特許第6828163号(P6828163)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6828163ブロックチェーン取引調停方法および装置、ならびに電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6828163
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】ブロックチェーン取引調停方法および装置、ならびに電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20210128BHJP
【FI】
   G06Q20/38 310
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-531262(P2019-531262)
(86)(22)【出願日】2019年5月29日
(65)【公表番号】特表2020-524828(P2020-524828A)
(43)【公表日】2020年8月20日
(86)【国際出願番号】US2019034266
(87)【国際公開番号】WO2019231961
(87)【国際公開日】20191205
【審査請求日】2019年7月12日
(31)【優先権主張番号】201810533812.0
(32)【優先日】2018年5月29日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520015461
【氏名又は名称】アドバンスド ニュー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】ダンチン・フ
(72)【発明者】
【氏名】セン・リン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンリアン・ジャン
【審査官】 木方 庸輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/145019(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/078520(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/067587(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーン取引調停のためのコンピュータによって実施される方法であって、前記方法
ブロックチェーンから選択され特定の条件を満たすブロックチェーン取引記録を、ブロックチェーン取引調停装置によって取得するステップと、
前記ブロックチェーン取引調停装置によって、前記ブロックチェーン取引記録を前記ブロックチェーン取引調停装置によって維持されるオフチェーン取引記録と比較するステップと、
前記オフチェーン取引記録が前記ブロックチェーン取引記録と不整合であるかどうかを判断するステップと、
前記オフチェーン取引記録が前記ブロックチェーン取引記録と不整合であるとの判断に応じて、前記ブロックチェーン取引記録に基づいて前記ブロックチェーン取引調停装置によって前記オフチェーン取引記録を更新するステップと
を含
前記ブロックチェーンから選択され、特定の条件を満たす前記ブロックチェーン取引記録を取得するステップが、
前記ブロックチェーン取引調停装置によって、前記特定の条件を前記ブロックチェーンの調停サービスプロバイダに送信するステップと、
前記ブロックチェーン取引調停装置によって、前記調停サービスプロバイダによって返される前記ブロックチェーン取引記録を受信するステップと
を含み、前記特定の条件が、前記ブロックチェーン取引記録の作成の瞬間を含む時間期間、前記ブロックチェーン取引記録に対応するブロックチェーン取引に参加するブロックチェーンメンバ、および前記ブロックチェーン取引記録が通常の取引記録か、または払い戻し取引記録かの条件、のうち少なくとも1つを含む、方法。
【請求項2】
前記ブロックチェーン取引調停装置によって、前記ブロックチェーン取引記録を前記ブロックチェーン取引調停装置によって維持される前記オフチェーン取引記録と比較するステップが、
前記ブロックチェーン取引調停装置によって、前記ブロックチェーン取引調停装置と前記ブロックチェーンの間で設定されるブリッジモジュールを使用することにより前記ブロックチェーン取引記録をエクスポートし、前記ブロックチェーン取引記録を前記ブロックチェーンの外にある前記オフチェーン取引記録と比較するステップ
を含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記ブリッジモジュールが前記ブロックチェーン取引調停装置により提供される第1のデータインターフェースと、前記ブロックチェーンにより提供される第2のデータインターフェースとに、別個に接続される、請求項2に記載の方法
【請求項4】
前記ブロックチェーン取引調停装置によって、前記特定の条件および前記オフチェーン取引記録についての変更情報を前記ブロックチェーンに入力するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法
【請求項5】
前記ブロックチェーンがブロックチェーンノードおよびアンカーポイントを備える、請求項1に記載の方法
【請求項6】
前記ブロックチェーンノードがブロックチェーン会計簿を維持するように構成され、前記ブロックチェーン取引調停装置が前記ブロックチェーン会計簿に記録される内容を取得し、対応するブロックチェーン取引記録を前記特定の条件に基づいて能動的に選択し、前記特定の条件を満たす前記ブロックチェーン取引記録を取得する、請求項5に記載の方法
【請求項7】
前記アンカーポイントが前記ブロックチェーンの外側のオフチェーン資産を前記ブロックチェーン取引記録に関連付けられるブロックチェーン資産と交換するように構成される、請求項5に記載の方法
【請求項8】
ブロックチェーン取引調停のためのプログラムであって、プロセッサによって実行されると請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を前記プロセッサに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2018年5月29日に出願した中国特許出願第201810533812.0号の優先権を主張するものである。
【0002】
本明細書の1つまたは複数の実装形態は、端末技術の分野に関し、特にブロックチェーン取引調停方法および装置、ならびに電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
関連する技術において、ブロックチェーンネットワークを介する資産の作成、および資産の譲渡など、ブロックチェーン取引を実施するための様々なソリューションが提案されている。ブロックチェーンネットワークに基づいて取引動作が実施されると、取引動作は自動的にスマートコントラクトを通して実施され得、取引記録は改竄されることなくブロックチェーン会計簿に記録され得、それによって、ブロックチェーンメンバ同士の不信を除去し、また異なるブロックチェーンメンバのオフチェーン管理システム同士の相互接続の問題も解決する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記を鑑みて、本明細書の1つまたは複数の実装形態はブロックチェーン取引調停方法および装置、ならびに電子デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の目的を達成するために、本明細書の1つまたは複数の実装形態は以下の技術的なソリューションを提供する。
【0006】
本明細書の1つまたは複数の実装形態の第1の態様によると、ブロックチェーン取引調停方法が提案され、方法は、ブロックチェーンから選択され特定の条件を満たすブロックチェーン取引記録を、ブロックチェーンメンバによって取得するステップと、ブロックチェーンメンバによって、ブロックチェーン取引記録をブロックチェーンメンバによって維持されるオフチェーン取引記録と比較するステップと、オフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録と不整合である場合、ブロックチェーン取引記録に基づいてブロックチェーンメンバによってオフチェーン取引記録を変更するステップとを含む。
【0007】
本明細書の1つまたは複数の実装形態の第2の態様によると、ブロックチェーン取引調停装置が提案され、装置は、ブロックチェーンメンバが、ブロックチェーンから選択され特定の条件を満たすブロックチェーン取引記録を取得できるように構成される選択ユニットと、ブロックチェーンメンバが、ブロックチェーン取引記録をブロックチェーンメンバによって維持されるオフチェーン取引記録と比較できるように構成される比較ユニットと、オフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録と不整合である場合、ブロックチェーン取引記録に基づいてブロックチェーンメンバがオフチェーン取引記録を変更できるように構成される変更ユニットとを含む。
【0008】
本明細書の1つまたは複数の実装形態の第3の態様によると、電子デバイスが提案され、電子デバイスは、プロセッサと、プロセッサによって実行され得る命令を記憶するように構成されるメモリとを含み、プロセッサは前述の実装形態のうちいずれか1つによる方法を実施するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】例示的な実装形態による、ブロックチェーン取引調停方法を図示するフローチャートである。
図2】例示的な実装形態による、ブロックチェーンネットワークを図示するアーキテクチャの概略図である。
図3】例示的な実装形態による、選択条件の設定を図示する概略図である。
図4】例示的な実装形態による、選択結果に基づく調停を図示する概略図である。
図5】例示的な実装形態による、調停関連データをブロックチェーンに入力することを図示する概略図である。
図6】例示的な実装形態によるデバイスを図示する概略的な構造図である。
図7】例示的な実装形態による、ブロックチェーン取引調停装置を図示するブロック図である。
図8】本開示の実装形態による、ブロックチェーン取引調停のためのコンピュータ実装方法の一例を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に例示的な実装形態を詳細に説明し、例示的な実装形態の例を添付の図面において提示する。以下の説明が添付の図面に関する場合、そうではないと明記しない限り、異なる添付の図面の同一の番号は同一または類似の要素を表現する。以下の例示的な実装形態において説明される実装形態は、本明細書の1つまたは複数の実装形態と整合性があるすべての実装形態を表現するものではない。これに反し、実装形態は、添付の特許請求の範囲において詳細に説明され、本明細書の1つまたは複数の実装形態のいくつかの態様と整合性がある、装置および方法の例に過ぎない。
【0011】
他の実装形態において、対応する方法のステップは必ずしも本明細書で示され説明される順序通りに実施されないということに留意することは価値がある。いくつかの他の実装形態において、方法は本明細書において説明されるステップよりも多いかまたは少ないステップを含むことができる。加えて、本明細書で説明される単一のステップは別の実装形態における説明について複数のステップに分割することができ、本明細書で説明される複数のステップは別の実装形態における説明について単一のステップに結合することができる。
【0012】
図1は、例示的な実装形態による、ブロックチェーン取引調停方法を図示するフローチャートである。図1に示すように、方法は、以下のステップを含むことができる。
【0013】
ステップ102:ブロックチェーンメンバは、ブロックチェーンから選択され特定の条件を満たすブロックチェーン取引記録を取得する。
【0014】
一実装形態において、ブロックチェーンはいくつかのブロックチェーンノードを含むことができ、これらのブロックチェーンノードはブロックチェーンメンバ(または、略してメンバと称される)およびアンカーポイントを含むことができる。ブロックチェーンメンバはアンカーポイントの役目を引き受けることができ、またはアンカーポイントはブロックチェーンメンバから独立していることができる。詳細には、アンカーポイントの役目を不必要にブロックチェーンメンバが引き受けている。
【0015】
一実装形態において、ブロックチェーンメンバは金融関係の機関、組織、または資産譲渡サービスを支援する別の形態のプラットフォームであり得る。実装形態は、本明細書に限定されない。
【0016】
一実装形態において、アンカーポイントは、ブロックチェーン上のブロックチェーン資産をブロックチェーンの外側のオフチェーン資産に対するアンカーポイントとするために使用され、それによって、オフチェーンアセットはアンカーポイントを介して等価なブロックチェーン資産と交換することができ、ブロックチェーン資産はまたアンカーポイントを介して等価なオフチェーン資産と交換することができ、それによって、ブロックチェーン資産とオフチェーン資産の間に1対1のマッピングが実装される。例えば、ブロックチェーンメンバはオフチェーン資産をアンカーポイントにおいて預け入れることができ、ブロックチェーン上の対応するアンカーポイントにより発行されるブロックチェーン資産を取得し、保持することができる。加えて、ブロックチェーンメンバは保持されるブロックチェーン資産を互いに譲渡することができ、アンカーポイントにより発行されるブロックチェーン資産におけるブロックチェーンメンバの保持、およびブロックチェーン資産の変更はブロックチェーン資産を共に管理するために、ブロックチェーンのブロックチェーン会計簿に登録することができる。
【0017】
一実装形態において、本明細書において「資産」は、現金、証券、株、またはデバイス、車両、不動産、および商品などの任意の種類のものであってもよい。実装形態は、本明細書に限定されない。
【0018】
一実装形態において、ブロックチェーン上で発生する資産の譲渡動作は、ブロックチェーン会計簿における対応するブロックチェーン取引記録を形成する。これらのブロックチェーン取引記録は、資産譲渡人についての情報、資産譲渡先についての情報、資産の種類、取引量、および取引日時、などの、資産の譲渡に関する情報を記録することができる。実装形態は、本明細書に限定されない。
【0019】
一実装形態において、ブロックチェーンメンバはブリッジモジュールを介してブロックチェーンネットワークの内部と外部を接続することができ、ブロックチェーンメンバがユーザによって設定される条件をブロックチェーンネットワークの内部に送信できるようにしており、ブロックチェーン会計簿に含まれるブロックチェーン取引記録を選択するための特定の条件を形成する。
【0020】
一実装形態において、すべてのブロックチェーンノードが統一されたブロックチェーン会計簿を共に維持するため、それぞれのブロックチェーンメンバはブロックチェーン会計簿に記録されるすべての内容を取得し、特定の条件を満たすブロックチェーン取引記録を取得するために、特定の条件に基づいて対応するブロックチェーン取引記録を能動的に選択することができる。
【0021】
一実装形態において、ブロックチェーンは調停サービスプロバイダを含むことができる。調停サービスプロバイダはブロックチェーン上の1つまたは複数の特定のブロックチェーンノードを含むことができ、またブロックチェーンメンバのための取引記録クエリサービスを提供するために使用され得る。例えば、ブロックチェーンメンバはブリッジモジュールを使用することにより特定の条件を調停サービスプロバイダに送信することができ、それによって、調停サービスプロバイダは特定の条件に基づいてブロックチェーン取引記録を選択することができる。ブロックチェーンメンバは、次いで調停サービスプロバイダから返されるブロックチェーン取引記録を受信する。したがって、ブロックチェーンメンバは選択動作を能動的に実行する必要がない。調停サービスプロバイダはブロックチェーン上のすべてのブロックチェーンメンバについて関連するサービスを提供することができ、すべてのブロックチェーンメンバはブロックチェーン取引記録に対する選択動作を別個に実行することなく調停サービスプロバイダによって提供されるサービスを享受することができ、それによって、ブロックチェーンメンバはブロックチェーンベースの資産取引により集中できる。
【0022】
一実装形態において、特定の条件は以下のうち少なくとも1つを含むことができる:ブロックチェーン取引記録の作成の瞬間を含む時間期間、そのブロックチェーン取引記録に対応するブロックチェーン取引に参加するブロックチェーンメンバ、およびブロックチェーン取引記録が通常の取引記録か、または払い戻し取引記録かの条件。
【0023】
ステップ104:ブロックチェーンメンバは、ブロックチェーン取引記録をブロックチェーンメンバによって維持されるオフチェーン取引記録と比較する。
【0024】
一実装形態において、ブロックチェーンメンバはブロックチェーンメンバとブロックチェーンの間で設定されるブリッジモジュールを使用することによりブロックチェーン取引記録をエクスポートし、ブロックチェーン取引記録をチェーン外にあるオフチェーン取引記録と比較することができる。ブリッジモジュールはブロックチェーンメンバにより提供される第1のデータインターフェースと、ブロックチェーンにより提供される第2のデータインターフェースとに、別個に接続される。別の実装形態において、ブロックチェーンメンバは別の方法でブロックチェーン取引記録をエクスポートすることができる。実装形態は、本明細書に限定されない。
【0025】
ステップ106:オフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録と不整合である場合、ブロックチェーンメンバはブロックチェーン取引記録に基づいてオフチェーン取引記録を変更する。
【0026】
一実装形態において、ブロックチェーン会計簿のブロックチェーン取引記録は改竄できないがトレースでき、それによって、ブロックチェーン会計簿に登録されているブロックチェーン取引記録は十分信頼性があり、すべてのブロックチェーンメンバによって信用され得る。したがって、ブロックチェーンメンバはブロックチェーン取引記録に基づいてオフチェーン取引記録を変更することができ、それによってオフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録と整合する。
【0027】
一実装形態において、ブロックチェーン取引記録およびオフチェーン取引記録は両方とも同一のブロックチェーン取引記録についてのいくつかの特性についての情報を記録することができる。ブロックチェーン取引記録とオフチェーン取引記録に関わる特性との間には差異があり得、またそのような差異はそれらの内容同士に差異をもたらすこともあるが、それらの内容はなお整合性があり同等なものである。
【0028】
一実装形態において、ブロックチェーンメンバは特定の条件およびオフチェーン取引記録についての変更情報をブロックチェーンに入力することができ、特定の条件および変更情報が改竄できないがトレースできることを、ブロックチェーン会計簿に記録する。したがって、規制当局の規制クエリ要求が満たされ得るだけでなく、認可されていない人物によってなされたオフチェーン取引記録への不適切な変更がそれに応じて決定され得る。
【0029】
理解を容易にするため、本明細書の1つまたは複数の実装形態における技術的なソリューションを、銀行がブロックチェーン譲渡データに対して調停を実行する一例を使用して以下に説明する。図2は例示的な実装形態による、ブロックチェーンネットワークを図示するアーキテクチャの概略図である。図2に示すように、一例として銀行Hを使用する。銀行Hはブロックチェーンの外部の金融機関として機能しており、個人、企業、および他の金融機関にサービスを行うことができる。加えて、銀行Hはブロックチェーン内部に対応するブロックチェーンノードAを維持することができ、それによって、銀行HはブロックチェーンノードAに基づいてブロックチェーンネットワーク内でブロックチェーンメンバとして機能することができる。銀行Hは図2に示されるブリッジモジュール1を使用することにより、ブロックチェーンノードAに接続される。ブリッジモジュール1を介して、銀行HとブロックチェーンノードAとの間で、チェーン上およびチェーン外両方のデータの交換を実施できる。同様に、調停サービスプロバイダはブロックチェーンネットワーク内に対応するブロックチェーンノードBを維持することができる。例えば、サービスプロバイダは、図2に示されるブリッジモジュール2を使用することによりデータをブロックチェーンノードBと交換することができる。もちろん、ブロックチェーンネットワークは図2に示すブロックチェーンノードCおよびブロックチェーンノードDなどの他のノードをさらに含むことができる。ここでは詳細は省略する。
【0030】
銀行Hは銀行Hが複数の方法を使用することにより関心のあるブロックチェーン取引記録を取得できる。
【0031】
例えば、一実装形態において、銀行Hのスタッフは関わりのある取引について対応する選択条件を設定することができ、ブリッジモジュール1を使用することによりブロックチェーンノードA上で維持されるブロックチェーン会計簿を取得できる。ブロックチェーン会計簿はブロックチェーンノードB、C、およびDなどの他のブロックチェーンノード上で維持されるブロックチェーン会計簿と整合性があり、ブロックチェーン会計簿のそれぞれはブロックチェーンネットワーク内で発生したすべての取引に対応するブロックチェーン取引記録を含む完全なブロックチェーン会計簿情報を記録している。したがって、銀行Hのスタッフは取得されたブロックチェーン会計簿から選択条件に基づいてブロックチェーン取引記録を選択し、対応する選択結果を取得することができる。選択結果は、銀行Hが関心のあるブロックチェーン取引記録を含む。
【0032】
一実装形態において、銀行Hは、調停サービスプロバイダが銀行Hに銀行Hが関心のあるブロックチェーン取引記録を提供するように、調停サービスプロバイダに任せることができる。図3は例示的な実装形態による、選択条件の設定を図示する概略図である。図3に示すように、銀行Hおよび調停サービスプロバイダはブリッジモジュール1およびブリッジモジュール2を使用することにより互いに対話することができ、それによって、銀行Hはブリッジモジュール1およびブリッジモジュール2を使用することにより選択条件を調停サービスプロバイダに送信することができる。加えて、調停サービスプロバイダはブリッジモジュール1およびブリッジモジュール2を使用することによりブロックチェーンノードBにより維持されるブロックチェーン会計簿を取得することができる。ブロックチェーン会計簿は、ブロックチェーンネットワーク内で発生するすべての取引に対応するブロックチェーン取引記録を含む完全なブロックチェーン会計簿情報を記録する。したがって、調停サービスプロバイダは取得されたブロックチェーン会計簿から銀行Hによって設定された選択条件に基づいてブロックチェーン取引記録を選択し、対応する選択結果を取得することができる。選択結果は、銀行Hが関心のあるブロックチェーン取引記録を含む。もちろん、銀行Hはブリッジモジュール1を使用することによりブロックチェーンノードAに選択条件を送信することができ、ブロックチェーンノードAはブロックチェーン会計簿に選択条件を書き込む。調停サービスプロバイダはブリッジモジュール2を使用することによりブロックチェーンノードBからブロックチェーン会計簿を読み取り、銀行Hによって書き込まれた選択条件を取得することができる。
【0033】
一実装形態において、銀行Hはチェーン外の調停サービスプロバイダとパートナーシップを確立することができ、それによって、調停サービスプロバイダは銀行Hによって設定された選択条件を取得し、銀行Hに条件を満たすブロックチェーン取引記録を提供することができる。別の実装形態において、銀行Hおよび調停サービスプロバイダはブロックチェーンノードAおよびBを使用することによりブロックチェーンネットワーク内でパートナーシップを確立することができる。例えば、ブロックチェーンノードAおよびBは両方とも同一のスマートコントラクトに参加する。ブロックチェーンノードAに対応するブロックチェーンメンバ(すなわち銀行H)がブロックチェーンノードBに対応するブロックチェーンメンバ(すなわち調停サービスプロバイダ)についての選択条件を提供する場合、スマートコントラクトはブロックチェーンノードBに対応するブロックチェーンメンバがブロックチェーンノードAに対応するブロックチェーンメンバについての対応する選択結果を提供することを、要求することができる。選択結果は、ブロックチェーン会計簿内で選択条件を満たすブロックチェーン取引記録を含む。
【0034】
一実装形態において、選択条件は銀行Hが関心のある1つまたは複数の特性の条件を含むことができ、例えば、以下の特性のうち1つまたは複数を含む:ブロックチェーン取引記録の作成の瞬間を含む時間期間、そのブロックチェーン取引記録に対応するブロックチェーン取引に参加するブロックチェーンメンバ、およびブロックチェーン取引記録が通常の取引記録か、または払い戻し取引記録かの条件。実装形態は、本明細書に限定されない。
【0035】
一実装形態において、銀行Hによる選択条件を設定する動作、および選択条件に基づいて調停サービスプロバイダにより実行される選択動作は非同期的に実行され得る。例えば、銀行Hが初めて選択条件を設定した後、引き続きその選択条件を使用して、再度毎回選択条件を設定することなく、それぞれの選択動作を実行することができる。もちろん、銀行Hの要求は恐らくは変更しており、したがって、銀行Hは選択条件を更新することができる。しかしながら、調停サービスプロバイダは予め合意された期間(例えば、毎週、毎月、および毎四半期)に基づいて現在の最新の選択条件を決定し、現在の最新の選択条件に基づいて選択動作を実施する必要があるだけである。
【0036】
一実装形態において、銀行Hは能動的に調停サービスプロバイダに対して選択要求を開始し、選択要求に現在の選択条件を追加することができる。調停サービスプロバイダは現在の選択条件に基づいて選択動作を実行することができる。例えば、上述のスマートコントラクト方法に基づき、銀行Hは選択条件を設定することによりスマートコントラクトをトリガすると、スマートコントラクトに基づいて調停サービスプロバイダに対して選択要求を開始することができる。
【0037】
一実装形態において、調停サービスプロバイダは予め合意した期間に基づいて能動的に銀行Hに問い合わせを開始し、銀行Hから返される選択条件を受信することができ、それによって、調停サービスプロバイダは選択条件に基づいて選択動作を実行することができる。
【0038】
図4は例示的な実装形態による、選択結果に基づく調停を図示する概略図である。図4に示すように、調停サービスプロバイダは、銀行Hにより提供された選択条件に基づいてブロックチェーン会計簿から、選択条件を満たすブロックチェーン取引記録を選択し、対応する選択結果を形成する。加えて、調停サービスプロバイダはブリッジモジュール2およびブリッジモジュール1を使用することによりデータを銀行Hと交換し、選択結果を銀行Hに提供することができる。もちろん、調停サービスプロバイダはブリッジモジュール2を使用することによりブロックチェーンノードBに選択結果を送信することもでき、ブロックチェーンノードBはブロックチェーン会計簿に選択結果を書き込む。銀行Hはブリッジモジュール1を使用することによりブロックチェーンノードAからブロックチェーン会計簿を読み取り、調停サービスプロバイダによって書き込まれ選択結果を取得することができる。
【0039】
一実装形態において、銀行Hはオフチェーン取引記録、つまり銀行Hにより維持される取引を、記録する。したがって、銀行Hはオフチェーン取引記録を、銀行Hによって選択されるか、または調停サービスプロバイダによって提供されるブロックチェーン取引記録と比較し、調停処理を実施することができる。
【0040】
一実装形態において、ブロックチェーン取引記録は通常、取引に関するすべての特性についての情報を含んでおり、オフチェーン取引記録は通常、銀行Hに関わる特性についての情報のみを含んでいる。もちろん、いくつかの場合では、ブロックチェーン取引記録もまた部分的な特性についての情報のみを含んでいる。結論としては、ブロックチェーン取引記録およびオフチェーン取引記録が同一の取引を説明する場合、それらによって使用される説明特性は異なっているかもしれないが、理論的には2つの取引記録に記録された内容は互いに整合性があり、両方の記録が同一の取引の客観的な説明である。
【0041】
しかしながら、通常、オフチェーン取引記録には様々な問題が存在する。例えば、銀行Hは恐らくは様々な理由でオフチェーン取引記録において部分的な情報を欠落しており、結果的に、取引の詳細を完全には提示することができない。別の例では、認可されていない人物が可能性としては違法な目的を達成するために銀行Hによって維持されるオフチェーン取引記録を改竄する。別の例では、銀行Hのスタッフが可能性としてはオフチェーン取引記録に対して誤った操作を不注意に実行し、記録された内容に誤りを生じさせる。
【0042】
ブロックチェーンの性質に基づいて、ブロックチェーン会計簿内のブロックチェーン取引記録は改竄できないがトレースでき、それによってブロックチェーン取引記録内における内容の真正性および信頼性が保証される。したがって、ブロックチェーン取引記録をオフチェーン取引記録と比較することにより、オフチェーン取引記録の欠落した情報または誤りをブロックチェーン取引記録に基づいて発見することができ、それによって銀行Hはオフチェーン取引記録の欠落した情報を補完し、ブロックチェーン取引記録に基づいて誤りを訂正することができる。
【0043】
図5は例示的な実装形態による、調停関連データをブロックチェーンに入力することを図示する概略図である。図5に示すように、調停動作を完了した後、銀行Hは調停関連のデータをブリッジモジュール1を使用することによりブロックチェーンノードAに送信し、ブロックチェーンノードAは調停関連のデータを書き込む動作をトリガすることができ、それによって調停関連のデータをその後のクエリおよび規制当局による監視のためにブロックチェーン会計簿内に書き込むことができる。
【0044】
一実装形態において、調停関連のデータは銀行Hによって実行される調停動作に関する任意のデータ、例えば、銀行Hによって設定される選択条件、オフチェーン取引記録に対して銀行Hによってなされた変更についての情報、を含むことができる。実装形態は、本明細書に限定されない。
【0045】
図6は例示的な実装形態によるデバイスを図示する概略的な構造図である。図6を参照すると、ハードウェアの観点から、デバイスはプロセッサ602、内部バス604、ネットワークインターフェース606、メモリ608、および非揮発性メモリ610を含み、もちろん他のサービスによって必要とされるハードウェアをさらに含むことができる。プロセッサ602は、ブロックチェーン取引調停装置を論理的に形成するように、非揮発性メモリ610から対応するコンピュータプログラムをメモリ608に読み取り、次いで対応するコンピュータプログラムを実行する。もちろん、ソフトウェアの実装形態に加えて、本明細書の1つまたは複数の実装形態は例えば論理デバイスまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせなど、別の実装形態を排除するものではない。つまり、以下の処理手順の実行本体はそれぞれの論理ユニットに限定されず、ハードウェアまたは論理デバイスであってもよい。
【0046】
図7を参照すると、ソフトウェアの実装形態において、ブロックチェーン取引調停装置は、ブロックチェーンメンバが、ブロックチェーンから選択され特定の条件を満たすブロックチェーン取引記録を取得できるように構成される選択ユニット71と、ブロックチェーンメンバが、ブロックチェーン取引記録をブロックチェーンメンバによって維持されるオフチェーン取引記録と比較できるように構成される比較ユニット72と、オフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録と不整合である場合、ブロックチェーン取引記録に基づいてブロックチェーンメンバがオフチェーン取引記録を変更できるように構成される変更ユニット73とを含むことができる。
【0047】
任意選択で、選択ユニット71はブロックチェーンメンバが特定の条件をブロックチェーンの調停サービスプロバイダに送信できるように、またブロックチェーンメンバが調停サービスプロバイダによって返されるブロックチェーン取引記録を受信できるように特に構成される。
【0048】
任意選択で、特定の条件は以下のうち少なくとも1つを含む:ブロックチェーン取引記録の作成の瞬間を含む時間期間、そのブロックチェーン取引記録に対応するブロックチェーン取引に参加するブロックチェーンメンバ、およびブロックチェーン取引記録が通常の取引記録か、または払い戻し取引記録かの条件。
【0049】
任意選択で、比較ユニット72はブロックチェーンメンバがブロックチェーンメンバとブロックチェーンの間で設定されるブリッジモジュールを使用することによりブロックチェーン取引記録をエクスポートし、ブロックチェーン取引記録をチェーン外にあるオフチェーン取引記録と比較することができるように特に構成される。
【0050】
ブリッジモジュールはブロックチェーンメンバにより提供される第1のデータインターフェースと、ブロックチェーンにより提供される第2のデータインターフェースとに、別個に接続される。
【0051】
任意選択で、装置は、ブロックチェーンメンバが特定の条件およびオフチェーン取引記録についての変更情報をブロックチェーンに入力できるように構成される入力ユニット74をさらに含む。
【0052】
前述の実施形態に図示したシステム、装置、モジュール、またはユニットはコンピュータのチップもしくはエンティティを使用することによって実装することができ、または特定の機能を有する製品を使用することによって実装することができる。典型的な実装デバイスはコンピュータであり、コンピュータは、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、カメラ付き電話、インテリジェントフォン、携帯情報端末、メディアプレイヤ、ナビゲーションデバイス、電子メール送受信デバイス、ゲーム機、タブレットコンピュータ、ウェアラブルデバイス、またはこれらのデバイスにおけるいくつかのデバイスの任意の組み合わせであってもよい。
【0053】
典型的な構成では、コンピュータは、1つまたは複数のプロセッサ(CPU)、入力/出力インターフェース、ネットワークインターフェース、およびメモリを含む。
【0054】
メモリとして、非永続性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、非揮発性メモリ、および/またはコンピュータ可読媒体にある別の形態、例えば読み取り専用メモリ(ROM)、またはフラッシュメモリ(フラッシュRAM)、を挙げることができる。メモリはコンピュータ可読媒体の一例である。
【0055】
コンピュータ可読媒体として、任意の方法または技術を使用して情報を記憶することができる、永続性メモリ、非永続性メモリ、持ち運び可能および持ち運び不可の媒体、が挙げられる。情報は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータであってよい。コンピュータ記憶媒体の例としては、限定はしないが、パラメータランダムアクセスメモリ(PRAM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、動的ランダムアクセスメモリ(DRAM)、別のタイプのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリまたは別のメモリ技術、読み取り専用のコンパクトディスクメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、または別の光学記憶装置、磁気カセットテープ、磁気ディスク記憶装置、量子メモリ、グラフェン系記憶媒体もしくは別の磁気記憶デバイス、または任意の他の非伝達媒体が挙げられる。コンピュータ記憶媒体を使用してコンピューティングデバイスによってアクセスすることができる情報を記憶することができる。本開示における定義に基づいて、コンピュータ可読媒体は変調データ信号およびキャリアなどの一時的コンピュータ可読媒体(一時的メモリ)を含まない。
【0056】
用語「含む(include)」、「含む(comprise)」、またはそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を範囲とし、それで、要素の列挙を含む処理、方法、製品またはデバイスが、これらの要素を含むだけでなく、明示的に列挙されない他の要素も含むこと、またはそのような処理、方法、製品、またはデバイスに固有の要素をさらに含むこと、を意図していることにさらに留意することは大事である。さらなる制約をせず、「を含む」が続く要素は、その要素を含む処理、方法、製品またはデバイスにおける追加の同一要素の存在を排除しない。
【0057】
本明細書の具体的な実装形態を上で説明した。他の実装が添付の特許請求の範囲の範囲内にある。いくつかの場合、特許請求の範囲で説明されるアクションまたはステップは実装形態のものとは異なる順序で実行することができ、それでもなお所望の結果が達成され得る。加えて、添付の図面で説明される処理は所望の結果を達成するために必ずしも特定の実行順序を必要としない。いくつかの実装形態において、マルチタスク処理および並列処理を実行することができ、有利であり得る。
【0058】
本明細書の1つまたは複数の実装形態で使用される用語は具体的な実装形態を説明する目的のために過ぎず、本明細書の1つまたは複数の実装形態に限定することを意図していない。本明細書の1つまたは複数の実装形態および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の用語「1つの(a)」および「その(the)」はまた、その文脈において明確にそうではないと明記されない限り、複数形を含むことも意図される。本明細書で使用される用語「および/または」は、1つまたは複数の関連して列挙される項目の任意のまたはすべての可能な組み合わせを指すこと、および含むことがさらに理解されるべきである。
【0059】
用語「第1の」、「第2の」、「第3の」などは様々な種類の情報を説明するために本明細書の1つまたは複数の実装形態で使用できるが、情報はその用語に限定されないことが理解されるべきである。これらの用語は同一の種類の情報を差別化するためだけに使用される。例えば、本明細書の1つまたは複数の実装形態の範囲から逸脱することなく、第1の情報はまた第2の情報と称されてもよく、同様に第2の情報は第1の情報と称されてもよい。文脈に応じて、例えば、ここで使用される語句「の場合(if)」は「する一方で(while)」、「する時(when)」または「との決定に応じて(in response to determining)」として説明することができる。
【0060】
前述の説明は本明細書の1つまたは複数の実装形態の例示的な実装形態に過ぎないが、本明細書の1つまたは複数の実装形態を限定することを意図されていない。本明細書の1つまたは複数の実装形態の趣旨および原理から逸脱することなくなされる任意の修正形態、等価な置き換え、改善などは本明細書の1つまたは複数の実装形態の保護範囲に入るものとする。
【0061】
図8は本開示の実装形態による、ブロックチェーン取引調停のためのコンピュータ実装方法800の一例を図示するフローチャートである。明確な提示のため、以下の説明は全体的には本説明の他の図面の文脈における方法800を説明している。しかしながら、方法800は例えば、適宜、任意のシステム、環境、ソフトウェア、およびハードウェア、またはシステム、環境、ソフトウェア、およびハードウェアの組み合わせにより実行できることが理解されよう。いくつかの実装形態において、方法800の様々なステップは並列、組み合わせ、ループ、または任意の順序で実行され得る。
【0062】
802において、ブロックチェーンに関連付けられたブロックチェーン会計簿から選択され、特定の条件を満たすブロックチェーン取引記録が、ブロックチェーンメンバにより取得される。いくつかの実装形態において、ブロックチェーン会計簿はブロックチェーンで発生する資産譲渡動作に関連付けられる情報を記録する複数のブロックチェーン取引記録を含む。いくつかの実装形態において、ブロックチェーンはブロックチェーンメンバのために取引記録クエリサービスを提供する調停サービスプロバイダを含む。
【0063】
いくつかの実装形態において、ブロックチェーン取引記録を取得するステップは、調停サービスプロバイダが特定の条件に基づいてブロックチェーン取引記録を選択できるように、ブロックチェーンの調停サービスプロバイダに特定の条件を送信するステップと、調停サービスプロバイダから返されるブロックチェーン取引記録を受信するステップとを含む。
【0064】
いくつかの実装形態において、特定の条件は、ブロックチェーン取引記録が作成される瞬間、そのブロックチェーン取引記録に対応するブロックチェーン取引に参加するブロックチェーンメンバ、ブロックチェーン取引記録が通常の取引記録であることを示す条件、またはブロックチェーン取引記録が払い戻し取引記録であることを示す条件、のうち少なくとも1つを含む。方法800は、802から804へ進む。
【0065】
804において、オフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録と整合性があるかどうかを示す比較値を取得するために、ブロックチェーン取引記録はブロックチェーンメンバによって維持されるオフチェーン取引記録と比較される。
【0066】
いくつかの実装形態において、ブロックチェーン取引記録をオフチェーン取引記録と比較するステップは、ブロックチェーンメンバとブロックチェーンの間で設定されるブリッジモジュールを使用することによりブロックチェーン取引記録をエクスポートするステップと、ブロックチェーン取引記録をブロックチェーンの外にあるオフチェーン取引記録と比較するステップであって、ブリッジモジュールはブロックチェーンメンバにより提供される第1のデータインターフェースと、ブロックチェーンにより提供される第2のデータインターフェースとに、別個に接続される、ステップとを含む。方法800は、804から806へ進む。
【0067】
806において、比較値がオフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録と整合性があることを示しているかどうかについての決定がなされる。比較値がオフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録とは不整合であると示していると決定された場合、方法800は808に進む。
【0068】
808において、オフチェーン取引記録がブロックチェーン取引記録と整合するように、ブロックチェーン取引記録に基づいてオフチェーン取引記録が修正される。いくつかの実装形態において、方法800は特定の条件およびオフチェーン取引記録に関して修正された情報をブロックチェーンに入力するステップをさらに含む。808の後、方法800は停止することができる。
【0069】
本出願の実装形態はデータ記録調停における技術的な問題を解決することができる。ブロックチェーンネットワークに基づいて取引動作が実施されると、取引動作は自動的にスマートコントラクトを通して実施され得、取引記録が改竄されることなくブロックチェーン会計簿に記録され得、それによって、ブロックチェーンメンバ同士の不信を除去し、また異なるブロックチェーンメンバのオフチェーン管理システム同士の相互接続の問題を解決する。
【0070】
本開示の実装形態はブロックチェーンにおけるデータ記録調停の方法および装置を提供する。例えば、説明される方法は、毎日の終わりまでにすべての取引フローの記録に基づいてブロックチェーンメンバのために生成される文書をクリアにするために使用することができる。ブロックチェーン台帳の内容は改竄できないがトレースされるため、ブロックチェーンメンバによって維持される取引フローの記録をブロックチェーン取引記録にしたがって確認して訂正することができ、例えばデータ記憶装置のセキュリティを改善し、例えば、データ記憶装置の空きを減らす。
【0071】
説明した実装形態によると、ブロックチェーンは、調停サービスプロバイダを含むことができ、調停サービスプロバイダはブロックチェーン上に1つまたは複数の特定のブロックチェーンノードを含むことができ、ブロックチェーンメンバのための取引記録クエリサービスを提供するために使用され得る。例えば、ブロックチェーンメンバはブリッジモジュールを使用して特定の条件を調停サービスプロバイダに送信することができ、それによって、調停サービスプロバイダは特定の条件に基づいてブロックチェーン取引記録を選択することができる。ブロックチェーンメンバは、次いで調停サービスプロバイダから返されるブロックチェーン取引記録を受信する。したがって、ブロックチェーンメンバは選択動作を能動的に実行する必要がない。調停サービスプロバイダはブロックチェーン上のすべてのブロックチェーンメンバについて関連するサービスを提供することができ、すべてのブロックチェーンメンバはブロックチェーン取引記録に対する選択動作を別個に実行することなく調停サービスプロバイダによって提供されるサービスを享受することができ、それによって、ブロックチェーンメンバはブロックチェーンベースの資産取引により集中できる。
【0072】
本明細書において説明される実施形態および動作は、本明細書において開示される構造を含む、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェア、またはそれらのうちの1つもしくは複数の組み合わせにおいて実装することができる。動作は、データ処理装置により、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶デバイスに記憶されるデータ、または他のソースから受信されるデータに対して実行される動作として実装され得る。データ処理装置、コンピュータ、またはコンピューティングデバイスは、装置、デバイス、およびデータを処理するための機械を包含してもよく、例としてプログラム可能プロセッサ、コンピュータ、システムオンチップ、または前述のうちの複数もしくは前述のものの組み合わせを含む。装置は、特殊目的論理回路、例えば中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または特定用途向け集積回路(ASIC)を含むことができる。装置はまた、問題のコンピュータプログラムのための実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム(例えばオペレーティングシステムまたはオペレーティングシステムの組み合わせ)、クロスプラットフォームのランタイム環境、バーチャルマシン、またはそれらの1つもしくは複数の組み合わせ、を構成するコードを含むことができる。装置および実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティング、およびグリッドコンピューティングインフラストラクチャなどの様々な異なるコンピュータモデルインフラストラクチャを実現することができる。
【0073】
コンピュータプログラム(例えば、プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアモジュール、ソフトウェアユニット、スクリプト、またはコードとしても知られる)は、コンパイラ型もしくはインタプリタ型言語、または宣言型もしくは手続き型言語を含む任意の形態のプログラム言語で記述することができ、スタンドアロンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、もしくはコンピューティング環境での使用に好適な他の単位として、を含む任意の形態として展開することができる。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保有するファイルの一部(例えば、マークアップ言語文書に記憶された1つまたは複数のスクリプトなど)、問題のプログラム専用の単一のファイル、または複数のコーディネートされたファイル(例えば、1つもしくは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を記憶するファイル)に記憶することができる。コンピュータプログラムは、一か所または複数の場所にまたがって分散される1つのコンピュータまたは複数のコンピュータ上で実行され、通信ネットワークにより相互接続することができる。
【0074】
コンピュータプログラムの実行のためのプロセッサは、例として、汎用および特殊目的両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のデジタルコンピュータの1つまたは複数の任意のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは読み取り専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたは両方から、命令およびデータを受信する。コンピュータの必須の要素は、命令にしたがってアクションを実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。一般的に、コンピュータはまたデータを記憶するために、1つまたは複数の大容量記憶デバイスを含み、または1つもしくは複数の大容量記憶デバイスからデータを受信するため、または1つもしくは複数の大容量記憶デバイスにデータを転送するため、またはその両方のために、1つもしくは複数の大容量記憶デバイスに動作可能に接続される。コンピュータは別のデバイス、例えばモバイルデバイス、携帯情報端末(PDA)、ゲーム機、全地球測位システム(GPS)受信機、または移動可能記憶デバイスに埋め込むことができる。コンピュータプログラム命令およびデータを記憶するために適したデバイスは非揮発性メモリ、媒体およびメモリデバイスを含み、例として半導体メモリデバイス、磁気ディスク、および磁気光学ディスクが挙げられる。プロセッサおよびメモリは、特殊目的論理回路によって補うことができ、または特殊目的論理回路に組み込むことができる。
【0075】
モバイルデバイスとしてはハンドセット、ユーザ機器(UE)、携帯電話(例えば、スマートフォン)、タブレット、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチおよびスマート眼鏡)、人体内にインプラントされるデバイス(例えば、バイオセンサ、人工内耳)、または他の種類のモバイルデバイス、を挙げることができる。モバイルデバイスは様々な通信ネットワークと無線通信(例えば、ラジオ周波数(RF)信号を使用して)することができる(以下に説明する)。モバイルデバイスはモバイルデバイスの現在の環境の特徴を判断するためのセンサを含むことができる。センサとしては、カメラ、マイクロフォン、近接センサ、GPSセンサ、動きセンサ、加速度計、周囲光センサ、湿気センサ、ジャイロスコープ、コンパス、気圧計、指紋センサ、顔認識システム、RFセンサ(例えば、Wi-Fiおよび携帯ラジオ)、熱センサ、または他の種類のセンサ、を挙げることができる。例えば、カメラは可動または固定のレンズ、フラッシュ、画像センサ、および画像プロセッサを備える、前方、または後方向きのカメラを含むことができる。カメラは顔および/または虹彩認識のために、詳細部を撮像できるメガピクセルカメラであってもよい。データプロセッサ、およびメモリに記憶されるかまたはリモートでアクセスされる認証情報と共に、カメラは、顔認識システムを形成することができる。顔認識システムまたは1つもしくは複数のセンサ、例えば、マイクロフォン、動きセンサ、加速度計、GPSセンサ、またはRFセンサは、ユーザ認証のために使用することができる。
【0076】
ユーザとの対話を可能にするために、実施形態をディスプレイデバイスおよび入力デバイス、例えば、ユーザへ情報を表示するための液晶ディスプレイ(LCD)、または有機発光ダイオード(OLED)/仮想現実(VR)/拡張現実(AR)ディスプレイ、ならびにユーザがコンピュータに入力を与えることを可能にするためのタッチスクリーン、キーボード、およびポインティングデバイスを有するコンピュータに実装することができる。同様に他の種類のデバイスを、ユーザとの対話を可能とするために使用することができる。例えば、ユーザに与えられるフィードバックは任意の形態の感覚的なフィードバック、例えば視覚的なフィードバック、聴覚的なフィードバック、または触覚的なフィードバックであってもよく、ユーザからの入力は、音響、発話もしくは触覚的な入力を含む、任意の形態で受信することができる。加えて、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに文書を送信することおよびユーザによって使用されるデバイスから文書を受信することによって、ユーザと対話することができ、例えば、ウェブブラウザから受信した要求に応答して、ユーザのクライアントデバイスのウェブブラウザにウェブページを送信することによって、などである。
【0077】
実施形態は、例えば、通信ネットワークなど有線または無線のデジタルデータ通信(または、その組み合わせ)の、任意の形態または媒体で相互接続されるコンピューティングデバイスを使用して実装することができる。相互接続されるデバイスの例としては、一般的に、互いに離れており、典型的には通信ネットワークを介して対話するクライアントおよびサーバが挙げられる。クライアント、例えばモバイルデバイスは、サーバと、またはサーバを介して取引そのものを実行することができ、例えば、購入、売却、支払い、贈与、送付、またはローン取引、または同様のものの承認を実行できる。そのような取引は、アクションおよび応答が時間的に近接するようにリアルタイムなものであり得、例えば、個人がそのアクションおよび実質的に同時に発生する応答を知覚すると、個人のアクションに続く応答についての時間差は1ミリ秒(ms)未満、もしくは1秒(s)未満であり、または応答はシステムの処理限界を考慮した意図的な遅延がない。
【0078】
通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)および広域ネットワーク(WAN)が挙げられる。通信ネットワークは、インターネット、別の通信ネットワーク、もしくは通信ネットワークの組み合わせ、のすべてまたは一部を含むことができる。情報は、Long Term Evolution(LTE)、5G、IEEE 802、Internet Protocol (IP)もしくは他のプロトコル、またはプロトコルの組み合わせ、を含む様々なプロトコルおよび規格にしたがって通信ネットワーク上で送信することができる。通信ネットワークは音声、動画、生体情報、もしくは認証データ、または接続されたコンピューティングデバイス同士の間の他の情報を送信することができる。
【0079】
別個の実装形態として説明した特徴は、組み合わせて、単一の実装形態で、実施することができ、一方で単一の実装形態として説明した特徴は複数の実装形態として、別個に、または任意の適切なサブ組み合わせで実施することができる。特定の順序で説明され、特許請求される動作は、特定の順序を要求するものとして理解されるべきではなく、またすべての図示した動作が実行されなければならないとして理解されるべきでもない(いくつかの動作は任意選択であり得る)。適宜、マルチタスクまたは並列処理(または、マルチタスクと並列処理の組み合わせ)が実行され得る。
【符号の説明】
【0080】
602 プロセッサ
604 内部バス
606 ネットワークインターフェース
608 メモリ
610 非揮発性メモリ
71 選択ユニット
72 比較ユニット
73 変更ユニット
74 入力ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8