特許第6827310号(P6827310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6827310-ゴルフクラブヘッド 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827310
(24)【登録日】2021年1月21日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20210128BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20210128BHJP
【FI】
   A63B53/04 A
   A63B102:32
【請求項の数】6
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-239238(P2016-239238)
(22)【出願日】2016年12月9日
(65)【公開番号】特開2018-93958(P2018-93958A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 進太郎
(72)【発明者】
【氏名】秋山 弘充
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博
【審査官】 槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−082291(JP,A)
【文献】 特開2000−237358(JP,A)
【文献】 特開2007−244480(JP,A)
【文献】 特開2003−024484(JP,A)
【文献】 特開2015−033464(JP,A)
【文献】 特開2004−313762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/04
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド本体部、及び前記ヘッド本体部に接合されたフェース部材を有するゴルフクラブヘッドであって、
前記ヘッド本体部は、本体フェース部、ソール部、及びクラウン部を有し、
前記フェース部材は、前記本体フェース部に形成されたフェース開口部内に接合され、
前記ヘッド本体部の前記フェース開口部よりもソール側に、凹部が配置されており、
前記フェース部材の下部の厚さをT、前記凹部と前記本体フェース部の外面との最小厚さをT、前記フェース部材と前記凹部との間にある前記本体フェース部の最大厚さをTとしたときに、T<T、かつT<Tであり、
前記Tと前記Tとは、略同じ厚さであることを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記凹部は、前記本体フェース部の下端の内面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記凹部のトウ−ヒール方向の長さは、前記フェース部材のトウ−ヒール方向の長さよりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記フェース開口部と前記凹部との最小距離は、1mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記凹部は、中空部側へ凸となる上部曲面と、外方側へ凸となる中間曲面と、中空部側へ凸となる下部曲面と、を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
凹部と本体底面側との最小厚さは、前記ソール部の最小厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゴルフクラブヘッドにおいて、打撃性能を向上させるための様々な技術が検討されている。打撃性能を向上させる技術としては、例えば、特許文献1〜6に記載の技術が挙げられる。打撃性能を向上させるためには、フェース側の撓みやすさを十分に考慮することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−181676号公報
【特許文献2】特開2015−033464号公報
【特許文献3】特開2007−159984号公報
【特許文献4】特開2003−265656号公報
【特許文献5】特開2001−129131号公報
【特許文献6】米国特許明細書第6348013号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、フェース側の撓みやすさを向上したゴルフクラブヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本ゴルフクラブヘッドは、ヘッド本体部、及び前記ヘッド本体部に接合されたフェース部材を有するゴルフクラブヘッドであって、前記ヘッド本体部は、本体フェース部、ソール部、及びクラウン部を有し、前記フェース部材は、前記本体フェース部に形成されたフェース開口部内に接合され、前記ヘッド本体部の前記フェース開口部よりもソール側に、凹部が配置されており、前記フェース部材の下部の厚さをT、前記凹部と前記本体フェース部の外面との最小厚さをT、前記フェース部材と前記凹部との間にある前記本体フェース部の最大厚さをTとしたときに、T<T、かつT<Tであり、前記Tと前記Tとは、略同じ厚さであることを要件とする。
【発明の効果】
【0006】
開示の技術によれば、フェース側の撓みやすさを向上したゴルフクラブヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する正面図である。
図2】本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する断面図である。
図3図2のA部近傍の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施の形態の説明を行う。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0009】
図1は、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する正面図である。図2は、本実施の形態に係るゴルフクラブヘッド1を例示する断面図であり、フェース部材20の略中央を通るようにフェース−バック方向に切断した縦断面を示している。
【0010】
図1及び図2では、フェース面20f側から視た図を正面図としており、ゴルフクラブヘッド1を水平面(地面に相当)に基準のライ角及び基準のロフト角通りに接地した場合を図示している(後述の図3も同様)。また、矢印dはトウ−ヒール方向(左右方向)を、矢印dはトップ−ソール方向(上下方向)を、矢印dはフェース−バック方向(前後方向)を示している。
【0011】
図1及び図2に示すゴルフクラブヘッド1は、ウッド型のゴルフクラブヘッドであって、例えばフェアウェイウッドであるが、ドライバやユーティリティであってもよい。また、ゴルフクラブヘッド1は、複数の部品を接合して組み立てることができる。以下、ゴルフクラブヘッド1について詳説する。
【0012】
ゴルフクラブヘッド1は、ヘッド本体部10と、ヘッド本体部10に接合されたフェース部材20とを有する中空構造体である。図1では、便宜上、フェース部材20を梨地模様(ドットパターン)で示している。なお、中空構造体の内側の面を内面、外側の面を外面と称する場合がある。また、中空構造体の内部を中空部と称する場合がある。
【0013】
ヘッド本体部10は、本体フェース部11と、クラウン部12と、ソール部13と、サイド部14と、ホゼル部15とを有している。ヘッド本体部10は、例えば、チタン合金、チタン、ステンレス、アルミニウム合金等の金属材料を用いて形成することができる。
【0014】
本体フェース部11にはフェース開口部11xが形成され、フェース部材20はフェース開口部11x内に溶接等により接合されている。フェース部材20は、打撃面となるフェース面20fを備えた部分である。なお、フェース部材20は所定の厚みを有しており、フェース面20fはフェース部材20の外面をなしている。フェース部材20は、例えば、チタン合金、チタン、ステンレス、アルミニウム合金等の金属材料を用いて形成することができる。
【0015】
クラウン部12は、ゴルフクラブヘッド1の上部を形成する部分である。ソール部13は、ゴルフクラブヘッド1の底部を形成する部分である。サイド部14は、クラウン部12とソール部13とを繋ぐ部分である。ホゼル部15は、シャフトと連結される部分である。
【0016】
ヘッド本体部10のフェース開口部11xよりもソール側において、本体フェース部11の下端の内面に、凹部30が配置されている。凹部30のトウ−ヒール方向の長さLは、フェース部材20のトウ−ヒール方向の長さLよりも小さい。これにより、フェース部材20及び本体フェース部11のソール側を撓みやすくすることができる。凹部30のトウ−ヒール方向の長さLは、例えば、30mm以上70mm以下とすることができる。また、フェース部材20のトウ−ヒール方向の長さLは、例えば、50mm以上90mm以下とすることができる。
【0017】
ここで、凹部30について、より詳しく説明する。図3は、図2のA部近傍の部分拡大断面図である。図3において、HOは水平面(地面に相当)を示す。また、図3において、ゴルフクラブヘッド1のソール部13側の外面において水平面HOに投影される領域(ホゼル部15は除く)、すなわちソール部13側の外面において面BFと対向する領域を本体底面とする。ここでいう底面とは、本体フェース部11とソール部13の境界部からソール部13にわたる。
【0018】
図3に示すように、凹部30は、中空部側へ凸となる上部曲面31と、外方側へ凸となる中間曲面32と、中空部側へ凸となる下部曲面33とを有している。フェース開口部11xと凹部30の最小距離Lは、例えば、1mm以上10mm以下とすることができる。
【0019】
フェース部材20の下部の厚さをT、凹部30と本体フェース部11の外面との最小厚さをT、フェース部材20と凹部30との間にある本体フェース部11の最大厚さをTとしたときに、T<T、T<Tとなっている。これにより、本体フェース部11の下端における耐久性を向上させながら、フェースを撓みやすくすることができる。
【0020】
また、TとTとを略同じにすることで、本体フェース部11の下端における耐久性と、フェースの撓みやすさとを、よりバランスよくもたせることができる。ここでいう略同じとは、製造上の誤差を含み得る。
【0021】
また、凹部30と本体底面側との最小厚さTは、ソール部13の最小厚さTよりも厚くなっている。これにより、フェース側の耐久性を向上することができる。
【0022】
このように、ゴルフクラブヘッド1では、ヘッド本体部10のフェース開口部11xよりもソール側に、凹部30が配置されている。これにより、フェースを撓みやすくして、打撃性能を向上させることができる。
【0023】
特に、ヘッド本体部10とフェース部材20とを溶接した場合には、フェース開口部11x近傍が厚くなり、フェースが撓み難くなるおそれがある。しかし、フェース開口部11xよりもソール側に凹部30が配置されることにより、フェースのソール側でゴルフボールを打撃したときでも、フェースのソール側を十分に撓ませることができる。
【0024】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0025】
例えば、ホゼル部を、シャフト先端に固着されるスリーブを着脱可能な構成としてもよい。スリーブを用いることで、容易にシャフト交換することができる。また、スリーブ内に設けられたシャフト挿入穴の軸をホゼル部の穴の中心軸に対して傾けて形成することも可能である。この場合、スリーブを軸方向に回転させ、ホゼル部との嵌合位置を変えることで、ライ角やフェースアングルを可変することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 ゴルフクラブヘッド
10 ヘッド本体部
11 本体フェース部
11x フェース開口部
12 クラウン部
13 ソール部
14 サイド部
15 ホゼル部
20 フェース部材
20f フェース面
30 凹部
31 上部曲面
32 中間曲面
33 下部曲面
図1
図2
図3