(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して、本実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0010】
[外観]
図1〜
図4は、本実施の形態に係る除湿機を示す外観図であり、
図1は平面図、
図2は正面図、
図3は右側面図、
図4は斜視図である。
図1〜
図4に示すように、この除湿機は、洗濯した衣類の乾燥にも利用可能なサーキュレータ付きの除湿機であり、除湿ユニット10の箱形ケーシング10Cの上に送風ユニット20の箱形ケーシング20Cを乗せたような構造になっている。
【0011】
詳細については後述するが、除湿ユニット10は、吸引口11から吸入した空気を除湿する除湿部12(
図7参照)を有し、除湿部12にて除湿された除湿空気を吹出口13から吹き出す。吹出口13は、除湿ユニット10の上面に形成された開口である(
図12参照)。送風ユニット20は、吹出口13から吹き出された除湿空気を送風する例えばサーキュレータ等の送風部21、及び、送風部21を保持する保持部22を有する。送風ユニット20の保持部22には、除湿ユニット10の吹出口13から吹き出された除湿空気を送風部21に導く除湿空気誘導用風路23が形成されている。保持部22を除湿ユニット10の上面に形成された吹出口13に被せるように設け、保持部22の下部が除湿ユニット10の上部に近接するようにしている。その結果、除湿ユニット10と送風ユニット20の隙間が狭くなり、除湿ユニット10と送風ユニット20の段差がなくフラットになる。
【0012】
このような構成によれば、除湿ユニット10の吹出口13全体を送風ユニット20が上から覆うことになり、除湿空気誘導用風路23を通じて除湿空気をほとんど逃がすことなく衣類などの乾燥対象物に向けて送風することができる。また、除湿ユニット10と送風ユニット20の間に埃・ゴミ等が溜まりにくく、埃・ゴミ等が除湿ユニット10の内部に入るのを防止することが可能である。
【0013】
以下、
図1〜
図4に示される静止姿勢を“基準姿勢”と呼ぶ。すなわち、“基準姿勢”とは、送風ユニット20が正面を向いた状態で送風部21の送風口が真上を向いた姿勢である。このような基準姿勢においては、保持部22から送風部21が突出しないよう形成されていることから、万が一転倒してしまった場合でも、送風部21が破損してしまうのを防止することが可能である。
【0014】
一方、送風部21は、保持部22内において支持されると共に、この保持部22に対し送風部21が水平軸心廻りに回動可能に枢着される。さらに、送風ユニット20は、除湿ユニット10に対し鉛直軸心廻りに回動可能に枢着される。これにより、後述する
図5に示すように任意の方向に風向調節することができる。
【0015】
また、送風ユニット20の保持部22の天面又は背面にタッチパネル式の操作部Pが設けられている。操作部Pは、保持部22の天面と背面の両方にまたがって設けられていてもよい。タッチパネルの方式は特に限定されるものではなく、例えば、抵抗膜方式でもよいし、静電容量式でもよい。抵抗膜方式は、指が触れたパネルの位置を電圧変化の測定により検知する方式である。静電容量式は、指がパネルに触れることにより発生する電気的な容量結合を利用して位置を検知する方式である。操作部Pは、このようなタッチパネルに限定されるものではなく、例えばタクトスイッチを用いてもよい。操作部Pには、首振りボタン、サーキュレータボタン、除湿ボタン、タイマーボタン、運転ボタン(切/入)などが含まれる。操作部Pが操作されると、その操作内容が後述する制御部に通知され、各種の制御が実行される。このような操作部Pによれば、使用者は、除湿機の正面側に回り込まなくても背面側から軽い力で容易に操作することが可能である。
【0016】
[風向調節]
図5は、本実施の形態に係る除湿機の風向調節の説明図である。以下に説明するように上下方向及び左右方向に首振りをすることによって、送風部21による除湿空気の送風方向を自在に調節可能となっている。
【0017】
具体的には、
図5(a)は、送風部21が基準姿勢から前方に45度首を振った上下首振り45度の状態を示している。また、
図5(b)は、送風部21が基準姿勢から前方に90度首を振った上下首振り90度の状態を示している。また、
図5(c)は、送風ユニット20が基準姿勢から右に首を振り、送風部21が前方に45度首を振った状態を示している。
【0018】
すなわち、
図5(a)(b)に示すように、送風部21は、保持部22に対して上下首振り自在に設けられている。上下首振りは、手動により、上向きから前向きまでの90度の範囲で行うことができる。一方、
図5(c)に示すように、送風ユニット20の保持部22は、除湿ユニット10に対して左右首振り自在に設けられている。左右首振りは、自動制御により、例えば50度・70度・90度の3段階で調節することができる。左右首振りでいう50度とは、前方を基準として左右に25度ずつの角度である。左右首振りでいう70度とは、前方を基準として左右に35度ずつの角度である。左右首振りでいう90度とは、前方を基準として左右に45度ずつの角度である。このように、本実施の形態に係る除湿機は、上下方向及び左右方向に首振り自在な構成になっている。
【0019】
[使用例]
図6は、本実施の形態に係る除湿機の使用例の説明図である。ここでは、室内に干された洗濯物100の乾燥に利用する場合を例示している。この図に示すように、除湿された低湿度の空気(除湿空気)を送風に利用することで、除湿空気を洗濯物100に直接当てて洗濯物100の乾燥を促進し、乾燥時間を短縮することができる。
【0020】
しかも、保持部22を除湿ユニット10の上面に形成された吹出口13に被せるように設け、保持部22の下部が除湿ユニット10の上部に近接するようにしている。その結果、除湿ユニット10と送風ユニット20の隙間が狭くなり、除湿ユニット10と送風ユニット20の段差がなくフラットになる。このような構成によれば、除湿空気をほとんど逃がすことなく洗濯物100に向けて送風することができるため、従来よりも乾燥時間を短縮することが可能である。
【0021】
また、室内干しのシーンに合わせて上下方向及び左右方向の首振り角度を自由に調節することができるため、高い位置に干された洗濯物100や広い範囲に干された洗濯物100に対して除湿空気を効率よく当てることが可能である。さらに、除湿空気は除湿機の正面側から洗濯物100に向けて送風されるが、送風ユニット20の保持部22の天面乃至背面に操作部Pがあるため、除湿機の背面側から容易に操作することができ、使い勝手が良い。
【0022】
また、箱形の除湿ユニット10の上部に箱形の送風ユニット20が首振り自在に設けられ、
図1〜
図4に示す基準姿勢で除湿ユニット10と送風ユニット20とが連続性を持った一体の箱形になるよう形成されている。既に説明したように、“基準姿勢”とは、送風ユニット20が正面を向いた状態で送風部21の送風口が真上を向いた姿勢である(
図1〜
図4参照)。“送風ユニット20が正面を向いた状態”とは、送風部21の上下首振りの軸が左右方向に配置された状態である。また、“連続性を持った一体の箱形”とは、外観上、一体感のある箱形という意味である。平面視で少なくとも1つの面がほぼ面一(段差がなくフラットな状態)の箱形ということもできる。“箱形”は、典型的には直方体であるが、平面視で四角形のものに限らず、円形、半月形、かまぼこ形等のものも含まれる。また、正面視あるいは側面視で、上端から下端へ次第に幅寸法が拡大する“とび箱形”や、上端から上下中間部まで幅寸法が拡大し中間部から下端まで幅寸法が一定となる形(直方体の上に四角錐台が乗ったような形)でも良く、あるいは、上端から上下中間部まで幅寸法が拡大し中間部から下端まで幅寸法が減少する樽形でも良い。
【0023】
このような構成によれば、基準姿勢で一体の箱形になってすっきり見える。すなわち、除湿ユニット10と送風ユニット20が外観上一体感のあるデザインとなっているため、おしゃれ感が向上し、インテリア性を高めることが可能となる。
【0024】
[除湿ユニット]
図7は、本実施の形態に係る除湿機が備える除湿ユニット10の分解斜視図である。この図に示すように、除湿ユニット10は、吸引口11から吸入した空気を除湿する除湿部12を有する。除湿部12にて除湿された除湿空気を除湿ユニット10の上面に形成された吹出口13(
図12参照)から上向きに吹き出す構造になっている。これらの各部はメイン制御基板16によって制御される。除湿ユニット10の上部には、吸込みファン14とは独立した送風ユニット20が搭載されるが、送風ユニット20の内部構造については後述する。
【0025】
除湿部12は、除湿方式としてデシカント式を採用し、ダクト12A、ヒーター12B、除湿ローター12C、熱交換器12D、タンクなどを備えている。すなわち、湿った空気が除湿ローター12Cを通過するとき、水分が除湿ローター12Cに吸着される。除湿ローター12Cが回転し、水分を吸着した部分がヒーター12Bで加熱されると、吸着された水分は水蒸気となる。水蒸気は、熱交換器12D内で室内空気によって冷やされ、凝縮し、水になる。水はタンク12Eに流れ落ちて貯水される。ヒーター12Bで乾燥した除湿ローター12Cは、再び湿気を吸着する。もちろん、除湿方式はデシカント式に限定されるものではなく、コンプレッサー式やハイブリット式などを採用することも可能である。
【0026】
[送風ユニット]
図8は、本実施の形態に係る除湿機が備える送風ユニット20の分解斜視図である。ここでは、保持部22から送風部21を取り外し、また保持部22を覆っているカバーを取り外した状態を示している。保持部22は、(除湿ユニット10の吹出口13に被せるように設けられる)底壁部22Aと、底壁部22Aの左右両側部に立設された側壁部22Bと、底壁部22Aの後部に立設された後壁部22Cとを有する。側壁部22Bには、軸受用のU型凹部22B1が形成されている。そして、側壁部22Bと後壁部22Cによって形成された開口部22Dにおいて送風部21を保持するよう形成されている。
【0027】
なお、開口部22Dは、少なくとも前方に解放していればよい。また、側壁部22Bは、底壁部22Aの左右両側部の少なくとも一方に立設されていればよい。
【0028】
一方、送風部21は、底面21Aが略円弧状に形成された箱形のハウジング21Hを備え、ハウジング21Hの左右側面から軸21Bが延設されている。上面の送風口には、スパイラル気流を発生させる渦巻きパネル21Pが付設されているのが望ましい。スパイラル気流は、渦を巻きながら直進して、少し遠くに干された洗濯物にも確実に届く。送風部21を開口部22Dに入れ、送風部21の軸21BをU型凹部22B1に置くと、送風部21の大部分が保持部22で覆われる。このような構成によれば、転倒時に送風部21の破損を防止する効果はもちろん、指の巻き込みを防止する効果もある。渦巻きパネル21Pは、渦巻き形状の隙間を形成するように設けられた複数の弯曲フィンを有している。
【0029】
また、送風ユニット20は、制御部25を備える。制御部25は、電源のON/OFF(除湿機としての除湿ユニット又は送風部21の作動)、送風ファン21F(
図9参照)の回転数、左右首振りの作動・角度、タイマー、イオン発生装置26等を制御する。ここでは、保持部22(操作部Pの裏側)に制御部25を配置している。制御部25は、除湿ユニット10の電源がオフにされた場合、又は、送風部21の送風が停止された場合、又は、左右首振りがオフにされた場合に、左右首振りの首振り位置を基準姿勢に戻すようになっている(後述する)。このような構成によれば、非使用時に基準姿勢で待機していることになるため、見た目の一体感を保つことが可能である。
【0030】
詳しい図示は省略するが、制御部25は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの複数のハードウェアから構成される制御基板であり、送風ユニット20側の各部や、除湿ユニット10側のメイン制御基板16などに接続されている。制御部25のROMには制御プログラムが格納されており、その制御プログラムをCPUが実行することによって各種の制御が実現される。
【0031】
なお、送風ユニット20は、イオンを発生させるイオン発生装置26を備えてもよい。このような構成によれば、除湿空気とともにイオンを放出することができるため、衣類などの乾燥対象物の抗菌効果を得ることができる。
【0032】
[除湿空気誘導用風路]
図9は、本実施の形態に係る除湿機が備える除湿空気誘導用風路23の説明図である。ここでは、説明の都合上、送風ユニット20の内部の主要な構成部品だけを示している。
【0033】
この図に示すように、保持部22の底壁部22Aには、上下方向に連通する第1通気口22A1が形成されている。第1通気口22A1は、底壁部22Aのほぼ全面にわたって形成された多数の窓部(隙間)である。送風ユニット20が左右方向どの向きに首を振っても、底壁部22Aの多数の第1通気口22A1が除湿ユニット10の吹出口13に対応するように、第1通気口22A1が除湿ユニット10の吹出口13よりも広い範囲に形成されている。除湿ユニット10の吹出口13から吹き出された除湿空気は、除湿空気誘導用風路23の一部を成す第1通気口22A1を通じて送風部21の送風ファン21Fに誘導される。第1通気口22A1は細いリブで仕切られ、通風抵抗が小さいため、除湿ユニット10の吹出口13から吹き出された除湿空気の風量を低下させることなく送風部21の送風ファン21Fに誘導することができる。
【0034】
さらに、後壁部22Cには、前後方向に連通する第2通気口22C1が形成されている。第2通気口22C1は、後壁部22Cのほぼ全面にわたって形成された多数の窓部(隙間)である。送風部21が上下方向のどの向きに首を振っても、底壁部22Aの多数の第1通気口22A1と後壁部22Cの第2通気口22C1が、送風部21の底面21Aのほぼ全面の吸込み口21A1に対応するように構成されている。これにより、送風ユニット20の後方からも第2通気口22C1を通じて十分な量の外気を取り込むことができる。
【0035】
保持部22は、左右両側に側壁部22Bを備え、後ろ側に後壁部22Cを備えている。そのため、保持部22が側壁部22Bと後壁部22Cで平面視コ字状となり、除湿空気を逃がさず全量送風することができるため、十分な除湿性能を確保することが可能である。また、底壁部22Aに形成された第1通気口22A1から除湿空気が取り込まれるだけでなく、後壁部22Cに形成された第2通気口22C1から外気が取り込まれるため、送風部21の送風ファン21Fへの供給風量を十分に確保することが可能である。
【0036】
また、送風部21の略円弧状の底面21Aには、ほぼ全面にわたって空気の吸込み口21A1が形成されている。送風部21が上下方向のどの向きに首を振っても、略円弧状の底面21Aと底壁部22Aの第1通気口22A1とが一定の距離を保つ。また、略円弧状の底面21Aのどの位置にも空気の吸込み口21A1が形成されているため、送風部21が上下方向のどの向きに首を振っても、底壁部22Aの第1通気口22A1に吸込み口21A1が対応(対向)し、除湿ユニット10からの除湿空気を吸込み口21A1から効率よく吸い込むことが可能である。
【0037】
なお、送風ファン21Fは、空気流を発生させるプロペラファンである。プロペラファンによって発生させた空気流を渦巻きパネル21Pによってスパイラル気流とし、遠くまで到達させるようにしている。そのため、除湿機を洗濯物の近くに配置できない使用環境においても乾燥促進を図ることができる。なお、図示省略するが、送風部21は、放射状のフィンが形成された前面パネルを有していても良い。また、送風部21が、シロッコファンやクロスフローファンを有していても良い。
【0038】
[送風部の軸の枢支構造]
図10は、本実施の形態に係る除湿機が備える送風部21の軸21Bを枢支する枢支構造の説明図である。既に説明したように、保持部22の側壁部22Bには、軸受用のU型凹部22B1が形成されている。U型凹部22B1に送風部21の軸21Bを置き、その上から抑え板22B2で抑える。これにより、送風部21の軸21BをU型凹部22B1と抑え板22B2で枢支することができるため、上下首振りのガタつきを防止することが可能となる。また、このような枢支構造にすれば、組立てが容易になるため、組立ての作業能率を向上させることが可能となる。
【0039】
ここで、送風部21の軸21Bの表面には、回転方向に沿って複数の係止凹部21B1が所定間隔で形成され、複数の係止凹部21B1は、送風部21の上下首振りの0〜90度の範囲に対応している。一方、抑え板22B2の下端部は、送風部21の軸21Bの径に合わせて略円弧状に形成され、その下端部中央に形成された穴にバネ22B3と凸部22B4が挿入されている。これにより、使用者が送風部21を持って上下方向に動かすと、凸部22B4が係止凹部21B1をカチカチと乗り越えて移動していく。このとき、バネ22B3によって常に凸部22B4が送風部21の軸21B方向に押し付けられることになるため、適度な強度で凸部22B4を係止凹部21B1に係止させることが可能となる。
【0040】
[送風ユニットと除湿ユニットの接続部]
図11は、本実施の形態に係る除湿機が備える送風ユニット20の底面斜視図である。この図に示すように、送風ユニット20は、左右首振りの駆動源としてステッピングモータ31を備える。ステッピングモータ31は、パルス電力に同期して動作する同期電動機である。ステッピングモータ31を使用すれば、送風左右方向の精確な制御が容易になるだけでなく、部品点数の減少(すなわち、従来必要であったリンク機構が不要になる)という効果や、回転機構のコンパクト化という効果がある。送風ユニット20に設けた制御部25は、ステッピングモータ31の回転角度を電気的に設定自在とし、言い換えれば、制御部25は、送風ユニット20の左右首振りの角度を、ユーザー(使用者)の操作による設定入力に応じて、変更できるように構成されている。
【0041】
具体的には、
図11に示すように、底壁部22Aに第1通気口22A1が形成され、その第1通気口22A1の後方に固定板32が配置されている。固定板32には、ステッピングモータ31、左右首振りの軸33、原点検出手段34が固定されている。左右首振りの軸33は、左右首振りの回転軸である。原点検出手段34は、IR(赤外線)センサ(例えば、フォトトランジスタ等)から成る。なお、原点検出手段34は、磁石と磁気センサー等で構成されていても良い。
【0042】
また、
図11に示すように、送風ユニット20は、左右首振りの軸33と、左右首振りの軸33の周囲に設けられ、左右首振りをガイドする首振りガイド部35A,35B,35Cとを備える。さらに、左右首振りの軸33の周囲には、送風ユニット20を支える脚部36A,36B,36C,36Dを備えてもよい。このような構成によれば、首振りガイド部35A,35B,35Cに沿って左右首振りがガイドされるため、左右首振り時のガタつきを防止することができる。
【0043】
図12は、本実施の形態に係る除湿機が備える除湿ユニット10の上面斜視図である。この図に示すように、除湿ユニット10の上面に吹出口13が形成され、その吹出口13の後方に固定歯車41が配置され、固定歯車41の後方を囲うように回転軸心を中心として円弧状のガイドスリット42が形成され、吹出口13とガイドスリット42を囲うようにローラー走行部43が形成されている。また、固定歯車41の中央部には孔41Aが形成され、この孔41Aに送風ユニット20側の左右首振りの軸33が取り付けられる。さらに、除湿ユニット10の上面には、原点検出手段(IRセンサ)34を遮光する凸条の遮光板44が形成されている。遮光板44によって遮光された時、原点検出手段(IRセンサ)34が左右首振りの原点を検出するようになっている。本発明に於て、左右首振りの原点とは、送風ユニット20が正面を向いた基準姿勢を示すものとする。
【0044】
図13〜
図15は、本実施の形態に係る除湿機が左右首振り動作を行っているときの除湿ユニット10と送風ユニット20との位置関係を示す斜視図である。これらの図では、除湿ユニット10の上面と送風ユニット20の底面の主要な構成部品のみを示している。
【0045】
まず、
図13に示すように、基準姿勢では、原点検出手段(IRセンサ)34が遮光板44によって遮光され、除湿ユニット10と送風ユニット20とが連続性を持った一体の箱形になっている。この状態で使用者が操作部Pを用いて左右首振りを指示すると、その指示信号が制御部25に通知され、制御部25がステッピングモータ31を駆動する。これにより、ステッピングモータ31に連結されたギア31Gが回転して除湿ユニット10側に固定された固定歯車41の周囲を動き、送風ユニット20が除湿ユニット10に対して左右方向に旋回する。ここで、左最大旋回状態(除湿機の背面側に立った使用者から見た場合は右最大旋回状態)では、
図14に示すように、送風ユニット20が除湿ユニット10に対して左側に45度傾いた状態になる。一方、右最大旋回状態(除湿機の背面側に立った使用者から見た場合は左最大旋回状態)では、
図15に示すように、送風ユニット20が除湿ユニット10に対して右側に45度傾いた状態になる。左最大旋回状態でも右最大旋回状態でも、除湿ユニット10の吹出口13全体を送風ユニット20が上から覆っている(
図14、
図15参照)。そのため、吹出口13から吹き出された除湿空気をほとんど逃がすことなく除湿空気誘導用風路23を通じて送風部21に導くことが可能である。
【0046】
なお、送風ユニット20から首振りガイド部35A,35B,35Cが下方に向けて形成されている。首振りガイド部35Aの先端はフック状に形成され、吹出口13の開口に形成された溝に引っ掛かるようになっている。また、首振りガイド部35B,35Cの先端には座金が設けられ、ガイドスリット42から抜けないようになっている。また、首振りガイド部35A,35B,35Cは、左右首振りの最大角度に応じた一定範囲だけを旋回する構造になっているため、左右首振りの角度規制にもなっている。
【0047】
また、送風ユニット20から脚部36A,36B,36C,36Dが下方に向けて形成されている。脚部36A,36B,36C,36Dの先端にローラーが取り付けられ、このローラーがローラー走行部43に接地している。このような構成によれば、左右首振り動作時にローラーがローラー走行部43を走行することになる。その結果、送風ユニット20の重量を左右首振りの軸33だけでなく脚部36A,36B,36C,36Dでも受けることができるため、より左右首振り時のガタつきを防止することが可能となる。
【0048】
[原点復帰動作]
図16は、本実施の形態に係る除湿機の動作を示すフローチャートである。ここでは、左右首振りの原点復帰動作に着目し、それ以外の動作については説明を省略する。なお、ホーム位置とは、送風ユニット20が正面を向いた基準姿勢(原点)を意味する。
【0049】
まず、制御部25は、電源がオンされると、ホーム位置にいる場合にはサーキュレータの設定(具体的には送風部21を動作させる設定入力)があるかどうかを判定する(ステップS1→S2→S3)。
【0050】
次いで、制御部25は、サーキュレータの設定があれば、その設定内容に基づいてサーキュレータ(送風部21)を動作させる(ステップS3→S4)。また、左右首振りの設定(具体的には送風ユニット20を左右方向に首振りさせる設定入力)があれば、その設定内容に基づいて、送風ユニット20の左右首振りを動作させる(ステップS5→S6)。
【0051】
送風ユニット20の左右首振りの角度(90度、70度、50度)は、ステッピングモータ31のステップ数で制御する。例えば、送風ユニット20の左右首振りの角度が90度に設定される場合には、制御部25から、原点を基準として右45度・左45度の角度範囲で送風ユニット20が回転するよう首振りパルス信号を付与する。左右首振り動作中は毎回原点検出手段34によりホーム位置を検出し、ホーム位置からのステップ数で送風ユニット20の左右首振りの角度を調整する。これにより、ホーム位置を通過する度にステップ数を補正することができる。そのため、送風ユニット20が左右首振りの途中で物に当たった場合でも、正しいステップ数で左右首振り動作を継続することが可能である。
【0052】
ホーム位置検出予定位置が来てから45度移動しても原点検出手段34によりホーム位置が検出されない場合は、首振り動作異常(IRセンサ異常)とする。ホーム位置検出予定位置は、原点検出手段34によりホーム位置が検出される予定位置である。首振り動作異常の場合は、原点検出手段34を使用せず、ステッピングモータ31のステップ数のみで制御を行うのが好ましい。
【0053】
次いで、制御部25は、サーキュレータ(送風部21)の送風が停止されると、ホーム位置移動制御を行う(ステップS7→S8)。ホーム位置移動制御とは、左右首振り位置をホーム位置まで移動(復帰)させるための制御である。例えば、使用者が操作部Pに含まれるサーキュレータボタンを押下する度、強→中→弱→停止の順に送風部21の送風の強弱設定が切り替わるようにしてもよい。サーキュレータ(送風部21)の送風が停止されたときは、現状からホーム位置までの最短距離のパルス信号をステッピングモータ31に付与し、基準姿勢に戻す。
【0054】
また、制御部25は、左右首振りがオフされると、ホーム位置移動制御を行う(ステップS9→S10)。例えば、使用者が操作部Pに含まれる首振りボタンを押下する度、90度→70度→50度→オフの順に左右首振りの角度設定が切り替わるようにしてもよい。左右首振りがオフされたときは、現状からホーム位置までの最短距離のパルス信号をステッピングモータ31に付与し、基準姿勢に戻す。
【0055】
また、制御部25は、除湿ユニット10の電源がオフされると、ホーム位置移動制御を行う(ステップS11→S12)。例えば、使用者が操作部Pに含まれる運転ボタン(切/入)を押下する度、電源のオン/オフが切り替わるようにしてもよい。電源がオフされたときは、現状からホーム位置までの最短距離のパルス信号をステッピングモータ31に付与し、基準姿勢に戻す。
【0056】
なお、使用者が操作部Pに含まれる運転ボタン(切/入)を用いて電源をオフせず、コンセントから電源コードを抜いて電源が遮断された場合は、左右首振り途中の姿勢のままとなる。そこで、次に電源がオンされた際、ホーム位置(基準姿勢)にない場合は、原点検出手段34により原点検出されるまで首振りを行い、原点検出した位置で停止して基準姿勢に戻すようになっている(ステップS1→S2→S13)。
【0057】
また、左右首振り動作中にホーム位置移行指示(左右首振りオフ、送風部21の送風停止、又は、除湿ユニット10の電源オフ)があった場合は、ホーム位置方向への移動を直ちに行う。ただし、ホーム位置付近(原点検出手段34検出位置付近)でホーム位置移行指示があった場合は、いったん50度の左右首振りを行った後、ホーム位置で停止させる。これにより、ホーム位置移行指示があったタイミングにかかわらず、確実にホーム位置で停止させることができる。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態に係る除湿機は、吸引口11から吸入した空気を除湿する除湿部12を有し、除湿部12にて除湿された除湿空気を吹出口13から吹き出す除湿ユニット10と、吹出口13から吹き出された除湿空気を送風する送風部21、及び、送風部21を保持する保持部22を有する送風ユニット20とを備え、送風ユニット20の保持部22は、除湿ユニット10の吹出口13から吹き出された除湿空気を送風部21に導く除湿空気誘導用風路23が形成されている。このような構成によれば、除湿ユニット10の吹出口13から吹き出された除湿空気を、除湿空気誘導用風路23を介して、送風ユニット20の送風部21にほとんど逃がすことなく導くことができ、除湿ユニット10からの除湿空気を無駄にすることなく衣類に向けて送風できる。即ち、除湿ユニット10の除湿能力を最大限に活用でき、衣類乾燥の能率を向上できる。また、保持部22を除湿ユニット10の上面に形成された吹出口13に被せるように設け、かつ、保持部22の下部が除湿ユニット10の上部に近接し、除湿ユニット10の吹出口13全体を送風ユニット20が上から覆うことになり、除湿ユニット10と送風ユニット20の間に埃・ゴミ等が溜まりにくく、埃・ゴミ等が除湿ユニット10の内部に入るのを防止することが可能である。
【0059】
また、所定の基準姿勢で除湿ユニット10と送風ユニット20とが連続性を持った一体の箱形になるよう形成されていてもよい。このような構成によれば、基準姿勢で、除湿ユニット10と送風ユニット20の隙間が狭く、除湿ユニット10と送風ユニット20の段差がなくフラットであって、一体の箱形になってすっきり見える。すなわち、除湿ユニット10と送風ユニット20が外観上一体感のあるデザインとなっているため、おしゃれ感が向上し、インテリア性を高めることが可能となる。
【0060】
また、基準姿勢で保持部22から送風部21が突出しないよう形成されていてもよい。このような構成によれば、外観上の一体感をより一層向上できて、しかも、転倒時に送風部21の破損を防止することが可能である。
【0061】
また、保持部22は、除湿ユニット10の吹出口13に被せるように設けられた底壁部22Aと、底壁部22Aの左右両側部の少なくとも一方に立設された側壁部22Bと、底壁部22Aの後部に立設された後壁部22Cとを有し、側壁部22Bと後壁部22Cによって形成された、少なくとも前方に解放する開口部22Dにおいて送風部21を保持するよう形成されていてもよい。このような構成によれば、保持部22が左右の側壁部22B,22Bと後壁部22Cで平面視コ字状となり、即ち、側壁部22Bと後壁部22Cによって囲まれた除湿空気誘導用風路23を形成できて、除湿空気を除湿ユニット10の吹出口13から送風部21に確実に誘導することができ、除湿空気を逃がさず全量送風することができるため、十分な除湿性能を確保することが可能である。かつ、転倒時に送風部21の破損を防止でき、さらに、指の巻き込みを防止する効果もある。
【0062】
また、保持部22の底壁部22Aは、上下方向に連通する第1通気口22A1が形成され、第1通気口22A1が、除湿空気誘導用風路23として、除湿ユニット10の吹出口13から吹き出された除湿空気を送風部21に誘導するよう構成され、後壁部22Cは、前後方向に連通する第2通気口22C1が形成され、送風ユニット20の後方から取り込んだ外気を前記送風部に導くよう構成されていてもよい。このような構成によれば、底壁部22Aに形成された第1通気口22A1から除湿空気が取り込まれるだけでなく、後壁部22Cに形成された第2通気口22C1から外気が取り込まれるため、送風部21からの吹き出し風量を十分に確保することが可能である。
【0063】
また、送風ユニット20の保持部22の天面乃至背面に操作部Pが設けられていてもよい。このような操作部Pによれば、使用者は、除湿機の背面側から操作部Pにアプローチ(接近)して、除湿機の正面側に回り込むことなく容易に操作することが可能であって、使い勝手が良い。
【0064】
また、保持部22は、除湿ユニット10に対して左右首振り自在に設けられ、送風部21は、保持部22に対して上下首振り自在に設けられてもよい。このように、上下方向及び左右方向に首振り自在な構成によれば、室内干しのシーンに合わせて上下方向及び左右方向の首振り角度を自由に調節することができる(3次元的な風向調節)ため、高い位置に干された洗濯物100や広い範囲に干された洗濯物100に対して除湿空気を効率よく当てることができる。
【0065】
また、送風ユニット20は、左右首振りの駆動源としてステッピングモータ31を備えてもよい。ステッピングモータ31を使用すれば、送風左右方向の精確な制御が容易になるだけでなく、部品点数の減少という効果や、回転機構のコンパクト化という効果がある。
【0066】
また、送風ユニット20は、左右首振りを制御する制御部25を備え、制御部25は、除湿ユニット10の電源がオフにされた場合、又は、送風部21の送風が停止された場合、又は、左右首振りがオフにされた場合に、左右首振りの首振り位置を基準姿勢に戻してもよい。このような構成によれば、非使用時に、除湿ユニット10と送風ユニット20とが連続性を持った一体の箱形の基準姿勢で待機していることになるため、見た目の一体感を保つことが可能である。従って、非使用時でもインテリア性を維持し、室内環境をおしゃれに演出できる。
【0067】
また、送風ユニット20は、左右首振りの軸33と、左右首振りの軸33の周囲に設けられ、左右首振りをガイドする首振りガイド部35A,35B,35Cとを備えてもよい。このような構成によれば、首振りガイド部35A,35B,35Cに沿って左右首振りがガイドされるため、左右首振り時のガタつきを防止することができ、転倒時の軸33の破損も防止できる。
【0068】
また、送風ユニット20は、イオンを発生させるイオン発生装置26を備えてもよい。このような構成によれば、除湿空気とともにイオンを放出することができるため、衣類などの乾燥対象物の抗菌効果を得ることができる。
【0069】
なお、上記の説明では、第1通気口22A1が除湿空気誘導用風路23の一部を構成することとしているが、これに限定されるものではない。例えば、保持部22の底壁部22Aを省略することも可能である。すなわち、除湿空気誘導用風路23は、除湿ユニット10の吹出口13から吹き出された除湿空気を送風部21に導く風路であればよい。例えば、側壁部22Bも、除湿ユニット10の吹出口13から吹き出された除湿空気を送風部21に導く役割りを果たしているため、除湿ユニット10の上面と左右一対の側壁部22B,22Bと送風部21の下面により形成される空間は、除湿空気誘導用風路23に相当する。
【0070】
[その他の実施の形態]
上記のように、いくつかの実施の形態について記載したが、開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0071】
このように、本実施の形態は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。