(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827912
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】ネットワークエッジが増強されたクラウドにロボットの機能を任せるためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 9/50 20060101AFI20210128BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
G06F9/50 150A
G06F9/50 150E
B25J13/00 Z
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-227170(P2017-227170)
(22)【出願日】2017年11月27日
(65)【公開番号】特開2018-92626(P2018-92626A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年7月25日
(31)【優先権主張番号】201621040595
(32)【優先日】2016年11月28日
(33)【優先権主張国】IN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510337621
【氏名又は名称】タタ コンサルタンシー サービシズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TATA Consultancy Services Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】スワルナヴァ、デイ
(72)【発明者】
【氏名】アリジット、ムカルジー
【審査官】
漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−093308(JP,A)
【文献】
特開2014−164568(JP,A)
【文献】
林 康二,社会システム,INTEC TECHNICAL JOURNAL 2015.12,株式会社インテック,2015年12月14日,第16号,pp.26-31
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを任せるための方法であって、前記方法は、
移動式ロボット群の移動式ロボットにおいて、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを受信するステップであって、前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクは、前記移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを構築すること、前記マップを使用して前記環境を通り抜けること、及び前記マップ上に前記移動式ロボットを局在化させることを含む、ステップと、
前記移動式ロボットを使用することによって未知の環境の前記マップを推定するステップであって、同時に前記移動式ロボットは、それ自体を前記マップ上に局在化させる、ステップと、
1つ以上の拡張可能なロボットタスクの処理に必要な時間と、各拡張可能なロボットタスクの計算、通信負荷及びエネルギー使用量と、1つ以上の外部リソースと移動式ロボット間のデータ転送に必要なエネルギー使用量及び時間と、1つ以上の外部リソースと移動式ロボットの間で移動式ロボットの実時間の位置更新を送信するのに必要な時間と、エネルギー閾値(Ethr)と、所定の速度で移動することを保証するために、場所更新データを得るのに必要な実時間応答(Tres)とに基づいて、エッジ・ネットワーク・サーバが、1つ以上の外部リソースに任せるための1つ以上の拡張可能なロボットタスクを分析するステップと、
前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを、エッジ・ネットワーク・サーバが前記ロボットタスクの分析に基づいて、1つ以上の外部リソースに任せるステップであって、前記1つ以上の外部リソースは、バックエンド・クラウド・インフラストラクチャ及び、ネットワークのエッジを備える構成において、
前記1つ以上の外部リソースにおいて、1つ以上の任された、拡張可能なロボットタスクの計算を実行するステップを更に備え、拡張可能なロボットタスクの計算を実行する該ステップは、
前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを、前記移動式ロボットから前記エッジへ、及び前記エッジからバックエンド・クラウド・インフラストラクチャへ送信するステップと、
1つ以上の場所更新データを、前記バックエンド・クラウド・インフラストラクチャから前記エッジまで、及び前記エッジから前記ロボットまで共有するステップと、
前記外部リソースの各々から前記移動式ロボットまで標本抽出した後、前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを再送信するステップとを備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
待機時間要求を満たすために、正確なロボット局在化を達成するために、及び前記未知の環境のマップを構築するために、ロボットの同時局在化及びマッピング(SLAM)を分割するステップを更に備える、方法。
【請求項3】
移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを任せるためのシステムであって、前記システムは、
バックエンド・クラウド・インフラストラクチャとつながるように構成される移動式ロボット群であって、前記移動式ロボット群の移動式ロボットは、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを受信する、移動式ロボット群と、
前記移動式ロボット群と1つ以上の外部リソースと移動式ロボットと通信可能なエッジ・ネットワーク・サーバであって、前記エッジ・ネットワーク・サーバが、
1つ以上の拡張可能なロボットタスクの処理に必要な時間と、各拡張可能なロボットタスクの計算、通信負荷及びエネルギー使用量と、1つ以上の外部リソースと移動式ロボット間のデータ転送に必要なエネルギー使用量及び時間と、1つ以上の外部リソースと移動式ロボットの間で移動式ロボットの実時間の位置更新を送信するのに必要な時間と、エネルギー閾値(Ethr)と、所定の速度で移動することを保証するために、場所更新データを得るのに必要な実時間応答(Tres)とに基づいて、1つ以上の外部リソースに任せるための1つ以上の拡張可能なロボットタスクを分析するように構成され、
前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを任せるための手段であって、待機時間要求を満たすために、正確なロボット局在化を達成するために、及び未知の環境のマップを構築するために、同時局在化及びマッピング(SLAM)が分割される、手段と、
を備える、システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクは、前記移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを構築すること、前記マップを使用して前記環境を通り抜けること、及び前記マップ上に前記移動式ロボットを局在化させることを含む、システム。
【請求項5】
請求項3に記載のシステムであって、
前記システムは、前記移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを推定し、同時に前記移動式ロボットは、それ自体を前記マップ上に局在化させる、システム。
【請求項6】
請求項3に記載のシステムであって、
前記システムは、1つ以上の外部リソースにおいて、前記1つ以上の任された、拡張可能なロボットタスクの計算を実行するように構成され、この計算の実行は、
前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを、前記移動式ロボットからエッジへ、及び前記エッジから前記バックエンド・クラウド・インフラストラクチャへ送信するステップと、
1つ以上の場所更新データを、前記バックエンド・クラウド・インフラストラクチャから前記エッジまで、及び前記エッジから前記移動式ロボットまで共有するステップと、
前記外部リソースの各々から前記移動式ロボットまで再標本抽出した後、前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを再送信するステップと、
を備える、システム。
【請求項7】
移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを任せるための命令を格納するコンピュータ可読媒体であって、
前記命令は、
移動式ロボット群の移動式ロボットにおいて、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを受信するステップであって、前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクは、前記移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを構築すること、前記マップを使用して前記環境を通り抜けること、及び前記マップ上に前記移動式ロボットを局在化させる、ステップと、
前記移動式ロボットを使用することによって未知の環境の前記マップを推定するステップであって、同時に前記移動式ロボットは、それ自体を前記マップ上に局在化させる、ステップと、
1つ以上の拡張可能なロボットタスクの処理に必要な時間と、各拡張可能なロボットタスクの計算、通信負荷及びエネルギー使用量と、1つ以上の外部リソースと移動式ロボット間のデータ転送に必要なエネルギー使用量及び時間と、1つ以上の外部リソースと移動式ロボットの間で移動式ロボットの実時間の位置更新を送信するのに必要な時間と、エネルギー閾値(Ethr)と、所定の速度で移動することを保証するために、場所更新データを得るのに必要な実時間応答(Tres)とに基づいて、エッジ・ネットワーク・サーバが、1つ以上の外部リソースに任せるための1つ以上の拡張可能なロボットタスクを分析するステップと、
前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを、エッジ・ネットワーク・サーバが前記ロボットタスクの分析に基づいて、1つ以上の外部リソースに任せるステップであって、前記1つ以上の外部リソースは、バックエンド・クラウド・インフラストラクチャ及び、ネットワークのエッジを備える、ステップと、
を備える、コンピュータ可読媒体。
【請求項8】
請求項7に記載のコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能な命令は、
待機時間要求を満たすために、正確なロボット局在化を達成するために、及び前記未知の環境のマップを構築するために、ロボットの同時局在化及びマッピング(SLAM)分割するステップ、
を更に備える、コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
請求項7に記載のコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータ実行可能な命令は、
1つ以上の外部リソースにおいて、前記1つ以上の任された、拡張可能なロボットタスクの計算を実行するステップを更に備え、拡張可能なロボットタスクの計算を実行する該ステップは、
前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを、前記移動式ロボットから前記エッジへ、及び前記エッジからバックエンド・クラウド・インフラストラクチャへ送信するステップと、
1つ以上の場所更新データを、前記バックエンド・クラウド・インフラストラクチャから前記エッジまで、及び前記エッジから前記移動式ロボットまで共有するステップと、
外部リソースの各々から前記移動式ロボットまで再標本抽出した後、前記1つ以上の拡張可能なロボットタスクを再送信するステップと、
を備える、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本発明は、2016年11月28日にインドで出願された特許文献1(発明の名称:ネットワークエッジが増強されたクラウドにロボットの機能を任せるためのシステム及び方法)に対して、優先権を主張する。
【0002】
本明細書における実施形態は、一般に、移動式ロボット群の、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを任せるためのシステム及び方法に関し、とりわけ、移動式ロボット群の中の移動式ロボットに対する、計算に費用がかかる同時局在化及びマッピングのタスクを任せるための包括的な枠組を推奨することに関する。
【背景技術】
【0003】
移動式ロボットは、処理能力、記憶容量及びエネルギーの点から見ると、一般に制約されたデバイスである。クラウドロボット技術及びロボット群は、複数のロボットの同時局在化及びマッピング(SLAM)、ロボット視覚などを含む複雑なロボットタスクを実施する、移動式ロボットの処理能力を増強するために使用される2つの有力なアプローチである。クラウドロボット技術において、移動式ロボットは、集中的な計算を任せるためのリソースとして、インターネットをわたる遠隔クラウドサーバを使用する。とは言っても、クラウドロボット技術において計算を任せることは、マップ併合、協調ナビゲーションなどのような複雑なタスクをもたらした。
【0004】
クラウドロボット技術は、その現在の形態において、バックエンド・クラウド・インフラストラクチャへの連続的な接続性を仮定している。しかしながら、現実世界の状況においては、特に大災害のシナリオにおいては、そのような仮定は成り立たない。断続的なクラウド接続性を扱うために、及び待機時間に敏感な応用の要求を満たすために、移動式ロボットに対する、計算に費用がかかる同時局在化及びマッピングを任せる必要性が存在する。ところが、群を形成して、同等のロボット間で計算負荷を共有することによって、そのようなタスクを実施することは、必ずしも実行可能とは限らない。その理由は、ロボットにおけるエネルギー及び処理能力に制限があること、及びマップ併合、マップ記憶などのような複雑なタスクに対してメモリが利用できないことにある。更に、現在の設定において、決定を任せるためのモデルが必要であるが、そのモデルでは、静的に任せる策略よりも、提案された動的に任せる枠組のほうに効力があることを、結果が証明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】インド特許出願第201621040595号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、実施形態の基本的理解を提供するために、本開示の幾つかの実施形態の簡単化された概要を提示する。この概要は、実施形態を広範に概観するものではない。この概要は、実施形態の鍵となる要素/重要な要素を特定するために、又は実施形態の範囲を定めるために、意図されたものではない。この概要の唯一の目的は、以下に提示されるより詳細な説明に対する導入部として、簡単化された形で幾つかの実施形態を提示することである。
【0007】
前述のことに照らして、本明細書における実施形態は、移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上のタスクを動的に任せるシステム及び方法を提供する。
【0008】
一態様において、移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上のタスクを動的に任せるためのシステムが提供される。システムは、プロセッサと、該プロセッサに通信で結合されたメモリであって、該メモリはプロセッサによって可読である命令を含む、メモリと、複数の移動式ロボットと、分析モジュールと、任せるための手段と、を備える。システムが、移動式ロボット群の移動式ロボットにおいて、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを受信する時はいつでも、システムは、未知の環境のマップを推定し、且つ同時に移動式ロボットは、それ自体をマップ上に局所化させる。システムは、各拡張可能なロボットタスクの計算、通信負荷、及びエネルギー使用に基づいて、外部リソースに任せるための拡張可能なロボットタスクを分析する。分析モジュールは、移動式ロボットの、1つ以上の拡張可能なロボットタスクの実行時間を最小化するために、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを優先させる。ここでは、外部リソースは、移動式クラウド及び、ネットワークのエッジを備える。更に、システムは、待機時間要求を満たすために、正確なロボット局在化を達成するために、及び未知の環境のマップを構築するために、ロボットSLAMを分割している。
【0009】
別の態様において、移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上のタスクを動的に任せるための方法が提供される。該方法は、移動式ロボット群の移動式ロボットにおいて、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを受信し、そこでは1つ以上の拡張可能なロボットタスクは、移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを構築すること、マップを使用して環境を通り抜けること、及びマップ上に移動式ロボットを局在化させることを含む。その後、プロセスは、移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを推定するが、そこでは同時に移動式ロボットは、それ自体をマップ上に局在化させる。更に、プロセスは、各拡張可能なロボットタスクの計算、通信負荷、及びエネルギー使用に基づいて、1つ以上の外部リソースに任せるための、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを分析するが、そこでは分析モジュールは、移動式ロボットの、1つ以上の拡張可能なロボットタスクの実行時間を最小化するために、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを優先させる。それ故に、プロセスは、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを、1つ以上の外部リソースに任せるが、そこでは1つ以上の外部リソースは、移動式クラウド及び、ネットワークのエッジを備える。
【0010】
本明細書における任意のブロック図が、本主題の原理を具体化する例証的システムの概念図を表すことは、当業者によって正しく認識されるべきである。同様に、任意のフロチャート、流れ図、状態遷移図、疑似コードなどが様々なプロセスを表すことは、正しく認識されるであろう。ここで様々なプロセスは、コンピュータ可読媒体において実質的に表され、且つ、コンピューティングデバイス又はプロセッサによって、そのように実行されてもよい。このことは、そのようなコンピューティングデバイス又はプロセッサが明確に示されているかどうかによらない。
【0011】
本明細書における実施形態は、図面を参照することによって、次の詳細な説明から、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の実施形態による、移動式ロボット技術の枠組の中で1つ以上のタスクを動的に任せるためのシステムを例証する図である。
【
図2】本開示の実施形態による、SLAMを任せることについての実施例を例証する図である。
【
図3】本開示の実施形態による、移動式ロボット技術の枠組の中で1つ以上のタスクを動的に任せるための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書における実施形態及び、該実施形態の様々な特徴及び利点の詳細は、添付図面で例証され、且つ以下の説明で詳述される非限定的な実施形態を参照することによって、より十分に説明される。本明細書において使用される実施例は、単に次のことのために意図されている。即ち、本明細書における実施形態が実践されるかもしれない方法の理解を容易にするために、及び、更には、当業者が、本明細書における実施形態を実践することを可能とするために、意図されている。従って、実施例は、本明細書における実施形態の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0014】
図1を参照すると、移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上のタスクを動的に任せるためのシステム100が示されている。システム100は、プロセッサ102と、プロセッサ102に通信で結合されたメモリ104と、エッジ・ネットワーク・サーバ106と、移動式ロボット群108と、分析モジュール110と、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを任せるための手段112と、外部リソース114と、を備える。
【0015】
好ましい実施形態において、メモリ104は、プロセッサ102によって可読である命令を含む。
【0016】
好ましい実施形態において、ロボット技術の枠組の中で、移動式ロボット群(M1,M2,M3......Mn)108がエッジ・ネットワーク・サーバ106上で実行される。ここで移動式ロボット群(M1,M2,M3......Mn)108は、上記エッジ・ネットワーク・サーバ及びバックエンド・クラウド・インフラストラクチャの両方とつながるように構成される。移動式ロボット群の1つの移動式ロボットは、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを受信する。これら1つ以上の拡張可能なロボットタスクは、移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを構築すること、マップを使用して環境を通り抜けること、及びマップ上に移動式ロボットを局在化させることを含む。
【0017】
好ましい実施形態において、システム100は、移動式ロボットを使用することによって、未知の環境のマップを推定するように構成される。これは、目印としてよく知られた特徴を未知の環境から抽出することによって、及び、移動式ロボットが動き回る場合は、再観察することによって、達成される。移動式ロボットが移動する場合、移動式ロボットの新しい位置に関連する不確実さを、走行距離計を使用して、更新する必要がある。
【0018】
好ましい実施形態において、エッジ・ネットワーク・サーバ106上で実行される分析モジュール110は、各拡張可能なロボットタスクの計算、通信負荷、及びエネルギー使用に基づいて、1つ以上の外部リソースに任せるための、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを分析するように構成される。更に、分析モジュールは、移動式ロボットの1つ以上の拡張可能なロボットタスクの実行時間を最小化するために、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを優先させる。タスク処理時間及び、1つ以上のリソースと移動式ロボットとの間でのデータ転送時間は、各拡張可能なロボットタスクに対して同じであるべき、ということは正しく認識されるであろう。更に、同じデータセットに対して動作している、同じ範疇の外部リソースにおいて実行している全てのタスクに対して、処理時間は同じであると仮定されている。この開示では、外部リソースは、移動式クラウド及び、ネットワークのエッジを備える。
【0019】
一実施例である
図2は、決定を任せるためのモデルを例証する。ここでPr、Pe、Pcは、それぞれ、ロボット、エッジ、及びクラウドにおけるパーティクルのスキャン処理時間を表す。更に、Oreは、観察データ及び走行距離計データを、ロボットからエッジへ、及び更に任せるために、エッジからクラウドへ、送信するための時間を表す。Lreは、場所更新データを、エッジからロボットへ送信するための時間を意味し、且つ、Lecは、場所更新データを、クラウドからエッジへ送信するための時間を表す。
エッジにおける各パーティクルのスキャン処理時間については、
Te=Pe+Ore+Ler
によって表され、
そしてクラウドにおける各パーティクルのスキャン処理時間については、
Tc=Pc+Ore+Oec+Lec+Lce
によって表される。
【0020】
各パーティクルについて、Erは、ロボットにおける処理エネルギーを表し、且つ他のコストは含まれないものとする。Eoは、観察データ及び走行距離計データを転送するための、及びロボットから場所更新データを受信するための、エネルギー間接費用を表す。Ce及びCcは、それぞれ、エッジ及びクラウドにおける、1つのパーティクルあたりのスキャン処理コストを表す。
【0021】
各パーティクルについて、エッジにおける処理コストとデータ転送エネルギー間接費用との重み付けされた合計は、We=Eo+Ceによって表され、且つクラウドにおける処理コストとデータ転送エネルギーとの重み付けされた合計は、Wc=Eo+Ccによって表される。正式には、エッジサーバは、値x1、x2、x3を得るために、セクション4.1で与えられた最初のSLAMアルゴリズム作動シナリオの下で以下に示される、次の整数線形プログラムを解く。
T=min((x1*Er+x2*We+x3*Wc)
+p*max(x1*Pr,x2*Te,x3*Tc)) (1)
ただし、次の式を満足する。
x1+x2+x3≦X (2)
x1*w≦Ethr (3)
x1*Er≦Ethr (4)
x1*Eo≦Ethr (5)
max(x1*Pr,x2*Te,x3Tc)≦Tres (6)
及び、
xi≧0i=1,2,....X(整数) (7)
【0022】
目標関数は、パーティクルを処理するための負荷及び時間に対するコストの重み付け合計であり、ここでpは重みである。第1の制約は、リソースにおいて割り当てられたパーティクルの合計が、そのSLAMアルゴリズムを作動させるのに使用されるパーティクルの合計数よりも小さくなければならない、ということを規定する。第2の制約は、ロボットに割り当てられ得るパーティクルの最大数は、エネルギー閾値(Ethr)によって束縛される、ということを規定する。ここでwは、ロボットにおいてパーティクルを処理するために消費されるエネルギーに関連する因子である。第3及び第4の制約は、第2の制約と本質的に同じであるが、しかしロボットによるパーティクル処理及びデータ転送のための、明確なエネルギー使用を考慮している。第5の制約は、ロボットが、ある速度で移動することを保証するために、場所更新データを得るのに必要な実時間応答(Tres)に関する。
【0023】
好ましい実施形態において、システム100は、1つ以上の拡張可能なロボットタスク112を任せるための手段を有する。該システムは、移動式ロボットと1つ以上の外部リソース114との間で、同時局在化及びマッピング(SLAM)の実行を分割している。更に、SLAMを分割するのは、待機時間要求を満たすため、正確なロボット局在化を達成するため、及び未知の環境のマップを構築するためである。そこではSLAMは、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを任せながら、待機時間分布を推定する待機時間監視の枠組である。
【0024】
図3を参照すると、移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上のタスクを動的に任せるための方法200が示される。
【0025】
ステップ202では、ロボットの1つが、移動式ロボット群の移動式ロボットにおいて、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを受信し、そこでは1つ以上の拡張可能なロボットタスクは、移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを構築すること、マップを使用して環境を通り抜けること、及びマップ上で移動式ロボットを局在化させることを含む。
【0026】
ステップ204では、プロセスは、負荷共有のための、移動式ロボットによる拡張可能なロボットタスクについて、エッジサーバに通知する。
【0027】
ステップ206では、プロセスは、各拡張可能なロボットタスクの計算、通信負荷、及びエネルギー使用に基づいて、1つ以上の外部リソースに任せるための、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを、エッジ・ネットワーク・サーバにおいて分析し、そこでは分析モジュールは、移動式ロボットの1つ以上の拡張可能なロボットタスクの実行時間を最小化するために、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを優先させる。
【0028】
ステップ208では、エッジ・ネットワーク・サーバにおけるプロセスは、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを分割して、それらを1つ以上の外部リソースに任せるが、そこでは1つ以上の外部リソースは、移動式クラウド及び、ネットワークのエッジを備える。
【0029】
ステップ210では、ロボットにおけるプロセスは、1つ以上の外部リソースにおいて、任せられた1つ以上の拡張可能なロボットタスクの計算を任せる。そのプロセスは、1つ以上の拡張可能なロボットタスクの分割したものを、移動式ロボットからエッジへ、及びエッジからバックエンド・クラウド・インフラストラクチャへ送信し、且つ、タスクが完全に完了するまで、結果を受信する。
【0030】
最後にステップ212では、プロセスは、任せられたタスクが終了するまで、外部リソース及びエッジサーバによって、移動式ロボットに対する結果を更新することを備える。
【0031】
記述された事項は、当業者が実施形態を作成すると共に使用することを可能にするように、本明細書における主題を説明する。主題の実施形態の範囲は、請求項によって定義され、且つ、当業者に対して生じる他の変更を含むかもしれないそのような他の変更は、請求項の範囲の中にあることが意図されているが、これは、もしそのような他の変更が、請求項の文字通りの言い回しと異なっていない、同様な要素を有する場合に、又は、もしそのような他の変更が、請求項の文字通りの言い回しとは異なる、実質のない違いを備えた等価な要素を含む場合に、当てはまることである。
【0032】
移動式ロボット技術の枠組の中で、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを任せるための、システム及び方法が提供される。システムは、移動式ロボット群を備え、それらの移動式ロボット群は、バックエンド・クラウド・インフラストラクチャにつながるような方法で構成される。システムは、移動式ロボット群の移動式ロボットにおいて、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを受信する。これらの拡張可能なロボットタスクは、移動式ロボットを使用することによって未知の環境のマップを構築すること、マップを使用して環境を通り抜けること、及びマップ上に移動式ロボットを局在化させることを含む。それ故に、システムは、未知の環境のマップを推定するために、移動式ロボットを使用し、且つ同時にシステムは、マップ上に移動式ロボットを局在化させる。システムの分析モジュールは、各拡張可能なロボットタスクの計算、通信負荷、及びエネルギー使用に基づいて、1つ以上の外部リソースに任せるための、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを分析する。分析モジュールは、移動式ロボットの1つ以上の拡張可能なロボットタスクの実行時間を最小化するために、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを優先させる。更に、システムは、エッジネットワーク及び移動式クラウドサーバの設定において計算を任せた状態で、SLAMを分割するように構成される。そしてシステムは、1つ以上の拡張可能なロボットタスクを外部リソースに任せる。
【0033】
本明細書における本開示の実施形態は、移動式ロボットに対する、計算に費用がかかる同時局在化及びマッピングのタスクを、クラウドロボット技術のプラットフォーム適合性に任せるという未解決の問題に対処し、このプラットフォーム適合性においては、外部ネットワークへの接続性は断続的であり、且つ応用の待機時間要求は低い。
【0034】
しかしながら、保護の範囲が、自身の中にメッセージを有するコンピュータ可読手段に加えて、そのようなプログラムまで拡大されることは理解されるべきである。即ち、プログラムが、サーバ上で、若しくは移動式デバイス上で、又は任意のプログラム可能なデバイス上で作動する場合、そのようなコンピュータ可読な記憶手段は、本方法の1つ以上のステップの履行のためのプログラムコード手段を含む。ハードウェアデバイスは、プログラムすることが可能な任意の種類のデバイスであり得るが、ここで任意の種類のデバイスとは、例えば、サーバ若しくはパーソナルコンピュータなどのような任意の種類のコンピュータ、又はこれらの組み合わせを含む。デバイスはまた、例えば、ハードウェア手段であり得る手段を含み、ここでハードウェア手段とは、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、若しくは、例えばASIC及びFPGAなどのハードウェア手段とソフトウェア手段との組み合わせ、又は、少なくとも1つのマイクロプロセッサ及び、自身の中に配置されたソフトウェアモジュールを備えた少なくとも1つのメモリのようなものである。従って、これらの手段は、ハードウェア手段とソフトウェア手段との両方を含むことが可能である。本明細書で説明された方法の実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアにおいて履行することが可能であろう。デバイスはまた、ソフトウェア手段を含んでもよい。
代わりに、実施形態は、例えば、複数のCPUを使用して、異なるハードウェアデバイス上で履行してもよい。
【0035】
本明細における実施形態は、ハードウェア要素及びソフトウェア要素を備えることが可能である。ソフトウェアにおいて履行される実施形態は、以下に限定されるものではないが、ファームウェア、常駐のソフトウェア、マイクロコードなどを含む。本明細書で説明される様々なモデルによって実施される機能は、他のモジュール、又は他のモジュールの組み合わせによって履行してもよい。この説明の目的のために、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ可読媒体は、任意の装置であり得るが、ここで任意の装置は、システム、装置、又はデバイスの命令実行による使用のために、又は、システム、装置、又はデバイスの命令実行に関連して、プログラムを備える、格納する、伝達する、伝搬させる、又は輸送することが可能である。
【0036】
媒体は、電子的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線的、又は半導体的なシステム(又は、装置若しくはデバイス)、又は伝搬媒体であり得る。コンピュータ可読媒体の例として、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、剛性磁気ディスク、及び光ディスクが含まれる。光ディスクの現在例として、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク読み出し/書き込みメモリ(CD−R/W)及びDVDが含まれる。
【0037】
プログラムコードを格納する及び/又は実行するのに適したデータ処理システムは、システムバスを通してメモリ要素に直接又は間接に結合された、少なくとも1つのプロセッサを含むであろう。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行の間に使用されるローカルメモリ、大容量記憶装置、キャッシュメモリを含むことが可能である。ここでキャッシュメモリは、実行の間にコードが大容量記憶装置から引き出されなければならない回数を減らすために、少なくとも幾つかのプログラムコードの一時的記憶を提供する。
【0038】
入力/出力(I/O)デバイス(以下に限定されるものではないが、キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなど含む)は、直接に又は、介在するI/Oコントローラを通すかのいずれかによって、システムに結合することが可能である。ネットワークアダプタもまた、システムに結合してもよく、それによって、データ処理システムは、介在するプライベートネットワーク又はパブリックネットワークを通して、他のデータ処理システム又は、遠隔プリンタ若しくは記憶装置に結合させることが可能となる。モデム、ケーブルモデム及びイーサネットカードは、現在利用可能な型のネットワークアダプタの中の、ほんの幾つかのものである。
【0039】
実施形態を実践するための代表的ハードウェア環境は、本明細書における実施形態に従う情報取り扱いシステム/コンピュータシステムのハードウェア構成を含んでもよい。本明細書におけるシステムは、少なくとも1つのプロセッサ又は中央処理ユニット(CPU)を備える。CPUは、システムバスを介して、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、及び入力/出力(I/O)アダプタのような様々なデバイスと相互に接続される。I/Oアダプタは、ディスクユニット及びテープドライブ、又はシステムによって可読である他のプログラム記憶デバイスのような、周辺デバイスにつながることが可能である。システムは、プログラム記憶デバイス上の創意に富んだ命令を読み出すと共に、これらの命令に従い、それによって、本明細書における実施形態の方法論を実行することが可能である。
【0040】
システムは、ユーザインタフェースアダプタを更に含み、このユーザインタフェースアダプタは、キーボード、マウス、スピーカ、マイクロフォン、及び/又は、ユーザ入力を集めるためのバスに対するタッチスクリーンデバイス(図示せず)のような他のユーザインタフェースにつながる。加えて、通信アダプタは、バスをデータ処理ネットワークに接続し、且つディスプレイアダプタは、バスをディスプレイデバイスに接続する。ここでディスプレイデバイスは、例えば、モニタ、プリンタ、又は送信器のような出力デバイスとして具現化してもよい。
【0041】
これまでの説明は、様々な実施形態を参照しながら、提示されてきた。当業者、及びこの応用が関係する技術を有する人であれば、説明された構造及び動作の方法における変更及び変化が、本発明の原理、精神及び範囲から有意に外れることなく、実践可能であることを正しく認識するであろう。