内側面42の傾きは、入光内側面32の傾きよりも大きいものである。
【0027】
これより、光軸14に略平行な反射光を得るための第2反射面44の傾きを、第1反射面33の傾きよりも小さくすることができる。このため、第2反射面44と第1反射面33との径の差を大きく採ることができ、第1反射面33で反射された光が接続面35で妨げられることを抑制できるので、光学レンズ20の光利用効率を高めることができる。
【0028】
また、第2レンズ部40は、第2出射面45から外周側に延出して第1出射面34の照射側に配置され、第1出射面34と光学的に接着された支持部46を有するものである。
【0029】
これより、第1レンズ部30の第1出射面34と第2レンズ部40とが光学的に貼り合わされると境界の空気層がなくなり、空気層による反射または屈折が抑えられる。そのため、光学レンズ20の光利用効率が高められる。
【0030】
また、光源装置1は、光を出射する光源10と、光学レンズ20とを備えるものである。これより、高効率でかつ小型の光源装置1を提供することができる。
【0031】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2に係る光源装置を示す分解斜視図である。
図5は、実施の形態2に係る光源装置の光の経路を示す断面図である。
図4および
図5に基づき、実施の形態2の光源装置100について説明する。なお実施の形態2では、光学レンズ120の第1レンズ部130の形状が、実施の形態1のものとは異なる。実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0032】
実施の形態2において、第1レンズ部130は、入光内側面132と、第1出射面134と、第1反射面133と、接続面135等とを有している。また第1レンズ部130は光軸14に沿って貫通した入光穴131が設けられている。第1レンズ部130において各構成は、第1反射面133を除き、実施の形態1とほぼ同様の構成となっている。
【0033】
第1反射面133は、光源10の光軸14を回転軸とした回転体形状を有している。
図5に示されるように、第1レンズ部130の第1反射面133と第2レンズ部40の第2反射面44とは、光軸14方向(矢印y方向)の投影において、領域Qで重なるように配置されている。第1反射面133の領域Qと他の領域とは、面の傾斜が異なるように形成されている。第1反射面133の領域Qは、入光内側面132から第1レンズ部130内に入射した光の一部を反射し、第1出射面134の方へ導く。具体的には、領域Qは、領域Qに到達した光を全反射し、光軸14方向(矢印y方向)よりも外周側へ角度β傾いた光にする。また第1反射面133の他の領域は、入光内側面132から第1レンズ部130内に入射した光を反射し、第1出射面134の方へ導く。具体的には、他の領域は、他の領域に到達した光を全反射し、光軸14と略平行な光にする。
【0034】
上記の角度βは、矢印x方向における、第1反射面133の最も光源10側の位置と接続面135の最も照射側の位置との距離D1と、矢印y方向における、第1レンズ部130の厚みT1を用いて表される(式1)を満たす角度である。
【0035】
[数1]
β>arctan(D1/T1)・・・(式1)
【0036】
図5には、光源10の中心Poから出射され光源装置100を通る複数の光の経路が示されている。以下、光軸14に垂直(矢印x方向)な、中心Poを通る基準線16を角度0°の線として、基準線16からの角度がそれぞれ異なる方向に出射された光の経路について説明する。
【0037】
まず、基準線16からの角度が小さい小角度光S2の経路について説明する。小角度光S2は第1レンズ部130で制御される。小角度光S2は、入光穴131を通る途中で入光内側面132に到達し、第1レンズ部130に入射する。このとき、入光内側面132に入射する小角度光S2は、光軸14から離れる方向に屈折作用を受け第1レンズ部130内に入射する。第1レンズ部130に入射した小角度光S2は、第1反射面133の他の領域に到達し、反射された後に第1出射面134へ到達する。そして第1出射面134に到達した小角度光S2は、支持部46に進み、支持部46から光軸14に略平行な角度で出射する。
【0038】
次に、基準線16からの角度が上記の小角度光S2よりもさらに小さい極小角度光SS2の経路について説明する。極小角度光SS2も第1レンズ部130で制御される。極小角度光SS2は、入光内側面132から第1レンズ部130に入射する。このとき、入光内側面132に入射する極小角度光SS2は、光軸14から離れる方向に屈折作用を受け第1レンズ部130内に入射する。第1レンズ部130に入射した極小角度光SS2は、第1反射面133の領域Qに到達する。極小角度光SS2は、領域Qで反射され、光軸14に対し角度β外周側へ傾いた光となって第1出射面134に到達する。第1出射面134に到達した極小角度光SS2は、支持部46を通過し、光軸14に対しわずかに傾いた角度で光学レンズ120外へ出射する。つまり、極小角度光SS2は、第1レンズ部130内において、光軸14方向よりも外周側に進むため、接続面135を介さずに出射される。
【0039】
中角度光M1および大角度光L1については、実施の形態1の場合と同様の経路となるため、説明を省略する。
【0040】
以上のように実施の形態2においても、入光内側面132および入光凹部41の内側面42はそれぞれ、光源10から光学レンズ120に入射する光を、第1反射面133または第2反射面44に近づくように屈折させ、入射した光の方向は、各反射面で制御される。そのため、光学レンズ120および光源装置100は、レンズを大型化することなく光利用効率を高めることができる。
【0041】
また、第1反射面133は、光軸14方向の投影において第2反射面44と重複する領域Qでは、入射した光を、光軸14から離れる方向へ反射するものである。これより、第1反射面133で反射された光が接続面135に到達するのを回避できる。
【0042】
ところで、比較例として、一つのレンズに空気層を設けることで反射面を複数形成し、径を小さくしたレンズがある(例えば特許第5187342号公報)。このようなレンズでは、例えば、外側の反射面で反射された光が、空気層を形成する外周面でさらに反射され、制御できない光が出射される場合がある。一方、実施の形態2において、第1レンズ部130に入射し領域Qに到達した光は、光軸14方向よりわずかに外周側へ反射されるため接続面135に到達せず、制御性が維持される。その結果、光学レンズ120は、制御性が低下して出射される光の割合を低減でき、コリメート性能を高めることができる。
【0043】
実施の形態3.
図6は、実施の形態3に係る光源装置を示す分解斜視図である。
図7は、実施の形態3に係る光源装置の光の経路を示す断面図である。
図6および
図7に基づき、実施の形態3の光源装置200について説明する。本実施の形態3では、光学レンズ220の第1レンズ部230の形状と、配光制御プレート60を追加した点とが実施の形態1と異なる。実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0044】
実施の形態3において、第1レンズ部230は、入光内側面232と、第1出射面234と、第1反射面233と、接続面235等とを有している。また第1レンズ部230には、光軸14に沿って貫通した入光穴231が設けられている。第1レンズ部230の各構成は、第1反射面233を除き、実施の形態1とほぼ同様の構成となっている。
【0045】
第1反射面233は、光源10の光軸14を回転軸とし、光源10から遠ざかるにつれ径が大きくなる回転体形状を有している。第1反射面233は、入光内側面232の光源10側から第1出射面234に延び、入光内側面232から入射した光を反射し、第1出射面234の方へ導く。具体的には、第1反射面233は、入光内側面232から入射した光を全反射し、光軸14方向(矢印y方向)よりも外周側へ角度γ傾いた光にする。そのため、例えば、実施の形態3の第1反射面233は、実施の形態1の第1反射面33よりも、光軸と垂直な方向(矢印x方向)に広がった形状となっている。また
図7に示されるように、第1反射面233と第2反射面44とは、光軸14方向(矢印y方向)の投影において、一部の領域で重複するように配置されている。
【0046】
上記の角度γは、矢印x方向における、第1反射面233の最も光源10側の位置と接続面235の最も照射側の位置との距離D2と、矢印y方向における、第1レンズ部230の厚みT2とを用いて表される(式2)を満たす角度である。
【0047】
[数2]
γ>arctan(D2/T2) ・・・(式2)
【0048】
光学レンズ220の照射側には、光学レンズ220から出射された光の方向を制御する配光制御プレート60が配置されている。光学レンズ220と配光制御プレート60とは、レンズホルダ15により位置決めされている。
【0049】
配光制御プレート60は、第2反射面44の外径と略同等の内径を有するリング形状に形成されている。配光制御プレート60は、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂またはガラス等の透明な材料から生成されている。配光制御プレート60は、光学レンズ220からの光が入射するプリズム入射面61と、プリズム入射面61から入射した光を配光制御プレート60外へ出射するプリズム出射面62と、プリズム入射面61とプリズム出射面62とを接続するプリズム境界面63とからなる。プリズム入射面61は、光軸14に対し略垂直な面で構成され、プリズム出射面62は、光軸14に近づくにつれ配光制御プレート60の厚みが厚くなるような傾きを有する傾斜面で構成されている。またプリズム境界面63は、配光制御プレート60のリング形状の内周を構成している。
【0050】
実施の形態3において、入光内側面232と第1反射面233とは、角度γが(式2)を満たすよう構成されているが、角度γを大きく採った場合、光軸14と略平行な配光を得るために配光制御プレート60の厚みを厚くする必要が生じる。したがって、角度γは、(式2)を満たす範囲で小さく設定するのが望ましい。
【0051】
図7には、光源10の中心Poから出射され光源装置200を通る複数の光の経路が示されている。配光制御プレート60に入射する光は、
図7に示される小角度光S3のような、第1レンズ部230を通って光学レンズ220外へ出射した光である。
【0052】
基準線16からの角度が小さい小角度光S3の経路について説明する。小角度光S3は第1レンズ部230で制御される。小角度光S3は、入光穴231を通る途中で入光内側面232に入射し、第1レンズ部230に入射する。このとき、入光内側面132に入射する小角度光S3は、光軸14から離れる方向に屈折作用を受け第1レンズ部230内に入射する。第1レンズ部230に入射した小角度光S3は、第1反射面233に到達し反射されて、光軸14に対し角度γ外周側へ傾いた光となって第1出射面234に到達する。第1出射面234に到達した小角度光S3は、支持部46を通過し、光軸14に対しわずかに傾いた角度で光学レンズ220外へ出射する。そして、支持部46から光学レンズ220外に出射した小角度光S3は、プリズム入射面61から配光制御プレート60内に入射する。小角度光S3は、プリズム入射面61およびプリズム出射面62によりそれぞれ屈折作用を受け、光軸14と略平行な角度で配光制御プレート60外へ出射する。
【0053】
一方、光学レンズ220から出射した光のうち、配光制御プレート60に入射しない中角度光M1および大角度光L1は、実施の形態1の経路と同様の経路で光学レンズ220外へ出射し、照射される。
【0054】
なお、実施の形態3においては、配光制御プレート60により光軸14と略平行な角度で光が出射するよう制御しているが、これに限られるものではなく、所望の配光に合わせてプリズム入射面61およびプリズム出射面62の形状を適宜変更しても良い。また本実施の形態3において、配光制御プレート60はリング状に形成されているが、これに限られたものではなく、例えば第2レンズ部40の照射側全体を覆うように、リング状または格子状の複数のプリズムを配置してもよく、あるいは粗面等を形成してもよい。さらに、配光制御プレート60は光学レンズ220と光学的に一体化して構成されていてもよく、このような構成により、境界面での反射ロスが軽減され、光の利用効率を高めることができる。
【0055】
以上のように実施の形態3においても、入光内側面232および入光凹部41の内側面42はそれぞれ、光源10から光学レンズ220に入射する光を、第1反射面233または第2反射面44に近づくように屈折させ、入射した光の方向は、各反射面で制御される。そのため、光学レンズ220および光源装置200は、レンズを大型化することなく光利用効率を高めることができる。
【0056】
また、第1反射面233の少なくとも一部は、入射した光を、光軸14から離れる方向へ反射する。これより、第1反射面233で反射した光が接続面235に到達することを回避して、制御性が低下することを抑制できる。したがって光学レンズ220は、第1レンズ部230から配光が揃った光を効率良く出射させることができる。
【0057】
また、光源装置200は、光学レンズ220の照射側に配置され、光軸14から離れる方向に傾いて光学レンズ220を出射した光を、光軸14側へ屈折させる配光制御プレート60をさらに備えるものである。
【0058】
これより、光源装置200は、配光制御プレート60を備えることで所望の配光を作ることができ、所望の範囲へ出射する光の量を増加させ高効率に照射できる。
【0059】
また、光源装置200は、第1レンズ部230の照射側に配置され、第1反射面233で反射されて出射した光の進行方向を、入光凹部41に入射して出射した光の進行方向と揃える配光制御プレート60をさらに備えるものである。
【0060】
これより、配光制御プレート60を設けることで所望の配光を作ることができ、所望の範囲へ入る光を増やすことができ、高効率化につながる。特に、実施の形態3において光学レンズ220は、第1反射面233を備えることにより高い指向性を有するが、このような光学レンズ220とともに配光制御プレート60を用いることで、配光制御性が高い照射光を取り出すことができる。
【0061】
実施の形態4.
図8は、実施の形態4に係る光源装置を示す分解斜視図である。
図9は、実施の形態4に係る光源装置の光の経路を示す断面図である。
図8および
図9に基づき、実施の形態4の光源装置300について説明する。本実施の形態4では、光学レンズ320の形状が実施の形態1と異なる。実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0062】
光学レンズ320は、第1レンズ部330と第2レンズ部340とにより構成されている。実施の形態4においても、第1レンズ部330には入光穴331が設けられ、第1レンズ部330は、入光内側面332と、第1出射面334と、第1反射面333と、接続面335等とを有している。
【0063】
第2レンズ部340は、光源10側に入光凹部341および入射屈折面347、照射側に出射凹部348、第2出射平面345、および支持部346、並びに、入射屈折面347から第2出射平面345に延びる第2反射面344を有している。実施の形態4では、入光凹部341の開口幅は入光内側面332の開口幅より狭く形成されており、入光凹部341と第2反射面344とは、入射屈折面347により接続されている。入射屈折面347は、光軸14を回転軸とし、光源10から遠ざかるにつれて径が大きくなる回転形状を有している。入光凹部341および入射屈折面347は、光源10から出射され入光穴331を通過した光が入射する。入射屈折面347は、光源10から入射する光の一部を、光軸14に沿う方向に屈折される。
【0064】
実施の形態1において入光凹部41は、内側面42および凸レンズ部43で構成されていたが、実施の形態4において入光凹部341は、内側面342と、光軸14に対し略垂直な平面状の上面343とにより構成されている。上面343は、光源10から入射する光を、光軸14方向(矢印y方向)に近づく方向に屈折させる。
【0065】
出射凹部348は、第2レンズ部340の照射側の中央に設けられ、照射側に開口した凹形状を有している。348の外側の周辺部は平面になっている。出射凹部348は、凹形状の側面を形成する内側面349と、底面を形成する出射屈折面350とにより構成されている。出射屈折面350は、出射面側に凸形状であり、光軸14から離れるにつれ第2レンズ部340の厚みが薄くなるよう構成されている。第2出射平面345は、出射凹部348の外周側に設けられ、光軸14に対し略垂直なリング状の平面で構成されている。第2出射平面345は、入射屈折面347および入光凹部341の内側面342から入射した光を、光学レンズ320外へ出射させる。出射屈折面350は、入光凹部341の上面343に入射し光軸14方向に近づくように屈折された光をさらに屈折させ、光軸14に略平行な光として光学レンズ320外へ出射する。
【0066】
また第1レンズ部330と第2レンズ部340とは、実施の形態1と同様に配置され組み合わされている。つまり、接続面335と第2反射面344とは間に空気層を有して対向するように配置されており、第1出射面334の照射側と支持部346の光源10側とは、光学的に一体となるよう接着されている。
【0067】
図9には、光源10の中心Poから出射された光源装置300を通る複数の光の経路が示されている。以下、光軸14に垂直(矢印x方向)な、中心Poを通る基準線16を0°の線として、基準線16からの角度がそれぞれ異なる方向に出射された光の経路について説明する。
【0068】
まず、基準線16からの角度が小さい小角度光S4の経路について説明する。小角度光S4、第1レンズ部330で制御される。小角度光S4は、入光穴331を通る途中で入光内側面332に到達し、第1レンズ部330に入射する。このとき、入光内側面332に入射する小角度光S4は、光軸14から離れる方向に屈折作用を受け第1レンズ部330内に入射する。第1レンズ部330に入射した小角度光S4は、第1反射面333で全反射されて光軸14に略平行な光となる。第1出射面334に到達した小角度光S4は、支持部346に到達し、光学レンズ320外へ出射する。
【0069】
次に、基準線16からの角度が中程度の光のうち、小角度光S4に近い中角度光M4と、中角度光M4よりも角度が大きい中角度光MM4とについてそれぞれ説明する。
【0070】
中角度光M4は第2レンズ部340で制御される。中角度光M4は、入射屈折面347から第2レンズ部340に入射する。このとき、中角度光M4は、入射屈折面347において光軸14に沿う方向に屈折され、第2レンズ部340内に入射する。第2レンズ部340に入射した中角度光M4は、第2出射平面345から光学レンズ320外へ出射する。
【0071】
中角度光MM4は第2レンズ部340で制御される。中角度光MM4は、入光凹部341の内側面342から第2レンズ部340内に入射する。このとき、中角度光MM4は、入光凹部341の内側面342において光軸14から離れる方向に屈折作用を受け、第2レンズ部340内に入射する。第2レンズ部340に入射した中角度光MM4は、第2反射面344に到達し全反射された後、光軸14に略平行な角度で第2出射平面345から光学レンズ320外へ出射する。
【0072】
次に、基準線16からの角度が大きい大角度光L4の経路について説明する。大角度光L4は、入光凹部341の上面343から第2レンズ部340に入射する。大角度光L4は、上面343において光軸14方向に近づく方向に屈折され、出射屈折面350に導かれる。大角度光L4は、出射屈折面350でさらに屈折され、光軸14に略平行な光として光学レンズ320外へ出射する。
【0073】
以上のように実施の形態4においても、入光内側面332および入光凹部41の内側面42はそれぞれ、光源10から光学レンズ320に入射する光を、第1反射面333または第2反射面44に近づくように屈折させ、入射した光の方向は、各反射面で制御される。そのため、光学レンズ320および光源装置300は、レンズを大型化することなく光利用効率を高めることができる。
【0074】
また、第2レンズ部340は、入光凹部341と第2反射面344との間に設けられ、光源10から入射する光を照射側に屈折させる入射屈折面347を有するものである。
【0075】
これより、入光凹部341の周りに入射屈折面347を設けることで、出射屈折面350の径を小さくすることができる。実施の形態4では、入光凹部341の上面343と出射凹部348の出射屈折面350とにより、大角度光が光軸14方向に沿うように方向転換されている。このような構成においても、入射屈折面347により出射屈折面350と第2反射面344との距離が確保されているので、第2反射面344の反射光が出射屈折面350に妨げられることを抑制できる。その結果、光学レンズ320は、光源10からの光を所望の配光角度範囲内へ効率良く制御でき、所定の範囲を効率良く照明できる。
【0076】
実施の形態5.
図10は、実施の形態5に係る照明装置を示す斜視図である。
図10に基づき、実施の形態5の照明装置400について説明する。実施の形態5に係る照明装置400は、実施の形態1に係る光源装置1をスポットライトに使用したものである。実施の形態1と共通する部分は同一の符号を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
【0077】
照明装置400は、光源装置1に加えて、光源装置1が設置される筐体402と、電源401と、天井に取り付けるための固定金具等とを備えている。電源401は、光源装置1とケーブル403で接続され、光源装置1に所定の電力を供給するものである。放熱性能を上げるために、筐体402には、例えばアルミダイカスト製のヒートシンク等が設けられてもよい。
【0078】
なお、照明装置400の光源装置として、実施の形態2〜4に係る光源装置100、200、300を適用してもよい。また、照明装置400は、天井に取り付けられるものに限定されない。例えば、照明装置400は、卓上に設置されるもの、もしくは壁に固定具を介して取り付けられるものであってもよく、または、車両のヘッドライト等他の場所あるいは用途で用いられるものであってもよい。
【0079】
以上のように実施の形態5において、照明装置400は、光源装置1と、光源装置1が設置される筐体402と、光源装置1に電力を供給する電源401とを備えるものである。これより、照明装置400は小型で高効率な光源装置1を備えているので、照明範囲を明るく照射することができ、かつコンパクトな照明装置400を提供することができる。
【0080】
なお、本発明の実施の形態は上記実施の形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。また上記実施の形態は、複数組み合わせることができる。例えば、上記実施の形態において光源10の発光素子は、LEDを用いて構成されていたが、LD(Laser Diode)等で構成されたものでもよく、また発光面面積が大きい1つの発光素子で構成されたものであってもよい。また光源10の配置は、光学レンズ20の光軸14を回転軸とする配置に限定されず、複数個の光源が、矩形または多角形に配置されてもよい。
【0081】
また、光源装置1の基板11としてアルミニウム基板が用いられたが、鉄等の金属基板、または、より安価なガラスエポキシ樹脂もしくは紙フェノール材等で構成された基板が用いられてもよい。また、筐体402に設けられるヒートシンクの材質は、アルミダイカスト材に限られたものではなく、鉄等の金属、さらには高熱伝導樹脂等でもよい。
【0082】
また、光源装置1において、基板11とレンズホルダ15との間に熱伝導グリースまたは熱伝導シート等の熱伝導材または接着材を介在させてもよい。そして、これらの接着材を使用するか否かは、使用するLEDおよび回路素子等の耐熱温度、寿命および強度等に基づいて適宜決定されればよい。
【0083】
また、入光凹部41、入光穴31、第1反射面33および第2反射面44等の形状は特に限定されない。例えば、入光凹部41の一部は、光源10を中心とした半球形状、回転放物面形状、回転楕円面形状、または回転多項式面形状等に形成されてもよい。また、出射屈折面350の形状も特に限定されず、例えば、凹形状、平面、または円錐台等とであってもよい。
【0084】
また、光学レンズ20の表面および一部の表面は、例えば、照射イメージの緩和、または照射面の色むらを低減するため、シボ加工等の光拡散処理が施されていてもよい。