特許第6827891号(P6827891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827891
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】シートフレーム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20210128BHJP
【FI】
   B60N2/90
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-142407(P2017-142407)
(22)【出願日】2017年7月24日
(65)【公開番号】特開2019-23013(P2019-23013A)
(43)【公開日】2019年2月14日
【審査請求日】2019年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】竹田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 知行
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 豪也
【審査官】 森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−261422(JP,A)
【文献】 特開2009−248676(JP,A)
【文献】 特開2009−248677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00 − 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定されて前後方向に設けられると共に、互いに左右方向に離隔して配置される一対のレールと、
前記レールに沿ってスライド可能に前記レールに支持されるクッションフレームと、
一対の前記レール間に配置されて前記レールに固定される固定部と、
前記固定部と前記クッションフレームとを繋ぐ変形自在なワイヤハーネスとを備え、
前記ワイヤハーネスは、前記クッションフレームから延びて設けられるハーネス本体と、
前記ハーネス本体の先端に固定されるコネクタとを備え、
前記コネクタには、前記車体側から延びて設けられる車体側ハーネスが嵌合軸に沿って先端に嵌合され、
前記固定部は、前記ハーネス本体が固定される第1固定部と、
前記コネクタが固定される第2固定部とを備え、
前記第1固定部は、前記クッションフレーム側に出る前記ワイヤハーネスを一対の前記レールの左右方向中央に向け
平面視において、前記第2固定部に固定された前記コネクタの前記嵌合軸を前記ハーネス本体側へ延長した延長線と、前記第1固定部に固定された部分の前記ハーネス本体の軸心を前記ハーネス本体の先端側へ延長した延長線とが互いに交わることを特徴とするシートフレーム。
【請求項2】
前記第1固定部は、前記クッションフレーム側に出る前記ワイヤハーネスを前記レールに対して傾斜させることを特徴とする請求項1記載のシートフレーム
【請求項3】
前記第2固定部には、前記車体側ハーネスが嵌合されていない状態の前記コネクタが固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシートフレーム。
【請求項4】
前記第2固定部は、前記コネクタの前記嵌合軸を前記コネクタの先端側で一対の前記レールの左右方向中央に向けることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシートフレーム。
【請求項5】
車体に固定されて前後方向に設けられると共に、互いに左右方向に離隔して配置される一対のレールと、
前記レールに沿ってスライド可能に前記レールに支持されるクッションフレームと、
一対の前記レール間に配置されて前記レールに固定される固定部と、
前記固定部と前記クッションフレームとを繋ぐ変形自在なワイヤハーネスとを備え、
前記固定部は、前記ワイヤハーネスが固定される第1固定部を備え、
前記ワイヤハーネスは、少なくとも2本設けられ、
前記第1固定部は、少なくとも2本の前記ワイヤハーネスに対応して少なくとも2箇所に互いに左右方向に離れて設けられ、前記クッションフレーム側に出る前記ワイヤハーネスを一対の前記レールの左右方向中央に向け、
平面視において、2箇所の前記第1固定部から前記クッションフレーム側にそれぞれ出る前記ワイヤハーネスと前記レールとのなす角度は、前記レールの左右方向中央に近い側よりも遠い側が大きく設定されることを特徴とするシートフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートフレームに関し、特に簡易な構成でレール等の周辺機器とワイヤハーネスとの干渉を抑制できるシートフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のシートには、電動リクライニング装置やシートヒータ、着座センサなど種々の電装品が装備されている。これらの電装品と車体側の機器とを接続するため、シートにはワイヤハーネスが配置されている。シートクッションがレールに沿ってスライドするスライドシートである場合、そのスライドに伴って、レール側とシートクッション側とを繋ぐワイヤハーネスが曲がったり伸びたりして変形する(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示される技術では、一方向のみに屈曲可能なクローラ型の外装材でワイヤハーネスを覆い、ワイヤハーネスの曲がり方向を規制している。これにより、曲がったワイヤハーネスがレール等の周辺機器に干渉することを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−53750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術に比べて簡易な構成で、ワイヤハーネスとレール等の周辺機器との干渉を抑制したいという要求がある。
【0006】
本発明は上述した要求に応えるためになされたものであり、簡易な構成でレール等の周辺機器とワイヤハーネスとの干渉を抑制できるシートフレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明のシートフレームは、車体に固定されて前後方向に設けられると共に、互いに左右方向に離隔して配置される一対のレールと、前記レールに沿ってスライド可能に前記レールに支持されるクッションフレームと、一対の前記レール間に配置されて前記レールに固定される固定部と、前記固定部と前記クッションフレームとを繋ぐ変形自在なワイヤハーネスとを備え、前記ワイヤハーネスは、前記クッションフレームから延びて設けられるハーネス本体と、前記ハーネス本体の先端に固定されるコネクタとを備え、前記コネクタには、前記車体側から延びて設けられる車体側ハーネスが嵌合軸に沿って先端に嵌合され、前記固定部は、前記ハーネス本体が固定される第1固定部と、前記コネクタが固定される第2固定部とを備え、前記第1固定部は、前記クッションフレーム側に出る前記ワイヤハーネスを一対の前記レールの左右方向中央に向け、平面視において、前記第2固定部に固定された前記コネクタの前記嵌合軸をハーネス本体側へ延長した延長線と、前記第1固定部に固定された部分の前記ハーネス本体の軸心を前記ハーネス本体の先端側へ延長した延長線とが互いに交わる
また、本発明のシートフレームは、車体に固定されて前後方向に設けられると共に、互いに左右方向に離隔して配置される一対のレールと、前記レールに沿ってスライド可能に前記レールに支持されるクッションフレームと、一対の前記レール間に配置されて前記レールに固定される固定部と、前記固定部と前記クッションフレームとを繋ぐ変形自在なワイヤハーネスとを備え、前記固定部は、前記ワイヤハーネスが固定される第1固定部を備え、前記ワイヤハーネスは、少なくとも2本設けられ、前記第1固定部は、少なくとも2本の前記ワイヤハーネスに対応して少なくとも2箇所に互いに左右方向に離れて設けられ、前記クッションフレーム側に出る前記ワイヤハーネスを一対の前記レールの左右方向中央に向け、平面視において、2箇所の前記第1固定部から前記クッションフレーム側にそれぞれ出る前記ワイヤハーネスと前記レールとのなす角度は、前記レールの左右方向中央に近い側よりも遠い側が大きく設定される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載のシートフレームによれば、ワイヤハーネスのハーネス本体が固定される第1固定部は、クッションフレーム側に出るワイヤハーネスを一対のレールの左右方向中央に向けるので、第1固定部からクッションフレーム側に出るワイヤハーネスをレールから遠ざけることができる。その結果、レールに沿ったクッションフレームのスライドによりワイヤハーネスが変形するとき、簡易な構成でレール等の周辺機器とワイヤハーネスとの干渉を抑制できる。
【0009】
イヤハーネスは、クッションフレームから延びて設けられるハーネス本体と、ハーネス本体の先端に固定されるコネクタとを備える。コネクタには、車体側から延びて設けられる車体側ハーネスが嵌合軸に沿って先端に嵌合される。固定部の第2固定部にコネクタが固定され、第1固定部にハーネス本体が固定される。これにより、ワイヤハーネスの変形時に、ハーネス本体とコネクタとの接続部分に負荷をかかり難くできるので、ワイヤハーネスの断線を抑制できる。
【0010】
面視において、第2固定部に固定されたコネクタの嵌合軸をハーネス本体側へ延長した延長線と、第1固定部に固定された部分のハーネス本体の軸心をハーネス本体の先端側へ延長した延長線とが互い交わるので、第1固定部と第2固定部との間でハーネス本体を曲げることができる。これにより、第1固定部と第2固定部との間のワイヤハーネスの長さのばらつきを、ハーネス本体の曲がり方の調整によって吸収できる。その結果、ハーネス本体とコネクタとの接続部分に負荷をさらにかかり難くできるので、ワイヤハーネスの断線をさらに抑制できる。
請求項2記載のシートフレームによれば、第1固定部は、クッションフレーム側に出るワイヤハーネスをレールに対して傾斜させる。これにより、請求項1の効果に加え、レール等の周辺機器とワイヤハーネスとの干渉を抑制できる。
請求項3記載のシートフレームによれば、車体側ハーネスが嵌合されていない状態のコネクタが第2固定部に固定されている。これにより、請求項1又は2の効果に加え、車体側ハーネスが嵌合されていない状態で、ハーネス本体とコネクタとの接続部分に負荷をかかり難くできる。
【0011】
請求項4記載のシートフレームによれば、第2固定部は、コネクタの嵌合軸をコネクタの先端側で一対のレールの左右方向中央に向ける。これにより、コネクタの先端がレールから離れる方向を向くので、コネクタの先端側とレールとの間に作業スペースを確保できる。その結果、請求項1から3のいずれかに記載の効果に加え、コネクタへの車体側コネクタの接続作業を容易にできる。
【0012】
請求項5記載のシートフレームによれば、ワイヤハーネスが固定される第1固定部は、クッションフレーム側に出るワイヤハーネスを一対のレールの左右方向中央に向けるので、第1固定部からクッションフレーム側に出るワイヤハーネスをレールから遠ざけることができる。その結果、レールに沿ったクッションフレームのスライドによりワイヤハーネスが変形するとき、簡易な構成でレール等の周辺機器とワイヤハーネスとの干渉を抑制できる。
少なくとも2本設けられるワイヤハーネスに対応して、第1固定部が少なくとも2箇所に互いに左右方向に離れて設けられる。平面視において、2箇所の第1固定部からクッションフレーム側にそれぞれ出るワイヤハーネスとレールとのなす角度は、レールの左右方向中央に近い側よりも遠い側が大きく設定される。これにより、固定部へのワイヤハーネスの固定位置がレールに近い程、第1固定部からクッションフレーム側に出るワイヤハーネスをレールから離れる方向へ向けることができる。その結果、ワイヤハーネスの変形時、レール等の周辺機器とワイヤハーネスとをより干渉し難くできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施の形態における乗物用シートの側面図である。
図2】乗物用シートの正面図である。
図3】図のIII−III線におけるシートクッションの断面図である。
図4】固定部およびレールの平面図である。
図5】第1固定部、第2固定部およびワイヤハーネスの下方斜視図である。
図6】第2実施の形態におけるシートクッションの断面図である。
図7】第3実施の形態におけるシートクッションの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施の形態における乗物用シート1の側面図である。図2は乗物用シート1の正面図である。なお、図2では乗物用シート1の上部(シートバック6)の図示が省略されている。また、各図面における矢印U−D,L−R,F−Bは、乗物用シート1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。但し、乗物用シート1の左右方向および前後方向は、乗物用シート1が搭載される車体の左右方向および前後方向とは必ずしも一致しない。
【0015】
図1及び図2に示すように、乗物用シート1は、自動車に搭載されるスライドシートである。乗物用シート1は、車体(図示せず)に固定される一対のレール3,4と、レール3,4に支持されて乗員の臀部を支持するシートクッション5と、乗員の背凭れとなるシートバック6と、シートバック6の上端部に固定されて乗員の頭を支えるヘッドレスト7とを備えている。
【0016】
レール3,4は、車体の前後方向に延びて設けられる金属製の部材である。レール3,4は、互いに車体の左右方向に離隔して配置される。レール3が車体の右側に配置され、レール4が車体の左側に配置される。レール4には、レール3側へ延設される固定部20が固定される。なお、レール4に固定部20を固定する場合に限らず、レール3に固定部20を固定することも可能である。
【0017】
シートクッション5は、軟質ポリウレタンフォーム等の発泡体から構成されるクッションパッド(図示せず)をクッションフレーム8に支持させ、クッションパッドを表皮材(図示せず)で覆って構成される。シートバック6も同様に、軟質ポリウレタンフォーム等の発泡体から構成されるバックパッド(図示せず)をバックフレーム(図示せず)に支持させ、バックパッドを表皮材(図示せず)で覆って構成される。クッションフレーム8にバックフレーム(シートバック6)がリクライニング装置(図示せず)により傾倒可能に連結される。主にクッションフレーム8とレール3,4とバックフレームによりシートフレーム2が構成される。
【0018】
クッションフレーム8は、レール3,4に沿ってスライド可能にレール3,4に支持される一対の摺動部9を備える。乗員が操作子(図示せず)を操作することで、電動または手動で、レール3,4及び車体に対してクッションフレーム8(シートクッション5)の摺動部9をレール3,4に沿ってスライドさせることが可能となる。
【0019】
クッションフレーム8には、ワイヤハーネス10が取り付けられる。ワイヤハーネス10は、シートクッション5(クッションフレーム8)やシートバック6に設けられる電装品(図示せず)を車体側の機器と接続するための変形自在な配線である。なお、シートクッション5やシートバック6に設けられる電装品としては、電動リクライニング装置やシートヒータ、着座センサ等が挙げられる。
【0020】
ワイヤハーネス10は、配線としてのハーネス本体11と、ハーネス本体11の先端に固定されるコネクタ12とを備える。ハーネス本体11は、電装品から出る可撓性を有する配線であり、その途中がクッションフレーム8に固定される。ハーネス本体11は、クッションフレーム8から延びて設けられ、レール3,4の間の空間に撓んで配置される。
【0021】
コネクタ12は、車体側から延びて設けられる車体側ハーネス17(図3参照)が先端に嵌合する合成樹脂製の略筒状の部材である。ここで、車体側ハーネス17は、配線としての車体側ハーネス本体18と、車体側ハーネス本体18の先端に固定される車体側コネクタ19とを備える。
【0022】
筒状のコネクタ12の中心軸である嵌合軸14に沿って車体側コネクタ19をコネクタ12に挿入することで、コネクタ12に車体側コネクタ19が嵌合される。これにより、乗物用シート1の電装品と車体側とが電気的に接続される。
【0023】
固定部20は、クッションフレーム8から出たワイヤハーネス10をレール3,4側に固定する部材である。これにより、固定部20とクッションフレーム8とが変形自在なワイヤハーネス10で繋がれる。レール3,4に対するクッションフレーム8のスライドに伴って、ワイヤハーネス10が伸びたり曲がったりして変形する。
【0024】
固定部20は、レール3,4間に配置される。固定部20は、レール4にボルト21aで固定される連結部21と、連結部21の右側(レール3側)の側縁から下方に延設される延設部22と、延設部22の下縁からレール3に向かって延設される本体部23とを備える。連結部21、延設部22及び本体部23は、1枚の板状の鋼材を曲げ加工して形成される。
【0025】
次に図3図4及び図5を参照して固定部20についてさらに詳しく説明する。図3は、図のIII−III線におけるシートクッション5の断面図である。図4は、固定部20及びレール4の平面図である。図5は、第1固定部25、第2固定部26及びワイヤハーネス10の下方斜視図である。なお、図4では、第1固定部25及び第2固定部26の図示が省略されている。
【0026】
図3及び図4に示すように、本体部23は、略長方形状の部位である。本体部23には、前縁の延設部22側が延設部22へ向かうにつれて前方へ傾斜するように張り出して張出部24が形成される。張出部24は、本体部23と延設部22との接続部分を大きくして剛性を高めると共に、レール4への固定部20の固定位置に対して本体部23を後方に位置させるための部位である。
【0027】
本体部23には、板厚方向に貫通して複数の長孔状の嵌合孔23a〜23jが形成される。嵌合孔23a〜23eは、本体部23の後縁に沿って左右方向に並んで配置される。嵌合孔23f〜23jは、本体部23の前縁に沿って配置される。嵌合孔23g〜23jは、左右方向に並んで配置される。嵌合孔23fは、少なくとも一部が張出部24に形成され、嵌合孔23g〜23jに対して前方に配置される。5つの嵌合孔23a〜23eと、5つの嵌合孔23f〜23jとはそれぞれ前後方向に並んで配置される。
【0028】
嵌合孔23a〜23eの長軸は、それぞれ前後に対応する嵌合孔23f〜23jから離れるにつれてレール4から離れるように傾斜する。嵌合孔23f〜23jの長軸は、それぞれ前後に対応する嵌合孔23a〜23eから離れるにつれてレール4から離れるように傾斜する。なお、嵌合孔23a〜23eの長軸同士、嵌合孔23f〜23jの長軸同士は、それぞれ平行に設定される。
【0029】
固定部20は、ハーネス本体11が固定される第1固定部25と、コネクタ12が固定される第2固定部26とを備える。嵌合孔23a〜23jを用いて第1固定部25及び第2固定部26が本体部23に取り付けられる。
【0030】
図3及び図5に示すように、第1固定部25は合成樹脂製の部材である。第1固定部25は、ハーネス本体11を取り囲んで外周に密接する密接部27と、密接部27から下方に突出するクリップ部28とを備える。密接部27は、挿入孔を有する頭部27aからバンド部27bが延設される結束バンドから構成される。挿入孔にバンド部27bの先端を一方向に挿入して、バンド部27bでハーネス本体11を締めることで、密接部27がハーネス本体11に密接される。これにより、第1固定部25がハーネス本体11に沿って移動し難くなり、第1固定部25にハーネス本体11が固定される。
【0031】
クリップ部28は、嵌合孔23a〜23e(図4参照)のいずれかに嵌まる略長円柱状の部位である。クリップ部28の基端が頭部27aに一体成形される。クリップ部28は、長円の長軸が、密接部27に密接された部分(第1固定部25に固定された部分)のハーネス本体11の軸心11aと平行に配置される。
【0032】
なお、ハーネス本体11は複数の湾曲部分と直線部分とで構成されるが、直線的な筒状の密接部27に密接された部分のハーネス本体11は直線状に構成される。そのため、密接部27に密接された部分のハーネス本体11の軸心11aは、一義的に定義され、密接部27の中心軸と同一となる。なお、密接部27全体を軸方向に湾曲して構成し、密接部27に密接された部分のハーネス本体11を湾曲させても良い。この場合には、密接部27の軸方向中心におけるハーネス本体11の軸心の接線を軸心11aと定義する。
【0033】
クリップ部28の外形は、嵌合孔23a〜23eの縁と略同一形状であり、僅かに大きく形成される。そのため、クリップ部28を圧縮弾性変形させて嵌合孔23a〜23eに嵌めるので、嵌合孔23a〜23eにクリップ部28を嵌め易くしつつ、嵌合孔23a〜23eとクリップ部28との間の摩擦力により嵌合孔23a〜23eからクリップ部28を外れ難くできる。
【0034】
第2固定部26は、合成樹脂製の部材である。第2固定部26は、コネクタ12に取り付けられる取付部29と、取付部29から下方に突出するクリップ部30とを備える。取付部29は、上下に離隔した2枚の板材の後端を連結した略U字状の部材である。コネクタ12の後部(ハーネス本体11側)に開口した取付孔(図示せず)に取付部29の上側の板材を挿入しつつ、2枚の板材の間にコネクタ12の一部を挟むことで、コネクタ12に取付部29が固定される。
【0035】
クリップ部30は、嵌合孔23f〜23j(図4参照)のいずれかに嵌まる部位である。クリップ部30は、取付部29と一体成形される。クリップ部30は、取付部29に連なって下方に突出する中央部30aと、中央部30aの先端に連なって取付部29側へ延びて形成される爪部30bとを備える。
【0036】
中央部30aは、嵌合軸14の軸方向と平行に配置される板状の部材である。爪部30bは、中央部30aの板厚方向の両側に設けられる一対の部材である。爪部30bは、一端が中央部30aの先端に連なり、他端側が中央部30aから離れて形成される。爪部30bの外面は、中央部30aの先端から取付部29へ向かうにつれて板厚方向に中央部30aから離れる傾斜面30cと、傾斜面30cから取付部29へ向かうにつれて中央部30aに段差状に近づく段差面30dとが連なって形成される。
【0037】
クリップ部30を嵌合孔23f〜23jに嵌めるとき、傾斜面30cによりクリップ部30が案内される。そして嵌合孔23f〜23jに嵌まったクリップ部30は、段差面30dにより抜け防止される。爪部30bを両側からつまんで中央部30a側へ変形させることで、クリップ部30を嵌合孔23f〜23jから外すことができる。
【0038】
固定部20には、5本のワイヤハーネス10が固定される。詳しくは、各ワイヤハーネス10に固定される第1固定部25のクリップ部28及び第2固定部26のクリップ部30が、互いに前後方向に離隔して配置される嵌合孔23a〜23e及び嵌合孔23f〜23jにそれぞれ嵌められる。なお、5本のワイヤハーネス10のコネクタ12や、各ワイヤハーネス10に固定される第1固定部25及び第2固定部26は、それぞれ形状が異なるが、機能は同一であるため、同一部材として説明する。
【0039】
ハーネス本体11及びコネクタ12は、それぞれ第1固定部25及び第2固定部26により本体部23に固定される。これにより、ワイヤハーネス10(ハーネス本体11)の変形時に、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に負荷をかかり難くできる。その結果、ワイヤハーネス10の断線を抑制できる。
【0040】
レール3,4に対する嵌合孔23a〜23eの傾きにより、第1固定部25に固定された部分のハーネス本体11の軸心11aが、コネクタ12(第2固定部26)から離れるにつれてレール3,4の左右方向中央に向けられる。即ち、第1固定部25からクッションフレーム8側に出るハーネス本体11がレール3,4の左右方向中央に向く。これにより、第1固定部25からクッションフレーム8側に出るハーネス本体11をレール3,4から遠ざけることができる。これにより、レール3,4に沿ったクッションフレーム8のスライドによるワイヤハーネス10の変形時、レール3,4等の周辺機器とワイヤハーネス10との干渉を抑制できる。
【0041】
この周辺機器とワイヤハーネス10との干渉の抑制効果は、ハーネス本体11をレール3,4側に固定するための第1固定部25の向きを規定することにより、新たな部材の追加なしで得ることができる。即ち、ワイヤハーネス10の変形時、簡易な構成で周辺機器とワイヤハーネス10との干渉を抑制できる。
【0042】
レール3,4に対する嵌合孔23f〜23jの傾きにより、第2固定部26に固定されたコネクタ12の嵌合軸14が、ハーネス本体11(第1固定部25)から離れるにつれてレール3,4の左右方向中央に向けられる。これにより、コネクタ12の先端がレール4から離れる方向を向くので、コネクタ12の先端側とレール4との間に作業スペースを確保できる。これにより、コネクタ12への車体側コネクタ19の接続作業を容易にできる。この効果は、特にレール3,4に近接して配置されるコネクタ12に対して顕著である。
【0043】
第1固定部25に固定された部分のハーネス本体11の軸心11aと、第2固定部26に固定されたコネクタ12の嵌合軸14とが、互いに離れる方向へ向かうにつれてレール3,4の左右方向中央に向けられる。即ち、平面視において、軸心11aの延長線と、嵌合軸14の延長線とが互いに交わる。これにより、第1固定部25と第2固定部26との間でハーネス本体11を全体的に曲げることができる。
【0044】
ここで、軸心11aと嵌合軸14とが一直線上に位置する場合について説明する。本体部23に固定された第1固定部25と第2固定部26との間の距離よりも、第1固定部25と第2固定部26との間のワイヤハーネス10が短いとき、第1固定部25と第2固定部26との間でワイヤハーネス10に引張応力が生じる。このとき、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に負荷がかかり続けるので、ワイヤハーネス10が断線し易くなる。
【0045】
また、本体部23に固定された第1固定部25と第2固定部26との間の距離よりも、第1固定部25と第2固定部26との間のワイヤハーネス10が長いとき、第1固定部25と第2固定部26との間でワイヤハーネス10に圧縮応力が生じる。ハーネス本体11が局所的に無理に曲がるので、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に負荷がかかり続け、ワイヤハーネス10が断線し易くなる。
【0046】
一方、本実施の形態では平面視において、軸心11aの延長線と、嵌合軸14の延長線とが互いに交わるので、第1固定部25と第2固定部26との間でハーネス本体11が全体的に曲がる。特に、第1固定部25や第2固定部26に近づくほど、ハーネス本体11の曲率が小さくなる。これにより、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に負荷をかかり難くできる。
【0047】
さらに、第1固定部25と第2固定部26との間でハーネス本体11が全体的に曲がるので、第1固定部25と第2固定部26との間のワイヤハーネス10の長さのばらつきを、ハーネス本体11の曲がり方の調整によって吸収できる。その結果、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に負荷をさらにかかり難くできるので、ワイヤハーネス10を断線し難くできる。
【0048】
なお、平面視において、軸心11aの延長線と嵌合軸14の延長線との交点は、第1固定部25よりも前方、且つ、第2固定部26よりも後方に位置することが好ましい。これにより、第1固定部25と第2固定部26との間のハーネス本体11の曲線に変曲点ができたり、軸心11aの延長線と嵌合軸14の延長線との角度が大きくなり過ぎたりすることを抑制できる。その結果、第1固定部25と第2固定部26との間でハーネス本体11を緩やかに全体的に曲げることができるので、ワイヤハーネス10をより断線し難くできる。
【0049】
また、平面視において、軸心11aの延長線と嵌合軸14の延長線とのなす角度は、90°以上160°以下の範囲であることが好ましい。さらに、平面視において、軸心11aの延長線と嵌合軸14の延長線とのなす角度が100°以上150°以下の範囲であることがより好ましく、110°以上140°以下の範囲であることがより一層好ましい。
【0050】
平面視において軸心11aと嵌合軸14とのなす角度が90°未満である場合、第1固定部25と第2固定部26との間で曲がるハーネス本体11の曲率が大きくなり過ぎて、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に大きな負荷がかかる。平面視において軸心11aと嵌合軸14とのなす角度が160°より大きい場合、第1固定部25と第2固定部26との間のワイヤハーネス10の長さのばらつきを、ハーネス本体11の曲がり方の調整によって十分に吸収できないおそれがある。そのため、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に大きな負荷がかかり易い。
【0051】
平面視において軸心11aと嵌合軸14とのなす角度を90°以上160°以下の範囲に設定することで、ハーネス本体11の曲率を抑制しつつ、第1固定部25と第2固定部26との間のワイヤハーネス10の長さのばらつきを吸収し易くできる。その結果、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に負荷をよりかかり難くできるので、ワイヤハーネス10をより断線し難くできる。
【0052】
軸心11aと嵌合軸14とのなす角度が大きい程、ハーネス本体11の曲率を小さくできる一方で、第1固定部25と第2固定部26との間のワイヤハーネス10の長さのばらつきを吸収し難くなる。よって、平面視において軸心11aと嵌合軸14とのなす角度を100°以上150°以下の範囲にすることで、ハーネス本体11の曲率の抑制と、第1固定部25と第2固定部26との間のワイヤハーネス10の長さのばらつきの吸収とを両立し易くできる。その結果、ワイヤハーネス10をさらに断線し難くできる。同様に、平面視において軸心11aと嵌合軸14とのなす角度を110°以上140°以下の範囲にすることで、ワイヤハーネス10をより一層断線し難くできる。
【0053】
次に図6を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、嵌合孔23a〜23eの長軸(複数の軸心11a)同士、嵌合孔23f〜23jの長軸(嵌合軸14)同士がそれぞれ平行に設定される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、第1固定部25に固定された部分のハーネス本体11の軸心11a同士、第2固定部26に固定されたコネクタ12の嵌合軸14同士がそれぞれ非平行である場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図6は第2実施の形態におけるシートクッション5の断面図である。なお、図6では、図1図5に対して各部を模式的に示している。
【0054】
図6に示すように、第2実施の形態における固定部40は、レール3,4間に架け渡される。固定部40は、レール3,4にそれぞれ固定される左右一対の連結部21,21と、連結部21,21の側縁から下方にそれぞれ延設される延設部22,22と、延設部22,22の下縁に架け渡される本体部41と、本体部41に固定される複数の第1固定部25及び第2固定部26とを備える。連結部21,21、延設部22,22及び本体部41は、1枚の板状の鋼材を曲げ加工して形成される。
【0055】
本体部41は、略長方形状の部位である。本体部41は、左右対称に構成される。そのため、以後、本体部41の左側(レール4側)を説明し、本体部41の右側(レール3側)の説明を省略する。
【0056】
本体部41には、前縁の延設部22側がそれぞれ延設部22へ向かうにつれて前方へ傾斜するように張り出して張出部24が形成される。本体部41の前縁は、張出部24の前縁45に対して、その他の部分が前縁46である。前縁46は、平面視においてレール4に垂直に設定される。
【0057】
本体部41には、板厚方向に貫通して複数の長孔状の嵌合孔41a〜41hが形成される。嵌合孔41a〜41dは、本体部41の後縁に沿って左右方向に並んで配置される。嵌合孔41e〜41hは、本体部41の前縁に沿って配置される。嵌合孔41f〜41hは、左右方向に並んで配置される。嵌合孔41eは、少なくとも一部が張出部24に形成され、嵌合孔41f〜41hに対して前方に配置される。
【0058】
嵌合孔41d,41hは、本体部41の左右方向中央に配置される。本体部41には、嵌合孔41d及び嵌合孔41hの左右両側に、それぞれ嵌合孔41a〜41cと41e〜41gとが前後に並んで配置される。嵌合孔41a〜41cの長軸と嵌合孔41e〜41gの長軸とは、互いから前後方向に離れるにつれてレール4から離れるように傾斜する。
【0059】
なお、レール3,4の左右方向中央に配置される嵌合孔41d,41hの長軸は、レール4と平行に形成される。これにより、ハーネス本体11が固定された第1固定部25を嵌合孔41dに嵌めることで、第1固定部25からクッションフレーム8側に出るハーネス本体11の向きをレール3,4のどちらにも近づき難くできる。その結果、レール3,4に沿ったクッションフレーム8のスライドによるワイヤハーネス10の変形時、簡易な構成でレール3,4等の周辺機器とワイヤハーネス10との干渉を抑制できる。
【0060】
また、コネクタ12が固定された第2固定部26を嵌合孔41hに嵌めることで、平面視においてコネクタ12の嵌合軸14をレール3,4と平行にできる。平面視において嵌合孔41hにおけるコネクタ12の嵌合軸14がレール3,4と非平行であると、コネクタ12の先端が向いた側に位置する別のコネクタ12との間の作業スペースが小さくなる。これに対して、平面視において嵌合孔41hにおけるコネクタ12の嵌合軸14をレール3,4と平行にすることで、左右両側のコネクタ12との間の作業スペースがいずれかに偏って小さくなることを防止できる。
【0061】
平面視における、レール4に対する嵌合孔41a〜41cの長軸の角度、レール4に対する嵌合孔41e〜41gの長軸の角度について説明する。なお、嵌合孔41a,41e、嵌合孔41b,41f及び嵌合孔41c,41gの近傍にそれぞれレール4に平行な仮想線42,43,44を設定する。この仮想線42,43,44に対する長軸の角度をレール4に対する長軸の角度とする。
【0062】
仮想線42に対する嵌合孔41aの角度θ1、仮想線43に対する嵌合孔41bの角度θ2、仮想線44に対する嵌合孔41cの角度θ3は、この順に小さくなるように設定される。これにより、嵌合孔41a〜41cにそれぞれ嵌めた第1固定部25に固定される部分のハーネス本体11の軸心11aのレール4に対する角度θ1,θ2,θ3が、レール3,4の左右方向中央に近づくほど小さくなる。
【0063】
そのため、固定部40へのワイヤハーネス10の固定位置がレール4に近い程、第1固定部25からクッションフレーム8側に出るワイヤハーネス10をレール4から離れる方向へ向けることができる。その結果、ワイヤハーネス10の変形時、レール4等の周辺機器とワイヤハーネス10とを干渉し難くできる。
【0064】
仮想線43に対する嵌合孔41fの角度θ5より、仮想線44に対する嵌合孔41gの角度θ6が大きく設定される。これにより、嵌合孔41f,41gにそれぞれ嵌めた第2固定部26に固定されるコネクタ12の嵌合軸14のレール4に対する角度θ5,θ6が、レール3,4の左右方向中央に近づくほど大きくなる。
【0065】
そのため、嵌合孔41f側のコネクタ12と、嵌合孔41g側のコネクタ12との間は、それぞれの先端へ向かうにつれて広がる。その結果、隣り合うコネクタ12との間に作業スペースを確保できるので、コネクタ12への車体側コネクタ19の接続作業を容易にできる。特に、隣り合うコネクタ12に車体側コネクタ19を接続した状態でも、コネクタ12に車体側コネクタ19を接続し易くできる。
【0066】
仮想線42に対する嵌合孔41eの角度θ4は、角度θ5,θ6よりも大きく設定される。ここで、嵌合孔41f,41gは、平面視においてレール4に垂直な前縁46に近接して配置される。これに対し、嵌合孔41eは、平面視において、前縁46から離れるにつれて前方に傾斜する前縁45に近接して配置される。そのため、角度θ4を角度θ5,θ6以下に設定すると、嵌合孔41eに嵌めた第2固定部26に固定されるコネクタ12の先端が前縁45から前方に突出し難くなる。この場合、コネクタ12に車体側コネクタ19を接続するときに、本体部41の張出部24が作業者の手などに干渉し、コネクタ12に車体側コネクタ19を接続し難くなるおそれがある。
【0067】
角度θ4を角度θ5,θ6よりも大きく設定することで、嵌合孔41eに嵌めた第2固定部26に固定されるコネクタ12の先端を前縁45から前方に突出させ易くできる。その結果、コネクタ12に車体側コネクタ19を接続するときに、張出部24を作業者の手などに干渉し難くできるので、コネクタ12に車体側コネクタ19を接続し易くできる。
【0068】
平面視において、嵌合孔41eにおけるコネクタ12の嵌合軸14を前縁45と垂直に設定することが好ましい。これにより、嵌合孔41eにおけるコネクタ12の先端を前縁45から前方にさらに突出させ易くできるので、コネクタ12に車体側コネクタ19をさらに接続し易くできる。
【0069】
次に図7を参照して第3実施の形態について説明する。第1,2実施の形態では、ハーネス本体11が第1固定部25により固定部20に固定され、コネクタ12が第2固定部26により固定部20に固定される場合について説明した。これに対し第3実施の形態では、ワイヤハーネス10のコネクタ12のみが第1固定部52により固定部50に固定される場合について説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図7は第3実施の形態におけるシートクッション5の断面図である。なお、図7では、図1図5に対して各部を模式的に示している。
【0070】
図7に示すように、第3実施の形態における固定部50は、レール3,4間に架け渡される板状の本体部51と、本体部51に固定される複数の第1固定部52とを備える。本体部51は、略長方形状の部位である。本体部51は、左右対称に構成される。そのため、以後、本体部51の左側(レール4側)を説明し、本体部51の右側(レール3側)の説明を省略する。
【0071】
本体部51には、板厚方向に貫通して複数の長方形状の嵌合孔51a〜51cが形成される。嵌合孔51cは、本体部51の左右方向中央に配置される。嵌合孔51cの左右方向両側には、それぞれ嵌合孔51a,51bが左右に並んで配置される。嵌合孔51a〜51cは、長辺を前後方向に向けて配置される。
【0072】
嵌合孔51a,51bの長辺は、後方側に対して前方側がレール4に近づくように形成される。なお、嵌合孔51a,51bの長辺は互いに平行に形成される。嵌合孔51cの長辺はレール3,4と平行に形成される。
【0073】
第1固定部52は、ワイヤハーネス10を固定部50に固定させる合成樹脂製の部材である。なお、第1固定部52は、第1実施の形態における第2固定部26と構成が同一である。即ち、第1固定部52は、本体部51にコネクタ12を取り付ける部材である。
【0074】
コネクタ12の先端を前方に向くように、ワイヤハーネス10が固定された第1固定部52を嵌合孔51a,51bに嵌めることで、第1固定部52からクッションフレーム8側に出るハーネス本体11がレール3,4の左右方向中央を向く。これにより、第1固定部52からクッションフレーム8側に出るハーネス本体11をレール3,4から遠ざけることができる。その結果、レール3,4に沿ったクッションフレーム8のスライドによるワイヤハーネス10の変形時、簡易な構成でレール3,4等の周辺機器とワイヤハーネス10との干渉を抑制できる。
【0075】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態で挙げた形状や素材は一例であり、他の形状や素材を採用することは当然可能である。また、嵌合孔23a〜23j,41a〜41h,51a〜51cの数や、第1固定部25,52、第2固定部26の数は適宜変更可能である。
【0076】
上記第1実施の形態では、自動車に搭載される乗物用シート1について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。自動車以外の車両(例えば鉄道車両)や船舶、航空機等の乗物に搭載される座席に乗物用シート1を適用することは当然可能である。
【0077】
上記各実施の形態では、長孔状の嵌合孔23a〜23j,41a〜41h、長方形状の嵌合孔51a〜51cに第1固定部25,52のクリップ部28や第2固定部26のクリップ部30が嵌められる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本体部23,41,51に対して第1固定部25,52や第2固定部26の向きを規定できるのであれば、嵌合孔やクリップ部の形状は適宜変更可能である。例えば、嵌合孔およびクリップ部を、楕円状や多角形状などに対応して形成することが可能である。
【0078】
また、嵌合孔23a〜23j,41a〜41h,51a〜51cやクリップ部28,30を用いずに、本体部23,41,51に第1固定部25,52や第2固定部26を直接固定することも可能である。本体部23,41,51に第1固定部25,52や第2固定部26を直接固定する方法としては、例えば、ねじ止め、接着、一体成形などが挙げられる。
【0079】
上記第1,2実施の形態では、第1固定部25及び第2固定部26によりワイヤハーネス10が2か所で固定部20,40に固定される場合について説明し、上記第3実施の形態では、第1固定部52によりワイヤハーネス10が1か所で固定部50に固定される場合について説明した。しかし、必ずしもこれに限られるものではない。ワイヤハーネス10を3か所以上で固定部20,40,50に固定することは当然可能である。この場合、ワイヤハーネス10の最もクッションフレーム8側に固定される部位が第1固定部であり、最もコネクタ12の先端側に固定される部位が第2固定部である。
【0080】
上記第1,2実施の形態では、第2固定部26によりコネクタ12の嵌合軸14が第1固定部25から離れるにつれてレール3,4の左右方向中央を向くように傾斜する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。コネクタ12の嵌合軸14が第1固定部25から離れるにつれてレール3,4の左右方向中央から離れるように第2固定部26を構成することは当然可能である。この場合も、第2固定部26に固定されたコネクタ12の嵌合軸14の延長線と、第1固定部25に固定された部分のハーネス本体11の軸心11aの延長線とが交わることで、第1固定部25と第2固定部26との間でハーネス本体11を全体的に曲げることができる。その結果、ハーネス本体11とコネクタ12との接続部分に負荷をさらにかかり難くできるので、ワイヤハーネス10の断線を抑制できる。
【0081】
上記各実施の形態では、コネクタ12の先端を前方へ向けるようにワイヤハーネス10を固定部20,40,50に固定する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。コネクタ12の先端を後方へ向けるようにワイヤハーネス10を固定部20,40,50に固定することは当然可能である。
【符号の説明】
【0082】
2 シートフレーム
3,4 レール
8 クッションフレーム
10 ワイヤハーネス
11 ハーネス本体
11a 軸心
12 コネクタ
14 嵌合軸
17 車体側ハーネス
20,40,50 固定部
25,52 第1固定部
26 第2固定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7