【実施例】
【0016】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、
図2乃至
図8を用いて説明する。以下に説明する実施例は、車両に備えられる表示装置に実施形態を適用した場合の実施例である。表示装置の例として、ナビゲーション装置、オーディオ装置、携帯可能で車両に取り付けることが可能な端末装置等が挙げられる。
【0017】
図2(a)は、実施例に係る表示装置を左上前方から見た場合の表示装置の一例を示す斜視図である。
図2(b)は、実施例に係る表示装置のディスプレイを右下後方から見た場合のディスプレイの一例を示す斜視図である。
図3は、実施例に係る表示装置の設置の一例を示す模式図である。
図4は、実施例に係る表示装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図5(a)及び
図5(b)は、実施例に係る表示装置のディスプレイの移動方法の例を示す図である。
図6(a)及び
図6(b)は、実施例に係る表示装置のディスプレイの移動方法の例を示す図である。
図7(a)及び
図7(b)は、実施例に係る表示装置のディスプレイの回転方法の例を示す図である。
図8は、実施例に係る処理の一例を示すフローチャートである。
【0018】
図2(a)及び2(b)に示すように、実施例に係る表示装置Sは、ディスプレイ10と、ディスプレイ10を支持する本体部20とを備えて構成される。ディスプレイ10は、実施形態に係る表示部2の一例である。本体部20は、実施形態に係る支持部3の一例である。本体部20側から見てディスプレイ10が存在する方向が、表示装置Sの前方である。ディスプレイ10の高さ及び幅の少なくとも何れか一方は、本体部20の高さ及び幅の少なくとも何れか一方よりも長くてもよい。
【0019】
ディスプレイ10は、タッチパネル11と、接触センサ12〜17とを備える。
図2(a)及び
図2(b)が示す例では、ディスプレイ10は横向きの状態であるが、ディスプレイ10の回転によって縦向きの状態となることも可能である。横向きの状態であるか又は縦向きの状態であるかに応じて、視認しやすいようにディスプレイ10の画面に情報が表示される。
【0020】
タッチパネル11は、ディスプレイ10の前面に存在する画面に備えられる。タッチパネル11は、表示機能と位置入力機能を有する。表示機能の部分は、例えば、液晶表示素子又はEL(Electro Luminescence)素子等により構成される。位置入力機能は、例えば、静電容量方式、抵抗膜方式等を実現する素子により構成される。タッチパネル11は、画面に対する接触又は近接を検出する。例えば静電容量方式であれば、接触及び近接の両方の検出が可能である。例えば抵抗膜方式であれば、接触の検出が可能である。
【0021】
接触センサ12〜接触センサ17は、それぞれディスプレイ10の一の箇所に対する接触又は近接を検出する。ディスプレイ10の一の箇所とは、例えばディスプレイ10の何れか一の面であってもよいし、ディスプレイ10の何れかの面の一部分であってもよい。接触センサ12〜接触センサ17は、実施形態に係る検出部5の一例である。
【0022】
接触センサ12は、ディスプレイ10の上面の一部又は全部の範囲内における接触又は接近が検出可能なように、ディスプレイ10の上面に備えられる。接触センサ13は、ディスプレイ10の下面の一部又は全部の範囲内における接触又は接近が検出可能なように、ディスプレイ10の下面に備えられる。接触センサ14は、前方からディスプレイ10を見た場合のディスプレイ10の右側面の一部又は全部の範囲内における接触又は接近が検出可能なように、ディスプレイ10の右側面に備えられる。接触センサ15は、前方からディスプレイ10を見た場合のディスプレイ10の左側面の一部又は全部の範囲内における接触又は接近が検出可能なように、ディスプレイ10の左側面に備えられる。接触センサ16は、ディスプレイ10の前面のうち画面を囲む枠部分の一部又は全部の範囲内における接触又は接近が検出可能なように、ディスプレイ10の前面に備えられる。接触センサ17は、ディスプレイ10の背面の一部又は全部の範囲内における接触又は接近が検出可能なように、ディスプレイ10の背面に備えられる。
【0023】
本体部20は、アーム21と、上下スライドステージ22と、水平スライドステージ23と、前後スライドステージ24と、ガイド25a及び25bと、光ディスクドライブ26と、筐体27とを備える。筐体27に、アーム21〜光ディスクドライブ26が収納される。
【0024】
アーム21は例えば円筒形状等をなしている。筐体27の前面に設けられた開口部27aを通して、アーム21の一部が表示装置Sの前方に向かって露出している。アーム21の露出した部分の端は、ディスプレイ10の背面の中央付近で略垂直に固定されている。
【0025】
上下スライドステージ22は、アーム21の中心軸を回転軸としてアーム21が回転可能なように、アーム21を支持する。上下スライドステージ22に、
図4に示す回転モータ35及び上下スライドモータ36が内蔵されている。回転モータ35はアーム21を回転させるモータである。これにより、ディスプレイ10が画面に平行に時計回り及び反時計回りに回転する。上下スライドモータ36は、水平スライドステージ23に対して上下方向に上下スライドステージ22を移動させるためのモータである。これにより、アーム21及びディスプレイ10が上下方向に移動する。
【0026】
水平スライドステージ23は、上下スライドステージ22が上下方向に移動可能なように、上下スライドステージ22を支持する。水平スライドステージ23には、
図4に示す水平スライドモータ37が内蔵されている。水平スライドモータ37は、前後スライドステージ24に対して左右方向に水平スライドステージ23を移動させるためのモータである。これにより、上下スライドステージ22、アーム21及びディスプレイ10が左右方向に移動する。
【0027】
前後スライドステージ24は、水平スライドステージ23が左右方向に移動可能なように、水平スライドステージ23を支持する。前後スライドステージ24には複数のガイド溝が設けられている。これらガイド溝に沿って水平スライドステージ23が移動する。前後スライドステージ24には、
図4に示す前後スライドモータ38が内蔵されている。前後スライドモータ38は、ガイド25a及び25bに対して前後方向に前後スライドステージ24を移動させるためのモータである。これにより、水平スライドステージ23、上下スライドステージ22、アーム21及びディスプレイ10が前後方向に移動する。
【0028】
ガイド25a及び25bは、前後スライドステージ24が前後方向に移動可能なように、前後スライドステージ24の左右両側から前後スライドステージ24を支持する。ガイド25a及び25bのそれぞれには、複数のガイドが設けられている。これらガイド溝に沿って前後スライドステージ24が移動する。
【0029】
光ディスクドライブ26は、例えばBlu-ray(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)等の光ディスクに記録された情報を読み出す。筐体27の前面に設けられた挿入口27bから、光ディスクを光ディスクドライブ26に挿入可能である。
【0030】
図3に示すように、表示装置Sは、例えば車両のコンソール部の中央領域40に装着される。コンソール部の中央領域40には、ナビゲーション装置、オーディオ装置等を装着するための開口部41が設けられている。開口部41から表示装置Sの本体部20がコンソール部に挿入されて、本体部20が固定される。
【0031】
またコンソール部の中央領域40には、例えばハザードスイッチ42、時計43、温度計44、エアコンスイッチ45、風速調整ダイヤル46、温度調整ダイヤル47、送風口選択ダイヤル48、外気・内気切替スイッチ49等が備えられている。ハザードスイッチ42は、車両に搭載されたハザードランプを点滅及び消灯させるためのスイッチである。時計43は、ディスプレイを有し、現地時刻をディスプレイに表示する。温度計44は、ディスプレイを有し、車内の温度をディスプレイに表示する。エアコンスイッチ45〜外気・内気切替スイッチ49は、車両に搭載されたエアコンの動作を制御するための操作部である。コンソール部の中央領域40に備えられる操作部の種類及び中央領域40に備えられる機器により表示される情報の種類は、車種や車両の年式によって変わる。また、コンソール部の中央領域40における開口部41、操作部及び機器の配列も、車種や車両の年式によって変わる。
【0032】
図3において、ディスプレイ10の高さ及び幅は、本体部20及び開口部41の高さ及び幅よりも長い。本体部20に対するディスプレイ10の位置、及びディスプレイ10が縦向きの状態にあるか横向きの状態にあるかによって、中央領域40上のハザードスイッチ42〜外気・内気切替スイッチ49の少なくとも何れか1つがディスプレイ10の背後に隠れる場合がある。また、光ディスクの挿入口27bがディスプレイ10の背後に隠れる。ディスプレイ10が移動又は回転することによって、ディスプレイ10の背後に隠れていた部分が見えるようになる。これにより、操作部や挿入口27bに対する操作が可能となったり、時刻や温度等の情報を視認可能となったりする。
【0033】
図4に示すように、表示装置Sは、システム制御部31と、記憶部32と、操作入力部33と、駆動部34と、回転モータ35と、上下スライドモータ36と、水平スライドモータ37と、前後スライドモータ38と、タッチパネル11と、接触センサ12〜接触センサ17と、メモリカードスロット60と、を少なくとも含んで構成される。
図4において、アーム21〜ガイド25bの図示は省略されている。システム制御部31は、インターフェース39を介して、記憶部32〜駆動部34、光ディスクドライブ26、タッチパネル11、接触センサ12〜接触センサ17、及びメモリカードスロット60と接続される。システム制御部31、記憶部32、操作入力部33、駆動部34、及びメモリカードスロット60は、本体部20に備えられてもよいし、ディスプレイ10に備えられてもよい。
【0034】
記憶部32は、例えばハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリにより構成されている。記憶部32には、表示装置Sを制御するための各種プログラムが記憶されている。各種プログラムは、例えば光ディスクドライブ26等のドライブ装置を介して光ディスク等の記録媒体から読み込まれてもよいし、無線通信網等のネットワークを介して所定のサーバ装置からダウンロードされてもよい。また記憶部32には、例えば音楽データや地図データ等が記憶される。
【0035】
操作入力部33は、例えば操作ボタン、スイッチ等を有する。操作部33は、利用者からの入力を受け付ける。
【0036】
駆動部34は、システム制御部31から送信される制御信号に基づいて、回転モータ35〜水平スライドモータ37を駆動する。駆動部34、回転モータ35〜前後スライドモータ38、及びアーム21〜前後スライドステージ24は、実施形態に係る移動部4の一例である。
【0037】
メモリカードスロット60には、例えばSD(Secure Digital)メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ等のメモリカードを挿入可能である。メモリカードスロット60は、メモリカードに対する情報の書き込み及び読み出しを行う。
【0038】
システム制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。CPUが、ROMや記憶部32に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより、システム制御部31が表示装置Sを制御する。システム制御部31は、実施形態に係る取得部1a及び制御部1bの一例である。
【0039】
接触センサ12〜接触センサ17の何れかの接触センサが、ディスプレイ10の一の箇所に対する接触又は近接を検出した場合、システム制御部31は、その接触センサから接触又は近接が検出された箇所の情報を取得する。例えばシステム制御部31は、接触又は近接が検出された箇所の座標又は座標群を含む位置情報を、接触又は近接を検出した接触センサから受信する。システム制御部31は、受信した位置情報及び接触センサ12〜接触センサ17のうち何れの接触センサが位置情報を送信してきたかに基づいて、ディスプイレイ10において接触又は近接が検出された箇所を特定することができる。
【0040】
システム制御部31は、接触センサから取得された情報に基づいて、駆動部34、回転モータ35〜水平スライドモータ37、及びアーム21〜前後スライドステージ24を制御する。具体的に、システム制御部31は、ディスプレイ10において接触又は近接が検出された箇所に応じた方向へディスプイレイ10が移動又は回転するように制御する。
【0041】
例えばシステム制御部31は、ディスプレイ10の中心に対して、接触又は近接が検出された箇所の反対方向へ、ディスプイレイ10の画面に平行にディスプイレイ10が移動するように制御してもよい。
【0042】
図5(a)に示すように、ディスプレイ10の上面は、ディスプレイ10の中心Oの上方向に存在する。
図5(a)に示すように、利用者の手Hがディスプレイ10の上面の接触センサ12に接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプレイ10を下方向に移動させる。
【0043】
ディスプレイ10の下面は中心Oの下方向に存在する。利用者の手Hがディスプレイ10の下面の接触センサ13に接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプレイ10を上方向に移動させる。
【0044】
ディスプレイ10の右側面は中心Oの右方向に存在する。
図5(b)に示すように、利用者の手Hがディスプレイ10の右側面の接触センサ14に接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプレイ10を左方向に移動させる。
【0045】
ディスプレイ10の左側面は中心Oの左方向に存在する。利用者の手Hがディスプレイ10の左側面の接触センサ15に接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプレイ10を右方向に移動させる。
【0046】
ディスプイレイ10の前面又は背面において接触又は近接が検出された場合、システム制御部31は、ディスプレイ10の中心に対して、接触又は近接が検出された箇所の反対方向へ、ディスプイレイ10の画面に垂直にディスプイレイ10が移動するように制御してもよい。
【0047】
ディスプレイ10の前面は中心Oの前方に存在する。
図6(a)に示すように、利用者の手Hがディスプレイ10の前面の接触センサ16に接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプレイ10を後方に移動させる。
【0048】
ディスプレイ10の背面は中心Oの後方に存在する。
図6(b)に示すように、利用者の手Hがディスプレイ10の背面の接触センサ17に接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプレイ10を前方に移動させる。
【0049】
システム制御部31は、ディスプイレイ10の何れかの面の端部で接触又は近接が検出された場合、接触又は近接が検出された端部が存在する面の中心の運動の向きが、その端部が存在する方向となる態様でディスプイレイ10が回転するよう制御してもよい。
【0050】
例えば、ディスプイレイ10の上面、下面、右側面及び左側面が、それぞれ中央領域、第1端部領域及び第2端部領域に区分される。
図5(b)に示すように、ディスプイレイ10の右側面は、第1端部領域14a、中央領域14b及び第2端部領域14cに区分される。
【0051】
図2(b)に示すように、中央領域14bは、ディスプイレイ10の右側面の中心SOを含む。第1端部領域14aは中央領域14bの上に位置し、第2端部領域14cは中央領域14bの下に位置する。
図7(a)に示すように、利用者の手Hが第1端部領域14aに接触又は近接した場合、中心SOの運動の向きD1は、中心SOから見て第1端部領域14aが存在する方向である。従って、システム制御部31は、ディスプイレイ10を反時計回りに回転させる。
図7(b)に示すように、利用者の手Hが第2端部領域14cに接触又は近接した場合、中心SOの運動の向きD2は、中心SOから見て第2端部領域14cが存在する方向である。従って、システム制御部31は、ディスプイレイ10を時計回りに回転させる。利用者の手Hが中央領域14bに接触又は近接した場合にのみ、
図5(b)に示すように、システム制御部31は、ディスプイレイ10を左方向へ移動させる。
【0052】
図2(a)に示すように、ディスプイレイ10の左側面は、第1端部領域15a、中央領域15b及び第2端部領域15cに区分される。第1端部領域15aは中央領域15bの上に位置し、第2端部領域15cは中央領域15bの下に位置する。利用者の手Hが第1端部領域15aに接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10を時計回りに回転させる。利用者の手Hが第2端部領域15cに接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10を反時計回りに回転させる。利用者の手Hが中央領域15bに接触又は近接した場合にのみ、システム制御部31は、ディスプイレイ10を右方向へ移動させる。
【0053】
図2(a)に示すように、ディスプイレイ10の上面は、第1端部領域12a、中央領域12b及び第2端部領域12cに区分される。第1端部領域12aは中央領域12bの左に位置し、第2端部領域12cは中央領域12bの右に位置する。利用者の手Hが第1端部領域12aに接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10を反時計回りに回転させる。利用者の手Hが第2端部領域12cに接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10を時計回りに回転させる。利用者の手Hが中央領域14bに接触又は近接した場合にのみ、
図5(b)に示すように、システム制御部31は、ディスプイレイ10を下方向へ移動させる。
【0054】
図2(b)に示すように、ディスプイレイ10の下面は、第1端部領域13a、中央領域13b及び第2端部領域13cに区分される。第1端部領域13aは中央領域13bの左に位置し、第2端部領域13cは中央領域13bの右に位置する。利用者の手Hが第1端部領域13aに接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10を時計回りに回転させる。利用者の手Hが第2端部領域13cに接触又は近接した場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10を反時計回りに回転させる。利用者の手Hが中央領域142に接触又は近接した場合にのみ、システム制御部31は、ディスプイレイ10を上方向へ移動させる。
【0055】
システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所において接触又は近接が所定時間以上継続して検出された場合にのみ、ディスプレイ10を移動又は回転させてもよい。
【0056】
またシステム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所において接触又は近接が継続して検出されている間、ディスプイレイ10の移動又は回転を継続させてもよい。そして、接触又は近接が検出されなくなったとき、システム制御部31は、ディスプイレイ10の移動又は回転を停止させてもよい。なお、ディスプイレイ10を回転させるとき、システム制御部31は、ディスプイレイ10が縦向き又は横向きで停止するように、接触又は近接が検出されなくなった後も回転を継続させてもよい。
【0057】
更にシステム制御部31は、予め設定された態様の接触又は近接が検出された場合にのみ、ディスプイレイ10を移動又は回転させてもよい。これにより、予め設定された態様以外の態様で利用者がディスプイレイ10に接触又は近接したとしても、移動も回転もしない。そのため、ディスプイレイ10が誤って移動又は回転することが防止される。
【0058】
例えば、システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所において、互いに離隔した所定数の部分に接触又は近接が検出された場合にのみ、ディスプイレイ10を移動又は回転させてもよい。この場合、利用者は、例えば片手又は両手の所定数の指をディスプイレイ10の一の箇所に同時に接近又は近接させることで、ディスプイレイ10を移動又は回転させることができる。所定数は2以上に予め設定される。
図5〜
図7は、所定数が3である場合の例を示す。例えば
図5(a)では、利用者の3本の指が同時に中央領域14b内に接触することで、ディスプイレイ10が移動する。
【0059】
次に、システム制御部31により実行される処理例について、
図8を用いて説明する。
図8に示す処理は、例えば表示装置Sの電源がONとされたときに開始される。
図8に示すように、システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所に対する接触又は近接が検出されたか否かを判定する(ステップS1)。例えばシステム制御部31は、接触センサ12〜17のうち2以上の接触センサから同時に位置情報を受信した場合、ディスプイレイ10の一の箇所に対する接触又は近接が検出されなかったと判定する。接触センサ12〜17のうち一の接触センサのみから位置情報を受信した場合、システム制御部31は、何れの接触センサから位置情報を受信したかを判定する。接触センサ16又は17のみから位置情報を受信した場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所に対する接触又は近接が検出されたと判定する。接触センサ12〜15の何れか一の接触センサのみから位置情報を受信した場合、システム制御部31は、位置情報に基づいて、中央領域、第1端部領域及び第2端部領域のうち何れか一の箇所のみで接触又は近接が検出されたと判定する。何れか一の箇所のみで接触又は近接が検出された場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所に対する接触又は近接が検出されたと判定する。2以上の箇所で接触又は近接が検出された場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所に対する接触又は近接が検出されなかったと判定する。システム制御部31は、一の箇所に対する接触又は近接が検出されたと判定した場合には(ステップS1:YES)、処理をステップS2に進める。一方、システム制御部31は、一の箇所に対する接触又は近接が検出されなかったと判定した場合(ステップS1:NO)、処理をステップS12に進める。
【0060】
ステップS2において、システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所において、互いに離隔した所定数の部分で接触又は近接が検出されたか否かを判定する。システム制御部31は、位置情報に基づいて、接触又は近接があった部分が何個存在するかを特定する。システム制御部31は、接触又は近接があった部分の数が所定数と一致する場合には、互いに離隔した所定数の部分で接触又は近接が検出されたと判定する(ステップS2:YES)。この場合、システム制御部31は、処理をステップS3に進める。一方、システム制御部31は、接触又は近接があった部分の数が所定数と一致しない場合には、互いに離隔した所定数の部分で接触又は近接が検出されなかったと判定する(ステップS2:NO)。この場合、システム制御部31は、処理をステップS12に進める。
【0061】
ステップS3において、システム制御部31は、ステップS2の時点から、ディスプイレイ10の一の箇所において互いに離隔した所定数の部分への接触又は近接が継続しているか否かを判定する。このとき、システム制御部31は、接触又は近接が継続していると判定した場合には(ステップS3:YES)、処理をステップS4に進める。一方、システム制御部31は、接触又は近接が継続しなくなったと判定した場合には(ステップS3:NO)、処理をステップS12に進める。
【0062】
ステップS4において、システム制御部31は、ステップS2においてディスプイレイ10の一の箇所において互いに離隔した所定数の部分に接触又は近接が検出されてから所定時間が経過したか否かを判定する。このとき、システム制御部31は、所定時間が経過したと判定した場合には(ステップS4:YES)、処理をステップS5に進める。一方、システム制御部31は、所定時間が経過していないと判定した場合には(ステップS4:NO)、処理をステップS3に進める。
【0063】
ステップS5において、システム制御部31は、第1端部領域又は第2端部領域で接触又は近接が検出されたか否かを判定する。このとき、システム制御部31は、第1端部領域又は第2端部領域で接触又は近接が検出されたと判定した場合には(ステップS5:YES)、処理をステップS9に進める。一方、システム制御部31は、第1端部領域及び第2端部領域の何れでも接触又は近接が検出されなかったと判定した場合には(ステップS5:NO)、処理をステップS6に進める。
【0064】
ステップS6において、システム制御部31は、ディスプレイ10の中心に対して、接触又は近接が検出された箇所と反対方向にディスプイレイ10を移動させるように、駆動部34へ制御信号を送信する。これにより、駆動部34は、上下スライドモータ36、水平スライドモータ37又は前後スライドモータ38を駆動する。上下スライドモータ36が駆動すると、上下スライドステージ22が移動し、その結果、ディスプイレイ10が上方向又は下方向へ移動する。水平スライドモータ37が駆動すると、水平スライドステージ23が移動し、その結果、ディスプイレイ10が右方向又は左方向へ移動する。前後スライドモータ38が駆動すると、前後スライドステージ24が移動し、その結果、ディスプイレイ10が前方又は後方へ移動する。
【0065】
次いで、システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所において互いに離隔した所定数の部分への接触又は近接が継続しているか否かを判定する(ステップS7)。このとき、システム制御部31は、接触又は近接が継続していると判定した場合には(ステップS7:YES)、処理をステップS6に進める。一方、システム制御部31は、接触又は近接が継続しなくなったと判定した場合には(ステップS7:NO)、処理をステップS8に進める。
【0066】
ステップS8において、システム制御部31は、ディスプイレイ10の移動が停止するように駆動部34へ制御信号を送信して、処理をステップS12へ進める。
【0067】
ステップS9において、システム制御部31は、接触又は近接が検出された端部が存在する面の中心の運動の向きが、その端部が存在する方向となる態様でディスプイレイ10が回転するように、駆動部34へ制御信号を送信する。これにより、駆動部34は回転モータ35を駆動する。回転モータ35はアーム21を回転させる。その結果、ディスプイレイ10が時計回り又は反時計回りに回転する。
【0068】
次いで、システム制御部31は、ディスプイレイ10の一の箇所において互いに離隔した所定数の部分への接触又は近接が継続しているか否かを判定する(ステップS10)。このとき、システム制御部31は、接触又は近接が継続していると判定した場合には(ステップS10:YES)、処理をステップS9に進める。一方、システム制御部31は、接触又は近接が継続しなくなったと判定した場合には(ステップS10:NO)、処理をステップS11に進める。
【0069】
ステップS11において、システム制御部31は、ディスプイレイ10の回転が停止するように駆動部34へ制御信号を送信して、処理をステップS12へ進める。
【0070】
ステップS12において、システム制御部31は、表示装置Sの電源がOFFにされたか否かを判定する。このとき、システム制御部31は、電源がOFFにされなかったと判定した場合には(ステップS12:NO)、処理をステップS1に進める。一方、システム制御部31は、電源がOFFにされたと判定した場合には(ステップS12:YES)、
図8に示す処理を終了させる。
【0071】
以上説明したように、実施例に係る表示装置Sの動作によれば、接触センサ12〜接触センサ17の何れかの接触センサが、ディスプレイ10の一の箇所に対する接触又は近接を検出した場合、接触又は近接が検出された箇所の情報に基づいて、ディスプレイ10において接触又は近接が検出された箇所に応じた方向へディスプイレイ10が移動又は回転するように、駆動部34、回転モータ35〜水平スライドモータ37、及びアーム21〜前後スライドステージ24を制御する。従って、ディスプイレイ10を簡易な操作方法で所望の方向に移動又は回転させることができる。
【0072】
また、ディスプレイ10の中心に対して、接触又は近接が検出された箇所の反対方向へ、ディスプイレイ10の画面に平行にディスプイレイ10が移動するように制御した場合、ディスプイレイ10を簡易な操作方法で所望の方向に移動させることができる。
【0073】
また、ディスプイレイ10の何れかの面の端部で接触又は近接が検出された場合、接触又は近接が検出された端部が存在する面の中心の運動の向きが、その端部が存在する方向となる態様でディスプイレイ10が回転するよう制御した場合、ディスプイレイ10を簡易な操作方法で所望の方向に回転させることができる。
【0074】
また、ディスプイレイ10の一の箇所において接触又は近接が所定時間以上継続して検出された場合にディスプレイ10を移動又は回転させた場合、利用者がディスプレイ10を移動又は回転する意図がなくディスプレイ10に接触又は近接したときに誤ってディスプレイ10が移動又は回転することを防止することができる。
【0075】
また、予め設定された態様の接触又は近接が検出された場合にのみ、ディスプイレイ10を移動又は回転させた場合、利用者がディスプレイ10を移動又は回転する意図がなくディスプレイ10に接触又は近接したときに誤ってディスプレイ10が移動又は回転することを防止することができる。
【0076】
また、ディスプイレイ10の一の箇所において、互いに離隔した所定数の部分に接触又は近接が検出された場合にディスプイレイ10を移動又は回転させた場合、利用者がディスプレイ10を移動又は回転する意図がなくディスプレイ10に接触又は近接したときに誤ってディスプレイ10が移動又は回転することを防止することができる。
【0077】
また、ディスプイレイ10の一の箇所において接触又は近接が継続して検出されている間、ディスプイレイ10の移動又は回転を継続させた場合、接触又は近接の継続時間によって、ディスプイレイ10の移動量又は回転量を、利用者が調節することができる。
【0078】
[変形例]
次に、実施形態に係る複数の変形例について説明する。
【0079】
接触センサ12〜接触センサ17は、接触圧力を検出する感圧センサであってもよい。そして、感圧センサにより所定圧力以上の接触圧力が検出された場合にのみ、システム制御部31は、ディスプイレイ10を移動又は回転させてもよい。この場合、利用者がディスプレイ10を移動又は回転する意図がなくディスプレイ10に接触又は近接したときに誤ってディスプレイ10が移動又は回転することを防止することができる。
【0080】
また、ディスプレイの移動先に手などの移動前に無かった障害物があるか否かを判定する構成を備えてもよい。例えば、カメラやセンサなどで移動先に手などの障害物があるかを判定し、システム制御部は当該判定結果の有無に応じてディスプレイの移動又は回転を制御してもよい。
【0081】
またディスプレイ10が、画面と平行に斜め方向へ移動可能であってもよい。例えば接触又は近接が検出された箇所を点とみなした場合、システム制御部31は、ディスプレイ10の中心に対して、ディスプレイ10において接触又は近接が検出された箇所と反対方向にディスプレイ10を移動させてもよい。この場合、利用者は、接触又は近接する箇所を、ディスプイレイ10の上面、下面又は側面の中心からずらすことで、ディスプイレイ10を斜め方向に移動させることができる。
【0082】
またディスプレイ10の上下の移動、左右の移動、前後の移動、及び回転のうち少なくとも何れか1つのみが可能であればよい。この場合、表示装置Sは、可能な移動又は回転に対応する接触センサのみを備えればよい。
【0083】
またタッチパネル11により画面に対する接触又は近接が検出された場合、システム制御部31は、ディスプイレイ10を後方に移動させてもよい。この場合、表示装置Sは、接触センサ16を備えてもよいし備えなくてもよい。タッチパネル11を利用する場合、画面に対する接触又は近接が、画面に表示された情報に対する操作のためのものであるか、ディスプレイ10を移動させるためのものであるかをシステム制御部31が判定して制御することが望ましい。例えば、システム制御部31は、予め設定された態様の接触又は近接が検出された場合にのみディスプイレイ10を移動させてもよいし、所定圧力以上の接触圧力が検出された場合にのみディスプイレイ10を移動させてもよい。
【0084】
またディスプレイ10の傾き、垂直方向の回転又は水平方向の回転が可能であってもよい。例えば、利用者がディスプレイ10の前面の上端部に接触又は近接した場合、ディスプレイ10が後方に傾き、利用者がディスプレイ10の背面の上端部に接触又は近接した場合、ディスプレイ10が前方に傾いてもよい。また例えば、利用者がディスプレイ10の前面の右端部に接触又は近接した場合、上方からディスプレイ10を見て反時計回りにディスプレイ10が回転し、利用者がディスプレイ10の背面の右端部に接触又は近接した場合、上方からディスプレイ10を見て時計回りにディスプレイ10が回転してもよい。