特許第6827486号(P6827486)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827486
(24)【登録日】2021年1月21日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20210128BHJP
   F04D 29/28 20060101ALI20210128BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   F04D29/44 Q
   F04D29/28 P
   F04D29/44 X
   F04D29/66 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-31419(P2019-31419)
(22)【出願日】2019年2月25日
(65)【公開番号】特開2020-133571(P2020-133571A)
(43)【公開日】2020年8月31日
【審査請求日】2019年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106944
【氏名又は名称】シナノケンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】神戸 信一郎
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/104009(WO,A1)
【文献】 特開平08−200295(JP,A)
【文献】 特開平06−299993(JP,A)
【文献】 米国特許第05064344(US,A)
【文献】 特開2017−101569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D1/00−13/16
F04D17/00−19/02
F04D21/00−25/16
F04D29/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラを収容する第一ハウジングとモータを収容する第二ハウジングを有するハウジング内に回転可能に軸支された回転子軸に前記インペラ及び回転子が各々組み付けられ、前記インペラの回転により前記第一ハウジング内に軸方向中心部に設けられた吸気口から外気を吸い込んで径方向外側に設けられた吐出口から吐出する送風機であって、
前記吸気口と前記吐出口を連絡する送風路は、前記吸気口に連絡する第一ハウジング側シュラウドとブレードの外周側を連結するインペラ側シュラウドが前記ブレードの外周端部よりも径方向外側に延設されて対向する前記第二ハウジングとの間に流路が形成され、前記インペラ側シュラウドの流路面と向かい合う前記第二ハウジングの流路壁面との高さ寸法で規定される流路断面積が最小となる狭小部が設けられていることを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記インペラ側シュラウドの流路面と向かい合う前記第二ハウジングの流路壁面に前記インペラ側シュラウドとの距離が縮まる段差部が設けられている請求項1記載の送風機。
【請求項3】
前記インペラ側シュラウドの流路面と向かい合う前記第二ハウジングの流路壁面には、前記第二ハウジングの曲率を変化させた曲面部が形成されている請求項1記載の送風機。
【請求項4】
前記インペラ側シュラウドの外周端部には、前記インペラ側シュラウドの流路面と向かい合う前記第二ハウジングの流路壁面との距離が狭まる延設部が形成されている請求項1記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば医療機器、産業機器、民生機器などに用いられる送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられている送風機(ブロワ)は、一方で小型化が望まれ、他方で要求性能が向上して高圧力、高流量化、高応答性が求められている。よって、インペラを小径化し、より高速で回転させる方向に移行している。ところが、高圧力、高流量化等の要求は、モータのサイズアップ及びインペラの推力増によるスラスト荷重が増大して軸受の寿命低下につながる。
【0003】
送風機を小型化するため、図7に示すように送風路51をモータMから軸方向に離れた位置(トップハウジング52側)に配置することで、モータ直径に関係なくブロワの直径を小さくすることが可能となる。また、インペラ53に作用する軸方向の推力を軽減できるメリットもある。
ブロワを構成するインペラ53の形状は、送風方向上流から下流に向けて流路体積が大きくなるように形成されている(特許文献1:WO2017/154151号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2017/154151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、インペラ53と圧縮空気を送り出す送風路51を仕切るシュラウド54の設置がないと、ブロワ性能が著しく低下しまう。また、シュラウド54を別部品として設ける分、部品点数が増加して組み立て工数や管理工数が嵩む。
また、トップハウジング52とボトムハウジング54内にインペラ53を配置する構成において、吐出空気の圧力、流量条件や吸気側の圧力条件により、サージング(空気の逆流)を発生するおそれがある。
サージングは送風機の断続的な圧力変動、流量変動を引き起こし、送風機の性能低下のみならず騒音を発生させるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に述べるいくつかの実施形態は、これらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、部品点数を増やすことなく形状変更により流体の圧力変動を抑えてサージングの発生を抑制した送風機を提供することにある。
【0007】
以下に述べるいくつかの実施形態に関する開示は、少なくとも次の構成を備える。
インペラを収容する第一ハウジングとモータを収容する第二ハウジングを有するハウジング内に回転可能に軸支された回転子軸に前記インペラ及び回転子が各々組み付けられ、前記インペラの回転により前記第一ハウジング内に軸方向中心部に設けられた吸気口から外気を吸い込んで径方向外側に設けられた吐出口から吐出する送風機であって、前記吸気口と前記吐出口を連絡する送風路は、前記吸気口に連絡する第一ハウジング側シュラウドとブレードの外周側を連結するインペラ側シュラウドが前記ブレードの外周端部よりも径方向外側に延設されて対向する前記第二ハウジングとの間に流路が形成され、前記インペラ側シュラウドの流路面と向かい合う前記第二ハウジングの流路壁面との高さ寸法で規定される流路断面積が最小となる狭小部が設けられていることを特徴とする。
このように、通常送風機ではブレードの径方向中心から外周端部に向けて流路断面積が一定となることを基本とし、ブレードの外周端部よりも径方向外側に設けられた送風路から漸次大きく形成されるところ、インペラ側シュラウドがブレードの外周端部よりも径方向外側に延設されて対向する第二ハウジングとの間に流路にインペラ側シュラウドの流路面と向かい合う第二ハウジングの流路壁面との高さ寸法で規定される流路断面積が最小となる狭小部を設けることで、流体の圧力変動を抑えてサージングの発生を抑制することができた。
【0008】
前記インペラ側シュラウドの流路面と向かい合う前記第二ハウジングの流路壁面に前記インペラ側シュラウドとの距離が縮まる段差部が設けられていてもよい。これにより、通常送風機ではブレードの径方向中心から外周端部に向けて流路断面積が一定となることを基本とし、ブレードの外周端部よりも径方向外側に設けられた送風路から漸次大きく形成されるところ、段差部により第二ハウジングの流路壁面にインペラ側シュラウドが近接して流路断面積が最小となる狭小部を設けることができる。
【0009】
前記インペラ側シュラウドの流路面と向かい合う前記第二ハウジングの流路壁面には、前記第二ハウジングの曲率を変化させた曲面部が形成されていてもよい。これにより、インペラ側シュラウドの外周端部が第二ハウジングの流路壁面に設けられた曲面部に近接して流路断面積が最小となる狭小部を設けることができる。
【0010】
前記インペラ側シュラウドの外周端部には、前記インペラ側シュラウドの流路面と向かい合う前記第二ハウジングの流路壁面との距離が狭まる延設部が形成されていてもよい。これにより、インペラ側シュラウドの延設部が第二ハウジングの流路壁面に近接して流路断面積が最小となる狭小部を設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
部品点数を増やすことなく形状変更により流体の圧力変動を抑えてサージングの発生を抑制した送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】トップハウジングを外した送風機の軸方向平面図である。
図2図1の送風機の矢印X−X方向断面図である。
図3図2の部分拡大断面図である。
図4】他例に係る段差部を設けた送風機の部分拡大断面図である。
図5】他例に係る曲面部を設けた送風機の部分拡大断面図及び延設部を設けた送風機の部分拡大断面図である。
図6】ボトムハウジングの底部に段差部を設けた場合と設けない場合のPQ特性(圧力-流量特性)と各動作点における圧力変動(サージング)の程度を示すグラフである。
図7】従来の送風機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る送風機の一実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。先ず、送風機の概略構成について図1乃至図3を参照して説明する。
送風機1は、以下の構成を備える。図2に示すように、インペラ2が収容されるトップハウジング(第一ハウジング)3と、固定子4及び回転子5(モータM)が収容されるボトムハウジング(第二ハウジング)6がボルト8cにより一体にねじ止め固定され、ボトムハウジング6の底部にブラケット7がボルト8dによりねじ止めされて一体に組み付けられてケース本体8が形成されている。トップハウジング3とボトムハウジング6の突き当て端面には、シール材17が挟み込まれて、送風路8aがシールされて組み付けられる。また、ケース本体8内に回転可能に軸支された回転子軸9と一体にインペラ2及び回転子5が各々組み付けられている。
【0014】
図2に示すように、トップハウジング3の吸気口3aには筒状の軸受保持部3bが放射状に形成された複数の連結梁3cにより一体形成されている。吸気口3aを形成する筒状開口壁3dに連続してハウジング側シュラウド3eが形成されている。ハウジング側シュラウド3eはインペラ2に対応配置され、径方向外側への送風路を形成する。また、ハウジング側シュラウド3eに連続してトップ側湾曲部3fが形成されている。また、トップ側湾曲部3fに対向するボトムハウジング6には、ボトム側湾曲部6aが設けられている。トップ側湾曲部3fとボトム側湾曲部6aが組み合わせて、インペラ2の外周で周回する送風路8aが形成される。また、ケース本体8に形成された送風路8aを送風された圧縮空気は、吐出口8bより吐出されるようになっている(図1参照)。
【0015】
図2に示すように、軸受保持部3b内には、回転子軸9の一端側を軸支する軸受10が組み付けられている。軸受10は筒状に形成されたすべり軸受(例えば流体動圧軸受など)が好適に用いられる。回転子軸9の一端は軸受10により回転可能に支持され、軸端は軸受保持部3b内の段付き部に設けられたエンドカバー3gに突き当て支持されている。軸受保持部3bの上端は、トップカバー3hにより閉止されている。この場合、転がり軸受に比べて小型化し易く、低騒音、低振動化を実現することができる。また、小型モータを高速回転させても、機械的損失により軸受10が発熱することもないので耐久性が低下することなく、風量を確保することができる。
【0016】
軸受保持部3bの外周にはインペラ2が軸受ハウジング11を介して同軸状に組み付けられている。軸受ハウジング11は、回転子軸9に圧入、接着等により一体に組付けられている。インペラ2は、軸受ハウジング11に対してモールド、接着、圧入等により一体に組み付けられている。インペラ2は、円盤状の主板2aには、中心部から外周方向にわたってブレード2bが複数箇所に起立形成されている(図2参照)。ブレード2bの外周側にはインペラ側シュラウド2cが環状に一体成形されている(図1参照)。インペラ側シュラウド2cは、ブレード2bの外周側上端部を連結して形成され、ボトムハウジング6の底部6bに対向して形成されている。
【0017】
回転子軸9の他端側には回転子5が組み付けられている。具体的には、回転子軸9に回転子ヨーク5aを介して回転子マグネット5bが同心状に装着されている。回転子マグネット5bには周方向にN極及びS極が交互に着磁されている。回転子5は、回転子軸9の端部に組み付けられた回転子ヨーク5a及びバランス修正部12に軸方向に抜け止めされて組み付けられている(図2参照)。モータ駆動回路の構成によってバランス修正部12にセンサーマグネットが取り付けられる。
【0018】
図2において、ボトムハウジング6内にはモータMが収納されている。具体的には、ボトムハウジング6内には固定子4が組み付けられている。ボトムハウジング6の内壁面には環状のコアバック部4bが固定されて固定子コア4aが組み付けられている。環状のコアバック部4bから径方向内側に極歯4cが複数箇所に突設されている。各極歯4cにはコイル4dが巻かれている。固定子コア4aの極歯4cは回転子マグネット5bと対向配置されている。また、ボトムハウジング6の底部には、モータ基板13が設けられており、各コイル4dから引き出されたコイルリードが接続されている。
また、図2に示すように、ボトムハウジング6とブラケット7の端面間に形成された開口部にはグロメット14が装着されている。このグロメット14を貫通して口出し線15が外部に取り出されて給電されるようになっている。
【0019】
図2に示すように、送風機1は、モータMを起動すると、インペラ2の回転によりトップハウジング3の吸気口3aより軸方向から筒状開口壁3d内に外気を吸い込んで、インペラ2の回転によりブレード2bに沿って主板2aとハウジング側シュラウド3eとの間を径方向内側から外側に圧縮空気が送り出され、環状に形成されたインペラ側シュラウド2cとボトムハウジング6の底部6bとの間を通過して送風路8aに送り込まれる。そして、圧縮空気は送風路8aを周回してケース本体8の吐出口8bより吐出されるようになっている(図1参照)。インペラ側シュラウド2cとハウジング側シュラウド3eは連続してシュラウドを形成する。またインペラ2の主板2aはボトムハウジング6の底部6bに配置されている。主板2aの上面はボトムハウジング6の底面と径方向に連続面となるように隣接して配置されていることが望ましい。これにより、主板2a上面とボトムハウジング6の底面とが段付き面ではなく連続面となるので空気の流れが良くなる。
また、インペラ側シュラウド2cの外縁と主板2aの外縁はブレード2bを介して一体成形されて連結されているので、インペラ側シュラウド2cの強度向上につながる。
【0020】
図2に示すように、トップハウジング3の吸気口3aに軸受保持部3bが一体形成され、該軸受保持部3b内に回転子軸9を軸支する軸受10が組み付けられているので、軸受保持部3bの外周にインペラ2を同軸状に組み付けることができる。よって、回転子軸9の長さを短くすることができ、送風機1の軸方向寸法小型化することができる。また、回転子軸9を軸支する軸受10を可及的にインペラ2近傍に配置することで回転重心が軸受10に近づくため、インペラ2のアンバランスが荷重負荷として影響し難くなり、回転バランスが改善される。
【0021】
更には、モータMを起動しインペラ2が回転するとトップハウジング3の吸気口3aから軸方向に吸気されるので、軸受10の機械損による発熱が吸気によって冷却されるので、軸受10の温度上昇は抑えられ、オイル劣化抑制に寄与するため耐久性を向上させることができる。尚、軸受10は、吸気口3aに設けられた軸受保持部3bに組み付けられているが、軸受10の配置はこれに限定されるものではなく、例えばインペラ2より軸方向に離間した配置であってもよい。
【0022】
また、図2に示すように、回転子軸9の他端側には回転子5が組み付けられている。具体的には、回転子軸9には回転子ヨーク5aを介して回転子マグネット5bが装着されており、軸端部に設けられたバランス修正部12により抜け止めされている。回転子マグネット5bは、ボトムハウジング6に保持された固定子コア4aの極歯4cと対向配置されている。これにより、モータM側の軸受を省略して回転子軸9の軸長を短くし、かつ回転重心を軸受10に近づけて回転バランスが取りやすくなる。
【0023】
また、トップハウジング3の吸気口3aよりハウジング側シュラウド3eと当該ハウジング側シュラウド3eにインペラ側シュラウド2cが送風路に臨む天面部どうしが径方向に隣接することで流路が形成されている。このように、インペラ2にシュラウドの一部(インペラ側シュラウド2c)が一体に形成されるので、トップハウジング3に吸気口3aと送風路8aを仕切るシュラウドを別部品として設ける必要がなくなり、送風機1の部品点数を減少させつつ出力性能を維持することができる。
【0024】
また、インペラ側シュラウド2cは、ブレード2bの外周端部を環状に連結して主板2aとは離間して環状に一体成形されている。例えば、主板2aの外縁部は、インペラ側シュラウド2cと一体成形可能な型分かれ位置に設けられていることが好ましい。これにより、インペラ2を樹脂成形する場合、主板2a及びブレード2bと共に外周側にインペラ側シュラウド2cを一体成形することができ、部品点数が減少するのみならず量産性や組み立て性を改善することができる。
【0025】
ここで、送風機1の使用回転領域でサージングの発生を抑制する構成について説明する。図3において、通常送風機1ではブレード2bの径方向中心から外周端部に向けて流路断面積が一定となることを基本とし、ブレード2bの外周端部2b1よりも径方向外側に設けられた送風路から漸次大きく形成されるところ、ブレード2bの外周端部2b1よりも径方向外側(例えばブレード2bの外周端部2b1とインペラ側シュラウド2cの外周端部2c1との間)に流路断面積が最小となる狭小部16が設けられている。狭小部16は、通常ブレード2bの高さとボトムハウジング6の底部6bとのクリアランスの和である寸法dが最小となる部位を指し示すものであり、流体がインペラ2を介して流れる流路の軸方向高さである。本実施例ではこの寸法dの値がブレード2bの外周端部2b1とインペラ側シュラウド2cの外周端部2c1との間で最小となり、狭小部16となる。狭小部16は、ボトムハウジング6の全周にわたって存在してもよいし、部分的に存在してもよい。これにより、部品点数を増やすことなく形状変更により後述するように流体の圧力変動を抑えて使用回転領域でサージングの発生を抑制することができる。
【0026】
図4及び図5A,Bには、他例に係るハウジング側シュラウドとブレード先端部の部分断面図を示す。図4は、ボトムハウジング6のインペラ側シュラウドの流路面と向かい合う流路壁面(底部6b)にインペラ側シュラウド2cが近接する段差部6cが設けられた構成を例示する。
図4において、インペラ2の主板2a上面とボトムハウジング6の底部6bとが段付き面ではなく連続面となることが望ましいが、底部6bに段差部6cを設けてもよい。この場合には、主板2a上面がボトムハウジング6の底部6b(段差部6c)よりも上方であることが望ましい。そうすることにより空気の流れが段差部6cにより妨げられることが無くなる。
これにより、通常送風機1ではブレード2bの径方向中心から外周端部に向けて流路断面積が一定となることを基本とし、ブレード2bの外周端部2b1よりも径方向外側に設けられた送風路から漸次大きく形成されるところ、段差部6cにブレード2bの軸方向高さが吸収されてブレード2bの外周端部2b1より外側でインペラ側シュラウド2cがボトムハウジング6の底部6bへ近接して流路断面積が最小となる狭小部16が形成される。
【0027】
図5Aは、ボトムハウジング6の送風路8aを形成する底部6bに連なる湾曲した流路壁面に、曲率が小さな曲面部6dが形成された構成を例示する。曲面部6dはボトム側湾曲部6aの流路壁面より曲率が小さくなるように形成されている。曲面部6dをボトムハウジング6で形成しても良いし、或いは別部材で形成しても良い。別部材で形成する場合、ボトムハウジング6の底部6bに連なる流路壁面に樹脂材等の曲面部材を貼り付けることで流路壁面より曲率を変化させて狭小部16が形成されている。曲面部材はボトムハウジング6の全周にわたって存在してもよいし、部分的に存在してもよい。
【0028】
図5Bは、インペラ側シュラウド2cに、ボトムハウジング6の流路壁面との距離が狭まる延設部2dが形成された構成を例示する。ボトムハウジング6(ボトム側湾曲部6a)の底部6bに連なる流路壁面は湾曲しているため、インペラ側シュラウド2cの先端外周部分に延設部2dが形成されると、ボトム側湾曲部6aの流路壁面に近接して流路断面積が最小となる狭小部16が形成される。延設部2dの形状は任意であるが、図5Bに示すように、インペラ側シュラウド2cの板厚が先端外周部ほど厚肉に形成されるようにしてもよい。なお、以上の説明は、ボトムハウジング6側に狭小部16を設ける実施例について説明したが、送風機1の構成次第ではトップハウジング3側に狭小部16を設けても良い。
【0029】
図6A,Bはボトムハウジング6の底部6bに段差部6cを設けた場合(図4参照)と設けない場合のPQ特性(圧力-流量特性)と各動作点における圧力変動(サージング)の程度を示すグラフである。図6Aは、段差部なしの未対策品でモータMの回転数がN1[rpm]、N2[rpm]、N3[rpm]、N4[rpm] におけるPQ特性に各ポイントでの圧力変動の大きさを円の大きさで表現したグラフである。同様に図6Bは、0.5mmの段差部を設けた対策品でモータMの回転数がN1[rpm]、N2[rpm]、N3[rpm]、N4[rpm]におけるPQ特性に各ポイントでの圧力変動の大きさを円の大きさで表現したグラフである。尚、回転数の大きさはN1<N2N3<N4とし、一例として15000[rpm]〜40000[rpm]の範囲にある所定回転数で比較した。
【0030】
図6A,BにおいてモータMの回転数がN1[rpm]では、未対策品に対し対策品の圧力変動に最大75%の低減が認められ差異が認められないが、N2[rpm]では、最大85%、N3[rpm]では、最大75%、N4[rpm]では、最大70%の圧力変動が抑えられることが判明した。流体の圧力変動が大きいほど騒音が大きくなるため、対策品では、低騒音化を図ることができる。
【0031】
以上説明したように、通常ブレード2bの径方向中心から外周端部に向けて流路断面積が一定となることを基本とし、ブレードの外周端部よりも径方向外側に設けられた送風路に向けて漸次大きく形成されるところ、ブレード2bの外周端部よりも径方向外側に流路断面積が最小となる狭小部16を設けることで、流体の圧力変動を抑えて、サージングの発生を抑制することができた。
【0032】
尚、軸受10は流体動圧軸受を例示したがこれに限定されるものではなく他のすべり軸受、例えば焼結含油すべり軸受等であってもよい。更には、すべり軸受に限らず、使用用途によって、転がり軸受等他の軸受を用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 送風機 2 インペラ 2a 主板 2b ブレード 2b1,2c1 外周端部 2c インペラ側シュラウド 2d 延設部 3 トップハウジング 3a 吸気口 3b 軸受保持部 3c 連結梁 3d 筒状開口壁 3e ハウジング側シュラウド 3f トップ側湾曲部 3g エンドカバー 3h トップカバー 4 固定子 4a 固定子コア 4b コアバック部 4c 極歯 4d コイル 5 回転子 5a 回転子ヨーク 5b 回転子マグネット 6 ボトムハウジング 6a ボトム側湾曲部 6b 底部 6c 段差部 6d 曲面部 7 ブラケット 8 ケース本体 8a 送風路 8b 吐出口 8c,8d ボルト 9 回転子軸 10 軸受 11 軸受ハウジング 12 バランス修正部 13 モータ基板 14 グロメット 15 口出し線 16 狭小部 17 シール材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7