(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定部は、予め取得したRTT(Round Trip Time)に応じて、前記単位時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の低スループット区間判定装置。
前記第3判定部によって判定された前記低スループット区間と、前記低スループット区間の自己位置を示す位置情報とを関連付けたデータをサーバ装置に送信する通信部を更に備えることを特徴とする請求項1または2に記載の低スループット区間判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0012】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る低スループット区間判定装置を含む無線通信システム100について説明する。
図1に示すように、無線通信システム100は、端末装置10(低スループット区間判定装置)と、サーバ装置20と、サーバ装置30とを備える。
【0013】
端末装置10は、ユーザが操作する装置であって、例えば、スマートフォンである。端末装置10は、フィーチャーフォンやタブレット型コンピュータ、ノート型パソコン、ウェアラブル型コンピュータ(例えば、ヘッドマウントディスプレイ)等の装置であってもよい。端末装置10は、通信部11と、動画再生部12と、GPS信号受信部13と、制御部14と、を備える。
【0014】
通信部11は、ネットワークに接続してサーバ装置20及びサーバ装置30との間でデータを送受信するインタフェースである。
【0015】
動画再生部12は、サーバ装置20から取得した動画コンテンツを再生する動画プレーヤである。本実施形態において、動画の再生方式は、ストリーミング方式として説明するが、これに限られない。
【0016】
GPS信号受信部13は、GPS衛星からGPS信号を受信し、受信したGPS信号を制御部14に出力する。
【0017】
制御部14は、演算処理装置としてのCPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリを含むプロセッサを備える。また、制御部14は、測定部15と、判定部16と、算出部17とを備える。
【0018】
測定部15は、端末装置10の通信量を測定する。算出部17(第1算出部、第2算出部)は、測定部15によって測定された通信量の割合や平均値を算出する。判定部16(第1判定部、第2判定部、第3判定部)は、測定部15によって測定された通信量、及び算出部17によって算出された割合や平均値に基づいて低スループット区間を判定する。測定部15、判定部16、算出部17の詳細については後述する。
【0019】
なお、制御部14は、GPS信号を用いた測位による位置情報サービスを行うことができる。なお、制御部14は、基地局からの電波に基づく測位による位置情報サービスを行ってもよい。
【0020】
サーバ装置20は、動画配信サービスの提供者によって管理、運用されるサーバ装置である。サーバ装置20は、通信部21と、制御部22と、記憶部23とを備える。通信部21は、ネットワークに接続して端末装置10との間でデータを送受信するインタフェースである。記憶部23は、例えばハードディスク装置を備え、制御部22により実行されるサーバアプリケーションや、動画配信サービスを提供するためのデータを記憶する記憶装置である。
【0021】
制御部22は、演算処理装置としてのCPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリを含むプロセッサを備える。CPUは、ROM又は記憶部23に記憶されたプログラムを、RAMに読み出して実行することにより、サーバ装置20の各部を制御する。
【0022】
サーバ装置30は、通信事業者によって管理、運用されるサーバ装置である。サーバ装置30は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを備える。通信部31は、ネットワークに接続して端末装置10との間でデータを送受信するインタフェースである。記憶部33は、例えばハードディスク装置を備え、制御部32により実行されるサーバアプリケーションや、端末装置10から受信したデータを記憶する記憶装置である。
【0023】
制御部32は、演算処理装置としてのCPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリを含むプロセッサを備える。CPUは、ROM又は記憶部33に記憶されたプログラムを、RAMに読み出して実行することにより、サーバ装置30の各部を制御する。
【0024】
次に
図2を参照して、低スループット区間の判定方法について説明する。
図2(a)に示すグラフは、所定時間(45秒)における端末装置10のスループットである。
図2(a)に示す時間は、主に端末装置10が動画をストリーミング再生している時間である。
【0025】
図2(b)に示すグラフは、
図2(a)に示すグラフの横軸をフレーム数に変更したものである。
図2(b)に示す1フレームの時間は、250msである。また、
図2(b)に示す区間幅A〜Cは、12フレーム(3秒)の幅を有する。
【0026】
本実施形態では、所定の区間幅(第1時間幅)を、この区間幅より狭い間隔(第2時間幅)でスライドさせながら、この区間幅における単位時間あたりの通信量のスループットをリアルタイムで測定する。具体的に説明すると、
図2(b)に示すように、測定部15は、区間幅Aにおいて、単位時間あたりのスループットを測定する。本実施形態において単位時間とは、1フレーム分の時間である250msである。区間幅Aは、12フレームの幅を有するため、測定部15は、12フレームのそれぞれのスループットを測定する。判定部16は、測定された各フレームのスループットが所定値(例えば、128kbps)以上か否かを判定する。なお、128kbpsとは、通信事業者が通信速度を制限した状態のスループットである。ただし、128kbpsは一例であり、上述した所定値は128kbpsに限定されない。通信事業者が通信速度を制限した状態を、以下では単に通信制限状態という場合がある。なお、測定部15が測定するスループットとは、サーバ装置20が端末装置10に向けて送信するデータのスループットである。
【0027】
図2(b)に示すように、区間幅Aにおいて、スループットが128kbps以上となるフレームは3個である。算出部17は、判定部16によって128kbps以上と判定されたスループットに係る単位時間の総和が区間幅Aに占める割合を算出する。区間幅Aにおいて、スループットが128kbps以上となるフレームは3個であるため、スループットに係る単位時間の総和が区間幅Aに占める割合は、25%(3/12)となる。本実施形態において、128kbps以上と判定されたスループットに係る単位時間の総和が区間幅Aに占める割合が、60%以上となる区間幅を通信中と定義し、60%より小さい区間幅を無通信状態または通信制限状態と定義する。この定義に基づいて、判定部16は、区間幅Aにおいて端末装置10は無通信状態または通信制限状態であると判定する。
【0028】
続いて、測定部15は、
図2(b)に示すように、区間幅Aを、区間幅Aより狭い間隔でスライドさせて、再度12フレームのそれぞれのスループットを測定する。この間隔は、例えば上述した単位時間(250ms)と同じであるが、これに限定されない。測定部15は、区間幅Aを250msでスライドさせながら、スライド後の区間幅における単位時間あたりのスループットを測定する。
【0029】
図2(b)に示すように、区間幅Bにおいて、スループットが128kbps以上となるフレームは、8個である。このため、128kbps以上と判定されたスループットに係る単位時間の総和が区間幅Bに占める割合は、66%(8/12)となる。したがって、判定部16は、区間幅Bにおいて端末装置10は通信中であると判定する。なお、区間幅Bにおける割合は66%であるため、区間幅Bは、通信を開始した状態と表現することができる。
【0030】
また、
図2(b)に示すように、区間幅Cにおいて、スループットが128kbps以上となるフレームは、12個である。このため、128kbps以上と判定されたスループットに係る単位時間の総和が区間幅Cに占める割合は、100%(12/12)となる。したがって、判定部16は、区間幅Cにおいて端末装置10は通信中であると判定する。
【0031】
図2(c)に示すグラフは、算出部17が算出した割合をプロットしたものである。算出部17は、この割合が60%以上となる区間幅が、所定時間(例えば、10秒)連続した場合、所定時間におけるスループットを示す実効スループット値を算出する。実効スループット値とは、例えばスループットの平均値である。
図2(c)の領域Dに示すように、割合が60%以上となる区間幅が10秒以上連続する場合、算出部17は領域Dのスループットの平均値を算出する。そして、判定部16は、算出部17によって算出された平均値が、所定の閾値(例えば、5Mbps)以下か否かを判定する。領域Dにおけるスループットの平均値が、5Mbps以下の場合、判定部16は、領域Dは低スループット区間であると判定する。これにより、判定部16は、無通信状態や通信制限状態を除いた部分において、実質的な低スループット区間を判定することができる。なお、実効スループット値は、平均値に限定されない。例えば、算出部17は、実効スループット値として、スループットの中央値を算出してもよい。算出部17が、領域Dにおけるスループットの中央値を算出した場合、判定部16は、第2閾値(例えば、5Mbps)と中央値を比較すればよい。判定部16は、中央値が第2閾値以下の場合、領域Dは低スループット区間であると判定することができる。なお、低スループット区間とは、動画再生時における時間軸上のスループットが低い区間をいうが、低スループット区間は、端末装置10の位置情報と関連付けられてもよい。判定部16は、低スループット区間を検出した場合、この低スループット区間における端末装置10の位置を示す位置情報(自己位置を示す位置情報)を取得し、低スループット区間と端末装置10の位置情報とを関連付けることができる。通信部11は、このように関連付けられたデータをサーバ装置30に送信する。サーバ装置30は、端末装置10から受信したデータを記憶部33に蓄積する。このように蓄積されたデータは、ネットワーク改善などに活用される。
【0032】
なお、位置情報の取得及び位置情報の送信は、端末装置10にとって負荷になるため、できるだけ抑制されることが好ましい。そこで、判定部16は、低スループット区間を検出した場合のみ、位置情報を取得し、低スループット区間と位置情報とを関連付けてサーバ装置30に送信してもよい。これにより、端末装置10にかかる負荷は軽減し、バッテリ消費量は低減する。
【0033】
なお、判定部16は、前回の低スループット区間の判定から、一定時間(例えば、10秒)が経過するまでは低スループット区間の判定をしない。理由は、端末装置10を用いて動画を再生しているユーザが、短時間に移動する距離は限られており、連続して低スループット区間を判定する必要性が小さいからである。また、一定時間あけることにより、端末装置10にかかる負荷が減るため、バッテリ消費量は低減する。
【0034】
次に、
図3のフローチャートを参照して端末装置10の一動作例を説明する。
【0035】
ステップS101において、通信部11は、ユーザが再生したい動画のリクエストをサーバ装置20に送信する。サーバ装置20は、受信したリクエストに応じて、端末装置10にファイルを送信する。処理がステップS102に進み、動画再生部12は、ファイルを受信しながら動画をストリーミング再生する。
【0036】
ステップS103において、測定部15は、動画がストリーミング再生されている際に、リアルタイムでスループットを測定する。測定部15は、区間幅Aにおける単位時間(250ms)あたりのスループットを測定する。処理がステップS102に進み、判定部16は、測定部15によって測定された各フレームのスループットが第1所定値(128kbps)以上か否かを判定する。各フレームのスループットが第1所定値以上の場合(ステップS104でYes)、処理がステップS105に進み、算出部17は、128kbps以上と判定されたスループットに係る単位時間の総和が区間幅Aに占める割合を算出する。一方、各フレームのスループットが、いずれも第1所定値より小さい場合(ステップS104でNo)、処理はステップS106に進む。
【0037】
ステップS107において、判定部16は、算出部17によって算出された割合が第2所定値(60%)以上か否かを判定する。割合が第2所定値以上の場合、判定部16は、該当する区間幅において端末装置10は通信中と判定する。また、割合が第2所定値より小さい場合、判定部16は、該当する区間幅において端末装置10は無通信状態または通信制限状態であると判定する。割合が第2所定値以上の場合(ステップS107でYes)、処理がステップS108に進み、判定部16は、割合が第2所定値以上となる区間幅が、所定時間(例えば、10秒)連続したか否かを判定する。一方、割合が第2所定値より小さい場合(ステップS107でNo)、処理がステップS106に進む。
【0038】
割合が第2所定値以上となる区間幅が、所定時間連続した場合(ステップS108でYes)、処理がステップS109に進み、算出部17は、この所定時間におけるスループットを示す実効スループット値を算出する。例えば、算出部17は、実効スループット値として所定時間におけるスループットの平均値を算出する。一方、割合が第2所定値以上となる区間幅が、所定時間連続しない場合(ステップS108でNo)、処理がステップS106に進む。
【0039】
ステップS110において、判定部16は、算出部17によって算出された平均値が、閾値(例えば、5Mbps)以下か否かを判定する。平均値が閾値以下の場合(ステップS110でYes)、処理がステップS111に進み、判定部16は、所定時間と対応する時間幅を低スループット区間と判定する。一方、平均値が閾値より大きい場合(ステップS110でNo)、処理がステップS106に進む。
【0040】
ステップS106において、測定部15は、区間幅Aを、区間幅Aより狭い間隔(例えば、250ms)でスライドさせる。その後、処理がステップS103に進み、測定部15は、再度区間幅Aにおける単位時間あたりのスループットを測定する。
【0041】
ステップS112において、判定部16は、低スループット区間と、低スループット区間における端末装置10の位置を示す位置情報とを関連付ける。通信部11は、このように関連付けられたデータをサーバ装置30に送信する。
【0042】
(作用・効果)
以上説明したように、本実施形態に係る低スループット区間判定装置によれば、以下の作用効果が得られる。
【0043】
測定部15は、区間幅Aよりも狭い間隔(例えば、250ms)で区間幅Aをスライドさせながら、区間幅Aにおける単位時間(例えば、250ms)あたりの通信量のスループットを測定する。判定部16は、測定部15によって測定されたスループットが第1所定値(例えば、128kbps)以上か否かを判定する。算出部17は、判定部16によって第1所定値以上と判定されたスループットに係る単位時間の総和が区間幅Aに占める割合を算出する。判定部16は、算出部17によって算出された割合が第2所定値(例えば、60%)以上か否かを判定する。算出部17は、割合が第2所定値以上となる区間幅Aが、所定時間(例えば、10秒)連続した場合、所定時間におけるスループットを示す実効スループット値を算出する。判定部16は、算出部17によって算出された実効スループット値が閾値(例えば、5Mbps)以下の場合、所定時間と対応する時間幅を低スループット区間と判定する。これにより、判定部16は、無通信状態や通信制限状態を除いた部分において、5Mbps以下の通信が長く続く低スループット区間を検出できる。
【0044】
また、通信部11は、判定部16が低スループット区間を検出した場合のみ、低スループット区間に関するデータをサーバ装置30に送信する。通信部11が、測定部15によって測定された全データをサーバ装置30に送信すると、スループットは増加し、端末装置10にかかる負荷も増加する。これにより、端末装置10のバッテリ消費量は増加する。しかし、本実施形態に係る通信部11は、判定部16が低スループット区間を検出した場合のみ、低スループット区間に関するデータをサーバ装置30に送信するため、端末装置10にかかる負荷は軽減し、バッテリ消費量は低減する。
【0045】
また、判定部16は、低スループット区間を検出した場合、低スループット区間における端末装置10の位置を示す位置情報を取得し、低スループット区間と、端末装置10の位置を示す位置情報とを関連付ける。通信部11は、判定部16によって関連付けられたデータをサーバ装置30に送信する。通信事業者は、サーバ装置30を参照することにより、地図上のスループットが低い場所を一目で把握できる。なお、サーバ装置30に蓄積されたデータは、ネットワーク改善などに活用される。
【0046】
また、判定部16は、低スループット区間を検出した場合のみ、端末装置10の位置を示す位置情報を取得し、低スループット区間と端末装置10の位置を示す位置情報とを関連付け、通信部11はこのように関連付けられたデータをサーバ装置30に送信してもよい。位置情報の取得及び位置情報の送信は、端末装置10にとって負荷になるため、このように処理することにより、端末装置10にかかる負荷は軽減し、バッテリ消費量は低減する。
【0047】
(変形例)
次に、
図4及び
図5を参照して本実施形態の変形例について説明する。
【0048】
スループットは、RTT(Round Trip Time)と密接に関係している。RTTとは、通信相手に信号やデータを発信してから、応答が帰ってくるまでにかかる時間である。
【0049】
図4に示すように、送信側は、TCP(Transmission Control Protocol)パケットを送信し、受信側がACK(Acknowledgement)を返却する。送信側は、ACKが返却されたら次のパケットを送信する。
図4に示すように、送信側がTCPパケットを送信してからACKが返却されるまでにかかる時間がRTTである。RTTが速いと送信間隔が早まる。
【0050】
ここで、4Gなどと呼ばれるLTE−Advanced(Long Term Evolution)では、RTTが数十msであるため、上述したように単位時間(1フレーム分の時間)が250msに設定されていれば、低スループット区間を適切に判定できる。ところで、5Gなどと呼ばれるLTEの後継システムになると、RTTが数ms〜十数msとなる。この場合、単位時間が250msに設定されていると、スループットを適切に捉え切れない場合がある。例えば、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、250msの面積(時間×スループット)が同じ場合、実際は、
図5(a)より
図5(b)のほうが高速通信であるにも関わらず、
図5(a)と
図5(b)は同じ速さと判定される。換言すると、判定部16は、
図5(b)について、低スループット区間ではないにも関わらず、低スループット区間である誤判定する場合がある。
【0051】
そこで、測定部15は、RTTの値に応じて、単位時間を最適化する。測定部15は、RTTが数十msであれば、単位時間を250msに設定し、RTTが数ms〜十数msであれば、単位時間を50msに設定する。これにより、
図5(b)に示すように、判定部16は通信方式に適したスループットを判定することができ、低スループット区間を精度よく判定することができる。なお、上述したRTTに対応する単位時間は、例示であってこれに限定されるものではない。なお、測定部15は、RTTを基地局などから予め取得することができる。
【0052】
(高速フーリエ変換との比較)
低スループット区間の判定は、低周波数の部分を取り出す問題、つまりローパスフィルタの問題と捉えることができる。ローパスフィルタとして、高速フーリエ変換の利用が一般的であり、高速フーリエ変換を用いて、低スループット区間を判定することは可能である。しかしながら、本発明は、以下の点で、高速フーリエ変換より有利である。
【0053】
本実施形態において、端末装置10は、動画をストリーミング再生中に低スループット区間を判定する。端末装置10は動画をストリーミング再生しているため、端末装置10の負荷を軽減するためにもできるだけ簡易に低スループット区間を判定することが好ましい。
【0054】
高速フーリエ変換の計算量(計算量理論におけるオーダー)は、O(N*log(N))となる。ここで、Nは、処理すべきフレーム数である。log(N)の底は、2とする。例えばlog(32)は、5となる。
【0055】
これに対して、本実施形態の計算量は、O(N)である。例えば、30分(7200フレーム)の動画であれば、高速フーリエ変換の計算量は、本実施形態の計算量の12〜13倍(log(7200)≒12.8)となり、計算量が増加する。この計算量は、全てのフレームが出そろった後に、まとめて解析する場合の計算量であり、高速フーリエ変換にとって非常に有利な条件での計算量である。また、位置情報の取得及び位置情報の送信の処理が加わると、高速フーリエ変換の計算量はさらに増加する。
【0056】
位置情報の取得及び位置情報の送信は、端末装置10にとって負荷になるため、できるだけ抑制されることが好ましい。このためには、端末装置10は、スループットをリアルタイムで測定し、必要な場合のみ(低スループット区間を検出した場合のみ)位置情報を取得すればよい。しかし、高速フーリエ変換では、ある程度のフレームをまとめて処理する必要があり、1フレームごとに10秒分(40フレーム)をリアルタイムに処理すると、さらに計算量が増加する。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、高速フーリエ変換と比較して、計算量は大幅に減少する。これにより、本発明は、高速フーリエ変換と比較して、端末装置10にかかる負荷を低減でき、バッテリ消費量を低減できる。
【0058】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0059】
例えば、本実施形態では、端末装置10が低スループット区間を判定したが、サーバ装置30が低スループット区間を判定してもよい。例えば、端末装置10が測定データ(スループットや位置情報を含む)をサーバ装置30に送信し、サーバ装置30は、端末装置10から受信した測定データを用いて低スループット区間を判定してもよい。
【0060】
なお、上述の実施形態の各機能(通信部11、動画再生部12、GPS信号受信部13、制御部14など)は、1または複数の処理回路により実装され得る。処理回路は、電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含む。処理回路は、また、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。
【0061】
さらに、上述した端末装置10、サーバ装置20、及びサーバ装置30は、本発明の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。
図6に示すように、端末装置10、サーバ装置20、及びサーバ装置30は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0062】
端末装置10、サーバ装置20、及びサーバ装置30の各機能ブロックは、コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、またはハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
【0063】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)で構成されてもよい。
メモリ1002は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、上述した実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0064】
ストレージ1003は、コンピュータが読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu−ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及び/またはストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0065】
通信装置1004は、有線及び/または無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0066】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0067】
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0068】
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE−A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT−Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W−CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0069】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0070】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0071】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0072】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0073】
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0074】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0075】
本明細書で使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1および第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。