(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827468
(24)【登録日】2021年1月21日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】カバープレートを備える構造ビーム及び製造方法
(51)【国際特許分類】
B62D 25/04 20060101AFI20210128BHJP
B60R 19/04 20060101ALI20210128BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20210128BHJP
【FI】
B62D25/04 B
B62D25/04 A
B60R19/04 M
B23K26/21 N
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-521628(P2018-521628)
(86)(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公表番号】特表2019-501813(P2019-501813A)
(43)【公表日】2019年1月24日
(86)【国際出願番号】EP2016081489
(87)【国際公開番号】WO2017103148
(87)【国際公開日】20170622
【審査請求日】2019年12月13日
(31)【優先権主張番号】15382644.1
(32)【優先日】2015年12月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517098527
【氏名又は名称】オートテック・エンジニアリング・ソシエダッド・リミターダ
【氏名又は名称原語表記】Autotech Engineering, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】セルジ・マルケス・ドゥラン
(72)【発明者】
【氏名】シャビエル・カナレス・ラリオス
【審査官】
林 政道
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−035740(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/071412(WO,A1)
【文献】
特開2014−223669(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/119159(WO,A1)
【文献】
特表2016−540678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B23K 26/00−26/70
B60R 19/00−19/56
B21D 22/00−26/14
B21D 47/00−55/00
C21D 9/00− 9/44, 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のビームと、第1のビームに取り付けられるように構成されたカバープレートを備え、
第1のビームは、その長さの少なくとも第1の位置に沿って、実質的にU字形状の断面であり、
U字形状は、底部壁、及び2つの側壁を備え、
断面はさらに、2つの側壁のそれぞれの端部において外側に突き出る側面のフランジと、側壁とそれぞれの外側に突き出る側面のフランジの間の接合部に溝を備え、
それぞれの溝は、溝の底部においてまたは近くに第1の接合領域を有し、
第1の接合領域は、実質的に平坦であり、
カバープレートは、実質的に平坦の第2の接合領域を有し、
カバープレートは、第1及び第2の接合領域で第1のビームと溶接され、
第1の接合領域と第2の接合領域は、約2−10mmの幅を有している、構造ビーム。
【請求項2】
さらにU字形状の底部壁において溝を備える、請求項1に記載の構造ビーム。
【請求項3】
さらにU字形状の側壁の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの遷移領域を備える、請求項1または2に記載の構造ビーム。
【請求項4】
カバープレートは、第1のビームのほぼ全長に沿って延在し、第1のビームと合わせて閉じた構造を形成する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の構造ビーム。
【請求項5】
カバープレートは、第1のビームにレーザ溶接されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の構造ビーム。
【請求項6】
第1のビームは、22MnB5スチールで作られている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の構造ビーム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の構造ビームを備えるBピラー。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の構造ビームを備えるAピラー。
【請求項9】
第1のビームと、第1のビームに取り付けられるように構成されたカバープレートを備え、
第1のビームは、その長さの少なくとも第1の位置に沿って、実質的にU字形状の断面であり、
U字形状は、底部壁、及び2つの側壁を備え、
断面はさらに、2つの側壁の少なくとも1つの端部において、外側に突き出る側面のフランジと、側壁と外側に突き出る側面のフランジの間の接合部に溝を備え、
溝は、溝の底部においてまたは近くに第1の接合領域を有し、
第1の接合領域は、実質的に平坦であり、
カバープレートは、実質的に平坦の第2の接合領域を有し、
カバープレートは、第1及び第2の接合領域で第1のビームと溶接され、
第1の接合領域と第2の接合領域は、約2−10mmの幅を有している、構造ビームを備えるバンパ。
【請求項10】
車の構造ビームを製造する方法であって、
第1のビームと第1のビームに取り付けられるように構成されたカバープレートを供給することであって、
第1のビームは、その長さの少なくとも第1の部分に沿って実質的にU字形状の断面を有し、
U字形状は、底部壁と2つの側壁を備え、
U字形状は、さらに2つの側壁のそれぞれの端部において外側に突き出る側面のフランジと、側壁とそれぞれの外側に突き出る側面のフランジの間の接合部に溝と、を有し、
それぞれの溝は、溝の底部においてまたは近くに、第1の接合領域を有し、
第1の接合領域は、実質的に平坦であり、
カバープレートは、実質的に平坦な第2の接合領域を有し、
第1の接合領域と第2の接合領域は、約2−10mmの幅を有する、第1のビームとカバープレートを供給することと、
第1及び第2の接合領域において、第1のビームとカバープレートとを溶接することを備える方法。
【請求項11】
溶接は、レーザ溶接を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
レーザ溶接は、遠隔レーザ溶接である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
第1のビームとカバープレートを供給することは、第1のビーム及び/またはカバープレートを熱間成形することを備える、請求項10乃至12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年12月18日に出願された欧州特許出願EP15382644.1の利益と優先権を主張する。本開示は、構造ビーム、特に、カバープレートを組み込む構造ビームに関連する。本開示はまたバンパ、B−ピラー及びA−ピラーにも関連する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車など、車は、車がそのライフタイムの間さらされるかもしれない、全ての負荷に耐えるために設計された構造骨組を組み込む。構造骨組はさらに、例えば他の自動車との衝突の場合に備えて、衝撃に耐え、吸収するように設計される。
【0003】
例えば、自動車など、車の構造骨組は、この意味において、例えば、バンパ、ピラー(A−ピラー、B−ピラー、C−ピラー)、側面衝突ビーム、ロッカパネル、及びショックアブソーバを含むことができる。これらの構成要素は、ビーム及びそのようなビームの周りの追加のプレートを組み込むことができる。そのようなビームは、さまざまな方法で製造されることができ、またさまざまな材料で作られることができる。
【0004】
自動車の構造骨組のために、または少なくとも多くのその構成要素のために、重量単位あたり最適な最大の強度と、有利な成形特性を示す、いわゆる超高強度スチール(「Ultra High Strength Steels」(UHSS))を使うことが、自動車工業において通常になっている。UHSSは、少なくとも1000MPa、好ましくは約1500MPaまたは最大2000MPaまで、またはそれより大きい最大引っ張り強度を有することができる。
【0005】
自動車工業において使われるスチールの実施例は、22MnB5スチールである。22MnB5の組成は、重量%で以下にまとめられる(残りは鉄(Fe)及び不純物)
【0006】
【表1】
【0007】
いくつかの22MnB5スチールは、同様の化学組成を有するものが商業的に入手可能である。しかしながら、22MnB5スチールの構成要素のそれぞれの正確な量は、ある製造者と別の製造者でわずかに変わることがある。他の実施例において、22MnB5は、約0.23%C、0.22%Si、及び0.16%Crを含むことができる。材料は、さらに異なる割合でMn、Al、Ti、B、N、Niを含むことができる。
【0008】
Arcelor Mittalから商業的に入手可能である、Usibor(登録商標)1500Pは、仕立てられた、及びパッチワークのブランクに使われる商業的に入手可能な22MnB5スチールの実施例である。仕立てられた(溶接された)ブランク及びパッチワークブランクは、例えば熱スタンピングなどの変形プロセスの前のさまざまな厚さのブランクを提供する。仕立てられたブランクの厚さのバリエーションは、(局部的な)補強と混同するべきでない。この意味において、その代わりに補強材は、変形プロセスの後に、構成要素に加えられる。
【0009】
Usibor(登録商標)1500Pは、フェライト−パーライト相で供給される。同一パターンで分配された微細粒子構造である。機械的特性は、この構造に関連する。加熱、熱スタンピングプロセス、及びそれに続く焼き入れの後、マルテンサイト微細構造は作り出される。結果として、最大強度と降伏強度は著しく増加する。
【0010】
Usibor(登録商標)の組成は、重量%で以下にまとめられる。(残りは鉄(Fe)及び不可避の不純物である)
【0011】
【表2】
【0012】
UHSSのさまざまな他のスチール組成は、また自動車工業において使われることもできる。特に、欧州特許公開公報EP2 735 620 A1に記載されるスチール組成は、適切であると考えられる。欧州特許公開公報EP2 735 620の表1及び段落0016−0021、及び段落0067−0079を考慮して、具体的な参照をすることができる。いくつかの実施例において、UHSSは、約0.22%C、1.2%Si、及び2.2%Mnを含むことができる。
【0013】
これらの組成のいずれかのスチール(例えばUsibor(登録商標)などの22MnB5スチール及び前に言及されまたは参照された他の組成物)は、腐食及び酸化ダメージを避けるためにコーティングが供給されることができる。このコーティングは、例えばアルミニウム−シリコン(AlSi)コーティングまたは主に亜鉛または亜鉛合金を含むコーティングであることができる。
【0014】
B−ピラーにおいて、重要な問題は、侵入が車の乗員に損傷を引き起こすので、中間領域で変形しないまたはほとんど変形しないことを保証することである。B−ピラーは、例えばUsibor(登録商標)などのUHSSで作られることができ、異なる厚さの領域を有することができる。特に、中央領域(B−ピラーの高さの半分の周り)は、前述の侵入を避けるためにより強い(すなわち、厚い)ことができるが、構造の重量はそれゆえ増加する。その変形を避けるために中間領域に適用される別の解決法は、追加の補強材を含むが、構造の重量は、その結果として増加する。
【0015】
B−ピラーは、さらに中央領域より低い剛性を有する、B−ピラー中央ビームの低い部分に軟らかい領域を備えることができる。これは、中央領域から離れるエネルギの消失を集中させ、また変形の運動力学を制御するためである。それゆえ、中央領域は、変形なく残り、軟らかい領域は、変形される。
【0016】
いくつかの実施例において、B−ピラーは、中央ビーム、外部プレート及び内部プレート(またはカバープレート)、及び任意にさらに中央補強材(本明細書で中央は、外部と内部のプレートの間を意味する。)を備えることができる。内部プレートは、例えば自動車など、車の内装に部品を取り付けるために役立つことができる。外部プレートは、特に、自動車のドアに相補形状を提供するために役立つことができる。
【0017】
カバープレートについて言えば、これらは、スポット溶接によって、B−ピラーに溶接されることができる。
【0018】
スポット溶接は、高強度溶接電流を集中領域(またはスポット)において両方の部品に通し、その点で材料を溶かし、溶接を形成する、2つの電極を使って、2つの金属部品を接合する。この技術は、しかしながら、そのような私たちに、連続溶接を形成することが不可能である、または溶接点への骨の折れるアクセスによりいくつかの領域または部品を溶接することが難しい可能性がある、いくつかの不利益がある。この技術は約15mmの幅を超える、(第1のビームとカバープレートが合わせて溶接される)平坦の部分を必要とする。
【0019】
他方では、自動車会社は、重量の重い車は、高い製造コストだけでなく、燃料消費の増加、大きい質量の高い慣性による加速、ブレーキ、及び/または、曲がるときのより大きい難しさ、を含むので、可能な限り自動車の重量を減らそうとする。
【0020】
結論において、衝突事故において車の構造の骨組の機械的な挙動を改善する必要がある一方で、同時に同じ骨組の重量を可能な限り減らす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】欧州特許公開第2 735 620号公報
【発明の概要】
【0022】
第1の態様において、第1のビームと、第1のビームに取り付けられるように構成されたカバープレートを備える構造ビームが提供される。第1のビームは、その長さの少なくとも第1の位置に沿って、実質的にU字形状の断面を有する。このU字形状は、底部壁、及び2つの側壁を備える。言及された断面はさらに、2つの側面の少なくとも1つの端部において、外側に突き出る側面のフランジと、側壁と外側に突き出る側面のフランジの間の接合部に溝を備える。溝は、実質的に平坦である溝の底部においてまたは近くに第1の接合領域を有する。構造ビームのカバープレートは、実質的に平坦な第2の接合領域を有する。カバープレートは、第1及び第2の接合領域で第1のビームと溶接される。第1の接合領域と第2の接合領域は、約2−10mmの幅を有している。
【0023】
実質的にU字形状の断面と、フランジとU字形状の間の溝の使用は、関連軸の周りの慣性モーメントが増加するので、曲げる力のもとで、よい挙動を可能にする。平坦な接合領域を、溝とカバープレートの両方に組み込むことにより、溝における溶接を可能とする。前述の配置において、カバープレートが通常、フランジにおいて溶接される一方で、カバープレートの幅は、もし、それらが溝において接合されるならば、減少することができる。これにより、カバープレートの(結果ビームの)重量を減らすことができるが、特に万が一衝撃または衝突の場合に同じ性能を維持する。
【0024】
さらに、約2−10mmの幅の第1及び第2の接合領域を有することは、第1のビーム溝においてカバープレートを溶接することができ、すなわちフランジは、溶接目的のために必要とされない。余分な材料がフランジを製造するために加えられないので、減量は達成される。
【0025】
いくつかの実施例において、構造ビームは、2つの側壁のそれぞれの端部において外側に突き出る側面のフランジと、側壁とそれぞれの外側に突き出る側面のフランジの間の接合部に溝を備え、それぞれの溝は、溝の底部においてまたは近くに第1の接合領域を有し、第1の接合領域は実質的に平坦である。
【0026】
いくつかの実施例において、構造ビームは、さらにU字形状の底部壁において溝を備える。
【0027】
いくつかの実施例において、構造ビームは、さらにU字形状の側壁の少なくとも1つにおいて、少なくとも1つの遷移領域を備える。
【0028】
さらなる実施例によると、カバープレートは、第1のビームのほぼ全長に沿って延在することができ、このような方法で、第1のビームと閉じた構造を形成する。閉じた構造の有利な点は、ねじり剛性が増加することであり、それゆえ補強構造が作り出される。
【0029】
いくつかの実施例において、カバープレートは第1のビームにレーザ溶接されることができる。
【0030】
別の実施例によると、カバープレートは、レーザ溶接することによって第1のビームに溶接される。スポット溶接と比較されるように、レーザ溶接は、連続溶接することと、それゆえ、閉じた構造を形成する可能性がある。レーザ溶接は、また必要とされる最小接合幅がスポット溶接より小さく、すなわち、スポット溶接において必要とされる15と対比して2mmとすることができるので、より重量を減らすことが容易である。
【0031】
より小さい平坦な領域が、第1のビームとカバープレートにおいて必要とされるので、カバープレートを第1のビームに接合することは、例えば、溝の形状を修正する必要なく、可能である。より小さい平坦な領域の使用は、また、その重量を変えることなく、U字形状の断面ビームの慣性を改善することもできる。
【0032】
レーザ溶接の別の態様は、スポット溶接の2つの電極と対比して、ただ1つの器具が、溶接するときに使われるので、アクセスが難しい領域において溶接する能力がある。
【0033】
いくつかの実施例において、第1のビームは、22MnB5スチールで作られることができる。
【0034】
いくつかの実施例によれば、構造ビームは、B−ピラーの一部であることができる。
【0035】
他の実施例によれば、構造ビームは、A−ピラーの一部であることができる。
【0036】
さらなる実施例によれば、構造ビームは、バンパ一部であることができる。
【0037】
第2の態様において、車の構造ビームを製造する方法が開示される。第1に、本明細書で開示された実施例のいずれかによる、第1のビームとカバープレートが提供される。その後、第1のビームとカバープレートは、第1及び第2の接合領域で溶接される。
【0038】
いくつかの実施例において、溶接はレーザ溶接を備える。他の実施例において、レーザ溶接は、遠隔レーザ溶接であることができる。
【0039】
いくつかの実施例において、第1のビームとカバープレートを供給することは、第1のビーム及び/またはカバープレートを熱間成形することを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
本開示の限定されない実施例は、添付された図面を参照して、続いて記載されるであろう。
【0041】
【
図2b】1以上のカバープレートを備える、B−ピラー中央ビームの実施例の背面図を描く。
【
図2c】1以上のカバープレートを備える、B−ピラー中央ビームの実施例の背面図を描く。
【
図3】従来技術によって溶接された構造ビームを描く。
【
図4】実施例において溶接された構造ビームを描く。
【
図5a】B−ピラーの実施例による、構造体の第1のビーム及びカバープレートの異なる形状の実施例を描く。
【
図5b】B−ピラーの実施例による、構造体の第1のビーム及びカバープレートの異なる形状の実施例を描く。
【
図6a】バンパの実施例による、構造体の第1のビーム及びカバープレートの異なる形状の実施例を描く。
【
図6b】バンパの実施例による、構造体の第1のビーム及びカバープレートの異なる形状の実施例を描く。
【
図7】第1のビームが穴を有する領域において、構造ビームの可能な形態の実施例を描く。
【
図8】構造ビームを製造する可能な方法の実施例の概略的に描く。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、一般に、低部105においてロッカに、上部101において、車、例えば自動車の、屋根パネルに溶接される、B−ピラー中央ビーム100を描く。車の前及び後部シートの間に置かれ、また、異なる目的のためには有益である。前に言われたように、車の骨組に構造の支持を与え、車の衝突において、安全障壁を提供する。
【0043】
いくつかの実施例において、B−ピラーは、第1のビーム(または中央ビーム)、外部プレート及び内部プレート(またはカバープレート)を備えることができる。カバープレートは、車、例えば自動車の、内装に部品を取り付けるために役立つことができる。外部プレートは、自動車ドアへ相補的な形状を提供するために、特に役立つことができる。カバープレートと外部プレートの両方は、特定の実施例によるが、結果となるB−ピラーの構造強度と剛性に貢献することができる。
【0044】
その上、B−ピラー中央ビームは、またそれぞれの目的のために設けられた穴にしっかりと固定される多くの要素の係留としても使用される。
図1のBピラー中央ビーム100は、シートベルトのアンカを取り付けるための穴、及びドアロックが配置されることができる、別の穴を有することができる。B−ピラー中央ビームは、さらに、例えば、内部の車構造のプラスチック調度品または裏地を取り付けるために、異なる形状と大きさの締め具穴を開示ことができる。
図1はさらに外に突き出るフランジ106を描く。
【0045】
B−ピラー中央ビームの中央部分103は、車の側面衝突において、最も決定的に重要な意味をもつ部分である。衝突は、車の乗員に損傷を引き起こし、構造への侵入を引き起こす可能性がある。それゆえ、そのような中央領域103に変形が起こらないことを保証することが重要であり、その結果として、領域が補強され、固くなる。
【0046】
図2aにおいて、Bピラー中央ビームの背面図が示される。B−ピラー中央ビーム200は、外側に突き出るフランジ211及び溝212を有する。
【0047】
中央ビームとカバープレートは合わせて溶接されることができ、そして、レーザ溶接は連続接合できるので、両方の部品は、閉じた構造を形成することができる。管状の存在物は、ひねりまたはねじり力により抵抗し、それゆえ、例えばB−ピラーなどの構造体へ興味を引くことができる。実施例は、B−ピラー中央ビーム200及びカバープレート220が閉じた構造を形成するように溶接される、
図2bに描かれる。実施例において示されるように、カバープレートは、例えば重量を減らすためまたはドアロックにアクセスすることができるように、穴221を備えることもできる。
【0048】
他方で、局部的に配置されたカバープレートは、例えばB−ピラー中央ビームなどの長さの一部にわたる異なる領域において、構造体、例えばB−ピラーなどの、中央ビームに溶接されることができる。このような方法で、閉じた構造体は、形成されることができないが、特定の領域は、強化されることができる。実施例は、2つのカバープレート230がその中央及び低部を固くする、B−ピラー中央ビーム200に溶接される、
図2cに見出されることができる。
【0049】
局部的に配置されたカバープレートの効果は、構造体を強化するために使われる材料の減少であり、そして、それゆえ、製造コストが節約されることである。局部的に配置されたカバープレートの別の効果は、従来の溶接技術と比較してだけでなく、カバープレートが
図2bで示されるように、B−ピラー中央ビームの全長さのほとんどにわたって延在する実施例と比較しても重量を減らすことである。
【0050】
図3において、カバープレート320及びB−ピラー中央ビーム300は、従来技術の配置によって概略的に示される。図において、両方の要素は、外側に突き出る水平フランジ301、321が設けられる。カバープレートは溶接点340においてスポット溶接を用いて、フランジにおいて取り付けられる。カバープレート320は、スポット溶接がアクセスとフランジにおいてのみ利用可能な、約30mmの平らな表面を必要とするので、フランジにおいて取り付けられる。
【0051】
図4は、B−ピラー中央ビーム400及びカバープレート420が、本開示の実施例によって溶接される実施例を描く。B−ピラー中央ビーム400は、その長さの一部に少なくとも沿う曲げる力に対向するための概してU字形状の断面を有することができる。U字形状は外側に突出するフランジ403と、U字形状の側壁とフランジの間の接合部において、実質的に平坦な部分402である溝401を備える。カバープレート420は、溶接領域440が配置されることができる、平坦な部分422を有することができる。
【0052】
図4において描かれるように、カバープレート420及びB−ピラー中央ビーム400は、B−ピラー中央ビーム300とカバープレート320が、構造体の外側領域、フランジにおいて、溶接される、
図3の実施例と異なる、A軸によって示される構造体の中央部の近くの領域において接合されることができる。それゆえ、
図4に示されるカバープレート420は、フランジを必要としなくてもよく、Bピラー中央ビーム400は、溶接、特にレーザ溶接、さらに好ましくは、遠隔レーザ溶接を可能とするのに十分大きい平らな領域402を有する。
【0053】
本開示の実施例において、中央ビームとカバープレートを接合することは、スポット溶接の代わりにレーザ溶接によってなされることができる。レーザ溶接技術は、金属を溶融及び結晶化することによって金属部品を接合するために用いられる。さらに、接合において、酸素泡の発生を避けるための保護ガスが使われることができる。
【0054】
レーザ溶接は、容易に自動化することができ、すなわち、速度と正確性の増加を伴い、溶けた金属が接合部の基礎部になるため、一般に余分な(充填)材料の追加を必要としない。また、溶接において、孔を作り出すことなく、連続溶接が可能でもある。
【0055】
他方、レーザ溶接は、複数の溶接で形成された不連続な溶接の形成もできる。そのような不連続な溶接は10mmの最小長さ、好ましくは30mmの最小長さを有することができる。
【0056】
本開示の実施例は、好ましくは、遠隔レーザ溶接による、構造ビームのカバープレートと中央ビームの両方を溶接することができる。遠隔レーザ溶接プロセスは、長い焦点長さ(1600mm以下の)、高出力及びレーザ源、並びにスキャナによるビーム偏向によって特徴付けられる。従来のレーザ溶接と比較すると、遠隔溶接技術は、柔軟性の増加(プロセスパラメータのより多くを考慮に入れることができるので)、高い運転速度、締め具で締める数の減少、及びサイクル時間の減少を提供する。
【0057】
遠隔レーザ溶接は、通常、高速度で移動するワークピースの表面上にレーザビームを偏向し、配置するためのスキャナを使うことに基づき、また、現在において、2Dスキャナも使うことができるが、3Dスキャナが、遠隔溶接アプリケーションにおいて、最も幅広く適用されるスキャナである。スキャナユニットは、移動ミラーが用いられ、レーザビームを案内するためにモータによって、遠隔操作される、ガルバノメータシステムであることができる。スキャナユニットは、ロボットと連動して、ワークピースの表面上に案内されることができる。
【0058】
任意に、スキャナユニットとロボットの動作は、1つの溶接継ぎ目から次の溶接継ぎ目への非生産再配置時間を減らすために、リアルタイムで同期されることができる。この形態は、一般に、「オンザフライでの溶接」(welding on the fly)として知られている。「オンザフライでの溶接」形態において、スキャナユニットが、高速で正確な動作を提供しつつ、ロボットは、広い作業領域を有する。
【0059】
任意に、遠隔レーザ溶接システムは、位置決めの正確性を増すために、シームトラッキングシステムを組み込むことができる。隅肉溶接形態は、オーバーラップ接合より位置エラーへの感度が高いため、シームトラッキングシステムは、隅肉溶接形態において使われることができる。それゆえ、溶接継ぎ目は、さらに減らされることができる。
【0060】
いくつかの形態において、オンザフライでの溶接及びシームトラッキングシステムは、組み合わせることができる。
【0061】
前に言及したように、レーザ溶接に必要とされる最小平面は、すなわち、溶接方向に垂直に約2mmの幅にわたり、15mmの最小幅を必要とするスポット溶接と比較して、かなり少ないので、レーザ溶接は、スポット溶接よりも結果を改善する。遠隔レーザ溶接について言えば、シームトラッキングを備える隅肉溶接が使われることができる。それゆえ、小さい平坦な領域は、少なくとも2mm、好ましくは3から10mmであることができる、レーザ溶接に適するB−ピラー中央ビーム構造の溝に作り出されることができる。
【0062】
結果として、重量の減少は、カバープレート420では、少ない材料が必要とされるので、
図4の実施例において達成されることができる。フランジは、カバープレート420において必要とされないので、車、例えば自動車の全ての重量は、いくつかの場合において、従来の実施と比較して、約1キログラム、それぞれB−ピラーにおいて、約400グラム、減らすことができる。自動車会社はどんなに小さくても、重量の減少を探し求めているので、減少量は、無視できる程小さいものではない。
【0063】
図5aと5bは、本開示の他の実施例による、中央ビーム501、502及びカバープレート521、522の構造ビームの異なる断面実施例を描く。
【0064】
図5aは、中央ビーム501、この実施例において、B−ピラー中央ビーム、のU字形形状の断面は、平坦な底部壁551を備える、実施例を示す。実施例は、さらに実質的に曲がった断面のカバープレート521を備える。
図5bは、中央ビーム502の断面、この実施例において、B−ピラー中央ビーム、の側壁542のそれぞれが、座屈を減らすことができる、遷移領域552が設けられる実施例を示す。
図5bは、さらに断面が、実質的にその中央領域で曲げられ、また底部壁を備える、カバープレート522を備える。
【0065】
図6a及び6bは、本開示の他の実施例による第1のビーム601、621及びカバープレート602、622の構造ビームの異なる断面実施例を描く。
【0066】
図6aは、バンパの一部である第1のビーム601のU字形状の断面の実施例を描く。いくつかの実施例において、バンパは、第1のビーム(またはバンパビーム)及びカバープレートを備えることができる。第1のビーム601の断面は、その底部壁において溝610が設けられ、カバープレート602は、完全に平らな断面を有する。最終的に、
図6bは、第1のビーム621のU字形状の断面が丸い底部壁630を有し、カバープレート622の断面は完全に平坦である、バンパの別の実施例を示す。
【0067】
他の実施例において、構造ビームは、A−ピラーの一部であることができる。
【0068】
前に言及したように、B−ピラー中央ビームは、これらの領域に可能な形態が
図7の実施例に示されるので、例えば、シートベルトアンカまたはドアロックなどの穴を有することができる。実施例において、B−ピラー中央ビーム700は、その底部壁の中央に穴701を有することができ、カバープレート720は、穴の存在を埋め合わせるための特定の形状を有することができること、が描かれる。
【0069】
第1のビームとカバープレートの構造ビームは、例えばホットスタンピングによって、分離して製造されることができる。
図8は、本開示の実施例による方法を概略的に描く。方法は、構造ビーム第1のビームがホットスタンピングで製造されるが、カバープレートはコールドスタンピングで製造される、2つの並行プロセスを備え、そしてその後、第1のビームとカバープレートが合わせて溶接される。
【0070】
ホットスタンピングステップによる構造ビーム第1のビームを製造する方法の第1のステップは、例えば、900℃から950℃の温度で、加熱炉でスチールブランクを加熱811することからなる。その後、ブランクは、所望の形状を得るためにスタンプ812(まだ熱い間)される。最終的に、ブランクは焼き入れ813される。カバープレートは
図8に示されるように、同じプロセスでまたはコールドスタンピングで製造されることができる。冷間成形は圧力下821で成形金型の内側の室温において、金属のシートの変態を含む。金属シートは加熱822され、焼き入れ823された後に、硬化した部品を得る。第1のビーム及びカバープレートが製造されたとき、それらは、例えば、レーザ溶接によって、合わせて溶接830されることができる。
【0071】
カバープレートは、また、ホットスタンピングプロセス(図示せず)によって製造されることができる。スチールブランクは加熱炉で加熱されることができ、まだ熱い間にスタンプされ、最終的に焼き入れされることができる。両方の部分が製造されたとき、それらは、例えば、レーザ溶接によって、合わせて溶接されることができる。
【0072】
多くの実施例が本明細書で開示されるのみであるが、他の代替、改良、使用、及び/またはその均等物は可能である。さらに、開示された実施例の全ての可能な組み合わせも、含まれる。それゆえ、本開示の範囲は、特定の実施例によって限定されるべきでなく、続く請求項の公正な読み方によってのみ決定されるべきである。