(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像合成部は、前記露光制御部により露光量を決めた少なくとも二種類の明るさの映像から生成した照明光信号と前記閾値生成部で生成した第1閾値及び第2閾値に基づき、前記短秒露光映像と長秒露光映像とを混合する混合係数を算出する混合係数生成部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1実施形態>
(全体構成)
図1は、第1実施形態に係る撮像装置の全体構成を示す図である。撮像装置200は、レンズ1、光を電気信号に変換する撮像素子2(撮像部)、メモリ3、長秒露光画像処理部4、短秒露光画像処理部5、撮像部により生成した長秒露光映像と短秒露光映像とのいずれかを画素ごとに選択または混合する画像合成部6、撮像部の露光をフィールド毎に制御する露光制御部7、画像合成部6での選択または混合を制御するための閾値生成部8を有する。
【0010】
本実施形態の撮像装置200は、レンズ1を介して入射した光を撮像素子2で光電変換を行い、該光電変換した信号を信号線91を介して露光制御部7と、メモリ3とに供給し、メモリ3の出力を長秒露光画像処理部4と短秒露光画像処理部5に供給する。撮像装置200は、長秒露光画像処理部4の長秒映像出力と短秒露光画像処理部5の短秒映像出力を画像合成部6と閾値生成部8に供給し、画像合成部6から画像合成結果を出力するように接続された構成になっている。また、露光制御部7での制御信号が、信号線92を介して、撮像素子2に指令される。
【0011】
以下、各部の概要を説明する。
(画像合成部)
画像合成部6は、混合・選択部61、平均部62、照明光成分生成部63、混合係数生成部64、比較部65(第1の比較部)を有する。
【0012】
画像合成部6は、長秒露光画像処理部4と短秒露光画像処理部5の出力が平均部62と混合・選択部61に供給され、平均部62の出力が照明光成分生成部63に供給される。照明光成分生成部63の出力が混合係数生成部64と比較部65に供給され、比較部65の出力が混合係数生成部64に供給され、混合係数生成部64の出力が混合・選択部61に供給されるように接続された構成になっている。
【0013】
(露光制御部)
露光制御部7は、短秒露光と長秒露光を選択する選択部71、平均値生成部72、ブロック分割部73、比較部74(第2の比較部、長秒用比較部)、平均値生成部75を有する。
【0014】
露光制御部7は、撮像素子2の出力から生成された信号をブロック分割部73と比較部74に供給し、ブロック分割部73の出力は平均値生成部72を介して選択部71に供給され、比較部74の出力は平均値生成部75を介して選択部71に供給され、選択部71の選択した短秒露光または長秒露光の選択情報で撮像素子2の露光が制御されるように接続された構成になっている。
【0015】
(閾値生成部)
閾値生成部8は、第1閾値Th1を生成する閾値検波部801(第1閾値検波部)、第2閾値Th2を生成する閾値検波部802(第2閾値検波部)、比較部85(第3の比較部、第1閾値用比較部)、比較部82(第4の比較部、第2閾値用比較部)を有する。閾値検波部801は、積算部84、画素数カウント部86、閾値生成部88(第1閾値生成部)を有する。閾値検波部802は、積算部81、画素数カウント部83、閾値生成部87(第2閾値生成部)を有する。
【0016】
閾値生成部8は、短秒露光画像処理部5の出力(短秒映像)が閾値検波部802と比較部85に供給され、比較部85の出力が閾値検波部801に供給され、長秒露光画像処理部4の出力が比較部82と閾値検波部801に供給され、比較部82の出力が閾値検波部802に供給される。閾値検波部801と閾値検波部802の出力が画像合成部6の比較部65のそれぞれ供給されるように接続された構成になっている。
【0017】
閾値検波部801は、長秒露光画像処理部4の出力(長秒映像)が積算部84に供給され、積算部84の出力が閾値生成部88に供給され、比較部85からの信号が積算部84と画素数カウント部86に供給され、画素数カウント部86からの信号が閾値生成部88に供給された構成になっている。
【0018】
閾値検波部802は、短秒露光画像処理部5の出力が積算部81に供給され、積算部81の出力が閾値生成部87に供給され、比較部82からの信号が積算部81と画素数カウント部83に供給され、画素数カウント部83からの信号が閾値生成部87に供給される構成になっている。
【0019】
(露光制御部の詳細)
本実施形態は、フィールド毎に短秒露光と長秒露光を繰り返すように、露光制御部7で撮像素子の電子シャッタの制御を行っている。該制御は、撮像素子2から生成される映像信号で行う。
【0020】
短秒露光側は、撮像素子2の画面を水平n画素及び垂直m画素単位で分割し、該分割領域毎に平均値を算出し、算出した該平均値のピーク値が一定のレベルになるよう撮像素子2の電子シャッタを制御している。
【0021】
長秒露光側は、撮像素子2から生成される映像信号と白近傍の信号レベルが設定された指定値SV1とを比較し、指定値SV1以下の信号レベルとなる部分に関して信号の平均値が一定のレベルになるよう撮像素子2の電子シャッタを制御している。
【0022】
図9から
図11を参照して、映像例について説明する。
図9は、実施形態の合成技術の必要性を説明するための図である。
図10は、野外部分に着目して最適露光にした例を示す図である。
図11は、室内部分に着目して最適露光にした例を示す図である。
【0023】
図9に示したように窓から外が見える室内で撮影した場合、例えば、室内が1000Luxの明るさで窓から見える野外が10万Luxと仮に仮定すると室内と野外とで100倍の差が生じる。このように一画面内で一定以上の照度差が生じると、撮像素子のダイナミックレンジを超えるため、白飛びや黒つぶれを発生することなく撮影することができない。
【0024】
図10は、野外部分に着目して最適露光にした例であり、短秒露光映像に当たる。
図11は、室内部分に着目して最適露光にした例であり、長秒露光映像に当たる。
図10では、野外部分が最適露光になるものの室内部分が黒くつぶれ、
図11では室内部分が最適露光になるものの野外部分が白飛びしている。
図10と
図11の最適露光部分を活用して広いダイナミックレンジを実現している。
【0025】
本実施形態では、
図1に示すブロック分割部73でブロック分割したブロック毎の信号平均値のピーク値が白レベルになるように短秒露光側の露光を制御することで野外の明るさで最適な露光を実現している。また、該ブロック分割の大きさを変えることで、スポット状の小さな高照度部分に露光が合わないように対象となる映像分割のサイズを指定することで誤動作を防止している。
【0026】
なお、ブロック分割部73は、撮像装置の外部、或いは、撮影した映像から、平均値生成部72(短秒用評価値生成部)で使用するブロックのサイズを制御してもよい。
【0027】
さらに、本実施形態の長秒露光側では、比較部74により明るい部分を除外するために指定値SV1以下の信号部分を求め、該当部分の信号平均値が一定レベルになるように長秒露光側の露光を制御している。
【0028】
なお、比較部74(長秒用比較部)は、指定した信号値(例えば、指定値SV1))以下に限定されず、指定した信号値未満の画素を検出してもよい。
【0029】
図2は、露光制御部の処理を示すフローチャートである。
図2に示す処理フローにおいて、露光制御部7は、入力された信号から、注目される被写体の大きさを判別するシーン判定を行い、ブロック分割用の該n画素値、m画素値を算出しておく(処理S711)。そして、次に、露光制御部7は、入力された映像が短秒か長秒かの露光条件を判定する(処理S710)。
【0030】
露光制御部7は、露光条件が短秒露光側の場合(処理S710,短秒)、事前に用意した該n画素値該m画素値と別途入力されたn及びm値をモードで切り替え(処理S712、選択)、該切り替え結果で得られたn画素値及びm画素値により、水平n画素垂直m画素単位で画面を領域分割し(処理S713)、分割領域毎に信号の平均値を算出し(処理S714)、一画面内で該平均の最大値(A値)を求め(処理S715)、該A値が別途与えられた第二の露光用白レベルと同じになるように(A値=白レベル)、露光時間制御を行う(処理S716)。該モードは、事前に注目される被写体の大きさが固定、ないしは、予め決まっている場合、別途入力されたn及びm値を選択するために切り替える。
【0031】
露光制御部7は、露光条件が長秒露光側の場合(処理S710、長秒)、外部から第一の露光用白レベルとして与えられた指定値SV1以下の画素を抽出し(処理S721)、抽出した画素から信号の平均値(B値)を算出し(処理S722)、該B値が別途与えられた平均レベル値と同じになるように(B値=平均レベル)、露光時間制御を行う(処理S723)。
【0032】
図2に示す露光制御を行うことにより、短秒露光及び長秒露光における最適な露光を行うことができる。
【0033】
なお、
図2の制御フローでは、処理S714において、分割領域毎に信号の平均値を算出しているが、これに限定されるわけではない。例えば、分割領域毎に信号の合計値を算出してもよい。また、処理S722において、抽出した画素の信号の平均値を算出しているがこれに限定されるわけではない。例えば、抽出した信号の合計値と加算画素数(抽出した画素数)を算出してもよい。
【0034】
本実施形態の露光制御部7は、撮像部(例えば、撮像素子2)から得た信号からブロック毎の信号レベルの平均値、或いは、信号レベルの合計値を得る短秒用評価値生成部(例えば、平均値生成部72)と、撮像部から得た信号を指定した信号値(指定値SV1)と比較する長秒用比較部(例えば、比較部74)と、長秒用比較部の結果により信号レベルの平均値、或いは、信号レベルの合計値と加算画素数を得る長秒用評価値生成部(例えば、平均値生成部75)とを有し、短秒用評価値生成部の結果に応じて短秒露光制御を行うとともに、長秒用評価値生成部の結果に応じて長秒露光制御を行う。
【0035】
<閾値生成部の詳細>
図3は、閾値生成部で生成される第1閾値及び第2閾値を示す図である。
図3は、横軸が被写体の明るさ(照度)であり、縦軸は撮像素子2の信号レベルである。第1閾値Th1及び第2閾値Th2は、短秒露光と長秒露光の映像から生成される。
【0036】
第1閾値Th1は、暗い側の短秒露光で明るさが黒に近い暗い部分(あるいは、信号レベルが所定の小さい値以下)に対応する長秒露光映像側の画素あたりの信号レベルの平均値を求め、該平均値から照明光成分の明るさに合わせ算出している。すなわち、
図10に示す黒つぶれしている領域の画素数を算出し、黒つぶれしている領域に対応する
図11の画素の信号レベルの積算値を算出し、算出した積算値を画素数で除算して平均値を算出し、その算出した平均値を第1閾値Th1としている。
【0037】
第2閾値Th2は、明るい側の長秒露光で明るさが白近傍以上となる明るい部分(あるいは、信号レベルが所定の大きい値以上)に対応する短秒露光映像側の画素あたりの信号平均値を求め、該平均値から照明光成分の信号レベルに合わせ算出している。すなわち、
図11に示す野外の白飛びしている領域の画素数を算出し、白飛びしている領域に対応する
図10の画素の信号レベルを積算値を算出し、算出した積算値を画素数で除算して平均値を算出し、その算出した平均値を第2閾値Th2としている。
【0038】
図3を用いてさらに説明すると、第1閾値Th1を算出する際に、短秒露光の特性702において、信号が黒レベル近傍の条件Aの明るさの部分で長秒露光側の信号の平均を求めている。一方、第2閾値Th2を算出する際に、長秒露光特性701において、信号が白或いは飽和近傍の条件Cの明るさの部分で短秒露光側の平均を求めている。
【0039】
図3に記載の条件Bは、条件Aと条件Cの間で長秒露光と短秒露光の両者で映像が映る明るさである。条件Aと条件Bの境界である境界D1から境界D1より一定の割合分だけ暗い位置の間に第1閾値Th1を設定し、条件Bと条件Cの境界である境界D2から境界D2より一定の割合分だけ明るい位置の間に第2閾値Th2を設定するように動作している。
【0040】
本実施形態の閾値生成部8は、短秒露光映像の画素の照度と該画素が黒近傍の指定値SV3とを比較する比較部85(第3の比較部、第1閾値用比較部)と、長秒露光映像の画素の照度と該画素が飽和近傍の指定値SV2とを比較する比較部82(第4の比較部、第2閾値用比較部)と、第1閾値用比較部による黒近傍の画素に対応する長秒露光映像の画素の信号レベルの積算を行う閾値検波部801(第1閾値検波部)と、第2閾値用比較部による飽和近傍の画素に対応する短秒露光映像の画素の信号レベルの積算を行う閾値検波部802(第2閾値検波部)とを有し、第1閾値検波部と第2閾値検波部からの値により第1閾値及び第2閾値を生成する。
【0041】
第1閾値用比較部は、短秒露光映像が黒近傍の指定した指定値SV3以下、或いは、黒近傍の指定した指定値SV3未満の信号の画素を検出してもよい。また、第2閾値用比較部は、長秒露光映像が飽和近傍の指定した指定値SV2以上、或いは、該指定した指定値SV2より大きい信号の画素を検出してもよい。
【0042】
<画像合成部の詳細>
画像合成部6では、閾値生成部8で生成された第1閾値Th1と第2閾値Th2の二つの閾値で処理を変えている。平均部62において、短秒露光と長秒露光とで得た信号の平均値を求め、照明光成分生成部63において、該平均値の低周波成分を抽出し照明光成分を求めている。比較部65において、該照明光成分と第1閾値Th1及び第2閾値Th2の比較を行い、混合係数生成部64において、第1閾値Th1以下なら長秒露光側の映像を使い、第1閾値Th1から第2閾値Th2の間なら短秒露光と長秒露光を照明光成分の信号量に応じた比率(混合係数α)で混合して使い、第2閾値Th2以上なら短秒露光側の映像を使い広いダイナミックレンジの信号を生成するように動作する。なお、該平均値は、短秒露光と長秒露光の成分を含むため、短秒露光成分のみから、又は、長秒露光成分のみから求めた照明光より正しい照明光を得ることができる。
【0043】
図4は、混合係数生成部で生成される混合係数を示す図である。
図4の横軸は照明光の明るさ(照度)であり、縦軸は混合係数αである。第1閾値Th1においての混合係数α(α
Th1)が0(零)近傍になるように設定され、第2閾値Th2においての混合係数α(α
Th2)が1になるように設定されている。
【0044】
図5は、混合係数の算出処理を示すフローチャートである。混合係数生成部64は、照明光成分生成部63からの入力があると、α
Th1≒0となるレベルLの減算処理をし(処理S601)、照度が負にならないように負値リミットをかける(処理S602)。そして、混合係数生成部64は、α
Th2≒1となる係数kを照度に乗算し(処理S603)、照度が1以上とならないようにして、混合係数αを出力する(処理S604)。なお、混合係数αは、短秒露光映像側の係数であり、長秒露光映像側では、係数は1−αとなる。
【0045】
以上をまとめると、第1実施形態の撮像装置は、光を電気信号に変換する撮像素子2(撮像部)と、撮像部の露光をフィールド毎に制御する露光制御部7と、撮像部により生成した長秒露光映像と短秒露光映像とのいずれかを画素ごとに選択または混合する画像合成部6と、画像合成部6での選択または混合を制御するための閾値生成部8とを有している。
【0046】
そして、閾値生成部8は、短秒露光映像が黒近傍の領域に対応する長秒露光映像の照度に応じて第1閾値Th1を生成し、長秒露光映像が飽和近傍の領域に対応する短秒露光映像の照度に応じて第2閾値Th2を生成し、画像合成部6は、画素の照度が第1閾値Th1以下の場合、長秒露光映像を使用し、画素の照度が第1閾値Th1を超え、かつ、第2閾値Th2未満の場合、短秒露光映像と長秒露光映像を照度に応じた比率(混合係数α)で混合して使用し、画素の照度が第2閾値Th2以上の場合、短秒露光映像を使用する。
【0047】
本実施形態は、
図3に記載の条件Aに該当する明るさの被写体に対しては、長秒露光側の映像が使われ、かつ、該長秒露光側の映像が最適な露光になるように動作し、条件Cに該当する明るさの被写体に対しては、短秒露光側の映像が使われ、かつ、該短秒露光側の映像が最適な露光になるように動作しているため、広いダイナミックレンジの映像を最適な条件で合成することができる。
【0048】
図12は、室内の窓枠の大きさが大きい場合を示す図である。
図13は、室内の窓枠の大きさが小さい場合を示す図である。
図12及び
図13に示すように窓枠の大きさが変わった場合、室内や野外に明るさに変化が無くてもヒストグラムの分布が変わるため、通常行われるヒストグラムによる制御では露光ずれが生じる場合がある。
【0049】
しかしながら、本実施形態では、窓枠の大きさに依存することなく室内と野外に合った露光をすることができ、合成時に使われる部分で常に最適な露光となる。そのため、そこから得た信号で広いダイナミックレンジの信号を得ることができ誤動作することがない。
【0050】
また、撮影した映像自身から第1閾値Th1及び第2閾値Th2を決めているため、常に最適な条件で映像の合成を行うことができる。ブロック分割のサイズを映像のシーンや用途に応じて変えることで着目していないスポット状の高照度部分に露光が合うことも回避することができる。
【0051】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る撮像処理論理素子(撮像処理IP)の全体構成を示す図である。
図7は、撮像処理論理素子(撮像処理IP)を追加する前の構成を示す図である。これらの図を用いて説明する。
図1と重複する部分は、同一の番号を付け説明を省略する。なお、IPは、IPコア(Intellectual Property core)を意味し、LSI(Large-Scale Integrated circuit)を構成するための部分的な回路情報で、特に機能単位でまとめられているものを指す。撮像処理論理素子101は、FPGA(field-programmable gate array)等で実現することができる。
【0052】
図6に示す本実施形態は、レンズ1、撮像素子2、撮像処理論理素子101、カメラ処理LSI11を含んで構成されている。撮像処理論理素子101は、メモリ3、長秒露光画像処理部4、短秒露光画像処理部5、画像合成部6、露光制御部7、閾値生成部8、モザイキング部9、メモリ10を有する。
【0053】
本実施形態は、レンズ1を介して入射した光を撮像処理論理素子101に供給し、撮像処理論理素子101には、外部から分割値、指定値SV1、指定値SV2、指定値SV3、モードが供給され、撮像処理論理素子101の出力がカメラ処理LSI11に接続された構成になっており、
図1の実施例と同等の回路構成になっている。
【0054】
本実施形態の動作は、
図1の実施例と同一であり、
図5記載の標準的な撮像装置に広いダイナミックレンジを実現する処理を追加できるように撮像処理論理素子(撮像処理IP)を実現した場合の例である。撮像処理論理素子101の入力映像フォーマットと出力映像フォーマットをセンサ出力フォーマットにし、モザイキング部9で撮像素子2と同じカラーサンプリングを実現し、出力段に撮像素子2と同じタイミングで出力するためのメモリ10を追加することで、
図7の撮像素子2とセンサからのRAWデータを現像するカメラ処理LSI11の間に挿入することを可能にしている。
【0055】
本実施形態は、撮像処理論理素子101の入出力の映像フォーマット(仕様)を撮像素子の出力フォーマット(仕様)にしているため、既存のカメラシステムに追加するだけで、簡単に広いダイナミックレンジの映像を得ることができる。本実施形態は、第1実施形態と本質的に等しく同等の効果を得ることができる。
【0056】
<第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係るワイドダイナミックレンジ対応撮像素子の全体構成を示す図である。
図8を用いて、ワイドダイナミックレンジ対応撮像素子100の全体構成を説明する。
図1と重複する部分は、同一の番号を付け説明を省略する。
【0057】
第3実施形態のワイドダイナミックレンジ対応撮像素子100は、第1実施形態に説明した撮像装置200(レンズ1を除く)を構成する各部を集積し、ワンパッケージに納めた素子である。
【0058】
本実施形態は、レンズ1、マイコン13、ワイドダイナミックレンジ対応撮像素子100を含んで構成されている。ワイドダイナミックレンジ対応撮像素子100は、メモリ3、長秒露光画像処理部4、短秒露光画像処理部5、画像合成部6、露光制御部7、閾値生成部8、選択部12、撮像部20を有している。
【0059】
本実施形態は、レンズ1を介して入射した光をワイドダイナミックレンジ対応撮像素子100に供給し、ワイドダイナミックレンジ対応撮像素子100にはマイコン13から分割値、指定値SV1、指定値SV2、指定値SV3、モードが供給され、マイコン13には外部から高照度部分の有効画像サイズ値が供給されるように接続された構成になっている。
【0060】
本実施形態は、撮像素子の中に広いダイナミックレンジを実現する機能を入れた例である。基本的な構成と動作は、第1実施形態と同等であり、撮像素子の外部に設けたマイコン13から処理上必要となる設定を行う機能を設け、また、処理の最終段に広ダイナミックレンジ処理を行わない撮像部20からの出力と撮像部20からの出力信号のタイミングを変えた信号出力と広ダイナミックレンジ処理後の信号出力の選択を行う選択部12を追加した例である。
【0061】
本実施形態では、撮像素子の中に広いダイナミッレンジを実現する機能を集積することで、カメラ全体で見たとき、高速のデータインターフェースを減らすことができるため電力の削減ができ、また、LSI等の部品数を増やすことなく低コストで広いダイナミックレンジの映像を作ることができる。本実施形態は、第1実施形態と本質的に等しく同等の効果を得ることができる。
【0062】
本実施形態の撮像装置200は、画像合成部6、露光制御部7、閾値生成部8を有する。露光制御部7は、撮像部の露光をフィールド毎に制御する。そして、閾値生成部8は、短秒露光の暗い映像の黒近傍となる部分に対応する長秒露光の明るい映像の信号と、長秒露光の明るい映像の白近傍となる部分に対応する短秒露光の暗い映像の信号を検出し、この検出結果から第1閾値Th1と第2閾値Th2を生成する。また、画像合成部6は、該暗い映像と該明るい映像の平均信号から照明光成分を生成し、該二つの閾値と照明光成分を画素単位で比較することで該暗い映像と該明るい映像の合成を行う。
【0063】
本実施形態の撮像装置は、明るい映像と暗い映像から画像合成する際に、第1閾値及び第2閾値を算出し、その算出された閾値に応じて画像を合成することができる。このため、画像合成を行うための合成モード指定やシーン毎のチューニングを行うことなく、自動で広いダイナミックレンジの映像を得ることができる。
【0064】
本実施形態の適用例として、
図9に示す室内の様子と窓の風景の例を示したが、これに限定されるわけではない。例えば、
(1)トンネル内から出口方向を見た際のトンネル内と出口の照度差がある風景、
(2)夜間、照明がある街灯と照明が当りづらい暗い被写体がある風景
(3)夜間、自動車内から前方へライトを照らして走行しナンバープレートが白く見えにくくなっている、且つ、歩行者は暗く写っている風景
に適用すれば、鮮明な映像または画像を得ることができる。以下、前記(1)を例として、
図14〜
図16の実映像を示す。
【0065】
図14は、短秒露光映像の例を示す図である。
図15は、長秒露光映像の例を示す図である。
図16は、
図1に示す撮像装置を用いた露光映像の例を示す図である。
図14は、、トンネル出口に着目して最適露光にした例を示す図である。この場合、トンネル出口は鮮明な映像を得ることができるが、トンネル内部は、黒つぶれとなっている。
図15は、トンネル内に着目して最適露光した例を示す図である。この場合、トンネル内は、鮮明な映像を得ることができるが、トンネル出口は、白飛びが発生している。これに対し、
図16に示す撮像装置200を用いた露光映像は、トンネル内及びトンネル出口ともに、鮮明な映像を得ることができる。