特許第6827814号(P6827814)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827814
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】シミュレーション装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/54 20180101AFI20210128BHJP
   F24F 11/57 20180101ALI20210128BHJP
   F24F 11/58 20180101ALI20210128BHJP
   F24F 11/30 20180101ALI20210128BHJP
   F24F 11/62 20180101ALI20210128BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20210128BHJP
   G06Q 50/16 20120101ALI20210128BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   F24F11/54
   F24F11/57
   F24F11/58
   F24F11/30
   F24F11/62
   G06Q10/00 300
   G06Q50/16
   G05B23/02 G
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-847(P2017-847)
(22)【出願日】2017年1月6日
(65)【公開番号】特開2018-109480(P2018-109480A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 一宏
(72)【発明者】
【氏名】石橋 龍博
【審査官】 佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−157708(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099075(WO,A1)
【文献】 特開平08−061742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/54
F24F 11/30
F24F 11/57
F24F 11/58
F24F 11/62
G05B 23/02
G06Q 10/00
G06Q 50/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設に設置される設備に代わって前記設備を制御管理する設備管理装置を接続し、前記設備管理装置の動作試験に用いるシミュレーション装置において、
前記設備の仮想された状態を示す状態情報を保持する状態情報保持手段と、
前記状態情報保持手段にて保持されている状態情報を表示すると共に状態情報が変更されると前記状態情報保持手段にて保持されている当該設備の状態情報を更新する動作試験処理手段と、
前記動作試験処理手段により受け付けられた状態情報の変更内容を含む変更情報を前記設備管理装置へ通知する通知手段と、
を有し、
前記動作試験処理手段は、前記通知手段により通知された変更情報に従い実施された動作試験の内容及び結果を試験ログ情報として試験ログ情報記憶手段に蓄積することを特徴とするシミュレーション装置。
【請求項2】
ユーザに前記設備のGUI部品を画面上の所定の構成設定領域に配置させることで前記施設に設置される設備の接続関係を示す構成情報を作成する構成情報作成手段を有することを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記構成情報を前記設備管理装置へ送信する送信手段を有することを特徴とする請求項2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
ユーザにより指定された設備、当該設備の状態情報の変更内容、当該状態情報の変更タイミングを示す時間情報を含むシナリオを作成するシナリオ作成手段を有し、
前記動作試験処理手段は、前記シナリオに従い当該設備の状態情報の変更を行うことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
施設に設置される設備に代わって前記設備を制御管理する設備管理装置を接続し、前記設備管理装置の動作試験に用いるシミュレーション装置に搭載され、前記設備の仮想された状態を示す状態情報を保持する状態情報保持手段にアクセス可能なコンピュータを、
前記状態情報保持手段にて保持されている状態情報を表示すると共に状態情報が変更されると前記状態情報保持手段にて保持されている当該設備の状態情報を更新する動作試験処理手段、
前記動作試験処理手段により受け付けられた状態情報の変更内容を含む変更情報を前記設備管理装置へ通知する通知手段、
として機能させ
前記動作試験処理手段は、前記通知手段により通知された変更情報に従い実施された試験の内容及び結果を試験ログ情報として試験ログ情報記憶手段に蓄積するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション装置及びプログラム、特に設備を制御管理する設備管理装置の動作試験に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、ビル管理システムを構築してビル全体の設備を統合管理する場合がある。この場合、空調等の設備を系統別に制御管理する設備コントローラを設置し、設備コントローラに、設備を接続して動作制御を行う1又は複数の集中コントローラを接続する。このように構成することで、設備コントローラから集中コントローラを介して設備の管理、監視、運用等を統合的に行っている。
【0003】
ビルに設置される設備の種類や数、仕様等はビル毎に異なってくるので、設備コントローラをビルに新たに設置する場合、現場への導入前に設置先の環境に合致した設定を設備コントローラに行って動作試験を行う。ただ、動作試験時に現場と同じ設備を用意することは極めて困難であるため、設備コントローラにシミュレータを接続して動作試験を行うのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2013/145270号
【特許文献2】特開平08−061742号公報
【特許文献3】特開2008−249269号公報
【特許文献4】特開2011−002121号公報
【特許文献5】特開号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年のビル設備では設備コントローラからの動作制御だけでなく、例えば空調設備においては、居室内のリモコンや情報端末から室温や風速の設定変更など設備側からでも種々の設定変更を行うことが可能となってきている。従って、設備管理装置主導の動作試験だけでなく設備側での操作に基づく動作試験も重要となってきている。
【0006】
本発明は、設備側主導で設備管理装置の動作試験を簡便に実施できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るシミュレーション装置は、施設に設置される設備に代わって前記設備を制御管理する設備管理装置を接続し、前記設備管理装置の動作試験に用いるシミュレーション装置において、前記設備の仮想された状態を示す状態情報を保持する状態情報保持手段と、前記状態情報保持手段にて保持されている状態情報を表示すると共に状態情報が変更されると前記状態情報保持手段にて保持されている当該設備の状態情報を更新する動作試験処理手段と、前記動作試験処理手段により受け付けられた状態情報の変更内容を含む変更情報を前記設備管理装置へ通知する通知手段と、を有し、前記動作試験処理手段は、前記通知手段により通知された変更情報に従い実施された動作試験の内容及び結果を試験ログ情報として試験ログ情報記憶手段に蓄積することを特徴とする。
【0008】
また、ユーザに前記設備のGUI部品を画面上の所定の構成設定領域に配置させることで前記施設に設置される設備の接続関係を示す構成情報を作成する構成情報作成手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記構成情報を前記設備管理装置へ送信する送信手段を有することを特徴とする。
【0010】
また、ユーザにより指定された設備、当該設備の状態情報の変更内容、当該状態情報の変更タイミングを示す時間情報を含むシナリオを作成するシナリオ作成手段を有し、前記動作試験処理手段は、前記シナリオに従い当該設備の状態情報の変更を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプログラムは、施設に設置される設備に代わって前記設備を制御管理する設備管理装置を接続し、前記設備管理装置の動作試験に用いるシミュレーション装置に搭載され、前記設備の仮想された状態を示す状態情報を保持する状態情報保持手段にアクセス可能なコンピュータを、前記状態情報保持手段にて保持されている状態情報を表示すると共に状態情報が変更されると前記状態情報保持手段にて保持されている当該設備の状態情報を更新する動作試験処理手段、前記動作試験処理手段により受け付けられた状態情報の変更内容を含む変更情報を前記設備管理装置へ通知する通知手段、として機能させ、前記動作試験処理手段は、前記通知手段により通知された変更情報に従い実施された試験の内容及び結果を試験ログ情報として試験ログ情報記憶手段に蓄積する
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、設備側主導で設備管理装置の動作試験を簡便に実施することができる。
【0013】
また、GUI部品を構成設定領域に配置することで設備の接続関係を示す構成情報を容易に作成することができる。
【0014】
また、作成した構成情報を設備管理装置に提供することができる。
【0015】
また、シナリオを作成できるようにしたので、設備の状態の断続的に変更する動作試験や複数の設備を関連付けた動作試験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本実施の形態において設備制御プロセッサがビルに導入された後の空調システムの構成図である。
図1B】本実施の形態において設備制御プロセッサに対してシミュレーションを行うときの構成図である。
図2】本実施の形態におけるシミュレータを形成するコンピュータのハードウェア構成図である。
図3】本実施の形態におけるシミュレータ及び設備制御プロセッサのブロック構成図である。
図4】本実施の形態における構構成情報の作成画面の表示例を示した図である。
図5】本実施の形態における構成情報記憶部に記憶される構成情報のデータ構成の一例を示した図である。
図6】本実施の形態における試験構成画面の表示例を示した図である。
図7】本実施の形態におけるリモコン操作画面の表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
図1Aは、本実施の形態において、設備制御プロセッサがビルに導入された後の空調システムの構成図である。なお、本実施の形態では、設備として空調設備を取り扱う場合を例にして説明する。図1Aには、設備管理サーバ1、監視PC2、設備制御プロセッサ20及び空調集中コントローラ4がネットワーク5に接続された構成が示されている。空調集中コントローラ4は、空調設備の動作を制御するコントローラである。図1Aには、2台の空調集中コントローラ4を図示しているが、1台以上であればよい。各空調集中コントローラ4は、接続した室外機6及び室外機6に接続される室内機7を含む空調設備を動作制御対象としている。
【0019】
設備制御プロセッサ20は、空調集中コントローラ4を介して空調設備を制御管理する設備管理装置であり、本実施の形態において動作試験の対象となる装置である。設備制御プロセッサ20は、運転の開始や停止、設定温度等空調設備の運転制御に関する指示を空調集中コントローラ4へ送り、また室内機7のリモコン(図示せず)のユーザ操作による設定変更等を受け付ける。設備管理サーバ1は、ネットワーク5を介して設備制御プロセッサ20やシーケンサ(図示せず)の管理情報を送受信するサーバコンピュータである。監視PC2は、WEbブラウザを使用して、設備管理サーバ1により提供される管理情報等の情報の表示を行うことで管理者に各種情報を提供するパーソナルコンピュータである。
【0020】
設備制御プロセッサ20は、ビルに新規に導入されることで、空調集中コントローラ4及び空調設備の制御管理を開始することになるが、空調集中コントローラ4及び空調設備も新規に設置されることになる場合、実機がビルに導入されてからでは空調システムの稼動開始が遅れることになりかねない。そのため、ビルへの実機の設置前に事業所内でシミュレータを用いて動作試験を行うのが効率的である。
【0021】
図1Bは、空調設備の代わりにシミュレータ10を、空調集中コントローラ4を介して設備制御プロセッサ20に接続したシミュレーション構成を示した図である。図1A図1Bを比較すれば明らかなように、シミュレータ10は、図1Aの破線で囲んだ空調設備に置き換わっており、このシミュレーション構成にて事業所内で設備制御プロセッサ20の動作試験を行うことになる。
【0022】
図2は、本実施の形態におけるシミュレータ10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態においてシミュレータ10を形成するコンピュータは、PC等の従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、シミュレータ10は、図2に示したようにCPU31、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ(HDD)34、入力手段として設けられたマウス35とキーボード36、及び表示装置として設けられたディスプレイ37をそれぞれ接続する入出力コントローラ38、通信手段として設けられたネットワークインタフェース(IF)39を内部バス40に接続して構成される。なお、設備制御プロセッサ20もシミュレータ10と同様にコンピュータにより形成されていることから、そのハードウェア構成は、図2と同様に図示することができる。
【0023】
図3は、本実施の形態におけるシミュレータ10及び設備制御プロセッサ20のブロック構成図である。なお、本実施の形態の説明に用いない構成要素については図から省略している。
【0024】
シミュレータ10は、動作試験処理部11、構成情報作成部12、シナリオ作成部13、構成情報記憶部14、状態情報記憶部15、シナリオ記憶部16及び試験ログ情報記憶部17を有している。動作試験処理部11は、シミュレータ10の主要部を成し、ユーザインタフェース画面を利用して動作試験を行う。状態情報記憶部15には、室内機7の運転状態や設定温度等空調設備の状態を示す状態情報が記憶されているが、動作試験処理部11は、状態情報の表示及び状態情報の変更の受け付け等を行うユーザインタフェース(UI)部111及び状態情報が変更されると、その変更値等で状態情報記憶部15に記憶される状態情報を更新する状態情報更新部112を含む。なお、空調設備の状態は、例えば運転/停止、温度の値、風向の上/下、風速の強/中/低などの設定値でそれぞれ表せることから、本実施の形態では、設定値と状態情報とを同じ意味で用いることにする。
【0025】
構成情報作成部12は、ビルに設置される空調設備の接続関係を示す構成情報を作成し、その作成した構成情報を構成情報記憶部14に保存する。また、構成情報作成部12は、作成した構成情報を設備制御プロセッサ20へ送信する送信手段として機能する。シナリオ作成部13は、試験者により指定された空調設備、当該空調設備の状態情報の変更内容、当該状態情報の変更タイミングを示す時間情報を含むシナリオを作成し、そのシナリオをシナリオ記憶部16に保存する。動作試験処理部11は、上記の通り設備制御プロセッサ20の動作試験を行うが、その試験の内容及び結果を試験ログ情報として試験ログ情報記憶部17に蓄積する。
【0026】
シミュレータ10における各構成要素11〜13は、シミュレータ10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU31で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部14〜17は、シミュレータ10に搭載されたHDD34にて実現される。あるいは、RAM33又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0027】
設備制御プロセッサ20は、制御管理部21、構成情報取得部22、構成情報記憶部23及び状態情報記憶部24を有している。制御管理部21は、設備制御プロセッサ20の主要部を成し、空調設備の制御管理を行う。ただ、シミュレーション時には、空調設備の代わりに空調集中コントローラ4を介してシミュレータ10とデータのやり取りすることになる。状態情報記憶部24には、室内機7の運転状態や設定温度等ビル設備の状態を示す状態情報が記憶されているが、制御管理部21は、試験者により設定される状態情報の受け付け及び状態情報の表示等を行うユーザインタフェース(UI)処理部211及び試験者等により指定された設定値又はシミュレータ10から送られてくる設定値で状態情報記憶部24に記憶される状態情報を更新する状態情報更新部212を含む。
【0028】
構成情報取得部22は、現場に設置される構成情報、すなわち空調集中コントローラ4の設置台数や空調集中コントローラ4と室外機6との接続関係、室外機6と室内機7の接続関係等に関するビル設備の構成情報を取得し、構成情報記憶部23に登録する。
【0029】
設備制御プロセッサ20における各構成要素21,22は、設備制御プロセッサ20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPUで動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶部23,24は、設備制御プロセッサ20に搭載されたHDDにて実現される。あるいは、RAM又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0030】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0031】
次に、本実施の形態におけるシミュレーションの動作手順について説明する。
【0032】
シミュレーションを行うためには、構成情報を事前に用意する必要がある。本実施の形態では、構成情報をシミュレータ10における構成情報作成部12が作成する。
【0033】
図4は、本実施の形態における構成情報の作成画面の表示例を示した図である。図4には、設置する設備の接続関係を特定するGUI(Graphical User Interface)部品が選択可能に表示されるコンポーネント領域41と、各設備を特定するGUI部品が選択可能に表示される機種領域42と、空調設備の構成と構築していくためのネットワーク構成領域43と、が示されている。なお、各GUI部品には機種が特定できるように機種名が対応付けして表示されている。
【0034】
試験者は、新たな系統を作成する際にコンポーネント領域41から「系統」をドラッグし、ネットワーク構成領域43にドロップする。そして、機種領域42から追加したい機種をドラッグし、ネットワーク構成領域43上の追加先の系統上にドロップする。このドラッグ&ドロップ操作を行うことでネットワーク構成領域43上に空調設備の接続関係を設定していく。
【0035】
なお、以上説明したユーザ操作は一例であって、説明したドラッグ&ドロップ操作以外の方法で設備の接続関係を定義するようにしてもよい。
【0036】
図5は、本実施の形態における構成情報記憶部14に記憶される構成情報のデータ構成の一例を示した図である。図5に示したデータ構成によると、どの機種の室内機7がどの機種の室外機6に接続されたのかが明確に把握できる。なお、空調設備を構成する各設備には、各設備を識別するアドレスが割り振られる。
【0037】
一方、設備制御プロセッサ20は、何らかの方法でシミュレータ10により置き換えられている設備の構成情報を作成することになるが、設備制御プロセッサ20が用意する構成情報は、本来、シミュレータ10と同じ内容となるはずである。従って、構成情報作成部12は、シミュレータ10において作成された構成情報を取得するようにしてもよい。すなわち、シミュレータ10における構成情報作成部12は、構成情報を作成すると構成情報記憶部14に保存すると共に設備制御プロセッサ20へ送信する。構成情報取得部22は、シミュレータ10から送信されてくる構成情報を受信すると、構成情報記憶部23に保存する。このように、設備制御プロセッサ20は、シミュレータ10から構成情報を取得することで構成情報の設定の効率化を図ることが可能となる。
【0038】
シミュレータ10において作成された構成情報には、各空調設備の機種が含まれている。機種が特定されると、どの状態(設定値)を取り得るかも明確になる。例えば、設備が室内機7の場合、機種によって風速の設定が2段階であったり、4段階であったりする。設備制御プロセッサ20側の制御管理画面から風速を変更する動作試験を行う場合、機種が明確になっているので、試験者は設定値に"4"と設定可能かどうかがわかる。
【0039】
以上のように構成情報の設定が終了すると、各設備に対する状態情報を設定する必要がある。設備は、シミュレーション時にはまだ設置されていないので、状態情報には、仮想された各設備の状態が設定されることになる。この状態情報への初期設定は、設備制御プロセッサ20において行い、シミュレータ10へ送信して状態情報記憶部15に設定登録するようにしてもよいし、シミュレータ10側において以下に説明する動作試験用の構成画面から設定するようにしてもよい。
【0040】
図6は、本実施の形態における試験構成画面の一例を示した図である。試験者は、この試験構成画面を利用して設備制御プロセッサ20の動作試験を行うことになる。
【0041】
例えば、試験者がメニューの「表示」を選択するなど所定の操作を行うと、ユーザインタフェース処理部111は、その操作指示を受け付け、状態情報記憶部15に登録されている各設備の状態情報を読み出して試験構成画面に一覧表示する。そして、試験者は、例えば、表示されている設定値を変更することで、室内機7の運転を開始させたり、現在の設定温度や風向等を変更したりする。状態情報更新部112は、試験者による設定値の変更を受け付けると、その設定値で状態情報記憶部15を更新する。また、動作試験処理部11は、状態情報更新部112により変更された設定値を含む変更情報を設備制御プロセッサ20へ送信する。
【0042】
設備制御プロセッサ20におけるユーザインタフェース処理部211は、動作試験の際、制御管理画面を表示しており、変更情報がシミュレータ10から送信されてくると、その内容に従い制御管理画面に表示されている設備の状態情報を更新する。更に、状態情報更新部212は、変更情報に基づき状態情報記憶部24を更新することで状態情報の変更を反映させる。
【0043】
このように、シミュレータ10側における設定値の変更が設備制御プロセッサ20に反映されたことを確認することで設備制御プロセッサ20の動作の正当性を確認できる。動作試験処理部11が実施する設定値の変更は、試験ログ情報記憶部17に蓄積されているので、仮に、シミュレータ10側における変更が設備制御プロセッサ20において正常に反映できなかった場合、試験ログ情報を解析することで設備制御プロセッサ20における制御管理部21を実現するアプリケーションのバグ修正に役立てることができる。
【0044】
図7は、室内機7のリモコンから設定値を変更する場合を想定したリモコン操作画面の表示例を示した図である。試験者がメニューの「リモコン」を選択すると、ユーザインタフェース処理部111は、その所定の操作指示に応じて構成情報に含まれているリモコンに割り当てられたアドレスをリスト表示する。試験者がそのリストの中から操作対象のリモコンのアドレスを選択すると、ユーザインタフェース処理部111は、そのリモコンに対応した室内機7の状態情報を状態情報記憶部15から読み出して、リモコン操作画面に表示する。試験者がこのリモコン操作画面に表示されている設定値を変更すると、状態情報更新部112は、変更された設定値で状態情報記憶部15を更新する。また、動作試験処理部11は、状態情報更新部112により変更された状態情報の変更内容を含む変更情報を設備制御プロセッサ20へ送信する。
【0045】
設備制御プロセッサ20におけるユーザインタフェース処理部211は、変更情報がシミュレータ10から送信されてくると、上記と同様に制御管理画面に表示されている設備の状態情報を更新する。更に、状態情報更新部212は、変更情報に基づき状態情報記憶部24を更新する。
【0046】
このように、シミュレータ10側における設定値の変更が設備制御プロセッサ20に反映され、設備の状態が一致することを確認することで設備制御プロセッサ20の動作の正当性を確認できる。
【0047】
ところで、予め決めたスケジュールに従って設備の状態を断続的に変更させながら設備制御プロセッサ20の動作を確認したい場合がある。例えば、一の設備に対し状態を所定の時間間隔で設定値を変更したり、複数の設備を関連付けながら状態を変更したりする。このような試験者の要求に応じるために、本実施の形態では、スケジュール機能、いわゆるシナリオを作成できるようにした。具体的には、試験者は、所定のシナリオ作成画面(図示せず)から、状態情報の変更対象とする設備、当該設備の変更する項目(室内機7であれば、設定温度、風向、風速、運転モード等)、当該項目の変更後の状態(設定値)等を含む指示情報を1又は複数設定する。シナリオ作成部13は、設定された指示情報を受け付け、指示情報に基づき所定の形式にてシナリオ情報を作成してシナリオ記憶部16に登録する。
【0048】
試験者がシナリオを実行させたいときに所定の指示操作をすると、動作試験処理部11は、シナリオ記憶部16に登録されているシナリオをリスト表示する。そして、試験者がリストの中からシナリオを選択すると、動作試験処理部11は、選択されたシナリオに従って動作試験を開始する。
【0049】
なお、上記手動によるシナリオの実行だけでなく、シナリオにて指定された日時に当該シナリオの実行を自動的に開始できるようにしてもよい。
【0050】
なお、本実施の形態では、空調設備の制御管理を行う設備制御プロセッサ20の動作試験を行う場合を例にして説明したが、これに限定する必要はなく、シミュレータ10は、例えば照明等他の設備の制御管理を行う設備制御プロセッサの動作試験にも提供可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 設備管理サーバ、2 監視PC、4 空調集中コントローラ、5 ネットワーク、6 室外機、7 室内機、10 シミュレータ、11 動作試験処理部、12 構成情報作成部、13 シナリオ作成部、14,23 構成情報記憶部、15,24 状態情報記憶部、16 シナリオ記憶部、17 試験ログ情報記憶部、20 設備制御プロセッサ、21 制御管理部、22 構成情報取得部、31 CPU、32 ROM、33 RAM、34 ハードディスクドライブ(HDD)、35 マウス、36 キーボード、37 ディスプレイ、38 入出力コントローラ、39 ネットワークインタフェース(IF)、40 内部バス、111,211 ユーザインタフェース(UI)処理部、112,212 状態情報更新部。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7