(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来から、かごドアを閉位置で保持する位置保持部を備えたエレベータ用ドア装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、かごドア装置は、
図11に示すように、ローラ911を有するドアハンガー912を上部に備えたかごドア91と、乗りかご9の出入口の上方に配置されるレール枠92と、レール枠92によって水平方向に支持されているレール93と、かごドア91の位置を保持する位置保持部94と、を備える。
【0004】
位置保持部94は、
図12及び
図13にも示すように、レール枠92に配置される第一作動部95と、かごドア91に配置される第二作動部96と、を有する。
【0005】
第一作動部95は、下向きに突出する突起部951aを設けたブラケット951と、突起部951aのそれ以上の下方の変位を阻止するストッパ952と、ブラケット951とレール枠92との間に配置される圧縮バネ953と、を有する。
【0006】
第二作動部96は、かごドア91から上方に延び且つ傾斜可能に下端部がかごドア91に接続されているレバー961と、レバー961の上端部に回転可能に配置されているローラ962と、レバー961を戸当たり側に傾斜させるように付勢している巻胴バネ963と、巻胴バネ963によって付勢されたレバー961の戸当たり側への傾斜を規制しているストッパ964と、を有する。
【0007】
以上のように構成されるかごドア装置90において、戸開時には、全閉状態からかごドア91が戸開方向に移動(
図12における左方向に移動:矢印参照)すると、ローラ962がブラケット951の突起部951aに接触し、その反力でレバー961が戸当たり側に傾斜(図示時計方向回り)しようとする。しかし、レバー961がストッパ964によってその傾斜を規制されているため、かごドア91の戸開方向への移動によって、ローラ962がブラケット951の突起部951aを圧縮バネ953の付勢力に逆らって上方に押し上げ(
図12の二点鎖線参照)、かごドア91が戸開方向に移動する。
【0008】
一方、戸閉時には、かごドア91が戸当たり近傍まで戸閉方向に移動(
図13における右方向に移動:矢印参照)すると、ローラ962がブラケット951の突起部951aに接触する。さらに、かごドア91が移動し続けると、巻胴バネ963により付勢されたレバー961が、ブラケット951の突起部951aによって巻胴バネ963の付勢方向とは逆方向(戸開方向)に回動し、かごドア91が全閉する。
【0009】
このかごドア装置90では、かごドア91が全閉状態のときに(
図11及び
図12参照)、ローラ962がブラケット951の突起部951aの戸閉方向側に位置しているため、例えば、停電等によってドア駆動装置に戸閉力がなくなった状態で、かごドア91に戸開方向の力が作用しても、ローラ962がブラケット951の突起部951aを押し上げる大きさの戸開方向の力が作用しないかぎり、かごドア91は戸開しない。即ち、位置保持部94によってかごドア91の戸閉位置が保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年、乗りかご9のオーバーヘッド寸法を削減するために、かごドア装置90の高さを抑制することが求められている。このため、かごドア装置90において、多数の部材951〜953、961〜964を有し、且つ、バネ953、963による付勢やストッパ952、964による動作範囲の規制、レバー961の回動機構、カム機構等の複雑な構成の位置保持部94を配置するためのスペースの確保が困難になっている。
【0012】
そこで、本発明は、開閉部の位置を保持する位置保持部の構成を簡素化したエレベータ用ドア装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のエレベータ用ドア装置は、
かご又は乗場の出入口の上方において該出入口の幅方向に延びるレールを有し、前記出入口の上方に配置されるフレーム部と、
ドアと該ドアを直接又は間接に吊り下げた状態で前記レールに沿って往復動可能なドアハンガーとを有し、前記出入口を開閉する開閉部と、
前記出入口を塞ぐ閉位置及び前記出入口を開放する開位置のうちの少なくとも閉位置の前記開閉部に対して該開閉部の位置を保持する位置保持部と、を備え、
前記位置保持部は、前記フレーム部及び前記開閉部の少なくとも一方に配置される磁石を有し、該磁石の磁力によって前記開閉部の位置を保持する。
【0014】
また、本発明のエレベータ用ドア装置は、
出入口を有するかご本体と、
前記かご本体における前記出入口の上方において該出入口の幅方向に延びるレールと、
ドアと該ドアを直接又は間接に吊り下げた状態で前記レールに沿って往復動可能なドアハンガーとを有し、前記出入口を開閉する開閉部と、
前記出入口を塞ぐ閉位置及び前記出入口を開放する開位置のうちの少なくとも閉位置の前記開閉部に対して該開閉部の位置を保持する位置保持部と、を備え、
前記位置保持部は、前記かご本体、前記レール、及び前記開閉部の少なくとも一つに配置される磁石を有し、該磁石の磁力によって前記開閉部の位置を保持する。
【0015】
これらの構成によれば、磁石の磁力を利用して開閉部の位置を保持するため、バネや回動機構、カム機構等の多数の部材が配置された従来の位置保持部に比べ、構成の簡素化が可能である。
【0016】
前記エレベータ用ドア装置において、
前記ドアハンガーの少なくとも一部は、強磁性体であり、
前記磁石は、前記開閉部が前記閉位置及び前記開位置のうちの少なくとも閉位置のときの前記強磁性体と対応する位置に配置されてもよい。
【0017】
このように、ドアハンガーの少なくとも一部を強磁性体で構成することにより、閉位置及び開位置のうちの少なくとも閉位置と対応する位置に磁石を配置するだけで開閉部の位置を該磁石の磁力によって保持することが可能となるため、位置保持部の構成をより簡素化することができる。
【0018】
例えば、エレベータ用ドア装置において、
前記ドアハンガーは、前記レールに接した状態で前記開閉部の該レールに沿った移動に伴って回転するローラを有し、
前記ローラは、前記強磁性体で構成された部位を含んでもよい。
【0019】
このように、開閉部の開閉動作に用いられる部材(ローラ)を強磁性体を含む構成にし、磁力によって開閉部の位置を保持可能な構成とすることで、強磁性体で構成された部材を別途に配置する構成に比べ、配置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0020】
この場合、
前記レールの一部は、前記磁石によって構成されることが好ましい。
【0021】
このように、開閉部の開閉動作に用いられる部材(レール)の一部を磁石にして開閉部の位置を保持可能な構成とすることで、磁石を別途配置する構成に比べ、配置スペースのさらなる省スペース化を図ることができる。
【0022】
また、前記エレベータ用ドア装置では、
前記ドアハンガーは、開閉方向に間隔をあけて配置される二つの前記ローラを有し、
前記位置保持部は、
前記開閉部が前記閉位置のときの前記二つのローラのうちの戸閉側のローラと対応する位置に配置される第一磁石と、
前記開閉部が前記開位置のときの前記二つのローラのうちの戸開側のローラと対応する位置に配置される第二磁石と、を有してもよい。
【0023】
かかる構成によれば、閉位置での開閉部の位置が第一磁石によって保持される一方、開位置での開閉部の位置が第二磁石によって保持される。しかも、第一磁石が、閉位置の開閉部における戸閉側のローラと対応する位置に配置され、且つ、第二磁石が、開位置の開閉部における戸開側のローラと対応する位置に配置されているため、開閉部の戸開方向の移動のときに戸開側のローラが第一磁石の影響を受け難く、且つ、開閉部の戸閉方向の移動のときに戸閉側のローラが第二磁石の影響を受け難く、これにより、開閉部の開閉時における磁力に起因する開閉速度の変動(即ち、速度ムラ)が抑えられる。
【0024】
また、前記エレベータ用ドア装置では、
前記磁石は、前記閉位置の前記開閉部に対して戸閉側への力が働く位置に配置されてもよい。
【0025】
かかる構成によれば、全閉状態のときの開閉部の閉位置からの戸開側へのずれを防ぐことができる。
【0026】
また、前記エレベータ用ドア装置では、
前記磁石は、前記開位置の前記開閉部に対して戸開側への力が働く位置に配置されてもよい。
【0027】
かかる構成によれば、全開状態のときの開閉部の開位置からの戸閉側へのずれを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0028】
以上より、本発明によれば、開閉部の位置を保持する位置保持部の構成を簡素化したエレベータ用ドア装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態について、
図1〜
図5を参照しつつ説明する。
【0031】
本実施形態に係るエレベータ用ドア装置(以下、単に「ドア装置」と称する。)は、
図1に示すような、建物内を複数の階層に跨って上下方向に延びる昇降路11と、昇降路11内を昇降するかご12と、を備えるエレベータ10において、かご12の出入口120を開閉する。このかご12は、出入口120を有するかご本体121と、かご本体121に配置されて出入口120を開閉するドア装置1と、を有する。
【0032】
ドア装置1は、
図2〜
図4にも示すように、かご本体121における出入口120の上方に配置されるフレーム部2と、かご12の出入口120を開閉する開閉部3と、開閉部3の位置を保持する位置保持部4と、を備える。また、ドア装置1は、開閉部3を駆動する駆動装置5等も備える。本実施形態のドア装置1は、いわゆるセンターオープン式のドア装置であり、開閉方向(
図2における左右方向)に接離可能な二つの開閉部3を有する。
【0033】
フレーム部2は、開閉部3を案内するガイドレール(レール)21と、かご本体121の上部に配置されてガイドレール21が取り付けられるフレーム22と、を有する。このフレーム22には、駆動装置5の各構成も取り付けられている。
【0034】
ガイドレール21は、かご本体121の出入口120の上方において該出入口120の幅方向(開閉方向)に延びている。このガイドレール21は、開閉部3において開閉方向に間隔をあけて配置される二つのローラ322が該ガイドレール21上をそれぞれ転がることで、開閉部3をガイドレール21の延びる方向(開閉方向)に案内する。本実施形態のガイドレール21は、二つの開閉部3のそれぞれを案内する。
【0035】
ガイドレール21の一部は、磁石210によって構成されている。即ち、ガイドレール21は、磁石210を含む。本実施形態の磁石210は、いわゆる永久磁石である。このガイドレール21では、開閉方向の中央部が磁石(第一磁石)210aによって構成されると共に、開閉方向の端部が磁石(第二磁石)210bによって構成されている。本実施形態のガイドレール21では、開閉方向の両端部が第二磁石210bによって構成されている。また、ガイドレール21において、各磁石210a、210bの間の部位(磁石間部位)211は、オーステナイト系ステンレスや真鍮等の磁化し難い素材によって構成されている。これら各磁石210と磁石間部位211との接続部位は、例えば、端部を段差形状にして互いに突き合せた状態で溶接やボルトB等によって連結されている(
図5参照)。本実施形態のドア装置1では、これらの磁石210(第一磁石210a、第二磁石210b)が位置保持部4を構成する。即ち、ガイドレール21の一部が、位置保持部4によって構成されている。
【0036】
尚、磁石210と磁石間部位211との接続部位の具体的な構成は限定されない。前記接続部位は、開閉部3のローラ322が通過するときに衝撃を与えないような構成であればよい。また、本実施形態のガイドレール21では、一方の開閉部3用の第一磁石と他方の開閉部3用の第一磁石とが共通の磁石(一つの第一磁石210a)によって構成されているが、一方の開閉部3用の第一磁石と他方の開閉部3用の第一磁石との二つの第一磁石210aが配置されていてもよい。
【0037】
駆動装置5は、フレーム22に取り付けられ、開閉部3を直接又は間接に駆動する。この駆動装置5は、ガイドレール21の上方位置において開閉方向に間隔をあけて配置される一対のプーリー51と、一対のプーリー51に架け渡された無端環状のベルト体52と、一対のプーリー51のうちの一方のプーリー51を回転駆動するモータ53と、を有する。
【0038】
二つの開閉部3のそれぞれは、上下方向に長尺な矩形状のドア31と、該ドア31を直接又は間接に吊り下げた状態でガイドレール21に沿って往復動可能なドアハンガー32と、を有する。
【0039】
ドアハンガー32は、ローラ322を有する。このドアハンガー32の少なくとも一部は、強磁性体である。具体的に、ドアハンガー32は、上下方向及び開閉方向を含む面方向に沿った板状の本体321と、本体321に取り付けられてガイドレール21に案内されるローラ322と、本体321と駆動装置5のベルト体52とを連結する連結部材323と、を有する。
【0040】
ローラ322は、ガイドレール21に接した状態で開閉部3の該ガイドレール21に沿った移動に伴って回転する。このローラ322は、強磁性体で構成された部位を含んでいる。具体的に、ローラ322は、本体321から延びる軸3221と、軸3221を回転中心にして回転可能なローラ体3222と、を有する。軸3221は、本体321から出入口120における乗客の出入り方向(かご12と乗場とが対向する方向)に延びる。ローラ体3222は、強磁性を有する金属によって構成されている。このローラ体3222は、外周上において周方向の全周に亘って延びる溝を有し、該溝にガイドレール21が嵌まり込む。具体的には、ローラ体3222は、SS400(一般構造用圧延材)、SUM23(硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材)、S45(機械構造用炭素鋼)等によって構成されている。尚、ローラ322(詳しくはローラ体3222)は、強磁性体のみで構成されていなくてもよい。即ち、ローラ322は、強磁性体で構成される部位を含んでいればよい。
【0041】
このように構成されるローラ322は、各ドアハンガー32に二つずつ配置されている。これら二つのローラ322は、ドアハンガー32において開閉方向に間隔をあけて配置されている。
【0042】
具体的に、二つのローラ322のうちの戸閉方向側のローラ(第一ローラ)322aは、開閉部3が出入口120を塞ぐ閉位置(
図3参照)のときに、第一磁石210aと対応する位置であり、二つのローラ322のうちの戸開方向側のローラ(第二ローラ)322bは、開閉部3が出入口120を開放する開位置(
図4参照)のときに、第二磁石210bと対応する位置である。換言すると、ガイドレール21において、第一磁石210aは、開閉部3が閉位置のときの第一ローラ322aと対応する位置に配置され、第二磁石210bは、開閉部3が開位置のときの第二ローラ322bと対応する位置に配置されている。本実施形態の第一磁石210aは、開閉部3が閉位置のときに第一ローラ322aの下方位置に配置され、第二磁石210bは、開閉部3が開位置のときに第二ローラ322bの下方位置に配置されている。
【0043】
連結部材323の下端部は、本体321に接続され、連結部材323の上端部は、駆動装置5のベルト体52に接続される。二つの開閉部3うちの一方(
図2における右側)の開閉部3におけるドアハンガー32の連結部材323は、一対のプーリー51に架け渡された無端環状のベルト体52における上側に位置する部位に接続される。また、二つの開閉部3のうちの他方(
図2における左側)の開閉部3におけるドアハンガー32の連結部材323は、一対のプーリー51に架け渡された無端環状のベルト体52における下側に位置する部位に接続されている。
【0044】
以上のように構成されるドア装置1では、各開閉部3が閉位置のとき(ドア装置1が全閉状態のとき)に、各ドアハンガー32の第一ローラ322aがガイドレール21の第一磁石210a(位置保持部4)上に位置している。このため、開閉部3が戸開方向に移動するために第一ローラ322aがガイドレール21上を回転しようとしたときに、第一磁石210aの磁力によって前記回転を妨げる方向の力が第一ローラ322aに働く。このとき、第一磁石210aの磁力に起因する前記回転を妨げる方向の力が、開閉部3に加わる戸開方向の力より大きいときに、開閉部3の位置が維持される(即ち、閉位置が保持される)。
【0045】
本実施形態のドア装置1における第一磁石210aの磁力の大きさは、かご12内の乗客が開閉部3を開こうとして該開閉部3に戸開方向の力を加えても閉位置の開閉部3は戸開せず(閉位置が保持され)、且つ、駆動装置5による戸開方向の力(駆動力)が閉位置の開閉部3に働いた(伝達された)ときには、戸開する大きさである。
【0046】
一方、ドア装置1において、各開閉部3が開位置のとき(ドア装置1が全開状態のとき)に、各ドアハンガー32の第二ローラ322bがガイドレール21の第二磁石210b(位置保持部4)上に位置している。このため、開閉部3が戸閉方向に移動するために第二ローラ322bがガイドレール21上を回転しようとしたときに、第二磁石210bの磁力によって前記回転を妨げる方向の力が第二ローラ322bに働く。このとき、第二磁石210bの磁力に起因する前記回転を妨げる方向の力が、開閉部3に加わる戸閉方向の力より大きいときに、開閉部3の位置が維持される(即ち、開位置が保持される)。
【0047】
本実施形態のドア装置1における第二磁石210bの磁力の大きさは、乗場側の戸閉装置による戸閉方向の力が開位置(戸袋内)の開閉部3に働いても戸閉せず(開位置が保持され)、且つ、駆動装置5による戸閉方向の力(駆動力)が開位置の開閉部3に働いた(伝達された)ときには、戸閉する大きさである。
【0048】
以上のドア装置1によれば、磁石210の磁力を利用して開閉部3の位置を保持するため、バネや回動機構、カム機構等の多数の部材が配置された従来の位置保持部(例えば、
図11〜
図13参照)に比べ、構成を簡素化することができる。
【0049】
また、上記実施形態のドア装置1では、ドアハンガー32の少なくとも一部が強磁性体であり、磁石210は、開閉部3が閉位置や開位置のときの前記磁性体と対応する位置にそれぞれ配置されている。このように、ドアハンガー32の少なくとも一部を強磁性体で構成することにより、閉位置や開位置と対応する位置に磁石210を配置するだけで開閉部3の位置を保持することが可能となるため、位置保持部4の構成をより簡素化できる。
【0050】
具体的に、本実施形態のドア装置1では、ローラ322が強磁性体で構成された部位を含んでいる。このように、開閉部3の開閉に用いられる部材(ローラ322)を強磁性体を含む構成にし、磁力によって開閉部3の位置を保持可能な構成とすることで、強磁性体で構成された部材を別途に配置する構成に比べ、配置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0051】
また、本実施形態のドア装置1では、ガイドレール21の一部が、磁石210(位置保持部4)によって構成されている。このように、開閉部3の開閉に用いられる部材(ガイドレール21)の一部を磁石210(位置保持部4)にして開閉部3の位置を保持可能な構成とすることで、磁石210(位置保持部4)を別途配置する構成に比べ、配置スペースのさらなる省スペース化を図ることができる。
【0052】
また、本実施形態のドア装置1では、開閉部3が閉位置のときの第一ローラ322aと対応する位置に第一磁石210aが配置され、開閉部3が開位置のときの第二ローラ322bと対応する位置に第二磁石210bが配置されている。このため、閉位置での開閉部3の位置が第一磁石210aによって保持される一方、開位置での開閉部3の位置が第二磁石210bによって保持される。しかも、第一磁石210aが、閉位置の開閉部3における戸閉側のローラ(第一ローラ322a)と対応する位置に配置され、且つ、第二磁石210bが、開位置の開閉部3における戸開側のローラ(第二ローラ322b)と対応する位置に配置されているため、開閉部3の戸開方向の移動のときに戸開側のローラ(第二ローラ322b)が第一磁石210aの影響を受け難く、且つ、開閉部3の戸閉方向の移動のときに戸閉側のローラ(第一ローラ322a)が第二磁石210bの影響を受け難い。これにより、開閉部3の開閉方向の移動時における磁力に起因する移動速度の変動(即ち、速度ムラ)が抑えられる。
【0053】
尚、本発明のエレベータ用ドア装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0054】
上記実施形態のドア装置1は、かご12に配置されて該かご12の出入口120を開閉するが、この構成に限定されない。ドア装置1は、乗場に配置されて該乗場の出入口を開閉する構成でもよい。この場合、ガイドレール21が取り付けられるフレーム22は、乗場の三方枠や該三方枠の一部を構成してもよい。また、フレーム22は、乗場において三方枠に取り付けられてもよく、三方枠とは別に設けられてもよい。
【0055】
また、上記実施形態の位置保持部4は、磁石210のみによって構成されているが、この構成に限定されない。位置保持部4は、例えば、磁石210と、該磁石210を支持する支持部と、を有し、該支持部がフレーム部2や開閉部3等に固定される構成等でもよい。また、位置保持部4は、磁石210と、開閉部3の位置の保持のために磁石210の磁力を及ぼす対象である強磁性体によって構成される部材と、を有していてもよい。即ち、位置保持部4は、強磁性体によって構成され且つ開閉部3の位置の保持のためだけに用いられる部材を有していてもよい。
【0056】
また、上記実施形態のドア装置1では、位置保持部4(磁石210)がガイドレール21に配置されているが、この構成に限定されない。位置保持部4(磁石210)又は位置保持部4の一部の構成(磁石210や強磁性体で構成される部材等)が、開閉部3(ドア31、ドアハンガー32)や、フレーム22、かご本体(三方枠、敷居等を含む)121等に配置されてもよい。
【0057】
上記実施形態のドア装置1では、開閉部3の開閉動作に用いられる部材(上記実施形態の例では、ガイドレール21及びドアハンガー32)の一部を、位置保持部(第一磁石210a、第二磁石210b)や強磁性体(第一ローラ322a、第二ローラ322b)によって構成しているが、この構成に限定されない。位置保持部4を構成する磁石210や強磁性体は、他の目的(開閉部3の位置を保持する目的以外の目的)で使用される部材の一部を構成せずに、例えば、
図6に示すように、開閉部3の位置を保持するためだけに独立の部材(構成)としてフレーム部2や開閉部3、かご本体121等に配置されていてもよい。
図6に示す例では、位置保持部4は、ドアハンガー32の本体321に固定されたブラケット35と、ガイドレール21における閉位置の開閉部3に取り付けられたブラケット35と対応する位置に配置される磁石210と、を有する。尚、ブラケット35は、強磁性体によって構成され、磁石210は、ボルト等によってガイドレール21に連結されている。
【0058】
また、上記実施形態の位置保持部4(磁石210)では、開閉部3の位置を保持するために磁力を及ぼす対象が、強磁性体で構成される部材(上記実施形態の例では、強磁性体で構成されるローラ322)であるが、この構成に限定されない。位置保持部4は、二つの磁石が互いに磁力を及ぼし合う構成等でもよい。例えば、位置保持部4は、
図7に示すように、磁石210cを有する第一部位41と、磁石210dを有する第二部位42と、を有し、第一部位41の磁石210cと第二部位42の磁石210dとが磁力によって引き合うことで、開閉部3の位置を保持する構成でもよい。この場合、第一部位41が一方の開閉部3に配置され、第二部位42が他方の開閉部3に配置されてもよい(
図7参照)。また、第一部位41が開閉部3に配置され、第二部位42がフレーム22やかご本体121等(かご12における開閉部3やガイドレール21以外の構成)に配置されてもよい。
【0059】
また、上記実施形態の位置保持部4は、閉位置や開位置の開閉部3がその位置から動こうとしたときに、磁力によってその動きを妨げる方向の力が開閉部3に加わる構成であるが、この構成に限定されない。位置保持部4は、閉位置の開閉部3に対して戸閉方向の力が加わり続ける構成や、開位置の開閉部3に対して戸開方向の力が加わり続ける構成でもよい。即ち、位置保持部4は、閉位置又は開位置の開閉部3に対して戸閉方向又は戸開方向に付勢する力が加わるような構成(配置)でもよい。
【0060】
例えば、位置保持部4が、開閉部3に配置された強磁性体によって構成される部材(ブラケット等)と、閉位置又は開位置のときの開閉部3の前記部材に対して戸閉側又は戸開側に間隔をあけた位置に配置される磁石210と、によって構成されてもよい。このように、開閉部3が閉位置又は開位置のときに該開閉部3に配置された第一部位41と、フレーム部2等に配置される第二部位42と、の間に開閉方向の間隔が設けられることで、開閉部3に対してこの間隔を小さくする方向の力(戸閉位置のときに戸閉側に、又は戸開位置のときに戸開側に付勢する力)が開閉部3に加わり続ける。換言すると、ドア装置1において、磁石210は、閉位置の開閉部3に対して戸閉側への力が働く位置に配置されてもよい。この構成によれば、全閉状態のときの開閉部3の閉位置からの戸開側へのずれを防ぐことができる。また、磁石210は、開位置の開閉部3に対して戸開側への力が働く位置に配置されてもよい。この構成によれば、全開状態のときの開閉部3の開位置からの戸閉側へのずれを防ぐことができる。
【0061】
このように、かご12において、位置保持部4は、フレーム部2、かご本体121、及び開閉部3の少なくとも一つに配置される磁石210を有し、該磁石210の磁力によって開閉部3の位置を閉位置及び開位置のうちの少なくとも閉位置で保持できる構成であればよい。また、乗場に配置されるドア装置1の場合には、位置保持部4は、フレーム部(三方枠等)2及び開閉部3の少なくとも一方に配置される磁石210を有し、該磁石210の磁力によって開閉部3の位置を閉位置及び開位置のうちの少なくとも閉位置で保持できる構成であればよい。
【0062】
また、上記実施形態のドア装置1では、磁石210(位置保持部4)は、閉位置又は開位置のときの開閉部3における強磁性体で構成される部材(開閉部3の位置を保持するために磁石210の磁力を及ぼす対象)の下方位置に配置されているが、この構成に限定されない。磁石210は、閉位置又は開位置のときの開閉部3における強磁性体で構成される部材や磁石210の上方位置や、かご12への利用者の出入り方向に重なる位置等に配置されてもよい。即ち、開閉部3の位置が閉位置又は開位置で保持されるように磁力を及ぼすことができる位置であれば、磁石210や強磁性体等の互いの位置関係(配置位置)は限定されない。
【0063】
また、上記実施形態の位置保持部4(第一磁石210a、第二磁石210b)は、閉位置の開閉部3をその位置に保とうとする(閉位置を保持しようとする)と共に、開位置の開閉部3をその位置に保とうとする(開位置を保持しようとする)が、この構成に限定されない。位置保持部4は、閉位置及び開位置のうちの少なくとも閉位置の開閉部3に対し、磁力によってその位置を保とうとする構成であればよい。
【0064】
また、上記実施形態のドア装置1では、二つの開閉部3のそれぞれに対して位置保持部4(第一磁石210a、第二磁石210b)が配置されている、即ち、ドア装置1は、一方の開閉部3の位置を保持する位置保持部4と、他方の開閉部3の位置を保持する位置保持部4と、を有しているが、この構成に限定されない。
【0065】
例えば、センターオープン式のドア装置1において、中央位置(戸当たり位置)から一方側の開閉部3と他方側の開閉部3とが連動して開閉動作する構成、即ち、一方側の開閉部3が駆動装置5から伝達される駆動力によって開閉動作するときに、この一方側の開閉部3の開閉動作に追従して他方側の開閉部3も開閉動作する構成の場合、一方側の開閉部3の位置を保持する位置保持部4は配置され、且つ、他方側の開閉部3の位置を保持する位置保持部がない構成でもよい。
【0066】
また、上記実施形態のドア装置1は、開閉部3が出入口120の幅方向の中央位置(戸当たり位置)から左右(離間方向)に開く、いわゆるセンターオープン式のドア装置であるが、この構成に限定されない。ドア装置1は、いわゆる片開き式のドア装置でもよい。この場合、例えば
図8〜
図10に示すように、位置保持部4の磁石210は、各開閉部3の閉位置のときの各ローラ322の位置と対応する位置と、各開閉部3の開位置のときの各ローラ322の位置と対応する位置とに、それぞれ配置されてもよい。
【解決手段】本発明は、かご又は乗場の出入口の上方において該出入口の幅方向に延びるレールを有し、出入口の上方に配置されるフレーム部と、ドアと該ドアを直接又は間接に吊り下げた状態でレールに沿って往復動可能なドアハンガーとを有し、出入口を開閉する開閉部と、フレーム部及び開閉部の少なくとも一方に配置される磁石と、を備え、磁石は、出入口を塞ぐ閉位置及び出入口を開放する開位置のうちの少なくとも閉位置の開閉部に対し、磁力によって開閉方向の移動を抑える、ことを特徴とする。