(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6828186
(24)【登録日】2021年1月22日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】走査駆動回路
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20210128BHJP
G11C 19/28 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
G09G3/20 622E
G09G3/20 670J
G11C19/28 230
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-556895(P2019-556895)
(86)(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公表番号】特表2020-517994(P2020-517994A)
(43)【公表日】2020年6月18日
(86)【国際出願番号】CN2017084119
(87)【国際公開番号】WO2018192026
(87)【国際公開日】20181025
【審査請求日】2019年12月17日
(31)【優先権主張番号】201710265624.X
(32)【優先日】2017年4月21日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519182202
【氏名又は名称】深▲セン▼市▲華▼星光▲電▼半▲導▼体▲顕▼示技▲術▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】石 ▲龍▼▲強▼
【審査官】
小野 健二
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第106128409(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第106531109(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0310819(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0171949(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査駆動回路であって、前記走査駆動回路は順に接続される複数の走査駆動ユニットを含み、各走査駆動ユニットは、
高レベルの走査信号又は低レベルの走査信号を出力することに用いられる走査信号出力端子と、
自段クロック信号を受信し、且つ前記自段クロック信号に基づき前記走査信号出力端子が高レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられるプルアップ回路と、
前記プルアップ回路に接続され、高レベルの自段カスケード転送信号を出力することに用いられるダウンリンク回路と、
ダウンリンク回路に接続され、プルアップ制御信号点を充電することにより前記プルアップ制御信号点の電位を高レベルにプルアップすることに用いられるプルアップ制御回路と、
前記プルアップ制御回路に接続され、前記プルアップ制御信号点の低レベル及び前記走査信号出力端子によって出力される走査信号の低レベルを保持することに用いられるプルダウン保持回路と、
前記プルアップ制御信号点の電位を上げることに用いられるブートストラップ回路と、を含み、
前記プルアップ回路は第1制御可能スイッチを含み、前記第1制御可能スイッチの第1端子が前記自段クロック信号を受信し、且つ前記ダウンリンク回路に接続され、前記第1制御可能スイッチの制御端子が前記ダウンリンク回路に接続され、前記第1制御可能スイッチの第2端子が前記プルダウン保持回路及び前記走査信号出力端子に接続され、
前記ダウンリンク回路は第2制御可能スイッチを含み、前記第2制御可能スイッチの制御端子が前記第1制御可能スイッチの制御端子に接続され、前記第2制御可能スイッチの第1端子が前記第1制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第2制御可能スイッチの第2端子が自段カスケード転送信号を出力し、
前記プルアップ制御回路は第3〜第5制御可能スイッチを含み、前記第3制御可能スイッチの制御端子が前記第2制御可能スイッチの制御端子、第5制御可能スイッチの第2端子及び前記プルダウン保持回路に接続され、前記第3制御可能スイッチの第1端子が前記第4制御可能スイッチの第2端子及び前記第5制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第3制御可能スイッチの第2端子が前記プルダウン保持回路に接続され、前記第4制御可能スイッチの第1端子が前段カスケード転送信号を受信し、前記第4制御可能スイッチの制御端子が前記第5制御可能スイッチの制御端子に接続され、且つ第1クロック信号を受信し、
前記プルダウン保持回路は第6〜第13制御可能スイッチを含み、前記第6制御可能スイッチの制御端子が前記第5制御可能スイッチの第2端子に接続され、前記第6制御可能スイッチの第1端子が前記第3制御可能スイッチの第2端子に接続され、前記第6制御可能スイッチの第2端子が前記第7制御可能スイッチの第2端子及び前記第8制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第7制御可能スイッチの第1端子が前記第5制御可能スイッチの第2端子に接続され、第7制御可能スイッチの制御端子が前記第8制御可能スイッチの制御端子に接続され、第8制御可能スイッチの第2端子が第2電圧端子に接続され、前記第9制御可能スイッチの制御端子が前記第9制御可能スイッチの第1端子及び前記第11制御可能スイッチの第1端子に接続され且つ自段クロック信号を受信し、前記第9制御可能スイッチの第2端子が前記第10制御可能スイッチの第1端子及び前記第11制御可能スイッチの制御端子に接続され、第10制御可能スイッチの制御端子が前記第12制御可能スイッチの制御端子及び前記プルアップ制御信号点に接続され、前記第10制御可能スイッチの第2端子が第1電圧端子に接続され、第11制御可能スイッチの第2端子が前記第12制御可能スイッチの第1端子、前記第13制御可能スイッチの制御端子及び前記第8制御可能スイッチの制御端子に接続され、前記第12制御可能スイッチの第2端子が前記第2電圧端子に接続され、前記第13制御可能スイッチの第1端子が前記第1制御可能スイッチの第2端子、前記走査信号出力端子及び前記第6制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第13制御可能スイッチの第2端子が前記第1電圧端子に接続される走査駆動回路。
【請求項2】
前記走査駆動ユニットはプルダウン回路をさらに含み、前記プルダウン回路は前記ダウンリンク回路及び前記プルダウン保持回路に接続され、次段カスケード転送信号を受信し且つ前記次段カスケード転送信号に基づき前記走査信号出力端子が低レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられる請求項1に記載の走査駆動回路。
【請求項3】
前記ブートストラップ回路はブートストラップコンデンサを含み、前記ブートストラップコンデンサの一端が前記第3制御可能スイッチの制御端子に接続され、前記ブートストラップコンデンサの他端が前記第3制御可能スイッチの第2端子に接続される請求項1に記載の走査駆動回路。
【請求項4】
走査駆動回路であって、前記走査駆動回路は順に接続される複数の走査駆動ユニットを含み、各走査駆動ユニットは、
高レベルの走査信号又は低レベルの走査信号を出力することに用いられる走査信号出力端子と、
自段クロック信号を受信し、且つ前記自段クロック信号に基づき前記走査信号出力端子が高レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられるプルアップ回路と、
前記プルアップ回路に接続され、高レベルの自段カスケード転送信号を出力することに用いられるダウンリンク回路と、
ダウンリンク回路に接続され、プルアップ制御信号点を充電することにより前記プルアップ制御信号点の電位を高レベルにプルアップすることに用いられるプルアップ制御回路と、
前記プルアップ制御回路に接続され、前記プルアップ制御信号点の低レベル及び前記走査信号出力端子によって出力される走査信号の低レベルを保持することに用いられるプルダウン保持回路と、
前記プルアップ制御信号点の電位を上げることに用いられるブートストラップ回路と、を含み、
前記プルアップ回路は第1制御可能スイッチを含み、前記第1制御可能スイッチの第1端子が前記自段クロック信号を受信し、且つ前記ダウンリンク回路に接続され、前記第1制御可能スイッチの制御端子が前記ダウンリンク回路に接続され、前記第1制御可能スイッチの第2端子が前記プルダウン保持回路及び前記走査信号出力端子に接続され、
前記ダウンリンク回路は第2制御可能スイッチを含み、前記第2制御可能スイッチの制御端子が前記第1制御可能スイッチの制御端子に接続され、前記第2制御可能スイッチの第1端子が前記第1制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第2制御可能スイッチの第2端子が自段カスケード転送信号を出力し、
前記プルアップ制御回路は第3〜第5制御可能スイッチを含み、前記第3制御可能スイッチの制御端子が前記第2制御可能スイッチの制御端子、第5制御可能スイッチの第2端子及び前記プルダウン保持回路に接続され、前記第3制御可能スイッチの第1端子が前記第4制御可能スイッチの第2端子及び前記第5制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第3制御可能スイッチの第2端子が前記プルダウン保持回路に接続され、前記第4制御可能スイッチの第1端子が前段カスケード転送信号を受信し、前記第4制御可能スイッチの制御端子が前記第5制御可能スイッチの制御端子に接続され、且つ前記前段カスケード転送信号を受信し、
前記プルダウン保持回路は第6〜第13制御可能スイッチを含み、前記第6制御可能スイッチの制御端子が前記第5制御可能スイッチの第2端子に接続され、前記第6制御可能スイッチの第1端子が前記第3制御可能スイッチの第2端子に接続され、前記第6制御可能スイッチの第2端子が前記第7制御可能スイッチの第2端子及び前記第8制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第7制御可能スイッチの第1端子が前記第5制御可能スイッチの第2端子に接続され、前記第7制御可能スイッチの制御端子が前記第8制御可能スイッチの制御端子に接続され、前記第8制御可能スイッチの第2端子が第2電圧端子に接続され、前記第9制御可能スイッチの制御端子が前記第9制御可能スイッチの第1端子及び前記第11制御可能スイッチの第1端子に接続され、且つ自段クロック信号を受信し、前記第9制御可能スイッチの第2端子が前記第10制御可能スイッチの第1端子及び前記第11制御可能スイッチの制御端子に接続され、第10制御可能スイッチの制御端子が前記第12制御可能スイッチの制御端子及び前記プルアップ制御信号点に接続され、前記第10制御可能スイッチの第2端子が第1電圧端子に接続され、第11制御可能スイッチの第2端子が前記第12制御可能スイッチの第1端子、前記第13制御可能スイッチの制御端子及び前記第8制御可能スイッチの制御端子に接続され、前記第12制御可能スイッチの第2端子が前記第2電圧端子に接続され、前記第13制御可能スイッチの第1端子が前記第6制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第13制御可能スイッチの第2端子が前記第1電圧端子に接続される走査駆動回路。
【請求項5】
前記走査駆動ユニットはプルダウン回路をさらに含み、前記プルダウン回路は前記ダウンリンク回路及び前記プルダウン保持回路に接続され、次段カスケード転送信号を受信し且つ前記次段カスケード転送信号に基づき前記走査信号出力端子が低レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられ、
前記プルダウン回路は第14〜第17制御可能スイッチを含み、前記第14制御可能スイッチの制御端子が前記第15制御可能スイッチの第1端子及び前記第2制御可能スイッチの制御端子に接続され、前記第14制御可能スイッチの第1端子が前記走査信号出力端子及び前記第13制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第14制御可能スイッチの第2端子が前記第15制御可能スイッチの第2端子及び前記第16制御可能スイッチの第1端子に接続され、前記第15制御可能スイッチの制御端子が前記第16制御可能スイッチの制御端子及び前記第17制御可能スイッチの制御端子に接続され、且つ前記次段カスケード転送信号を受信し、前記第16制御可能スイッチの第2端子が前記第2電圧端子に接続され、前記第17制御可能スイッチの第1端子が前記走査信号出力端子に接続され、前記第17制御可能スイッチの第2端子が前記第1電圧端子に接続される請求項4に記載の走査駆動回路。
【請求項6】
前記ブートストラップ回路はブートストラップコンデンサを含み、前記ブートストラップコンデンサの一端が前記第3制御可能スイッチの制御端子に接続され、前記ブートストラップコンデンサの他端が前記第3制御可能スイッチの第2端子に接続される請求項4に記載の走査駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示技術分野に関し、特に走査駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
GOA(Gate Driver on Array)技術はディスプレイスクリーンの狭額縁設計及びコスト削減に有利であり、幅広く応用、研究されている。インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)は高い移動度及び良好なデバイス安定性を有し、走査駆動回路の複雑度を低減させることができ、IGZOの高移動度により走査駆動回路中の薄膜トランジスタの寸法が相対的に小さく、狭額縁ディスプレイの作製に有利である。また、IGZOのデバイス安定性によって薄膜トランジスタの特性を安定させるための電源及び薄膜トランジスタの数を減少させることができ、それにより回路がシンプルで且つ消費電力が低くなる。反面、IGZO材料自体の特徴によって初期の閾値電圧Vthが負になりやすく、且つ照明の影響を受けて閾値電圧Vthが深刻に負にシフトすることを引き起こし、さらに走査駆動回路の故障を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が主に解決しようとする技術的課題は閾値電圧の負へのシフト(shift)により走査駆動回路の故障を引き起こすことを防止する、走査駆動回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する1つの技術的手段は以下のとおりである。走査駆動回路を提供し、前記走査駆動回路は、順に接続される複数の走査駆動ユニットを含み、各走査駆動ユニットは、高レベルの走査信号又は低レベルの走査信号を出力することに用いられる走査信号出力端子と、自段クロック信号を受信し、且つ前記自段クロック信号に基づき前記走査信号出力端子が高レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられるプルアップ回路と、前記プルアップ回路に接続され、高レベルの自段カスケード転送信号を出力することに用いられるダウンリンク回路と、ダウンリンク回路に接続され、プルアップ制御信号点を充電することにより前記プルアップ制御信号点の電位を高レベルにプルアップすることに用いられるプルアップ制御回路と、前記プルアップ制御回路に接続され、前記プルアップ制御信号点の低レベル及び前記走査信号出力端子によって出力される走査信号の低レベルを保持することに用いられるプルダウン保持回路と、前記プルアップ制御信号点の電位を上げることに用いられるブートストラップ回路と、前記プルダウン回路が前記ダウンリンク回路及び前記プルダウン保持回路に接続され、次段カスケード転送信号を受信し且つ前記次段カスケード転送信号に基づき前記走査信号出力端子が低レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられるプルダウン回路と、を含み、前記プルアップ回路は第1制御可能スイッチを含み、前記第1制御可能スイッチの第1端子が前記自段クロック信号を受信し、且つ前記ダウンリンク回路に接続され、前記第1制御可能スイッチの制御端子が前記ダウンリンク回路に接続され、前記第1制御可能スイッチの第2端子が前記プルダウン保持回路及び前記走査信号出力端子に接続される。
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明が採用する1つの技術的手段は以下のとおりである。走査駆動回路を提供し、前記走査駆動回路は順に接続される複数の走査駆動ユニットを含み、各走査駆動ユニットは、高レベルの走査信号又は低レベルの走査信号を出力することに用いられる走査信号出力端子と、自段クロック信号を受信し、且つ前記自段クロック信号に基づき前記走査信号出力端子が高レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられるプルアップ回路と、前記プルアップ回路に接続され、高レベルの自段カスケード転送信号を出力することに用いられるダウンリンク回路と、ダウンリンク回路に接続され、プルアップ制御信号点を充電することにより前記プルアップ制御信号点の電位を高レベルにプルアップすることに用いられるプルアップ制御回路と、前記プルアップ制御回路に接続され、前記プルアップ制御信号点の低レベル及び前記走査信号出力端子によって出力される走査信号の低レベルを保持することに用いられるプルダウン保持回路と、前記プルアップ制御信号点の電位を上げることに用いられるブートストラップ回路と、を含む。
【0006】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。従来技術の場合と異なり、本発明の上記走査駆動回路はプルアップ回路、ダウンリンク回路、プルアップ制御回路、プルダウン保持回路、上記プルダウン回路及びブートストラップ回路によってリークを防止し、さらに閾値電圧の負へのシフトにより走査駆動回路の故障を引き起こすことを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の走査駆動回路の第1実施例の回路模式図である。
【
図3】
図3は、
図1のシミュレーションの信号波形模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の走査駆動回路の第32段の走査駆動ユニットのシミュレーションの信号波形模式図である。
【
図5】
図5は、
図1の信頼性シミュレーションの信号波形模式図である。
【
図6】
図6は、本発明の走査駆動回路の第2実施例の回路模式図である。
【
図8】
図8は、
図6のシミュレーションの信号波形模式図である。
【
図9】
図9は、本発明の走査駆動回路の第32段の走査駆動ユニットのシミュレーションの信号波形模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本発明の走査駆動回路の第1実施例の回路模式図である。上記走査駆動回路は順に接続される複数の走査駆動ユニット1を含み、各走査駆動ユニット1は、高レベルの走査信号又は低レベルの走査信号を出力することに用いられる走査信号出力端子G(n)、自段クロック信号CK(n)を受信し、且つ上記自段クロック信号CK(n)に基づき上記走査信号出力端子G(n)が高レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられるプルアップ回路10、上記プルアップ回路10に接続され、高レベルの自段カスケード転送信号ST(n)を出力することに用いられるダウンリンク回路20、ダウンリンク回路20に接続され、プルアップ制御信号点Q(n)を充電することにより上記プルアップ制御信号点Q(n)の電位を高レベルにプルアップすることに用いられるプルアップ制御回路30、上記プルアップ制御回路30に接続され、上記プルアップ制御信号点Q(n)の低レベル及び上記走査信号出力端子G(n)によって出力される走査信号の低レベルを保持することに用いられるプルダウン保持回路40、及び上記プルアップ制御信号点Q(n)の電位を上げることに用いられるブートストラップ回路50を含む。
【0009】
上記走査駆動ユニット1はプルダウン回路60をさらに含み、上記プルダウン回路60は上記ダウンリンク回路20及び上記プルダウン保持回路40に接続され、次段カスケード転送信号ST(n+4)を受信し、且つ上記次段カスケード転送信号ST(n+4)に基づき上記走査信号出力端子G(n)が低レベルの走査信号を出力するように制御することに用いられる。
【0010】
上記プルアップ回路10は第1制御可能スイッチT1を含み、上記第1制御可能スイッチT1の第1端子が上記自段クロック信号CK(n)を受信し、且つ上記ダウンリンク回路20に接続され、上記第1制御可能スイッチT1の制御端子が上記ダウンリンク回路20に接続され、上記第1制御可能スイッチT1の第2端子が上記プルダウン保持回路40及び上記走査信号出力端子G(n)に接続される。
【0011】
上記ダウンリンク回路20は第2制御可能スイッチT2を含み、上記第2制御可能スイッチT2の制御端子が上記第1制御可能スイッチT1の制御端子に接続され、上記第2制御可能スイッチT2の第1端子が上記第1制御可能スイッチT1の第1端子に接続され、上記第2制御可能スイッチT2の第2端子が自段カスケード転送信号ST(n)を出力する。
【0012】
上記プルアップ制御回路30は第3〜第5制御可能スイッチT3−T5を含み、上記第3制御可能スイッチT3の制御端子が上記第2制御可能スイッチT2の制御端子、第5制御可能スイッチT5の第2端子及び上記プルダウン保持回路40に接続され、上記第3制御可能スイッチT3の第1端子が上記第4制御可能スイッチT4の第2端子及び上記第5制御可能スイッチT5の第1端子に接続され、上記第3制御可能スイッチT3の第2端子が上記プルダウン保持回路40に接続され、上記第4制御可能スイッチT4の第1端子が前段カスケード転送信号ST(n−4)を受信し、上記第4制御可能スイッチT4の制御端子が上記第5制御可能スイッチT5の制御端子に接続され且つ第1クロック信号XCKを受信する。
【0013】
上記プルダウン保持回路40は第6〜第13制御可能スイッチT6−T13を含み、上記第6制御可能スイッチT6の制御端子が上記第5制御可能スイッチT5の第2端子に接続され、上記第6制御可能スイッチT6の第1端子が上記第3制御可能スイッチT3の第2端子に接続され、上記第6制御可能スイッチT6の第2端子が上記第7制御可能スイッチT7の第2端子及び上記第8制御可能スイッチT8の第1端子に接続され、上記第7制御可能スイッチT7の第1端子が上記第5制御可能スイッチT5の第2端子に接続され、第7制御可能スイッチT7の制御端子が上記第8制御可能スイッチT8の制御端子に接続され、第8制御可能スイッチT8の第2端子が第2電圧端子VSS2に接続され、上記第9制御可能スイッチT9の制御端子が上記第9制御可能スイッチT9の第1端子及び上記第11制御可能スイッチT11の第1端子に接続され、且つ自段クロック信号CK(n)を受信し、上記第9制御可能スイッチT9の第2端子が上記第10制御可能スイッチT10の第1端子及び上記第11制御可能スイッチT11の制御端子に接続され、第10制御可能スイッチT10の制御端子が上記第12制御可能スイッチT12の制御端子及び上記プルアップ制御信号点Q(n)に接続され、上記第10制御可能スイッチT10の第2端子が第1電圧端子VSS1に接続され、第11制御可能スイッチT11の第2端子が上記第12制御可能スイッチT12の第1端子、上記第13制御可能スイッチT13の制御端子及び上記第8制御可能スイッチT8の制御端子に接続され、上記第12制御可能スイッチT12の第2端子が上記第2電圧端子VSS2に接続され、上記第13制御可能スイッチT13の第1端子が上記第1制御可能スイッチT1の第2端子、上記走査信号出力端子G(n)及び上記第6制御可能スイッチT6の第1端子に接続され、上記第13制御可能スイッチT13の第2端子が上記第1電圧端子VSS1に接続される。
【0014】
上記ブートストラップ回路50はブートストラップコンデンサC1を含み、上記ブートストラップコンデンサC1の一端が上記第3制御可能スイッチT3の制御端子に接続され、上記ブートストラップコンデンサC1の他端が上記第3制御可能スイッチT3の第2端子に接続される。
【0015】
本実施例では、上記第1〜第13制御可能スイッチT1−T13はすべてN型薄膜トランジスタであり、上記第1〜第13制御可能スイッチT1−T13の制御端子、第1端子及び第2端子はそれぞれ上記N型薄膜トランジスタのゲート、ドレイン及びソースに対応する。ほかの実施例では、上記第1〜第13制御可能スイッチはほかのタイプのスイッチであってもよく、本発明の目的を実現できればよい。
【0016】
本実施例では、上記自段クロック信号CK(n)の位相は上記第1クロック信号XCKの位相とは反対であり、それは、1組の高周波交流電源である。上記第1電圧端子VSS1及び上記第2電圧端子VSS2はそれぞれ直流電源である。本発明は8K4K表示を例に説明するが、ここでは、8つのクロック信号を採用し、2つごとのクロック信号間の重複時間が3.75マイクロ秒であり、トリガー信号STVがフレームごとに1つのパルスを有し、且つパルス幅が30マイクロ秒であり、上記トリガー信号STVとクロック信号CKとの間の重複時間が3.75マイクロ秒である。
【0017】
本実施例では、クロック信号CKは高電位が28V、低電位が−10Vである。本発明は8つのクロック信号CKを採用するため、クロック信号CK1とCK5の位相が反対であり、クロック信号CK2とCK6の位相が反対であり、クロック信号CK3とCK7の位相が反対であり、クロック信号CK4とCK8の位相が反対である。上記前段カスケード転送信号ST(N−4)が前の第4段のカスケード転送信号に接続され、たとえば、現在段が第10段である場合、ST(N)=ST(10)、ST(N−4)=ST(6)であり、つまり、上記第4制御可能スイッチT4の第1端子が第6段のカスケード転送信号ST(6)に接続される。そのうち、前の4段の各段の第4制御可能スイッチT4の第1端子がすべてトリガー信号STVに接続される。上記第1電圧端子VSS1の電圧が−5Vであり、上記第2電圧端子VSS2の電圧が−10Vである。
【0018】
図2〜
図4に示すように、本実施例の走査駆動回路は第32段の走査駆動ユニットの動作原理を例に説明する。すなわち、G(N)=G(32)、ST(N−4)=ST(28)であり、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号がクロック信号CK8によって制御され、カスケード転送信号ST(28)がクロック信号CK4によって制御され、第1クロック信号XCKがクロック信号CK4である。
【0019】
カスケード転送信号ST(28)が高電位である時、クロック信号CK4が高電位であり、上記第4制御可能スイッチT4及び上記第5制御可能スイッチT5がともにオンし、カスケード転送信号ST(28)の高電位が上記プルアップ制御信号点Q(32)に伝達され、この時、上記プルアップ制御信号点Q(32)が高電位であり、この場合、上記第1制御可能スイッチT1がオンし、この時、クロック信号CK8が低電位であり、従って、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号が低電位であり、この時、上記第9制御可能スイッチT9及び上記第12制御可能スイッチT12がともにオンし、上記第2電圧端子VSS2が上記プルダウン制御信号点P(32)の電位をプルダウンし、この時、上記第13制御可能スイッチT13、上記第7制御可能スイッチT7及び上記第8制御可能スイッチT8がすべてオフし、従って上記第1電圧端子VSS1が上記走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号の電位をプルダウンしない。
【0020】
カスケード転送信号ST(28)が低電位である時、クロック信号CK4が低電位であり、上記第4制御可能スイッチT4及び上記第5制御可能スイッチT5がともにオフし、この時、クロック信号CK8が高電位であり、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号が高電位であり、上記プルアップ制御信号点Q(32)がコンデンサC1の結合効果を受けてより高い電位に上げられ、上記プルダウン制御信号点P(32)が低電位を継続的に保持する。
【0021】
ここでは、本発明の上記走査駆動回路は閾値電圧Vthの負へのシフトにより回路の故障を引き起こすことを如何に防止するかを説明する必要がある。
【0022】
従来の走査駆動回路では、プルアップ制御回路30及びプルダウン保持回路40の閾値電圧Vthが負になると、プルアップ制御信号点Q(32)の高電位がプルアップ制御回路30及びプルダウン保持回路40から低電位にリークし、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号の高電位も低電位にリークし、このように、回路が正常な波形を出力できず、それにより故障を引き起こす。
【0023】
本発明の走査駆動回路はリークを効果的に防止でき、そのうち、プルアップ制御回路30の閾値電圧Vthが負になると、上記第3制御可能スイッチT3がオンし、この時、上記第5制御可能スイッチT5の第1端子の電圧が28Vであり、クロック信号CK4がこの時に低電位であるため、電圧が−10Vである。従って、上記第5制御可能スイッチT5のゲートソース間の電圧がVgs=−10V−28V=−38Vであり、上記第5制御可能スイッチT5の閾値電圧Vthが−38V以上である限り、上記第5制御可能スイッチT5がともにオフ状態にある。従って、上記プルアップ制御信号点Q(32)の高電位が上記プルアップ制御回路30からリークすることがなく、上記プルダウン保持回路40のリーク防止原理は同様であるため、ここでは詳細説明をしない。
【0024】
上記第13制御可能スイッチT13のリークに対しては、上記第1電圧端子VSS1の電位が−5Vであり、上記第2電圧端子VSS2の電位が−10Vであるとすると、この時、上記プルダウン制御信号点P(32)の電位が−10Vであり、上記第13制御可能スイッチT13のゲートソース間の電圧がVgs=−10V−(−5V)=−5Vであり、上記第13制御可能スイッチT13の閾値電圧Vthが−5V以上である限り、上記第5制御可能スイッチT5がともにオフ状態であり、従って、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号の高電位が上記第13制御可能スイッチT13からリークすることがない。
【0025】
クロック信号CK8が低電位である時、上記走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号が低電位にプルされ、同時に、クロック信号CK4が高電位であり、カスケード転送信号ST(28)の低電位が上記プルアップ制御信号点Q(32)に伝達され、上記プルアップ制御信号点Q(32)が低電位にプルされる。以降、クロック信号CK8が周期的に高電位であり、上記プルダウン制御信号点P(32)が周期的に高電位であり、従って上記第13制御可能スイッチT13、上記第7制御可能スイッチT7及び上記第8制御可能スイッチT8が周期的にオンし、上記プルアップ制御信号点Q(32)が上記第2電圧端子VSS2の電位によく保持でき、上記走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号が上記第1電圧端子VSS1の電位によく保持できる。
【0026】
図5に示すように、本発明の走査駆動回路の信頼性シミュレーションの波形模式図である。
図5からわかるように、閾値電圧Vthが−7vである場合にも、上記走査駆動回路が正常に動作でき、本願の走査駆動回路の信頼性が非常に優れていることを示す。
【0027】
上記走査駆動回路はプルアップ回路、ダウンリンク回路、プルアップ制御回路、プルダウン保持回路及びブートストラップ回路によってリークを防止し、さらに閾値電圧負へのシフトにより走査駆動回路の故障を引き起こすことを防止する。
【0028】
図6に示すように、本発明の走査駆動回路の第2実施例の回路模式図である。上記走査駆動回路の第2実施例と上記第1実施例との相違点は以下のとおりである。上記プルアップ制御回路30は第3〜第5制御可能スイッチT3−T5を含み、上記第3制御可能スイッチT3の制御端子が上記第2制御可能スイッチT2の制御端子、第5制御可能スイッチT5の第2端子及び上記プルダウン保持回路40に接続され、上記第3制御可能スイッチT3の第1端子が上記第4制御可能スイッチT4の第2端子及び上記第5制御可能スイッチT5の第1端子に接続され、上記第3制御可能スイッチT3の第2端子が上記プルダウン保持回路40に接続され、上記第4制御可能スイッチT4の第1端子が前段カスケード転送信号ST(n−4)を受信し、上記第4制御可能スイッチT4の制御端子が上記第5制御可能スイッチT5の制御端子に接続され且つ上記前段カスケード転送信号ST(n−4)を受信する。
【0029】
上記プルダウン保持回路40は第6〜第13制御可能スイッチT6−T13を含み、上記第6制御可能スイッチT6の制御端子が上記第5制御可能スイッチT5の第2端子に接続され、上記第6制御可能スイッチT6の第1端子が上記第3制御可能スイッチT3の第2端子に接続され、上記第6制御可能スイッチT6の第2端子が上記第7制御可能スイッチT7の第2端子及び上記第8制御可能スイッチT8の第1端子に接続され、上記第7制御可能スイッチT7の第1端子が上記第5制御可能スイッチT5の第2端子に接続され、上記第7制御可能スイッチT7の制御端子が上記第8制御可能スイッチT8の制御端子に接続され、上記第8制御可能スイッチT8の第2端子が第2電圧端子VSS2に接続され、上記第9制御可能スイッチT9の制御端子が上記第9制御可能スイッチT9の第1端子及び上記第11制御可能スイッチT11の第1端子に接続され且つ自段クロック信号CK(n)を受信し、上記第9制御可能スイッチT9の第2端子が上記第10制御可能スイッチT10の第1端子及び上記第11制御可能スイッチT11の制御端子に接続され、第10制御可能スイッチT10の制御端子が上記第12制御可能スイッチT12の制御端子及び上記プルアップ制御信号点Q(n)に接続され、上記第10制御可能スイッチT10の第2端子が第1電圧端子VSS1に接続され、第11制御可能スイッチT11の第2端子が上記第12制御可能スイッチT12の第1端子、上記第13制御可能スイッチT13の制御端子及び上記第8制御可能スイッチT8の制御端子に接続され、上記第12制御可能スイッチT12の第2端子が上記第2電圧端子VSS2に接続され、上記第13制御可能スイッチT13の第1端子が上記第6制御可能スイッチT6の第1端子に接続され、上記第13制御可能スイッチT13の第2端子が上記第1電圧端子VSS1に接続される。
【0030】
上記プルダウン回路60は第14〜第17制御可能スイッチT14−T17を含み、上記第14制御可能スイッチT14の制御端子が上記第15制御可能スイッチT15の第1端子及び上記第2制御可能スイッチT2の制御端子に接続され、上記第14制御可能スイッチT14の第1端子が上記走査信号出力端子G(n)及び上記第13制御可能スイッチT13の第1端子に接続され、上記第14制御可能スイッチT14の第2端子が上記第15制御可能スイッチT15の第2端子及び上記第16制御可能スイッチT16の第1端子に接続され、上記第15制御可能スイッチT15の制御端子が上記第16制御可能スイッチT16の制御端子及び上記第17制御可能スイッチT17の制御端子に接続され且つ上記次段カスケード転送信号ST(n+4)を受信し、上記第16制御可能スイッチT16の第2端子が上記第2電圧端子VSS2に接続され、上記第17制御可能スイッチT17の第1端子が上記走査信号出力端子G(n)に接続され、上記第17制御可能スイッチT17の第2端子が上記第1電圧端子VSS1に接続される。
【0031】
本実施例では、上記第1〜第17制御可能スイッチT1−T17はすべてN型薄膜トランジスタであり、上記第1〜第17制御可能スイッチT1−T17の制御端子、第1端子及び第2端子がそれぞれ上記N型薄膜トランジスタのゲート、ドレイン及びソースに対応する。ほかの実施例では、上記第1〜第17制御可能スイッチはほかのタイプのスイッチであってもよく、本発明の目的を実現できればよい。
【0032】
本実施例では、クロック信号CKの高電位が28Vであり、低電位が−10Vであるとする。上記走査駆動回路は8つのクロック信号CKを採用し、上記カスケード転送信号ST(N−4)が前の第4段のカスケード転送信号に接続され、たとえば、現在段が第10段であると、ST(N)=ST(10)、ST(N−4)=ST(6)、ST(N+4)=ST(10)であり、つまり、上記第4制御可能スイッチT4の第1端子が第6段のカスケード転送信号ST(6)に接続される。そのうち、前の4段の各段の走査駆動ユニット1の第4制御可能スイッチT4がすべてトリガー信号STVに接続され、後の4段のカスケード転送信号ST(n+4)がトリガー信号STVで代替され、ここでは、上記第1電圧端子VSS1の電圧を−5V、上記第2電圧端子VSS2の電圧を−10Vと設定する。
【0033】
図7〜
図9に示すように、本実施例の走査駆動回路は第32段の走査駆動ユニットの動作原理を例に説明する。すなわち、G(N)=G(32)、ST(N−4)=ST(28)、ST(N+4)=ST(36)であり、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号がクロック信号CK8によって制御され、カスケード転送信号ST(28)がクロック信号CK4によって制御される。
【0034】
カスケード転送信号ST(28)が高電位である時、クロック信号CK4が高電位であり、上記第4制御可能スイッチT4及び上記第5制御可能スイッチT5がともにオンであり、上記カスケード転送信号ST(28)の高電位が上記プルアップ制御信号点Q(32)に伝達され、上記プルアップ制御信号点Q(32)が高電位である。この時、上記第1制御可能スイッチT1がオンし、クロック信号CK8が低電位である。従って、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号が低電位であり、同時に、上記第10制御可能スイッチT10及び上記第12制御可能スイッチT12がともにオンする。従って、上記第2電圧端子VSS2が上記プルダウン制御信号点P(32)の電位をプルダウンする。この時、上記第13制御可能スイッチT13、第7制御可能スイッチT7及び上記第8制御可能スイッチT8がすべてオフし、上記第2電圧端子VSS2の低電位が走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号の電位をプルダウンしない。
【0035】
カスケード転送信号ST(28)が低電位である時、クロック信号CK4が低電位であり、上記第4制御可能スイッチT4及び上記第5制御可能スイッチT5がともにオフし、この時、クロック信号CK8が高電位であり、上記走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号が高電位であり、上記プルアップ制御信号点Q(32)がコンデンサC1の結合効果を受けてより高い電位に上げられ、上記プルダウン制御信号点P(32)が低電位を継続的に保持する。
【0036】
ここでは、本発明の走査駆動回路は閾値電圧Vthの負へのシフト(shift)により回路の故障を引き起こすことを如何に防止するかを説明する必要がある。
【0037】
従来の走査駆動回路では、プルアップ制御回路30、プルダウン回路60及びプルダウン保持回路40の閾値電圧Vthが負になると、プルアップ制御信号点Q(32)の高電位がプルアップ制御回路30、プルダウン回路60及びプルダウン保持回路40から低電位にリークし、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号の高電位がプルダウン回路60及びプルダウン保持回路40から低電位にリークし、このように、走査駆動回路が正常な波形を出力できず、それにより故障を引き起こす。
【0038】
本発明の走査駆動回路はリークを効果的に防止でき、そのうち上記プルアップ制御回路30の閾値電圧Vthが負になると、上記第3制御可能スイッチT3がオンし、この時、上記第5制御可能スイッチT5の第1端子の電圧が28Vである。クロック信号CK4がこの時に低電位であるため、電圧が−10Vであり、上記第5制御可能スイッチT5のゲートソース間の電圧がVgs=−10V−28V=−38Vであり、上記第5制御可能スイッチT5の閾値電圧Vthが−38V以上である限り、上記第5制御可能スイッチT5がともにオフ状態にあり、従って、上記プルアップ制御信号点Q(32)の高電位が上記プルアップ制御回路30からリークすることがない。上記プルダウン保持回路40のリーク防止原理は同様であるため、ここでは詳細説明をしない。
【0039】
上記第13制御可能スイッチT13及び上記第17制御可能スイッチT17のリークに対しては、上記第1電圧端子VSS1の電位が−5Vであり、上記第2電圧端子VSS2の電位が−10Vであるとすると、この時、上記プルダウン制御信号点P(32)の電位が−10Vであり、上記第13制御可能スイッチT13のゲートソース間の電圧がVgs=−10V−(−5V)=−5Vである。上記第13制御可能スイッチT13の閾値電圧Vthが−5V以上である限り、上記第5制御可能スイッチT5がともにオフ状態であり、従って、走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号の高電位が上記プルダウン保持回路40からリークすることがない。同様に、カスケード転送信号ST(36)が−10Vであり、VSS1が−5Vであり、上記第17制御可能スイッチT17のゲートソース間の電圧がVgs=−5Vであり、上記第17制御可能スイッチT17が良好なオフ状態にある。
【0040】
カスケード転送信号ST(36)が高電位である時、上記第14〜第17制御可能スイッチT14−T17がすべてオンし、上記走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号及び上記プルアップ制御信号点Q(32)が低電位にプルされる。以降、クロック信号CK8が周期的に高電位であり、上記プルダウン制御信号点P(32)が周期的に高電位であり、上記第6〜第8制御可能スイッチT6−T8及び上記第13制御可能スイッチT13が周期的にオンし、上記プルアップ制御信号点Q(32)が上記第2電圧端子VSS2の電位まで良好に保持でき、上記走査信号出力端子G(32)によって出力される走査信号が上記第1電圧端子VSS1の電位まで保持できる。
【0041】
図10に示すように、本発明の走査駆動回路の信頼性シミュレーションの波形模式図である。
図10からわかるように、閾値電圧Vthが−7vである場合にも、上記走査駆動回路が正常に動作でき、本願の走査駆動回路の信頼性が非常に優れていることを示す。
【0042】
上記走査駆動回路はプルアップ回路、ダウンリンク回路、プルアップ制御回路、プルダウン保持回路、上記プルダウン回路及びブートストラップ回路によってリークを防止し、さらに閾値電圧の負へのシフトにより走査駆動回路の故障を引き起こすことを防止する。
【0043】
以上は、本発明の実施形態に過ぎず、それによって本発明の特許範囲を制限するものではなく、本発明の明細書及び図面の内容を利用して施される同等構造又は同等プロセスの変形、又はほかの関連技術分野における直接又は間接的な応用は、同様に、すべて本発明特許の保護範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 走査駆動ユニット
10 プルアップ回路
20 ダウンリンク回路
30 プルアップ制御回路
40 プルダウン保持回路
50 ブートストラップ回路
60 プルダウン回路