特許第6827642号(P6827642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827642
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】車輪付き車両用自己較正センサシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/497 20060101AFI20210128BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20210128BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20210128BHJP
【FI】
   G01S7/497
   G01B11/00 A
   G01S17/931
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-523754(P2019-523754)
(86)(22)【出願日】2017年11月17日
(65)【公表番号】特表2019-536019(P2019-536019A)
(43)【公表日】2019年12月12日
(86)【国際出願番号】EP2017079663
(87)【国際公開番号】WO2018091685
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年6月24日
(31)【優先権主張番号】16306516.2
(32)【優先日】2016年11月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520359871
【氏名又は名称】アウトサイト
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ブラヴォ オレラナ,ラウル
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア,オリヴィエ
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/150286(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0060415(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0062595(US,A1)
【文献】 特開2010−175423(JP,A)
【文献】 特開2001−066361(JP,A)
【文献】 特開2011−221957(JP,A)
【文献】 特開2015−191650(JP,A)
【文献】 特開2002−120775(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0161602(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 − 7/51
G01S 17/00 − 17/95
G01B 11/00 − 11/30
G01C 3/00 − 3/32
G05F 1/00 − 1/12
G08G 1/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪付き車両(1)に取り付けられた3次元センサ(21)の局所座標系における、車輪付き車両(1)の基点の位置を検索する方法であって、
前記車輪付き車両(1)が直線経路(SL)に沿って移動している間に前記センサ(21)を動作させることによって、前記車両(1)の周囲(E)の一連の第1の点群フレーム(C1)を取得するステップと、
前記車輪付き車両(1)が曲線経路(CL)に沿って移動している間に前記センサ(21)を動作させることによって、前記車両(1)の前記周囲(E)の一連の第2の点群フレーム(C2)を取得するステップと、
前記センサ(21)によって取得され、前記車両(1)の一部(19)を表す、少なくとも1つの第3の点群(C3)を提供するステップと、を含み、
前記第1の点群フレーム、前記第2の点群フレーム、および前記少なくとも1つの第3の点群は、前記3次元センサ(21)の局所座標系(L)において提供され、
前記一連の第1の点群フレーム(C1)から前記センサ(21)の前記局所座標系(L)において前記車輪付き車両(1)の主方向ベクトル(V)を算出するステップと、
前記主方向ベクトル(V)、および前記第3の点群から前記センサ(21)の前記局所座標系(L)における前記車輪付き車両(1)の主方向線(M)を規定するステップと、
前記曲線経路(CL)に沿って移動する前記車輪付き車両(1)の瞬間回転中心(R)の位置を、前記センサの前記局所座標系において、前記一連の第2の点群フレーム(C2)から、決定するステップと、
前記主方向線(M)および前記瞬間回転中心(R)の前記位置を用いて、前記局所座標系(L)において車輪付き車両(1)の基点(B)の位置を検索するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記車輪付き車両(1)の前記基点(B)の位置は、前記センサの前記局所座標系(L)において、前記瞬間回転中心(R)までの距離が最小である前記主方向線(M)の点を見つけることによって算出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記センサ(21)の前記局所座標系(L)における、前記車輪付き車両(1)の基点(B)の位置は、前記基点(B)を前記瞬間回転中心(R)に接続する線が前記主方向線(M)に垂直となる位置である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第3の点群(C3)によって表される前記車両の前記一部(19)は、前記車輪付き車両(1)の対称面(S)の両側に同様の距離で延在する、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの3次元センサ(21)は、前記車両のルーフ(19)の上または上方に取り付けられ、
前記少なくとも1つの第3の点群によって表される前記車両の前記部分は、前記ルーフの左側エッジ(19a)の少なくとも一部と、前記ルーフの右側エッジ(19b)の少なくとも一部とを含み、前記ルーフ(19)の前記左側エッジおよび右側エッジは、前記車輪付き車両(1)の対称面(S)に関して規定される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記車両の一部を表す前記少なくとも1つの第3の点群(C3)が、前記第1の点群フレーム(C1)と前記第2の点群フレーム(C2)との間の少なくとも2つの点群を比較することによって、前記少なくとも2つの点群の点を、前記車両(1)の周囲(E)を表すデータ点と前記車両(1)を表すデータ点にセグメント化するように提供され、前記少なくとも1つの第3の点群(C3)は、前記車両(1)を表す前記データ点から構成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記主方向ベクトル(V)、および前記第3の点群(C3)から前記センサ(21)の前記局所座標系(L)における前記車輪付き車両(1)の主方向線(M)を規定するステップが、
前記第3の点群(C3)から前記車輪付き車両(1)の対称面(S)上に位置する少なくとも1つの中点(O)の前記局所座標系(L)における位置を決定するステップと、
前記主方向ベクトル(V)および前記少なくとも1つの中点(O)の位置から前記センサ(21)の前記局所座標系(L)における前記車輪付き車両(1)の前記主方向線(M)を規定するステップと、を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記中点(O)の前記位置は、前記第3の点群(C3)の重心を算出することによって決定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記中点(O)の前記位置は、前記主方向ベクトル(V)に垂直な平面上に前記第3の点群(C3)を投影し、前記第3の点群(C3)の射影の中心を決定することによって決定される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の点群フレーム(C1)、前記第2の点群フレーム(C2)および前記第3の点群(C3)のうちの少なくとも1つの点群は、前記車両(1)に取り付けられた少なくとも2つの3次元センサ(21)によってそれぞれ取得された少なくとも2つの点群を融合することによって決定される、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記車輪付き車両(1)の基点(B)によって規定される前記車輪付き車両(1)の車体フレーム座標系(F)と、前記主方向ベクトル(V)および前記瞬間回転中心(R)から決定される前記車体フレーム座標系(F)の少なくとも1つの軸を決定するステップをさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
車輪付き車両(1)に取り付けられた少なくとも1つの3次元センサ(21)によって取得された点群フレームを、前記車輪付き車両(1)の車体フレーム座標系(F)に登録するための方法であって、前記方法は、
前記少なくとも1つの3次元センサ(21)からの複数の点群フレーム(C1、C2、C3)を前記センサの局所座標系(L)で受信するステップと、
前記複数の点群フレームを用いて請求項11に記載の方法を実行することによって、前記車輪付き車両(1)の車体フレーム座標系(F)を検索するステップと、
前記センサ(21)によって取得された少なくとも1つの点群フレームを前記センサの前記局所座標系(L)で前記車輪付き車両(1)の前記車体フレーム座標系(F)に登録するステップと、を含む。
【請求項13】
車輪付き車両(1)に取り付けられ、前記車両(1)の周囲(E)および前記車両(1)の少なくとも一部(19)の点群フレーム(C1、C2、C3)を取得するように適合された少なくとも1つの3次元センサ(21)と、
前記少なくとも1つの3次元センサ(21)に接続され、
前記少なくとも1つの3次元センサ(C1、C2、C3)から点群フレーム(C1、C2、C3)を受け取り、
前記3次元センサ(21)の局所座標系(F)における車輪付き車両の基点フレーム(B)の位置を、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法を実行させることによって検索し、および/または請求項11に記載の方法を実行させることによって前記車輪付き車両(1)の車体フレーム座標系(F)に少なくとも1つの前記点群フレームを登録するように動作する処理ユニット(22)と、を備える車輪付き車両(1)のための自己較正3次元センサシステム(2)。
【請求項14】
請求項13に記載の自己較正3次元センサシステム(2)を備える、自律または半自律車輪付き車両(1)。
【請求項15】
プログラム命令を含むコンピュータプログラムを記憶しており、
前記コンピュータプログラムが処理ユニットによって実行される場合、
前記コンピュータプログラムは、請求項13または14のいずれか1項に記載の自己較正3次元センサシステムの処理ユニットにロード可能であり、
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法、または請求項12に記載の方法のステップを前記処理ユニットに実行させるように適合される、非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、車輪付き車両の基点の位置を検索するための方法、車輪付き車両のための自己較正センサシステム、およびそのような自己較正センサシステムを備える自動運転車両に関する。
【0002】
〔背景技術〕
本出願は、車輪付き車両に取り付けられる3次元センサの分野に属する。
【0003】
車両の周囲の3次元点群を取得することができる3次元センサを車両に提供することには、多くの興味深い用途が有る。
【0004】
取得された点群は、例えば、車両によって移動された面積の3Dマップを生成するように使用されてもよい。
【0005】
取得された点群はまた、車両の運転を補助または自動化するように使用されてもよい。
【0006】
運転支援のためのアプリケーションの実施例は、衝突警報または衝突回避をトリガするための物体検知であるが、前記センサは、車両の運転を自動化するように、完全に自律的な車両で使用することもできる。
【0007】
効果的に実行するために、前記3次元センサは、前記車両に関して高い精度で位置合わせされ、配置されなければならない。そうでなければ、前記センサの動作は、車両および他の道路利用者の乗客に重大な危険性を提示する可能性がある。例えば、前記センサが、ホスト車両の経路内にある物体を検出するが、位置合わせ不良のために物体が前記車輪付き車両の経路のわずかに左にあると考える場合、前記車輪付き車両は、深刻なリスク状況に気付かないことがある。
【0008】
いくつかのセンサがある場合、決定を行うために、共通の基準システムにおいて取得されたデータを融合することができることも重要である。次いで、前記センサは、衝突する(conflicting)センサ情報を最小限に抑えるように、適切に位置合わせされる必要がある。
【0009】
車輪付き車両の3次元センサ取得のための従来のアプローチは、注意深く機械加工されたキャリアプレートに依存して、前記センサを制御された位置に位置決めし、車両に対して位置合わせするか、または工場較正して、前記センサ取得の局所座標系から車両基準フレームシステムへの座標伝達関数を決定する。
【0010】
これらのアプローチは、高価な機械加工を必要とする。さらに、衝撃、経年変化、または天候に関連する条件のために、センサが車両の基準フレームと不整合になった場合、これらのセンサの較正処理は、車の作業場では利用できない3D計測ツールおよび3Dインプットインターフェースを含むので、取り付け台を前記センサと交換するか、または車両を再較正のために工場に戻す以外に、不整合を補正する容易な方法は通常ない。
【0011】
本発明は、こうした状況の改善を目指している。
【0012】
この目的のために、本発明の第1の目的は、車輪付き車両に取り付けられた3次元センサの局所座標系における、車輪付き車両の基点の位置を検索する方法であって、前記方法は、前記車輪付き車両が直線経路に沿って移動している間に前記センサを動作させることによって、前記車両の周囲の一連の第1の点群フレームを取得するステップと、前記車輪付き車両が曲線経路に沿って移動している間に前記センサを動作させることによって、前記車両の前記周囲の一連の第2の点群フレームを取得するステップと、前記センサによって取得され、前記車両の一部を表す、少なくとも1つの第3の点群を提供するステップと、を含み、前記第1の点群フレーム、前記第2の点群フレーム、および前記少なくとも1つの第3の点群は、前記3次元センサの局所座標系において提供され、前記一連の第1の点群フレームから前記センサの前記局所座標系において前記車輪付き車両の主方向ベクトルを算出するステップと、前記主方向ベクトル、および前記第3の点群から前記センサの前記局所座標系における前記車輪付き車両の主方向線を規定するステップと、前記曲線経路に沿って移動する前記車輪付き車両の瞬間回転中心の少なくとも1つの位置を、前記センサの前記局所座標系において、前記一連の第2の点群フレームから、決定するステップと、前記主方向線および前記瞬間回転中心の前記位置を用いて、前記局所座標系において車輪付き車両の基点の位置を検索する(retrieve)ステップと、を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、以下の特徴のうちの1つまたは複数を使用することもできる。
【0014】
前記車輪付き車両の前記基点の位置は、前記センサの前記局所座標系において、前記瞬間回転中心までの距離が最小である前記主方向線の点を見つけることによって算出される。
【0015】
前記センサの前記局所座標系における、前記車輪付き車両の前記基点の位置は、前記基点を前記瞬間回転中心に接続する線が前記主方向線に垂直となる位置である。
【0016】
前記少なくとも1つの第3の点群によって表される前記車両の前記一部は、前記車輪付き車両の対称面の両側に同様の距離で延在する。
【0017】
前記少なくとも1つの3次元センサは、前記車両のルーフの上または上方に取り付けられ、前記少なくとも1つの第3の点群によって表される前記車両の前記部分は、前記ルーフの左側エッジの少なくとも一部と、前記ルーフの右側エッジの少なくとも一部とを含み、前記ルーフの前記左側エッジおよび右側エッジは、前記車輪付き車両の対称面に関して規定される。
【0018】
前記車両の一部を表す前記少なくとも1つの第3の点群が、前記第1の点群フレームと前記第2の点群フレームとの間の少なくとも2つの点群を比較することによって、前記少なくとも2つの点群の点を、前記車両の周囲を表すデータ点と前記車両を表すデータ点にセグメント化するように提供され、前記少なくとも1つの第3の点群は、前記車両を表す前記データ点から構成されている。
【0019】
前記主方向ベクトルおよび前記第3の点群から、前記センサの前記局所座標系における前記車輪付き車両の主方向線を決定するステップは、前記第3の点群から前記車輪付き車両の対称面上に位置する少なくとも1つの中点の前記局所座標系における位置を決定するステップと、前記主方向ベクトルおよび前記少なくとも1つの中点の位置から前記センサの前記局所座標系における前記車輪付き車両の前記主方向線を決定するステップと、を含む。
【0020】
前記中点の前記位置は、前記第3の点群の重心を算出することによって決定される。
【0021】
前記中点の前記位置は、前記主方向ベクトルに垂直な平面上に前記第3の点群を投影し、前記第3の点群の射影の中心を決定することによって決定される。
【0022】
前記第1の点群フレーム、前記第2の点群フレームおよび前記第3の点群のうちの少なくとも1つの点群は、前記車両に取り付けられた少なくとも2つの3次元センサによってそれぞれ取得された少なくとも2つの点群を融合することによって決定される。
【0023】
前記方法は、前記車輪付き車両の基点によって規定される前記車輪付き車両の車体フレーム座標系と、前記主方向ベクトルおよび前記瞬間回転中心から決定される前記車体フレーム座標系の少なくとも1つの軸と、好ましくは少なくとも2つの軸、より好ましくは3つの軸とを決定するステップをさらに含む。
【0024】
本発明の別の目的は、車輪付き車両に取り付けられた少なくとも1つの3次元センサによって取得された点群フレームを、前記車輪付き車両の車体フレーム座標系に登録するための方法であって、前記方法は、前記少なくとも1つの3次元センサからの複数の点群フレームを前記センサの局所座標系で受信するステップと、前記複数の点群フレームを用いて前述の方法を実行することによって、前記車輪付き車両の車体フレーム座標系を検索するステップと、前記センサによって取得された少なくとも1つの点群フレームを前記センサの前記局所座標系で前記車輪付き車両の前記車体フレーム座標系に登録するステップと、を含む。
【0025】
本発明の別の目的は、車輪付き車両に取り付けられ、前記車両の周囲および前記車両の少なくとも一部の点群フレームを取得するように適合された少なくとも1つの3次元センサと、前記少なくとも1つの3次元センサに接続され、前記少なくとも1つの3次元センサから点群フレームを受け取り、前記3次元センサの局所座標系における車輪付き車両の基点フレームの位置を、前述の方法を実行させることによって検索し、および/または請求項11に記載の方法を実行させることによって前記車輪付き車両の車体フレーム座標系に少なくとも1つの前記点群フレームを登録するように動作する処理ユニットと、を備える車輪付き車両のための自己較正3次元センサシステムである。
【0026】
本発明の別の目的は、前述の自己較正3次元センサシステムを備える、自律または半自律車輪付き車両である。
【0027】
本発明のさらなる別の目的は、プログラム命令を含むコンピュータプログラムを記憶しており、前記コンピュータプログラムが処理ユニットによって実行される場合、前記コンピュータプログラムは、前述の自己較正3次元センサシステムの処理ユニットにロード可能であり、前述の方法のステップを前記処理ユニットに実行させるように適合される、非一時的なコンピュータ読み取り可能記憶媒体である。
【0028】
〔図面の簡単な説明〕
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な実施例として提供されるその実施形態のいくつか、および添付の図面の以下の説明から容易に明らかになるであろう。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る自己較正3次元センサシステムを備える車輪付き車両の概略斜視図である。
【0030】
図2は、車輪を示すため、前記車両の車体を不図示にした、直線経路を辿る図1の車輪付き車両の概略上面図である。
【0031】
図3は、曲線経路を辿る図2の前記車輪付き車両の概略上面図である。
【0032】
図4A、4B、および4Cは、本発明の一実施形態に係る自己較正3次元センサシステムを備える図1の前記車輪付き車両の代替構成を示す。
【0033】
図5は、本発明の実施形態に係る車輪付き車両の基点の位置を検索するための方法を詳述するフローチャートである。
【0034】
異なる図において、同一の参照符号は、同様のまたは同種の要素を示す。
【0035】
〔詳細な説明〕
図1は、本発明の1つの実施形態に係る車輪付き車両1を示す。
【0036】
前記車両1は、車輪付き車両であり、その方向は、特定の経路をたどるように制御することができる。特に注目される実施例の1つは、ステアリングメカニズムを備えた車、例えば、図1に示すような前輪ステアリング車である。本発明は、広範囲の車輪付き車両、後輪ステアリング車、トラック、オートバイ等に適用することができる。最も一般的な場合には、前記車輪付き車両10は、少なくとも1つの車輪12を支持するシャーシ10を備えている。
【0037】
図1の実施例では、前記車両1は、2つの操舵可能な車輪12、13を備えた前車軸11と、2つの非操舵可能な車輪15、16を備えた後車軸14とを接続するシャーシ10を備えた前輪操舵(FWS)車両である。
【0038】
前記車両1は、通常、前記車両1の周囲Eから前記車両の内側Iを画定する本体17を備える。
【0039】
前記車両1の車体17上に、前記車両1の複数のセンサが取り付けられていてもよいし、前記車両1の車体17の内部に取り付けられていてもよい。
【0040】
特に、本発明に係る前記車両1は、前記車両1の前記周囲Eの点群フレームを出力することができる自己較正3次元センサシステム2を備えている。
【0041】
前記センサシステム2は、前記車両上に、または内部に、取り付けられ、固定される。
【0042】
前記センサシステムは、前記車両1の内部処理ユニット18にデータを送ることができ、および/または遠隔サーバー(図示せず)にデータを送ることができる。
【0043】
前記自己較正3次元センサシステム2は、前記車輪付き車両1に取り付けられるように適合された少なくとも1つの3次元センサ21を備える。前記3次元センサ21は、以下でさらに詳細に説明するように、前記車両1の前記周囲Eおよび前記車両1の少なくとも一部の点群および点群フレームを取得することができる。
【0044】
「点群」とは、座標系例えば、以下に詳述するような前記センサの局所座標系Lにおける3次元データ点の集合、を意味する。前記点群の各データ点は、前記センサ21を取り囲むボリューム内に位置する物体の表面の点に対応する。
【0045】
「3次元データ点」とは、座標系、例えば、以下に詳述するような前記センサの局所座標系Lにおける、前記センサの周囲の点の3次元座標であると理解される。3次元データ点は、追加の特性、例えば、前記点で前記センサによって検出された信号の強度をさらに含んでいてもよい。
【0046】
「点群フレーム」とは、一連の点群内のインデックスに関連付けられた点群、例えば、一連の取得中の前記点群の取得時刻を示すタイムスタンプを意味する。したがって、一連の点群フレームは、データフレーム取得のタイムラインで編成されてもよい。
【0047】
前記点群は、特に、前記センサ21の局所座標系Lにおいて取得することができる。
【0048】
前記局所座標系Lは、例えば、前記センサ位置に原点を有する、前記センサ21に関連する座標系Lである。前記局所座標系Lは、直行座標系、円筒座標系、または極座標系とすることができる。
【0049】
3次元センサ21は、例えば、光検知および測距(LIDAR)モジュールのようなレーザレンジファインダ、レーダモジュール、超音波測距モジュール、ソナーモジュール、三角測量を使用する測距モジュール、または前記センサ21の局所座標系Lにおける周囲の単一もしくは複数の点Pの位置を取得することができる他の任意の装置を含むことができる。
【0050】
好ましい実施形態では、3次元センサ21は、初期物理信号を放出し、局所座標系の制御された方向に沿って反射された物理信号を受信する。放出され、反射された物理信号は、例えば、光ビーム、電磁波、または音波であり得る。
【0051】
次いで、前記センサ21は、前記センサ21から、前記センサ21を取り囲むボリューム内に位置する物体の表面上の前記初期信号の反射点Pまでの距離に対応するレンジを算出する。前記レンジは、前記初期信号と前記反射信号とを比較することによって、例えば、発光および受信の時間または位相を比較することによって、算出することができる。
【0052】
前記センサ21の局所座標系における3次元データ点の座標は、前記レンジおよび前記制御された方向から算出することができる。
【0053】
一実施例では、前記センサ21は、一定の時速度を有する光パルスを放出するレーザを備え、前記光パルスは、2つの方向に沿って回転する可動ミラーによって偏向される。反射された光パルスは、前記センサによって収集され、放射されたパルスと受信されたパルスとの間の時差は、前記センサ21の周囲における物体の反射面の間隔を与える。次いで、前記センサ21のプロセッサ、または別個の処理ユニットが、簡単な三角公式を使用して、前記センサによって取得されたそれぞれの観測値を3次元データ点Dに変換する。
【0054】
前記センサ21の前記局所環境のフルスキャンを含む点群は、周期的に取得され、前記センサ21を取り囲む当該ボリューム内の前記物体を表す3次元データ点Dのセットを含む。
【0055】
「局所環境のフルスキャン」とは、前記センサ21が完全な視野をカバーしたことを意味する。例えば、局所環境のフルスキャンの後、レーザベースのセンサの可動ミラーは、元の位置に戻り、新しい回転運動期間を開始する準備ができている。したがって、前記センサによる局所環境のフルスキャンは、二次元カメラによって取得された画像の3次元等価物である。
【0056】
センサ21の前記局所環境のフルスキャンで取得された3次元データ点Dのセットは、点群である。前記センサ21は、所与のフレーマーを有する点群フレームを周期的に取得することができる。
【0057】
前記自己較正3次元センサシステム2は、前記少なくとも1つの3次元センサ21に接続された処理ユニット22をさらに備える。
【0058】
前記処理ユニット22は、前記センサ21から点群および点群フレームを受信することができる。前記処理ユニット22は、前記センサ21と単一のユニットで一体化されてもよく、あるいは、前記車両1に固定された別個のユニットであってもよい。ある実施形態では、前記処理ユニット22は、前記車両1の内部処理ユニット18の一部であってもよい。
【0059】
前記処理ユニット22は、前記センサ21から受信した前記点群および点群フレームを処理して、前記3次元センサ21の前記局所座標系Lにおける前記車輪付き車両1の基点Bの位置を検索することができる。
【0060】
自己較正3次元センサシステム2を用いて、本発明の実施形態に係る前記車輪付き車両1の前記基点Bの位置を検索するための方法を図5に示し、さらに詳しく説明する。
【0061】
一般に、車輪付き車両の「基点」は、以下のように規定することができる。
【0062】
本発明に係る車輪付き車両は、前記車輪がすべて整列したときに車両の車輪の軸線に垂直な対照平面図Sを有する。前記対称面Sは、例えば、車両の中央垂直長手方向平面である。自動二輪車の場合、垂直縦面は、前記車輪が整列されたときに両方の車輪の中央を通る垂直平面である。
【0063】
車両が図2に示すように曲線経路CLに沿って走行しているとき、車両の車輪は、通常は異なるそれぞれの経路P1、P2、P3、P4をたどる。各時点において、前記経路P1、P2、P3、P4の各々は、いわゆる瞬間回転中心の周りの瞬間円(instantaneous circle)によって局所的に近似することができる。特にアッカーマンステアリング条件では、前記経路P1、P2、P3、P4の瞬間回転中心は、車両1の瞬間回転中心Rと一致する。
【0064】
次いで、前記車輪付き車両の前記基点Bは、前記車両1の前記瞬間回転中心Rまでの最小距離を有する前記車両1の前記対称面Sの固有点として識別することができる。
【0065】
車両が操舵不能な車軸、例えば図1の前記前輪操舵車両1の場合には後車軸を含むとき、前記車輪付き車両1の前記基点Bは、図2、3に示すように操舵不能な車軸の中心に位置する。
【0066】
本発明に係る前記車輪付き車両1の基点Bは、様々な実施形態の車輪付き車両の場合において、図4A図4B、および図4Cに示されている。
【0067】
車輪付き車両の前記基点の位置を知ることは、多くの利点を提供する。特に、本発明は、車両の共通の信頼できる基準点に関して、様々なセンサからのデータを併合する方法を提供する。
【0068】
本発明の1つの目的は、3次元センサの前記局所座標系における車輪付き車両1の前記基点Bの位置を検索する簡単で自動的かつ効率的な方法を提供することである。
【0069】
本発明に係るこのような方法は、図5に詳細に示されている。
【0070】
第1のステップでは、前記車輪付き車両1が図2に示すように直線経路SLに沿って移動している間に、前記センサ21を動作させることによって、前記車両1の前記周囲Eの一連の第1の点群フレームC1が取得される。
【0071】
前記第1の点群フレームC1は、上述したように、前記3次元センサ21の前記局所座標系Lにおいて取得される。
【0072】
前記一連の第1の点群フレームC1は、それぞれの取得回数のタイプスタンプのセット{t1,・・・,t1}に関連付けられた点群のセット{C1,・・・,C1}を含む。
【0073】
前記第1の点群フレームC1は、前記センサ21の前記局所座標系Lにおける前記車輪付き車両1の主方向ベクトルVを算出するように、前記処理ユニット22によって処理される。
【0074】
前記車輪付き車両1の前記主方向ベクトルVは、3次元(または、前記点群が水平面上に投影される場合には2次元)ベクトルである。
【0075】
前記主方向ベクトルVは、ベクトルであり、したがって、前記3次元センサ21の前記局所座標系Lにおける前記車両1の方位の徴候(indication)を含むだけであり、前記座標系Lにおける前記対照平面図Sの前記基点Bを位置付けるのには不十分であることに留意されたい。
【0076】
上述のように、前記3次元センサ21によって取得された各点群は、前記車両1の前記周囲Eの点P_Eを表すデータ点DP_Eだけでなく、前記車両1の点P_Vを表すデータ点DP_Vを含んでいてもよい。例えば、前記センサ21が前記車両1のルーフに取り付けられている場合、前記センサ21によって取得された点群は、前記車両の前記ルーフのいくつかの点を捕捉することができる。
【0077】
前記第1の点群フレームC1の場合、前記車両1の前記周囲Eを表すデータ点DP_Eにより特に関心がある。
【0078】
従って、前記主方向ベクトルVを決定するように、前記第1の点群フレームC1をセグメント化して、それぞれ、前記周囲Eを表すデータ点DP_E、前記車両1自体を表すデータ点DP_Vを識別し、フラグを立てることができる。このセグメント化は、静止点または前記点群の領域を識別するように、一連の第1の点群フレームC1を互いに比較することによって実行することができる。前記点群フレームC1がセグメント化されると、前記車両1を表すデータ点DP_Vは、前記第1の点群フレームC1から無視されてもよい。
【0079】
次いで、動きの方向を算出するように、一連の第1の点群フレームC1を互いに比較することによって、前記主方向ベクトルVが算出される。
【0080】
そのような比較は、例えば、P.J.BeslおよびN.D.McKayの”A method for registration of 3-d shapes”、IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence、14(2):239−256、1992、またはFZang ChenおよびGerard Medioni による“Object modelling by registration of multiple range images” Image Vision Comput、10(3)、1992、によって詳述されているような、反復最近点アルゴリズム(ICP)を使用することによって実行することができる。ICPアルゴリズムは、変換空間上で規定された関数を最適化することによって、2つのフレームのペアワイズ(pair-wise)変換のセットを見つけようと試みる変換空間内の探索を含む。ICPの変形例は、「最小二乗距離の合計」のようなエラーメトリックから、「画像距離」または確率的メトリックのような品質測定(quality metric)までの範囲の、最適化関数を含む。この実施形態において、したがって前記処理ユニット22は、前記センサ21の前記局所座標系Lにおける前記車両1の前記主方向ベクトルVを決定するように、前記第1の点群{C1,・・・,C1}の中のいくつかの点群の変換空間上で規定される関数を最適化することができる。
【0081】
本発明に係る方法の別のステップでは、前記車輪付き車両1が図3に示すように曲線経路CLに沿って移動している間に、前記センサ21を動作させることによって、前記車両1の前記周囲Eの一連の第2の点群フレームC2が取得される。
【0082】
ここでも、前記第2の点群フレームC2は、上述したように、前記3次元センサ21の前記局所座標系Lにおいて取得される。
【0083】
一連の第2の点群フレームC2は、それぞれの取得回数{t1,・・・,t1}のタイムスタンプのセットに関連付けられたM個の点群{C2,・・・,C2}のセットを含む。
【0084】
次いで、前記第2の点群フレームC2は、曲線経路CLに沿って移動する前記車輪付き車両1の瞬間回転中心Rの少なくとも1つの位置を決定するように、前記処理ユニット22によって処理される。
【0085】
瞬間回転中心Rの前記位置は、前記センサ21の前記局所座標系Lにおいて決定される。
【0086】
瞬間回転中心Rの前記位置は、前記センサベクトルの前記局所座標系Lにおける前記瞬間回転中心Rの3次元座標(または、前記点群が水平平面上に投影される場合には二次元座標)の組として表される。
【0087】
ここでも、前記車両1の前記周囲Eを表すデータ点DP_Eに特に関心があるので、特に、静止点または前記点群の領域を識別するように一連の第2の点群フレームC2を互いに比較することによって、前記第2の点群フレームC2をセグメント化して、前記周囲Eを表すデータ点DP_Eと前記車両1を表すデータ点DP_Vとを識別し、フラグを立てることができる。次いで、前記車両1を表すデータ点DP_Vを、前記第2の点群フレームC2から無視させることができる。
【0088】
前記主方向ベクトルVの前記算出と同様に、前記瞬間回転中心Rの位置は、例えば、動きの方向を算出するように、一連の第2の点群フレームC2を互いに比較することによって算出することができる。
【0089】
このような比較は、ここでも、P.J.BeslおよびN.D.McKayによる“A method for registration of 3-d shapes” IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence,14(2):239―256,1992、において詳述されているような、または、Yang ChenおよびGerard Medioniによる“Object modelling by registration of multiple range images” Image Vision Comput,10(3),1992、に詳述されているような、反復最近点アルゴリズム(ICP)を使用して実行することができる。ICPアルゴリズムは、変換空間上で規定された関数を最適化することによって、2つのフレームのペアワイズ変換のセットを見つけようと試みる変換空間内の探索を含む。ICPの変形例は、「最小二乗距離の合計」のようなエラーメトリックから「画像距離」または確率的メトリックのような品質測定までの範囲の最適化関数を含む。この実施形態において、したがって前記処理ユニット22は、前記センサ21の前記局所座標系Lにおける前記車両1の前記瞬間回転中心Rの位置を決定するように、前記第2の点群{C2,・・・,C2}の中のいくつかの点群の変換空間上で規定される関数を最適化することができる。
【0090】
本発明に係る方法のさらに別のステップでは、少なくとも1つの第3の点群C3が、前記センサ21を動作させることによって取得される。
【0091】
上述のように、前記第3の点群C3は、前記車両1の前記周囲Eを表すデータ点DP_Eと、前記車両1を表すデータ点DP_Vとを含んでいてもよい。
【0092】
したがって、前記周囲Eを表すデータ点DP_Eと、前記車両1を表すデータ点DP_Vとをセグメント化し、フラグを立てる上記の詳細な動作は、前記第3の点群C3の場合にも実行することができる。
【0093】
しかし、前記第1の点群フレームC1および前記第2の点群フレームC2とは異なり、ここでは、前記第3の点群C3のうち、前記車両1のデータ点DP_Vに特に関心がある。
【0094】
前記第3の点群C3がセグメント化されると、前記車両1の前記周囲Eを表すデータ点DP_Eは、今度は、前記第3の点群C3から無視されることができる。
【0095】
一実施形態では、前記第3の点群C3は、前記第1の点群フレームC1および第2の点群フレームC2のうちの少なくとも2つの点群フレームから生成される。
【0096】
前記第3の点群C3は、例えば、静止点もしくは前記点群の領域であって前記車両1のデータポイントDP_Vとしてこのようにフラグを立てることができ前記第3の点群C3を生成するように収集され得る静止点もしくは前記点群の領域を識別するように、2つの点群フレームを比較することによって、生成することができる。
【0097】
前記第3の点群C3は、前記車両1の部分Tを表す。
【0098】
前記車両1のこのような部分Tの実施例は、図1に示されている。前記車両の前記部分Tは、前記車輪付き車両1の前記対称面Sの両側に略同様の距離で延在する。
【0099】
「対称面の両側に同様の距離で延在する」とは、前記対称面Sの一方の側の前記第3の点群C3の前記データ点の最大距離が、前記対称面Sの他方の側の前記第3の点群C3の前記データ点の最大距離に近いことを意味する。したがって、前記対称面Sに対する前記第3の点群C3の重心または前記第3の点群C3の中間延伸は、前記対称面S上またはその近傍に位置する。
【0100】
図1の実施例では、前記センサ21は、車両1の前記ルーフ19に取り付けられている。この例では、前記車両の前記部分Tは、前記ルーフ19の一部、特に、前記ルーフ19の左側エッジ19aの少なくとも一部、および前記ルーフ19の右側エッジ19bの少なくとも一部を含む。ルーフの左側方エッジ19aおよび右側方エッジ19bは、図1に示すように、前記車輪付き車両1の前記対称面Sに関して規定される。
【0101】
本発明の一実施形態では、前記車両の前記部分Tは、前記車両1の前記ルーフ19の全幅(full width)を含む。
【0102】
前記第3の点群C3が提供されると、前記処理ユニット22は、前記主方向ベクトルVおよび前記第3の点群C3から、前記センサ21の前記局所座標系Lにおける前記車輪付き車両1の主方向線Mを規定することができる。
【0103】
一実施形態では、前記処理ユニット22は、前記主方向線Mは、前記主方向ベクトルVに沿って配向され、前記主方向ベクトルVに垂直な平面上の前記第3の点群C3の射影の重心を通る3次元線であるように、前記主方向ベクトルVに垂直な前記局所座標系Lの平面における前記主方向ベクトルVの横方向位置を決定する。
【0104】
別の実施形態では、前記処理ユニット22は、最初に、前記第3の点群C3から、前記車輪付き車両の前記対称面S上に位置する中点Oの、前記局所座標系における3次元位置を決定することができる。この目的のために、前記処理ユニット22は、上で詳述したように、前記第3の点群C3の重心の位置を単純に決定することができる。
【0105】
次いで、前記車輪付き車両1の前記主方向線Mは、前記センサ21の前記局所座標系Lにおいて、前記主方向ベクトルVに沿って配向され、前記中点Oを通過する3次元線として決定されてもよい。
【0106】
上述した第1のおよび第2の実施例は、前記第3の点群C3の重心が、前記実施例において前記主方向ベクトルVに垂直な平面上の2次元でのみ算出されることを除いて、同様である。
【0107】
前記取得された点群から、前記車輪付き車両1の前記主方向線Mと、前記車両1の瞬間回転中心Rの位置とが決定されると、図3に示すように、前記車両1の前記基点の位置を検索することができる。
【0108】
前記局所座標系Lにおける前記基点Bの位置は、前記瞬間回転中心Rまでの最小間隔を有する前記主方向線Mの点を見つけることによって得られる。
【0109】
したがって、前記センサの前記局所座標系における前記基点Bの位置は、前記基点Bを前記瞬間回転中心Rに接続する線が前記主方向線Mに垂直であるような位置である。
【0110】
図3に示すように曲線経路に沿って移動する前記車両1の運動力学を見ると、前記基点Bは、このように、非操舵軸(例えば、図1の前輪操舵(FWS)車両の後車軸)の中心に自然に位置することが分かる。
【0111】
前記センサ21の前記局所座標系L内の前記基点Bの位置は、単純に前記車両1の2つの標準経路(直線経路および任意の曲線経路)に沿ってデータを記録することによって決定されることが強調されるべきである。したがって、上述の検索手順は、外部の較正ツールを必要としないので、安価である。連続的な再較正のために、容易に再構成され、取得プロセスに統合されることさえできる。
【0112】
上述のプロセスは、衝撃または経年変化など、前記センサシステムの前記較正を変更する(modify the calibration)可能性がある事象に対して、前記3次元センサシステムを高度にレジリエントにするために使用することができる。
【0113】
この方法は、2つ以上の3次元センサ21を含む3次元センサ装置2に容易に拡張することができる。この場合、前記第1の点群フレームおよび/または前記第2の点群フレームは、前記車両に取り付けられた前記2つ以上の3次元センサによってそれぞれ取得された点群を融合することによって決定されてもよい。あるいは、別個の基点位置は、前記点群を併合する(merge)ために、前記2つ以上の3次元センサの各局所座標系において決定されてもよい。
【0114】
より一般的には、前記車輪付き車両の車体フレーム座標系Fは、前記車輪付き車両の前記基点Bの位置を前記センサの前記車体フレーム座標系Fの原点として設定するステップと、前記主方向ベクトルVおよび瞬間回転中心Cの位置に基づいて前記車体フレーム座標系Bの少なくとも1つの軸を規定するステップとによって、前記センサ21の前記局所座標系Lにおいて決定されてもよい。
【0115】
一実施例では、前記車体フレーム座標系Fの第1の軸Xは、前記主方向ベクトルVによって規定され、第2の軸Yは、前記基点Bから前記瞬間回転中心Cに向けられたベクトルによって規定され、第3の軸Zは、前記第1のおよび第2の軸に垂直な方向として規定され得る。
【0116】
前記車体フレーム座標系Fの1つの長所は、前記センサシステム2によって自律的に決定することができるとしても、前記車両の一般的な運動特性、特に前記基点および前記主方向ベクトルに関して規定されることである。したがって、別のセンサ、特に別の3次元センサ、または処理ユニットは、効率的かつ信頼性のある方法で、そのような座標系を使用することができる。
【0117】
したがって、前記センサ21によって取得された前記点群フレームを登録する(register)ように、前記車体フレーム座標系Fを使用することができる。
【0118】
本発明は、このように、前記車輪付き車両1に取り付けられた3次元センサ21により取得された点群フレームを、前記車輪付き車両1の車体フレーム座標系Fに登録する方法にも関する。
【0119】
この方法は、前記少なくとも1つの3次元センサ21からの複数の点群フレームを前記センサの局所座標系Lで受信するステップと、前記複数の点群フレームを用いて上述の方法を実行することによって、前記車輪付き車両1の車体フレーム座標系Fを検索するステップと、前記センサ21によって取得された少なくとも1つの点群フレームを前記センサの前記局所座標系Lで前記車輪付き車両1の前記車体フレーム座標系Fに登録するステップと、を含む。
【0120】
前記登録するステップは、前記点群の前記データ点の前記位置に座標系変換を適用することによって達成される。
【0121】
特に、本発明に係る自己較正3次元センサシステム2は、3次元センサによって取得された点群フレームを登録するための前記方法の各ステップを実行するように動作することができる。
【0122】
特に興味深い本発明の一実施形態では、前記自己較正3次元センサシステム2が内部に、または外部に取り付けられる前記車両1は、自動運転車両である。
【0123】
この実施形態において、前記センサ21は、前記自動運転車両の運転を担当する前記車両1の内部処理ユニット18と通信可能である。
【0124】
本発明のいくつかの実施形態では、前記自己較正3次元センサシステム2は、少なくとも1つの登録された点群フレームを出力する、例えば、前記登録された点群フレームを前記車両1の内部処理ユニット18に出力するように動作可能な通信ユニットを備えることができる。前記通信ユニットは、装置2の前記処理ユニット22内に統合することができる。
【0125】
当業者にはよく理解されるように、本明細書で説明するいくつかの様々なステップおよびプロセスは、コンピュータ、プロセッサ、または電気現象を使用してデータを操作および/または変換する他の電子計算装置によって実行される動作を指すことができる。これらのコンピュータおよび電子装置は、コンピュータまたはプロセッサによって実行されることが可能な様々なコードまたは実行可能命令を含む実行可能プログラムが格納された非一時的コンピュータ読み取り可能記録媒体を含む様々な揮発性および/または不揮発性メモリを使用することができ、メモリおよび/またはコンピュータ読み取り可能記録媒体は、すべての形態およびタイプのメモリおよび他のコンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。
【0126】
上記の説明は、単に本発明の例示的な実施形態を開示し、説明したに過ぎない。当業者は、そのような議論から、および添付の図面および特許請求の範囲から、以下の特許請求の範囲に規定される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、修正、および変形を行うことができることを容易に認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0127】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る自己較正3次元センサシステムを備える車輪付き車両の概略斜視図である。
図2図2は、車輪を示すため、前記車両の車体を不図示にした、直線経路を辿る図1の車輪付き車両の概略上面図である。
図3図3は、曲線経路を辿る図2の前記車輪付き車両の概略上面図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態に係る自己較正3次元センサシステムを備える図1の前記車輪付き車両の代替構成を示す。
図4B図4Bは、本発明の一実施形態に係る自己較正3次元センサシステムを備える図1の前記車輪付き車両の代替構成を示す。
図4C図4Cは、本発明の一実施形態に係る自己較正3次元センサシステムを備える図1の前記車輪付き車両の代替構成を示す。
図5図5は、本発明の実施形態に係る車輪付き車両の基点の位置を検索するための方法を詳述するフローチャートである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5