(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6828148
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】絶対的な位置を特定する方法、電動モータ、および摩擦クラッチ用の操作装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20210128BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20210128BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20210128BHJP
F16D 28/00 20060101ALI20210128BHJP
G01D 5/244 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
G01D5/245 110A
G01D5/245 110L
G01B7/00 101H
G01B7/30 H
F16D28/00 Z
G01D5/244 B
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-518099(P2019-518099)
(86)(22)【出願日】2017年9月13日
(65)【公表番号】特表2019-536991(P2019-536991A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】DE2017100772
(87)【国際公開番号】WO2018065002
(87)【国際公開日】20180412
【審査請求日】2019年4月3日
(31)【優先権主張番号】102016219211.6
(32)【優先日】2016年10月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マークス ディートリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ワイ−ワイ ビュシェ
【審査官】
吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−42353(JP,A)
【文献】
特開2003−83767(JP,A)
【文献】
特開2012−122447(JP,A)
【文献】
特開2016−151436(JP,A)
【文献】
特開2002−67987(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0301842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01B 7/00−7/34
F16D 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに相対的に運動可能であるGMRセンサと磁界発生磁石とを有する磁気センサ装置によって絶対的な位置を特定する方法において、
前記GMRセンサと前記磁界発生磁石とを、まず、第1の運動方向で互いに相対的に運動させ、続いて、該第1の運動方向とは逆の第2の運動方向で互いに相対的に運動させ、これによって、ヒステリシスに起因して最初に割り当てることができない位置を割り当てる方法であって、
前記GMRセンサはハーフブリッジ回路に接続されており、それぞれ3つの区別可能な信号レベル(304,306,308,310,312,314)を出力可能であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記GMRセンサと前記磁界発生磁石とを、前記GMRセンサの運動分解能を考慮して予め規定されているストローク量/角度だけ互いに相対的に運動させることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記GMRセンサは90°の角度分解能を有しており、前記GMRセンサと前記磁界発生磁石とを、最初に割り当てることができない角度位置を起点として±約45°だけ互いに相対的に回転させることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
電動モータであって、ステータと、ロータと、GMRセンサと磁界発生磁石とを有する磁気センサ装置とを備えており、前記GMRセンサは前記ステータに結合されており、前記磁界発生磁石は前記ロータに結合されている、電動モータにおいて、
前記ロータの絶対的な角度位置が、請求項1から3までの少なくとも1項記載の方法によって特定可能であることを特徴とする、電動モータ。
【請求項5】
請求項4記載の少なくとも1つの電動モータを有していることを特徴とする、摩擦クラッチ用の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに相対的に運動可能であるGMRセンサと磁界発生磁石(Gebermagnet)とを有する磁気センサ装置によって絶対的な位置を特定する方法に関する。さらに、本発明は、電動モータであって、ステータと、ロータと、GMRセンサと磁界発生磁石とを有する磁気センサ装置とを備えており、GMRセンサがステータに結合されており、磁界発生磁石はロータに結合されている、電動モータに関する。さらに、本発明は、摩擦クラッチ用の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許出願第102016211802.1号明細書から、磁気要素を備えており、回転軸線に沿ってまたは回転軸線を中心として螺線状に配置されていて磁気要素の1回転に関して4つの信号状態を有する電気的な導体を備えた、GMR原理に従って作業する少なくとも1つのマルチターンセンサによって、回転軸線を中心として回転する構成部材の回転数を求める方法が公知である。回転数を検出するために、回動角を介して導体の抵抗が検出され、信号状態に基づき、それぞれ回転数が求められる。回動角を介して2つの信号状態は区別不能であり、これら区別不能な両状態の間で、それぞれ1つの区別可能な切換状態が検出される。回転軸線を中心として、ゼロに等しくない回動角だけ互いに回動する2つのマルチターンセンサに基づき、一方のマルチターンセンサの区別不能な信号状態の回転する構成部材の角度位置の割当てが、他方のマルチターンセンサの区別可能な信号状態の検出によって特定される。
【0003】
独国特許出願第102016212173.1号明細書から、磁気要素を備えており、回転軸線に沿ってまたは回転軸線を中心として螺線状に配置されていて磁気要素の1回転に関して2つの区別可能なハーフブリッジ信号を有する電気的な導体を備えた、GMR原理に従って作業する少なくとも1つのマルチターンセンサによって、回転軸線を中心として回転する構成部材の回転数および角度位置を求める方法が公知である。回転数を検出するために、回動角を介して導体の抵抗が検出され、ハーフブリッジ信号に基づき、それぞれ回転数が求められる。AMR原理に従って作業する磁気センサによって、それぞれ2つの半円内での構成部材の角度位置が求められ、マルチターンセンサによって、角度位置を求めることが半円のどこで行われているのかが求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、冒頭に記載した方法を改良することである。さらに、本発明の課題は、冒頭に記載した電動モータを改良することである。さらに、本発明の課題は、冒頭に記載した操作装置を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する方法によって解決される。
【0006】
本発明に係る方法は、絶対的な角度を特定するために用いることができる。GMRセンサと磁界発生磁石とは互いに相対的に回転可能であってよい。GMRセンサと磁界発生磁石とは、まず、第1の回転方向で互いに相対的に回転させることができ、続いて、この第1の回転方向とは逆の第2の回転方向で互いに相対的に回転させることができる。GMRセンサは、回転数をカウントするために用いることができる。GMRセンサはマルチターンセンサと呼ばれることもある。
【0007】
本発明に係る方法は、絶対的なストローク量を特定するために用いることができる。GMRセンサと磁界発生磁石とは、ストローク軸線に沿って互いに相対的に運動可能であってよい。GMRセンサと磁界発生磁石とは、まず、ストローク軸線に沿って第1の運動方向で互いに相対的に回転させることができ、続いて、ストローク軸線に沿って第1の運動方向とは逆の第2の運動方向で互いに相対的に回転させることができる。ストローク軸線は線形であってよい。
【0008】
GMRセンサとは、巨大磁気抵抗効果に基づいたセンサである。GMRセンサは螺線を有することができる。この螺線は複数の螺線腕を有することができる。螺線は菱形に配置することができる。GMRセンサはGMR積層体を有することができる。GMRセンサは基準層とセンサ層とを有することができる。このセンサ層の磁化状態は変化可能であってよい。GMRセンサは磁壁発生器を有することができる。この磁壁発生器は螺線の端部に配置することができる。磁壁発生器では、180°領域が発生可能であってよい。この領域は螺線に注入可能であってよく、かつ/または再び消失可能であってよい。螺線腕の磁化状態は、磁界の運動の影響下で変化可能であってよい。螺線腕の磁化状態は、磁界と螺線とを互いに相対的に運動させることによって変化可能であってよい。回転数は磁気的に記憶可能であってよい。運動は電圧供給なしで検出可能であってもよい。運動は電圧供給なしで記憶可能であってもよい。螺線の電気的な抵抗値は磁化状態に関連することができる。
【0009】
磁界発生磁石とGMRセンサとが互いに相対的に回転すると、GMRセンサに、回転する磁界を加えることができる。GMRセンサは、1回転に関して4つの信号状態を有することができる。GMRセンサはヒステリシスを有することがある。このヒステリシスに起因して、GMRセンサの信号状態は部分的に区別可能でなくなってしまう。
【0010】
GMRセンサと磁界発生磁石とは、GMRセンサの運動分解能、特に角度分解能を考慮して予め規定されているストローク量/角度だけ互いに相対的に運動させることができる。GMRセンサは90°の角度分解能を有することができる。GMRセンサと磁界発生磁石とは、最初に割り当てることができない回転位置を起点として±約45°だけ互いに相対的に回転させることができる。
【0011】
GMRセンサはハーフブリッジ回路に接続することができる。それぞれ3つの区別可能な信号レベルが出力可能であってよい。それぞれHighレベル、MiddleレベルおよびLowレベルが出力可能であってよい。GMRセンサの信号状態は、それぞれ異なるハーフブリッジの信号状態の組合せによって区別可能であってよい。
【0012】
さらに、本発明の課題は、請求項5の特徴を有する電動モータによって解決される。
【0013】
電動モータは、電気的なコントロール装置によってコントロール可能であってよい。この電気的なコントロール装置は制御装置であってよい。電気的なコントロール装置は局所的な制御装置であってよい。電気的なコントロール装置は演算装置を有することができる。電気的なコントロール装置は記憶装置を有することができる。電気的なコントロール装置は少なくとも1つの電気的な信号入力部を有することができる。電気的なコントロール装置は少なくとも1つの電気的な信号出力部を有することができる。電気的なコントロール装置は、少なくとも1つの別の電気的なコントロール装置に構造的にかつ/または機能的に信号案内接続することができる。この信号案内接続のために、バスシステム、例えばCANバスを用いることができる。
【0014】
電動モータはハウジングを有することができる。ステータは、ハウジングに固定して配置することができる。ロータは、回転可能にハウジング内に支承することができる。磁界発生磁石はロータ側に取り付けることができる。GMRセンサはステータ側に取り付けることができる。磁界発生磁石とGMRセンサとは、非接触式に回転数をカウントして絶対角を特定するために、測定ギャップを画定することができる。
【0015】
電動モータは作動駆動装置として用いることができる。電動モータは、自動車に使用するために用いることができる。電動モータは、自動化された変速機、電子的なアクセルペダル、弁調節器、ウィンドウ調節器、シート調節器、スライディングルーフ調節器、ミラー調節器および/またはエアフラップ調節器を操作するために用いることができる。
【0016】
さらに、本発明の課題は、請求項6の特徴を有する操作装置によって解決される。
【0017】
操作装置は流体静力学的な操作装置であってよい。操作装置は、少なくとも1つのマスタシリンダと、少なくとも1つのスレーブシリンダと、少なくとも1つのマスタシリンダと少なくとも1つのスレーブシリンダとの間に形成された少なくとも1つの液圧的な区間とを有することができる。少なくとも1つの電動モータは、少なくとも1つのマスタシリンダに給電するために用いることができる。少なくとも1つのスレーブシリンダは摩擦クラッチに割り当てることができる。
【0018】
摩擦クラッチはシングルクラッチであってもよいし、デュアルクラッチであってもよい。摩擦クラッチは、自動車のパワートレーンに配置するために用いることができる。このパワートレーンは原動機を有することができる。この原動機は内燃機関であってよい。パワートレーンは摩擦クラッチを有することができる。パワートレーンは変速機を有することができる。この変速機は手動変速機であってよい。パワートレーンは、少なくとも1つの駆動可能な車両ホイールを有することができる。摩擦クラッチは、原動機と変速機との間に配置するために用いることができる。
【0019】
要約すると、また、言い換えて説明すると、つまるところ、本発明によって、特に回転数がGMRマルチターンによって角度情報なしで求められることが明らかとなる。磁気抵抗式のマルチターンセンサの出力(ハーフブリッジ信号)は3つのステータス(High、Middle、Low)を有している。磁石の位置に応じて、1回転中の4つの可能な「組合せ」が識別可能となるものの、センサの固有のヒステリシスによって、ステータスが一意ではなくなってしまう。このことをシステムが許容すると、ヒステリシス領域から逸脱し、これによって、正確な回転数(例えば1/4回転)を把握するために、磁石を少し、例えば±45°回転させるかまたは磁石を備えたピストンを幾分運動させる。
【0020】
本発明によって、回転数のカウントに対して付加的に、絶対角の特定が可能になる。付加的な角度センサは省略することができる。組付け手間が減少する。測定精度が向上する。
【0021】
以下に、本発明の複数の実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。この説明から、更なる特徴および利点が明らかとなる。これらの実施例の具体的な特徴は、本発明の全般的な特徴を成すことができる。これらの実施例の、別の特徴に結び付けられた特徴は、本発明の個々の特徴も成すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】磁界が回転している最中のハーフブリッジにおけるGMRセンサの信号経過を有する線図である。
【
図2】磁界が回転している最中のハーフブリッジにおけるGMRセンサの信号経過の抜粋拡大図である。
【
図3】磁界が時計回りに回転する場合および反時計回りに回転する場合のハーフブリッジにおけるGMRセンサの信号経過と、これに対応する、ヒステリシスを伴う信号パターンとを有する線図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、磁界が回転している最中のハーフブリッジにおけるGMRセンサの信号経過102,104を有する線
図100が示してある。この線図では、x
1軸、x
2軸およびx
3軸に回転角がプロットしてあり、y軸に電圧がプロットしてある。信号102,104は、それぞれ3つの異なる信号レベルHigh,Middle,Lowをとることができる。360°に相当する1回転の間、信号102,104の、基本的に区別可能な4つの信号レベル組合せ106,108,110,112が生じる。信号レベル組合せ106は、信号102High/信号104Highである。信号レベル組合せ108は、信号102Middle/信号104Highである。信号レベル組合せ110は、信号102Low/信号104Highである。信号レベル組合せ112は、信号102Middle/信号104Middleである。
【0024】
図2には、磁界が回転している最中のハーフブリッジにおけるGMRセンサの、
図1に示した信号経過102,104のような信号経過202,204の抜粋拡大
図200が示してある。信号202Middle/信号204Highの信号レベル組合せ208が、ヒステリシスに起因して、信号202Middle/信号204Middleの信号レベル組合せ212の開始時にも短時間だけ存在していることが詳細に判る。これによって、最初に回転位置を割り当てることはできない。それにもかかわらず、回転位置を割り当てるために、ヒステリシス領域214から逸脱して、回転位置を割り当てることができるまで、磁界を約45°だけ逆方向に回転させる。
【0025】
図3には、磁界が時計回りに回転する場合および反時計回りに回転する場合のハーフブリッジにおけるGMRセンサの信号経過302と、これに対応する、ヒステリシスを伴う信号パターンとを有する線
図300が示してある。
【0026】
この線図では、x軸x
1,x
2,x
3に、540°に相当する1.5回転にわたる回転角がプロットしてあり、y軸に電圧がプロットしてある。x
1軸には、GMRセンサの信号パターンから生じる正弦波状の信号経過302が示してある。x
2軸には、第1のハーフブリッジの信号パターンがプロットしてある。第1のハーフブリッジの信号レベルは、Lowレベル304と、Middleレベル306と、Highレベル308とを有することができる。x
3軸には、第2のハーフブリッジの信号パターンがプロットしてある。第2のハーフブリッジの信号レベルは、Lowレベル310と、Middleレベル312と、Highレベル314とを有することができる。
【0027】
磁界が時計回りに回転する場合には、第1の信号レベル316を有するGMRセンサの信号パターンが生じる。磁界が反時計回りに回転する場合には、第2の信号レベル318を有するGMRセンサの信号パターンが生じる。回転方向が変化する場合には、ヒステリシス領域320が生じる。
【符号の説明】
【0028】
100 線図
102 信号、信号経過
104 信号、信号経過
106 信号レベル組合せ
108 信号レベル組合せ
110 信号レベル組合せ
112 信号レベル組合せ
200 抜粋拡大図
202 信号、信号経過
204 信号、信号経過
208 信号レベル組合せ
212 信号レベル組合せ
214 ヒステリシス領域
300 線図
302 信号経過
304 Lowレベル
306 Middleレベル
308 Highレベル
310 Lowレベル
312 Middleレベル
314 Highレベル
316 第1の信号レベル
318 第2の信号レベル
320 ヒステリシス領域