(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の方向から見て前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーが互いに重なる領域において、前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーの一方が前記封止樹脂の裏面から露出し、前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーの他方が前記封止樹脂の裏面から露出しない
請求項2又は3に記載の半導体デバイス。
前記第1の方向から見て前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーが互いに重なる領域において、前記ドレインフレームフィンガーが前記封止樹脂の裏面から露出し、前記ソースフレームフィンガーが前記封止樹脂の裏面から露出しない
請求項1又は4に記載の半導体デバイス。
前記ソースフレームフィンガーにおいて前記第1の方向から見て前記ドレインフレームフィンガーと重なる部分の厚さは、前記ドレインフレームフィンガーの最大厚さよりも薄く形成されている
請求項6〜9のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
前記第1の方向から見て、前記ゲートフレームフィンガーにおいて前記ドレインフレームフィンガーと重なる部分の厚さは、前記ドレインフレームフィンガーの厚さよりも薄い
請求項23に記載の半導体デバイス。
複数の前記ドレインフレームフィンガーのうち前記第1の方向において端に配置された前記ドレインフレームフィンガーは、前記第2の方向において前記ゲートフレームフィンガーと対向し、かつ、前記第2の方向において他の前記ドレインフレームフィンガーの長さよりも短い
請求項23〜25のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
複数の前記ソース配線のうち前記第3の方向において最も外側に位置する前記ソース配線は、前記ゲート配線と隣り合い、かつ、前記第3の方向における前記ソース電極フィンガーの端部及びその端部よりも外側を覆う
請求項33に記載の半導体デバイス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トランジスタの各電極とリードフレームとを接続するボンディングワイヤに起因してインダクタンスが増加する場合がある。
本発明の目的は、インダクタンスの増加を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕上記課題を解決する半導体デバイスは、リードフレームと、一方の面に複数のドレイン電極パッド、複数のソース電極パッド、及びゲート電極パッドを有し、前記各電極パッドが前記リードフレームの表面と対向して配置されると共に前記リードフレームに接続されたトランジスタと、矩形板状に形成され、裏面において前記リードフレームの一部を露出するように前記トランジスタと前記リードフレームとを封止する封止樹脂と、を有し、前記リードフレームは、前記ドレイン電極パッドと電気的に接続されるドレインフレームと、前記ソース電極パッドと電気的に接続されるソースフレームと、前記ゲート電極パッドと電気的に接続されるゲートフレームを有するリードフレームと、を有し、前記ドレインフレームは、第1の方向において間隔を空けて配列され、平面視において前記第1の方向と直交する第2の方向に沿って延び、前記ドレイン電極パッドと接続される複数のドレインフレームフィンガーを有し、前記ソースフレームは、前記第1の方向において間隔を空けて配列され、前記第2の方向に沿って延び、前記ソース電極パッドと接続される複数のソースフレームフィンガーを有し、前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーは、前記第1の方向において交互に配置され、かつ前記第1の方向から見て互いに重なる部分を有し、前記第1の方向から見て前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーが互いに重なる領域において、前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーの少なくとも一方は前記封止樹脂の裏面から露出しない。
【0006】
この構成によれば、ドレインフレームフィンガーがドレイン電極パッドに対向し、ソースフレームフィンガーがソース電極パッドに対向しているため、ドレインフレームとドレイン電極パッドとの電気的な接続、及びソースフレームとソース電極パッドとの電気的な接続において、ボンディングワイヤが不要となる。これにより、ボンディングワイヤに起因するインダクタンスをなくすことができる。
【0007】
また、第1の方向から見て、ドレインフレームフィンガー及びソースフレームフィンガーが重なる部分の一方が封止樹脂の裏面から露出しないことにより、封止樹脂の裏面に露出しているドレインフレームフィンガーとソースフレームとの間の距離が長くなる。これにより、半導体デバイスが回路基板に例えば半田ペーストにより実装されるとき、半田ペーストによってドレインフレームとソースフレームとが繋がってしまうことを抑制できる。したがって、トランジスタのドレイン及びソースの短絡を抑制できる。
【0008】
〔2〕上記半導体デバイスにおいて、前記第1の方向から見て前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーが互いに重なる領域において、前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーの一方が前記封止樹脂の裏面から露出し、前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーの他方が前記封止樹脂の裏面から露出しないことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、ドレインフレームフィンガー及びソースフレームフィンガーのうち封止樹脂の裏面から露出したフレームフィンガーを介してトランジスタの熱が半導体デバイスの外部に放熱される。したがって、半導体デバイスの放熱性能を向上させることができる。
【0010】
〔3〕上記半導体デバイスにおいて、前記第1の方向から見て前記ドレインフレームフィンガー及び前記ソースフレームフィンガーが互いに重なる領域において、前記ドレインフレームフィンガーが前記封止樹脂の裏面から露出し、前記ソースフレームフィンガーが前記封止樹脂の裏面から露出しないことが好ましい。
【0011】
〔4〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレインフレームは、前記第2の方向において前記封止樹脂の一方側に複数形成され、前記第1の方向において間隔を空けて配列されたドレイン端子を有し、前記ソースフレームは、前記第2の方向において前記封止樹脂の他方側に複数形成され、前記第1の方向において間隔を空けて配列されたソース端子を有し、前記トランジスタは、前記第2の方向において前記ソース端子寄りに配置されていることが好ましい。
【0012】
〔5〕上記半導体デバイスにおいて、前記第2の方向において前記ソースフレームフィンガーの長さは、前記ドレインフレームフィンガーの長さよりも短いことが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ソースフレームフィンガーの長さを短くすることができるため、ソースフレームフィンガーの剛性を高めることができる。これにより、トランジスタがソースフレームフィンガーに実装されたときにソースフレームフィンガーが変形し、ソースフレームフィンガーが封止樹脂の裏面から露出することを抑制できる。
【0014】
〔6〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレインフレームフィンガーは、前記ドレイン端子側の第1の部分と、前記第1の部分から前記ソース端子に向けて連続して延びる第2の部分とを有し、前記第1の部分は、前記ソースフレームフィンガーの先端よりも前記ドレイン端子側に位置し、前記第1の部分の幅は、前記第2の部分の幅よりも大きいことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、第2の部分の幅が大きくなることにより、ドレインフレームフィンガーの剛性が高められる。したがって、ドレインフレームフィンガーが湾曲することを抑制できる。
【0016】
〔7〕上記半導体デバイスにおいて、前記第1の部分は、前記第2の部分と連続する基部と、前記第1の方向において前記基部の両側から突出するフランジ部とを有し、
前記フランジ部の厚さは、前記基部の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0017】
〔8〕上記半導体デバイスにおいて、前記ソースフレームフィンガーにおいて前記第1の方向から見て前記ドレインフレームフィンガーと重なる部分の厚さは、前記ドレインフレームフィンガーの最大厚さよりも薄く形成されていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ドレインフレームフィンガーに比べて長さの短いソースフレームフィンガーの厚さを薄くすることにより、トランジスタがリードフレームに実装されるときのソースフレームフィンガーの変形量は、ドレインフレームフィンガーの厚さを薄くする場合のドレインフレームフィンガーの変形量よりも少なくなる。したがって、トランジスタがフレームに実装されるときに、第1の方向から見てドレインフレームフィンガーとソースフレームフィンガーとが重なる部分においてソースフレームフィンガーが変形して、ソースフレームフィンガーが封止樹脂の裏面から露出することを抑制できる。
【0019】
〔9〕上記半導体デバイスにおいて、前記ソースフレームは、複数の前記ソースフレームフィンガーを連結するソース連結部を有し、前記ソースフレームフィンガーは、前記ソース連結部から前記第2の方向に沿って延び、前記封止樹脂の裏面から露出しないことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、ソース連結部によりソースフレームフィンガーの剛性を高めることができる。加えて、ソース連結部が封止樹脂の裏面に露出しないことにより、封止樹脂の裏面から露出するドレインフレームフィンガーとソースフレームとの間の距離を長くすることができる。したがって、半導体デバイスが例えば半田ペーストにより回路基板に実装されるとき、ドレインフレームとソースフレームとの短絡を抑制できる。
【0021】
〔10〕上記半導体デバイスにおいて、前記ソース連結部の厚さは、前記ドレインフレームフィンガーの厚さよりも薄いことが好ましい。
【0022】
〔11〕上記半導体デバイスにおいて、前記第2の方向において、前記ドレインフレームフィンガーにおける前記ソース端子側の先端部は、前記封止樹脂の裏面から露出しないことが好ましい。
【0023】
この構成によれば、封止樹脂の裏面から露出するドレインフレームフィンガーとソースフレームとの間の距離を長くすることができる。したがって、半導体デバイスが例えば半田ペーストにより回路基板に実装されるときに半田ペーストによるドレインフレームとソースフレームとの短絡を抑制できる。
【0024】
〔12〕上記半導体デバイスにおいて、前記第2の方向において、前記ドレインフレームフィンガーにおける前記ソース端子側の先端部の厚さは、前記ドレインフレームフィンガーの最大厚さよりも薄いことが好ましい。
【0025】
〔13〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレイン電極パッドは、前記ドレインフレームフィンガーにおいて前記先端部を含む前記ソース端子側の部分に支持され、前記ドレインフレームフィンガーにおいて、前記ドレイン電極パッドを支持する部分のうち前記ドレイン端子側の部分は、前記封止樹脂の裏面から露出している部分を有することが好ましい。
【0026】
この構成によれば、トランジスタの熱がドレイン電極パッド、及びドレインフレームフィンガーにおいてドレイン電極パッドを支持する部分を経て半導体デバイスの外部に放熱される。したがって、トランジスタの熱が半導体デバイスの外部に放熱される経路が短いため、トランジスタの熱が半導体デバイスの外部に放熱され易くなる。
【0027】
〔14〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレインフレームフィンガーにおいて、前記ドレイン電極パッドを支持する部分のうち前記ドレイン端子側の部分の厚さは、前記先端部の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0028】
〔15〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレインフレームは、前記第1の方向において複数の前記ドレインフレームフィンガーを連結するドレイン連結部を有し、前記第2の方向における前記ドレイン連結部の幅は、前記第1の方向における前記ドレインフレームフィンガーの幅よりも大きいことが好ましい。
【0029】
この構成によれば、封止樹脂の裏面から露出するドレインフレームの面積が大きくなる。したがって、ドレインフレームを通じてトランジスタの熱を半導体デバイスの外部に放熱し易くなる。
【0030】
〔16〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレイン連結部における前記ソース端子側の端部の厚さは、前記ドレイン連結部における前記ドレイン端子側の部分の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0031】
〔17〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレインフレームのタイバー部及び前記ソースフレームのタイバー部の少なくとも一方は、前記封止樹脂の裏面から露出しないことが好ましい。
【0032】
〔18〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレインフレームのタイバー部及び前記ソースフレームのタイバー部の少なくとも一方の厚さは、前記ドレインフレームフィンガーの厚さよりも薄いことが好ましい。
【0033】
〔19〕上記半導体デバイスにおいて、前記ドレインフレームは、前記第1の方向において複数の前記ドレインフレームフィンガーを連結するドレイン連結部を有し、前記ドレインフレームは、前記ドレイン連結部に設けられた第1タイバー部と、前記ドレインフレームフィンガーに設けられた第2タイバー部とを有することが好ましい。
【0034】
この構成によれば、ドレインフレームが第1タイバー部及び第2タイバー部により支持されるため、封止樹脂を形成するモールド樹脂がドレインフレームに流し込まれたときにドレインフレームフィンガーが湾曲したり、ドレインフレームが傾いたりすることを抑制できる。
【0035】
〔20〕上記半導体デバイスにおいて、前記ゲートフレームは、前記第2の方向において前記封止樹脂の他方側、かつ前記第1の方向において前記封止樹脂の端に配置されていることが好ましい。
【0036】
〔21〕上記半導体デバイスにおいて、前記ゲートフレームは、前記第1の方向において前記ソースフレームフィンガーと隣り合うゲートフレームフィンガーを有し、前記第1の方向から見て、前記ゲートフレームフィンガーは、前記ドレインフレームフィンガーと重なる部分を有し、前記第1の方向から見て前記ゲートフレームフィンガーにおいて前記ドレインフレームフィンガーと重なる部分は、前記封止樹脂の裏面から露出しないことが好ましい。
【0037】
この構成によれば、封止樹脂の裏面から露出するゲートフレームとドレインフレームとの間の距離が長くなる。したがって、半導体デバイスが回路基板に例えば半田ペーストにより実装されるとき、半田ペーストによってドレインフレームとゲートフレームとが電気的に接続することを抑制できる。
【0038】
〔22〕上記半導体デバイスにおいて、前記第1の方向から見て、前記ゲートフレームフィンガーにおいて前記ドレインフレームフィンガーと重なる部分の厚さは、前記ドレインフレームフィンガーの厚さよりも薄いことが好ましい。
【0039】
〔23〕上記半導体デバイスにおいて、前記第2の方向において前記ゲートフレームフィンガーの長さは、前記ソースフレームフィンガーの長さよりも短いことが好ましい。
【0040】
この構成によれば、ゲートフレームフィンガーの長さがソースフレームフィンガーの長さよりも長い場合に比べ、ゲートフレームフィンガーの剛性が高くなるため、トランジスタがゲートフレームフィンガーに実装されたときにゲートフレームフィンガーが変形して、ゲートフレームフィンガーが封止樹脂の裏面から露出することを抑制できる。
【0041】
〔24〕上記半導体デバイスにおいて、複数の前記ドレインフレームフィンガーのうち前記第1の方向において端に配置された前記ドレインフレームフィンガーは、前記第2の方向において前記ゲートフレームフィンガーと対向し、かつ、前記第2の方向において他の前記ドレインフレームフィンガーの長さよりも短いことが好ましい。
【0042】
この構成によれば、第1の方向の端のドレインフレームフィンガーとゲートフレームフィンガーとが第2の方向において対向しない場合に比べ、半導体デバイスの第2の方向のサイズを小さくすることができる。
【0043】
〔25〕上記半導体デバイスにおいて、前記ソースフレームフィンガーの先端部は、前記ソース電極パッドのうち前記ドレイン端子側の端部よりも前記ソース端子側に位置していることが好ましい。
【0044】
この構成によれば、ソースフレームフィンガーとソース電極パッドとの電気的な接続を維持しつつ、第2の方向におけるソースフレームフィンガーの長さを短くすることができる。したがって、ソースフレームフィンガーの剛性を高めることができるため、トランジスタがソースフレームフィンガーに実装されたときにソースフレームフィンガーが変形して、ソースフレームフィンガーが封止樹脂の裏面から露出することを抑制できる。
【0045】
〔26〕上記半導体デバイスにおいては、前記第1の方向において、前記ドレイン電極パッド及び前記ソース電極パッドは交互に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、隣り合うドレイン電極パッドとソース電極パッドとの間の距離が短くなるため、すなわちドレイン電極パッドとソース電極パッドとの間の電子走行距離が短くなるため、トランジスタのスイッチング速度を高めることができる。
【0046】
〔27〕上記半導体デバイスにおいて、前記第1の方向において隣り合う前記ドレイン電極パッドの間の距離と、前記第1の方向において隣り合う前記ソース電極パッドの間の距離とは等しいことが好ましい。
【0047】
この構成によれば、第1の方向においてドレイン電極パッドとソース電極パッドとの距離にばらつきがある場合に第1の方向においてドレイン電極パッドとソース電極パッドとの距離が小さいソース電極パッドに電流が集中することを抑制できる。
【0048】
〔28〕上記半導体デバイスにおいては、前記第1の方向において、前記トランジスタの端には、前記ドレイン電極パッド及び前記ゲート電極パッドが配置され、前記トランジスタの端に配置された前記ドレイン電極パッド及び前記ゲート電極パッドは、前記第2の方向において並べられ、前記第2の方向において、前記トランジスタの端に配置された前記ドレイン電極パッド及び前記ゲート電極パッドの長さは、他の電極パッドの長さよりも短いことが好ましい。
【0049】
この構成によれば、トランジスタの端に配置されたドレイン電極パッドとゲート電極パッドとが第1の方向において異なる位置に配置される場合に比べ、トランジスタの第1の方向におけるサイズを小さくすることができる。またトランジスタの端に配置されたドレイン電極パッド及びゲート電極パッドのそれぞれの第2の方向における長さが他のドレイン電極パッドの第2の方向における長さ以上の場合に比べ、トランジスタの第2の方向におけるサイズを小さくすることができる。
【0050】
〔29〕上記半導体デバイスにおいて、前記トランジスタの前記一方の面と対向する他方の面に配置される放熱板をさらに有し、前記放熱板は、前記ソースフレームに取り付けられ、前記封止樹脂の表面に露出していることが好ましい。
【0051】
この構成によれば、放熱板を介してトランジスタの熱を半導体デバイスの外部に放熱することができる。したがって、トランジスタの熱を半導体デバイスの外部に一層放熱し易くなる。
【0052】
〔30〕上記半導体デバイスにおいて、前記放熱板は、前記トランジスタの前記他方の面の全体を覆っていることが好ましい。
この構成によれば、放熱板を介してトランジスタの熱を半導体デバイスの外部に放熱する効果を高めることができる。
【0053】
〔31〕上記半導体デバイスにおいて、前記トランジスタは、基板上にバッファ層、電子走行層、及び電子供給層が積層されてなる窒化物半導体層と、前記電子供給層上に形成されたドレイン電極、ソース電極、及びゲート電極とを有することが好ましい。
【0054】
〔32〕上記半導体デバイスにおいて、前記ソース電極は、前記窒化物半導体層の表面に沿った第3の方向に延びるソース電極フィンガーを含み、前記ドレイン電極は、前記窒化物半導体層の表面に沿った平面方向における前記第3の方向と直交する第4の方向において前記ソース電極フィンガーと間隔を空けて配置され、前記第3の方向に延びるドレイン電極フィンガーを含み、前記ゲート電極は、前記第4の方向において前記ソース電極フィンガーと前記ドレイン電極フィンガーとの間に配置され、前記第3の方向に延びるゲート電極フィンガーを含み、前記ゲート電極フィンガーは、前記ドレイン電極フィンガーよりも前記ソース電極フィンガー寄りに配置されていることが好ましい。
【0055】
この構成によれば、第3の方向におけるゲート電極フィンガーとドレイン電極フィンガーとの間の距離が第3の方向におけるゲート電極フィンガーとソース電極フィンガーとの間の距離よりも長い非対称構造となる。これにより、ゲート電極フィンガーとドレイン電極フィンガーとの間で生じる電界が過度に高まることを抑制できるので、トランジスタの耐圧を向上させることができる。
【0056】
〔33〕上記半導体デバイスにおいて、前記トランジスタは、前記ソース電極パッドと電気的に接続する複数のソース配線と、前記ドレイン電極パッドと電気的に接続する複数のドレイン配線とをさらに含み、前記ソース配線及び前記ドレイン配線のそれぞれは、前記第4の方向において前記ソース電極フィンガー及び前記ドレイン電極フィンガーを跨るように延び、かつ、前記第3の方向において交互に配置されていることが好ましい。
【0057】
〔34〕上記半導体デバイスにおいて、前記トランジスタは、前記ゲート電極パッドと電気的に接続する複数のゲート配線をさらに含み、前記ゲート配線は、前記第3の方向において、複数の前記ソース配線及び複数の前記ドレイン配線よりも外側に配置されていることが好ましい。
【0058】
〔35〕上記半導体デバイスにおいて、複数の前記ソース配線のうち前記第3の方向において最も外側に位置する前記ソース配線は、前記ゲート配線と隣り合い、かつ、前記第3の方向における前記ソース電極フィンガーの端部及びその端部よりも外側を覆うことが好ましい。
【0059】
〔36〕上記半導体デバイスにおいて、複数の前記ソース配線のうち前記第3の方向において最も外側に位置する前記ソース配線の前記第3の方向の幅は、他の前記ソース配線の幅よりも小さいことが好ましい。
【0060】
〔37〕上記半導体デバイスにおいて、前記窒化物半導体層に達するゲート開口部を有する前記窒化物半導体層上の絶縁層と、前記ゲート開口部の底部及び側部を覆うゲート絶縁膜と、をさらに含み、前記ゲート電極は、前記ゲート開口部内で前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間で前記絶縁層に埋め込まれ、前記ゲート絶縁膜によって前記ゲート電極から絶縁され、かつ前記ソース電極と電気的に接続される導電層をさらに含むことが好ましい。
【0061】
この構成によれば、ゲート電極から一体的にゲート絶縁膜上を横方向に延びるゲートフィールドプレートを設けなくてもよくなるため、ゲート−ドレイン間容量を低減することができる。その結果、トランジスタの寄生容量を低減することができるため、高速スイッチング動作、高周波動作等を良好に実現することができる。
【0062】
〔38〕上記半導体デバイスにおいて、前記ゲート絶縁膜と前記ゲート開口部の側部との間に配置された絶縁性のサイドウォールをさらに含むことが好ましい。
この構成によれば、ゲート電極と導電膜との間の距離を、主にサイドウォールの厚さによって制御することができる。このため、ゲート絶縁膜の厚さを、主に、意図したゲートしきい値電圧に合わせて設計することができる。
【0063】
〔39〕上記半導体デバイスにおいて、前記トランジスタの使用周波数は、1MHz以上かつ30MHz以下の範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0064】
上記半導体デバイスによれば、インダクタンスの増加を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、半導体デバイスの実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の実施形態は、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0067】
(第1実施形態)
〔半導体デバイス〕
図1に示すように、半導体デバイス1は、回路基板300(
図1では図示略、
図11参照)に電気的に接続するためのリードフレーム10と、リードフレーム10に載せられるトランジスタ20と、トランジスタ20を封止する封止樹脂30とを備える。トランジスタ20は、窒化物半導体を用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor)である。半導体デバイス1は、半導体デバイス1の横方向となる第1の方向Xの寸法が略5mm、半導体デバイス1の縦方向となる第2の方向Yの寸法が略6mm、半導体デバイス1の高さ方向Zが略0.6mmのパッケージ(封止樹脂30)からなる。半導体デバイス1は、表面実装形であり、リードフレームが封止樹脂30の2方向から取り出される、所謂SOP(Small Outline Package)である。
【0068】
半導体デバイス1の使用周波数範囲は、1MHz以上かつ100MHz以下であり、好ましくは1MHz以上かつ30MHz以下である。本実施形態の半導体デバイス1は、30MHzで用いられる。また半導体デバイス1は、ドレイン電流の範囲が1A以上かつ200A以下の範囲の回路に適用可能であり、ドレイン電流の範囲が10A以上かつ100A以下の範囲の回路に適用することが好ましい。
【0069】
封止樹脂30は、例えばエポキシ樹脂により矩形板状に形成されている。封止樹脂30は、上面となる表面31と、高さ方向Zにおいて表面31と対向する底面となる裏面32を有する。裏面32は、回路基板300に実装される面となる。また封止樹脂30は、第1の方向Xにおいて一方側の側面となる第1の横側面33と、第1の方向Xにおいて他方側の側面となる第2の横側面34と、第2の方向Yにおいて一方側の側面となる第1の縦側面35と、第2の方向Yにおいて他方側の側面となる第2の縦側面36とを有する。
【0070】
トランジスタ20は、矩形板状に形成されている。平面視におけるトランジスタ20の形状は、長方形である。トランジスタ20は、第1の方向Xが長手方向となるようにリードフレーム10に載せられている。
図2に示すように、トランジスタ20の外形サイズの一例は、平面視において長手方向の一辺の長さL1が略4200μmであり、他の一辺の長さL2が略2100μmであるような縦横比が2:1の長方形である。なお、以降のトランジスタ20の説明において、方向を示す場合は、トランジスタ20がリードフレーム10に載せられた状態におけるトランジスタ20の方向のことをいう。
【0071】
トランジスタ20は、リードフレーム10(
図1参照)側となる一方の面である表面20a及び表面20aと対向する他方の面である裏面20b(
図1参照)を有する。表面20aには、リードフレーム10と電気的に接続するための5個のドレイン電極パッド21、4個のソース電極パッド22、及び1個のゲート電極パッド23が設けられている。ドレイン電極パッド21は、長手方向の長さLDが長い4個のドレイン電極パッド21Pと、長手方向の長さLDEが短い1個のドレイン電極パッド21Qとからなる。なお、ドレイン電極パッド21、ソース電極パッド22、及びゲート電極パッド23の個数は任意の設定事項である。このため、例えばドレイン電極パッド21の個数とソース電極パッド22の個数とが異なってもよい。またトランジスタ20は、複数のゲート電極パッド23を有してもよい。また以降の説明において、5個のドレイン電極パッド全体を示すときはドレイン電極パッド21と称する。
【0072】
図2に示すように、ドレイン電極パッド21及びソース電極パッド22は、平面視においてトランジスタ20の長手方向(第1の方向X)において交互に配置されている。ドレイン電極パッド21及びソース電極パッド22のそれぞれは、トランジスタ20の長手方向と直交する方向(第2の方向Y)が長手方向となる略矩形状に形成されている。ドレイン電極パッド21及びソース電極パッド22は、互いに平行している。第1の方向Xにおいてトランジスタ20の両端には、それぞれドレイン電極パッド21が配置されている。
【0073】
ゲート電極パッド23は、第1の方向Xにおいてトランジスタ20の一端に配置されている。ゲート電極パッド23は、第1の方向Xにおいてトランジスタ20の一端に配置されたドレイン電極パッド21Qと第2の方向Yにおいて隙間を空けて対向している。ゲート電極パッド23はトランジスタ20の第2の方向Yの一端寄りに配置され、ドレイン電極パッド21Qはトランジスタ20の第2の方向Yの他端寄りに配置されている。
【0074】
4個のドレイン電極パッド21Pの長さLDと、4個のソース電極パッド22の長さLSとは互いに等しい。ドレイン電極パッド21Qの長さLDEは、長さLDの半分以下である。ゲート電極パッド23の長さLGは、長さLDEと等しい。ドレイン電極パッド21の幅WD、ソース電極パッド22の幅WS、及びゲート電極パッド23の幅WGは、それぞれ等しい。第2の方向Yにおいてドレイン電極パッド21、ソース電極パッド22、及びゲート電極パッド23の両端部は、第2の方向Yに向けて凸となる円弧状に形成されている。
【0075】
ドレイン電極パッド21は第1の方向Xにおいて等間隔に配置され、ソース電極パッド22は第1の方向Xにおいて等間隔に配置されている。4個のドレイン電極パッド21P及び4個のソース電極パッド22は、第2の方向Yにおいて同じ位置に配置されている。ドレイン電極パッド21とこのドレイン電極パッド21と第1の方向Xにおいて隣り合うソース電極パッド22との間の距離Ddsは、それぞれ等しい。ゲート電極パッド23と、第1の方向Xにおいてゲート電極パッド23と隣り合うソース電極パッド22との間の距離Dsgは、距離Ddsと等しい。
【0076】
図2のトランジスタ20の寸法関係は以下のとおりである。
4個のドレイン電極パッド21Pの長さLD及び4個のソース電極パッド22の長さLSは、略1760μmであり、ドレイン電極パッド21Qの長さLDEは、略755μmである。ゲート電極パッド23の長さLGは、略755μmである。ドレイン電極パッド21の幅WD、ソース電極パッド22の幅WS、及びゲート電極パッド23の幅WGのそれぞれは、略240μmである。
【0077】
第2の方向Yにおけるゲート電極パッド23とドレイン電極パッド21Qとの間の距離Ddgは、略250μmである。ドレイン電極パッド21と、このドレイン電極パッド21と第1の方向Xにおいて隣り合うソース電極パッド22との間の距離Ddsのそれぞれは略200μmである。第1の方向Xにおいてゲート電極パッド23と隣り合うソース電極パッド22との間の距離Dsgは略200μmである。
【0078】
図3に示すように、リードフレーム10は、ドレイン電極パッド21(
図2参照)と電気的に接続されるドレインフレーム11、ソース電極パッド22(
図2参照)と電気的に接続されるソースフレーム12、及びゲート電極パッド23(
図2参照)と電気的に接続されるゲートフレーム13を備える。ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13のそれぞれは、例えば銅板をエッチング加工することにより形成されている。ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13は、互いに隙間を空けて配置されることにより、互いに電気的に絶縁している。
【0079】
ドレインフレーム11は、平面視において封止樹脂30(
図3の二点鎖線の枠)の第1の縦側面35寄りに配置されている。ドレインフレーム11は、4個のドレイン端子11aと、これらドレイン端子11aを連結するドレイン連結部11bと、ドレイン連結部11bから第2の方向Yにおける第2の縦側面36側に向けて延びる5本のドレインフレームフィンガー11cとを備える。ドレインフレームフィンガー11cは、第2の方向Yに沿って延びている。このように、ドレインフレーム11は、櫛歯状に形成されている。4個のドレイン端子11a、ドレイン連結部11b、及び5本のドレインフレームフィンガー11cは、例えば単一部材により形成されている。なお、ドレイン端子11aの個数及びドレインフレームフィンガー11cの本数は任意の設定事項である。例えばドレイン端子11aの個数とドレインフレームフィンガー11cの本数とが同じであっても異なってもよい。またドレインフレームフィンガー11cの本数は、
図2のトランジスタ20のドレイン電極パッド21の個数に応じて設定することが好ましい。
【0080】
ドレイン端子11aは、平面視において第2の方向Yが長手方向となる長方形に形成されている。ドレイン端子11aは、第1の方向Xにおいて等間隔に配置されている。ドレイン端子11aは、封止樹脂30の第1の縦側面35と隣り合う位置に配置されている。第2の方向Yにおいてドレイン端子11aの一方の端部は、第1の縦側面35から封止樹脂30の外部に向けて突出している。第2の方向Yにおいてドレイン端子11aの他方の端部は、ドレイン連結部11bに連結されている。
【0081】
ドレイン連結部11bは、4個のドレイン端子11aと5本のドレインフレームフィンガー11cとを連結している。ドレイン連結部11bは、第1の方向Xに沿って延びている。ドレイン連結部11bの幅WCD(ドレイン連結部11bの第2の方向Yの寸法)は、ドレイン端子11aの幅WTD(ドレイン端子11aの第1の方向Xの寸法)よりも小さい。第1の方向Xにおけるドレイン連結部11bの両端部には、母材となる鋼板(図示略)からドレインフレーム11を形成するときに鋼板とドレインフレーム11とを連結する第1タイバー部11dがドレイン連結部11bと一体に設けられている。第1タイバー部11dは、ドレイン連結部11bの両端部から第1の方向Xに沿って延びている。一方の第1タイバー部11dは、ドレイン連結部11bから第1の横側面33までに亘って形成されている。他方の第1タイバー部11dは、ドレイン連結部11bから第2の横側面34までに亘って形成されている。
【0082】
ドレインフレームフィンガー11cは、ドレイン連結部11bに対してドレイン端子11aとは反対側に配置されている。ドレインフレームフィンガー11cは、第2の方向Yの長さLFDが長い4本のドレインフレームフィンガー11Pと、第2の方向Yの長さLFDEが短い1本のドレインフレームフィンガー11Qとからなる。以降の説明において、5本のドレインフレームフィンガーの全体を示すときにはドレインフレームフィンガー11cと称する。
【0083】
ドレインフレームフィンガー11cは、第1の方向Xにおいて等間隔に配置されている。第1の方向Xにおいて隣り合うドレインフレームフィンガー11cの間の距離は、第1の方向Xにおいて隣り合うドレイン端子11aの間の距離よりも短い。第1の方向Xにおいて、両端のドレインフレームフィンガー11cの中心は、両端のドレイン端子11aの中心よりも内側に位置している。第2の方向Yから見て、第1の方向Xの両端のドレインフレームフィンガー11cの一部は、第1の方向Xの両端のドレイン端子11aと重なっている。第1の方向Xにおいて中央に配置されたドレインフレームフィンガー11cは、封止樹脂30の第1の方向Xの中央と同じ位置である。
【0084】
ドレインフレームフィンガー11cは、幅が異なる2つの部位を有する。ドレインフレームフィンガー11cにおいて幅が大きい第1の部分11mは、ドレインフレームフィンガー11cにおけるドレイン連結部11b側に設けられている。第1の部分11mは、ドレイン連結部11bから封止樹脂30の第2の方向Yの中央位置よりも僅かにドレイン連結部11b側までの位置に亘り延びている。ドレインフレームフィンガー11cにおいて幅が小さい第2の部分11nは、ドレインフレームフィンガー11cにおける第1の部分11mに対してドレイン連結部11bとは反対側に設けられている。各ドレインフレームフィンガー11cの第1の部分11mの幅WFD1は、それぞれ等しい。各ドレインフレームフィンガー11cの第2の部分11nの幅WFD2は、それぞれ等しい。第1の部分11mの幅WFD1は、ドレイン連結部11bの幅WCDよりも大きい。第2の部分11nの幅WFD2は、ドレイン連結部11bの幅WCDよりも小さい。各ドレインフレームフィンガー11cの第1の部分11mにおける第2の方向Yに沿う長さは、それぞれ等しい。なお、第1の部分11mの幅WFD1及びドレイン連結部11bの幅WCDは、任意に変更可能である。例えば第1の部分11mの幅WFD1は、ドレイン連結部11bの幅WCDと等しくてもよい。またドレイン連結部11bの幅WCDは、第2の部分11nの幅WFD2と等しくてもよい。
【0085】
図3に示すとおり、各ドレインフレームフィンガー11Pの先端部11hは、第2の方向Yにおいてソースフレーム12の後述するソース連結部12bと近接している。各ドレインフレームフィンガー11Pは、第2の方向Yにおいてソース連結部12bと対向している。
【0086】
ドレインフレームフィンガー11Pのうちの第1の横側面33側の端部のドレインフレームフィンガー11Pと、ドレインフレームフィンガー11Qとには、第2タイバー部11i,11jが設けられている。ドレインフレームフィンガー11Pに設けられた第2タイバー部11iは、封止樹脂30の第2の方向Yの中央位置から第1の横側面33に向けて第2の方向Yに沿って延びている。第2タイバー部11iは、第1の横側面33から露出する。ドレインフレームフィンガー11Qに設けられた第2タイバー部11jは、封止樹脂30の第2の方向Yの中央位置から第2の横側面34に向けて第2の方向Yに沿って延びている。第2タイバー部11jは、第2の横側面34から露出する。
【0087】
ソースフレーム12は、平面視において封止樹脂30の第2の縦側面36寄りに配置されている。またソースフレーム12は、平面視において封止樹脂30の第1の横側面33寄りに配置されている。ソースフレーム12は、3個のソース端子12aと、これらソース端子12aを連結するソース連結部12bと、ソース連結部12bから第2の方向Yにおける第1の縦側面35側に向けて延びる4本のソースフレームフィンガー12cとを備える。ソースフレームフィンガー12cは、第2の方向Yに沿って延びている。このように、ソースフレーム12は、櫛歯状に形成されている。複数のソース端子12a、ソース連結部12b、及び複数のソースフレームフィンガー12cは、例えば単一部材により形成されている。なお、ソース端子12aの個数及びソースフレームフィンガー12cの本数は任意の設定事項である。例えばソース端子12aの個数とソースフレームフィンガー12cの本数とが同じであっても異なってもよい。またソースフレームフィンガー12cの本数は、
図2のトランジスタ20のソース電極パッド22の個数に応じて設定することが好ましい。
【0088】
ソース端子12aは、平面視において第2の方向Yが長手方向となる長方形に形成されている。ソース端子12aは、第1の方向Xにおいて等間隔に配置されている。ソース端子12aは、封止樹脂30の第2の縦側面36と隣り合う位置に配置されている。第2の方向Yにおいてソース端子12aの一方の端部は、第2の縦側面36から封止樹脂30の外部に向けて突出している。第2の方向Yにおいてソース端子12aの他方の端部は、ソース連結部12bに連結されている。ソース端子12aの第1の方向Xの位置は、ドレイン端子11aの第1の方向Xの位置と等しい。ソース端子12aの幅WTS(ソース端子12aの第1の方向Xの寸法)は、ドレイン端子11aの幅WTDと等しい。
【0089】
ソース連結部12bは、3個のソース端子12aと4本のソースフレームフィンガー12cとを連結している。ソース連結部12bは、第1の方向Xに沿って延びている。ソース連結部12bの幅WCS(ソース連結部12bの第2の方向Yの寸法)は、ソース端子12aの幅WTS及びドレイン連結部11bの幅WCDよりも小さく、ドレインフレームフィンガー11cの第2の部分11nの幅WFD2と等しい。ソース連結部12bにおける第1の横側面33側の端部には、母材となる鋼板(図示略)からソースフレーム12を形成するときに鋼板とソースフレーム12とを連結するタイバー部12dが設けられている。タイバー部12dは、ソース連結部12bの端部から第1の横側面33までに亘って第1の方向Xに沿って延びている。
【0090】
ソースフレームフィンガー12cは、ソース連結部12bに対してソース端子12aとは反対側に配置されている。ソースフレームフィンガー12cは、第1の方向Xにおいて等間隔で配置されている。第1の方向Xにおいて隣り合うソースフレームフィンガー12cの間の距離は、第1の方向Xにおいて隣り合うソース端子12aの間の距離よりも短い。また第1の方向Xにおいて隣り合うソースフレームフィンガー12cの間の距離は、第1の方向Xにおいて隣り合うドレインフレームフィンガー11cの間の距離と等しい。ソースフレームフィンガー12cの長さLFSは、ドレインフレームフィンガー11Pの長さLFD及びドレインフレームフィンガー11Qの長さLFDEよりも短い。ソースフレームフィンガー12cは、第1の方向Xにおいて隣り合うドレインフレームフィンガー11cの間に配置されている。ソースフレームフィンガー12cの先端は、ドレインフレームフィンガー11cの第1の部分11mよりも封止樹脂30の第2の縦側面36側に位置している。すなわち、第1の方向Xから見て、ソースフレームフィンガー12cは、ドレインフレームフィンガー11cの第2の部分11nと重なる一方、第1の部分11mと重ならない。ソースフレームフィンガー12cは、ドレインフレームフィンガー11cと平行している。ソースフレームフィンガー12cとドレインフレームフィンガー11cとの間の距離DFdsはそれぞれ等しい。各ソースフレームフィンガー12cの幅WFSは、互いに等しい。この幅WFSは、ソース連結部12bの幅WCSと等しい。また幅WFSは、ドレインフレームフィンガー11cの第2の部分11nの幅WFD2と等しい。
【0091】
ゲートフレーム13は、平面視において封止樹脂30の第2の縦側面36寄りに配置されている。またゲートフレーム13は、平面視において封止樹脂30の第2の横側面34寄りに配置されている。ゲートフレーム13は、ゲート端子13a、ゲート連結部13b、及びゲートフレームフィンガー13cを備える。ゲートフレーム13は、第1の方向Xにおいてソースフレーム12と隣り合うように配置されている。
【0092】
ゲート端子13aは、平面視において第2の方向Yが長手方向となる長方形に形成されている。ゲート端子13aは、封止樹脂30の第2の縦側面36と隣り合う位置に配置されている。第2の方向Yにおいてゲート端子13aの一方の端部は、第2の縦側面36から封止樹脂30の外部に向けて突出している。第2の方向Yにおいてゲート端子13aの他方の端部は、ゲート連結部13bに連結されている。ゲート端子13aの第1の方向Xの位置は、ドレイン端子11aのうちの第2の横側面34側の端部に配置されたドレイン端子11aの第1の方向Xの位置と等しい。ゲート端子13aの幅WTG(ゲート端子13aの第1の方向Xの寸法)は、ドレイン端子11aの幅WTDと等しい。
【0093】
ゲート連結部13bは、ゲート端子13aとゲートフレームフィンガー13cとを連結している。ゲート連結部13bの第2の方向Yの位置は、ソース連結部12bの第2の方向Yの位置と等しい。ゲート連結部13bの幅WCG(ゲート連結部13bの第2の方向Yの寸法)は、ゲート端子13aの幅WTGよりも小さい。ゲート連結部13bの幅WCGは、ソース連結部12bの幅WCDと等しい。ゲート連結部13bにおける第2の横側面34側の端部には、母材となる鋼板(図示略)からゲートフレーム13を形成するときに鋼板とゲートフレーム13とを連結するタイバー部13dが設けられている。タイバー部13dは、ゲート連結部13bの端部から第2の横側面34までに亘って第1の方向Xに沿って延びている。
【0094】
ゲートフレームフィンガー13cは、ゲート連結部13bに対してゲート端子13aとは反対側に配置されている。ゲートフレームフィンガー13cは、ゲート連結部13bの第1の横側面33側の端部から第2の方向Yに沿って延びている。ゲートフレームフィンガー13cの長さLFGは、ソースフレームフィンガー12cの長さLFSよりも短い。
【0095】
ゲートフレームフィンガー13cの第1の方向Xの位置は、ドレインフレームフィンガー11Qの第1の方向Xの位置と等しい。ゲートフレームフィンガー13cは、ソースフレームフィンガー12cと平行している。ゲートフレームフィンガー13cは、ドレインフレームフィンガー11Qよりも第2の縦側面36側に配置されている。すなわち、第2の方向Yにおいて、ゲートフレームフィンガー13cの先端部は、ドレインフレームフィンガー11Qの先端部と対向している。このため、ゲートフレームフィンガー13cとこのゲートフレームフィンガー13cと第1の方向Xにおいて隣り合うソースフレームフィンガー12cとの間の距離DFgsは、距離DFdsと等しい。ゲートフレームフィンガー13cの幅WFGは、ゲート連結部13bの幅WCGと等しい。この幅WFGは、ドレインフレームフィンガー11cの第2の部分11nの幅WFD2と等しい。
【0096】
図4から理解できるように、ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13は、厚さが薄い部分を有する。
図3の網掛け部分は、ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13のそれぞれにおける厚さが薄い部分を示している。ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13のそれぞれにおける厚さが薄い部分は、例えばハーフエッチング加工により形成されている。
【0097】
図5に示すように、ドレインフレーム11において各ドレインフレームフィンガー11Pの先端部11hの厚さTD1が各ドレインフレームフィンガー11Pの第2の部分11nにおいて先端部11h以外の部分の厚さTD2よりも薄い。本実施形態では、厚さTD1は厚さTD2の半分の厚さである。また厚さTD2がドレインフレームフィンガー11cの最大厚さとなる。ドレインフレーム11の第1の部分11mは、厚さが厚い基部11rと、基部の第1の方向Xの両側に設けられた厚さが薄いフランジ部11sとを有する。基部11rの幅は、第2の部分11nの幅WFD2と等しい。基部11rの厚さTD4は厚さTD2に等しく、フランジ部11sの厚さTD5は厚さTD1に等しい。各ドレイン端子11aの厚さは、厚さTD2に等しい。
【0098】
ドレイン連結部11bにおける封止樹脂30の第2の縦側面36側の端部11kの厚さTD5及びドレインフレーム11における各タイバー部11d,11i,11jの厚さTD3(
図4参照)は、厚さTD2よりも薄く、厚さTD1と等しい。このように、ドレインフレーム11では、各ドレインフレームフィンガー11Pの先端部11h及び各タイバー部11d,11i,11jの厚さTD1,TD3がドレインフレーム11の他の部分の厚さTD2よりも薄くなるように形成されている。
図3に示すように、本実施形態では、各ドレインフレームフィンガー11Pの先端部11hは、第2の方向Yにおいてドレインフレームフィンガー11Qよりも第2の縦側面36側に向けて突出している部分である。
【0099】
図6に示すように、ソースフレーム12において各ソースフレームフィンガー12cの全体の厚さTS1がソース端子12aの厚さTS2よりも薄い。本実施形態では、厚さTS1は厚さTS2の半分の厚さである。ソース連結部12bの厚さは、厚さTS2よりも薄く、各ソースフレームフィンガー12cの厚さTS1と等しい。タイバー部12dの厚さTS3(
図4参照)は、厚さTS1に等しい。このように、ソースフレーム12では、各ソースフレームフィンガー12c及びソース連結部12bの厚さTS1と、タイバー部12dの厚さTS3がソース端子12aの厚さTS2よりも薄くなるように形成されている。各ソースフレームフィンガー12c及びソース連結部12bの厚さTS1と、タイバー部12dの厚さTS3とは、ドレインフレーム11の厚さTD1,TD3(
図5参照)と等しい。ソース端子12aの厚さTS2は、ドレインフレーム11の厚さTD2(
図5参照)と等しい。
【0100】
図7に示すように、ゲートフレーム13においてゲートフレームフィンガー13cの全体の厚さTG1がゲート端子13aの厚さTG2よりも薄い。本実施形態では、厚さTG1は、厚さTG2の半分の厚さである。ゲート連結部13bの厚さは、厚さTG2よりも薄く、ゲートフレームフィンガー13cの厚さTG1に等しい。タイバー部13dの厚さTG3は厚さTG2に等しい。このように、ゲートフレーム13では、ソースフレーム12と同様に、ゲートフレームフィンガー13c及びゲート連結部13bの厚さTG1と、タイバー部13dの厚さTG3とがゲート端子13aの厚さTG2よりも薄くなるように形成されている。ゲートフレームフィンガー13c及びゲート連結部13bの厚さTG1と、タイバー部13dの厚さTG3とは、ドレインフレーム11の厚さTD1,TD3(
図5参照)と等しい。ゲート端子13aの厚さTG2は、ドレインフレーム11の厚さTD2と等しい。
【0101】
このように、第1の方向Xから見て、ドレインフレームフィンガー11c及びソースフレームフィンガー12cが重なる部分は、少なくとも一方の厚さが薄くなるように構成されている。第1の方向Xから見て、ソースフレームフィンガー12c及びゲートフレームフィンガー13cが重なる部分は、両方の厚さが薄くなるように形成されている。
【0102】
図8に示すように、トランジスタ20は、封止樹脂30の第2の縦側面36寄り、かつ、ソース連結部12b及びゲート連結部13bよりも第1の縦側面35側に配置されている。詳細には、トランジスタ20の第1の縦側面35側の側面が封止樹脂30の第2の方向Yにおける中央に位置し、トランジスタ20の第2の縦側面36側の側面がソース連結部12b及びゲート連結部13bに近接するように位置している。またトランジスタ20は、ドレインフレームフィンガー11cの第1の部分11mよりも第2の縦側面36側に位置している。トランジスタ20の第2の縦側面36側の一部分は、第2タイバー部11i,11jにより支持されている。
【0103】
図8から理解できるように、ドレインフレームフィンガー11Pの長さLFD及びドレインフレームフィンガー11Qの長さLFDEは、トランジスタ20の長さL2よりも長い。ソースフレームフィンガー12cの長さLFSは、長さL2よりも僅かに長い。
【0104】
ドレイン電極パッド21P,21Qはドレインフレームフィンガー11P,11Qの表面11eと高さ方向Zにおいて対向し、ソース電極パッド22はソースフレームフィンガー12cの表面12eと高さ方向Zにおいて対向し、ゲート電極パッド23はゲートフレームフィンガー13cの表面13eと高さ方向Zにおいて対向している。そしてドレイン電極パッド21Pはドレインフレームフィンガー11Pと電気的に接続し、ドレイン電極パッド21Qはドレインフレームフィンガー11Qと電気的に接続し、ソース電極パッド22はソースフレームフィンガー12cと電気的に接続し、ゲート電極パッド23はゲートフレームフィンガー13cと電気的に接続している。
【0105】
第1の方向Xにおいて隣り合うドレインフレームフィンガー11Pの間の距離は、第1の方向Xにおいて隣り合うドレイン電極パッド21Pの間の距離と等しい。ドレインフレームフィンガー11Pの第2の部分11nの幅WFD2は、ドレイン電極パッド21Pの幅WDと等しい。このため、トランジスタ20がドレインフレーム11に実装されたとき、ドレインフレームフィンガー11Pはドレイン電極パッド21Pの全体に亘って覆い、ドレインフレームフィンガー11Qはドレイン電極パッド21Qの全体に亘って覆っている。具体的には、ドレインフレームフィンガー11Pの先端部11hの端縁は、ドレイン電極パッド21Pの第2の縦側面36側の端部よりも第2の縦側面36側に配置され、ドレインフレームフィンガー11Qの第2の縦側面36側の端縁は、ドレイン電極パッド21Qの第2の縦側面36側の端部と同じ位置に配置されている。これにより、ドレインフレームフィンガー11Pはドレイン電極パッド21Pの全体に亘って電気的に接続され、ドレインフレームフィンガー11Qはドレイン電極パッド21Qの全体に亘って電気的に接続されている。ドレインフレームフィンガー11Pにおいてドレイン電極パッド21Pと高さ方向Zにおいて対向する部分は、ドレインフレームフィンガー11Pの先端部11hと、先端部11hよりも第1の縦側面35側の部分とを含む。このため、ドレイン電極パッド21Pは、ドレインフレームフィンガー11Pにおいて封止樹脂30の裏面32から露出する部分と電気的に接続されている。
【0106】
第1の方向Xにおいて隣り合うソースフレームフィンガー12cの間の距離は、第1の方向Xにおいて隣り合うソース電極パッド22の間の距離と等しい。ソースフレームフィンガー12cの幅WFSは、ソース電極パッド22の幅WSと等しい。このため、トランジスタ20がソースフレーム12に実装されたとき、ソースフレームフィンガー12cは、ソース電極パッド22の全体に亘って覆っている。具体的には、ソースフレームフィンガー12cの先端部がソース電極パッド22の第1の縦側面35側の端部よりも第1の縦側面35側に位置している。これにより、ソースフレームフィンガー12cは、ソース電極パッド22の全体に亘って電気的に接続されている。
【0107】
ゲートフレームフィンガー13cは、ゲート電極パッド23の全体に亘って覆っている。具体的には、ゲートフレームフィンガー13cの先端部がゲート電極パッド23の第1の縦側面35側の端部よりも第1の縦側面35側に位置している。ゲートフレームフィンガー13cの幅WFGは、ゲート電極パッド23の幅WGと等しい。これにより、ゲートフレームフィンガー13cは、ゲート電極パッド23の全体に亘って電気的に接続されている。
【0108】
図4〜
図7に示すように、ドレインフレーム11の表面11e、ソースフレーム12の表面12e、及びゲートフレーム13の表面13eは互いに面一となる。一方、ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13において厚さの薄い部分の裏面11f,12f,13fは、厚さが厚い部分の裏面11g,12g,13gよりも各フレーム11〜13の表面11e〜13e側に位置している。また
図5〜
図7に示すように、各フレーム11〜13は、高さ方向Zにおいて封止樹脂30の裏面32寄りに配置されている。
【0109】
このため、
図9に示すように、封止樹脂30の裏面32には、ドレインフレーム11の裏面11f、ソースフレーム12の裏面12f、及びゲートフレーム13の裏面13fが露出している。一方、
図5及び
図6に示すドレインフレーム11の裏面11g、ソースフレーム12の裏面12g、及びゲートフレーム13の裏面13gは、封止樹脂30の裏面32から露出していない。詳細には、ソースフレーム12において、3個のソース端子12aは封止樹脂30の裏面32から露出する一方、ソース連結部12b、4本のソースフレームフィンガー12c、及びタイバー部12dは裏面32から露出していない。ゲートフレーム13において、ゲート端子13aは封止樹脂30の裏面32から露出する一方、ゲート連結部13b、ゲートフレームフィンガー13c、及びタイバー部13dは裏面32から露出していない。ドレインフレーム11において、4個のドレイン端子11a、ドレイン連結部11bにおける端部11k以外の部分、並びに5本のドレインフレームフィンガー11cの先端部11h以外の部分及び第1の部分11mの基部11rは封止樹脂30の裏面32から露出する。一方、ドレインフレーム11において、5本のドレインフレームフィンガー11cの先端部11h及び第1の部分11mのフランジ部11s、並びにタイバー部11d,11i,11jは裏面32から露出していない。このため、裏面32から露出するドレイン連結部11bの幅WCDRは、ドレイン連結部11bの幅WCD(
図3参照)よりも小さい。裏面32から露出するドレインフレームフィンガー11cの幅WFDRは、第2の部分11nの幅WFD2(
図3参照)と等しい。また幅WCDRは、幅WFD2と等しい。ここで、ドレインフレームフィンガー11cにおいて封止樹脂30の裏面32に露出する裏面11fの第2の方向Yの長さは、ドレインフレームフィンガー11Qの長さLFDEと等しい。
【0110】
図8に示すように、第1の方向Xから見てドレインフレームフィンガー11c及びソースフレームフィンガー12cが互いに重なる領域において、ドレインフレームフィンガー11cは封止樹脂30の裏面32(
図9参照)から露出し、ソースフレームフィンガー12cは裏面32から露出しない。このため、封止樹脂30の裏面32から露出するドレインフレーム11とソースフレーム12との第2の方向Yの最短距離DOYは、封止樹脂30の裏面32から露出しないドレインフレーム11とソースフレーム12との第2の方向Yの最短距離DIY(
図8参照)よりも長い。なお、最短距離DOYは、ドレインフレームフィンガー11cとソース端子12aとの第2の方向Yの距離である。最短距離DIYは、ドレインフレームフィンガー11Pの先端とソース連結部12bとの第2の方向Yの距離である。
【0111】
また封止樹脂30の裏面32から露出するドレインフレーム11とゲートフレーム13との第2の方向Yの最短距離GOYは、封止樹脂30の裏面32から露出しないドレインフレーム11とゲートフレーム13との第2の方向Yの最短距離GIY(
図8参照)よりも長い。封止樹脂30の裏面32から露出するゲートフレーム13とソースフレーム12との第1の方向Xの最短距離GOXは、封止樹脂30の裏面32から露出しないゲートフレーム13とソースフレーム12との第1の方向Xの最短距離(距離DFgs(
図3参照))よりも長い。なお、最短距離GOYは、ドレインフレームフィンガー11Qとゲート端子13aとの第2の方向Yの距離である。最短距離GOYは最短距離DOYと等しい。最短距離GIYは、ドレインフレームフィンガー11Qとゲートフレームフィンガー13cとの第2の方向Yの距離である。最短距離GOXは、ゲート端子13aとゲート端子13aと隣り合うソース端子12aとの間の距離である。
【0112】
次に、半導体デバイス1の製造方法について説明する。
図10に示すように、半導体デバイス1の製造方法は、フレーム形成工程(ステップS1)、トランジスタ実装工程(ステップS2)、モールド工程(ステップS3)、及び切断工程(ステップS4)を含む。半導体デバイス1の製造は、例えばフレーム形成工程、トランジスタ実装工程、モールド工程、及び切断工程の順に実施される。
【0113】
フレーム形成工程では、母材となる1枚の銅板から複数のリードフレーム10が形成される。フレーム形成工程における各リードフレーム10は、各タイバー部11d,11i,11j,12d,13d(
図3参照)によって銅板(母材)と接続されている。
【0114】
トランジスタ実装工程では、トランジスタ20が各リードフレーム10にフリップチップ実装される(
図8参照)。具体的には、各リードフレーム10における5本のドレインフレームフィンガー11c、4本のソースフレームフィンガー12c、及び1本のゲートフレームフィンガー13cには、半田ペーストが塗布される。トランジスタ20のドレイン電極パッド21、ソース電極パッド22、及びゲート電極パッド23には、金、銅等からなるバンプが形成される。そして、高さ方向Zにおいて5本のドレインフレームフィンガー11cに5個のドレイン電極パッド21が対向し、4本のソースフレームフィンガー12cに4個のソース電極パッド22が対向し、ゲートフレームフィンガー13cにゲート電極パッド23が対向するようにトランジスタ20がリードフレーム10に加熱及び加圧される。これにより、トランジスタ20がリードフレーム10に実装される。このように、各リードフレーム10とトランジスタ20とは、ワイヤボンディングのようなワイヤを介さずに接続されている。
【0115】
モールド工程では、例えばモールド成形装置によって封止樹脂30が成形される。具体的には、トランジスタ20が載せられた各リードフレーム10が形成された銅板をモールド成形装置の金型のキャビティ内に配置され、溶融したモールド樹脂(本実施形態ではエポキシ樹脂)が金型のキャビティに流し込まれる。
【0116】
切断工程では、半導体デバイス1の単位ごとに切断される。このとき、銅板から各タイバー部11d,11i,11j,12d,13dがカットされる。これにより、第1タイバー部11dは封止樹脂30の第1の横側面33及び第2の横側面34から露出し、第2タイバー部11iは第1の横側面33から露出し、第2タイバー部11jは第2の横側面34から露出する。また、タイバー部12dは封止樹脂30の第1の横側面33から露出し、タイバー部13dは第2の横側面34から露出する。以上の工程を経て、
図1に示す半導体デバイス1を得ることができる。
【0117】
このように構成された半導体デバイス1は、
図11に示す既存の半導体デバイス200から置き換えて、回路基板300(
図12参照)に実装することができる。すなわち、半導体デバイス1と半導体デバイス200とは、ピンコンパチブルである。
図11では半導体デバイス200の裏面を示している。回路基板300は、半導体デバイス200が実装されていた回路基板である。
【0118】
図11に示すように、半導体デバイス200は、ダイパッド210と、リードフレーム220と、ダイパッド210に載せられるトランジスタ230と、トランジスタ230を封止する封止樹脂240とを備える。半導体デバイス200は、半導体デバイス1のパッケージ外形と同じパッケージ外形を有する。
【0119】
リードフレーム220は、ダイパッド210に接続された4個のドレイン端子221と、3個のソース端子222と、1個のゲート端子223とを備える。ドレイン端子221、ソース端子222、及びゲート端子223の配置構成は、半導体デバイス1のドレイン端子11a、ソース端子12a、及びゲート端子13a(
図9参照)の配置構成と同様である。ソース端子222及びゲート端子223は、第2の方向Yにおいてダイパッド210から離間して配置されている。
図11に示すとおり、ダイパッド210、4つのドレイン端子221、3つのソース端子222、及び1つのゲート端子223は、封止樹脂240の裏面241から露出している。
【0120】
トランジスタ230は、例えば、トランジスタ230の裏面(ダイパッド210側の面)側にドレイン電極が形成され、トランジスタ230の表面(ダイパッド210とは反対側の面)側にソース電極及びゲート電極が形成される縦型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。トランジスタ230は、ドレイン電極がダイパッド210に電気的に接続され、ソース電極及びゲート電極がアルミワイヤ等のボンディングワイヤ(図示略)を介してソース端子222及びゲート端子223に電気的に接続されている。
【0121】
ダイパッド210は、半導体デバイス200においてドレイン端子221寄り、すなわち封止樹脂240の第1の縦側面242寄りに配置されている。このため、トランジスタ230は、封止樹脂240の第1の縦側面242寄りに配置されている。
図11に示すとおり、ダイパッド210は封止樹脂240の裏面241から露出した略矩形状に形成されている。ダイパッド210の第2の方向Yの長さLDPは、半導体デバイス1における封止樹脂30の裏面32から露出するドレインフレームフィンガー11cの長さLFDEとドレイン連結部11bの幅WCDR(ともに
図9参照)との合計の長さと概ね等しい。
【0122】
また、
図12に示すように、回路基板300には、ドレインと電気的に接続するランドパターン301、ソースと電気的に接続するランドパターン302、及びゲートと電気的に接続するランドパターン303が設けられている。ランドパターン301は、
図11で示す半導体デバイス200のダイパッド210に対応した形状である。ランドパターン302は、第2の方向Yにおいてランドパターン301と間隔を空けて配置され、各ソース端子222に対応した位置に配置されている。ランドパターン303は、第2の方向Yにおいてランドパターン302と同じ位置に配置され、かつ第1の方向Xにおいてランドパターン302と間隔を空けて配置されている。ランドパターン303は、ゲート端子223に対応した位置に配置されている。
【0123】
図12に示すように、ランドパターン301〜303に半田が塗布されて半導体デバイス1が回路基板300に実装されるとき、ダイパッド210に対応するランドパターン301は、半導体デバイス1の4個のドレイン端子11a、ドレイン連結部11b、及び5本のドレインフレームフィンガー11cに接続される。一方、ソースフレームフィンガー12cは、ランドパターン301に対向する位置に露出しないため、ランドパターン301と電気的に接続されることが回避される。このため、ドレイン及びソースの短絡を回避できる。3個のランドパターン302は、3個のソース端子12aにそれぞれ接続される。ランドパターン303は、ゲート端子13aに接続される。このように、半導体デバイス200に合わせて設計されたランドパターン301〜303に半導体デバイス1を実装することができるため、半導体デバイス1を実装するために新たにランドパターンを設計し直した回路基板を製造しなくてよい。このため、回路基板を新規製造するためのコスト増加を回避することができる。
【0124】
半導体デバイス1によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)
図8に示すように、ドレインフレーム11の各ドレインフレームフィンガー11cとトランジスタ20の各ドレイン電極パッド21とが高さ方向Zにおいて対向し、ソースフレーム12の各ソースフレームフィンガー12cと各ソース電極パッド22とが高さ方向Zにおいて対向している。またゲートフレーム13のゲートフレームフィンガー13cとトランジスタ20のゲート電極パッド23とが高さ方向Zにおいて対向している。これにより、トランジスタ20の各電極パッド21〜23と各フレームフィンガー11c〜13cとの接続距離が短くなる。特に、本実施形態では、トランジスタ20の電極パッド21が各ドレインフレームフィンガー11cと直接接触し、電極パッド22が各ソースフレームフィンガー12cと直接接触するため、トランジスタ20とリードフレーム10との接続距離を0にすることができる。
【0125】
そして各ドレインフレームフィンガー11cと各ドレイン電極パッド21との接続、各ソースフレームフィンガー12cと各ソース電極パッド22との接続、ゲートフレームフィンガー13cとゲート電極パッド23との接続は、フリップチップ実装により実施される。このため、トランジスタ20とリードフレーム10との電気的な接続において、ボンディングワイヤを用いることがないため、ボンディングワイヤに起因するインダクタンスをなくすことができる。その結果、ボンディングワイヤを使用しないことにより、半導体デバイス1のインダクタンスの増加を抑制できる。
【0126】
(2)第1の方向Xから見てソースフレームフィンガー12cとドレインフレームフィンガー11cとが重なる領域において、ソースフレームフィンガー12cは封止樹脂30の裏面32から露出していない。この構成によれば、封止樹脂30の裏面32から露出しているドレインフレームフィンガー11cとソースフレーム12との間の距離を大きくすることができる。これにより、半導体デバイス1が回路基板300に例えば半田ペーストにより実装されるとき、半田ペーストによってドレインフレーム11とソースフレーム12とが繋がってしまうことを抑制できる。したがって、トランジスタ20におけるドレイン及びソースの短絡を抑制できる。
【0127】
(3)第1の方向Xから見て、ドレインフレームフィンガー11cとソースフレームフィンガー12cとが重なる領域において、ドレインフレームフィンガー11cにおける先端部11h以外の部分は封止樹脂30の裏面32から露出している。これにより、ドレインフレームフィンガー11cを介してトランジスタ20の熱が半導体デバイス1の外部に放熱される。したがって、半導体デバイス1の放熱性能を保障することができる。
【0128】
(4)第2の方向Yにおいて、トランジスタ20は、封止樹脂30の第2の縦側面36寄りに配置されている。そしてソースフレームフィンガー12cの長さLFSは、ドレインフレームフィンガー11cの長さLFDよりも短い。これにより、トランジスタ20がソースフレームフィンガー12cに実装されるときに、ソースフレームフィンガー12cが封止樹脂30の裏面32に向けて変形することを抑制できる。これにより、ソースフレームフィンガー12cが封止樹脂30の裏面32から露出することを抑制できる。
【0129】
このように、ドレインフレームフィンガー11cに比べて長さの短いソースフレームフィンガー12cの厚さを薄くすることにより、トランジスタ20がリードフレーム10に実装されるときのソースフレームフィンガー12cの変形量は、ドレインフレームフィンガー11cの全体の厚さを薄くしたと仮定した場合のドレインフレームフィンガーの変形量よりも少なくなる。したがって、第1の方向Xから見てドレインフレームフィンガー11cとソースフレームフィンガー12cとが重なる部分においてソースフレームフィンガー12cが封止樹脂30の裏面32から露出することを抑制できる。
【0130】
(5)各ソースフレームフィンガー12cは、ソース連結部12bによって連結されている。これにより、各ソースフレームフィンガー12cの剛性が高められる。加えて、ソース連結部12bは封止樹脂30の裏面32から露出しないため、ドレインフレーム11とソースフレーム12との間の距離を長くすることができる。したがって、半導体デバイス1が回路基板300に例えば半田ペーストにより実装されるとき、半田ペーストによってドレインフレーム11とソースフレーム12とが繋がってしまうことを抑制できる。
【0131】
(6)各ドレインフレームフィンガー11cの厚さTD1は、各ソースフレームフィンガー12cの厚さTS1よりも厚い。このため、トランジスタ20が各ドレインフレームフィンガー11cに実装されたとき、高さ方向Zに変形することを抑制できる。
【0132】
加えて、各ドレインフレームフィンガー11cは、封止樹脂30の裏面32から露出するため、各ドレインフレームフィンガー11cを介してドレインフレーム11の熱及びトランジスタ20の熱を半導体デバイス1の外部に放熱し易くなる。したがって、半導体デバイス1の温度が過度に高くなることを抑制できる。このように、ソースフレームフィンガー12cに比べて長さの長いドレインフレームフィンガー11cが封止樹脂30の裏面32から露出するため、ドレインフレームフィンガー11cが裏面32から露出せず、ソースフレームフィンガー12cが裏面32から露出する構成に比べ、半導体デバイス1の放熱性能が高くなる。
【0133】
(7)各ドレインフレームフィンガー11cはドレイン連結部11bにより連結されているため、各ドレインフレームフィンガー11cの剛性が高められる。したがって、トランジスタ20が各ドレインフレームフィンガー11cに実装されたとき、高さ方向Zに変形することを一層抑制できる。
【0134】
加えて、ドレイン連結部11bは、封止樹脂30の裏面32から露出するため、ドレイン連結部11bを介してドレインフレーム11の熱及びトランジスタ20の熱を半導体デバイス1の外部に放熱し易くなる。したがって、半導体デバイス1の温度が過度に高くなることを一層抑制できる。
【0135】
(8)各ドレインフレームフィンガー11Pは各ドレイン電極パッド21Pの全面を覆っている。これにより、各ドレインフレームフィンガー11Pがトランジスタ20の各ドレイン電極パッド21Pの全面に亘って電気的に接続することにより、ドレインフレーム11からトランジスタ20への供給電流を増加させることができる。加えて、各ドレインフレームフィンガー11Pの先端部11hは、封止樹脂30の裏面32から露出しない。これにより、封止樹脂30の裏面32から露出する各ドレインフレームフィンガー11Pとソースフレーム12との間の距離を長くすることができる。したがって、半導体デバイス1が回路基板300に例えば半田ペーストにより実装されるとき、半田ペーストによってドレインフレーム11とソースフレーム12とが繋がってしまうことを抑制できる。
【0136】
(9)各ドレインフレームフィンガー11cにおいてトランジスタ20の各ドレイン電極パッド21に接続されている部分のうち第1の縦側面35側の一部は、封止樹脂30の裏面32から露出している。これにより、トランジスタ20の熱が各ドレイン電極パッド21及び各ドレインフレームフィンガー11cを介して半導体デバイス1の外部に放熱される。このように、トランジスタ20の熱が半導体デバイス1の外部に放熱される経路が短いため、トランジスタ20の熱が半導体デバイス1の外部に放熱され易くなる。
【0137】
(10)第1の方向Xから見て、ゲートフレームフィンガー13cにおいてドレインフレームフィンガー11cと重なる部分は、封止樹脂30の裏面32から露出していない。これにより、封止樹脂30の裏面32から露出するゲートフレーム13とドレインフレーム11との間の距離が長くなる。したがって、半導体デバイス1が回路基板300に例えば半田ペーストにより実装されるとき、半田ペーストによってドレインフレーム11とゲートフレーム13とが繋がってしまうことを抑制できる。
【0138】
(11)ゲートフレームフィンガー13cの長さLFGは、ソースフレームフィンガー12cの長さLFSよりも短い。これにより、トランジスタ20がゲートフレームフィンガー13cに実装されたとき、ゲートフレームフィンガー13cが封止樹脂30の裏面32に向けて変形し難くなる。したがって、ゲートフレームフィンガー13cが封止樹脂30の裏面32から露出することを抑制できる。
【0139】
(12)第2の方向Yにおいて、ドレインフレームフィンガー11Qとゲートフレームフィンガー13cとが対向している。これにより、第2の方向Yにおいてドレインフレームフィンガー11Qとゲートフレームフィンガー13cとが対向しない場合、すなわち第1の方向Xにおいてドレインフレームフィンガー11Qとゲートフレームフィンガー13cとが異なる位置に配置される場合に比べ、半導体デバイス1の第2の方向Yのサイズを小さくすることができる。
【0140】
(13)トランジスタ20のドレイン電極パッド21及びソース電極パッド22は、第1の方向Xにおいて交互に配置されている。これにより、第1の方向Xにおいて隣り合うドレイン電極パッド21とソース電極パッド22との間の距離が短くなるため、すなわちドレイン電極パッド21とソース電極パッド22との間の電子走行距離が短くなるため、トランジスタ20のスイッチング速度を高めることができる。
【0141】
(14)トランジスタ20のドレイン電極パッド21Qとゲート電極パッド23とが第2の方向Yにおいて並べられている。すなわちドレイン電極パッド21Qとゲート電極パッド23とは第1の方向Xにおいて同じ位置に配置されている。これにより、ドレイン電極パッド21Qとゲート電極パッド23とは第1の方向Xにおいて異なる位置に配置される場合に比べ、トランジスタ20の第1の方向Xにおけるサイズを小さくすることができる。
【0142】
ドレイン電極パッド21Qの長さLDE及びゲート電極パッド23の長さLGがドレイン電極パッド21Pの長さLD及びソース電極パッド22の長さLSよりも短い。これにより、ドレイン電極パッド21Qの長さLDE及びゲート電極パッド23の長さLGがドレイン電極パッド21Pの長さLD及びソース電極パッド22の長さLS以上の場合に比べ、トランジスタ20の第2の方向Yにおけるサイズを小さくすることができる。
【0143】
(15)ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13において厚さの薄い部分(
図3の網掛け部分)は、ハーフエッチング加工により形成されている。これにより、切削等の他の加工方法に比べ、ドレインフレーム11、ソースフレーム12、及びゲートフレーム13において厚さの薄い部分を容易に形成することができる。
【0144】
(16)ドレインフレームフィンガー11Pのうちの最も第1の横側面33側のドレインフレームフィンガー11Pと、ドレインフレームフィンガー11Qとには、第2タイバー部11i,11jが設けられている。この構成によれば、トランジスタ20がリードフレーム10に実装されるときに第2タイバー部11i,11jを介してドレインフレームフィンガー11cがトランジスタ20を支持する。このため、ドレインフレームフィンガー11cが封止樹脂30の裏面32に向けて変形することを抑制できる。また、封止樹脂30を成形するモールド樹脂がドレインフレームフィンガー11cに流れ込むときにタイバー部11i,11jを介してドレインフレームフィンガー11cを支持する。このため、ドレインフレームフィンガー11cが湾曲することを抑制できる。
また、ドレインフレーム11がドレイン連結部11bに設けられた第1タイバー部11dと、ドレインフレームフィンガー11cに設けられた第2タイバー部11i,11jとにより支持されるため、封止樹脂30を成形するモールド樹脂がドレインフレーム11に流れ込むときにドレインフレーム11が傾くことを抑制できる。
【0145】
(17)ドレインフレームフィンガー11cの第1の部分11mの幅WFD1は、第2の部分11nの幅WFD2よりも大きい。この構成によれば、ドレインフレームフィンガー11cの剛性を高めることができるため、ドレインフレームフィンガー11cが湾曲することを抑制できる。
【0146】
(18)ドレインフレームフィンガー11cの第1の部分11mの基部11rは封止樹脂30の裏面32から露出する一方、フランジ部11sは裏面32から露出しない。この構成によれば、フランジ部11sにおける封止樹脂30の裏面32側の面と封止樹脂30とが対向し、接触しているため、ドレインフレームフィンガー11cの裏面32側への移動をフランジ部11sにより規制できる。したがって、ドレインフレームフィンガー11cが裏面32から突出することを抑制できる。
【0147】
(19)ドレイン連結部11bにおける端部11k以外の部分は封止樹脂30の裏面32から露出する一方、端部11kは裏面32から露出しない。この構成によれば、端部11kにおける封止樹脂30の裏面32側の面と封止樹脂30とが対向し、接触しているため、ドレイン連結部11bの裏面32側への移動を端部11kにより規制できる。したがって、ドレイン連結部11bが裏面32から突出することを抑制できる。
【0148】
〔トランジスタ〕
次に、
図13〜
図15を参照して、トランジスタ20の内部構造について説明する。なお、
図14Aの網掛け部分はプレート膜44の領域を示し、
図14Bの網掛け部分はソース電極60の領域を示している。
【0149】
図13に示すように、トランジスタ20は、ベースとなるIII族窒化物半導体積層構造24上に設けられた、ソース電極60、ドレイン電極70、ゲート電極80、及びプレート膜44を有する。
図14Aに示すように、ソース電極60(S)、ドレイン電極70(D)、及びゲート電極80(G)は、SGDGSの順に周期的に配置されている。これにより、ソース電極60及びドレイン電極70でゲート電極80を挟むことによって素子構造25が構成されている。プレート膜44は、ゲート−ソース間及びドレイン−ゲート間のそれぞれに配置されている。以降の説明において、プレート膜44のうちドレイン−ゲート間に配置されるプレート膜44をソースフィールドプレート45と呼び、プレート膜44のうちゲート−ソース間に配置されるプレート膜44をフローティングプレート46と呼ぶ。
【0150】
III族窒化物半導体積層構造24の表面は、素子構造25を含むアクティブ領域26と、アクティブ領域26外のノンアクティブ領域27とに区画される。ノンアクティブ領域27は、
図14Aに示すようにアクティブ領域26と隣接するだけでもよいし、図示しないがアクティブ領域26を取り囲んでもよい。
【0151】
図14Bに示すように、ソース電極60は、ノンアクティブ領域27上に配置されたベース部61と、ベース部61に一体的に接続された複数のソース電極フィンガー62とを含む。本実施形態のソース電極60は、複数のソース電極フィンガー62が互いに平行なストライプ状に延びる櫛歯状である(
図13参照)。ベース部61は、ノンアクティブ領域27内に、ソース電極フィンガー62用の接続端部63を有する。複数のソース電極フィンガー62は、接続端部63からアクティブ領域26に向かって延びている。つまり、複数のソース電極フィンガー62は、アクティブ領域26及びノンアクティブ領域27の間を跨っている。なお、以降の説明において、ソース電極フィンガー62が延びる方向を「第3の方向V」とし、III族窒化物半導体積層構造24の平面視において、第3の方向Vと直交する方向を「第4の方向W」とする。
【0152】
隣り合うソース電極フィンガー62の間のスペースSPは、ドレイン電極70が配置された領域である。ドレイン電極70は、ソース電極60と同様に、ノンアクティブ領域27上のベース部(図示略)と、ベース部に一体的に接続された複数のドレイン電極フィンガー71(スペースSPに配置された部分)とを含んでいてもよい。本実施形態のドレイン電極70は、複数のドレイン電極フィンガー71が互いに平行なストライプ状に延びる櫛歯状である(
図13参照)。ドレイン電極フィンガー71は、ソース電極フィンガー62と平行している。本実施形態では、各スペースSPにドレイン電極フィンガー71が配置されることによって、二つの櫛歯状のソース電極フィンガー62及びドレイン電極フィンガー71が互いに係合している。
【0153】
図13に示すように、ゲート電極80は、ソース電極フィンガー62を取り囲んでいる。
図14Aに示すように、ゲート電極80は、ノンアクティブ領域27上に配置されたベース部81と、ベース部81に一体的に接続された複数のゲート電極フィンガー82とを含む。本実施形態のゲート電極80は、複数のゲート電極フィンガー82が互いに平行なストライプ状に延びる櫛歯状である。ベース部81は、ノンアクティブ領域27内に、ゲート電極フィンガー82用の接続端部83を有する。接続端部83は、アクティブ領域26とノンアクティブ領域27との境界(素子分離ライン28)を基準に、ソース電極60の接続端部63よりも外側(相対的にアクティブ領域26から遠い側)に設けられている。複数のゲート電極フィンガー82は、接続端部83からアクティブ領域26に向かって延びている。つまり、複数のゲート電極フィンガー82は、アクティブ領域26及びノンアクティブ領域27の間を跨っている。またゲート電極80のベース部81は、ソース電極60のベース部61よりも外側の引き出し部84を含む。引き出し部84は、例えばゲート電極80に対するコンタクト96を形成するための領域である。
【0154】
図14Aに示すように、ソースフィールドプレート45は、ノンアクティブ領域27上に配置されたベース部45aと、ベース部45aに一体的に接続された複数の電極部45bとを含む。本実施形態のソースフィールドプレート45は、第4の方向Wにおけるベース部45aの両端部から一対の電極部45bが第3の方向Vに沿って延びるアーチ状である。ソースフィールドプレート45は、ゲート電極80よりもドレイン電極フィンガー71側に設けられ、ドレイン電極フィンガー71を取り囲んでいる(
図13参照)。ベース部45aは、ノンアクティブ領域27内に、電極部45b用の接続端部45cを有する。接続端部45cは、素子分離ライン28を基準に、ソース電極60の接続端部63よりも外側に設けられている。一対の電極部45bは、接続端部45cからアクティブ領域26に向けて延びている。つまり、一対の電極部45bは、アクティブ領域26及びノンアクティブ領域27の間を跨っている。なお、接続端部45cは、素子分離ライン28を基準に、ソース電極60の接続端部63とほぼ同じ位置に設けられてもよい。
【0155】
ソース電極60のベース部61とソースフィールドプレート45のベース部45aとは、ノンアクティブ領域27内で部分的に重なっている。この重なり部分において、ソース電極60及びソースフィールドプレート45は、ソースコンタクト29を介して接続されている。ソースコンタクト29は、例えばスペースSPに対向する位置(ソース電極60のソース電極フィンガー62を避けた位置)に設けられている。
【0156】
フローティングプレート46は、ノンアクティブ領域27上に配置されたベース部46aと、ベース部46aに一体的に接続された複数の電極部46bとを含む。本実施形態のフローティングプレート46は、第4の方向Wにおけるベース部46aの両端部から一対の電極部46bが第3の方向Vに沿って延びるアーチ状である。フローティングプレート46は、ゲート電極80よりもソース電極フィンガー62側に設けられ、ソース電極フィンガー62を取り囲んでいる(
図13参照)。ベース部46aは、ノンアクティブ領域27内に、電極部46b用の接続端部46cを有する。接続端部46cは、素子分離ライン28を基準に、ソース電極60の接続端部63及びソースフィールドプレート45の接続端部45cよりも外側に設けられている。一対の電極部46bは、接続端部46cからアクティブ領域26に向けて延びている。つまり、一対の電極部46bは、アクティブ領域26及びノンアクティブ領域27の間を跨っている。なお、接続端部46cは、素子分離ライン28を基準に、ソース電極60の接続端部63又はソースフィールドプレート45の接続端部45cとほぼ同じ位置に設けられてもよい。
【0157】
図13に示すように、ソース電極60、ドレイン電極70、及びゲート電極80には、それぞれ、ソース配線91、ドレイン配線92、及びゲート配線93が電気的に接続されている。具体的には、ソース電極60、ドレイン電極70、及びゲート電極80が形成される絶縁層50上に積層された絶縁層90(ともに
図15参照)においてソース電極60、ドレイン電極70、及びゲート電極80のそれぞれに達するようにコンタクト94,95,96が形成されている。これらコンタクト94,95,96を通じて、ソース配線91、ドレイン配線92、及びゲート配線93がソース電極60、ドレイン電極70、及びゲート電極80に接続されている。ソース配線91、ドレイン配線92、及びゲート配線93は、それぞれ、ソース電極パッド22、ドレイン電極パッド21、及びゲート電極パッド23に電気的に接続されている。
【0158】
第3の方向Vにおいて1つのソース電極フィンガー62上には、ソース電極60とソース配線91とを接続するコンタクト94が複数個配列された一群(以下、「コンタクト94の群」)が設けられている。このコンタクト94の群は、第3の方向Vにおいて間隔を空けて複数(本実施形態では4つ)設けられている。第3の方向Vにおいて両端のコンタクト94の群は、他のコンタクト94の群よりもコンタクト94の数が少ない。また、第3の方向Vにおいて1つのドレイン電極フィンガー71上には、ドレイン電極70とドレイン配線92とを接続するコンタクト95が複数配列された一群(以下、「コンタクト95の群」)が設けられている。このコンタクト95の群は、第3の方向Vにおいて間隔を空けて複数(本実施形態では3つ)設けられている。またIII族窒化物半導体積層構造24の両端の引き出し部84のそれぞれには、ゲート電極80とゲート配線93とを接続するコンタクト96が第4の方向Wに沿って複数個配列された一群(以下、「コンタクト96の群」)が設けられている。このコンタクト96の群は、第4の方向Wにおいて間隔を空けて複数設けられている。コンタクト96の群は、第4の方向Wにおいてソース電極フィンガー62及びゲート電極フィンガー82と同じ位置に設けられている。
【0159】
ソース配線91、ドレイン配線92、及びゲート配線93のそれぞれは、第4の方向Wに延びている。ソース配線91及びドレイン配線92は、第4の方向Wにおいて複数のソース電極フィンガー62及びドレイン電極フィンガー71を跨ぐように延びている。ソース配線91及びドレイン配線92は、第3の方向Vにおいて交互に配置されている。ゲート配線93は、第3の方向Vにおいてソース電極60のソース電極フィンガー62及びドレイン電極70のドレイン電極フィンガー71よりも外側(ノンアクティブ領域27側)に位置している。複数のソース配線91のうち第3の方向Vにおいて最も外側(ノンアクティブ領域27側)に位置するソース配線91(以下、「両外側のソース配線91」と呼ぶ場合がある)は、第3の方向Vにおいてゲート配線93と隣り合う。両外側のソース配線91は、ソース電極60のソース電極フィンガー62の第3の方向Vの両端部を覆うと共に、ノンアクティブ領域27の一部も覆っている。
【0160】
ソース配線91の個数は、ドレイン配線92の個数よりも多い。両外側のソース配線91の幅(第3の方向Vにおける幅寸法)は、他のソース配線91の幅よりも小さい。他のソース配線91の幅は、ドレイン配線92の幅(第3の方向Vにおける幅寸法)と等しい。ゲート配線93の幅(第3の方向Vにおける幅寸法)は、ソース配線91及びドレイン配線92の幅よりも小さい。
【0161】
なお、ソース配線91、ドレイン配線92、及びゲート配線93の幅の大きさ、形状、及び個数は任意の設定事項である。例えばソース配線91の個数とドレイン配線92の個数が等しくてもよい。
【0162】
図15に示すように、III族窒化物半導体積層構造24は、基板40と、基板40の表面に形成されたバッファ層41と、バッファ層41上にエピタキシャル成長された電子走行層42と、電子走行層42上にエピタキシャル成長された電子供給層43とを含む。また基板40の裏面には、裏面電極59が形成されている。裏面電極59は、ソース電極60と電気的に接続されてソース電位となる。
【0163】
基板40は、例えば導電性のシリコン基板である。導電性のシリコン基板は、例えば1×10
17cm
−3〜1×10
20cm
−3(より具体的には1×10
18cm
−3程度)の不純物濃度を有する。
【0164】
バッファ層41は、例えば第1バッファ層41aと第2バッファ層41bとを積層した多層バッファ層である。第1バッファ層41aは、基板40の表面に接している。第2バッファ層41bは、第1バッファ層41aの表面(基板40とは反対側の表面)に積層されている。第1バッファ層41aは、例えばAlN膜で構成され、その膜厚は例えば0.2μm程度である。第2バッファ層41bは、例えばAlGaN膜で構成され、その膜厚は例えば0.2μm程度である。
【0165】
電子走行層42及び電子供給層43は、Al組成の異なるIII族窒化化合物半導体(以下、単に「窒化物半導体」)からなる。電子走行層42は、例えばGaN層からなり、その厚さは例えば0.5μm程度である。電子供給層43は、例えばAl
xGa
1−xN層(0<x<1)からなり、その厚さは例えば5nm以上かつ30nm以下(より具体的には、20nm程度)である。
【0166】
このように、電子走行層42及び電子供給層43は、Al組成の異なる窒化物半導体からなり、ヘテロ接合を形成していると共に、それらの間には格子不整合が生じている。そして、ヘテロ接合及び格子不整合に起因する分極のため、電子走行層42と電子供給層43との界面に近い位置(例えば界面から数Å程度の距離の位置)には、二次元電子ガス47が拡がっている。
【0167】
電子走行層42には、そのエネルギーバンド構造に関して、例えば浅いドナー準位E
D、深いドナー準位E
DD、浅いアクセプタ準位E
A、及び深いアクセプタ準位E
DAが形成されている。
【0168】
浅いドナー準位E
Dは、例えば、電子走行層42の伝導帯の下端(底)のエネルギー準位E
Cから0.025eV以下の離れた位置でのエネルギー準位であり、深いドナー準位E
DDと区別できるのであれば、単に「ドナー準位E
D」と呼んでもよい。通常、この位置にドーピングされたドナーの電子は、室温(熱エネルギーkT=0.025eV程度)でも伝導帯に励起されて自由電子となる。浅いドナー準位E
Dを形成するためにGaN層からなる電子走行層42にドーピングする不純物としては、例えば、Si及びOの少なくとも一種が挙げられる。一方、深いドナー準位E
DDは、例えば、電子走行層42の伝導帯の下端(底)のエネルギー準位E
Cから0.025eV以上の離れた位置でのエネルギー準位である。つまり、深いドナー準位E
DDは、励起に必要なイオン化エネルギーが室温の熱エネルギーよりも大きいドナーのドーピングによって形成されている。したがって、通常、この位置にドーピングされたドナーの電子は、室温において伝導帯に励起されず、ドナーに捉えられた状態になっている。
【0169】
浅いアクセプタ準位E
Aは、例えば、電子走行層42の価電子の上端(頂上)のエネルギー準位E
Vから0.025eV以下の離れた位置でのエネルギー準位であり、深いアクセプタ準位E
DAと区別できるのであれば、単に「アクセプタ準位E
A」と呼んでもよい。通常、この位置にドーピングされたアクセプタの正孔は、室温(熱エネルギーkT=0.025eV程度)でも価電子帯に励起されて自由正孔となる。一方、深いアクセプタ準位E
DAは、例えば、電子走行層42の価電子の上端(頂上)のエネルギー準位E
Vから0.025eV以上の離れた位置でのエネルギー準位である。つまり、深いアクセプタ準位E
DAは、励起に必要なイオン化エネルギーが室温の熱エネルギーよりも大きいアクセプタのドーピングによって形成されている。したがって、通常、この位置にドーピングされたアクセプタの正孔は、室温において価電子帯に励起されず、アクセプタに捉えられた状態になっている。深いアクセプタ準位E
DAを形成するためにGaN層からなる電子走行層42にドーピングする不純物としては、例えば、C、Be、Cd、Ca、Cu、Ag、Sr、Ba、Li、Na、K、Sc、Zr、Fe、Co、Ni、Ar、及びHeからなる群から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0170】
本実施形態では、上述の浅いドナー準位E
D、深いドナー準位E
DD、浅いアクセプタ準位E
A、及び深いアクセプタ準位E
DAを形成する不純物(ドーパント)の濃度を、それぞれ、浅いドナー濃度N
D、深いドナー濃度N
DD、浅いアクセプタ濃度N
A、及び深いアクセプタ濃度N
DAと呼ぶ。例えば、深いアクセプタ準位E
DAを形成する不純物としてC(カーボン)のみが0.5×10
16cm
−3の濃度で電子走行層42にドーピングされている場合、このカーボン濃度が深いアクセプタ濃度N
DAと定義される。これら濃度N
D、N
DD、N
A、及びN
DAは、例えばSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry:二次イオン質量分析法)で測定することができる。
【0171】
電子走行層42の全体としての不純物濃度は、N
A+N
DA−N
D−N
DD>0であることが好ましい。この不等式は、電子を放出し得るドナー原子の不純物濃度の総和(N
D+N
DD)よりも、放出された電子を捕獲し得るアクセプタ原子の不純物濃度の総和(N
A+N
DA)が大きいことを意味している。つまり、電子走行層42においては、浅いドナー原子及び深いドナー原子から放出された電子のほぼ全部が伝導帯に励起されずに浅いアクセプタ原子又は深いアクセプタ原子で捕獲されるため、電子走行層42が半絶縁のi型GaNになる。
【0172】
本実施形態では、例えば、浅いドナー濃度N
Dは、1×10
16cm
−3以上かつ1×10
17cm
−3以下であり、深いドナー濃度N
DDは、1×10
16cm
−3以上かつ1×10
17cm
−3以下である。また浅いアクセプタ濃度N
Aは、1×10
16cm
−3以上かつ5×10
16cm
−3以下であり、深いアクセプタ濃度N
DAは、1×10
16cm
−3以上かつ1×10
18cm
−3以下である。
【0173】
電子供給層43は、例えば、電子走行層42との界面に、数原子厚程度(5nm以下。好ましくは1nm以上かつ5nm以下、より好ましくは1nm以上かつ3nm以下)の厚さのAlN層を有する。このようなAlN層は、電子の散乱を抑制して、電子移動度の向上に寄与する。
【0174】
電子供給層43には、その表面から電子走行層42に至るように、酸化膜48が選択的に形成されている。酸化膜48は、電子供給層43とほぼ等しい膜厚を有する。酸化膜48は、例えば熱酸化膜であり、電子走行層42との界面に損傷を与えることなく形成された酸化膜である。電子供給層43がAlN層である場合、酸化膜48は、AlON膜からなってもよい。
【0175】
さらに、トランジスタ20はIII族窒化物半導体積層構造24上に形成された下地層49及び絶縁層50をさらに含む。
下地層49は、ドレイン電極70及びソース電極60の形成領域を含むIII族窒化物半導体積層構造24の表面全体に形成されている。下地層49は、例えばSiN膜からなり、その厚さは例えば5nm以上かつ200nm以下である。
【0176】
絶縁層50は、下地層49を覆っており、第1層50a及び第1層50a上の第2層50bを含む。例えば第1層50a及び第2層50bは、共にSiO
2膜からなる。また絶縁層50は、例えば1.5μm以上かつ2μm以下の厚さを有する。個別には、第1層50aが例えば500nm以上かつ1000nm以下の厚さを有し、第2層50bが例えば500nm以上かつ1000nm以下の厚さを有する。
【0177】
第1層50a及び下地層49には、III族窒化物半導体積層構造24に達するゲート開口部51が形成されている。ゲート開口部51の底部には、酸化膜48が露出している。ゲート開口部51内には、その底部及び側部を覆うようにゲート絶縁膜52が形成されている。ゲート絶縁膜52は、ゲート開口部51内に加えて、第1層50aと第2層50bとの間にも形成されている。ゲート絶縁膜52は、構成元素として、例えばSi、Al、及びHfからなる群から選択される少なくとも一種の材料膜からなる。具体的には、ゲート絶縁膜52は、SiN、SiO
2、SiON、Al
2O
3、AlN、AlON、HfSiO、及びHfO
2等からなる群から選択される少なくとも一種の材料膜からなる。これらのうち、好ましくは、Al
2O
3膜が挙げられる。またゲート絶縁膜52は、例えば10nm以上かつ100nm以下の厚さを有する。
【0178】
ゲート電極80は、ゲート開口部51に埋め込まれている。ゲート電極80は、例えばゲート開口部51の周縁でゲート絶縁膜52上に形成されたオーバーラップ部85を含む。なお、ゲート電極80は、ゲート開口部51の開口端よりも上方に出っ張らないようにゲート開口部51に充填されてもよい。ゲート電極80は、例えばMo、Ni等の金属電極からなってもよいし、ドープトポリシリコン等の半導体電極からなってもよい。金属電極はポリシリコンに比べて埋め込み性に劣るため、金属電極を用いた場合に、オーバーラップ部85が形成され易い。
【0179】
ソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46は、ゲート開口部51の側部を部分的に形成するように、ゲート電極80の側方に配置されている。具体的には、ソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46は、ゲート開口部51の側部の下側でゲート開口部51内に向けて露出するように、下地層49上に、絶縁層53を介して形成されている。つまり、ゲート開口部51の側部は、下側がソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46で形成され、上側が絶縁層50(第1層50a)で形成されることによって、導電層/絶縁層の積層界面を有する。
【0180】
そして、ソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46に接するように、ゲート開口部51の側部には、絶縁性のサイドウォール54が形成されている。つまり、サイドウォール54は、ゲート開口部51の側部とゲート絶縁膜52との間に配置されている。サイドウォール54は、例えばSiO
2、SiN、及びSiONからなる群から選択される少なくとも一種の材料膜からなる。これらのうち、好ましくは、SiO
2膜が挙げられる。またサイドウォール54は、例えば10nm以上かつ200nm以下の厚さを有する。
【0181】
ソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46は、サイドウォール54及びゲート絶縁膜52によってゲート電極80から絶縁されている。第4の方向Wにおけるゲート電極80とソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46との間の距離DPgfは、例えば1μmであり、好ましくは、50nm以上かつ200nm以下である。本実施形態の距離DPgfは、ゲート絶縁膜52及びサイドウォール54の厚さの合計によって定義される。なお、サイドウォール54が省略された場合、距離DPgfは、ゲート絶縁膜52の厚さによって定義される。また第4の方向Wにおけるソースフィールドプレート45の長さLfp、及び第4の方向Wにおけるゲート電極80とドレイン電極70との間の距離DPgdの関係は、Lfp<1/3DPgdを満たしている。半導体デバイス1の耐圧が200V以下の場合、長さLfpは、例えば0.25μm以上かつ1.5μm以下であり、距離DPgdは例えば1μm以上かつ6μm以下である。また、ソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46は、例えばMo膜からなり、その厚さは例えば10nm以上かつ200nm以下である。
【0182】
絶縁層50及び下地層49には、III族窒化物半導体積層構造24に達するソースコンタクト孔55及びドレインコンタクト孔56が形成されている。ソースコンタクト孔55及びドレインコンタクト孔56は、ゲート開口部51から横方向(第4の方向W)に離れた位置に形成されている。ソースコンタクト孔55及びドレインコンタクト孔56には、それぞれ、ソース電極60及びドレイン電極70が埋め込まれている。ソース電極60及びドレイン電極70は、それぞれ、ソースコンタクト孔55及びドレインコンタクト孔56内でIII族窒化物半導体積層構造24に電気的に接続されている。
【0183】
ソースコンタクト孔55及びドレインコンタクト孔56は、下地層49において絶縁層50よりも相対的に大きいオーミックコンタクト開口部57,58を有する。ソース電極60及びドレイン電極70は、それぞれ、オーミックコンタクト開口部57,58内に位置しているオーミック電極64,72と、絶縁層50内に位置しているパッド電極65,73とを有する。オーミック電極64,72は、スペースSP(
図14A参照)の第3の方向Vにおける端部が互いに同じ位置に配置されているが、例えばドレイン側のオーミック電極72の端部が選択的に後退していてもよい。パッド電極65,73は、オーミック電極64,72上に形成され、その頂部が絶縁層50の表面から露出している。オーミック電極64,72及びパッド電極65,73のそれぞれは、例えばTi/Al膜からなる。
【0184】
なお、
図15と異なる位置での切断面に現れる構成であるが、絶縁層50には、ソースフィールドプレート45に達するコンタクト孔50cが形成されている。コンタクト孔50cには、ソースコンタクト29が埋め込まれている。これにより、ソースフィールドプレート45とソースコンタクト29とが電気的に接続される。
【0185】
図15に示すように、ソース配線91は、絶縁層50上に形成された第1配線91aと、絶縁層90に形成された第2配線91bとを含む。第1配線91aは、絶縁層50においてソース電極60に達するように形成されたコンタクト94を介してソース電極60に電気的に接続されている。第2配線91bは、ソース電極パッド22(
図2参照)に電気的に接続されている。第2配線91bは、絶縁層90において第1配線91aに達するように形成されたコンタクト孔90aを介して第1配線91aと電気的に接続されている。なお、
図15では図示しないが、ドレイン配線92及びゲート配線93(ともに
図13参照)についても、ソース配線91と同様に、絶縁層50及び絶縁層90に形成されている。
【0186】
トランジスタ20によれば、上述のように、電子走行層42上にAl組成の異なる電子供給層43が形成されてヘテロ接合が形成されている。これにより、電子走行層42と電子供給層43との界面付近の電子走行層42内に二次元電子ガス47が形成され、この二次元電子ガス47をチャネルとして利用したHEMTが形成されている。ゲート電極80は、酸化膜48及びゲート絶縁膜52の積層膜を挟んで電子走行層42と対向しており、ゲート電極80の直下には、電子走行層42が存在しない。したがって、ゲート電極80の直下では、電子供給層43と電子走行層42との格子不整合による分極に起因する二次元電子ガス47が形成されない。これにより、ゲート電極80にバイアスを印加していないとき(ゼロバイアス時)には、二次元電子ガス47によるチャネルはゲート電極80の直下で遮断されている。このようにして、ノーマリオフ型のHEMTが実現されている。ゲート電極80に適切なオン電圧(例えば5V)が印加されると、ゲート電極80の直下の電子走行層42内にチャネルが誘起され、ゲート電極80の両側の二次元電子ガス47が接続される。これにより、ソース−ドレイン間が導通する。
【0187】
使用に際しては、ソース電極60とドレイン電極70との間に、例えばドレイン電極70が正となる所定の電圧(例えば200V以上かつ400V以下)が印加される。その状態で、ゲート電極80に対して、ソース電極60を基準電位(0V)として、オフ電圧(0V)又はオン電圧(5V)が印加される。
【0188】
酸化膜48と電子走行層42との界面は、電子供給層43と電子走行層42との界面に連続していて、ゲート電極80の直下における電子走行層42の界面の状態は、電子供給層43と電子走行層42との界面の状態と同等である。このため、ゲート電極80の直下の電子走行層42における電子移動度は高い状態に保持されている。
【0189】
本実施形態のトランジスタ20は、以下に示す効果が得られる。
(20)トランジスタ20は、ソース電極60に電気的に接続されたソースフィールドプレート45がゲート−ドレイン間に配置されている。これにより、ゲート電極80から一体的にゲート絶縁膜52上を横方向(第4の方向W)に延びるゲートフィールドプレートを設けなくてもよくなるため、ゲート−ドレイン間容量を低減することができる。その結果、トランジスタ20の寄生容量を低減することができるため、高速スイッチング動作、高周波動作等を良好に実現することができる。
【0190】
(21)ゲート電極80には、ソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46に接するようにサイドウォール54が設けられている。ゲート絶縁膜52は、サイドウォール54を覆うように形成されている。これにより、ゲート電極80とソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46との間の距離を、主にサイドウォール54の厚さによって制御することができる。このため、ゲート絶縁膜52の厚さを、主に、意図したゲートしきい値電圧に合わせて設計することができる。
【0191】
(22)ゲート電極80とソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46との間の距離DPgfは、1μm以下である。この構成によれば、ソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46がゲート電極80の比較的近くに配置されるため、ソースフィールドプレート45及びフローティングプレート46の各端部への電界集中を良好に緩和することができる。
【0192】
(23)ソースフィールドプレート45の長さLfp、及びゲート電極80とドレイン電極70との間の距離DPgdの関係は、Lfp<1/3DPgdを満たしている。この構成によれば、ソースフィールドプレート45の面積が比較的小さいことにより、ソースフィールドプレート45に起因するドレイン−ソース間容量の増加を抑制できる。
【0193】
(24)ソースコンタクト29をノンアクティブ領域27に設けることにより、ソース電極60とソースフィールドプレート45とを電気的に接続するための構造として、ゲート電極80の上方を跨いでソース電極60及びソースフィールドプレート45のそれぞれに電気的に接続する導電構造をアクティブ領域26に設ける必要がなくなる。このような導電構造がアクティブ領域26に設けられると、半導体デバイス1の寄生容量を増加させる要因になり得るが、上述のようにノンアクティブ領域27においてソース電極60とソースフィールドプレート45とを接続することによって、寄生容量の増加を抑制できる。
【0194】
(25)トランジスタ20は、ヘテロ接合を形成する電子走行層42及び電子供給層43を含む。電子供給層43は、ゲート開口部51の底部に選択的に、酸化膜48を含む。この構成によれば、ゲート電極80の直下の二次元電子ガス47を低減させることができるため、ノーマリオフ型のHMETを実現することができる。
【0195】
(26)ゲート電極フィンガー82とドレイン電極フィンガー71との間の距離がゲート電極フィンガー82とソース電極フィンガー62との間の距離よりも長い非対称構造となる。これにより、ゲート電極フィンガー82とドレイン電極フィンガー71との間で生じる電界が過度に高まることを抑制することができるので、トランジスタ20の耐圧を向上させることができる。
【0196】
〔DC/DCコンバータ〕
上述の半導体デバイス1は、DC/DCコンバータに適用することができる。DC/DCコンバータは、例えばCPUに電力供給するための電源回路、及び非接触式給電における1次側回路等に適用することができる。
【0197】
図16は、DC/DCコンバータの一例であり、外部電源(図示略)からの入力電圧を降圧させて出力するチョッパ方式のDC/DCコンバータ100の構成を示している。DC/DCコンバータ100は、30MHzで駆動する。
【0198】
DC/DCコンバータ100は、半導体デバイス1、コイル101、ダイオード102、コンデンサ103、及び制御回路110を備える。半導体デバイス1のドレイン(ドレイン端子11a)は外部電源と電気的に接続されている。コイル101の第1端部101aは、半導体デバイス1のソース(ソース端子12a)と電気的に接続されている。ダイオード102のカソードは半導体デバイス1のドレインとコイル101の第1端部101aとの間に電気的に接続され、ダイオード102のアノードは接地されている。コンデンサ103の一方はコイル101の第2端部101bに電気的に接続され、コンデンサ103の他方は接地されている。
【0199】
制御回路110は、半導体デバイス1のゲート(ゲート電極13a)に電気的に接続されている。制御回路110は、コイル101の第2端部101b及びコンデンサ103の接続点に電気的に接続されている。制御回路110は、コイル101の第2端部101b及びコンデンサ103の接続点の電圧を検出し、その検出電圧に基づいて半導体デバイス1のゲート信号を出力する。
【0200】
(第2実施形態)
図17及び
図18を参照して、第2実施形態の半導体デバイス1の構成について説明する。本実施形態の半導体デバイス1は、第1実施形態の半導体デバイス1に比べ、ソースフレーム12の一部の構成が異なる。以降の説明において、第1実施形態の半導体デバイス1の構成と同じ構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0201】
図17に示すように、ソースフレーム12においてソースフレームフィンガー12cの長さLFSは、第1実施形態のソースフレームフィンガー12cの長さLFS(
図3参照)よりも短い。また長さLFSは、ゲートフレームフィンガー13cの長さLFGよりも長い。第2の方向Yにおいて、ソースフレームフィンガー12cの先端がドレインフレームフィンガー11cにおける第2タイバー部11i,11jよりも封止樹脂30の第2の縦側面36側に位置している。
【0202】
なお、長さLFSは、第1実施形態のソースフレームフィンガー12cの長さLFS(
図3参照)よりも短く、かつソース電極パッド22に電気的に接続可能な長さである範囲内において任意に変更可能である。一例では、第2の方向Yにおいて、ソースフレームフィンガー12cの先端位置がドレインフレームフィンガー11Qの先端位置と同じ位置であってもよい。すなわち、第1の方向Xから見て、ソースフレームフィンガー12cは、ドレインフレームフィンガー11Pの先端部11h(
図17におけるドレインフレームフィンガー11Pの網掛け部分)のみと重なっていてもよい。これにより、第1の方向Xから見てドレインフレームフィンガー11P及びソースフレームフィンガー12cが互いに重なる領域において、ドレインフレームフィンガー11P及びソースフレームフィンガー12cの両方が封止樹脂30の裏面32(
図9参照)から露出しない。また別例では、長さLFSは、長さLFGと等しくてもよい。
【0203】
図18に示すように、トランジスタ20がリードフレーム10に実装されるとき、第2の方向Yにおいてソースフレームフィンガー12cの先端位置は、トランジスタ20のソース電極パッド22における封止樹脂30の第1の縦側面35側の端部よりも僅かに第2の縦側面36側に位置している。すなわち、ソース電極パッド22における第2の縦側面36側の部分がソースフレームフィンガー12cと高さ方向Zにおいて対向する一方、ソース電極パッド22における第1の縦側面35側の端部がソースフレームフィンガー12cと高さ方向Zにおいて対向していない。このように、ソース電極パッド22の第2の縦側面36側の部分がソースフレームフィンガー12cと電気的に接続している。言い換えれば、ソースフレームフィンガー12cは、ソース電極パッド22と部分的に接続されている。
【0204】
本実施形態の半導体デバイス1は、以下に示す効果が得られる。
(27)ソースフレームフィンガー12cの先端は、トランジスタ20のソース電極パッド22における封止樹脂30の第1の縦側面35側の端部よりも第2の縦側面36側に位置している。このように、ソースフレームフィンガー12cの長さLFSが短いことにより、ソースフレームフィンガー12cの剛性を高めることができる。したがって、トランジスタ20がソースフレームフィンガー12cに実装されたとき、ソースフレームフィンガー12cとソース電極パッド22との電気的な接続を維持しつつ、ソースフレームフィンガー12cが変形し難くなる。したがって、ソースフレームフィンガー12cが封止樹脂30の裏面32から露出することを抑制できる。
【0205】
(第3実施形態)
図19〜
図21を参照して、第3実施形態の半導体デバイス1の構成について説明する。本実施形態の半導体デバイス1は、第1実施形態の半導体デバイス1に比べ、放熱板130が追加された点が異なる。以降の説明において、第1実施形態の半導体デバイス1の構成と同じ構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0206】
図19に示すように、放熱板130は、封止樹脂30の表面31に露出している。表面31に露出している放熱板130の形状は、第1の方向Xが長手方向となる長方形である。放熱板130は、封止樹脂30の第2の縦側面36寄り(ソース端子12a及びゲート端子13a側)に位置している。放熱板130は、例えば銅、アルミニウム等の放熱性に優れた金属材料により形成されることが好ましい。
【0207】
図20に示すように、放熱板130は、トランジスタ20の裏面20b側を覆うカバー部131と、ソースフレーム12に接続されるクリップ部132と、カバー部131及びクリップ部132を連結する連結部133とを備える。カバー部131、クリップ部132、及び連結部133は、例えば単一部材により形成されている。
【0208】
カバー部131の形状は、平面視において長方形である。カバー部131は、トランジスタ20の裏面20bの全体を覆っている。カバー部131は、トランジスタ20の裏面電極59(
図15参照)と電気的に接続されている。このため、カバー部131は、ソース電位となる。
図19に示すように、カバー部131は、封止樹脂30の表面31に露出した部分を含む。
図21に示すように、カバー部131は、トランジスタ20の裏面20bに接触している。
【0209】
なお、平面視におけるカバー部131の形状は任意の設定事項である。例えばカバー部131の形状は、カバー部131の四隅が丸みを帯びた略長方形状、第1の方向Xを長軸とした楕円形状等であってもよい。またカバー部131は、トランジスタ20の裏面20bを部分的に覆っていてもよい。要するに、カバー部131は、トランジスタ20の裏面20bを少なくとも部分的に覆っていればよい。
【0210】
図20に示すように、クリップ部132は、第1の方向Xに沿って延びている。クリップ部132の第1の方向Xの長さLH2は、カバー部131の第1の方向Xの長さLH1よりも短い。
図21に示すように、クリップ部132は、第2の方向Yにおいてカバー部131よりも封止樹脂30の第2の縦側面36側に位置し、高さ方向Zにおいてカバー部131よりもリードフレーム10に近い側に位置している。クリップ部132は、ソースフレーム12におけるソース連結部12bに接触している。すなわちクリップ部132は、ソースフレーム12と電気的に接続されている。またクリップ部132は、ゲートフレーム13とは接触していない。
【0211】
図20に示すように、連結部133は、カバー部131におけるクリップ部132側の端面からクリップ部132に向けて延びている。連結部133の第1の方向Xの長さLH3は、クリップ部132の長さLH2と等しい。
図21に示すように、連結部133は、カバー部131から第2の縦側面36側に向かうにつれてリードフレーム10側(裏面32側)に傾斜している。なお、放熱板130からクリップ部132を省略してもよいし、放熱板130からクリップ部132及び連結部133を省略してもよい。
【0212】
本実施形態の半導体デバイス1は、以下に示す効果が得られる。
(28)半導体デバイス1が放熱板130を備えることにより、トランジスタ20の熱が放熱板130を介して半導体デバイス1の外部に放熱され易くなる。したがって、トランジスタ20の温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0213】
(29)放熱板130のカバー部131は、トランジスタ20の裏面20bの全体を覆っている。このため、放熱板がトランジスタ20の裏面20bを部分的に覆う場合に比べ、トランジスタ20の熱が半導体デバイス1の外部に放熱され易い。したがって、トランジスタ20の温度が過度に高くなることを一層抑制できる。
【0214】
(第4実施形態)
図22及び
図23を参照して、第4実施形態の半導体デバイス1の構成について説明する。本実施形態の半導体デバイス1は、第1実施形態の半導体デバイス1に比べ、ドレインフレーム11の形状が異なる。以降の説明において、第1実施形態の半導体デバイス1の構成と同じ構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0215】
図22に示すように、ドレインフレーム11のドレイン連結部11bの幅WCDは、第1実施形態のドレイン連結部11bの幅WCD(
図3参照)よりも大きい。第2の方向Yにおいて、ドレイン連結部11bにおける封止樹脂30の第2の縦側面36側の端縁と、トランジスタ20における封止樹脂30の第1の縦側面35側の端縁との間には間隙が設けられている。なおドレイン連結部11bの幅WCDの大きさは任意に変更可能である。
【0216】
ドレイン連結部11bの幅WCDの拡大にともない、ドレインフレームフィンガー11Pの長さLFDは、第1実施形態のドレインフレームフィンガー11Pの長さLFD(
図3参照)よりも短くなり、ドレインフレームフィンガー11Qの長さLFDEは、第1実施形態のドレインフレームフィンガー11Qの長さLFDE(
図3参照)よりも短くなる。また本実施形態のドレインフレームフィンガー11Pの長さLFDは、ソースフレームフィンガー12cの長さLFSよりも長く、ドレインフレームフィンガー11Qの長さLFDEは、長さLFSよりも短い。本実施形態では、第2の部分11nの長さを変更せず、第1の部分11mの長さを短くしている。なお、長さLFDは任意に変更可能である。例えば、長さLFDは、長さLFSと等しくてもよい。
【0217】
第1の方向Xにおけるドレイン連結部11bの両端部11tは、ドレインフレームフィンガー11Pのうちの最も第1の横側面33側のドレインフレームフィンガー11Pのフランジ部11sと、ドレインフレームフィンガー11Qのフランジ部11sと連続している。ドレイン連結部11bの両端部11tの厚さは、ドレイン連結部11bの端部11k及び両端部11t以外の部分の厚さよりも薄く、フランジ部11sの厚さTD5と等しい。ドレイン連結部11bの両端部11tは、封止樹脂30の裏面32から露出しない。
【0218】
また、ドレインフレームフィンガー11Pのうちの最も第1の横側面33側のドレインフレームフィンガー11Pのフランジ部11sと、ドレインフレームフィンガー11Qのフランジ部11sとは、第2タイバー部11i,11jと連続している。なお、ドレイン連結部11bの両端部11tの第2の方向Yにおける長さ、及びフランジ部11sの第2の方向Yにおける長さは、任意の設定事項である。例えば、ドレイン連結部11bの両端部11tとフランジ部11sとの第2の方向Yの間に隙間が形成されるようにドレイン連結部11bの両端部11t及びフランジ部11sの第2の方向Yにおける長さを設定してもよい。また、フランジ部11sと第2タイバー部11i,11jとの第2の方向Yの間に隙間が形成されるようにフランジ部11sの第2の方向Yにおける長さを設定してもよい。
【0219】
図23に示すように、ドレイン連結部11bは、封止樹脂30の裏面32から露出するため、ドレイン連結部11bの裏面32から露出する面積が第1実施形態のドレイン連結部11bの裏面32から露出する面積(
図9参照)よりも大きくなる。
【0220】
本実施形態の半導体デバイス1は、以下に示す効果が得られる。
(30)ドレイン連結部11bの幅WCDが大きくなることにより、封止樹脂30の裏面32から露出するドレイン連結部11bの面積が大きくなる。これにより、ドレインフレーム11を介してドレインフレーム11の熱及びトランジスタ20の熱が半導体デバイス1の外部に放熱され易い。したがって、半導体デバイス1の温度が過度に高くなることを一層抑制できる。
【0221】
(31)ドレインフレームフィンガー11P,11Qの長さLFD,LFDEが短くなることにより、トランジスタ20がドレインフレームフィンガー11P,11Qに実装されるとき、ドレインフレームフィンガー11P,11Qが高さ方向Zに変形し難くなる。
【0222】
(32)ドレイン連結部11bの両端部11tは、その厚さがドレイン連結部11bの端部11k及び両端部11t以外の部分の厚さよりも薄く、封止樹脂30の裏面32から露出していない。この構成によれば、ドレイン連結部11bの両端部11tにおける裏面32側の面が封止樹脂30と対向し、接触しているため、ドレイン連結部11bの裏面32側への移動を両端部11tにより一層規制できる。したがって、ドレイン連結部11bが裏面32から突出することを一層抑制できる。
【0223】
(33)ドレイン連結部11bの両端部11t、ドレインフレームフィンガー11cのフランジ部11s、及び、第2タイバー部11i,11jが連続して形成されている。この構成によれば、ドレインフレームフィンガー11cの剛性を高めることができるため、ドレインフレームフィンガー11cが湾曲することを抑制できる。
【0224】
〔その他の実施形態〕
上記各実施形態に関する説明は、本発明の半導体デバイスが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明の半導体デバイスは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0225】
(実施形態の組合せ)
・第3実施形態の放熱板130を、第2実施形態及び第4実施形態の半導体デバイス1に適用することもできる。
・第4実施形態のドレインフレーム11を、第2実施形態の半導体デバイス1に適用することもできる。
【0226】
(リードフレーム)
上記各実施形態において、リードフレーム10の構成を以下のとおり変更してもよい。
・
図24に示すように、ソースフレーム12のソース連結部12bの厚さは、ソース端子12aの厚さと等しい。すなわちソース連結部12bの厚さは薄くなっていない(網掛け領域が付されていない)。これにともない、
図25に示すように、ソース連結部12bは、封止樹脂30の裏面32から露出する。このように、封止樹脂30の裏面32から露出するソースフレーム12の面積が大きくなることにより、ソースフレーム12を介してソースフレーム12の熱及びトランジスタ20の熱が半導体デバイス1の外部に放熱され易くなる。したがって、半導体デバイス1の温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0227】
・
図26に示すように、ソースフレーム12のソース連結部12bの幅WCSは、各実施形態のソース連結部12bの幅WCS(例えば
図3参照)よりも大きい。これにともない、ドレインフレームフィンガー11P,11Qの長さLFD,LFDEが各実施形態のドレインフレームフィンガー11P,11Qの長さLFD,LFDEよりも短くなる一方、ゲートフレームフィンガー13cの長さLFGが各実施形態のゲートフレームフィンガー13cの長さLFGよりも長くなる。そしてトランジスタ20の配置位置が各実施形態のトランジスタ20の配置位置よりも封止樹脂30の第1の縦側面35側となる。
【0228】
また、ソース連結部12bの厚さTS1は、ソース端子12aの厚さTS2と等しい。すなわちソース連結部12bの厚さは薄くなっていない(網掛け領域が付されていない)。これにともない、
図27に示すように、ソース連結部12bは、封止樹脂30の裏面32から露出する。このように、ソースフレーム12において裏面32から露出する面積がより大きくなることにより、ソースフレーム12を介してソースフレーム12の熱及びトランジスタ20の熱が半導体デバイス1の外部により放熱され易い。したがって、半導体デバイス1の温度が過度に高くなることを一層抑制できる。なお、ソース連結部12bの厚さTS1は、ソース端子12aの厚さTS2よりも薄くてもよい。これにより、ソース連結部12bは、封止樹脂30の裏面32から露出しない。
【0229】
・
図28に示すように、ドレインフレーム11のドレイン連結部11bの幅WCDは、各実施形態のドレイン連結部11bの幅WCD(例えば
図3参照)よりも大きく、ソースフレーム12のソース連結部12bの幅WCSは、各実施形態のソース連結部12bの幅WCS(例えば
図3参照)よりも大きい。これにともない、ドレインフレームフィンガー11P,11Qの長さLFD,LFDEは、各実施形態のドレインフレームフィンガー11P,11Qの長さLFD,LFDE(例えば
図3参照)よりも短くなる一方、ゲートフレームフィンガー13cの長さLFGが各実施形態のゲートフレームフィンガー13cの長さLFGよりも長くなる。そしてトランジスタ20の配置位置が各実施形態のトランジスタ20の配置位置よりも封止樹脂30の第1の縦側面35側となる。
【0230】
また、ソース連結部12bの厚さTS1は、ソース端子12aの厚さTS2と等しい。すなわちソース連結部12bの厚さは薄くなっていない(網掛け領域が付されていない)。これにともない、
図29に示すように、ソース連結部12bは、封止樹脂30の裏面32から露出している。また、ドレイン連結部11bの幅WCDRが大きくなることにともないドレインフレーム11が裏面32から露出する面積が大きくなる。このような構成によれば、ドレインフレーム11及びソースフレーム12の熱並びにトランジスタ20の熱がドレインフレーム11及びソースフレーム12を介して半導体デバイス1の外部に放熱され易くなる。したがって、半導体デバイス1の温度が過度に高くなることをより一層抑制できる。なお、ソース連結部12bの厚さTS1は、ソース端子12aの厚さTS2よりも薄くてもよい。これにより、ソース連結部12bは、封止樹脂30の裏面32から露出しない。
【0231】
・
図30に示すように、ソースフレームフィンガー12cにおけるソース連結部12b側の端部の厚さTS1がソース端子12aの厚さTS2と等しくてもよい。要するに、ソースフレームフィンガー12cにおいてドレインフレームフィンガー11cの先端部11hと第1の方向Xに重なる部分の厚さが薄くてもよい。
【0232】
・ドレインフレームフィンガー11cにおける第1の部分11mのフランジ部11sの厚さTD5は任意に変更可能である。例えば、フランジ部11sの厚さTD5は、基部11rの厚さTD4と等しくてもよい。この場合、フランジ部11sは、基部11rとともに封止樹脂30の裏面32から露出する。
・ドレインフレームフィンガー11cの少なくとも1つは、第1の部分11mからフランジ部11sを省略した構成であってもよい。この場合、
図31に示すように、ドレインフレームフィンガー11cは、一様な幅WFD2を有する。
・
図31に示すように、ドレイン連結部11bから端部11kを省略してもよい。
【0233】
・各タイバー部11d,11i,11j,12d,13dの少なくとも1つが封止樹脂30の裏面32から露出してもよい。また、各タイバー部11d,11i,11j,12d,13dの幅は任意に設定可能である。例えば各タイバー部11d,11i,11j,12d,13dの幅は、ドレインフレームフィンガー11cの幅WFD1又は幅WFD2よりも大きくてもよい。
・ドレインフレーム11から第2タイバー部11i,11jを省略してもよい。
【0234】
・ドレインフレームフィンガー11cの全体が封止樹脂30の裏面32から露出しなくてもよい。この場合、ドレインフレームフィンガー11cの厚さが厚さTD1に等しい。
・ドレインフレームフィンガー11cの全体が封止樹脂30の裏面32から露出しない一方、ソースフレームフィンガー12cが封止樹脂30の裏面32から露出してもよい。この場合、ソースフレームフィンガー12cの厚さTS1は、厚さTS2と等しい。
【0235】
(トランジスタ)
・上記各実施形態において、トランジスタ20からサイドウォール54を省略してもよい。この場合、ゲート絶縁膜52の厚さに基づいて、ゲート電極80とソースフィールドプレート45との間の距離DPgfを制御することができる。
【0236】
・上記各実施形態において、トランジスタ20からソース−ゲート間のフローティングプレート46、及びゲート−ドレイン間のソースフィールドプレート45の少なくとも一方を省略してもよい。
【0237】
・上記各実施形態において、トランジスタ20の表面20aのドレイン電極パッド21P及びソース電極パッド22を、第2の方向Yにおいて複数個に分割してもよい。例えば、
図32に示すように、ドレイン電極パッド21P及びソース電極パッド22が第2の方向Yにおいて2分割されている。これにより、ドレイン電極パッド21、ソース電極パッド22、及びゲート電極パッド23の全てが同じ形状となる。
【0238】
・上記各実施形態において、ドレイン電極70のドレイン電極フィンガー71は、ソース電極60のソース電極フィンガー62よりも長く形成されてもよい。この場合、
図33に示すように、第3の方向Vにおいて、ドレイン電極70のドレイン電極フィンガー71の一方がゲート電極80のゲート電極フィンガー82の一端部82aよりも外側に突出してもよい。また第3の方向Vにおいて、ドレイン電極70のドレイン電極フィンガー71の他方がゲート電極80のゲート電極フィンガー82の他端部82bよりも外側に突出してもよい。
図33では、ドレイン電極フィンガー71におけるゲート電極フィンガー82の一端部82aに対する第1の突出距離LDE1と、ドレイン電極フィンガー71におけるゲート電極フィンガー82の他端部82bに対する第2の突出距離LDE2は同じである。第1の突出距離LDE1及び第2の突出距離LDE2は、例えば3μm以上かつ45μm以下である。なお、第1の突出距離LDE1及び第2の突出距離LDE2は任意の設定事項である。
【0239】
・上記各実施形態のトランジスタ20において、第1の突出距離LDE1及び第2の突出距離LDE2は、ゲート電極80のゲート電極フィンガー82とドレイン電極70のドレイン電極フィンガー71との間の最短距離LGD以上であってもよい。
図33のトランジスタ20においては、第1の突出距離LDE1及び第2の突出距離LDE2が最短距離LGDよりも大きい。例えば、第1の突出距離LDE1(第2の突出距離LDE2)と最短距離LGDとの比(LDE1/LGD,LDE2/LGD)が1以上かつ5以下であってもよい。最短距離LGDは、例えば3μm以上かつ15μm以下である。
この構成によれば、トランジスタ20におけるドレイン側のオフ時の電界強度を緩和することができる。これにより、トランジスタ20の絶縁破壊強度を向上させることができる。
【0240】
・上記各実施形態のトランジスタ20において、
図33に示すように、ソース配線91がソース電極フィンガー62上かつ第3の方向Vに沿って延び、ソース電極フィンガー62よりも外側で隣り合うソース配線91と接続されてもよい。またドレイン配線92もソース配線91と同様に、ドレイン電極フィンガー71上かつ第3の方向Vに沿って延び、ドレイン電極フィンガー71よりも外側で隣り合うドレイン配線92と接続されてもよい。
【0241】
(半導体デバイスの適用例)
・半導体デバイス1は、単相全波のモータのモータ駆動回路、3相駆動のブラシレスモータのモータ駆動回路、及びステッピングモータのモータ駆動回路等のモータ駆動回路に適用してもよい。
【0242】
〔付記〕
上記各実施形態及び上記各変形例から把握することができる技術的思想について以下に記載する。
(付記A1)
前記ドレインフレーム、前記ソースフレーム、及び前記ゲートフレームはエッチング加工により形成され、
前記ドレインフレーム、前記ソースフレーム、及び前記ゲートフレームにおいて前記封止樹脂の裏面から露出しない部分は、ハーフエッチング加工により形成されている
請求項1に記載の半導体デバイス。
【0243】
(付記A2)
複数の前記ドレインフレームフィンガーのうち前記第1の方向の両端に配置された前記ドレインフレームフィンガーは、前記第2の方向において延びるタイバー部が設けられている
請求項1に記載の半導体デバイス。
【0244】
(付記B1)
前記ゲート電極と前記導電層との距離DPgfが1μm以下である、請求項37又は38に記載の半導体デバイス。
【0245】
(付記B2)
前記導電層の長さLfpと、前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間の距離DPgdとの関係が、Lfp<1/3DPgdを満たす
請求項37又は38記載の半導体デバイス。
【0246】
(付記B3)
前記トランジスタは、
基板上にバッファ層、電子走行層、及び電子供給層が積層されてなる窒化物半導体層と、
少なくとも一端部を有し、前記窒化物半導体層の表面に沿って延びるゲート電極フィンガーと、
少なくとも前記ゲート電極フィンガーの一端部と同じ側に一端部を有し、前記ゲート電極フィンガーに沿って延びるドレイン電極フィンガーと、
を含み、
前記ドレイン電極フィンガーの前記一端部が、前記ゲート電極フィンガーの前記一端部よりも突出している
請求項1〜30のいずれか一項に記載の半導体デバイス。
【0247】
(付記B4)
前記ゲート電極フィンガー及び前記ドレイン電極フィンガーは、それぞれ、前記一端部の反対側に他端部を有し、
前記ドレイン電極フィンガーは、前記ゲート電極フィンガーよりも長く形成され、その前記他端部が前記ゲート電極フィンガーの前記他端部よりも突出している
付記B3に記載の半導体デバイス。
【0248】
(付記B5)
前記ドレイン電極フィンガーの前記一端部の突出距離は、前記ゲート電極フィンガーと前記ドレイン電極フィンガーとの最短距離以上である
付記B3又はB4に記載の半導体デバイス。