(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回路基板は、前記撮像基板から取得した画像を、歪み補正、切り出し、ズーム、分割及びHDR合成のいずれか一つ又は複数を行うISP(Image Signal Processor)基板と、前記ISP基板が処理した画像情報を外部装置へ送信するシリアライザ基板とを含むことを特徴とする請求項7に記載のカメラ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図を用いて説明する。
図1は、カメラ1の外観斜視図である。本実施形態のカメラ1は、例えば、車載カメラ、監視カメラ、産業用カメラ等に使用される。カメラ1には、同軸ケーブル等のケーブル2が接続される。ケーブル2の端部には、他の装置と接続するためのコネクタ22が設けられる。コネクタ22と接続される他の装置は、カメラ1から出力される画像を表示する表示装置、その画像の処理を行う処理装置、或いは、カメラ1の制御装置等とすることができる。以下、カメラ1の説明において、レンズ30側を前、ケーブル2が接続される側を後とし、
図1の後方から見た左側を左、その反対を右とする。また、カメラ1の図の上方を上、その反対を下とする。
【0012】
図2は、カメラ1の左上前方側から見た分解斜視図である。
図3は、カメラ1の右下後方側から見た分解斜視図である。また、
図4はカメラ1の
図1のIV−IV断面図であり、
図5は
図1のV−V断面図である。なお、
図4及び
図5では、ケーブル2、レセプタクル434及びレンズ30の断面図示を省略している。
【0013】
カメラ1は、ケース10として、フロントケース11、レンズホルダ12、リアケース13を有する。フロントケース11とレンズホルダ12との間には、レンズ30が配置される。レンズホルダ12とリアケース13との間には、複数の回路基板40がスタック構造で縦続接続されて配置される。回路基板40の前後には、各回路基板40を挟むように放熱部材50が配置される。以下、各部材について説明する。
【0014】
フロントケース11は、略四角枠状に形成される。フロントケース11の前面11eは、略球面状に形成される。その前面11eの略中央には、前後に貫通する略円形のレンズ孔111が形成される。フロントケース11の上下の外側面からは後方に向かって係止板112,113が延設される。上側の係止板112の後端の内側(下側)には、係止爪112aが設けられる(
図3参照)。下側の係止板113には、略四角形状の係止孔113aが形成される。
【0015】
レンズホルダ12は、ダイカスト用アルミ合金等の金属からなり、略四角枠状に形成される。レンズホルダ12の略中央には、鏡筒部121が形成される。鏡筒部121の内側には、レンズの固定孔122が形成される。レンズホルダ12の前面12eの四隅には、フロントケース11を組み付ける際のガイド125が設けられる。ガイド125は略四角柱状に形成される。レンズホルダ12の上面12cには鏡筒部121の後方側の位置において、左右方向に長軸を有した略矩形形状の係止溝123が形成される(
図4も参照)。フロントケース11の係止爪112aは、この係止溝123に係止する。また、レンズホルダ12の下面12dの窪み部12d1には、係止爪124が形成される。係止爪124は、前方側に傾斜面を有しており、後方側に窪み部12d1の底部と略垂直な当接面を有する(
図4参照)。
【0016】
図3に示すようにレンズホルダ12の後端縁面12f2の一対の対角角部には、螺子孔126が形成される。レンズホルダ12の後方側は、底部12f1を有した略四角筒状に形成される。この底部12f1には、固定孔122に対して左右対向する位置に螺子孔127が設けられる。また、底部12f1の下端からは、後方に向かって係止板128が延設される。係止板128の後端側の上下板厚は、底部12f1と略平行な段部128aによって基端側よりも薄く形成される。
【0017】
図2及び
図3に示すように、レンズホルダ12は、上面12c、下面12d、左側面12a及び右側面12bにおいて、前後方向に形成された凹状の溝部129aを有する。溝部129aは、各面の長手方向に複数並んで配置される。左側面12a及び右側面12bの溝部129aは、前面12e側において開口するように形成され、後方側は各々左側面12a及び右側面12bに対して略垂直な面を介して各々左側面12a及び右側面12bと接続される。この溝部129aにより、前後方向に延設される複数のフィン129bが形成される。
【0018】
上面12cの前端側には、C面取り状の傾斜部12c1が形成される。上面12cの溝部129aは、係止溝123よりも後方に配置される。溝部129aは、前方に開口するように形成され、後方側は上面12cに対して略垂直な面を介して上面12cと接続される。また、
図3で、下面12dの溝部129aは、窪み部12d1側に開口するように形成され、溝部129aの後方側は下面12dに対して略垂直な面を介して下面12dと接続される。
【0019】
また、レンズホルダ12の後端縁面12f2には、略四角環状の溝部12f21が形成される。溝部12f21は、その断面が略矩形状に形成される。溝部12f21は、螺子孔126付近の角部において、螺子孔126を避けるようにレンズホルダ12の内側へ湾曲した凹円弧部を有する。溝部12f21には、環状のパッキン62が埋設される。
【0020】
図2で、レンズ30は、レンズ本体31とレンズケース32を有する。レンズ本体31は、略円筒状のレンズケース32内に収容される。レンズケース32は、前方筒321と、中間筒322と、基端筒323とを有する。中間筒322の外径は前方筒321より小さく形成される。基端筒323の外径は中間筒322より小さく形成される。前方筒321と中間筒322との間には、フランジ部324が形成される。
図4に示すように、中間筒322の外周のフランジ部324の後面には、断面が略矩形形状の円環状のレンズリング33が配置される。また、中間筒322の外周のレンズリング33の後面には、断面が略円形状のOリング34が配置される。
【0021】
レンズ30の中間筒322は、レンズホルダ12の固定孔122内に配置される。固定孔122内には、径方向内側に縮径するように設けられた段部122aが形成される。レンズリング33及びOリング34は、フランジ部324の後面と、段部122aの前面とにより挟持される。また、レンズリング33及びOリング34は、中間筒322の外周面と固定孔122の段部122aとにより挟持される。よって、レンズリング33及びOリング34による封止構造が形成され、防塵、防水、防湿、防汚等の効果を得ることができる。また、前方筒321は、フロントケース11のレンズ孔111内に配置される。
【0022】
リアケース13は、ダイカスト用アルミ合金等の金属からなり、底部13eを有した略四角筒状に形成される。底部13eには、略円形の貫通孔131が設けられる。
図3に示すリアケース13の後面13fには、貫通孔131の周縁の左右対向する位置において螺子孔132が設けられる。また、リアケース13の後面13fには、二個のボス133が設けられる。ボス133の略中央には、図示しない外部の装置等に固定するための螺子孔が形成される。前方又は後方から見たリアケース13の一対の対角角部には、前後方向に貫通する貫通孔134が形成される。貫通孔134は、レンズホルダ12の螺子孔126の位置と対応する位置に設けられる。
【0023】
リアケース13の上下左右の側面13a〜13dには、前端側から後方に開口する複数の凹状の溝部135aが形成される。溝部135aは、各側面の長手方向に複数並んで配置される。この溝部135aにより前後方向に延設される複数のフィン135bが形成される。溝部135aは、
図4に示すように、前方側が側面13a〜13dと接続される傾斜部135cを有する。このように、ケース10(12,13)の各外部の面12a〜12d,13a〜13dには、複数のフィン135b,129bが形成される。また、
図2において、リアケース13の略四角枠状の前端面13e1の環状外周縁には、段部13e2が形成される。
【0024】
本実施形態では、両面実装の回路基板40として、撮像基板41、ISP(Image Signal Processor)基板42、及び電源シリアライザ基板43を有する。
【0025】
撮像基板41は、レンズ30を介して入光した光を検出して画像情報を取得する機能を有する。撮像基板41の略中央には、撮像素子としてCMOSイメージセンサ411が搭載される。CMOSイメージセンサ411は、広い範囲のHDR(High Dynamic Range)機能を有する。
【0026】
撮像基板41は、略四角板状に形成される。撮像基板41の一対の対角角部には、凹円弧状の切欠部412が形成される。切欠部412は、レンズホルダ12の螺子孔126の位置と対応する位置に設けられる(
図3参照)。撮像基板41の左右端には、一対の切欠部413が形成される。切欠部413は、凹円弧状の切り欠き底部を有し、全体が略矩形状に形成される。撮像基板41の下端には、略矩形状の切欠部414が形成される。切欠部414の切り欠き幅は、切欠部413より広く形成される。撮像基板41の後面には、内部に雄端子を有するコネクタであるピンヘッダ415が設けられる。なお、雄端子は図示を省略している。
【0027】
ISP基板42には、信号処理IC421が搭載される。信号処理IC421は、CMOSイメージセンサ411から送られる映像信号に対して、歪み補正や切り出し等の画像処理を行う。また、信号処理IC421は、CMOSイメージセンサ411の制御も行う。
【0028】
ISP基板42は、略四角板状に形成される。ISP基板42の一対の対角角部には、凹円弧状の切欠部422が形成される。切欠部422は、レンズホルダ12の螺子孔126の位置と対応する位置に設けられる。また、ISP基板42の下端には、略矩形状の切欠部423が形成される。切欠部423の切り欠き幅は、撮像基板41の切欠部414と略同じである。一方、切欠部423の切り欠き深さは、切欠部414よりも浅く形成される。
【0029】
ISP基板42の前面における信号処理IC421の上方には、雌端子を有するコネクタであるレセプタクル424が設けられる。雌端子はレセプタクル424の前面側に設けられるが、図示から省略している。レセプタクル424は、撮像基板41のピンヘッダ415と接続される。ISP基板42の後面には、ピンヘッダ425が設けられる。ISP基板42におけるピンヘッダ425とレセプタクル424の上下位置及び左右位置は、略同じである。
【0030】
電源シリアライザ基板43は、ケーブル2に重畳された電圧から撮像基板41及びISP基板42の動作に必要な各種の電源電圧を生成して、撮像基板41及びISP基板42に供給する。また、電源シリアライザ基板43は、後面に設けられたシリアライザIC431により、ISP基板42にて生成された映像信号のシリアル化等を行い、外部装置に伝送できる信号に変換する機能を備える。
【0031】
電源シリアライザ基板43は、略四角板状に形成される。電源シリアライザ基板43の一対の対角角部には、凹円弧状の切欠部432が形成される。切欠部432は、レンズホルダ12の螺子孔126の位置と対応する位置に設けられる。電源シリアライザ基板43の前面には、ISP基板42のピンヘッダ425と接続されるレセプタクル433が設けられる。電源シリアライザ基板43の後面のシリアライザIC431の下方には、コネクタ21と接続するためのレセプタクル434が設けられる。シリアライザIC431で変換された画像信号は、レセプタクル434と接続されたケーブル2を介して外部装置へ送信される。
【0032】
なお、撮像基板41、ISP基板42及び電源シリアライザ基板43の前面及び後面の実装面には、図示はしないが各々適宜の電子部品が実装される。
【0033】
つぎに、回路基板40の放熱部材50について説明する。放熱部材50(51〜53)は、例えば、軟質であり、可撓性、耐熱性、電気絶縁性及び熱伝導性を有する材料により形成される。放熱部材50は、例えば、シリコン系で揮発性の含有物質が少ない材料を用いることができる。以下説明する各放熱部材51,52,53は、いずれも同一の材料を用いてもよいし、各々異なる材料を用いてもよい。
【0034】
図2及び
図3で、レンズホルダ12と撮像基板41との間には、略四角板状の放熱部材51が配置される。放熱部材51の略中央には、略矩形状の前後に貫通した透光孔511が形成される。放熱部材51の各角部には、C面取り状の切欠部512が形成される。放熱部材51の左右端には、略半円弧形状の切欠部513が形成される。切欠部513の切り欠き幅は、撮像基板41の切欠部413より広く形成される。また、放熱部材51の下端には、略矩形状の切欠部514が形成される。切欠部514の切り欠き幅は、切欠部513より広く、撮像基板41の切欠部414と略同じ幅に形成される。
【0035】
撮像基板41とISP基板42との間には、略四角板状の放熱部材52が配置される。放熱部材52の上下幅は、放熱部材51よりも狭く形成される。これにより、放熱部材52の上方には、撮像基板41とISP基板42とを縦続接続させる際にピンヘッダ415との干渉を避ける非干渉部521が形成される。放熱部材52の下端の一方の角部には、C面取り状の切欠部522が形成される。切欠部522は、レンズホルダ12の下方の螺子孔126(
図3参照)と対応する位置に設けられる。また、放熱部材52の下端には、略矩形状の切欠部523が形成される。切欠部523の切り欠き幅及び深さは、切欠部514と略同じである。
【0036】
ISP基板42と電源シリアライザ基板43との間には、略四角板状の放熱部材53が配置される。放熱部材53の上下幅は、放熱部材52と略同じである。よって、放熱部材53の上方には、ISP基板42と電源シリアライザ基板43を縦続接続させる際にピンヘッダ425との干渉を避ける非干渉部531が形成される。放熱部材53の下端の一方の角部にはC面取り状の切欠部532が形成される。また、放熱部材53の下端には、略矩形状の切欠部533が形成される。切欠部533の切り欠き幅及び深さは、切欠部514及び切欠部523と略同じである。
【0037】
電源シリアライザ基板43とリアケース13の底部13eとの間には、略四角板状の放熱部材54が配置される。レンズホルダ12の螺子孔126に対応する位置である、放熱部材54の一対の対角角部には、C面取り状の切欠部541が形成される。また、放熱部材54の下方には、略円形状の貫通孔542が形成される。
【0038】
つぎに、カメラ1の組み立て状態について説明する。
図5において、撮像基板41は、切欠部413及び切欠部513に挿通された螺子61がレンズホルダ12の螺子孔126に螺入されることにより、レンズホルダ12に対して固定される。このとき、主に
図3及び
図4に示すレンズホルダ12の内周面に形成された段部12f3の後面と、撮像基板41の前面とが当接することにより、撮像基板41の前方への移動が規制される。また、撮像基板41は、後方から螺子61によりレンズホルダ12に対して螺止固定されるため、後方への移動も規制される。撮像基板41は、レンズホルダ12に固定されているレンズ30との位置を上下左右に適宜調節した後に、レンズホルダ12に固定することができる。
【0039】
ISP基板42は、
図4に示すようにレセプタクル424がピンヘッダ415に挿入されることにより撮像基板41と接続される。ISP基板42の前面は、ピンヘッダ415の後端と係止板128の段部128aの後面とに当接する。よって、ISP基板42の前方への移動が規制される。
【0040】
電源シリアライザ基板43は、レセプタクル433がピンヘッダ425に挿入されてISP基板42と接続される。電源シリアライザ基板43の前面は、ピンヘッダ425の後端と係止板128の後端面とに当接する。よって、電源シリアライザ基板43は前方への移動が規制される。また、ISP基板42は、電源シリアライザ基板43と接続されることによって、後方への移動が規制される。
【0041】
図3及び
図4において、コネクタ21は、左右に長軸を有した略菱形状のフランジ部211を有する。フランジ部211には、螺子64を挿通させるための貫通孔212が形成される。貫通孔212に挿通された螺子64が螺子孔132に螺入されることにより、フランジ部211はリアケース13に対し固定される。その際、
図4に示すコネクタ21の前方の接続部213は、貫通孔542に挿通された電源シリアライザ基板43のレセプタクル434と接続される。
【0042】
また、接続部213の基部周囲に形成される環状溝214には、円環状のパッキン65が配置される。パッキン65は、リアケース13にコネクタ21を固定する際、貫通孔131の後面側の周縁と当接する。よって、リアケース13とコネクタ21との接合部分において、防塵、防水、防湿、防汚等の効果のある封止構造が形成される。
【0043】
電源シリアライザ基板43は、コネクタ21の接続部213と接続される。よって、電源シリアライザ基板43の後方への移動は規制される。
【0044】
ISP基板42の上下左右方向への移動は、レセプタクル424がピンヘッダ415と、及び、ピンヘッダ425がレセプタクル433と接続することにより規制される。また、電源シリアライザ基板43の上下左右方向への移動は、レセプタクル433及びレセプタクル434が各々ピンヘッダ425及び接続部213と接続されることにより規制される。なお、ピンヘッダやレセプタクルの接続は、通常若干の遊びが有るため、ISP基板42及び電源シリアライザ基板43は、上下又は左右に微動可能である。すなわち、ISP基板42及び電源シリアライザ基板43の上下左右の側面は、ケース10から浮くように配置される。そのため、ISP基板42及び電源シリアライザ基板43は、カメラ1の各部材に寸法誤差があった場合であっても、それらを吸収しつつカメラ1内に配置させることができる。
【0045】
レンズホルダ12は、貫通孔134に挿通された螺子63が螺子孔126に螺入することにより、リアケース13に固定される。このとき、リアケース13の前端面13e1(
図2参照)と、レンズホルダ12の後端縁面12f2(
図3参照)とが当接する。溝部12f21にはパッキン62が埋設される。パッキン62は、弾性力を有し、レンズホルダ12とリアケース13との固定の際リアケース13の前端面13e1と当接する。また、このとき、
図4に示すレンズホルダ12の後端縁面12f2に形成された突出枠部12f4は、段部13e2と係合する。よって、レンズホルダ12とリアケース13との接合部分において、防塵、防水、防湿、防汚等の効果のある封止構造が形成される。
【0046】
放熱部材51は、レンズホルダ12の底部12f1と、撮像基板41の前面とにより前後方向に圧縮されて挟持される。放熱部材51の透光孔511は、CMOSイメージセンサ411に入光する光を遮光しないよう、CMOSイメージセンサ411の前方に配置される。CMOSイメージセンサ411等の実装素子は、その動作により発熱する。放熱部材51は、
図4及び
図5に示すように、前面及び上下左右の側面がレンズホルダ12の内面と当接している。放熱部材51は、CMOSイメージセンサ411や撮像基板41から伝達された熱をレンズホルダ12に伝達させる。その熱は、主にフィン129bによって放熱される。
【0047】
放熱部材52は、撮像基板41の後面と、ISP基板42の前面とにより前後方向に一部が圧縮されて挟持される。本実施形態の信号処理IC421は、比較的高さ寸法が高く形成される。
図5では、放熱部材52が、螺子61の頭部により後方へ押圧されるとともに、信号処理IC421により前方へ押圧されて変形する様子を示している。また、ISP基板42は、信号処理IC421等の実装素子の動作により発熱する。放熱部材52は、左右の側面(
図5参照)及び下側面(
図4参照)が、レンズホルダ12及びリアケース13の内面に当接している。撮像基板41及びISP基板42の熱をレンズホルダ12及びリアケース13に伝達させ、主にフィン129b,135bによって放熱させることができる。
【0048】
放熱部材53は、ISP基板42と電源シリアライザ基板43との間に配置される。放熱部材53は、ISP基板42の後面と当接する。放熱部材53は、左右の側面(
図5参照)及び下側面(
図4参照)がリアケース13の内面に当接している。放熱部材53は、ISP基板42から伝達された熱をリアケース13に伝達させ、主にフィン135bによって放熱させることができる。なお、
図4及び
図5では、放熱部材53がISP基板42に当接する様子を示しているが、放熱部材53を十分厚くすることで、放熱部材53がISP基板42及び電源シリアライザ基板43の双方に当接させる構成としてもよい。また、ISP基板42や電源シリアライザ基板43に実装された図示しない電子部品により、放熱部材53が前後方向に挟持される構成とすることができる。これにより、ISP基板42及び電源シリアライザ基板43双方の熱を、放熱部材53を介してリアケース13に伝達させることができる。
【0049】
放熱部材54は、電源シリアライザ基板43の後面と、リアケース13の底部13eにより前後方向に圧縮されて挟持される。本実施形態では、電源シリアライザ基板43の後面は、比較的高さ寸法の高いシリアライザIC431が実装されている。また、リアケース13の底部13eには、螺子孔132を裏面側へ形成するための突出部136、及びボス133の螺子孔を裏面側へ形成するための突出部137が形成される。
図5では、放熱部材54が、シリアライザIC431により後方へ押圧され、突出部136により前方へ押圧されて、変形する様子を示している。
【0050】
以上説明したカメラ1は、外部に設けられる他の装置と接続される。他の装置のインターフェイスには、
図1に示したコネクタ22が接続される。コネクタ22には、例えば、FAKRA規格のコネクタを使用することができる。また、コネクタ22は、カメラ1と当該他の装置との距離が遠い場合、中継器に接続させてもよい。
【0051】
ここで、カメラ1を自動車に利用する例について説明する。例えば、カメラ1は、自動車のボンネット前部、サイドミラー下部、或いはリアウィンドウ周辺に取り付けられる。よって、カメラ1は、運転手からの死角を含む自動車の前方、側方又は後方の画像を取得することができる。カメラ1は、レンズ30とCMOSイメージセンサ411により、広角画像を取得することができる。ISP基板42は、撮像基板41から取得した画像に対し、歪み補正を行い、運転者が指定した又は予め定められた部分の画像を切り出すトリミング処理を行う。
【0052】
図6は、自動車81内に設けられた表示部70の画像表示を示す図である。ここでは、カメラ1は、自動車81の前部に取り付けられている。カメラ1は、自動車81が停車している駐車場80を撮像している。表示部70は、複数の領域71〜73に分割されて、各領域71〜73にカメラ1が撮像した画像の全部又は一部を表示している。本図の例では、表示部70は、下段の領域71と上段の領域72,73に分割される。また、上段の領域は、更に左上の領域72と、右上の領域73とに分割されている。
【0053】
下段の領域71には、カメラ1が撮像した画像全体の略中央付近が表示される。領域71には、左右の下隅部にカメラ1自身が設置されている自動車81の車体の一部が写っている。領域71の画像には、3台の自動車82a〜82c、4個のロードコーン83a〜83d、及び5棟の建物84a〜84eが写っている。
【0054】
上段左の領域72には、カメラ1が撮像した画像全体の左上部分の画像が表示される。領域72には、3台の自動車82a〜82c、3個のロードコーン83a〜83c、及び3棟の建物84a〜84cが写っている。
【0055】
上段右の領域73には、カメラ1が撮像した画像全体の右上部分の画像が表示される。領域73には、2台の自動車82b,82c、2個のロードコーン83c,83d、及び3棟の建物84c〜84eが写っている。
【0056】
カメラ1の撮像基板41で取得される画像は、歪んだ状態であるとともに広範囲の撮像領域を含むため、取得した画像をそのまま表示部70に表示させても使用者が細部を視認することは難しい。よって、撮像基板41が取得した画像はISP基板42によって歪補正が行われる。表示部70は、補正後の画像として、運転者が指定した又は予め定められた部分の画像を拡大して表示部70に表示させることができる。
【0057】
このように、カメラ1は、1つの撮像画像から、複数の位置及び方向の画像を取得することができる。よって、カメラ1と表示部70により構成されるカメラ装置を簡易なものとすることができる。
【0058】
また、カメラ1は、自動車81の後部に取付けて、表示部70に自動車81の後方の様子を表示させることができる。自動車81を後方へ移動させる際、ISP基板42は、パターン認識や動体マッチングによる画像認識のアルゴリズムと組み合わせて、障害物の警告やパーキングラインを表示画面に重畳させることができる。パーキングラインは、自動車81の後方への進行方向を示す、点、線等の図形又は文字を含むガイドであり、ハンドルの舵角に応じて表示部に表示させることができる。
【0059】
なお、カメラ1は、夜間等の画像コントラストが得にくい条件であっても、ISP基板42が適宜行うHDR合成により、視認性の良い画像を外部装置に表示させることができる。また、カメラ1と表示部70により構成されるカメラ装置は、自動車の車載カメラ以外の他の用途に適用することができる。
【0060】
以上、本実施形態では、スタック構造で配置した複数の回路基板40と複数の放熱部材を有した情報処理装置を備えて、回路基板40の一部を撮像基板41としたカメラ1について説明した。カメラ1は、撮像基板41に搭載されるCMOSイメージセンサ411で取得した画像に対して、ISP基板42により歪補正、画像切り出し、ズーム、分割表示及びHDR合成のいずれか一つ又は複数を行うことができる。カメラ1は、処理を行った画像を外部装置へ送信することができる。カメラ1は、発熱する回路基板40間に放熱部材50を設けて、放熱部材50とケース10とを当接させることで伝達する構成とした。ケース10にはフィン135bが設けられるため、ケース10に伝達された熱を効率良く放熱させることができる。
【0061】
また、一般的には、カメラは撮像機能のみを有し、カメラが取得した画像情報は外部装置において加工処理がなされる。本実施形態では、カメラ1のケース10内部において、撮像基板41が取得した画像を処理する構成としたため、外部から画像の切り出しや分割表示を行うための指示をカメラ1に送信しない構成とすることができる。これにより、画像の取得と歪み補正等の処理をカメラ1内で行うことができるため、表示部に遅延の少ない画像を表示させることができる。
【0062】
また、レンズ30として広角レンズを用いたため、機械的な首振り機構が不要である。よって、カメラ1全体を小型にしつつ広角な画像を取得することができる。
【0063】
なお、本実施形態の各回路基板40は、両面実装基板としたが、片面実装基板としてもよい。また、回路基板40は、単層基板又は多層基板のいずれでもよい。
【0064】
また、回路基板40は、カメラ1の機能に応じて4枚以上設けたスタック構造としてもよい。
【0065】
また、CMOSイメージセンサ411の代わりに、CCDイメージセンサ等の他の撮像素子を用いてもよい。
【0066】
また、CMOSイメージセンサ411と信号処理IC421は、一つのIC素子としたり、一つの基板上に配置してもよい。
【0067】
また、電源シリアライザ基板43には、外部装置から受信するデータをデシリアライズする機能を備えてもよい。また、回路基板40として、符号/復号処理、暗号化/復号化処理、変調/復調処理を行う基板を用いてもよい。
【0068】
また、撮像基板41のピンヘッダ415とISP基板42のレセプタクル424が接続され、ISP基板42のピンヘッダ425と電源シリアライザ基板43のレセプタクル433が接続される構成について示したが、撮像基板41、ISP基板42及び電源シリアライザ基板43のピンヘッダとレセプタクルは、各々入れ替えて逆の構成としてもよい。
【0069】
また、本実施形態では、情報処理装置を備えたカメラ1を例に説明したが、一つ又は複数の放熱が必要な回路基板を備えた情報処理装置であれば、本実施形態に示した放熱部材50とケース10による冷却機構を適用することができる。例えば、情報処理装置は、撮像装置等の他の入力機能から受信した画像情報を処理する装置に適用してもよい。また、情報処理装置は、その処理した画像情報を外部に出力する構成としてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。