【実施例】
【0070】
実施例1:不活性全H1N1乾燥ワクチン粉末製剤の調製および試験
本実施例において、季節性インフルエンザワクチン(H1N1)の様々な乾燥粉末製剤を生成して試験する。本発明の好ましい態様をまた、季節性インフルエンザワクチンの従来の液体経鼻製剤および注射製剤と比較して試験する。
【0071】
実施例1A:非急速凍結技術を用いたインフルエンザワクチン(H1N1)粉末の調製
本実験において、様々な抗原安定化剤を、従来のフリーズドライプロセスにおいて用いてワクチン粉末を生成し、これをコンシステンシーおよび安定性に関して調べる。10 mLボトルにおいて、不活性全インフルエンザ(H1N1、A/Brisbane/59/2007株、The Chemo-Sero-Therapeutic Research Institute)の1.6 mg/mL溶液0.4 mLを、pH 7.4のリン酸緩衝生理食塩液(PBS、またはリン酸緩衝液)0.4 mL中で安定化剤(13.6 mg)と混合して、最終的な抗原対安定化剤比1:21を得る。混合物を-40℃で5時間かけて徐々に凍結する。凍結した組成物を4段階でフリーズドライする:-40℃、140 mtorr未満で24時間;-30℃、130 mtorr未満で24時間;-10℃、100 mtorr未満で4時間;および20C、50 mtorr未満で4時間。得られた凍結乾燥粉末は、インフルエンザワクチン粉末1 mgあたりインフルエンザワクチンタンパク質29μgを含有する。インフルエンザワクチン粉末を、比表面積が1.3 m
2/gより大きい経鼻担体(たとえば、微結晶性セルロース)および第三リン酸カルシウム(TCP)(Ca
3(PO
4)
2)と混合(混和)する。インフルエンザワクチン粉末(49.3 mg、インフルエンザワクチンタンパク質1.44 mgを含む)を、Ceolus(登録商標)PH-F20JP微結晶性セルロース(平均粒子径:57μm;かさ密度:0.23 g/cm
3;比表面積2.3 m
2/g)309.1 mg、Ceolus(登録商標)PH-301微結晶性セルロース(平均粒子径:39μm;かさ密度:0.41 g/cm
3)40.0 mg、およびTCP 1.6 mgと10 mLガラスボトル中で混和して、ボルテックスミキサーを用いて成分を1分間混和する。得られた乾燥インフルエンザワクチン粉末製剤は、乾燥インフルエンザワクチン粉末製剤25 mgあたりインフルエンザワクチンタンパク質90μgを含有する。1つの例において、トレハロースを安定化剤として用いると、部分的にケーキを形成するが安定なHA効力を有するインフルエンザワクチン粉末が生成される。もう1つの例において、マンニトールを安定化剤として用いると、微粒子を含むが不安定なHA効力を有するインフルエンザワクチン粉末が生成される。なおもう1つの例において、ラクトースを安定化剤として用いると、部分的にケーキを形成するが安定なHA効力を有するインフルエンザワクチン粉末が生成される(
図1)。本実施例において、安定性は、フリーズドライ後に50%より大きいHA効力を保持するとして定義される;不安定とは、フリーズドライ後での50%に等しいまたはそれ未満のHA効力であり;結果を表1に要約する。製剤は、完全なHA効力および良好な流動性の双方を欠如することから、そのようなアプローチは、有効で完全に送達可能な経鼻ワクチンを産生するためには改善を必要とする。
【0072】
(表1)非急速凍結技術によって生成されたインフルエンザ(H1N1)ワクチン粉末
【0073】
実施例1B:急速凍結プロセスを用いる経鼻インフルエンザ(H1N1)ワクチン粉末の調製
本実験において、様々な安定化剤を急速凍結および乾燥プロセスにおいて用いてワクチン粉末を生成し、これをコンシステンシーおよび安定性に関して調べる。全般的製造プロセスを
図2および3に概要する;H1N1経鼻ワクチン製剤の生成に関する具体的詳細を以下に提供する。10 mLボトルにおいて、不活性全インフルエンザ(H1N1、A/Brisbane/59/2007株)の1.6 mg/mL溶液0.4 mLを、pH 7.4のリン酸緩衝生理食塩液(PBS、またはリン酸緩衝液)0.4 mL中で安定化剤(13.6 mg)と混合して、最終的な抗原対安定化剤比1:21を得る。混合物を液体窒素中で10分間急速凍結して、インフルエンザ粉末を、4段階のフリーズドライプロセスによって生成する:-40℃、140 mtorr未満で24時間;-30℃、130 mtorr未満で24時間;-10℃、100 mtorr未満で4時間;および20C、50 mtorr未満で4時間。インフルエンザワクチン粉末1 mgあたりインフルエンザワクチンタンパク質29μgを含有する粉末は、微粒子を含み、室温で安定であるが、この場合、安定性は50%より大きいHA効力を保持するとして定義される(表2)。インフルエンザワクチン粉末を、比表面積が1.3 m
2/gより大きい経鼻担体(たとえば、微結晶性セルロース)および第三リン酸カルシウム(TCP)(Ca
3(PO
4)
2)と混合(混和)する。インフルエンザワクチン粉末(49.3 mg、インフルエンザワクチンタンパク質1.44 mgおよびトレハロース30.60 mgを含む)を、Ceolus(登録商標)PH-F20JP微結晶性セルロース(平均粒子径:57μm;かさ密度:0.23 g/cm
3;比表面積2.3 m
2/g)309.1 mg、Ceolus(登録商標)PH-301微結晶性セルロース(平均粒子径:39μm;かさ密度:0.41 g/cm
3)40.0 mg、およびTCP 1.6 mgと10 mLガラスボトル中で混合して、ボルテックスミキサーを用いて成分を1分間混和する。得られた乾燥インフルエンザワクチン粉末製剤は、乾燥インフルエンザワクチン粉末製剤25 mgあたりインフルエンザワクチンタンパク質90μgを含有する。1つの例において、トレハロースを抗原安定化剤として用いると、安定なHA効力および微粒子サイズを有する製剤が得られた。もう1つの例において、ラクトースを抗原安定化剤として用いると、同様に微粒子サイズからなる安定な製剤を生じた。マンニトールは、H1N1ワクチン粉末に関する抗原安定化剤として試験しなかった。
【0074】
(表2)急速凍結技術によって生成されたインフルエンザ(H1N1)ワクチン粉末
【0075】
実施例1C:経鼻インフルエンザワクチン粉末製剤の試験計画および結果
本実験において、乾燥粉末H1N1ワクチンが免疫応答を誘発できるか否かを試験して、従来の経鼻および注射液体製剤と比較する。急速凍結プロセスを用いてワクチンを調製して、前記で説明したように、微結晶性セルロース担体と混和する。各々の条件において、インフルエンザワクチンタンパク質(H1N1、A/Brisbane/59/2007株、不活性全インフルエンザワクチン)0.09 mgを、カニクイザルの4つの群に投与した。カニクイザルは、ヒトと類似の鼻腔の解剖学的構造および類似の免疫応答を有する。1群に、前記で概要した急速凍結プロセスによって調製し、インフルエンザワクチンタンパク質0.09 mg、トレハロース1.91 mg、Ceolus(登録商標)PH-F20JP 19.28 mg、Ceolus(登録商標)PH-301 2.50 mg、およびTCP 0.10 mgを含有する経鼻インフルエンザ(H1N1)ワクチン粉末製剤25 mgを投与した;2群には、インフルエンザワクチンタンパク質0.09 mgを含有する経鼻インフルエンザワクチン溶液0.1 mlを投与した;3群には、インフルエンザワクチンタンパク質0.09 mg、Tween 80 0.5μLと共にアジュバントα-ガラクトシルセラミド0.02 mgを含有する経鼻インフルエンザワクチン溶液0.1 mlを投与した;ならびに4群には、インフルエンザワクチンタンパク質0.09 mgを含有するSCインフルエンザワクチン溶液0.5 mLを投与した。
図4に記述されるように、ワクチンを投与して、試料を採取した。抗体レベルを赤血球凝集阻害(HI)および酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって決定した。
【0076】
血清および鼻洗浄液試料中の赤血球凝集阻害(HI)抗体力価を、以下のように決定した。試料を受容体破壊酵素(RDE、Denka Seiken Co. Ltd, Tokyo, Japan)によって、37℃で15〜18時間処置した後、56℃で1時間熱不活化した。試料の連続2倍希釈液を調製して、4赤血球凝集単位/ウェルの濃度でH1N1(A/Brisbane/59/2007株)HA抗原(Denka Seiken)と混合して、室温で1時間インキュベートした。各ウェルに、0.5%ニワトリ赤血球細胞浮遊液50μLを添加して、赤血球凝集を1時間後に評価した。赤血球凝集を阻害する試料の最高希釈が試料のHIタイトル(title)である。
【0077】
この試験において採取した試料のHI試験の結果を
図5AおよびBに示し、これらの表は、不活性全H1N1ウイルス(A/Brisbane/59/2007株)ワクチンの異なる製剤に曝露されたサルによって産生されたHI力価の表を含む。血清試料中で測定したHI力価を5Aに示す:鼻洗浄液試料中で測定したHI力価を5Bに示す。皮下注射ワクチン(4群)は、血清試料において最高のHI力価を生じた;しかし、鼻洗浄液試料ではHI力価の増加は検出されなかった。経鼻調製物の中で、不活性全経鼻インフルエンザ(H1N1、A/Brisbane/59/2007株)ワクチン粉末製剤は、血清および鼻洗浄液試料のいずれにおいても最高の力価を生じ、液体製剤に対して明確な改善を証明した。併せて考慮すると、これらの結果は、血清および鼻洗浄液HI力価の双方が試験群1において上昇したことを証明する。
【0078】
血清および鼻洗浄液試料中での酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)抗体力価を、以下のように決定した。ELISAプレートに抗原を4℃で17時間コーティングして、洗浄し、ブロッキング溶液(リン酸緩衝液中での0.5%ウシ血清アルブミン)100μLによって室温で1時間ブロックした。洗浄後、試験試料の2倍連続希釈を0.5%BSAおよびPBS中で行って、希釈液をELISAプレートのウェルに加えた。37℃で1時間インキュベートした後、プレートを洗浄して、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲートヤギ抗サルIgGまたはHRPコンジュゲートヒツジ抗サル分泌成分検出抗血清と共に37℃で1時間インキュベートした。プレートを洗浄して、o-フェニレンジアミン(OPD)と共に37℃で15分間インキュベートして、1 M硫酸(H
2SO
4)100μLの添加によって呈色反応を停止させた。試料を、ELISAリーダーにおいてOD492によって測定した。
【0079】
本試験において採取した試料中で測定したELISA抗体力価の結果を
図6および7に示す。
図6AおよびBは、異なるインフルエンザワクチン製剤に曝露されたサルによって産生されたsIgA(5B)およびIgG(5A)抗体力価の表である。
図7は、データのグラフ表示を提供し、試験した各動物(異なる動物を異なる線で示す)からの類似の結果を示している。SCインフルエンザワクチン溶液は、全ての試験物質の中で最も多くのIgGを産生した。経鼻インフルエンザ(H1N1、A/Brisbane/59/2007株)ワクチン粉末製剤は、全ての経鼻調製物の中で最も多くのIgGを産生した。経鼻インフルエンザワクチン粉末製剤は、全ての試験物質の中で最も多くのsIgAを産生した。SC注射インフルエンザワクチンは、全ての試験物質の中で最も少ないsIgAを産生した。アジュバントを有する経鼻インフルエンザワクチン溶液は、アジュバントを添加したにもかかわらず、全ての経鼻調製物の中で最も少ないsIgAを産生した。
【0080】
実施例1D:回復期でのHI、IgG、およびsIgA力価
実施例1Cから動物のサブセットを実験の終了後にモニターして、上昇した抗体力価が保持されるか否かを決定した。血清および鼻洗浄液試料を80日目(最後のワクチン接種後31日目)、101日目(ワクチン接種52日目)、および115日目(ワクチン接種後66日目)に得た。結果を
図8および9に示す。
図8は、HI力価の表を含む;
図9は、IgGおよびsIgA力価の表を含む。抗体力価レベルは経鼻粉末製剤によって処置した動物において高レベルで保持された(
図8および9、1群)。抗体力価レベルは、経鼻液体製剤によって処置した動物において、アジュバントを添加しなくとも(2群)またはアジュバントを添加しても(3群)、より低いレベルで保持された。液体製剤を注射した動物(4群)におけるIgGおよびHI力価レベルは、回復期間を通して顕著に減少した;sIgA抗体レベルは、ワクチン製剤の注射によって処置した動物では有意に上昇しなかった。
【0081】
実施例1E:生存能/チャレンジ試験
本実施例において、インフルエンザワクチンがその後のチャレンジから動物を防御できるか否かを決定する。先の実験においてワクチン接種したサルの鼻へのチャレンジを、最後の免疫後3週間目に行う。動物に、胚含有鶏卵生育イヌインフルエンザ(A/Brisbane/59/2007 IVR-148)ウイルスをチャレンジする。各動物に、全体でウイルスおよそ10
7 TCID
50を容積2 ml中で与える。偽チャレンジに関して、サルに、ウイルスを含まない尿膜液2 mlをチャレンジする。さらなる対照として、非ワクチン接種サル3匹に、ウイルス10
7 TCID
50を曝露するか、またはウイルスを含まない尿膜液2 mlをチャレンジする。
【0082】
各群からの動物を、体重、低体温、全身外観、および臨床症状に関して毎日モニターする。サルをインフルエンザ関連臨床徴候に関してチャレンジ後28日間観察する。サルには全て、標準飼料を与えて、水を自由に与える。調べた各群に関して、鼻スワブおよび血液試料を、初回チャレンジ後-7日目、3日目、7日目、14日目、および28日目に採取する。抗体力価(sIgAおよびIgG)を各動物に関して決定する。
【0083】
実施例1F:乾燥ワクチン粉末製剤の安定性および吸湿性の決定
本実施例において、乾燥ワクチン粉末製剤の安定性および吸湿性を調べる。乾燥不活性全H1N1インフルエンザワクチン粉末製剤を、提供される本発明の方法によって生成する。ワクチン粉末製剤の安定性を45℃および20℃から25℃で試験する。試験される乾燥ワクチン粉末製剤を、密封ボトルおよび非密封容器の双方に貯蔵する。HA抗原性を決定することによって、安定性を測定する。
【0084】
乾燥ワクチン粉末製剤の吸湿性は、試料の質量を経時的に決定することによって測定される。乾燥ワクチン粉末の吸湿安定性に及ぼす異なる環境条件の効果を決定するために、ワクチン粉末50 mgを様々な条件下で貯蔵する。乾燥ワクチン粉末の試料を気密条件下、密封容器中、および開放容器中で貯蔵する。試料の重量を月1回の間隔で6ヶ月間測定する。重量の増加は、水の獲得を示している。
【0085】
6ヶ月より長く貯蔵したワクチン粉末製剤を、経鼻送達装置において試験する。装置から送達されるワクチン粉末製剤の百分率を決定して、新たに作製したワクチン粉末製剤の百分率と比較する。
【0086】
実施例2:不活性全H5N1乾燥ワクチン粉末製剤の調製および試験
本実施例において、トリインフルエンザワクチン(H5N1)の様々な乾燥粉末製剤を生成して試験する。本発明の好ましい態様をまた、トリインフルエンザワクチンの従来の液体経鼻製剤および注射製剤と比較して試験する。
【0087】
実施例2A:急速凍結プロセスを用いる経鼻インフルエンザ(H5N1)ワクチン粉末の調製
本実施例は、H5N1経鼻ワクチン粉末を生成するために急速凍結および乾燥プロセスにおいて用いるための最適な抗原安定化剤、および抗原対安定化剤の比率を決定するために行った。全般的製造プロセスを
図2および3に概要する:H5N1経鼻ワクチン製剤の生成に関連する具体的詳細を以下に提供する。4つの抗原対安定化剤比を試験した(1:11、1:21、1:49、および1:101);以下に引用した数値は、1:49比の製剤に対応する。10 mLボトルにおいて、不活性全H5N1ウイルス(A/Vietnam/1194/2004株、Sinovac Biotsch Ltd)を含有する0.526 mg/mL抗原溶液0.4 mLを、pH 7.2のリン酸緩衝液0.4 mL中で安定化剤(トレハロース、マンニトール、またはラクトース)10.4 mgと混合して、最終的な抗原対安定化剤比1:49を得た。混合物を液体窒素中で10分間急速に凍結して、インフルエンザ粉末を4段階のフリーズドライプロセスによって生成する:-40℃、140 mtorr未満で24時間;-30℃、130 mtorr未満で36時間;-10℃、100 mtorr未満で4時間;および20℃、50 mtorr未満で4時間。得られた粉末は、粉末1 mgあたり抗原11.2μgを含有する。インフルエンザワクチン粉末を、比表面積が1.3 m
2/gより大きい経鼻担体(たとえば、微結晶性セルロース)および第三リン酸カルシウム(TCP)(Ca
3(PO
4)
2)と混合(混和)する。インフルエンザワクチン粉末(104 mg、インフルエンザワクチンタンパク質1.2 mgを含む)を、Ceolus(登録商標)PH-F20JP微結晶性セルロース(平均粒子径:57μm;かさ密度:0.23 g/cm
3;比表面積2.3 m
2/g)254.4 mg、Ceolus(登録商標)PH-301微結晶性セルロース(平均粒子径:39μm;かさ密度:0.41 g/cm
3)40.0 mg、およびTCP 1.6 mgと10 mLガラスボトル中で混和して、ボルテックスミキサーを用いて成分を1分間混和する。得られた乾燥インフルエンザワクチン粉末製剤は、乾燥インフルエンザワクチン粉末製剤20 mgあたりインフルエンザワクチンタンパク質58.9μgを含有する。トレハロース、マンニトール、およびラクトースを安定化剤として用いると、1:21および1:49の抗原対安定化剤比で微粒子からなる安定な粉末を生じる。抗原対安定化剤比が1:101である場合、トレハロースおよびラクトース含有製剤はいずれもケーキを生じたが、安定な粉末を産生した;マンニトールは、抗原対安定化剤比1:101で微粒子からなる安定な粉末を生じた。トレハロース、マンニトール、およびラクトースを用いると、抗原対安定化剤比1:11では不安定な製剤を生じた。結果を表3に要約する。
【0088】
(表3)急速凍結技術によって生成したインフルエンザ(H5N1)ワクチン粉末
【0089】
実施例2B:経鼻インフルエンザワクチン粉末製剤の試験計画および結果
本実験において、乾燥粉末ワクチンがカニクイザルにおいて免疫応答を誘発できるか否かを調べて、従来の経鼻および注射液体製剤と比較した。カニクイザルは、ヒトと類似の鼻腔の解剖学的構造および類似の免疫応答を有する。乾燥粉末ワクチンを、急速凍結後のフリーズドライプロセスを用いて、不活化全H5N1(A/Vietnam/1194/2004株)抗原から調製し、前記の微結晶性セルロース担体と混和した。経鼻インフルエンザ(H5N1)ワクチン粉末製剤20 mg毎に、不活性全H5N1ウイルス58.9μgを、トレハロース2.9 mg、Ceolus(登録商標)PH-F20JP 12.7 mg、Ceolus(登録商標)PH-301 2.0 mg、および第三リン酸カルシウム0.08 mgと共に送達する。各条件において、H5N1抗原30μgを投与した。1群には、各鼻孔に経鼻ワクチン粉末20 mgを投与した(総抗原30μg);2群には、各鼻孔に経鼻インフルエンザスプレー0.15 mLを投与した(総抗原30μg);および3群には、液体ワクチン0.3 mLを筋肉内注射(IM)によって投与した。ワクチンを投与して、
図10のスケジュールに従って試料を採取した。試料を、実施例1に概要した方法に従って、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって試験した。
【0090】
本試験において採取した試料中で測定したELISA抗体力価の結果を
図11および12に示す。
図11は、異なるインフルエンザワクチン製剤に曝露されたサルによって産生されたsIgA(11B)およびIgG(11A)の力価を提供する。
図12は、異なる線によって示される異なる動物に関するデータのグラフ表示を提供する。液体製剤の注射にはよってワクチン接種した動物(3群)は、その試験における最高のIgG力価を生じた;しかし、この同じ群はほぼ検出不可能なsIgA抗体レベルを生じた。経鼻液体製剤を用いてワクチン接種した動物(2群)は、この実験において最低レベルのIgG抗体を産生した;この群はまた、低レベルのsIgA抗体を産生した。経鼻粉末製剤によってワクチン接種した動物(1群)は、経鼻ワクチンのIgG抗体の最高レベルを産生した;経鼻粉末製剤はまた、sIgA抗体レベルによって測定した場合に最高レベルの免疫応答を誘発した。これらの結果は、H5N1経鼻粉末ワクチン製剤によって処置した動物において、sIgAおよびIgG抗体力価の双方の上昇に成功したことを示している。
【0091】
実施例2C:ストレス条件下での安定性試験の試験方法および結果
本実験において、実施例2Aに記述されるように調製した乾燥粉末H5N1ワクチン製剤の安定性を、ストレス条件に供して、H5N1経鼻インフルエンザスプレー製剤と比較する。カプセル化H5N1インフルエンザワクチン粉末を、60℃および相対湿度0%で貯蔵して、2および3週間の時点で調べた。2週間目では、粉末は微粒子からなった;しかし、3週間目では、粉末の部分的凝集が観察された。別の試験において、H5N1インフルエンザワクチン粉末を1回使用送達装置(Shin Nippon Biomedical Laboratory, LTD)に充填して、酸素および水分吸収乾燥剤(PharmaKeep KC-20, Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc.)と共にアルミニウムキャニスター中で60℃および相対湿度75%で2週間貯蔵したところ、その後でも粉末はなおも微粒子からなった。なおもう1つの試験において、H5N1インフルエンザワクチン粉末をボトルに入れて、60℃および相対湿度0%で貯蔵して、HA効力を2および3週目の時点で調べた。いずれの時点においても、H5N1経鼻ワクチン粉末のHA効力は安定であった。HA効力のもう1つの試験において、H5N1インフルエンザワクチン粉末をボトルに入れて、酸素および水分吸収乾燥剤(PharmaKeep KC-20, Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc.)と共に60℃および相対湿度75%で2週間貯蔵したところ、その後のHA効力は安定であると決定された。これらの結果を表4に要約する。H5N1経鼻粉末ワクチンとは対照的に、ポリプロピレンマイクロチューブに貯蔵したH5N1経鼻スプレーワクチンは、60℃で2週間後全てのHA効力を失った。このことは、経鼻粉末製剤では、上昇した温度での安定性の増加が達成されることを証明している。
【0092】
(表4)H5N1インフルエンザワクチン粉末ストレス試験の結果
【0093】
実施例3:3つのHAスプリット不活化株乾燥ワクチン粉末製剤の混合物の調製および試験
本実施例において、3つのスプリット不活化株の混合物(H1N1 A/California/7/2009、H3N2 A/Victoria/210/2009、およびB/Brisbane/60/2008−集合的に「三価HAインフルエンザ」)を含む経鼻粉末ワクチンの様々な乾燥粉末製剤を生成して試験する。
【0094】
実施例3A:急速凍結プロセスを用いる三価HAインフルエンザワクチン粉末の調製
本実験は、三価のHAインフルエンザ経鼻ワクチン粉末を生成するために、急速凍結および乾燥プロセスにおいて用いるための最適な抗原安定化剤および抗原対安定化剤比を決定するために行った。全般的製造プロセスを
図2および3に概要する;三価HAインフルエンザ経鼻ワクチン製剤の生成に関する具体的詳細を以下に提供する。4つの抗原対安定化剤比を試験した(1:26、1:56、1:111、および1:222);以下に引用した数値は、1:111比の製剤に対応する。10 mLボトルにおいて、三価HAインフルエンザ(H1N1 A/California/7/2009、H3N2 A/Victoria/210/2009、およびB/Brisbane/60/2008、Denka Seiken Co Ltd)を含有する>0.09 mg/mLの抗原溶液0.6 mLを、超純水0.2 mL中で安定化剤(トレハロース、マンニトール、またはラクトース)6 mgと混合して、最終的な抗原対安定化剤比1:111を生じる。混合物を液体窒素中で10分間急速凍結して、インフルエンザ粉末を4段階フリーズドライプロセスによって生成する:-40℃、140 mtorr未満で24時間;-30℃、130 mtorr未満で36時間;-10℃、100 mtorr未満で4時間;および20℃、50 mtorr未満で4時間。得られた粉末は、粉末1 mgあたり4.6μgより多くの抗原を含有する。インフルエンザワクチン粉末を、比表面積が1.3 m
2/gより大きい経鼻担体(たとえば、微結晶性セルロース)および第三リン酸カルシウム(TCP)(Ca
3(PO
4)
2)と混合(混和)する。インフルエンザワクチン粉末(97.75 mg、インフルエンザワクチンタンパク質0.45 mgを含む)を、Ceolus(登録商標)PH-F20JP微結晶性セルロース(平均粒子径:57μm;かさ密度:0.23 g/cm
3;比表面積2.3 m
2/g)350.2 mg、Ceolus(登録商標)PH-301微結晶性セルロース(平均粒子径:39μm;かさ密度:0.41 g/cm
3)50.0 mg、およびTCP 2.0 mgと10 mLガラスボトル中で混和して、ボルテックスミキサーを用いて成分を1分間混和する。得られた乾燥インフルエンザワクチン粉末製剤は、乾燥インフルエンザワクチン粉末製剤25 mgあたり45μgより多くのインフルエンザワクチンタンパク質を含有する。トレハロース、マンニトール、およびラクトースを抗原対安定化剤比1:26で用いる調製物は、微粒子からなる不安定な粉末を生じた。トレハロースおよびラクトース含有製剤はいずれも、抗原対安定化剤比1:56および1:111で微粒子サイズの安定な粉末を生じた;これらの比率では、安定化剤としてマンニトールを用いると、微粒子サイズの不安定なHA効力を生じた。抗原対安定化剤比1:222では、トレハロースおよびラクトース含有製剤はいずれも、安定なHA効力を有するケーキ状粉末を生じた;同じ比率で、マンニトール含有製剤は、微粒子からなる安定な粉末を産生した。結果を表5に要約する。
【0095】
(表5)急速凍結技術によって生成された三価HAインフルエンザワクチン粉末
【0096】
実施例3B:ストレス条件下での安定性試験の試験法および結果
本実験において、急速凍結プロセスを用いて調製して、微結晶性セルロース担体と混和した乾燥粉末三価HAインフルエンザワクチン製剤の安定性を、ストレス条件下で試験して、経鼻スプレー三価HAインフルエンザワクチン製剤と比較する。カプセル化三価HAインフルエンザワクチン粉末を60℃および相対湿度0%で貯蔵して、2および3週間の時点で調べた。2週間目では、粉末は微粒子からなった;しかし、3週間目では、粉末の部分的凝集が観察された。なおもう1つの試験において、三価HAインフルエンザワクチン粉末をボトルに入れて60℃および相対湿度0%で貯蔵して、2および3週間の時点でHA効力に関して調べた。いずれの時点においても、三価HA経鼻ワクチン粉末のHA効力は安定であった。これらの結果を表6に要約する。三価HA経鼻粉末ワクチンとは対照的に、ポリプロピレンマイクロチューブにおいて貯蔵した経鼻スプレー三価HA経鼻スプレーワクチンは、60℃で2週間後に全てのHA効力を失った。このことは、経鼻粉末製剤では、上昇した温度での安定性の増加が達成されることを証明している。
【0097】
(表6)ボトル詰めした三価HAインフルエンザおよび粉末ワクチンのストレス試験の結果
【0098】
実施例4:破傷風トキソイド(TTx)乾燥ワクチン粉末製剤の調製および試験
本実施例において、破傷風トキソイド(TTx)ワクチンの様々な乾燥粉末製剤を生成して試験する。本発明の好ましい態様をまた、TTxワクチンの従来の液体注射製剤と比較して試験する。
【0099】
実施例4A:急速凍結プロセスを用いる破傷風トキソイドワクチン粉末の調製
本実験は、破傷風トキソイド経鼻ワクチン粉末を生成するため、急速凍結および乾燥プロセスにおいて用いるための最適な抗原安定化剤および抗原対安定化剤比を決定するために行った。全般的製造プロセスを
図2および3に概要する;破傷風トキソイド経鼻ワクチン製剤の作製に関する具体的詳細を以下に提供する。5つの抗原対安定化剤比(1:26、1:53、1:111、1:231、および1:420より上)を試験した;以下に引用する数値は1:53比の製剤に対応する。10 mLボトルにおいて、0.08 mg/mL未満の吸着破傷風トキソイド抗原溶液(Denka Seken Co LTD)0.5 mLを、超純水0.3 mL中で安定化剤(トレハロース、マンニトール、またはラクトース)2.1 mgと混合して、最終的な抗原対安定化剤比1:53を生じた。混合物を液体窒素中で10分間急速に凍結して、抗原粉末を4段階フリーズドライプロセスによって生成する:-40℃、140 mtorr未満で24時間;-30℃、130 mtorr未満で36時間;-10℃、100 mtorr未満で4時間;および20℃、50 mtorr未満で4時間。得られた粉末は、粉末1 mgあたり抗原4.7μg未満を含有する。破傷風トキソイドワクチン粉末を、比表面積が1.3 m
2/gより大きい経鼻担体(たとえば、微結晶性セルロース)および第三リン酸カルシウム(TCP)(Ca
3(PO
4)
2)と混合(混和)する。破傷風トキソイドワクチン粉末(8.54 mg未満、抗原タンパク質0.04 mg未満を含む)を、Ceolus(登録商標)PH-F20JP微結晶性セルロース(平均粒子径:57μm;かさ密度:0.23 g/cm
3;比表面積2.3 m
2/g)35.46 mg、Ceolus(登録商標)PH-301微結晶性セルロース(平均粒子径:39μm;かさ密度:0.41 g/cm
3)5 mg、およびTCP 0.2 mgと10 mLガラスボトル中で混和して、ボルテックスミキサーを用いて成分を1分間混和する。得られた乾燥破傷風トキソイドワクチン粉末製剤は、総粉末25 mgあたり抗原タンパク質20μg未満を含有する。トレハロース、マンニトール、およびラクトースを用いると、抗原対安定化剤比1:26、1:53、1:105、および1:210で微粒子からなる抗原粉末を産生した。抗原対安定化剤比1:420では、3つ全ての安定化剤(トレハロース、マンニトール、およびラクトース)は、ケーキ状粉末を生じた。結果を表7に要約する。
【0100】
(表7)急速凍結技術によって生成された破傷風トキソイドワクチン粉末
【0101】
実施例4B:経鼻破傷風トキソイドワクチン粉末製剤の試験計画および結果
本実験において、破傷風トキソイド経鼻粉末ワクチンがカニクイザルにおいて免疫応答を誘発できるか否かを試験して、従来の注射液体製剤と比較する。カニクイザルは、ヒトと類似の鼻腔の解剖学的構造および類似の免疫応答を有する。急速凍結後のフリーズドライプロセスを用いて、吸着破傷風トキソイド抗原から乾燥粉末ワクチンを調製して、これを実施例4Aに記述される微結晶性セルロース担体と混和する。経鼻破傷風トキソイドワクチン粉末製剤25 mgあたり、吸着破傷風トキソイド抗原2.5 Lfをトレハロース1.1 mg、Ceolus(登録商標)PH-F20JP 17.9 mg、Ceolus(登録商標)PH-301 2.6 mg、および第三リン酸カルシウム0.1 mgと共に送達する。複数の投与レベルを比較する。1群には、各鼻孔に経鼻ワクチン粉末25 mgを投与する(5 Lf用量);2群には、各鼻孔に経鼻ワクチン粉末25 mgを2回投与する(10 Lf用量);3群には、各鼻孔に経鼻ワクチン粉末25 mgを4回投与する(20 Lf用量);および4群には、液体ワクチン2.0 mLを皮下注射によって投与する(10 Lf用量)。ワクチンを投与して、試料を
図13のスケジュールに従って採取する。試料を、実施例1に概要される方法に従って、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)および酵素結合免疫吸着スポット(ELISpot)によって試験する。
【0102】
ELISpotアッセイを以下のように行った。非コンジュゲートマウス抗ヒト/サルインターフェロン-γ(IFN-γ)モノクローナル抗体、クローンGZ-4(15μg/mL、MabTech, Sweden)をマルチスクリーンプレート(Millipore, USA)に加えて、4℃で終夜インキュベートした。翌日、プレートをAIM-V(Life Technologies, USA)完全培地によってブロックした。サル全血から分離した末梢血単核球細胞(PBMC)4×10
5個および吸収破傷風トキソイド25 mLを加えて、プレートを37℃で24時間インキュベートした。ウェルをPBSによって洗浄して、1μg/mLビオチニル化マウス抗ヒトIFN-γモノクローナル抗体、クローン7-B6-1(MabTech)を加えた。室温で2時間インキュベートした後、ウェルをPBSによって洗浄した。1:1000倍希釈したストレプトアビジン-アルカリホスファターゼ(MabTech)を加えた。室温で1時間インキュベートした後、ウェルをPBSによって洗浄した。染色は、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウム(BCIP/NBT-plus基質)(Moss, USA)を用いて行った。プレートを乾燥させて、各ウェルにおけるスポット数を-から++の尺度で評価した。
【0103】
本試験において採取した試料中で測定した抗体力価を
図14および15に示す。
図14Aは、異なるインフルエンザワクチン製剤に曝露されたサルによって産生された血清中IgGの吸光度比を提供する;
図14Bは、それらの同じ結果のグラフ表示である。
図15は、採取した血清試料のELISpot試験の結果を表にしている。
図15でのスコアは以下のとおりである:(-)は、陰性対象レベルを示し、(+/-)は低レベルを示し、(+)は中等度のレベルを示し、および(++)は高レベルを示す。ELISAおよびELISpot試験の双方において、TTxワクチンの注射液体製剤は、最大の免疫応答を生じた。経鼻粉末の20 Lf用量は、ELISAによって測定した場合に試験のあいだのIgG抗体力価の検出可能な増加を誘導した。ELISpot測定は、TTx経鼻粉末ワクチンの3つ全ての用量が、用量依存的な免疫応答を生じることができることを示した。
【0104】
実施例5:ジフテリアトキソイド(DTx)乾燥ワクチン粉末製剤の調製および試験
本実施例において、ジフテリアトキソイドワクチンの様々な乾燥粉末製剤を生成して、試験する。本発明の好ましい態様をまた、ジフテリアトキソイドワクチンの従来の液体注射製剤と比較して試験する。処理の際のジフテリアトキソイド抗原の安定性を試験するために、前記で詳述した急速凍結およびフリーズドライプロセスによって産生された抗原粉末を、液体製剤中で再水和した。この製剤を、以下で再構成粉末と呼ぶ。
【0105】
実施例5A:急速凍結プロセスを用いるジフテリアトキソイドワクチン粉末の調製
本実験は、ジフテリアトキソイド経鼻ワクチン粉末を作製するために、急速凍結および乾燥プロセスにおいて用いるための最適な抗原安定化剤、および抗原対安定化剤比を決定するために行った。全般的製造プロセスを
図2および3に概要し;ジフテリアトキソイド経鼻ワクチン製剤の生成に関する具体的詳細を以下に提供する。5つの抗原対安定化剤比(2.5 Lf:1.1 mg、2.5 Lf:2.1 mg、2.5 Lf:4.2 mg、2.5 Lf:8.4 mg;および2.5 Lf:16.8 mg)を試験した;以下に引用される数値は2.5 Lf:2.1 mg比の製剤に対応する。10 mLボトルにおいて、5 Lf/mL吸着ジフテリアトキソイド抗原溶液(DTx,Research Institute for Microbial Disease, Osaka University)を、超純水0.3 mL中で安定化剤(トレハロース、マンニトール、またはラクトース)2.1 mgと混合して、最終的な抗原対安定化剤比2.5 Lf:2.1 mgを生じる。混合物を液体窒素中で10分間急速凍結して、抗原粉末を4段階のフリーズドライプロセスによって生成する:-40℃、140 mtorr未満で24時間;-30℃、130 mtorr未満で36時間;-10℃、100 mtorr未満で4時間;および20℃、50 mtorr未満で4時間。得られた粉末は、粉末1 mgあたり抗原0.28 Lf未満を含有する。ジフテリアトキソイドワクチン粉末を、比表面積が1.3 m
2/gより大きい経鼻担体(たとえば、微結晶性セルロース)および第三リン酸カルシウム(TCP)(Ca
3(PO
4)
2)と混合(混和)する。ジフテリアトキソイドワクチン粉末(1 mg、抗原タンパク質0.28 Lf未満を含む)を、Ceolus(登録商標)PH-F20JP微結晶性セルロース(平均粒子径:57μm;かさ密度:0.23 g/cm
3;比表面積2.3 m
2/g)35.96 mg、Ceolus(登録商標)PH-301微結晶性セルロース(平均粒子径:39μm;かさ密度:0.41 g/cm
3)5 mg、およびTCP 0.2 mgと10 mLガラスボトル中で混和して、ボルテックスミキサーを用いて成分を1分間混和する。得られた乾燥ジフテリアワクチン粉末製剤は、総粉末25 mgあたり抗原タンパク質1.25 Lf未満を含有する。結果を表8に要約する。トレハロース、マンニトール、またはラクトースを用いると、抗原対安定化剤比2.5 Lf:1.1 mg、2.5 Lf:2.1 mg、2.5 Lf:4.2 mg、および2.5 Lf:8.4 mgで微粒子からなる粉末を生成した。抗原対安定化剤比2.5 Lf:16.8 mgでは、用いた3つ全ての安定化剤が、このプロセスを用いてケーキ状粉末を生成した。
【0106】
(表8)急速凍結技術によって生成されたジフテリアトキソイドワクチン粉末
【0107】
実施例5B:経鼻ジフテリアトキソイドワクチン粉末製剤の試験計画および結果
本実験において、ジフテリアトキソイド経鼻粉末ワクチンがカニクイザルにおいて免疫応答を誘発できるか否かを調べて、従来の注射液体製剤および再構成粉末製剤と比較する。カニクイザルは、ヒトと類似の鼻腔の解剖学的構造および類似の免疫応答を有する。急速凍結後のフリーズドライプロセスを用いて、吸着ジフテリアトキソイド抗原から乾燥粉末ワクチンを調製して、これを前記の微結晶性セルロース担体と混和した。経鼻ジフテリアトキソイドワクチン粉末製剤25 mgあたり、ジフテリアトキソイド抗原1.25 Lfを、トレハロース1.1 mg、Ceolus(登録商標)PH-F20JP 21.3 mg、Ceolus(登録商標)PH-301 3.0 mg、および第三リン酸カルシウム0.12 mgと共に送達する。1群には、各鼻孔に経鼻ワクチン粉末25 mg(2.5 Lf用量)を投与した;2群には、液体ワクチン1.0 mL(5 Lf用量)を皮下注射によって投与した;および3群には、再構成した粉末ワクチン1.0 mL(5 Lf用量)を皮下注射によって投与した。ワクチンを投与して、試料を
図16のスケジュールに従って採取する。試料を、実施例1に概要される方法に従って、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって試験した。
【0108】
本実験において測定した抗体力価を
図17に示す。
図17Aは、血清中IgGの吸光度比の表である;17Bは、17Aのデータの棒グラフ(上段)および折れ線グラフ(下段)である。再構成した粉末製剤および従来の注射液体製剤は、血清中IgGレベルの増加の誘導に成功した。経鼻粉末製剤もまた、注射製剤の用量の半分を投与したにもかかわらず、IgG抗体力価の増加に成功した。併せて考慮すると、これらの結果は、本明細書において開示される急速フリーズドライ方法論が、動物においてジフテリアトキソイドワクチンの効力を保存することを示している。
【0109】
実施例6:卵白アルブミン乾燥ワクチン粉末製剤の調製および試験
本実施例において、卵白アルブミン(OVA、SIGMA A5503-IG)の乾燥粉末製剤を生成して、カニクイザルにおいて免疫応答を誘発できるか否かを試験する。経鼻投与乾燥ワクチン粉末製剤を従来の経鼻製剤および注射液体製剤と比較する。結果は、本明細書において記述される製剤を用いる例示的なタンパク質抗原の経鼻投与が動物において免疫応答を誘発できることを証明している。
【0110】
実施例6A:卵白アルブミン乾燥ワクチン粉末の調製
ホモジナイズした卵白アルブミン(hOVA)経鼻粉末の3つの製剤を、異なる量のhOVAを、比表面積が1.3 m
2/gより大きい経鼻担体(たとえば、微結晶性セルロース)および第三リン酸カルシウム(TCP)(Ca
3(PO
4)
2)と混和することによって生成する。hOVAは粉末型で提供されることから、急速凍結後のフリーズドライ段階は必要でなかった。製剤1において、hOVA粉末13.3 mgを、Ceolus PH-F20JP 354.1 mg、Ceolus PH-301 40 mg、および第三リン酸カルシウム(TCP)1.6 mgと10 mLボトル中で混合して、ボルテックスミキサーを用いて1分間混和する。得られた混合物は、粉末製剤30 mgあたり抗原1 mgを含有する。製剤2において、hOVA粉末66.7 mgを、Ceolus PH-F20JP 291.7 mg、Ceolus PH-301 40 mg、および第三リン酸カルシウム(TCP)1.6 mgと10 mLボトル中で混合して、ボルテックスミキサーを用いて1分間混和する。得られた混合物は、粉末製剤30 mgあたり抗原5 mgを含有する。製剤3において、hOVA粉末200 mgを、Ceolus PH-F20JP 158.4 mg、Ceolus PH-301 40 mg、および第三リン酸カルシウム(TCP)1.6 mgと10 mLボトル中で混合して、ボルテックスミキサーを用いて1分間混和する。得られた混合物は、粉末製剤30 mgあたり抗原15 mgを含有する。
【0111】
実施例6B:経鼻卵白アルブミンワクチン粉末製剤の試験計画および結果
本実験において、卵白アルブミン経鼻粉末ワクチンがカニクイザルにおいて免疫応答を誘発できるか否かを試験して、hOVAをリン酸緩衝液に溶解する従来の注射および経鼻液体製剤と比較する。カニクイザルは、ヒトと類似の鼻腔の解剖学的構造および類似の免疫応答を有する。乾燥粉末ワクチンを、ホモジナイズした卵白アルブミン粉末から調製して、これを前記の賦形剤と混和した。1群には、各鼻孔に経鼻ワクチン粉末製剤1の30 mg(2 mg用量)を投与した;2群には、各鼻孔に経鼻ワクチン粉末製剤2の30 mg(10 mg用量)を投与した;3群には、各鼻孔に経鼻ワクチン粉末製剤3の30 mg(30 mg用量)を投与した;4群には、各鼻孔に液体ワクチン0.1 mL(20 mg用量)を投与した;5群には、各鼻孔に液体ワクチン0.1 mL(30 mg用量)を投与した;6群には、液体ワクチン1.0 mL(20 mg用量)を皮下注射によって投与した;および7群には、液体ワクチン1.0 mL(30 mg用量)を皮下注射によって投与した。ワクチンを投与して、試料を
図18のスケジュールに従って採取した。試料を、実施例1に概要した方法に従って、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって試験した。
【0112】
本実験の際に採取した血清試料中で測定したIgG抗体力価を
図19に示す。
図19Aは、IgG抗体力価の表である;19Bは、19Aのデータの棒グラフ(上段)および折れ線グラフ(下段)表示である。経鼻粉末製剤および注射液体製剤はいずれも、類似の高レベルまで免疫応答を誘発することが可能であった;しかし、最高力価は、経鼻粉末製剤によって処置した動物においてより初期の時点で検出された。経鼻液体製剤は、IgG抗体力価によって測定した場合に検出可能な免疫応答を誘発することができなかった。本実験の際に採取したこの血清試料中で測定したsIgA抗体力価を
図20に示す。
図20Aは、sIgA抗体力価の表であり;20Bは20Aのデータの棒グラフ(上段)および折れ線グラフ(下段)表示である。sIgA抗体力価によって測定した場合、経鼻粉末製剤のみが検出可能な免疫応答を誘発することができた。sIgA力価の増加は、経鼻液体または注射液体製剤のいずれをワクチン接種した動物においても検出されなかった。併せると、これらの結果は、本明細書において記述される経鼻粉末製剤が、例示的なタンパク質抗原を用いて動物において粘膜および全身免疫原性の双方を誘発できることを示唆している。
【0113】
本発明の好ましい態様を、本明細書において示して記述してきたが、そのような態様は、単なる例として提供されるに過ぎないことは当業者に明らかであろう。多数の変更、変化、および置換が当業者に想起されるが、それらも本発明に含まれるであろう。本明細書において記述される本発明の態様に対する様々な代替を、本発明の実践において使用してもよいと理解すべきである。以下の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義して、これらの特許請求の範囲およびその同等物の範囲内の方法および構造がそれによって範囲に含まれると意図される。