(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記故障を検出した前記ポンプ装置を停止した後、運転可能な前記ポンプ装置がない場合に、前記故障を検出した時点で、前記報知部により前記故障を外部へ警報する、請求項2に記載の給水装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した立型多段タービンポンプを用いた給水装置において、例えば、吸込揚程が深い場合には、キャビテーションによるインペラ入口での気泡の発生の虞がある。インペラ入口において気泡が発生すると、小水量運転時に、インペラ内の羽根環流路での流速が遅いことから、気泡がポンプから排出できない虞がある。このような場合、ケーシングカバー内に気泡が蓄積され、インペラを収容する中間ケーシングまで気泡が及ぶと、メカニカルシールや水中軸受等の摺動部品がドライ運転により発熱及び摩耗する虞がある。
【0007】
このような不具合を防止するために、流量センサにより流量が検出されない状態が一定時間経過した場合に、圧力低下と判断してポンプ装置を停止し、一定時間休止させた後に、ロータリー運転により起動するポンプ装置を切り換えて、ポンプ装置を再度起動し、複数回連続して圧力低下を検出した場合に、ポンプ装置を停止し、故障として情報を表示することや、警報を送出することも実施されている。
【0008】
従来の圧力低下検出処理は、低圧ゆえにインペラ段数が2乃至3段の主軸が短い横軸タービンポンプに対応して設定されており、圧力低下を判断するための時間は、一分程度に設定されており、気中で高速回転し、摺動するメカニカルシールや水中軸受は、100℃を超える高温に達する虞がある。また、休止させる時間は一分程度に設定されることから、待機するポンプ装置の台数が少ない場合には、メカニカルシールや水中軸受が冷却されることなく、再びポンプ装置が起動される虞もある。
【0009】
しかし、上記の不具合は、圧力低下検出時間を、例えば15秒と短く設定して過熱温度を抑制するとともに、休止時間を例えば30分に設定して冷却時間を長くするとともに、さらに、リトライ回数を2回に削減すれば、ポンプ装置が再び揚水した場合も、上記のようなヒートショックによる水中軸受の破損を防止可能と考えられる。
しかしながら、上記のように制御部のパラメータを変更しても、圧力低下によりリトライ故障と判断して、該当ポンプを故障停止して、外部へ故障警報を送出された場合、直ちに作業者が作業に取りかかることになる。
【0010】
そして、複数のポンプのケーシングカバーに取り付けられた逃がし管の開閉弁を開いて、キャビテーションにより滞留した気泡を、受水槽に逃がし、各ポンプ内の温度上昇を防止するように変更する。この作業は簡便なため短時間で終了し、その後、作業者が制御部の故障リセットボタンを押すことにより、復帰処理がなされた場合、充分な冷却時間が経過しないままに、該当ポンプ装置が再度、起動されて、正常に揚水した場合には、メカニカルシールや水中軸受が揚水された水によって急冷されることから、ヒートショックにより破損する虞もある。
【0011】
そこで本発明は、揚水不能により高温となった主軸及びインペラの回転を支持する摺動部品が、急冷により破損することを防止できる給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態に係る給水装置は、主軸及びインペラの回転を支持するために、ポンプケーシング内の水中で摺動する摺動部品を有する複数のポンプ装置と、前記ポンプ装置の二次側に設けられた圧力検出器と、前記ポンプ装置の流量を検出する流量検出器と、前記ポンプ装置を起動する起動圧力、及び、圧力低下と判断された前記ポンプ装置を休止する休止時間及び前記摺動部品を冷却するための冷却時間が記憶された記憶部と、前記複数のポンプ装置をロータリー運転するとともに、前記ポンプ装置の運転時に、前記圧力検出器で検出された圧力が前記起動圧力以下であり、前記流量検出器で流量が検出されない状態が一定時間経過したときに、圧力低下と判断して運転している前記ポンプ装置を停止し、且つ、前記圧力低下と判断した前記ポンプ装置の前記ロータリー運転における順番をスキップさせて、他の前記ポンプ装置を駆動し、前記休止時間が経過した後に、前記圧力低下と判断した前記ポンプ装置を、前記ロータリー運転において、再度、起動可能とするとともに、前記ポンプ装置が、前記圧力低下
の判断により、設定された回数、停止した場合には、前記ポンプ装置の故障と判断し、故障リセットによる人為的な復帰処理がなされた場合も、前記冷却時間が経過するまで、前記ポンプ装置の起動を禁止する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、揚水不能により高温となった主軸及びインペラの回転を支持する摺動部品が、急冷により破損することを防止できる給水装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る給水装置1を、
図1乃至
図4を用いて説明する。
図1は、給水装置1の構成を示す正面図であり、
図2は、給水装置1の構成を一部断面で示す側面図であり、
図3は、
図4は、給水装置1の構成の一部である吐出管12、逆止弁13及び第1流量検出器19を一部断面で示す側面図である。
【0016】
図1及び
図2に示すように、給水装置1は、ベース10と、ベース10上に配置された複数のポンプ装置11と、複数のポンプ装置11の二次側にそれぞれ接続される複数の吐出管12と、各吐出管12に設けられる複数の逆止弁13と、各吐出管12に設けられる複数の開閉弁14と、複数の吐出管12を連結する連結管15と、連結管15に設けられる接続管16と、接続管16に設けられる蓄圧装置17と、複数のポンプ装置11のケーシングカバー32fに接続される逃がし管18と、各ポンプ装置11の二次側の流量をそれぞれ検出する複数の第1流量検出器19と、連結管15内の圧力を検出する圧力検出器20と、蓄圧装置17から連結管15へ流れる流量を検出する第2流量検出器21と、各ポンプ装置11の動作を制御する制御盤22と、を備える。給水装置1は、ポンプ装置11により水源の水を圧送し、吐出管12及び連結管15を介して給水先に給水する。
【0017】
図1及び
図2に示すように、ポンプ装置11は、モータ31と、ポンプ32と、モータ31及びポンプ32を接続する主軸33と、ポンプ32内に設けられた摺動部品34と、を備える。ポンプ装置11は、一次側が水源に接続される。ここで、水源は、例えば受水槽である。ポンプ装置11は、例えば、モータ31に接続された主軸33が重力方向に沿って延設され、モータ31がポンプ32の上部に配置された、所謂立型多段タービンポンプである。ポンプ装置11は、例えば3台設けられる。
【0018】
モータ31は、回転軸を介してポンプ32と接続される。モータ31は、制御盤22に電気的に接続される。モータ31は、例えば、ケーシング31a内に固定子及び回転子を有するとともに、回転子に固定され、主軸33と連結される回転軸31bを有する。
【0019】
ポンプ32は、モータ31により駆動される。ポンプ32は、例えば、下端側に吸込口32a及び吐出口32bを有する。ポンプ32は、吸込口32aが受水槽に接続され、吐出口32bが吐出管12に接続される。
【0020】
例えば、ポンプ32は、吸込口32a及び吐出口32bを構成するケーシング32cと、ケーシング32c上に複数配置されるポンプケーシング32dと、ポンプケーシング32d上に配置される中間ケーシング32eと、中間ケーシング32e上に配置されるケーシングカバー32fと、複数のポンプケーシング32d内に配置され、主軸33に固定される複数のインペラ32gと、ケーシングカバー32fに設けられ、複数のポンプケーシング32d及び中間ケーシング32eを覆う管ケーシング32hと、を備えている。
【0021】
ケーシング32cは、ベース10に固定される。ポンプケーシング32dは、主軸33を挿通可能に形成される。
【0022】
ポンプケーシング32dは、互いに積層可能、且つ、ケーシング32c上に積層可能に形成される。
【0023】
中間ケーシング32eは、最上段のポンプケーシング32dに積層可能に形成される。中間ケーシング32eは、ポンプケーシング32d及び管ケーシング32hを流体的に連続する。
【0024】
ケーシングカバー32fは、中間ケーシング32eに積層される。また、ケーシングカバー32fは、ポンプ32の上面を覆うとともに、例えば、連結部材等を介してモータ31が接続される。
【0025】
インペラ32gは、各ポンプケーシング32d内に配置される。インペラ32gは、各ポンプケーシング32dに挿通された主軸33に固定される。
【0026】
管ケーシング32hは、ケーシング32c及びケーシングカバー32f間に設けられ、内周面と複数のポンプケーシング32dの外周面との間に、ケーシングカバー32fからケーシング32cの吐出口32bへの流路を構成する。
【0027】
主軸33は、例えば、カップリング33a等を介してモータ31の回転軸31bに連結される。
【0028】
摺動部品34は、ポンプ32内を揚水される水中において摺動する部品である。摺動部品34は、例えば、軸封装置36と、水中軸受37と、を含む。
【0029】
軸封装置36は、ケーシングカバー32f及び主軸33の間を軸封する。軸封装置36は、例えば、ケーシングカバー32fに設けられた固定環36aと、主軸33に設けられた回転環36bと、回転環36bを固定環36aに向かって押圧する付勢部材36cと、を備えている。
【0030】
固定環36aは、炭化ケイ素(SiC)等のセラミック材料により形成される。回転環36bは、主軸33の回転に伴って回転することで、固定環36aと摺動する。回転環36bは、例えば、カーボン材料により形成される。
【0031】
水中軸受37は、主軸33に設けられたスリーブ37aと、ポンプケーシング32d及び中間ケーシング32eに設けられた軸受37bと、を備えている。
【0032】
スリーブ37aは、主軸33の中間ケーシング32eの軸受37bと対向する部位に設けられる。スリーブ37aは、SiC等のセラミック材料により形成される。
【0033】
軸受37bは、スリーブ37aと摺動可能に、中間ケーシング32eに設けられる。軸受37bは、SiC等のセラミック材料により形成される。
【0034】
図2に示すように、吐出管12は、一端が各ポンプ32の吐出口32bに、他端が連結管15に、それぞれ接続される。吐出管12は、例えば、少なくとも一部が重力方向に沿って延設される。
【0035】
図2及び
図3に示すように、逆止弁13は、ポンプ32の二次側であって、且つ、連結管15の一次側に、例えば、各吐出管12にそれぞれ設けられる。逆止弁13は、吐出管12内でポンプ32へ向かう水の逆流を防止する。
【0036】
図2に示すように、開閉弁14は、ポンプ32の二次側であって、且つ、連結管15の一次側に、例えば、各吐出管12にそれぞれ設けられる。開閉弁14は、例えば、吐出管12と連結管15との接続部に隣接する位置に設けられる。開閉弁14は、吐出管12から連結管15に連続する流路を開放又は閉塞する。
【0037】
図1及び
図2に示すように、連結管15は、複数の吐出管12の他端を連結する。また、連結管15は、連結された複数の吐出管12の二次側に2つの開口端を有し、一端に閉止フランジが接続され、他端に給水先に連通する配管が接続される。連結管15は、各吐出管12を通過した水を合流させ、接続された配管に連通する二次側への流路を形成する。
【0038】
図1及び
図2に示すように、接続管16は、連結管15に設けられ、吐出管12が連結される位置よりも二次側に配置される。また、接続管16は、複数の蓄圧装置17が設けられる。接続管16は、複数の蓄圧装置17と連結管15とを流体的に連続する。
【0039】
図1及び
図2に示すように、蓄圧装置17は、接続管16に複数設けられる。本実施形態では、蓄圧装置17は、2台設けられる。蓄圧装置17は、接続管16を介して、連結管15と流体的に連続する。
【0040】
図1及び
図2に示すように、逃がし管18は、複数のポンプ32のケーシングカバー32fに取り付けられており、その二次側は、受水槽に流体的に接続されている。逃がし管18は、ポンプ32内で増圧された水の一部とキャビテーションにより滞留した気泡を受水槽に逃がし、各ポンプ32内の温度上昇を防止するが、揚水性能の低下も招くため、流れ込み仕様の場合は、逃がし管18に接続された開閉弁を閉じる。
【0041】
図2及び
図3に示すように、第1流量検出器19は、各ポンプ32の二次側の流量を検出可能に、各吐出管12にそれぞれ設けられる。なお、第1流量検出器19は、ポンプ32を通過する水の流量を検出可能であれば、各吐出管12に設けられるのではなく、ポンプ32の一次側に設けられる構成であってもよい。具体例として、第1流量検出器19は、例えば、ポンプ32の二次側であって、且つ、吐出管12に設けられた逆止弁13の一次側に設けられる。即ち、第1流量検出器19は、各ポンプ32の二次側の流量を検出可能に構成される。第1流量検出器19は、流量に対応した信号を出力する流量計である。第1流量検出器19は、信号を制御盤22に送信する。第1流量検出器19は、例えば、回転軸41と、羽根車42と、羽根車42の回転を検出する検出部43と、を備える羽根車式流量計である。
【0042】
回転軸41は、軸方向が水の流れ方向に対して直交する向きに、吐出管12内に配置される。
【0043】
羽根車42は、回転軸41と一体に形成されるか、又は、別体に設けられた回転軸41に固定される。羽根車42は、吐出管12内を通過する水流を受けることで回転軸41を回転させる。このような回転軸41及び羽根車42は、重力方向に延びる吐出管12の一部に配置され、吐出管12内の上昇流によって羽根車42が回転可能に、吐出管12に設けられる。
【0044】
検出部43は、例えば、回転軸41に設けられた磁石と、磁石の回転を検出するセンサと、当該センサと電気的に接続される検出基板と、を備える。具体例として、センサは、磁気検出素子である交番検知タイプのホールICである。検出部43は、回転軸41の回転に伴う磁石の回転をパルス信号に変換する。検出部43は、信号線等を介して制御盤22に電気的に接続される。検出部43は、パルス信号を制御盤22に送信する。
【0045】
図1に示すように、圧力検出器20は、連結管15に設けられる。圧力検出器20は、連結管15内の圧力を検出可能に構成される。圧力検出器20は、信号線等を介して制御盤22に電気的に接続される。圧力検出器20は、例えば、圧力に対応した信号を出力する圧力計である。圧力検出器20は、検出した圧力を信号に変換し、信号を制御盤22に送信する。
【0046】
図2に示すように、第2流量検出器21は、接続管16に設けられ、接続管16及び連結管15の接続部と蓄圧装置17との間に配置される。即ち、第2流量検出器21は、蓄圧装置17から連結管15へ流れる水の流量を検出可能に構成される。第2流量検出器21は、配管漏水等の給水によって生じる程度の微少流量を検出可能な流量計である。第2流量検出器21は、流量に対応した信号を出力する流量計である。第2流量検出器21は、信号を制御盤22に送信する。第2流量検出器21は、例えば、第1流量検出器19と同様に、回転軸41と、羽根車42と、羽根車42の回転を検出する検出部43と、を備える羽根車式流量計である。
【0047】
図1に示すように、制御盤22は、インバータ51と、故障の情報を表示する表示部52と、故障の情報を外部に警報する報知部53と、入力部54と、記憶部55と、制御部56と、を備える。
【0048】
インバータ51は、信号線を介してモータ31及び制御部56に電気的に接続される。インバータ51は、例えば、モータ31と同数設けられる。本実施形態では、インバータ51は、3台設けられる。インバータ51は、運転周波数が可変することで、モータ31の回転数を可変させる。
【0049】
表示部52は、例えば、光又は文字等により故障の情報を表示可能に形成される。例えば、表示部52は、光を点灯可能な表示灯及び文字等を表示可能なディスプレイである。
【0050】
報知部53は、外部に故障警報を報知可能に形成された警報装置である。例えば、報知部53は、音により故障警報を報知可能なスピーカーや、無線や有線によって故障警報の情報を管理センター等に設置される処理装置に送出可能な通信機器である。
【0051】
入力部54は、各種設定値を入力可能な入力ボタンやリセット指令を入力可能なリセットボタン等である。
【0052】
記憶部55は、停止流量Q0と、インバータ51の最高運転周波数fmaxと、最高運転周波数でインバータ51がモータ31を駆動し、吐出圧力が定格の設定圧力P1であるときの定格流量Q1と、停止流量Q0時の推定末端圧力P2と、起動圧力P3と、を記憶する。また、記憶部55は、ポンプ装置11の停止流量Q0時における単位時間あたりのパルス数を一定値X0として記憶する。
【0053】
停止流量Q0は、ポンプ装置11を停止する流量である。定格流量Q1は、インバータ51の運転周波数が最高運転周波数fmaxであって、且つ、ポンプ装置11の吐出し圧力が定格設定圧力P1であるときのポンプ装置11の流量である。停止流量Q0時における単位時間当たりのパルス数X0は、制御部56が予め、第1流量検出器19において、ポンプ32個別の流量検出器19の出力の一周期当たりのON又はOFF時間を計測することで求められる。起動圧力P3は、ポンプ装置11を起動する圧力である。起動圧力P3は、停止流量Q0時の推定末端圧力P2よりも低い圧力に設定される。
【0054】
制御部56は、第1流量検出器19及び第2流量検出器21による流量の検出値として、第1流量検出器19及び第2流量検出器21より受信したパルス信号のパルス数nをそれぞれ検出し、パルス数nから流量値に変換する。また、制御部56は、圧力検出器20による圧力の検出値として、圧力検出器20より受信した信号を圧力値に変換する。制御部56は、第1流量検出器19、圧力検出器20及び第2流量検出器21による流量及び圧力の各検出値、並びに、記憶部55が記憶する情報に基づいて、各インバータ51の運転周波数を制御する。
【0055】
また、制御部56は、複数のポンプ装置11を単独及び並列運転で起動及び停止するとともに、起動及び停止するポンプ装置11を順番に切り換えるロータリー運転を行う運転機能を有する。また、制御部56は、少なくとも経過時間をカウント可能な計時機能を有する。なお、例えば、計時機能は、さらに日付及び時刻を計時可能であってもよい。なお、運転機能、計時機能は、記憶部55に記憶されたプログラム等を制御部56が実行することで得られる。
【0056】
さらに、制御部56は、摺動部品34を冷却する冷却機能を有する。以下に、冷却機能について詳述する。
【0057】
冷却機能は、ポンプ装置11の運転時に摺動部品34が高温となる所定の条件を満たしたと判断した場合に、制御部56が、該当するポンプ装置11の運転を停止し、その後の起動を規制する機能である。
【0058】
冷却機能の具体例として、制御部56は、ポンプ装置11の運転時に、運転周波数が最高運転周波数fmaxであり、吐出圧力が推定末端圧力P2より低い起動圧力P3以下になり、そして、第1流量検出器19により検出された単位時間当たりのパルス数がゼロである状態が一定時間t1経過した場合に、圧力低下と判断してポンプ装置11を停止する。なお、ここで、一定時間t1は、予め記憶部55に記憶する。例えば、一定時間t1は、15秒である。
【0059】
そして、予め記憶部55に記憶された休止時間t2が経過するまで、制御部56は、圧力低下と判断したポンプ装置11を起動させず、ロータリー運転の順番を、当該判断したポンプ装置11をスキップさせて、他のポンプ装置11により通常運転を行う。なお、ここで、休止時間t2は、一定時間t1よりも長い時間に設定される。例えば、休止時間t2は、30分である。
【0060】
そして、制御部56は、休止時間t2経過後に、圧力低下と判断したポンプ装置11を起動可能とする。具体例として、制御部56は、休止時間t2経過後に、ロータリー運転で圧力低下と判断したポンプ装置11の順番が回ってきた場合に、圧力低下と判断したポンプ装置11を再度起動する。そして、圧力低下と判断したポンプ装置11が予め設定された回数、例えば、2回連続して圧力低下と判断された場合には、制御部56は、当該ポンプ装置11を故障と判断し、表示部52によってポンプ装置11の故障を、給水装置1を設置する室内で表示する。
【0061】
なお、所定の回数連続して、圧力低下と判断されなかった場合には、当該ポンプ装置11は、ロータリー運転で次回以降も運転を行う。
【0062】
ポンプ装置11が圧力低下による故障と判断された場合であって、運転可能な他のポンプ装置11により給水されている場合には、制御部56は、計時機能によって経過時間のカウントを開始し、予め設定された冷却時間t3が経過するまで、圧力低下と判断したポンプ装置11の起動を禁止する。そして、制御部56は、冷却時間が経過した時点で、ポンプ装置11の起動禁止を解除し、報知部53により故障警報を送出する。ここで、冷却時間は、予め設定され、記憶部55に記憶される。例えば、冷却時間t3は、休止時間t2の2倍に設定され、本実施形態においては、60分に設定される。
【0063】
なお、圧力低下と判断したポンプ装置11の起動を禁止している間は、制御部56は、入力部54のリセットボタンを押すことによって人為的に復帰処理された場合にも、故障状態を解除するが、ポンプ装置11の起動禁止を維持する。なお、故障状態の解除とは、報知部53により送出される故障警報をOFFし、外部への報知を停止することである。
【0064】
ポンプ装置11が圧力低下による故障と判断された場合であって、運転可能なポンプ装置11がなく、断水に陥った場合には、制御部56は、直ちに、報知部53により故障警報を送出し、計時機能によって経過時間の計時を開始し、予め設定された冷却時間が経過するまで、圧力低下と判断したポンプ装置11の起動を禁止する。なお、圧力低下と判断したポンプ装置11の起動を禁止している間は、制御部56は、入力部54のリセットボタンを押すことによって人為的に復帰処理された場合にも、故障状態を解除するが、ポンプ装置11の起動禁止を維持する。
【0065】
また、運転可能なポンプ装置11により給水されているか、断水に陥っているかに係わらず、制御部56は、圧力低下を検出してポンプ装置11を故障停止した時点から冷却時間が経過するまでの間、表示部52の表示灯を点滅又は点灯させることで、故障表示を行うとともに、ディスプレイに冷却時間の経過時間若しくは残存値を表示する。
【0066】
このように構成された給水装置1によれば、制御部56は、ポンプ装置11の運転時に、運転周波数が最高運転周波数fmaxであり、吐出圧力が推定末端圧力P2より低い起動圧力P3以下になり、そして、第1流量検出器19により検出された単位時間当たりのパルス数がゼロである状態が一定時間t1経過した場合に、ポンプ装置11の圧力低下と判断して、ポンプ装置11を停止する。
【0067】
制御部56は、圧力低下が検出された場合に、予め記憶部55に記憶された休止時間t2が経過するまでポンプ装置11を起動させない。そして、圧力低下の検出が、予め設定された回数繰り返されると、制御部56は、ポンプ装置11を圧力低下故障と判断する。そして、ポンプ装置11を圧力低下故障と判断した場合には、予め記憶部55に記憶された冷却時間t3が経過するまでポンプ装置11を起動させない。
【0068】
このため、ポンプ装置11内に空気が溜まり、気中において摺動部品34が高速回転して、高温となったのち、充分に冷却されないまま、再度の揚水により急冷されてヒートショックによって破損することを防止できる。即ち、圧力低下検出又は故障と判断した場合に、休止時間t2又は冷却時間t3が経過するまで、ポンプ装置11を起動させない。
【0069】
即ち、制御部56は、摺動部品34が高温となっている虞がある状態においてポンプ装置11を起動させないことから、再揚水された水によって摺動部品34が冷却されることを防止できる。結果、給水装置1は、摺動部品34がヒートショックにより破損することを防止できる。
【0070】
また、制御部56は、ポンプ装置11が圧力低下故障と判断された場合であって、運転可能なポンプ装置11により給水されている場合には、冷却時間t3が経過した時点で、ポンプ装置11の起動禁止を解除し、報知部53により故障警報を送出する。この場合、運転可能な他のポンプ装置11により給水されていることから、故障停止と同時に故障警報を送出する必要がなく、例えば、入力部54のリセットボタンを押して故障状態を解除した場合には、摺動部品34を冷却する充分な冷却時間が経過していることから、再揚水時に、ヒートショックによる破損を引き起こすことがない。
【0071】
さらに、制御部56は、ポンプ装置11が圧力低下故障と判断された場合であって、断水に陥った場合には、故障警報を直ちに送出し、予め設定された冷却時間が経過するまで、圧力低下と判断したポンプ装置11の起動を禁止する。また、制御部56は、圧力低下と判断したポンプ装置11の起動を禁止している間は、制御部56は、入力部54のリセットボタンを押すことによって復帰処理された場合には、故障検出を解除するが、ポンプ装置11の起動禁止を維持する。このため、圧力低下故障停止と同時に故障警報を送出し、警報送出後に作業員が早期に故障の原因を解消した場合に、入力部54のリセットボタンを操作して復帰処理された場合であっても、冷却時間t3が経過するまでポンプ装置11が起動されることがない。このため、ポンプ装置11の故障が解消されても摺動部品34が冷却されるまでポンプ装置11が起動することがないことから、再揚水時のヒートショックによる破損を防止できる。
【0072】
また、制御部56は、圧力低下を検出してポンプ装置11を故障停止した時点から冷却時間t3が経過するまでの間、表示部52の表示灯を点滅又は点灯させることで、故障表示を行うとともに、ディスプレイに冷却時間の経過時間又は残存時間を表示する。これにより、作業者が圧力低下を検出して故障停止したポンプ装置11を起動できないこと、及び、起動可能となる時間を確認可能となる。よって、作業者は、ポンプ装置11の停止の理由を確認することが可能となることから、制御盤の故障と誤認することがない。
【0073】
上述したように、本発明の一実施形態に係る給水装置1によれば、ポンプ装置11に用いられる摺動部品34の破損を抑制できる。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述した例では、摺動部品34は、軸封装置36と、水中軸受37と、を含む構成を説明したがこれに限定されない。例えば、摺動部品34は、インペラ32g及びポンプケーシング32dに設けられたライナリングを含む構成であってもよい。
【0075】
また、上述した例では、給水装置1は、故障検出の例として、ポンプ装置11の圧力低下を検出する例を用いたが、これに限定されない。例えば、故障検出の例として、摺動部品34のうち、軸封装置36の過熱検出によって故障を検出する構成としてもよい。具体例として、制御部56が温度センサ等によって軸封装置36の温度を検出し、記憶部55に記憶された正常な温度よりも高温の異常温度である閾値と検出した温度を比較する。そして、軸封装置36の温度が異常温度である場合に、制御部56がポンプ装置11を故障と判断し、故障判断されたポンプ装置11を、軸封装置36の温度が正常な温度まで低下するまで起動しない構成としてもよい。
【0076】
即ち、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 主軸及びインペラの回転を支持するために、ポンプケーシング内の水中で摺動する摺動部品を有するポンプ装置と、
前記ポンプ装置の二次側に設けられた圧力検出器と、
前記ポンプ装置の流量を検出する流量検出器と、
前記ポンプ装置を起動する起動圧力、及び、圧力低下と判断された前記ポンプ装置を休止する休止時間及び前記摺動部品を冷却するための冷却時間が記憶された記憶部と、
前記ポンプ装置をロータリー運転するとともに、前記ポンプ装置の運転時に、前記圧力検出器で検出された圧力が前記起動圧力以下であり、前記流量検出器で流量が検出されない状態が一定時間経過したときに、圧力低下と判断して運転している前記ポンプ装置を停止し、休止時間が経過した後に、前記圧力低下と判断した前記ポンプ装置を、再度、起動可能とするとともに、前記ポンプ装置が、前記圧力低下検出により、設定された回数、停止した場合には、前記ポンプ装置の故障と判断し、故障リセットによる人為的な復帰処理がなされた場合も、前記冷却時間が経過するまで、前記ポンプ装置の起動を禁止する制御部と、
を備える給水装置。
[2] 前記故障を警報する報知部を有し、
前記制御部は、前記故障を検出した前記ポンプ装置を停止した後、運転可能な前記ポンプ装置により給水中に、前記冷却時間が経過した後に、前記報知部により前記故障を外部へ警報する、[1]に記載の給水装置。
[3] 前記制御部は、前記故障を検出した前記ポンプ装置を停止した後、運転可能な前記ポンプ装置がない場合に、前記故障を検出した時点で、前記報知部により前記故障を外部へ警報する、[2]に記載の給水装置。
[4] 故障及び時間を表示する表示部を有し、
前記制御部は、前記ポンプ装置の故障が検出された場合に、故障を前記表示部に表示させるとともに、前記冷却経過時間若しくは前記冷却時間の残存時間を前記表示部に表示させる、[1]に記載の給水装置。
[5] 前記流量検出器は、羽根車式であり、
前記制御部は、前記ポンプ装置で出力される単位時間当たりのパルス信号のパルス数がゼロである状態が一定時間経過した場合に、前記圧力低下と判断する、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の給水装置。