【実施例】
【0024】
<Peak−to−Valley値(PV)の測定>
測定には、Zygo社製 白色干渉顕微鏡 New view 6300を使用した。 光源は白色LEDが使用され、表面フィルター処理にはガウシアンフィルタを適用した。高さ方向の測定分解能は0.1nmである。観察倍率を50倍とし、高周波側のカットオフ周波数(Filter High Wavelength) は、0.00250mm、低周波側のカットオフ周波数(Filter Low Wavelength)は、0.80000mmに設定した。表面の形状を測定し、Peak−to−Valley値(PV)を算出した。測定データの解析には解析ソフトMetroProを使用した。
図5は本発明におけるPVを説明する図であり、測定で得られるsurface profileのデータの一例を用いて表したものである。
図5に示すように、PVとは、測定面の中で最も高いポイントと最も低いポイントの高さ方向の距離のことをいう。
<密度ρの測定>
JIS K 6301の水中置換法に準じて、東洋精機製作所製 DENSIMETER Hによって室温で測定された比重を、密度として採用した。
<クリーン性の評価>
長尺体の異物の付着について、異物の難付着性と、易除去性を評価した。難付着性と、易除去性は、インクを表面に塗布し付着状況を確認し、綿布でふき取ったときに残留するインク成分の量を確認した。インク成分の付着状況とインク残留量を5段階で評価した。インク成分が付着しなかったものを5、インク成分がわずかに付着したもののふき取ってインク成分を完全に除去できたものを4、インク成分がわずかに付着し、ふき取った後にもインクの跡がわずかに確認できるものを3、インクが付着し、ふき取った後にもインクの跡が確認できるものを2、インクが付着し、ふき取った後にもインクがほとんど除去できないものを1とした。
【0025】
[実施例1]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層として別のPTFE 樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、2つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例2]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる接着層として厚さ0.02μmのFEP樹脂膜を、さらにその内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02μmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、4つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例3]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる接着層として厚さ0.02μmのFEP樹脂膜を、さらにその内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02μmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、4つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例4]
最外層としてFEP樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02μmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物として4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本および4本のFEP電線を撚り合せたものを準備した。その外周に、被覆層が2重に重なるように巻回して配置し、加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例5]
最外層としてPEEK樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02μmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例6]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPE樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表1に記載した。
次に、2つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表1に記載した。
[実施例7]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表2に記載した。
次に、2つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表2に記載した。
[実施例8]
最外層としてFEP樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02μmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表2に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表2に記載した。
[実施例9]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を、その内側にくる接着層として厚さ0.02μmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表2に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物として4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本および4本のFEP電線を撚り合せたものを準備した。その外周に、被覆層が2重に重なるように巻回して被覆し、加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表2に記載した。
[実施例10]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を、さらにその内側にくる中間層として別のPTFE樹脂膜を、さらに内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表2に記載した。
次に、4つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表2に記載した。
[実施例11]
最外層としてPEEK樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPTFE樹脂膜を、さらにその内側にくる接着層として厚さ0.02mmのFEP樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表2に記載した。
次に、3つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表2に記載した。
[実施例12]
最外層としてPTFE樹脂膜を、その内側にくる中間層としてPE樹脂膜を使用した。樹脂膜は所要の幅にカットして準備した。最外層および中間層のそれぞれの樹脂膜の厚さ、PVおよび密度を測定した。その結果を表2に記載した。
次に、2つの樹脂膜を積層して加熱し、被覆層を作成した。被覆対象物の準備としてFEP電線1本、FEP電線1本、4本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本、2本のPFA電線を撚り合せたケーブルを1本およびFEPチューブ1本を横に並べた。並べた被覆対象物の上下に、被覆層を配置し、ウェブ部分を加熱して個々の被覆対象物の位置を固定し、長尺体を作成した。
クリーン性の評価結果を表2に記載した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
各実施例は、屈曲性、柔軟性が良好でありクリーン性が高く、長尺体の被覆層自身から発生する汚染物質も少なく、周囲への汚染が少ない良好な結果が得られた。