特許第6827940号(P6827940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェの特許一覧

<>
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000002
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000003
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000004
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000005
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000006
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000007
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000008
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000009
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000010
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000011
  • 特許6827940-ガイド付き構造化レポート作成 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827940
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】ガイド付き構造化レポート作成
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20210128BHJP
   G16H 15/00 20180101ALI20210128BHJP
   G16H 30/20 20180101ALI20210128BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   G16H10/60
   G16H15/00
   G16H30/20
   A61B5/00 G
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-547140(P2017-547140)
(86)(22)【出願日】2016年3月9日
(65)【公表番号】特表2018-509711(P2018-509711A)
(43)【公表日】2018年4月5日
(86)【国際出願番号】IB2016051316
(87)【国際公開番号】WO2016147079
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年2月20日
(31)【優先権主張番号】62/135,230
(32)【優先日】2015年3月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】セブンスター メルレイン
(72)【発明者】
【氏名】フォースバーグ トマス アンドレ
【審査官】 大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−053633(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0004505(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0024749(US,A1)
【文献】 特表2013−511762(JP,A)
【文献】 特表2004−535002(JP,A)
【文献】 特開2009−070201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00−80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床医のレポート作成をガイドするためのガイド付き構造化レポート作成装置であって、前記装置は、
生理学的情報を表示するよう構成された表示装置、及び臨床医から1つ以上の入力を受信するよう構成された入力部、を含むワークステーションと、
前記ワークステーションに接続された1つ以上のコンピュータプロセッサと、
を有し、前記1つ以上のコンピュータプロセッサは、
生理学的情報を受信し、
前記表示装置において一次レポートの表示を生成し、
前記一次レポートに含まれている所見コードに基づいて、前記一次レポートに潜在的に含めるための提案される所見コードを生成及び表示し、
前記入力部から前記提案される所見コードの1つ以上の臨床医の選択を受信し、
前記臨床医により選択された所見コード及び新たに受信される生理学的情報の少なくとも一方に基づいて前記表示装置において表示された所見コードを更新する
よう構成された、装置。
【請求項2】
所見コードを保存するよう構成された少なくとも1つのメモリを更に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記表示は、
構造化レポート作成パネルと、
所見コード提案パネルと、
を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記所見コード提案パネルは、永続的な所見コード提案パネル及び一時的な所見コード提案パネルの一方を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記所見コード提案パネルは、
1つ以上の提案される所見コードと、
前記臨床医が前記提案される所見コードの1つ以上を選択するための前記1つ以上の提案される所見コードに対応する1つ以上の採用ボタンと、
を含む、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上の提案される所見コードは、コード要素とテキスト要素とを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記1つ以上の提案される所見コードは、二値ステートメント所見コード、複数選択所見コード、及び測定値所見コードの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記構造化レポート作成パネルは、
1つ以上の解剖学的サブメニューと、
1つ以上の事象的サブメニューと、
1つ以上のドロップダウンメニューと、
1つ以上の提案される所見生成ボタンと、
1つ以上の採用される所見コードと、
を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサは、生理学的画像情報、患者記録、患者の所見コード、患者の構造化レポート、及び保存された所見コードパターンの少なくとも1つを含む生理学的情報を受信するよう構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記一次レポート及び前記一次レポートに含めるよう既に選択された所見コードにより対処された解剖学的領域に基づいて、前記提案される所見コードを生成するよう構成された、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記表示は更に、画像パネル及び文章レポートの少なくとも一方を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記一次レポートは、1つ以上の解剖学的要約を含む構造化レポートであり、
前記解剖学的要約は、構造化レポート作成パネルから選択された所見コードのテキスト要素を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
臨床医のレポート作成をガイドするための方法であって、前記方法は、
ワークステーションにおいて生理学的情報を受信するステップと、
1つ以上のプロセッサを用いて表示装置において一次レポートの表示を生成するステップと、
1つ以上のプロセッサを用いて、前記一次レポートに含まれている所見コードに基づいて、前記臨床医が選択するための1つ以上の提案される所見コードを生成及び表示するステップと、
ユーザ入力部から前記提案される所見コードの1つ以上の臨床医の選択を受信し、前記選択された所見コードを前記一次レポートに組み込むステップと、
前記臨床医により選択された所見コード及び新たに受信される生理学的情報の1つ以上に基づいて、前記表示された所見コードを更新するステップと、
を有する方法。
【請求項14】
前記提案される所見コードを生成するステップは、コード要素及びテキスト要素を生成するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上の提案される所見コードは、規則駆動型の実装及びデータ駆動型の実装の少なくとも一方により生成される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者診断、及び改善された構造化レポートを提供するレポートシステムに関する。特に心臓血管の情報学のような、臨床情報学に関連する用途が見出される。しかしながら、その他の使用状況に関する用途も見出され、上述した用途に必ずしも限定されるものではないことは、理解されるべきである。
【背景技術】
【0002】
現在、臨床医がレポート要素を選択しレポートを選択することを可能とする、Philips社の多モダリティツールXceleraのようなツールが存在する。当該製品の特徴は、所定の所見コード(FC)についてレポートすることを可能とする点である。各所見コードは、コード要素とテキスト要素とを含む。しかしながら、当該ツールは、1対1の所見コードの選択を必要とし、次いで、最終的なレポートを得る前に、各臨床医が複数のメニュー及びサブメニューをナビゲートすることを必要とする。一般に、心エコー図のような患者画像データを含む生理学的情報が生成されると、臨床医はこれら画像を閲覧し、口述を実行し、レポートを生成する。しかしながら、現在のレポート作成ツールは、所見コードの1対1の選択を必要とするため、当該工程は時間を浪費するものであり、対処されない又は見過ごされたレポートの事象のような、レポートの誤りに帰着し得る。このことは、いずれの構造化レポート作成システムも、平均して1000個の異なる所見コードをサポートしており、その一方で最終的なレポートは、約30個の所見コードしか含まないことによる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
斯くして、現在の技術においては、不完全で退屈で時間を浪費するレポート作成に帰着する深刻な問題が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、レポートの対処されていない事象に対処するよう臨床医をガイドするための、ガイド付き構造化レポート作成装置が提供される。前記装置は、生理学的情報を表示するよう構成された表示装置、及び臨床医から1つ以上の入力を受信するよう構成された入力部、を含むワークステーションと、前記ワークステーションに接続された1つ以上のコンピュータプロセッサと、を有し、前記1つ以上のコンピュータプロセッサは、生理学的情報を受信し、前記表示装置において一次レポートの表示を生成し、前記一次レポートに含めるため前記臨床医により選択された前記入力部からの所見コードを受信及び表示し、前記一次レポートに潜在的に含めるための提案される所見コードを生成及び表示し、前記臨床医により選択された所見コード及び前記生理学的情報の少なくとも一方に基づいて前記表示装置において表示された所見コードを更新するよう構成される。
【0005】
他の態様によれば、患者レポートの対処されていない事象に対処するよう臨床医をガイドするための方法が提供される。前記方法は、ワークステーションにおいて生理学的情報を受信するステップと、1つ以上のプロセッサを用いて表示装置において一次レポートの表示を生成するステップと、1つ以上のプロセッサを用いて前記臨床医が選択するための1つ以上の提案される所見コードを生成及び表示するステップと、ユーザ入力部から前記提案される所見コードの1つ以上の臨床医の選択を受信し、前記選択された所見コードを前記一次レポートに組み込むステップと、前記臨床医により選択された所見コード及び生理学的情報の1つ以上に基づいて、前記表示された所見コードを更新するステップと、を有する。
【0006】
これら態様の利点のひとつは、既存の構造化レポート作成システムと互換性がある点である。
【0007】
他の利点は、患者レポート作成の効果及び精度を改善する点にある。
【0008】
他の利点は、レポート作成ワークステーションに改善されたユーザインタフェースを備える点にある。
【0009】
他の利点は、より正確で迅速なレポート作成を容易化するレポート作成ワークステーションを提供する点にある。
【0010】
他の利点は、患者レポート作成の完全さを向上させ、患者レポートにおいて間隙がないことを確実にする点にある。
【0011】
他の利点は、臨床ケアの結果及びケアの品質を改善させる点にある。
【0012】
他の利点は、レポートの誤り及び見落としを低減する点にある。
【0013】
他の利点は、所見コードの表現を容易化し、無数のメニュー及びサブメニューを探しナビゲートする必要性を最小化する点にある。
【0014】
他の利点は、他患者のリスク評価を容易化し、レポートの対処されていない事象が対処されることを確実にするため、生理学的パラメータ測定を推薦することが可能な、ガイド付き構造化レポート作成装置を提供する点にある。
【0015】
本発明の更なる利点は、以下の詳細な説明を読み理解することによって、当業者に理解されるであろう。これら利点の1つ、2つ又はそれ以上が特定の実施例により達成され得ることは、理解されるべきである。
【0016】
本発明は、種々の構成要素及び構成要素の配置、並びに種々のステップ及びステップの配置の形をとり得る。図面は単に好適な実施例を説明する目的のためのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施例によるガイド付き構造化レポート作成装置を図式的に示す。
図2】一実施例によるガイド付き構造化レポート作成装置のディスプレイを示す。
図3】他の実施例によるガイド付き構造化レポート作成装置のディスプレイを示す。
図4】ガイド付き構造化レポート作成装置の表示装置における表示を図式的に示す。
図5】一実施例による構造化レポート作成表示枠を示す。
図6】一実施例による提案される所見コード表示枠を示す。
図7】他の実施例による提案される所見コード表示枠を示す。
図8】一実施例による文章レポートを示す。
図9】ディスプレイの要素として文章レポートを伴うガイド付き構造化レポート作成装置のディスプレイを示す。
図10】ディスプレイの要素として文章レポートを伴うガイド付き構造化レポート作成装置の表示装置上の表示を図式的に示す。
図11】ガイド付き構造化レポート作成装置を用いることによるガイド付き生理学レポートのための方法フロー図又は手段図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、患者の生理学的情報のガイド付きの構造化レポート作成のための装置及び方法に向けたものであり、種々の実施例において、レポートの誤りを低減すること、患者レポートの潜在的に見逃される側面に対処するよう臨床医をガイドすること、及びレポート作成ワークステーションのユーザインタフェースの効率を改善すること、といった種々の利点を提供する。
【0019】
本開示は更に、考慮されるべき及び患者レポートに採用されるべき生理学的パラメータを生成及び提案する装置及び方法に向けたものである。
【0020】
本開示は更に、開示された装置及び方法のインタフェースをナビゲートする際に臨床医及び該装置及び方法のその他のユーザにかかる負担を低減する、考慮されるべき及び患者レポートに採用されるべき提案される生理学的パラメータを組み込む及び表示する装置及び方法に向けたものである。
【0021】
図1は、一実施例によるガイド付き構造化レポート作成装置10を図式的に示す。本実施例によれば、装置10は、ワークステーション16と、ワークステーション16に接続された1つ以上のプロセッサ18と、を含む。ワークステーション16は、生理学的情報を表示するよう構成された表示装置14と、1つ以上の入力を受信するよう構成された少なくとも1つのユーザ入力装置22(例えばキーボード、及び/又はマウス又はその他のポインティングデバイス、及び/又はディスプレイ14上のタッチオーバーレイ等)と、を含む。ワークステーション16に接続された1つ以上のプロセッサ18は、少なくとも、生理学的情報を受信し、入力部22から1つ以上の入力を受信し、表示装置14に表示される表示12Aを生成し、1つ以上の提案される所見コード48を生成し、入力装置22からの入力に基づき、又は更なる生理学的情報の受信に応答して、表示装置14における表示12Aを更新するよう構成される。1つ以上のプロセッサ18は、ユーザインタフェース要素14、22とは別個のもの(例えばウェブベースのサーバ又はクラウドコンピューティングシステム)であっても良く、及び/又は、一体的に内蔵されたもの(例えばプロセッサが内蔵されたノートブック型又はデスクトップ型コンピュータ)であっても良い。更に、幾つかの実施例においては、装置10のワークステーション16は、生理学的情報を含む患者情報が保存された少なくとも1つのメモリシステム20に接続されていても良い。メモリ20はまた、1つ以上の提案される所見コード及び新たに生成された患者レポートを保存しても良い。幾つかの実施例においては、メモリ20は臨床情報システムを含む。
【0022】
図2は、図1の表示12Aの拡大図を示す。図2に示されるように、装置16の1つ以上のプロセッサ18は、少なくとも構造化レポート作成表示枠26と所見コード提案表示枠28Aとを含む表示12Aを生成するよう構成される。表示12Aはまた、心エコー図画像のような付加的な患者の生理学的情報が閲覧されることができる、画像表示枠24(又はより一般的には患者データ表示又は描画又は概要表示枠)を含む。特定の実施例においては、所見コード提案表示枠28Aは、永続的なウィンドウであっても良い。換言すれば、特定の実施例においては、所見コード提案表示枠28Aは常に、装置16における表示12Aの一要素であっても良い。
【0023】
代替の実施例においては、図3に示されるように、装置16の1つ以上のプロセッサ18は、少なくとも1つの構造化レポート作成表示枠26及び所見コード提案表示枠28Bを含む表示12Bを表示装置14上に生成するよう構成され、ここで所見コード提案表示枠28Bは、永続的なウィンドウではない。換言すれば、特定の実施例においては、所見コード提案表示枠28Bは、一時的なウィンドウであっても良く、1つ以上のユーザ入力装置22を介したユーザからの何らかの入力を受信した後にのみ、表示12Bにおいて生成されても良い。
【0024】
図4に示されるように、装置16の1つ以上のプロセッサ18は、装置10の表示装置14において表示12Aを生成するよう構成される。特定の実施例においては、表示12Aは図2及び3に示されるような表示12Aであっても良く、他の実施例においては、表示12Aは画像表示枠24を含まなくても良い。
【0025】
図5は、一実施例による構造化レポート作成表示枠26を示す。特定の実施例においては、レポート作成表示枠26は、解剖学的なサブメニュー32と、事象的なサブメニュー36と、を含んでも良い。解剖学的なサブメニュー32及び事象的なサブメニュー36は、本発明の特定の用途に応じた種々の選択肢を含んでも良い。心臓血管の用途のような、特定の実施例においては、解剖学的なサブメニュー32は、「LV(左心室)」、「RV(右心室)」、「心房」、「MV」、「TV」、「AV」、「PV」、「大血管」及び「PE」についての選択肢を含んでも良い。心臓血管の用途のような、特定の実施例においては、事象的なサブメニュー36は、「サイズ/形状」、「血栓/VSD」、「厚さ」、「機能」及び「壁運動」を含んでも良い。特定の実施例においては、事象的なサブメニュー36の選択肢は、異なる解剖学的なサブメニュー32の選択肢に対して異なっていても良く、従ってどの解剖学的なサブメニュー32の選択肢が現在表示されているかに応じて変化しても良い。
【0026】
特定の実施例においては、図5に示されるように、レポート作成表示枠26はまた、1つ以上の所見コード生成ボタン34、1つ以上のドロップダウンメニュー、及び所見コード42を検索する選択肢を含んでも良い。特定の実施例においては、図5に示されるように、レポート作成表示枠26は好適には更に、1つ以上の採用所見コード40を含む。採用所見コード40は、文章レポート56(例えば図8)を生成するために用いられる。
【0027】
図6は、一実施例によるドロップダウンメニューの提案所見コード表示枠又は提案表示枠28Bを示す。特定の実施例においては、提案所見コード表示枠又は提案表示枠28Bは、1つ以上の提案される所見コード48、及び該1つ以上の提案される所見コード48に対応する1つ以上の採用ボタン52を含んでも良い。特定の実施例においては、提案表示枠28Bは、一時的な提案表示枠28Bであり、入力部22からの入力を受信した後にのみ、表示12Bにおいて1つ以上のプロセッサ18により生成される。特定の実施例においては、提案表示枠28Bは、終了又は閉じるボタン54を持っても良く、このとき、入力部22からの入力を受信すると、1つ以上のプロセッサ18は、提案28Bを表示から消去する。換言すれば、特定の実施例においては、提案表示枠28Bが常に可視であり表示12Bに表示されていない場合であっても、表示12Bは提案表示枠28Bを含む。
【0028】
特定の実施例においては、提案される所見コード48及び採用ボタン44は、提案表示枠28Bのサブウィンドウ50に含まれても良い。更に、特定の実施例においては、提案表示枠28Bは、スクロールバー46を含んでも良く、このとき、1つ以上のプロセッサ18は、入力部22からの入力を受信すると、提案表示枠28B内の提案される所見コード48のリストをスクロールさせるよう構成される。
【0029】
特定の実施例においては、各所見コード40及び提案される所見コード48は、テキスト要素48A及びコード要素48Bを含んでも良い。所見コード40、48は、幾つかの異なるタイプの所見コードのうちの少なくとも1つであっても良い。特定の実施例においては、所見コード40、48は、真又は偽である二値ステートメント所見コード(例えば「LVが重度に拡張している」)、臨床医又はその他のユーザが幾つかの所定の選択肢の1つを選択することができる多値選択ステートメント所見コード(例えば「僧帽弁領域圧半減時間は」に対して「<100m秒」、「100m秒と180m秒との間」及び「180m秒より長い」の選択肢を持つもの)、及び特定の解剖学的事象に関する評価ステートメントを完了させるために手動で生成される測定値が用いられる、測定値ステートメント所見コードの、少なくとも1つであっても良い。
【0030】
図6に示されるように、装置10の1つ以上のプロセッサ18は、種々の組織及び組織の事象について1つ以上の提案される所見コード48を生成及び表示するよう構成されても良い。換言すれば、幾つかの実施例においては、提案表示枠28Bは、現在表示されている解剖学的なサブメニューに関連する及び関連しない提案される所見コード48を含んでも良い。
【0031】
以下、提案される所見コード48に適した、2つの実施例が説明される。第1の実施例は、異なる患者についての構造化レポートのデータベースからのもののような、大量の生理学的情報が利用可能でない場合の臨床設定において、最も適したものである。第2の実施例は、異なる患者についての構造化レポートのデータベースからのもののような、大量の生理学的情報が利用可能である場合の臨床設定において、最も適したものである。しかしながら、これらの実施例は、斯かる状況に限定されるものではなく、多くの異なる臨床環境において実行され得るものである。更に、これら2つの実施例は、同時に実施されても良い。
【0032】
更に、本開示によれば、これら実施例のいずれか又は両方が、(1)現在のレポート26に含まれる所見コード40により示唆される所見コード提案48を提供すること、及び/又は(2)現在のレポート26内に含まれる所見コード40に対し最も有益な所見コード提案48を提供すること、が可能である。斯くして、これら実施例のいずれか又は両方が、レポート26内に既に含まれる具体的な所見コード40に対し、全体的な印象のステートメント(即ち提案される所見コード48)の採用を可能とし得、更なる完了を必要とする組織及び事象36の検出を可能とし得る(例えば、臨床医又はその他の装置10のユーザが、左心室組織32の全ての事象36を完全に規定している場合、該実施例は、対処されていない組織32及び事象36における採用のための所見コード48を提案する)。
【0033】
以上の表示は、現在の検査に含まれるすべての所見コードを追跡するエンジンの形をとる現在レポート内容デーモンの組み合わせにより生成される。当該デーモンは、レポートの内容が変化するたびに更新する。所見コードエンジンは、採用のための1つ以上の所見コードを提案する。ユーザインタフェースエンジンは、以上に議論された表示において示されるように、1つ以上の提案される所見コードをユーザに提示する。現在レポートデーモンは、標準的なAPI(application programming interface)方法を用いて実装されても良い。所見コード提案エンジンは、種々の態様で備えられても良い。一実施例においては、所見コード提案は、臨床医が現在準備している現在の(予備的)レポートに含まれる所見コードに基づいて選択される。他の実施例においては、現在の(予備的)レポートに含まれる所見コードに最も重要な関連を持つ所見コードが提案される。
【0034】
第1の実施例は、所与の具体的な所見に対して全体の印象ステートメントの挿入を可能とする。第2の実施例は、どの事象が更なる注視を必要とするかを検出する。例えば、ユーザは、解析されている器官に関する全ての値を完全に規定している場合、該システムは、対処されていない領域における所見コードの採用の提案を自動的に開始する。例えば、左心室に関する全ての値が完全に規定されている場合、該システムは、右心室のような、対処されていない別の領域における所見コードの採用の提案を開始する。
【0035】
これら2つの実施例は、調和して用いられる場合、新たな所見コードが入力される必要があるサブウィンドウを位置決め及びナビゲートする必要性を最小化するように、構造化レポート作成処理の全体を動作させることができる。第2のタイプの機能は、臨床医が検査の解釈の全ての事象をカバーすることを支援するため、最も情報的な値を担持する所見コードを探し、斯かるコードを提案する。第1のタイプの機能は、既に入力された所見コードにより実装される所見コードを探す。これら2つの機能の組み合わせは、レポートにおける間隙を回避することを容易化する。
【0036】
一実施例においては、所見コードは、提案を作成するために背景の規則のセットが用いられる、規則駆動型の実装を用いて提案される。他の実施例においては、所見コード提案は、データ駆動型である。提案は、以前のレポートのデータベースから導出された統計又はその他のタイプの値に基づいて為される。
【0037】
第1の実施例は、ガイド付き構造化レポート作成装置10における表示のための所見コード48の提案の規則駆動型の実装に関する。提案される所見コード48の生成は、提案を作成するために用いられる背景の規則のセットを用いることにより実行される。本実施例によれば、規則のセットが、既存の所見コード間の相関をモデル化する。例えば、規則のセットは、以下のように要約され得る:
「所見コード[A,A,…,A]の{少なくとも1つ,全て}が現在のレポートRにある場合、所見コード[S,S,…,S]の{少なくとも1つ,全て}を現在のレポートRにおける採用のために提案する」
【0038】
第1の実施例によれば、以上に説明されたような提案される所見コード48を生成するための背景の規則のセットは、所見コードのいずれかの対となった組み合わせを含む、利用可能な所見コードについての数量値を含み、既存の所見コード40が提案されるべき他の所見コード48を示唆するか否かを評価決定する。これらの数量値は、既知でなくても良いが、過去の患者データを遡って解析することによって推定されても良く、手動で微調整されても良い。
【0039】
第2の実施例は、ガイド付き構造化レポート作成装置10における表示及び採用のための所見コード48の提案のデータ駆動型の実装に関する。提案される所見コード48の生成は、過去の生理学情報を検査して所見コード40の最も類似する以前のセット及び次に入力される見込みが高い所見コードを決定することにより、実行されても良い。当該処理は、高い情報値の所見コードが提案されレポートにおいて用いられるように、潜在的な所見コードの情報値を決定することにより、促進される。幾つかの実施例においては、1つ以上のプロセッサ18が、過去の心エコー図レポート(例えば過去の患者のために準備された心エコー図レポート)のデータベースのような、メモリシステム20の内容を検査することにより、提案される所見コード48を生成し、1つ以上の所見コード40の他のセットが生じるとすると常に生じる(又は例えば何らかの規定された閾値よりも頻繁に生じる)所見コード48を提案するよう構成される。一手法においては、各所見コードは、離散的で有限なドメインから値をとり得るランダムな変数としてみなされ、二値ステートメント所見コードは、ドメイン{真,偽}から値をとり、複数選択所見コードは、選択肢のセットから値をとり、測定値所見コードは、ドメイン{第一四分位数,中央値,第三四分位数}から値をとる。
【0040】
斯くして、第2の実施例によれば、現在のレポートが所見コード[A,A,…,A]40を含む場合、1つ以上のプロセッサ18は、閾値θについて、条件付き確率
P(B|A,…,A)≧θ
となる提案される所見コード[B]48を生成する。関係の重要さを確実にするため、特定の実施例は、所見コードのセット[A,A,…,A]40及び[B]を含むレポートの数が、特定の固定された又は統計学的に決定された閾値を超えることを課しても良い。
【0041】
第2の実施例の特定の実施例においては、1つ以上のプロセッサ18は、既存の所見コード[A,A,…,A]40に対し、所見コード[B]の情報値又は条件付きエントロピーに基づいて、提案される所見コード48を生成しても良い。例えば、第2の実施例の特定の実施例においては、1つ以上のプロセッサ18は、閾値χについて、
H(B|A,…,A)≦χ
に従って、現在の所見コード40に基づいて低い情報値を持つ所見コードを除外することにより、提案される所見コード48を生成しても良く、ここでHは、採用される所見コードのセット[A,A,…,A]40に対し、所見コードBの条件付きエントロピーである。Bの情報値がχより小さい場合には、所見コードBは、それ自体が殆ど情報を担持せず、及び/又は既存の所見コード[A,A,…,A]40の所与の値を担持する。他の実施例においては、1つ以上のプロセッサ18は、閾値λについて、
H(B|A,…,A)≦λ
に従って、所見コードがレポートに現在含まれる所与の所見コード40に対し高い情報値を持つか否かを決定することにより、提案される所見コード48を生成しても良い。
【0042】
いずれかの実施例によれば、1つ以上のプロセッサ18は、レポートの内容(即ち採用所見コード40)が変更されるたびに、1つ以上の提案される所見コード48を更新しても良い。更に、1つ以上のプロセッサ18は、いずれかの実施例においては、提案コードの確率又は条件付きエントロピーに基づいて、提案される所見コード48のリストを並べ替えて表示するよう構成されても良い。特定の実施例においては、1つ以上のプロセッサ18は、一度に表示される又は生成される提案される所見コード48の数を限定しても良い。特定の実施例においては、1つ以上のプロセッサ18は、現在表示されている解剖学的領域に解剖学的に関連する、提案される所見コード48のみを表示するよう構成されても良い。例えば、幾つかの実施例においては、図5に示されるように、「LV」がレポート表示枠26に現在表示されている場合には、提案表示枠28Aが左心室に解剖学的に関連する、提案される所見コード48のみを含んでも良い。
【0043】
ユーザインタフェースエンジンは好適には、曖昧ではない整理された態様で、提案される所見コードをユーザに提示する。一実施例においては、ユーザインタフェースエンジンは、レポートの内容が変更されるたびに提案が更新される、ポップアップ又は背景ウィンドウ28B(図3参照)として、別個のパネルにおいて提案を提示する。他の実施例においては、提案される所見コードは、選択のため元来の構造化レポート作成ウィンドウ(例えば図2Aのウィンドウ28A)に表示される。これらの手法は、臨床医に提案を提供するが、臨床医によって準備されているレポートを実際に変更はせず、換言すれば、単に、曖昧ではないウィンドウ28Aに提供される提案は本質的に支援情報であって、臨床医がレポートの内容に責任を持つ。
【0044】
複数の所見コードがある場合には、インタフェースは任意に、結合コード提案エンジンにより見出されたスコアの確率及び/又はエントロピーに基づいて、これら所見コードを並び替え、「最も見込みの高い」所見コードをリストの上位表示する又は強調して表示するようにする。提案される所見コードの数がウィンドウ28A又は28Bに入り切るには多過ぎる場合には、インタフェースエンジンは、リストの最も確率の低い下端を切り落としても良い(即ち表示しないでも良い)。
【0045】
ユーザインタフェースはまた、提案によりサポートされる機能のモード(即ち、提案が為された根拠)を説明しても良い。第1の機能カテゴリにおいては、該インタフェースは、「既に挿入された所見コードに基づく。以下の所見コードも当該レポートに含まれる見込みが高い」といった接頭辞とともに、当該モードを伝達しても良い。第2の機能カテゴリにおいては、該インタフェースは、「我々の解析に応じて最も臨床的に有益な所見コードAの状態を規定してください」といった接頭辞とともに伝達しても良い。より高度な実施例においては、当該エンジンは、即ち例えば図7に示された左心室のような、解剖学的に関連する、提案される所見コードのみを表示しても良く、即ち解剖学的ウィンドウにおいて選択されても良い。
【0046】
図7は、提案所見コード表示枠28Aの例の拡大図を示す。特定の実施例においては、提案表示枠28Aは、図2に示されるような永続的な提案表示枠であっても良い。図7に示されるように、1つ以上のプロセッサ18は、図6に示される一時的な提案表示枠28Bとは異なり、表示12Aに常に表示されても良い、提案表示枠28Aを生成するよう構成される。
【0047】
図8は、一実施例による文章レポートを示す。特定の実施例においては、表示装置14及び1つ以上のユーザインタフェース装置22とともに動作する1つ以上のプロセッサ18は、現在のレポートに採用されている所見コード40に基づいて、臨床医が文章レポート56を生成することを可能とするよう構成される。特定の実施例においては、文章レポートは、1つ以上の組織32がサブ部分60において要約されていても良い、解釈要約部分58を含む。特定の実施例においては、1つ以上のプロセッサ18は、解釈要約部分58及び解剖学的サブ部分60内に採用された所見コード48のテキスト要素のみを表示する。
【0048】
図9は、表示の要素として文章レポートを伴う、ガイド付き構造化レポート作成装置の表示を示す。図9に示されるように、1つ以上のプロセッサは、文章レポート56が表示される表示62Aを生成するよう構成されても良い。幾つかの実施例においては、画像パネル24を表示する代わりに、文章レポート62Aが表示されても良い。換言すれば、文章レポート56は、画像パネル24もが表示されていない場合であっても、表示されても良い。しかしながら、図2及び3におけるように、表示62Aは、レポート作成表示枠26及び永続的な提案表示枠28A(図9に示されるような)又は一時的な提案表示枠28B(例えば図3参照)を含んでも良い。
【0049】
他の実施例においては、提案されるフィールドコード(固定されたもの又は自由に浮動するもの)のための別個のウィンドウの代わりに、提案されるフィールドコードは、例えばレポートにおけるボックスを埋めることによって、準備されているレポートにおいて自動的に挿入される。フィールドコードが提案されていることを示すため、これらは「灰色表示」されるか、半透明にされるか、又は採用されたものではなく提案されているものとして視覚的に示される。臨床医が、灰色表示された提案されたフィールドコードの1つを採用したいと望む場合には、該提案されたフィールドコードをダブルクリックすることによって、他の採用されたフィールドコードと同じテキスト形式でレポートに該コードを追加する。本実施例における一変形例においては、臨床医を困惑させることを防止するよう、例えばパネルごとに2個のフィールドコードのように、提示される灰色表示される提案される又は提案されるフィールドコードの数に対する上限が設けられる。より具体的には、2つの最も関連する(いずれかの選択基準による)提案されるフィールドコードが、灰色表示で示される。臨床医は、レポートに追加されるべき1つを容易にダブルクリックすることができる。提案されるフィールドコードが採用されると、該採用されたフィールドコードと置き換わるため、新たなフィールドコードに対して適切なレポート中の適所に、新たな灰色表示される提案されるフィールドコードが挿入される。
【0050】
図10は、表示の要素として文章レポートを伴う、ガイド付き構造化レポート作成装置の表示装置における表示を図式的に示す。特定の実施例においては、1つ以上のプロセッサは、装置10の表示装置14において文章レポート56を含む表示62Aを生成しても良い。
【0051】
図11は、ガイド付き構造化レポート作成装置を用いることによる生理学的情報のガイド付き構造化レポート作成のための方法S100のフロー図を示す。第1のステップS102において、ワークステーション16において生理学的情報が受信される。特定の実施例においては、該生理学的情報は、患者の生理学的画像情報、患者記録、患者の所見コード48、患者の構造化レポート58、及び提案される所見コードについての保存された規則の少なくとも1つを含んでいても良い。当該生理学的情報を用いて、1つ以上のプロセッサ18は、第2のステップS104において、ワークステーション16の表示装置14における表示12、62を生成する。特定の実施例においては、該表示は、レポートパネル26及び提案パネル28の少なくとも一方を含んでも良い。幾つかの実施例においては、以上に説明されたように、一時的な提案パネル28Bが常に可視であっても良い。第3のステップS106において、ここで説明されたように、該生理学的情報に基づいて、1つ以上のプロセッサにより所見コード(FC)の提案が生成される。臨床医がレポートを準備する際、該臨床医は、ステップS108Aにおいてデータを入力し、このとき1つ以上のプロセッサ18が、例えばキーボード入力、マウス又はその他のポインティングデバイスを用いた選択等の形をとる、ユーザ入力装置22を介したユーザ入力を受信する。第4のステップS108Bにおいて、生理学的情報を受信するよう構成された1つ以上のプロセッサ18が、新たな生理学的情報を受信しても良い。特定の実施例においては、該新たな生理学的情報は、新たな患者画像データを含んでいても良い。ステップS110において、1つ以上のプロセッサ18が、第3のステップS108Aにおいて受信された入力又は第4のステップS108Bにおいて受信された情報に基づいて、表示12/62を更新する。特定の実施例においては、該表示の更新は、現在のレポート26において臨床医により採用された所見コード40に基づいて文章レポートを生成及び表示すること、及び提案表示枠28からレポート作成表示枠26へと臨床医により1つ以上の所見コード48を採用すること、の少なくとも一方を含んでも良い。任意に、幾つかの実施例においては、1つ以上のプロセッサは、第5のステップS110において表示12/62を更新した後、新たな提案される所見コード48を生成及び表示しても良く、先行するステップが繰り返される。
【0052】
本発明は、幾つかの実施例を参照しながら説明された。明らかに、以上の詳細な説明を読み理解することにより、他への変更及び変形が生じ得る。本発明は、添付される請求項又はそれと同等のものの範囲内である限りにおいて、斯かる変更及び変形のいずれもを含むものと解釈されることを意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11