(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6827967
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】伝送リソースの割り当ておよびモバイルトランシーバのための装置、方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 72/04 20090101AFI20210128BHJP
H04L 1/00 20060101ALI20210128BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20210128BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20210128BHJP
【FI】
H04W72/04 130
H04L1/00 B
H04W28/04
H04W92/18
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-19385(P2018-19385)
(22)【出願日】2018年2月6日
(65)【公開番号】特開2018-129801(P2018-129801A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2018年2月6日
【審判番号】不服2019-11740(P2019-11740/J1)
【審判請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】17154947.0
(32)【優先日】2017年2月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フォルクスヴァーゲン アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント レーマン
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ヘーン
(72)【発明者】
【氏名】ホセ パブロ ビジャシス コボス
【合議体】
【審判長】
中木 努
【審判官】
望月 章俊
【審判官】
永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−529786(JP,A)
【文献】
特開2012−120161(JP,A)
【文献】
特表2015−511429(JP,A)
【文献】
特表2010−524014(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/008227(WO,A1)
【文献】
国際公開第2016/155647(WO,A1)
【文献】
国際公開第2015/000144(WO,A1)
【文献】
特開2015−39187(JP,A)
【文献】
特開2016−158257(JP,A)
【文献】
Samsung,Priority handling for UE autonomous resource selection,3GPP TSG−RAN WG1#85 R1−164761,2016年5月13日,PP.1−5
【文献】
Potevio,Details of V2V resource pool design,3GPP TSG−RAN WG1#85 R1−165066,2016年5月13日, PP.1−3
【文献】
Huawei,HiSilicon,Uu−based V2V transport Based on Location Information,3GPP TSG−RAN WG2#93bis R2−162292,2016年4月2日,PP.1−5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00-H04W99/00 H04B7/24-H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル通信システム(300)のモバイルトランシーバ(100)のための装置(10)であって、
前記装置(10)は、
前記モバイル通信システム(300)の基地局トランシーバ(200)から制御情報を受信して、前記モバイル通信システム(300)の他のモバイルトランシーバ(150)と通信するように構成されているトランシーバモジュール(12)と、
制御モジュール(14)と、を備えており、
前記制御モジュール(14)は、
前記トランシーバモジュール(12)を制御し、
前記トランシーバモジュール(12)を使用して、第1のリソースプールに関連付けられた情報と、第2のリソースプールに関連付けられた情報と、を受信し、
前記第2のリソースプールのリソースにおいて伝送されるデータを符号化するためにレートレス符号を使用する前記トランシーバモジュール(12)を使用して、前記他のモバイルトランシーバ(150)と通信する、ように構成されており、
前記制御モジュール(14)は、前記トランシーバモジュール(12)を使用するブロードキャスト伝送のために、前記第2のリソースプールのリソースを使用するように構成されており、
前記レートレス符号は、ファウンテン符号であり、
前記第2のリソースプールのリソースにおいて伝送される符号化データであって、前記ファウンテン符号による符号化データの伝送は、ギャップパターンを含み、
前記制御モジュール(14)は、前記ファウンテン符号による符号化をアプリケーション層のデータパケットに適用するように構成されている、
装置(10)。
【請求項2】
前記制御モジュール(14)は、前記第1のリソースプールおよび/または前記第2のリソースプールに由来するリソースを使用して、前記他のモバイルトランシーバ(150)からデータを受信するように構成されている、
請求項1記載の装置(10)。
【請求項3】
前記制御モジュール(14)は、前記第1のリソースプールを使用して周期的なデータを送信および/または受信し、前記第2のリソースプールを使用してイベントドリブン型のデータを送信および/または受信するように構成されている、
請求項1または2記載の装置(10)。
【請求項4】
前記制御モジュール(14)は、異なる時間リソースでデータを送受信するように構成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項5】
前記制御モジュール(14)は、前記レートレス符号化をアプリケーション層のデータパケットに適用するように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項6】
前記ファウンテン符号は、ラプタ符号を含む、
請求項1から5までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項7】
前記第2のリソースプールは、時間リソースの断続パターンを備えている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の装置(10)。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の装置(10)を備えている乗り物。
【請求項9】
モバイル通信システム(300)のモバイルトランシーバ(100)に、他のモバイルトランシーバ(150)と直接的に通信するために、伝送リソースを割り当てるための装置(20)であって、
前記装置(20)は、
前記モバイルトランシーバ(100)と通信するように構成されているインタフェース(22)と、
制御モジュール(24)と、を備えており
前記制御モジュール(24)は、
前記インタフェース(22)を制御し、
第1のリソースプールと、データを符号化するためにレートレス符号を使用する伝送のためのリソースを有している第2のリソースプールと、を決定し、
前記第1のリソースプールに関連付けられた情報および前記第2のリソースプールに関連付けられた情報を、前記インタフェース(22)を使用して前記モバイルトランシーバ(100)に提供する、ように構成されており、
それにより、前記制御モジュール(24)は、前記モバイルトランシーバ(100)を使用するブロードキャスト伝送のために、前記第2のリソースプールのリソースを前記モバイルトランシーバ(100)の制御モジュール(14)に使用させるように構成されており、
前記レートレス符号は、ファウンテン符号であり、
前記第2のリソースプールのリソースにおいて伝送される符号化データであって、前記ファウンテン符号による符号化データの伝送は、ギャップパターンを含み、
前記ファウンテン符号による符号化は、前記制御モジュール(14)によってアプリケーション層のデータパケットに適用されるように構成されている、
装置(20)。
【請求項10】
前記第1のリソースプールのリソースの帯域幅は、前記第2のリソースプールの前記リソースの帯域幅よりも広い、および/または、伝送のためにリソースを利用できない断続時間は、前記第2のリソースプールよりも前記第1のリソースプールにおける方が長い、
請求項9記載の装置(20)。
【請求項11】
前記制御モジュール(24)が前記第1のリソースプールに関連付けられた情報および前記第2のリソースプールに関連付けられた情報を提供する前記モバイルトランシーバの少なくとも1つ(100;150)は、乗り物に設けられている、
請求項9または10記載の装置(20)。
【請求項12】
モバイル通信システム(300)のモバイルトランシーバ(100)のための方法において、
第1のリソースプールに関連付けられた情報と、第2のリソースプールに関連付けられた情報と、を受信すること(32)と、
前記第2のリソースプールのリソースにおいて伝送されるデータを符号化するためにレートレス符号を使用して、他のモバイルトランシーバ(150)と通信すること(34)と、を備えており、
前記第2のリソースプールのリソースは、前記モバイルトランシーバ(100)を使用するブロードキャスト伝送のために使用され、
前記レートレス符号は、ファウンテン符号であり、
前記第2のリソースプールのリソースにおいて伝送される符号化データであって、前記ファウンテン符号による符号化データの伝送は、ギャップパターンを含み、
前記ファウンテン符号による符号化は、アプリケーション層のデータパケットに適用される、
方法。
【請求項13】
モバイル通信システム(300)のモバイルトランシーバ(100)に、他のモバイルトランシーバ(150)と直接的に通信するために、伝送リソースを割り当てるための方法であって、
第1のリソースプールと、データを符号化するためにレートレス符号を使用する伝送のためのリソースを有している第2のリソースプールと、を決定すること(42)と、
前記第1のリソースプールに関連付けられた情報および第2のリソースプールに関連付けられた情報を、前記モバイルトランシーバ(100)に提供すること(44)と、
を備えており、
前記第2のリソースプールのリソースは、前記モバイルトランシーバ(100)を使用するブロードキャスト伝送のために使用され、
前記レートレス符号は、ファウンテン符号であり、
前記第2のリソースプールのリソースにおいて伝送される符号化データであって、前記ファウンテン符号による符号化データの伝送は、ギャップパターンを含み、
前記ファウンテン符号による符号化は、アプリケーション層のデータパケットに適用される、
方法。
【請求項14】
コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行されるときに、請求項12または13の少なくとも1項記載の方法を実施するためのプログラムコードを有しているコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送リソースの割り当ておよびモバイルトランシーバのための装置、方法およびコンピュータプログラムに関し、特に、乗り物通信のためのモバイル通信システムにおけるリソース管理のコンセプトに関するが、これに限定されない。
【背景技術】
【0002】
ポータブルデバイスと乗り物との間の直接的な通信は一部のモバイル通信システムの特徴である。将来の自動車は、乗り物間の直接的なデータ伝送を実現する通信システムを含むと考えられる。1つのきわめて顕著な例は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11p標準(および対応する上位層標準)に準拠する直接的な伝送である。このような乗り物コネクティビティ標準の一般的な用途は周囲の乗り物に情報をブロードキャストすることである。この情報はステータス情報であってもよく、規則的に送信されるものであるか、または緊急情報のようなイベントドリブン型のメッセージであってよい。
【0003】
IEEE 802.11pに代わるものが業界団体3GPP(Third Generation Partnership Project)によって標準化中である。この団体はセルラ通信技術を開発しており、またC−V2X(Cellular Vehicle to Everything)と称される、乗り物のための直接的な通信の標準を提案している。このコンセプトは、ステータス情報を規則的なパターンで送信する効率的な方法を含む。
【0004】
文献国際公開第2016/017099号(WO2016/017099A1)には、モバイル通信システムにおけるデバイス間通信(device−to−device communication)に複数のリソースプールを用いる概念が開示されている。この場合、デバイスが基地局トランシーバのカバレッジ内にあるか、またはカバレッジ外にあるかに応じて異なるリソースプールを使用することができる。文献米国特許出願公開第2016/0294512号明細書(US2016/0294512A1)には、チャネル符号を復号化して、異なるブロックサイズに対してパリティビットを用いるコンセプトが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/017099号
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0294512号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
モバイル通信システムにおける直接的な通信のコンセプトの改善が求められている。独立請求項は、直接的な通信の改善された概念を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態は、モバイルトランシーバ、たとえばモバイルフォンまたは乗り物間で通信される異なる性質のメッセージが存在しているという発見を基礎としている。一方のタイプのメッセージは、たとえば、定期的にレポートされるステータスメッセージである。他方のタイプのメッセージは、イベントドリブン型のメッセージ、たとえば緊急メッセージまたは警告メッセージがある。さらに、イベントドリブン型のメッセージが、たとえば乗り物の直ぐ近くにある可能な限り多くの受信器によって受信されることを意図して、それらのイベントドリブン型のメッセージをブロードキャストできることを発見した。この発見に基づいて、メッセージを符号化するために、レートレス(rateless)符号を使用することができる。レートレス符号は、消失(受信ギャップ、パケットロス、ビットエラー、ブロックエラー、バースト性エラーなど)が、たとえば干渉、不利な無線チャネル状態または非連続的な受信に起因して発生しても、メッセージを受信することができる。これらの符号によって、符号化オーバーヘッドの発生を極わずかに抑えながら、種々の受信器は、失われたパケットの量に依存せずに、伝送されたメッセージを回復することができる。非連続的な受信が、受信器自体の伝送動作に由来する場合、このスキームは、ユーザに異なる動作スキームを同時に提供することができる。
【0008】
実施の形態は、モバイル通信システムのモバイルトランシーバのための装置を提供する。装置は、モバイル通信システムの基地局トランシーバから制御情報を受信して、モバイル通信システムの他のモバイルトランシーバと通信するように構成されているトランシーバモジュールを備えている。装置はさらに、制御モジュールを備えており、この制御モジュールは、トランシーバモジュールを制御し、トランシーバモジュールを使用して、第1のリソースプールに関連付けられた情報と、第2のリソースプールに関連付けられた情報と、を受信する。制御モジュールはさらに、第2のリソースプールのリソースにおいて伝送されるデータを符号化するためにレートレス符号を使用するトランシーバモジュールを使用して、他のモバイルトランシーバと通信するように構成されている。実施の形態は、複数のリソースプールを使用する、モバイルトランシーバ間の直接的な通信を実現することができ、それらの複数のリソースプールのうちの1つのリソースは、レートレス符号化データのために使用される。
【0009】
実施の形態は、モバイル通信システムのモバイルトランシーバに、他のモバイルトランシーバとの直接的な通信のために、伝送リソースを割り当てるための装置も提供する。装置は、モバイルトランシーバと通信するように構成されているインタフェースと、インタフェースを制御するように構成されている制御モジュールと、を備えている。制御モジュールはさらに、第1のリソースプールおよび第2のリソースプールを決定するように構成されており、第2のリソースプールは、データを符号化するためにレートレス符号を使用する伝送のためのリソースを有している。制御モジュールはさらに、第1のリソースプールに関連付けられた情報および第2のリソースプールに関連付けられた情報を、インタフェースを使用してモバイルトランシーバに提供するように構成されている。実施の形態は、2つのリソースプールを用いる、モバイル通信システムのモバイルトランシーバの構成を実現する。リソースの利用を、通信されるべき情報の性質またはタイプに適合させることができるので、異なるリソースプールを有することで、無線リソース管理を向上させることができる。
【0010】
さらなる実施の形態においては、第1のリソースプールおよび/または第2のリソースプールに由来するリソースを使用して、他のモバイルトランシーバからデータを受信するように、制御モジュールを構成することができる。実施の形態においては、第1のリソースプールおよび/または第2のリソースプールに由来するリソースを、直接的なデバイス間データ伝送および/またはデータ受信に使用することができる。これによって、2つのリソースプールは、どの種類の情報がそれら2つのリソースプールのいずれにおいて通信されるかを決定できる、ネットワークに関する間接的な制御を実現することができる。いくつかの実施の形態においては、第1のリソースプールを使用して周期的なデータを送信および/または受信し、第2のリソースプールを使用してイベントドリブン型のデータを送信および/または受信するように、制御モジュールを構成することができる。実施の形態は、周期的なデータ、たとえばステータス情報の通信と、イベントドリブン型のデータ、たとえば緊急メッセージまたは警告メッセージの通信と、に対して別個のリソースプールを提供することができる。異なるタイプのメッセージに対して別個のリソースプールを使用して、改善されたリソース管理およびより高い効率を実現することができる。
【0011】
いくつかの実施の形態は、制御モジュールが異なる時間リソースでデータを送受信するように構成されることを考慮することができる。たとえば、送信と受信を同時に行えないように制御モジュールまたはモバイルトランシーバのトランシーバユニットを実施することができ、したがって、第1のリソースプールのリソースにおける送信時には、他のリソース、たとえば第2のリソースプールのリソースにおける受信は行えない。この制限は「ハーフデュプレックス問題」として一般的に知られている。したがって、伝送中に第2のリソースプールのリソースにおいては、データを受信できない。しかしながら、レートレス符号化によって、パケットロスまたは受信の中断に対処する効率的なスキームが実現される。
【0012】
レートレス符号化をアプリケーション層のデータパケットに適用するように、制御モジュールを構成することができる。この場合、モバイルトランシーバにおいて実行されるアプリケーションは、非連続的な受信または他の現象に起因するパケットロスを克服することができる。レートレス符号は、たとえば、前方誤り訂正符号、消失訂正符号、ネットワーク符号、ファウンテン(Fountain)符号またはラプタ(Raptor)符号であってよい。トランシーバモジュールを使用するブロードキャスト伝送のために、第2のリソースプールのリソースを使用するように、制御モジュールを構成することができる。デバイス間で直接的にブロードキャストされるメッセージを、レートレス符号を使用してアプリケーション層において符号化することができる。これにより、受信側のモバイルトランシーバは、ある程度のデータパケットロスが生じたとしても、ブロードキャストされたメッセージを効率的に受信することができる。たとえば、第2のリソースプールは、時間リソースの断続パターンを備えている。第1のリソースプールのリソースの帯域幅は、第2のリソースプールのリソースの帯域幅よりも広くてよい。伝送のためにリソースを利用できない断続時間は、第2のリソースプールよりも第1のリソースプールにおける方が長くてよい。
【0013】
いくつかの実施の形態においては、モバイルトランシーバのうちの少なくとも1つを乗り物に設けることができる。
【0014】
実施の形態は、上記の装置を備えている乗り物も提供する。
【0015】
実施の形態は、モバイル通信システムのモバイルトランシーバのための方法も提供する。この方法は、第1のリソースプールに関連付けられた情報と、第2のリソースプールに関連付けられた情報と、を受信することを備えている。またこの方法は、第2のリソースプールのリソースにおいて伝送されるデータを符号化するためにレートレス符号を使用して、他のモバイルトランシーバと通信することを備えている。
【0016】
実施の形態は、モバイル通信システムのモバイルトランシーバに、他のモバイルトランシーバとの直接的な通信のために、伝送リソースを割り当てるための方法をさらに提供する。この方法は、第1のリソースプールと、データを符号化するためにレートレス符号をする伝送のためのリソースを有している第2のリソースプールと、を決定することを備えている。またこの方法は、モバイルトランシーバに、第1のリソースプールに関連付けられた情報および第2のリソースプールに関連付けられた情報を提供することを備えている。
【0017】
実施の形態は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行されると、上記の方法のうちの1つ以上を実行するプログラムコードを有しているコンピュータプログラムをさらに提供する。別の実施の形態は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントによって実行されると、本明細書に記載する方法のうちの1つをコンピュータに実行させる命令を記憶しているコンピュータ可読記憶媒体である。
【0018】
いくつかの他の特徴または態様を、添付の図面を参照しながら、単に例示を目的として、装置または方法またはコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム製品の下記の非限定的な実施の形態を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】モバイルトランシーバのための装置の実施の形態およびリソースを割り当てるための装置の実施の形態を示す。
【
図2】1つの実施の形態における第1のリソースプールおよび第2のリソースプールを示す。
【
図3】モバイルトランシーバのための方法の実施の形態のフローチャートのブロック図を示す。
【
図4】伝送リソースを割り当てるための方法の実施の形態のフローチャートのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施例の一部が図示されている添付の図面を参照しながら、種々の実施例を以下ではより詳細に説明する。図中、線の太さ、層の厚さまたは領域の大きさは、見やすくするために誇張されていると考えられる。オプションのコンポーネントが、破線、一点鎖線または点線によって図示されている場合もある。
【0021】
したがって、実施例について種々の修正形態および代替形骸が考えられるが、それらのうちの一部の実施の形態が例示を目的として図面に示されており、また本明細書において詳細に説明される。しかしながら、実施例を開示した特定の形態に限定することは意図されておらず、むしろ実施例は、本発明の範囲内のすべての修正形態、等価形態および代替形態をカバーすると解されるべきである。同様の参照番号は、各図の説明全体にわたって同様の要素または類似の要素を表している。
【0022】
本明細書で用いられているように、用語「または」は、別個の記載(たとえば、「あるいは」または「または代替形態においては」)がない限り、非排他的な「または」を表している。さらに、本明細書で用いられるように、要素の関係を説明するのに用いられている語は、別段説明しない限り、当然、直接的な関係または介在する要素の存在を含むものと広義に解釈する。たとえば、要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と表されている場合、要素が他の要素に直接的に接続または結合されていてもよいし、もしくは介在する要素が存在してもよい。これに対して、要素が別の要素に「直接的に接続されている」または「直接的に結合されている」と表されている場合、介在する要素は存在しない。同様に、「〜の間」、「〜に隣接する」などの語も同様に解されるべきである。
【0023】
本明細書において使用されている術語は、特定の実施の形態を説明するためのものにしかすぎず、実施の形態を限定することは意図されていない。本明細書において使用されているように、単数形「1つの」および「この」は、文脈においてそれを排除することが明示的に記載されていない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、「備える」、「備えている」、「含む」または「含んでいる」という語は、本明細書において使用されている場合、記載した特徴、完全体(integers)、ステップ、動作、要素またはコンポーネントの存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、コンポーネントまたはそのグループの存在または付加を排除するものではないと解される。
【0024】
別段の定めのない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術的用語および科学的用語を含む)は、実施例が属する技術の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を持つ。さらに、たとえば一般的に使用されている辞書において定義されているような用語は、関連する分野の文脈におけるそれらの意味と矛盾しない意味を有していると解されるべきであり、また特段の定めのない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味で解釈されてはならないと解される。
【0025】
図中、オプションとしての特徴は、破線を用いて示されている。
図1は、モバイル通信システム300のモバイルトランシーバ100のための装置10の実施の形態を示す。装置10は、モバイル通信システム300の基地局トランシーバ200から制御情報を受信して、モバイル通信システム300の他のモバイルトランシーバ150と通信するように構成されているトランシーバモジュール12を備えている。モバイルトランシーバ装置10は、トランシーバモジュール12を制御するように構成されている制御モジュール14をさらに備えている。制御モジュール14は、トランシーバモジュール12を使用して、第1のリソースプールに関連付けられた情報と、第2のリソースプールに関連付けられた情報と、を受信するようにさらに構成されている。制御モジュールは、第2のリソースプールのリソースにおいて伝送されるデータを符号化するためにレートレス符号を使用して、またトランシーバモジュール12を使用して、他のモバイルトランシーバ150と通信するようにさらに構成されている。実施の形態は、装置10の実施の形態を備えているモバイルトランシーバ100も提供する。実施の形態は、モバイルトランシーバ100の実施の形態を備えている乗り物、たとえば、車、バス、列車、自転車またはモーターバイク、ボートまたは船舶、航空機なども提供する。制御モジュール14は、トランシーバモジュール12に結合されている。モバイルトランシーバ100,150の少なくとも1つが乗り物に含まれてもよい。
【0026】
図1にさらに示されているように、実施の形態は、モバイル通信システム300のモバイルトランシーバ100に、他のモバイルトランシーバ150との直接的な通信のために、伝送リソースを割り当てるための装置20も提供する。実施の形態は、装置20の実施の形態を備えているネットワークコンポーネント、たとえば、基地局トランシーバ200、ネットワークコントローラ、ネットワークノードなども提供する。装置20は、モバイルトランシーバ100と通信するように構成されているインタフェース22を備えている。装置20は、インタフェース22を制御するように構成されている制御モジュール24をさらに備えている。制御モジュール24は、第1のリソースプールおよび第2のリソースプールを決定するようにさらに構成されている。第2のリソースプールは、データを符号化するためにレートレス符号を使用する伝送のためのリソースを有している。装置20は、第1のリソースプールに関連付けられた情報および第2のリソースプールに関連付けられた情報を、インタフェース22を使用してモバイルトランシーバ100に提供するようにさらに構成されている。制御モジュール24は、インタフェース22に結合されている。
【0027】
モバイル通信システム300は、たとえば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)標準化移動通信ネットワークの1つに対応してもよい。ここで、モバイル通信システム300という用語は、モバイル通信ネットワークと同義的に用いられている。モバイル通信システムまたは無線通信システム300は、第5世代(5G)のモバイル通信システムに対応することができ、ミリ波技術を使用することもできる。モバイル通信システム300は、たとえば、ロングタームエボリューション(LTE)、LTE−Advanced(LTE−A)、高速パケットアクセス(HSPA)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)もしくはUMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)、evolved−UTRAN(e−UTRAN)、世界移動体通信システム(Global System for Mobile communication)(GSM)もしくはGSM進化型高速データレート(Enhanced Data rates for GSM Evolution)(EDGE)ネットワーク、GSM/EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)または異なる標準、たとえば、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(Worldwide Inter−operability for Microwave Access)(WIMAX)ネットワークIEEE802.16もしくは無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)IEEE802.11を用いる移動通信ネットワーク、一般的には、直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)ネットワーク、時分割多重アクセス(TDMA)ネットワーク、符号分割多重アクセス(CDMA)ネットワーク、広帯域CDMA(WCDMA)ネットワーク、周波数分割多重アクセス(FDMA)ネットワーク、空間分割多重アクセス(SDMA)ネットワークなどに対応するか、またはそれらを備えてもよい。
【0028】
基地局トランシーバ200は、1つ以上の作動中のモバイルトランシーバ100と通信するように動作可能または構成可能であり、また他の基地局トランシーバ、たとえばマクロセル基地局トランシーバまたはスモールセル基地局トランシーバのカバレッジエリア内またはこのカバレッジエリアに隣接して、基地局トランシーバ200を配置することができる。したがって、実施の形態は、1つ以上のモバイルトランシーバ100,150および1つ以上の基地局トランシーバ200を備えるモバイル通信システム300を提供してもよく、その際、基地局トランシーバ200は、たとえばピコセル、メトロセル(metro cell)またはフェムトセルとしてマクロセルまたはスモールセルを確立してもよい。モバイルトランシーバ100は、スマートフォン、携帯電話器(cell phone)、ユーザ端末、ラップトップ、ノートブック、パーソナルコンピュータ、パーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)スティック、自動車、乗り物などに対応してもよい。また、モバイルトランシーバ100は、3GPPの術語にしたがってユーザ端末(UE)またはモバイルとして記載されている場合がある。
【0029】
基地局トランシーバ200をネットワークまたはシステムの固定箇所または常設箇所に配置することができる。基地局トランシーバ200は、リモートラジオヘッド(RRH:remote radio head)、伝送ポイント、アクセスポイント、マクロセル、スモールセル、マイクロセル、フェムトセル、メトロセルなどに対応してもよい。基地局トランシーバ200を有線ネットワークの無線インタフェースとすることができ、このインタフェースは、UEまたはモバイルトランシーバ100への無線信号の伝送を可能にする。このような無線信号は、たとえば、3GPPによって標準化された無線信号に準じてもよいし、一般的にいえば、上記のシステムの1つ以上に係る無線信号に準じてもよい。このように、基地局トランシーバ200は、NodeB、eNodeB、ベーストランシーバ基地局(BTS)、アクセスポイント、リモート無線源、中継局、伝送ポイントなどに対応してもよく、これらをさらに、リモートユニットおよび中央ユニットに細分化することができる。
【0030】
モバイルトランシーバ100は、基地局トランシーバ200またはセルに関連付けることができる。セルという用語は、基地局トランシーバ、たとえばNodeB(NB)、eNodeB(eNB)、リモート無線源、伝送ポイントなどによって提供される無線サービスのカバレッジエリアを指す。基地局トランシーバは、1つ以上の周波数層で1つ以上のセルを稼働させてよく、いくつかの実施の形態では、セルはセクタに対応してもよい。たとえば、リモートユニットまたは基地局トランシーバの周囲で角度セクションをカバーする特性を実現するセクタアンテナを用いてセクタを提供することができる。いくつかの実施の形態では、基地局トランシーバは、たとえば、120°(3つのセルの場合)、60°(6つのセルの場合)のセクタをカバーする3つまたは6つのセルをそれぞれ稼働させてよい。基地局トランシーバは、複数のセクタに分けられた複数のアンテナを操作することができる。以下では、セルは、そのセルを生成する対応基地局トランシーバを表しているか、またはそれと同様に、基地局トランシーバは、その基地局トランシーバが生成するセルを表していると考えられる。
【0031】
換言すれば、実施の形態においてモバイル通信システムは、異なるタイプのセル、すなわちクローズド加入者グループ(CSG:Closed Subscriber Group)セルおよびオープンセルならびに異なるサイズの複数のセル、たとえばマクロセルおよびスモールセルを利用するHetNetに対応してもよい。ここで、スモールセルのカバレッジエリアは、マクロセルのカバレッジエリアよりも小さい。スモールセルは、メトロセル、マイクロセル、ピコセル、フェムトセルなどに対応してもよい。このようなセルは、そのカバレッジエリアがその伝送出力および干渉状態によって決まる基地局トランシーバによって確立される。いくつかの実施の形態では、他の基地局トランシーバによって確立されるマクロセルのカバレッジエリアによってスモールセルのカバレッジエリアを少なくとも部分的に包囲することができる。ネットワークの能力を拡張するようにスモールセルを展開することができる。したがって、マクロセルよりも小さいエリアをカバーするためにメトロセルを用いてもよく、たとえば、メトロセルは都市エリアの道路や地区をカバーしてもよい。マクロセルについては、カバレッジエリアが1キロメートル以上のオーダの直径を有してもよく、マイクロセルについては、カバレッジエリアが1キロメートル未満の直径を有してもよく、ピコセルについては、カバレッジエリアが100m未満の直径を有してもよい。フェムトセルは最小セルであってもよく、一世帯や空港のゲートセクションをカバーするのに用いてもよい。すなわち、フェムトセルのカバレッジエリアは50m未満の直径を有してもよい。したがって、基地局トランシーバをセルという場合もある。
【0032】
さらに、モバイルトランシーバ100,150は互いに直接的に通信することができる。すなわち、任意の基地局トランシーバ200を介することなく通信することができる。これをデバイス間(D2D:Device−to−Device)通信ともいう。D2Dの例として乗り物間の直接的な通信があり、これは車車間通信(V2V:Vehicle−to−Vehicle communication)ともいう。これを行うために、無線リソース、たとえば、周波数、時間、符号および/または空間リソースを用いる。これらを基地局トランシーバとの無線通信にも用いてもよい。無線リソースの割り当て、すなわち、どのリソースをD2Dに用いるか、かつどのリソースをD2Dに用いないかについて以下に説明する。以下において、それぞれの構成要素の無線リソースは、無線キャリアにおいて認識可能ないずれの無線リソースにも対応することができ、それぞれのキャリアに同じ粒度を用いてもよいし、異なる粒度を用いてもよい。無線リソースは、リソースブロック(LTE/LTE−A/LTE−unlicensed(LTE−U)などのRB)、1つ以上のキャリア、サブキャリア、1つ以上の無線フレーム、無線サブフレーム、無線スロット、拡散率(spreading factor)をそれぞれ用いることが可能な1つ以上のコードシーケンス、1つ以上の空間リソース、たとえば、空間サブチャネル、空間プレコーディングベクトル、これらの任意の組合せなどに対応してもよい。
【0033】
実施の形態では、制御モジュール、たとえば制御モジュール14および/または24は、相応に適合されたソフトウェアを用いて動作可能な1つ以上の処理ユニット、1つ以上の処理デバイス、任意の処理手段、たとえば、プロセッサ、コンピュータまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントを用いて実施することができる。換言すれば、制御モジュール14,24の説明した機能をソフトウェアとして実施することもできる。この場合、それらの機能は、1つ以上のプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行される。このようなハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを備えてもよい。
【0034】
実施の形態では、トランシーバモジュール12は、一般的なトランシーバコンポーネント、たとえば、1つ以上のローノイズアンプ(LNA)、1つ以上のパワーアンプ(PA)、1つ以上のデュプレクサ、1つ以上のダイプレクサ、1つ以上のフィルタもしくはフィルタ回路、1つ以上のコンバータ、1つ以上のミキサ、相応に構成された高周波コンポーネントなどを備えることができる。アンテナは、任意の送信および/または受信アンテナ、たとえば、ホーンアンテナ、ダイポールアンテナ、パッチアンテナ、セクタアンテナなどに対応することができる。アンテナは、予め定められた幾何学的なセッティング、たとえば、均一アレイ、リニアアレイ、サーキュラアレイ、トライアングルアレイ、均一フィールド、フィールドアレイ、それらの組合せなどで配置することができる。
【0035】
実施の形態では、無線リソースを割り当てる装置20のインタフェース22は、他のネットワークコンポーネントからの信号を供給するおよび/または特定するように構成されているコネクタ、ピン、プラグ、レジスタなどであってもよい。いくつかの実施の形態では、アナログ信号かディジタル信号か、伝送帯域の信号か、中間帯域の信号か、ベース帯域内の信号かを特定する、および/または、これを供給するようにインタフェース22を構成することができる。インタフェース22と他の構成要素との間には、中間リンク、有線式または無線式のコネクション、インタフェースなどがあってもよい。インタフェース22(いくつかの実施の形態では1つ以上のインタフェース22)は、装置20と他のそれぞれのネットワークコンポーネント(たとえば、装置20が基地局トランシーバ200において実施される場合にはトランシーバモジュール12)との間で、対応する情報または信号を交換することができるように構成されている。このような実施の形態では、インタフェース22はトランシーバモジュール12に対応してもよい。すなわち、上記の説明にしたがってトランシーバモジュール12に適合するようにインタフェース22を実施してもよい。
【0036】
実施の形態では、装置10の制御モジュール14は、第1のリソースプールおよび/または第2のリソースプールに由来するリソースを使用して、他のモバイルトランシーバ150からデータを受信するように構成することができる。したがって、第2のリソースプールのリソースを使用して、2つのモバイルトランシーバ100,150間でデータを交換、送信および受信することができる。
【0037】
たとえば、3GPP Release 14に準拠する、直接的なC−V2X伝送(ここでV2Xは、少なくともV2V、V2・インフラストラクチャ(V2I)などを含む)を、インフラストラクチャによって管理することができるか(いわゆるモード3)、ユーザ端末(UE)自律モード(UEA)(いわゆるモード4)で実行することができる。モード4は、自動車業界において関心が高いものであると考えられているので、以下ではモード4に着目するが、実施の形態をモード3(リソースプールに関する情報をネットワークによって、たとえば、モード3の設定によって間接的に提供することができる分散スケジューリング)にも適用することができる。その理由には、モバイルネットワークの事業者および運用コストに依存しないことが含まれる。
【0038】
モード4では、センシングを用いるセミ・パーシステント・スケジューリング(SPS:Semi−Persistent Scheduling)を行うことによって各々の乗り物またはUEによるチャネルアクセスが実現されると仮定する。各乗り物またはUEは、自身の情報を時間周波数リソースグリッドに配置するために、反復的なパターンを使用することができる。各時刻に、たとえば、乗り物が送信を行わないすべての時刻に、乗り物は他者による送信をセンシングすることができる。リソースの再選択が行われれば、乗り物またはUEは、低いエネルギ、さらにいえば最も低いエネルギがセンシングされたリソースを選択することができる。このコンセプトは、規則的なステータスデータの効果的な伝送に好適であるが、イベントドリブン型のデータの伝送には適用できない場合がある。後者は実施の形態の場合には可能である。たとえば、制御モジュール14は、第1のリソースプールを使用して周期的なデータを送信および/または受信し、また第2のリソースプールを使用してイベントドリブン型のデータを送信および/または受信するように構成されている。
【0039】
現在のパターン以外でデータを送信する必要がある場合、これは他のユーザのパターンに干渉する場合がある。周波数領域でリソースプールを分割することでこの問題を解決することができるが、しかしながらこの解決手段は、ハーフデュプレックス制限に起因して非効率になる場合がある。異なる時間リソースでデータを送信および受信するように制御モジュール14を構成してもよい。たとえば乗り物の一部においては、少なくともいくつかのトランシーバは、能動的に送信を行っている間は受信を行えない(ハーフデュプレックス)ので、1つのリソースプールの使用は、他のリソースプールの同時的な使用を阻止することができる。これにより、システムの能力を効果的に分けることができる。
【0040】
伝送エラーを訂正するために、前方誤り訂正(FEC)を使用することができる。伝送における消失を訂正するために、特に消失訂正符号が使用される。異なる受信器間で消失の数がまったく異なるブロードキャストを行う場合にレートレス符号が使用される。顕著な例は、ラプタ符号を含むファウンテン符号のクラスである。実施の形態では、レートレス符号は、前方誤り訂正符号、消失訂正符号、ネットワーク符号またはファウンテン符号である。レートレス符号は、独立したチャネルアクセスを実現し、かつハーフデュプレックス制限(すなわち、モバイルトランシーバは送信と受信を同時に行うことができない)の非効率性を克服するために、消失訂正符号および第2のリソースプールを使用することができる。レートレスという用語は、符号レート(code rate)を設定できることと解することができる。つまり、回数を限って伝送した後に、レートレスに符号化されたパケットのブロードキャストが停止され、したがって符号レートはゼロではないが、しかしながら符号レートを状況または通信シナリオに適合させることができる。
【0041】
実施の形態では、第2のリソースプールにおける情報を消失から保護するためにファウンテン符号が使用される。この消失は、第2のリソースプールにおける情報を受けることが想定される乗り物またはUEが第1のリソースプールを用いて伝送する場合に発生する。周囲にいる乗り物が、自身の伝送動作を行っているにもかかわらず、第2のリソースプールからの情報を完全に復号できるように、ファウンテン符号源(fountain)は有効状態に維持され続ける。さらに、ファウンテン符号またはレートレス符号は、一般的には、緊急メッセージのために送出されるメッセージの再伝送にも対応する。わずかに長い期間、ファウンテンコード源を有効状態に維持することによって、再伝送から生じる付加的な冗長性が提供される。
【0042】
図2は、1つの実施の形態における第1のリソースプールおよび第2のリソースプールを示す。
図2は、時間・周波数グリッドを示す(横座標には時間を示し、また縦座標には周波数を示す)。この実施の形態において、全体のシステムリソースは、時間・周波数リソースブロック(RB)によって決定され、また全体のリソースセット(システム帯域幅および時間パターン)は、
図2の四角500によって示唆されている。全体のリソースセット500を、周波数および時間のリソースのグリッドによって、たとえばLTEシステムでは、サブキャリアおよび時間のリソース(12個のサブキャリア(LTEでは180kHz)および2つのタイムスロット(1つのサブフレーム、すなわちLTEでは1ms)など)のサブセットのグリッドによって細分することができる。
図2において、第1のリソースプールのリソースは510で示唆されており、また第2のリソースブロックのリソースは520で示唆されている。第2のリソースプール520のリソースを用いて伝送されるデータパケットを符号化するためにファウンテン符号が使用される。この実施の形態では、制御モジュール14は、レートレス/ファウンテン符号化をアプリケーション層データパケットに適用するように構成されている。また、それぞれの下位の層のパケットの、相応に構成された無線ベアラ/無線アクセスベアラへの割り当ても、制御モジュール14によって実行され、また同様に受信モバイルトランシーバに実施されている制御モジュールによって実行される。
【0043】
たとえば、制御モジュール14を、(トランシーバモジュール12を介した)ブロードキャスト伝送のために第2のリソースプールのリソースを使用するように構成することができる。
図2にさらに示唆されているように、第2のリソースプール520は、時間リソースの断続パターンを含んでいる。いくつかの実施の形態では、第1のリソースプール510のリソースの帯域幅は、
図2に示したバーの高さによって示唆されているような第2のリソースプール520のリソースの帯域幅よりも広い。さらに、いくつかの実施の形態では、伝送のためのリソースを利用できない断続時間は、同様に
図2において示唆されているように、第2のリソースプール520よりも第1のリソースプール510における方が長い。
【0044】
実施の形態は、第2のリソースプールにおける複数の伝送に対応することができる。これを実現するために、第2のリソースプールのリソースにおけるファウンテン符号化データの伝送は、他のメッセージおよびユーザをストリームに参加させることができるように、ギャップパターンを含むことができる。ファウンテン符号による解決手段では、生成行列の送信器/トランスミッタおよびすべての受信器において共通の情報を使用することができる。乗り物のセットアップにおいては、これは、疑似乱数生成器を使用することによって、たとえば全地球的航法衛星システム(GNSS)の時刻に基づいて達成される。その際、GNSSの時刻から導出されたタイムスタンプは、疑似乱数生成器に入力されるシードを生成するために使用されることになる。ファウンテン符号化をアプリケーション層に適用することができる。このことは、第2のリソースプール520のすべてのリソースブロックを別々に復号できることを意味している。消失訂正符号にはバーストをまねく消失が起こる場合があるが、しかしながら、それによってその復号能力が損なわれることはない。
【0045】
図3は、モバイル通信システム300のモバイルトランシーバ100のための方法の実施の形態のフローチャートのブロック図を示す。方法は、第1のリソースプールに関連付けられた情報および第2のリソースプールに関連付けられた情報を受信すること32を備えている。この方法はさらに、第2のリソースプールのリソースにおける伝送のためにデータを符号化するためのレートレス符号を使用することによって、他のモバイルトランシーバ150と通信すること34を備えている。
【0046】
図4は、他のモバイルトランシーバ150と直接的に通信するために、伝送リソースをモバイル通信システム300のモバイルトランシーバ100に割り当てるための方法の実施の形態のフローチャートのブロック図を示す。方法は、第1のリソースプールおよび第2のリソースプールを決定すること42を備えている。第2のリソースプールは、データを符号化するためにレートレス符号を使用することによって伝送を行うためのリソースを有している。この方法はさらに、第1のリソースプールに関連付けられた情報および第2のリソースプールに関連付けられた情報をモバイルトランシーバ100に提供すること44を備えている。
【0047】
別の実施の形態は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントにおいて実行されると、上記の方法のうちの少なくとも1つを実行するプログラムコードを有しているコンピュータプログラムである。さらに別の実施の形態は、コンピュータ、プロセッサまたはプログラミング可能なハードウェアコンポーネントによって実行されると、本明細書に記載した方法のうちの1つをコンピュータに実行させる命令を記憶しているコンピュータ可読記憶媒体である。当業者であれば、プログラミングされたコンピュータによって上記の様々な方法のステップを実行することができること、たとえばスロットの位置を決定または計算できることは容易に理解できる。この場合、いくつかの実施の形態は、機械読み出し可能またはコンピュータ読み出し可能なプログラム記憶デバイス、たとえば、ディジタルデータ記憶媒体をカバーし、命令の機械実行可能プログラムまたはコンピュータ実行可能プログラムをエンコードすることも意図する。前記命令は、本明細書で説明されている方法のステップの一部もしくは全部を実行する。プログラム記憶デバイスは、たとえば、磁気ディスクおよび磁気テープ、ハードディスクまたは光学的可読ディジタルデータ記憶媒体などのディジタルメモリ、磁気記録媒体であってもよい。実施の形態は、ここに記載されている方法の前述のステップを実行するようにプログラミングされたコンピュータまたは上記の方法の前述のステップを実行するようにプログラミングされた(フィールド)プログラマブル・ロジック・アレイ((F)PLA)または(フィールド)プログラマブル・ゲート・アレイ((F)PGA)をカバーすることも意図する。
【0048】
記載および図面は本発明の原理を示すにすぎない。したがって、当業者であれば、本明細書に明示的に記載されていない、すなわち明確に示されていないが、本発明の原理を具体化し、発明の精神および範囲に含まれる様々な構成を発明することができると解される。さらに、本明細書に記載されているすべての例は、原則として、発明者によって技術の進歩に寄与することになった発明および概念の原理を読者が理解するのを助ける教示目的のものにすぎないことを明確に意図し、このような特に記載されている例および条件に対する限定はないものと解釈するものとする。さらにまた、本発明の原理、態様および実施の形態ならびにその特定の例を示している本明細書中のすべての記載は、これらの均等物を含むことを意図する。プロセッサによって設けられる場合、機能は単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサまたは複数の別個のプロセッサ(これらのいくつかは共有されてもよい)によって実現されてもよい。さらにまた、用語「プロセッサ」または用語「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみを指すものと解釈するべきではなく、また、ディジタルシグナルプロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、ソフトウェア記憶用の読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)および不揮発性記憶デバイスを限定なしに暗示的に含んでもよい。他のハードウェアで、従来のものまたはカスタム化したものを含んでもよい。それらの機能を、プログラムロジックの動作を通じて、専用ロジックを通じてまたはプログラム制御と専用ロジックとのやり取りを通じて発揮させてもよいし、手動であってもそれらの機能を発揮させることができる。実施者は特定の技術を文脈から特に理解されるように選択可能である。
【0049】
本明細書中のいずれのブロック図も、本発明の原理を具体化する典型的な回路の概念図を表すと当業者が解することは当然である。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、疑似コードなどが様々なプロセスを表し、これらのプロセスをコンピュータ可読媒体中で実質的に表すことができ、したがって、コンピュータまたはプロセッサによって、このようなコンピュータまたはプロセッサが明示的に示されているか否かにかかわらず、実行することができると解される。
【0050】
さらに、以下の請求項は、この記載によって詳細な説明に含まれ、各請求項は個別の実施の形態として独立し得る。各請求項が個別の実施の形態として独立し得る一方で、従属請求項が請求項中で1つ以上の他の請求項との特定の組合せを指す場合があることを踏まえて、他の実施の形態が、従属請求項と各他の従属請求項の主題との組合せも含んでもよいことに留意する。特定の組合せを意図しないことが記載されていない限りにおいて、このような組合せが本明細書で提案される。さらに、所定の請求項が他の任意の独立請求項に直接従属しない場合であっても、この独立請求項に対するこの所定の請求項の特徴もさらに含まれることが意図されている。
【0051】
さらに、明細書または請求項に開示されている複数の方法の対応する複数のステップの各々を実行する手段を有するデバイスによってこれらの方法を実施し得る点に留意する。
【符号の説明】
【0052】
10 モバイルトランシーバ装置
12 トランシーバモジュール
14 制御モジュール
20 リソースを割り当てる装置
22 インタフェース
24 制御モジュール
32 第1のリソースプールに関連付けられた情報および第2のリソースプールに関連付けられた情報の受信
34 レートレス符号を用いた他のモバイルトランシーバとの通信
42 第1のリソースプールと、レートレス符号を用いた伝送のためのリソースを備える第2のリソースプールとの決定
44 第1のリソースプールに関連付けられた情報および第2のリソースプールに関連付けられた情報のモバイルトランシーバへの提供
100 モバイルトランシーバ
150 他のモバイルトランシーバ
200 基地局トランシーバ
300 モバイル通信システム
500 リソースのシステムセット
510 第1のリソースプール
520 第2のリソースプール