(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、左右一対の支持プレートの上面に金属箔等のシート状部材を貼り付けて、その表面でディスプレイを支持している。この際、シート状部材と支持プレートとの間は、支持プレートの折曲部に対応する部分に非粘着領域を設け、これにより支持プレート間の折曲動作を許容している。
【0005】
ところで、このような支持プレートとシート状部材との粘着は、通常、両面テープを用いて行っている。そして、折曲部に対応する部分は、両面テープを設置しないことで、非粘着領域を形成している。この構造上の変化は、極めて薄い構造のディスプレイに投影され、ディスプレイの表面に線や筋のようなものが現れることがある。これは、外観品質や視認性の低下を招く可能性がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、ディスプレイの外観品質や視認性を向上することができる携帯用情報機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る携帯用情報機器は、携帯用情報機器であって、第1筐体部材と、前記第1筐体部材に対して相対的に回動可能に連結された第2筐体部材と、前記第1筐体部材に固定された第1支持プレートと、前記第2筐体部材に固定され、前記第1支持プレートと隣接して設けられた第2支持プレートと、前記第1支持プレート及び前記第2支持プレートの表面で、その裏面が支持され、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材が相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有するディスプレイと、前記第1支持プレート及び前記第2支持プレートの表面と、前記ディスプレイの裏面とを粘着により固定する粘着部材と、を備え、少なくとも前記折曲領域と重なる範囲において、前記第1支持プレート及び前記第2支持プレートの表面と、前記ディスプレイの裏面との間の粘着力を他の部分よりも弱めた弱粘着部を有する。
【0008】
このような構成によれば、弱粘着部は、筐体部材間を回動させた際、開いた状態でディスプレイの折曲領域を各支持プレート上に固定する。そして、弱粘着部は、筐体部材間を開いた状態から折り畳んで閉じた状態とする際には、ディスプレイの裏面又は支持プレートの表面から容易に剥がれ、ディスプレイの折曲動作を阻害することがない。このため、当該携帯用情報機器は、折り曲げ可能なディスプレイを有した構成でありながらも、使用時にディスプレイの折曲領域及びその周辺部も含めてしわや浮き上がりを生じることが抑制され、その外観品質や視認性を向上することができる。
【0009】
前記弱粘着部は、前記粘着部材の一部に粘着剤が配設されていない非粘着部を設けることで、その粘着力を弱めた構成としてもよい。
【0010】
前記弱粘着部は、前記粘着部材の一部の粘着面にマスキング材を設けてその粘着力を無くした非粘着部を設けることで、その粘着力を弱めた構成としてもよい。
【0011】
前記弱粘着部は、前記粘着部材の一部に、前記他の部分よりも粘着性が低い粘着剤を設けることで、その粘着力を弱めた構成としてもよい。
【0012】
前記弱粘着部は、前記第1支持プレート及び前記第2支持プレートの表面、及び前記ディスプレイの裏面のうち、少なくとも一方の面の一部に表面処理を施すことで、前記粘着部材に対する相対的な粘着力を弱めた構成としてもよい。
【0013】
前記弱粘着部は、前記ディスプレイの裏面と、前記第1支持プレート及び前記第2支持プレートの表面とのうち、一方の面に対する前記粘着部材の粘着力が他方の面に対する前記粘着部材の粘着力よりも相対的に弱い構成としてもよい。そうすると、弱粘着部をディスプレイ又は支持プレートから選択的に剥がれる構成とすることができる。このため、回動動作時に弱粘着部をディスプレイと支持プレートのいずれから剥離させるかを容易に選択できる。
【0014】
前記弱粘着部は、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材との間をそれぞれが略同一平面上にある使用形態とした場合に、前記一方の面及び前記他方の面に粘着された状態となり、前記第1筐体部材と前記第2筐体部材との間をそれぞれが対面する位置まで回動させて前記折曲領域が折り曲げられた収納形態とした場合に、前記一方の面から剥がれ、前記他方の面に粘着された状態となる構成としてもよい。
【0015】
前記一方の面は、前記ディスプレイの裏面であり、前記他方の面は、記第1支持プレート及び前記第2支持プレートの表面であり、前記弱粘着部は、前記第1支持プレートと前記第2支持プレートとの境界線を基準として、前記第1支持プレート側に粘着された第1領域と、前記第2支持プレート側に粘着された第2領域と、を有する構成としてもよい。
【0016】
前記一方の面は、記第1支持プレート及び前記第2支持プレートの表面であり、前記他方の面は、前記ディスプレイの裏面であり、前記弱粘着部は、前記第1支持プレートと前記第2支持プレートとの境界線を基準として、前記第1支持プレート側から前記第2支持プレート側まで粘着された第1領域と、前記第2支持プレート側から前記第1支持プレート側まで粘着された第2領域と、を有する構成としてもよい。
【0017】
前記弱粘着部は、前記第1支持プレートと前記第2支持プレートとの境界線を基準として、前記第1支持プレート側に粘着された第1領域と、前記第2支持プレート側に粘着された第2領域と、を有し、前記第1領域は、前記境界線に沿って延びた波形状を有し、前記第2領域は、前記境界線に沿って延び、前記第1領域の波形状と隙間を介して対向する波形状を有し、前記隙間が前記非粘着部となる構成としてもよい。
【0018】
前記弱粘着部は、前記第1支持プレートと前記第2支持プレートとの境界線を基準として、前記第1支持プレート側に粘着された第1領域と、前記第2支持プレート側に粘着された第2領域と、を有し、前記第1領域及び前記第2領域は、前記粘着剤が配設されていない複数の孔部を有し、前記孔部が前記非粘着部となる構成としてもよい。
【0019】
前記弱粘着部は、前記折曲領域の長手方向で両端部の粘着力が、該長手方向で中央部の粘着力よりも強い構成としてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の上記態様によれば、ディスプレイの外観品質や視認性を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る携帯用情報機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は、一実施形態に係る携帯用情報機器10を閉じて収納形態とした状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す携帯用情報機器10を開いて使用形態とした状態を模式的に示す斜視図である。
図3は、
図2に示す携帯用情報機器10の内部構造を模式的に示す側面断面図である。
【0024】
図1及び
図2に示すように、携帯用情報機器10は、第1筐体部材12A及び第2筐体部材12Bと、背表紙部材14と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の携帯用情報機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PCである。携帯用情報機器10は、携帯電話、スマートフォン、電子手帳又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0025】
各筐体部材12A,12Bは、それぞれ背表紙部材14に対応する辺以外の3辺に側壁を起立形成した矩形の板状部材である。各筐体部材12A,12Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属板、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。ディスプレイ16は、筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bc間に亘るように設けられている。ディスプレイ16は、内面12Ac,12Bcに対して、第1支持プレート18A及び第2支持プレート18Bを介して支持されている。
【0026】
筐体部材12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。筐体部材12A,12B間は、互いの隣接縁部である一縁部12Aa,12Baの両端部に設けられた一対のヒンジ機構19,19を介して連結されている。ヒンジ機構19は、筐体部材12A,12B間を
図1に示す収納形態と
図2に示す使用形態とに折り畳み可能に連結している。収納形態では、筐体部材12A,12Bが略同一平面上に配置される。使用形態では、筐体部材12A,12Bが互いに対面する位置まで折り畳まれる。
図3中に1点鎖線で示す線Cは、筐体部材12A,12Bの折り畳み動作の中心となる折曲中心Cを示している。各筐体部材12A,12Bは、背表紙部材14側の一縁部12Aa,12Baがヒンジ側端部となる。各筐体部材12A,12Bは、背表紙部材14側とは反対側の他縁部12Ab,12Bbが開放端部となる。
【0027】
ヒンジ機構19は、例えば各筐体部材12A,12Bの一縁部12Aa,12Baの長手方向(Y方向)両端部のそれぞれに配置され、ディスプレイ16の外周縁部の外側に位置している。本実施形態の携帯用情報機器10は、ヒンジ機構19による筐体部材12A,12B間の回動中心がディスプレイ16の表面16cと一致した構成となっている。
【0028】
以下、
図1及び
図2に示すように、携帯用情報機器10について、中央の背表紙部材14から他縁部12Ab,12Bbに向かう方向をX方向、背表紙部材14の長手方向に沿う方向をY方向と呼んで説明する。
【0029】
ディスプレイ16は、例えばタッチパネル式の液晶ディスプレイである。ディスプレイ16は、例えば柔軟性の高いペーパー構造を持った有機EL等のフレキシブルディスプレイである。ディスプレイ16は、筐体部材12A,12Bの開閉動作に伴って開閉する。ディスプレイ16は、その表面16cの外周縁部にベゼル部材23が配設される。ベゼル部材23は、ディスプレイ16の表面の表示領域(アクティブ領域)R1を除く外周縁部の非表示領域(非アクティブ領域)R2を覆っている。ディスプレイ16は、例えば最上層のタッチパネル部、中層の表示部、最下層のカバーフィルム部等を積層したアセンブリ部品である。
【0030】
ディスプレイ16は、例えば
図3に示すように支持プレート18A,18Bの外周端面に突設された取付片24を介して筐体部材12A,12Bに位置決め固定される。取付片24は、支持プレート18A,18Bの隣接する一縁部18Aa,18Ba以外の外周縁部の適宜箇所に複数設けられている。取付片24は、例えば内面12Ac,12Bcに設けられたボス部25に対してねじ止めされる。これにより各支持プレート18A,18Bは、それぞれ各筐体部材12A,12Bの内面12Ac,12Bcに取り付けられる。
【0031】
各筐体部材12A,12Bと支持プレート18A,18Bとに挟まれた筐体内部空間には、基板、CPU等の各種半導体チップ、通信モジュール、バッテリ装置、冷却装置等の各種部品が取付固定されている。
【0032】
背表紙部材14は、可撓性を持った薄い板状部材で形成され、携帯用情報機器10を折り畳んだ際の背表紙となる。背表紙部材14は一縁部12Aa,12Ba間を内側から覆うように筐体部材12A,12B間に亘って設けられている。
図1に示すように、携帯用情報機器10は、収納形態では、筐体部材12A,12Bの一縁部12Aa,12Ba間が大きく離間して隙間を生じる。背表紙部材14は、この一縁部12Aa,12Ba間の隙間を覆うことで、内部のディスプレイ16や各種部品が露呈することを防止している。
【0033】
次に、支持プレート18A,18Bの構成例を説明する。
図3に示すように、各支持プレート18A,18Bは、薄いプレート状部材である。支持プレート18A,18Bは、ディスプレイ16を支持するプレートである。ディスプレイ16は、その裏面16aが支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbに対して粘着部材26を用いて固定されている。各支持プレート18A,18Bは、それぞれ各筐体部材12A,12Bに支持され、折曲中心Cを中心として本のように開閉される。
【0034】
支持プレート18A,18Bは、例えばステンレス等の金属板、或いは炭素繊維等による繊維強化樹脂板等で構成される。支持プレート18A,18Bは、使用形態では、隣接する一縁部18Aa,18Ba同士が当接する(
図5A参照)。支持プレート18A,18Bは、収納形態では、一縁部18Aa,18Ba同士が離間する(
図5B参照)。
【0035】
次に、粘着部材26の構成例を説明する。
図4は、粘着部材26の平面図である。
図5Aは、使用形態でのディスプレイ16、粘着部材26及び支持プレート18A,18Bの構成を模式的に示す側面断面図である。
図5Bは、収納形態でのディスプレイ16、粘着部材26及び支持プレート18A,18Bの構成を模式的に示す側面断面図である。
図5Aにおいて、粘着部材26は、
図4中のVA−VA線で切断した状態を図示している。
図6は、支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbに設けられた粘着部材26の一部を拡大した平面図である。
図7は、表面18Ab,18Bbに粘着部材26を設けた支持プレート18A,18Bを使用形態から収納形態へと折り畳む動作の途中の状態を模式的に示した平面図である。
図7は、筐体部材12A,12Bの折り畳み動作を受けて互いに離間する支持プレート18A,18Bの動作を平面的に図示しており、後述する
図9についても同様である。
【0036】
図5A及び
図5Bに示すように、粘着部材26は、ディスプレイ16の裏面16aと、支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbとの間を固定している。粘着部材26は、例えばPSA(Pressure Sensitive Adhesive)、OCA(Optical Clear Adhesive)等の両面テープである。粘着部材26の厚みは、例えば10μm〜30μm程度である。なお、粘着部材とは、2つの物質間を固定する部材を示すものであり、テープ状に形成された両面テープ以外、例えば塗布によって両面テープと同様に用いられる粘着剤等も含む概念である。
【0037】
図4及び
図6に示すように、粘着部材26は、第1粘着部26Aと、第2粘着部26Bと、弱粘着部27とを有する。
【0038】
第1粘着部26Aは、第1支持プレート18Aの表面18Abと、これに重なるディスプレイ16の裏面16aの略半分の領域とを粘着する。第2粘着部26Bは、第2支持プレート18Bの表面18Bbと、これに重なるディスプレイ16の裏面16aの略半分の領域とを粘着する。第1粘着部26Aと第2粘着部26Bは、弱粘着部27を挟んで左右に設けられる。
【0039】
弱粘着部27は、折曲中心Cを跨ぐように設けられ、Y方向に沿って帯状に延在している。弱粘着部27は、粘着部26A,26Bよりも粘着力が弱い部分である。弱粘着部27は、少なくともディスプレイ16の折曲領域16bと重なる範囲に設けられている。弱粘着部27は、折曲領域16bよりも多少広い範囲に設けられてもよい。折曲領域16bは、筐体部材12A,12B間及び支持プレート18A,18B間が折り畳まれた際、ディスプレイ16が円弧状に湾曲する部分である(
図5B参照)。
【0040】
弱粘着部27は、支持プレート18A,18B間の境界線(折曲中心C)を基準として、第1支持プレート18Aに粘着された第1領域27Aと、第2支持プレート18Bに粘着された第2領域27Bとを有する。第1領域27Aは、第1粘着部26Aの折曲中心C側の縁部に一体に設けられ、折曲中心Cに沿って延びた波形状を有する。第2領域27Bは、第2粘着部26Bの折曲中心C側の縁部に一体に設けられ、折曲中心Cに沿って延びた波形状を有する。領域27A,27Bの波形状同士は、例えば0.5周期分だけ位相がずれた状態で隙間30を介して対向している。隙間30は、第1領域27Aと第2領域27Bとの間で粘着部材26が設けられていない領域である。つまり隙間30は、粘着部材26を形成する粘着剤等が設けられていない非粘着部30と言い換えてもよい。非粘着部30は、領域27A,27B間を折曲中心Cを中心として左右に分断している。弱粘着部27は、非粘着部30を有することで、単位面積当たりで見た場合の粘着力が粘着部26A,26Bよりも弱い。換言すれば、粘着部26A,26Bは、非粘着部30が設けられていない分だけ、弱粘着部27よりも単位面積当たりの粘着力が強いとも言える。粘着部26A,26Bは、粘着部材26の使用量の低減のため、多少は非粘着部が存在していてもよいが、少なくとも弱粘着部27よりも単位面積当たりの非粘着部の割合が小さい。
【0041】
弱粘着部27は、例えば隙間30の形状に形成した図示しないマスキングテープを貼り付けた支持プレート18A,18B上に粘着部材26を塗布し、マスキングテープに重なった部分の粘着部材26を他の部分から切りとるように、マスキングテープと共に剥がすことで、容易に形成できる。
【0042】
本実施形態のディスプレイ16は、その裏面16aがシリコーン製のカバーフィルム部で形成されている。一方、支持プレート18A,18Bは、その表面18Ab,18Bbも含めて繊維強化樹脂板で形成されている。このため、上記したPSAやOCA等で形成された粘着部材26は、ディスプレイ16よりも支持プレート18A,18Bに対してより強力に粘着される。その結果、粘着部26A,26Bよりも粘着力の弱い弱粘着部27は、支持プレート18A,18Bに対してはある程度大きな粘着力で粘着される。一方、弱粘着部27は、ディスプレイ16に対しては小さな粘着力で粘着される。このため、弱粘着部27は、引き剥がし力を受けた場合、支持プレート18A,18Bよりもディスプレイ16から優先して剥がれる。このように、本実施形態の弱粘着部27は、ディスプレイ16の裏面16aに対する粘着力が、支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbに対する粘着力よりも相対的に弱い。
【0043】
次に、携帯用情報機器10を使用形態から収納形態に折り畳む動作と、この動作時の粘着部材26の状態を説明する。
【0044】
携帯用情報機器10が
図2に示す使用形態にある場合、
図5Aに示すように、支持プレート18A,18Bは、互いの一縁部18Aa,18Baの端面同士が当接し、1枚の平板を形成している。この状態では、粘着部材26の粘着部26A,26Bは、支持プレート18A,18Bとディスプレイ16との間を広い面積で粘着している。粘着部材26の弱粘着部27は、平板状の支持プレート18A,18Bの一縁部18Aa,18Baの周辺部と、その上で開かれて1枚の平板状に形成されたディスプレイ16の折曲領域16bとの間を粘着している。これによりディスプレイ16は、折曲領域16bも含めた略全面が支持プレート18A,18B上に確実に固定され、折曲領域16b及びその周辺部も含めてしわや浮き上がりを生じることが抑制される。このため、当該携帯用情報機器10は、使用形態時のディスプレイ16の外観品質や視認性が確保される。
【0045】
次に、携帯用情報機器10を使用形態から収納形態に折り畳む場合、
図5Bに示すように、粘着部材26の弱粘着部27がディスプレイ16の裏面16aから剥がれる。すなわち、粘着部材26は、ヒンジ機構19の回動中心であるディスプレイ16の表面16cよりも外側にあるため、折曲時の内輪差で引張方向の力を受ける。このため、折曲領域16bに対して配置され、他の部分(粘着部26A,26B)よりも粘着力が弱い弱粘着部27は、支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bb又はディスプレイ16の裏面16aから引き剥がされる方向の力を受ける。この際、上記したように、ディスプレイ16の裏面16aに対する粘着力は、支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbに対する粘着力よりも相対的に弱い。このため、弱粘着部27はディスプレイ16から剥がれ、支持プレート18A,18B上に残る。
【0046】
同時に、支持プレート18A,18Bは、その一縁部18Aa,18Ba間が離間する。その結果、収納形態時には、弱粘着部27は、第1粘着部26A及び第1領域27Aが第1支持プレート18A上に残り、第2粘着部26B及び第2領域27Bが第2支持プレート18B上に残って状態となる(
図5B及び
図7参照)。
【0047】
このように、当該携帯用情報機器10は、使用形態時ではディスプレイ16の裏面16aの略全面を粘着部材26で粘着固定することができる。しかも当該携帯用情報機器10は、粘着部材26が弱粘着部27を有することで、収納形態へと折り畳む際は弱粘着部27がディスプレイ16から剥がれる。その結果、ディスプレイ16は、収納形態へと円滑に折り畳むことができ、さらに折り畳み時にディスプレイ16に過度な負荷や設計条件を越えた曲率での折曲力が掛かることが抑制される。
【0048】
弱粘着部27は、例えばY方向で両端部付近の粘着力をY方向で中央部の粘着力よりも強くした構成としてもよい。そうすると、しわや浮き上がりが目立ち易い、ディスプレイ16の折曲領域16bのY方向両端部でのしわ等の発生をより確実に抑制できる。
【0049】
次に、携帯用情報機器10を収納形態から使用形態に開くと、弱粘着部27は、
図5Aに示すようにディスプレイ16と支持プレート18A,18Bとの間で押圧され、再び、両者間を粘着する。このため、ディスプレイ16は、折曲領域16bも含めた略全面が支持プレート18A,18B上に再び固定され、折曲領域16b及びその周辺部も含めてしわや浮き上がりを生じることが抑制される。
【0050】
図8は、変形例に係る弱粘着部31を有する粘着部材26を支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbに設けた状態での一部拡大平面図である。
図9は、
図8に示す支持プレート18A,18Bを使用形態から収納形態へと折り畳む動作の途中の状態を模式的に示した平面図である。
【0051】
図8及び
図9に示すように、弱粘着部31は、上記した弱粘着部27の第1領域27A及び第2領域27Bとは形状の異なる第1領域31A及び第2領域31Bを有する。領域31A,31Bは、ディスプレイ16の折曲領域16bに重なる位置に沿って並んだ複数の孔部32を有する。各孔部32は、粘着部材26が設けられていない。つまり孔部32は、粘着部材26を形成する粘着剤等が設けられていない円形の非粘着部32と言い換えてもよい。
【0052】
図8及び
図9に示す構成例では、非粘着部32は、折曲中心Cを基準として左右対称形状となっている。具体的には、第1領域31Aの非粘着部32は、折曲中心Cに向かって次第に大径となる円形を3つ並べた組をY方向に複数並べた構成である。第2領域28Bの非粘着部32は、折曲中心Cに向かって次第に大径となる円形を3つ並べた組をY方向に複数並べた構成である。折曲中心Cに重なる最も大径の非粘着部32は、そのX方向半分ずつを第1領域31Aと第2領域31Bとで利用している。この最も大径の非粘着部32は、Y方向で隣接する非粘着部32,32間の部分が切れ目33で左右に分断されている。つまり第1領域31Aと第2領域31Bとの間は、折曲中心Cに沿った切れ目33と非粘着部32によって分断されている。
【0053】
図8及び
図9に示す弱粘着部27は、複数の非粘着部32を有することで、単位面積当たりで見た場合の粘着力が粘着部26A,26Bよりも弱い。従って、このような弱粘着部31を有する粘着部材26を用いた構成においても、
図5A及び
図5Bに示す構成例と同様な作用効果が得られる。つまり
図5Aに示す使用形態時には、弱粘着部31によってディスプレイ16が略全面で支持プレート18A,18Bと粘着され、しわや浮き上がりの発生が抑制される。また、
図5Bに示す収納形態時には、弱粘着部31がディスプレイ16の裏面16aから剥がれて、筐体部材12A,12B間が円滑に折り畳まれる。孔部32の形状は、円形以外、例えば多角形等でもよく、弱粘着部27が複数の孔部32を集めた網目形状等に形成されていてもよい。
【0054】
なお、
図4〜
図9で示した弱粘着部27は、折り畳み時に支持プレート18A,18Bから剥がれ、ディスプレイ16に残る構成としてもよい。この場合、例えばディスプレイ16の裏面16a又は支持プレート18,18Bの表面18Ab,18Bbの素材を、
図5A及び
図5Bに示す構成例から変更すればよい。また、弱粘着部27は、筐体部材12A,12B間の折り畳み時にディスプレイ16又は支持プレート18A,18Bから剥がれることができれば、その形状は適宜変更可能である。すなわち、弱粘着部27の波形状の振幅や周期は適宜変更してもよい。また、弱粘着部27は波形状や複数の孔部32からなる構成以外でもよい。
【0055】
図10は、変形例に係る粘着部材34の平面図である。
図11Aは、使用形態でのディスプレイ16、粘着部材34及び支持プレート18A,18Bの構成を模式的に示す側面断面図である。
図11Bは、収納形態でのディスプレイ16、粘着部材34及び支持プレート18A,18Bの構成を模式的に示す側面断面図である。
図11Aにおいて、粘着部材34は、
図10中のXIIA−XIIA線で切断した状態を図示している。
図12は、支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbに設けられた粘着部材34の一部を拡大した平面図である。
【0056】
図10〜12に示すように、粘着部材34は、上記した粘着部材26の弱粘着部27とは構成の異なる弱粘着部35を有する。粘着部材34の材質は、粘着部材26と同一でよい。弱粘着部35は、第1領域35A及び第2領域35Bを有する。
【0057】
第1領域35Aは、第1粘着部26Aの折曲中心C側の縁部に一体的に設けられ、折曲中心Cに沿って延びた波形状を有する。第2領域35Bは、第2粘着部26Bの折曲中心C側の縁部に一体的に設けられ、折曲中心Cに沿って延びた波形状を有する。領域35A,35Bの波形状同士は、歯車同士が噛み合いするのと同様に、波形状の隙間36を介して並んでいる。第1領域35Aは、折曲中心Cを越えて第2支持プレート18B側に張り出している。第2領域35Bは、折曲中心Cを越えて第1支持プレート18A側に張り出している。隙間36は、第1領域27Aと第2領域27Bとの間に粘着部材34を設けない部分である。つまり隙間36は、粘着部材34を形成する粘着剤等が設けられていない非粘着部36と言い換えてもよい。これにより、弱粘着部35は、非粘着部36を有することで、単位面積当たりで見た場合の粘着力が粘着部26A,26Bよりも弱い。
【0058】
この構成例では、ディスプレイ16の裏面16a又は支持プレート18,18Bの表面18Ab,18Bbの素材が、
図5A及び
図5Bに示す構成例と異なる。これにより、粘着部材34は、支持プレート18A,18Bよりもディスプレイ16に対してより強力に粘着される(
図11A及び
図11B参照)。つまり弱粘着部35は、支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbに対する粘着力が、ディスプレイ16の裏面16aに対する粘着力よりも相対的に弱い。
【0059】
粘着部材34を用いた携帯用情報機器10が
図2に示す使用形態にある場合、
図11Aに示すように、ディスプレイ16は、折曲領域16bも含めた略全面が支持プレート18A,18B上に確実に固定される。このため、ディスプレイ16は、折曲領域16b及びその周辺部も含めてしわや浮き上がりを生じることが抑制される。
【0060】
粘着部材34を用いた携帯用情報機器10を使用形態から収納形態に折り畳む場合には、
図11Bに示すように、粘着部材34の弱粘着部35が支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbから剥がれる。すなわち、弱粘着部35は、支持プレート18A,18Bから剥がれ、ディスプレイ16の折曲領域16bの裏面16aに沿って多少の引張力を受けつつ円弧状に変形する。
【0061】
従って、この構成例においても、使用形態時ではディスプレイ16の裏面16aの略全面を粘着部材34で粘着固定することができる。しかも、粘着部材34が弱粘着部35を有することで、収納形態へと円滑に折り畳むことができ、折り畳み時にディスプレイ16に過度な負荷や設計外の折曲軌跡を生じることもない。なお、粘着部材34は、弱粘着部35の領域35A,35Bが折曲中心Cを越えて張り出した構成となっている。このため、弱粘着部35は、折曲中心Cを境界に左右に分断することはできないが、折り畳み時には支持プレート18A,18Bから剥がれてディスプレイ16側に残る。このため、当該粘着部材34を用いた構成であっても、支持プレート18A,18Bの一縁部18Aa,18Ba間が離間し、収納形態へと円滑に折り畳むことができる。
【0062】
すなわち、粘着部材34は、上記した粘着部材26のように、支持プレート18A,18Bの離間に伴って左右に分断できる必要がない。このため、弱粘着部35は、筐体部材12A,12B間の折り畳み時に支持プレート18A,18Bから剥がれることができれば、その形状は適宜変更可能である。例えば、粘着部材34は、弱粘着部35に代えて、
図13に示す弱粘着部38を用いてもよい。弱粘着部38は、
図12に示す弱粘着部35と各領域35A,35Bの波形状が異なる以外、基本的な構成は同様である。弱粘着部35,38の波形状の振幅や周期は適宜変更してもよい。
図14に示す弱粘着部39は、
図8に示す粘着部材26の弱粘着部31から切れ目33を省略した構成である。弱粘着部39の孔部(非粘着部)32の形状や設置数、配列等は適宜変更してもよい。また、弱粘着部は、波形状や孔部を有する構成以外、例えば網目形状等で形成されてもよい。
【0063】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0064】
上記では、弱粘着部27,35等として、粘着部材26,34を設けない非粘着部を設けることで、全体としての粘着力を他の部分よりも弱くした構成を例示した。しかしながら、例えば弱粘着部27は、
図15に示すように、支持プレート18A,18B及びディスプレイ16の全面に均等に設けた粘着部材26の粘着面の一部を、マスキングテープ等のマスキング材40でカバーして非粘着部を形成し、これにより粘着力を弱めた構成としてもよい。
【0065】
粘着部材26,34は、非粘着部30等やマスキング材40を用いた構成に代えて、
図16に示すように、粘着部26A,26Bを形成する粘着剤42よりも粘着性の低い粘着剤43を用いることで、弱粘着部44を形成してもよい。弱粘着部44は、その粘着面の両面が粘着剤43で形成されてもよいし、一面のみが粘着剤43で形成され、他面が粘着剤42で形成されてもよい。なお、弱粘着部44を左右に分割される粘着部材26に用いる場合は、弱粘着部44に折曲中心Cに沿った切れ目を入れておけばよい。
【0066】
粘着部材26,34は、
図17に示すように、粘着部26A,26Bと上記の例における弱粘着部に相当する部分の全てを同一の粘着剤42で均等に形成しておき、ディスプレイ16の裏面16a又は支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbの折曲領域16bに対応する部分に粘着部材26,34と粘着力を低下させるコーティング等の表面処理46を設けることで、弱粘着部を形成してもよい。
図17では、ディスプレイ16の裏面16aに表面処理46を設けた構成を例示しているが、表面処理46は、裏面16aに代えて又は裏面16aと共に、支持プレート18A,18Bの表面18Ab,18Bbに設けてもよい。これにより、
図17に示す構成例では、表面処理46を折曲領域16bと重なる範囲に設けることで、ディスプレイ16又は支持プレート18A,18Bに対する粘着部材(粘着剤42)の粘着力が、折曲領域16b以外の部分に対して相対的に低下した弱粘着部が形成されている。
【0067】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な携帯用情報機器10を例示したが、本発明は、同形の筐体部材同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体部材の左右縁部にそれぞれ小形の筐体部材を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体部材の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体部材を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体部材の左右一方の縁部に小形の筐体部材を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成に適用可能であり、筐体部材の連結数は4以上としてもよい。
【解決手段】携帯用情報機器10は、第1筐体部材12Aと、第1筐体部材12Aに対して相対的に回動可能に連結された第2筐体部材12Bと、第1筐体部材12Aに固定された第1支持プレート18Aと、第2筐体部材12Aに固定され、第1支持プレート18Aと隣接して設けられた第2支持プレート18Bと、第1支持プレート18A及び第2支持プレート18Bの表面18Ab,18Bbで、その裏面16aが支持されたディスプレイ16と、第1支持プレート18A及び第2支持プレート18Aの表面18Ab,18Bbと、ディスプレイ16の裏面16aとを粘着により固定する粘着部材26と、を備える。さらに、携帯用情報機器10は、少なくとも折曲領域16bと重なる範囲において、第1支持プレート18A及び第2支持プレート18Bと、ディスプレイ16との間の粘着力を他の部分よりも弱めた弱粘着部を有する。