(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
長尺の木材をチップ状に破砕する破砕ユニットと、前記破砕ユニットの木材投入口に配置され、前記破砕ユニットに前記木材を押し込む送りロータと、を有する木材破砕装置であって、
前記木材投入口に接続する挿入路と、前記挿入路の周囲を囲む壁面とを含む木材挿入部と、
前記木材挿入部の途中に配置され、前記挿入路の路面との間に前記木材を挟み込みつつ前記送りロータの方へ前記木材を送る上流側ロータと、
を備え、
前記上流側ロータおよび前記送りロータによって前記破砕ユニットに押し込まれた前記木材が破砕時の反動で長手方向と交差する方向に移動したときに、前記木材挿入部の前記壁面に前記木材が当接することで前記木材の移動が規制され、
前記上流側ロータは、支持軸に軸支された一対の略L字状の湾曲アームを介して上下方向に回動可能に支持されたことを特徴とする木材破砕装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された木材破砕装置では、竹等の長尺木材をチップ状に破砕することはできるものの、破砕時の反動によって長尺木材が暴れてしまうためチップ状の破砕物の大きさが不揃いになるという問題がある。仮に、破砕物の中に大きすぎる破砕物が混ざっていると、ベルトコンベア等で破砕物を燃焼炉に投入する際に搬送に支障をきたすおそれがある。反対に、破砕物が細かすぎると、破砕物が短時間で燃え尽きてしまい安定的に燃焼させることが難しくなるという問題がある。
【0006】
本発明は、破砕物の大きさを一定範囲の大きさに揃えることができる木材破砕装置、および、これを備えた車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の木材破砕装置は、長尺の木材をチップ状に破砕する破砕ユニットと、破砕ユニットの木材投入口に配置され、破砕ユニットに木材を押し込む送りロータと、を有する木材破砕装置であって、木材投入口に接続する挿入路と、挿入路の周囲を囲む壁面とを含む木材挿入部と、木材挿入部の途中に配置され、挿入路の路面との間に木材を挟み込みつつ送りロータの方へ木材を送る上流側ロータと、を備え、上流側ロータおよび送りロータによって破砕ユニットに押し込まれた木材が破砕時の反動で長手方向と交差する方向に移動したときに、木材挿入部の壁面に木材が当接することで木材の移動が規制されるものである。
【0008】
本発明の木材破砕装置において、木材挿入部は、1つまたは複数のガイド部材によって筒状に構成されてもよい。
【0009】
本発明の木材破砕装置において、上流側ロータは、移動可能に支持され、木材の長手方向と交差する方向への移動を低減する機能を有してもよい。
【0010】
本発明の車両は、上記発明のいずれかに係る木材破砕装置と、木材破砕装置を搭載する車両本体と、木材破砕装置を車両本体に収容する収容位置と、木材破砕装置を使用する使用位置との間で移動可能に木材破砕装置を車両本体に支持させる支持部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の木材破砕装置および車両によれば、破砕時の反動で長尺木材が長手方向と交差する方向に移動しても長尺木材が木材投入部の壁面に当接し、長尺木材の移動が抑制される。このため、破砕時の反動による木材の移動を抑制しつつチップ状に木材を破砕することができる。この結果、破砕物の大きさを一定範囲の大きさに揃えることできる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態である木材破砕装置を備えた車両について、図面を参照しながら説明する。
図1および
図2に示すように、この車両10は、運転席キャビン12と、運転席キャビン12の後部に配置され破砕物を積載するための荷箱14と、長尺木材を破砕する木材破砕装置30とを備える。ここで、長尺木材には竹が含まれる。
【0014】
運転席キャビン12および荷箱14は、シャーシ16を介して互いに連結固定されている。この荷箱14は、後端に開口部14aが設けられており、開口部14aの中央部に木材破砕装置30が搭載されている。この木材破砕装置30は、
図1に実線で示す使用位置と、破線で示す収容位置とに回転可能に取り付けられている。また、荷箱14における木材破砕装置30の奥側には、図示しない貯留ドラムが内蔵されており、当該貯留ドラムが回転することによって破砕物を貯留ドラムの底面側、すなわち、車両前方へ逐次搬送するよう構成されている。木材破砕装置30は、例えば、車両本体に固定された荷台に搭載してもよい。
【0015】
また、荷箱14には、後方側面に木材破砕装置30を作動させる作動装置18が設けられており、作動装置18を操作することによって木材破砕装置30を作動させることができる。
【0016】
続いて、
図3をさらに参照しつつ木材破砕装置30の構成について説明する。
図3(a)は木材破砕装置30の上面視における全体構成を示す図であり、同図(b)は同図(a)に示すA-A断面図である。また、
図3(c)は、木材破砕装置30の収容状態を示す図である。
【0017】
図3(a)および
図3(b)に示すように、木材破砕装置30は、長尺木材を破砕する破砕ユニット31と、破砕ユニット31に長尺木材を送り込む送りロータ36とを備える。
【0018】
破砕ユニット31は、
図3(b)に示すように、回転方向Bに回転する破砕ロータ32と、この破砕ロータ32の外周を覆う飛散防止カバー34とを備える。破砕ロータ32は、略円柱状に形成されたロータ本体32aと、ロータ本体32aに固定された一対の破砕刃33a,33bとを含む。
【0019】
破砕刃33aは、固定ブロックBLに挟み込まれた状態で、ロータ本体32aにボルトを用いて固定される。破砕刃33bも同様の構成によってロータ本体32aに固定されている。各破砕刃33a,33bは、ロータ本体32aの周面から刃先がわずかに突き出すように配置されている。なお、ロータ本体32aは一端に取り付けられたモータM3によって回転駆動される。
【0020】
飛散防止カバー34は、ロータ本体32aの外周面を覆うように設置されており、破砕物の飛散を防止する役割を有する。また、飛散防止カバー34には、挿入路Rに連通する木材投入口34aが設けられている。
【0021】
送りロータ36は、破砕ロータ32の直後方、すなわち、長尺木材の送り方向における上流側に配置され、一端に取り付けられた駆動モータM1によって破砕ロータ32と同じ方向に回転駆動される。送りロータ36は、一対の湾曲アーム38a,38bを介して破砕ユニット31の前端部に設けられた支持軸31aに軸支される。この構成により、送りロータ36は、上下方向に回動可能に支持される。
【0022】
この送りロータ36は、
図3(a)および
図3(b)に示すように、中心軸の軸周りに等間隔で配置され、径方向先端が鋸刃状をなす板状羽根を有する。このため、送りロータ36は、挿入路Rとの間に長尺木材を挟み込んだ際に、当該木材を破砕ロータ32の方に強い力で送り出すことができる。
【0023】
また、破砕ユニット31は、送りロータ36における軸方向の両端側に立設された支持アーム(支持部)39a,39bを有する。この支持アーム39a,39bは、その先端部同士の間に支持軸39cが架設されており、この支持軸39cを介して使用位置と収容位置との間で木材挿入部40を回転可能に支持している。
【0024】
木材破砕装置30は、破砕ユニット31の木材投入口34aに接続する木材挿入部40を備える。木材挿入部40は、ガイド部材である筒体42と、筒体42の上部に取り付けられた支持台54と、筒体42の下面に取り付けられた位置決め板56とを含む。
【0025】
筒体42は、断面が環状に形成されており、木材投入口34aに接続する挿入路Rとして機能するとともに、挿入路Rの周囲を囲む壁面としての機能も有する。また、筒体42は、側面視において略半円状をなす開口部42aが挿入路Rに対向するよう設けられている。この開口部42aには、後述する上流側ロータ48が嵌まり込むように配置される。
【0026】
木材破砕装置30は、木材挿入部40の途中に上流側ロータ48を備える。この上流側ロータ48は、挿入路Rに沿って長尺木材を搬送するとともに、自重により長尺木材の上方への移動を低減する機能を有する。上流側ロータ48は、中心軸の軸周りに等間隔で固定された板状羽根を含み、一端に取り付けられた駆動モータM2によって破砕ロータ32と同じ方向に回転駆動される。なお、板状羽根は、送りロータ36の板状羽根と同様に鋸刃状に形成してもよい。
【0027】
上流側ロータ48は、上述した支持軸39cに軸支された一対の略L字状の湾曲アーム49a,49bを介して上下方向に回動可能に支持される。この湾曲アーム49a,49bは、連結軸49dを介して互いに連結固定されており上下方向に一体的に回動するように構成されている。
図2に示すように、湾曲アーム49a,49bには、上流側ロータ48よりも下方に延出する延出部T1,T2が先端に設けられている。この延出部T1,T2は、位置決め板56から突出する突出板52a,52bに螺合された位置調整ボルト53a,53bに当接するよう設けられている。
【0028】
これにより、上流側ロータ48と挿入路Rとの間に一定の間隔が確保され、上流側ロータ48と挿入路Rとの間に長尺木材を挿し込みやすくしている。また、位置調整ボルト53a,53bの突き出し量を調節することによって、上流側ロータ48と挿入路Rとの隙間の大きさを調整できる。
【0029】
本実施形態では、上流側ロータ48が上下方向に回動する例を挙げているが、例えば、水平方向に回動するように配置してもよい。この場合には、スプリングの弾性力等を利用して上流側ロータ48を挿入路Rの内側へ付勢することで長尺木材の水平方向の移動を規制してもよい。
【0030】
支持台54は、断面が略逆U字状を呈する部材であり、側面から見て前方に傾斜するように設けられている。支持台54の上面には、連結用リブ54a,54bが設けられ、この連結用リブ54a,54bには上述した支持軸39cが挿通されている。この構成により、
図3(c)に示すように、筒体42を使用位置から収容位置へ回転させることができる。
【0031】
位置決め板56は、断面略逆U字状をなす板材からなり、使用位置まで筒体42が回転したときに、破砕ユニット31の台座31cに当接して筒体42を位置決めする機能を有する。
【0032】
また、位置決め板56aは、
図3(b)に示す固定用孔56aと、
図1に示す固定用孔56bとが互いに対向するように前端部に設けられている。この固定用孔56a,56bは、使用位置において、破砕ユニット31に設けられた突出板PL1(
図3(b)参照),PL2(
図1参照)の固定孔と重なる位置に設けられている。このため、使用位置において、突出板PL1,PL2のいずれか一方にボルトを挿し込むと、当該ボルトが固定用孔56aまたは固定用孔56bに挿入され、位置決め板56aを固定することができる。これにより、木材挿入部40を使用位置で固定することができる。また、収容位置においても、フックやボルト等の固定具を用いて位置決め板56を固定するようにしてもよい。
【0033】
続いて、木材破砕装置30を用いた長尺木材の破砕方法について
図4(a)〜
図4(c)を用いて説明する。以下の説明において、長尺木材の一例として長尺の竹を例に挙げて説明する。
図4(a)は、木材破砕装置30における木材挿入部40に差し込んだ長尺竹材が上流側ロータ48によって送りロータ36の方へ送り出される状態を示している。
図4(b)は、上流側ロータ48および送りロータ36によって送り出された長尺竹材の先端が破砕ロータ32によってチップ状に破砕される状態を示す図である。
図4(c)は、破砕ロータ32によって破砕される長尺の竹が反動で跳ね上がった状態を示す図である。
【0034】
作業者は、木材破砕装置30の木材挿入部40を収容位置に固定している例えば、フック等の固定具を取り外し、木材挿入部40を使用位置まで下方に回転させる。そして、突出板PL1(
図3(c)参照),PL2(
図1参照)の一方に固定用ボルトを挿し込んで位置決め板56を使用位置で固定する。それから、荷箱14に設けられた作動装置18を操作して、木材破砕装置30を作動させる。その後、長尺の竹を木材挿入部40の筒体42に挿入する。
図4(a)に示すように、上流側ロータ48によって挿入路Rとの間に長尺の竹が挟み込まれると、上流側ロータ48の回転に伴って下流側の送りロータ36の方へ竹が送り出される。
図4(b)に示すように、竹の先端部が送りロータ36と挿入路Rとの間に挟み込まれると、破砕ロータ32および上流側ロータ48の回転に伴って破砕ロータ32の外周面に竹が押し付けられ、チップ状に破砕される。
【0035】
この際、
図4(c)に示すように、竹が破砕時の反動で上方に跳ね上がっても、筒体42に竹が当接するため竹の移動が規制される。
【0036】
本発明の木材破砕装置30によれば、破砕時の反動で長尺の竹が長手方向と交差する方向、例えば、上下方向に移動しても木材挿入部40における筒体42の内壁に竹が当接することで竹の移動を規制することができる。このため、破砕時の反動による竹の移動を抑制しつつチップ状に竹を破砕することができる。この結果、チップ状に破砕された破砕物の大きさを一定の大きさ、例えば、1辺の寸法が2cm〜5cmの大きさに揃えることできる。
【0037】
続いて、
図5および
図6を用いて本実施形態における木材破砕装置30の変形例について説明する。以下の説明では、上記実施形態における木材破砕装置30と構成が共通する部分については上記実施形態と同一の符号を付して適宜説明を省略するものとし、構成の異なる部分についてのみ説明を行うものとする。
【0038】
図5(a)は、木材破砕装置30における木材挿入部40の変形例である木材挿入部60の構成を示す図である。同図(b)は、方向Cから見た木材挿入部の端面の構成を示す図である。
図5(a)および
図5(b)に示すように、木材挿入部60は、断面が略U字状を呈する上カバー部62および下カバー部64を含む。両カバー部62,64は、互いの開口端同士が向き合うように配置されており、方向Cから見て略四角形状の外観形状を有する。
【0039】
上カバー部62は、第1ガイド部材62aおよび第2ガイド部材62bから構成される。第1ガイド部材62aは送りロータ36と上流側ロータ48との間の挿入路Rを覆うように配置され、第2ガイド部材62bは上流側ロータ48よりも長尺木材の挿入方向における上流側に配置されている。ここで、各ガイド部材62a,62bの構成は同一であるため、以下の説明では、第1ガイド部材62aの構成についてのみ説明する。
【0040】
第1ガイド部材62aは、位置決め板56に立設した固定部材66,68に固定されており、木材挿入部60の上面および両側面の各壁面として機能する。ここで、各固定部材66,68の構成は同一であるため、固定部材66の構成についてのみ説明する。固定部材66は、第1ガイド部材62aを間に挟んで対向するステー66a,66bから構成される。ステー66aには、長手方向に沿って複数の固定用孔H1,H2,H3が設けられている。そして、このうち一つの固定用孔に挿通されたボルトを第2ガイド部材62aに設けられたネジ孔に螺合することで第2ガイド部材62aの上下方向の位置を変更できるようにしている。ステー66bも、ステー66aと同一の構成を有している。
【0041】
また、第2ガイド部材62bの下側端部に沿って延長プレート69a,69bが取り付けられている。これにより、第2ガイド部材62aと後述する下カバー部64との間に隙間が形成されず、木材挿入部60から長尺木材がはみ出さないようにできる。下カバー部64は、断面が略U字状に形成された板材によって構成され、挿入路Rの路面および壁面として機能する。
【0042】
上記木材挿入部60の構成によれば、上カバー部62の取り付け位置を変更することにより、長尺木材の太さに応じて搬送路Rの上下方向の寸法を変更することができる。
【0043】
図6は、上流側ロータ48の変形例である上流側ロータ70の構成を示す斜視図である。
図6に示すように、上流側ロータ70は、軸方向における中央部に向かうに従って軸方向両端よりも徐々に径が細くなるように構成されている。この構成では、軸方向中央部における上流側ロータ70と挿入路Rとの隙間が軸方向の両端部における隙間よりも大きくなるため、長尺木材を軸方向中央部に挿し込みやすく、スムーズな搬送が可能となる。
【0044】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。