特許第6828304号(P6828304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6828304-接着性組成物および接着方法 図000008
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6828304
(24)【登録日】2021年1月25日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】接着性組成物および接着方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 201/00 20060101AFI20210128BHJP
   C08K 5/3492 20060101ALI20210128BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20210128BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20210128BHJP
   C09J 107/00 20060101ALI20210128BHJP
   C09J 109/02 20060101ALI20210128BHJP
   C09J 111/00 20060101ALI20210128BHJP
   C09J 5/00 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   C09J201/00
   C08K5/3492
   C08L101/00
   C09J11/06
   C09J107/00
   C09J109/02
   C09J111/00
   C09J5/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-163235(P2016-163235)
(22)【出願日】2016年8月24日
(65)【公開番号】特開2018-30934(P2018-30934A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年8月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】加藤 一雄
(72)【発明者】
【氏名】冨田 陽
(72)【発明者】
【氏名】村山 洋
【審査官】 井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−122772(JP,A)
【文献】 特開平09−059460(JP,A)
【文献】 特開昭59−001546(JP,A)
【文献】 特開昭59−001548(JP,A)
【文献】 特開2009−091430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 −201/10
C08L 11/00
C08L 15/00
C08L 23/00
C08L 27/00
B32B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン元素を含有する高分子化合物100質量部に対し、トリアジンチオール系化合物を3〜60質量部配合してなり、
加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合されたゴムと、加硫剤として金属酸化物が配合されたゴムとを加硫接着するための接着剤として用いられる
ことを特徴とする接着性組成物。
【請求項2】
前記トリアジンチオール系化合物が、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンであることを特徴とする請求項1に記載の接着性組成物。
【請求項3】
加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合された天然ゴムまたはアクリロニトリルブタジエンゴムと、加硫剤として金属酸化物が配合されたクロロプレンゴムと、を加硫接着するための接着剤として用いられる請求項に記載の接着性組成物。
【請求項4】
ハロゲン元素を含有する高分子化合物100質量部に対し、トリアジンチオール系化合物を3〜60質量部配合してなり、
天然ゴムおよびアクリロニトリルブタジエンゴム間を加硫接着するための接着剤として用いられる接着性組成物。
【請求項5】
加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合されたゴムと、加硫剤として金属酸化物が配合されたゴムとの間に、請求項1〜のいずれかに記載の接着性組成物を接着剤として介在させ、加硫接着させることを特徴とする接着方法。
【請求項6】
天然ゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムとの間に、請求項に記載の接着性組成物を接着剤として介在させ、加硫接着させることを特徴とする接着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種の加硫剤が配合されたそれぞれのゴム間を加硫接着するのに有効な接着性組成物および接着方法に関する。
また本発明は、異種の加硫剤が配合されたゴムとの加硫接着に有効な接着性組成物および接着方法に関する。
また本発明は、異種のゴム間を加硫接着するのに有効な接着性組成物および接着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のゴム間を加硫接着する場合は、それぞれのゴムに配合された加硫剤が同種である必要がある。例えば、加硫剤として硫黄または硫黄化合物を配合した天然ゴム(NR)やアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)は、加硫剤として金属酸化物を配合したクロロプレンゴム(CR)と貼り合わせて加硫しても、実用上十分な接着強度を得ることができない。
また、加硫剤が同種であっても、異種のゴム間、例えばNRとNBRとを貼り合わせて加硫した場合、実用上十分な接着強度を得ることができない。
したがって、加硫剤が異種であるそれぞれのゴム間、あるいは加硫剤が同種であっても種類の異なるゴム間を加硫接着できる技術が求められている。
【0003】
一方、トリアジンチオール系化合物は、例えばブラスメッキされた金属とゴムとの間の接着助剤として使用され、得られた複合体は、油圧ホースや高圧ホース等として利用されている(特許文献1等参照)。
しかし、トリアジンチオール系化合物が異種の加硫剤が配合されたゴム間、あるいは異種のゴム間の加硫接着に有効であるという示唆は、従来技術には見られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−30784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって本発明の目的は、異種の加硫剤が配合されたゴム間を加硫接着するのに有効な接着性組成物および接着方法を提供することにある。
また本発明の別の目的は、異種の加硫剤が配合されたゴムとの加硫接着に有効な接着性組成物および接着方法を提供することにある。
また本発明の別の目的は、異種のゴム間を加硫接着するのに有効な接着性組成物および接着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、ハロゲン元素を含有する高分子化合物に対し特定量のトリアジンチオール系化合物を配合してなる接着性組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
【0007】
1.ハロゲン元素を含有する高分子化合物100質量部に対し、トリアジンチオール系化合物を3〜60質量部配合してなることを特徴とする接着性組成物。
2.前記トリアジンチオール系化合物が、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンであることを特徴とする前記1に記載の接着性組成物。
3.異種の加硫剤が配合されたそれぞれのゴム間を加硫接着するための接着剤として用いられる前記1または2に記載の接着性組成物。
4.加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合されたゴムと、加硫剤として金属酸化物が配合されたゴムとを加硫接着するための接着剤として用いられる前記3に記載の接着性組成物。
5.加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合された天然ゴムまたはアクリロニトリルブタジエンゴムと、加硫剤として金属酸化物が配合されたクロロプレンゴムと、を加硫接着するための接着剤として用いられる前記4に記載の接着性組成物。
6.加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合されたゴムとの加硫接着のために用いられる前記1または2に記載の接着性組成物。
7.異種のゴム間を加硫接着するための接着剤として用いられる前記1または2に記載の接着性組成物。
8.天然ゴムおよびアクリロニトリルブタジエンゴム間を加硫接着するための接着剤として用いられる前記7に記載の接着性組成物。
9.異種の加硫剤が配合されたそれぞれのゴム間に、前記1〜5のいずれかに記載の接着性組成物を接着剤として介在させ、加硫接着させることを特徴とする接着方法。
10.加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合されたゴムと、前記6に記載の接着性組成物とを加硫接着させることを特徴とする接着方法。
11.異種のゴム間に、前記7または8に記載の接着性組成物を接着剤として介在させ、加硫接着させることを特徴とする接着方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の接着性組成物は、ハロゲン元素を含有する高分子化合物に対し特定量のトリアジンチオール系化合物を配合してなるものであるので、異種の加硫剤が配合されたゴム間を良好に加硫接着することができ、実用上十分の接着強度を提供できる。また本発明の接着性組成物は、異種の加硫剤が配合されたゴムとの加硫接着に有効である。さらに本発明の接着性組成物は、異種のゴム間を加硫接着するのに有効である。
また本発明の接着方法は、異種の加硫剤が配合されたゴム間に前記接着性組成物を介在させ加硫接着させるか、異種の加硫剤が配合されたゴムと接着性組成物自体とを加硫接着させるか、あるいは異種のゴム間に前記接着性組成物を介在させ加硫接着させることを特徴としているので、両者間を良好に加硫接着することができ、実用上十分の接着強度を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1において、オートグラフにより測定された剥離強度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の接着性組成物は、ハロゲン元素を含有する高分子化合物100質量部に対し、トリアジンチオール系化合物を3〜60質量部配合してなることを特徴とする。
【0011】
本発明で使用するハロゲン元素を含有する高分子化合物としては、例えばクロロプレンゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、臭素化ブチルゴム等が挙げられ、中でも本発明の効果が向上するという観点から、クロロプレンゴム、ポリ塩化ビニリデンが好ましい。
【0012】
本発明で使用するトリアジンチオール系化合物としては、例えば2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−ヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジエチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−シクロヘキシルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−アニリノ−4,6−ジメルカプトトリアジン、2−フェニルアミノ−4,6−ジメルカプトトリアジン等が挙げられ、中でも本発明の効果が向上するという観点から、下記式で示される2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジンが好ましい。
【0013】
【化1】
【0014】
本発明の接着性組成物は、ハロゲン元素を含有する高分子化合物100質量部に対し、トリアジンチオール系化合物を3〜60質量部配合してなる。トリアジンチオール系化合物の配合量が3質量部未満であると、配合量が少なすぎて本発明の効果を奏することができない。逆に60質量部を超えると、高分子化合物を含む組成物としての粘弾性的特性が失われてくるので結果的に接着強度が低下する。
本発明において、ハロゲン元素を含有する高分子化合物100質量部に対し、トリアジンチオール系化合物は3〜40質量部配合するのがさらに好ましく、3〜20質量部配合するのがとくに好ましい。
【0015】
本発明の接着性組成物は、異種の加硫剤が配合されたそれぞれのゴム間を加硫接着するための接着剤として好適に用いられる。異種の加硫剤の組み合わせとしては、代表的には硫黄または硫黄化合物と酸化亜鉛のような金属酸化物との組み合わせが挙げられる。
前記ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(高シスブタジエンゴム、低シスブタジエンゴム)(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム(NBIR)、アクリロニトリル−イソプレン共重合体ゴム(NIR)、ブチルゴム(IIR)、ノルボルネンゴム(NOR)、クロロブチルゴム(CIIR)、ブロモブチルゴム(BIIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム(SIBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(HNBR)、α-メチルスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(MSBR)、ビニルピリジン−ブタジエンとの状共重合体ゴム(PBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(PSBR)等が挙げられるが、本発明の接着性組成物は、とくに、加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合された天然ゴム(NR)またはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)と、加硫剤として金属酸化物が配合されたクロロプレンゴム(CR)との間の加硫接着に好適に用いられる。従来技術において、これらゴム間はほとんど加硫接着しないことが知られているが、本発明の接着性組成物によれば、当該問題点が解決される。
【0016】
前記とは別に、本発明の接着性組成物は、ゴム間を加硫接着する以外にも、接着性組成物自体を異種の加硫剤が配合されたゴムに加硫接着させることができる。例えば、ハロゲン元素を含有する高分子化合物がクロロプレンゴム(CR)である場合、本発明の接着性組成物は、加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合されたゴム、例えば天然ゴム(NR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とを良好に加硫接着することができる。
さらにまた本発明の接着性組成物は、加硫剤が同種であってもゴムが異種のもの、好適には加硫剤として硫黄または硫黄化合物が使用される天然ゴム(NR)とアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)とを良好に加硫接着することができる。
【0017】
次に、本発明の接着方法について説明する。
本発明の接着方法は、(1)異種の加硫剤が配合されたそれぞれのゴム間に、本発明の前記接着性組成物を接着剤として介在させ、加硫接着させることを特徴とする。
これとは別に本発明の接着方法は、(2)加硫剤として硫黄または硫黄化合物が配合されたゴムと、本発明の前記接着性組成物とを加硫接着させることを特徴とする。
これとは別に本発明の接着方法は、(3)異種のゴム間に、本発明の接着性組成物を接着剤として介在させ、加硫接着させることを特徴とする。
【0018】
前記(1)および(3)の接着方法は、具体的には次の方法(A)および(B)が挙げられる。
(A)本発明の接着性組成物を有機溶剤に溶解または分散させ糊状とした後、一方のゴム上にこれを塗布し、他方のゴムを貼り合わせ、加硫接着する。この形態において、有機溶剤としては、例えばトルエンやメチルエチルケトン等を用いることができ、本発明の接着性組成物の濃度を例えば4〜20質量%程度とし、糊状とする。塗布量はゴムの形状等を勘案して適宜決定すればよい。加硫条件としては、例えば加硫温度130〜160℃、加硫時間15分〜60分が挙げられる。
(B)本発明の接着性組成物をシート状に成形した後、一方のゴム上にこれを積層し、その上に他方のゴムを貼り合わせ、加硫接着する。この形態において、本発明の接着性組成物は、公知のミキサーを用い混練した後、成形することにより所望の形状のシートとして調製することができる。シートの厚さとしては、例えば0.2mm〜1.5mmが好ましく、0.3mm〜1.2mmがさらに好ましい。加硫条件としては、例えば加硫温度130〜160℃、加硫時間15分〜60分が挙げられる。
なお、前記(A)および(B)の形態において、本発明の接着性組成物は、接着剤として使用される。また本発明の接着性組成物には、必要に応じて、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、樹脂、充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができる。
【0019】
前記(2)の接着方法は、具体的には次のようにして行われる。
本発明の接着性組成物を所望の形状に成形した後、貼り合わせるべき相手のゴム上にこれを積層し、加硫接着する。加硫条件としては、例えば加硫温度130〜160℃、加硫時間15分〜60分が挙げられる。
なお、前記形態において、本発明の接着性組成物には必要に応じて、加硫剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、樹脂、充填剤;老化防止剤;可塑剤などのゴム組成物に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0021】
下記例では、以下の配合処方による配合物を使用した。
【0022】
【表1】
【0023】
*1:天然ゴムNR(TSR20)
*2:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*3:カーボンブラック(新日化カーボン(株)製HTC−100(FEF))
*4:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*5:老化防止剤RD(大内新興化学工業(株)製ノクラック224)
*6:老化防止剤(ワックス)(精工化学(株)製サンタイトR)
*7:可塑剤(山文油化(株)製ペトロラタムYR)
*8:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*9:加硫促進剤NS(大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS−P)
【0024】
【表2】
【0025】
*10:クロロプレンゴムCR(昭和電工エラストマー社製ショウプレンWRT)
*11:酸化マグネシウム(和光純薬工業(株)製)
*12:カーボンブラック(新日化カーボン(株)製HTC−100(FEF))
*13:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*14:老化防止剤OD3(精工化学(株)製ノンフレックスOD−3)
*15:ナフテン油(JXエネルギー(株)製コウモレックス2号)
*16:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*17:加硫促進剤DM(三新化学工業(株)製サンセラーDM)
*18:加硫促進剤マスターゴム(三新化学工業(株)製サンミックス22−80E)
【0026】
【表3】
【0027】
*19:NBR(中高ニトリル)(日本ゼオン(株)製Nipol 1042)
*20:NBR(高ニトリル)(日本ゼオン(株)製Nipol 1041)
*21:酸化亜鉛(東邦亜鉛(株)製銀嶺)
*22:カーボンブラック(キャボットジャパン社製ショウブラックN326)
*23:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*24:老化防止剤OD(川口化学工業(株)製アンテージOD)
*25:老化防止剤3C(精工化学(株)製オゾノン3C)
*26:可塑剤DBS(セバシン酸系誘導体)
*27:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*28:加硫促進剤DM(三新化学工業(株)製サンセラーDM)
【0028】
【表4】
【0029】
*29:クロロプレンゴムCR(昭和電工エラストマー社製ショウプレンWRT)
*30:カーボンブラック(新日化カーボン(株)製HTC−100(FEF))
*31:ステアリン酸(日油(株)製ビーズステアリン酸)
*32:フェノール樹脂(住友ベークライト(株)製スミライトレジンPR−175)
*33:ナフテン油(JXエネルギー(株)製コウモレックス2号)
*34:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*35:トリアジンチオール系化合物(2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、三協化成(株)製ジスネットF(TTCA))
*36:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*37:加硫促進剤DM(三新化学工業(株)製サンセラーDM)
*38:加硫促進剤マスターゴム(三新化学工業(株)製サンミックス22−80E)
【0030】
【表5】
【0031】
*39:ポリ塩化ビニリデン(旭化成ケミカルズ(株)製サランF310)
*40:トリアジンチオール系化合物(2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、三協化成(株)製ジスネットF(TTCA))
【0032】
なお、表4の配合物4は、トルエンに溶解させ、全固形分15質量%濃度の糊状とした(接着性組成物1)。なお表4ではトリアジンチオール系化合物としての使用量を記載している。また表5の配合物5は、メチルエチルケトンに溶解させ、全固形分15質量%濃度の糊状とした(接着性組成物2)。なお表5ではトリアジンチオール系化合物としての使用量を記載している。
【0033】
実施例1
表1の配合物1の配合処方に基づき、各種成分を混練し、8インチ径ロール機により約3mmの厚みにシート出しを行い、NRシートを調製した。同様に、表2の配合物2の配合処方に基づき、各種成分を混練し、8インチ径ロール機により約3mmの厚みにシート出しを行い、CRシートを調製した。
調製されたNRシート全面に、表4の配合物4(接着性組成物1)を2回にわたり適量塗布し、乾燥させた後、その上にCRシートを圧着して貼り合わせた。
一晩放置後、ブラダープレス(圧力0.4MPa)を用い、150℃、40分の条件により加硫接着を行い、供試体(幅25.4mm、長さ150mm)を切り出した。
(株)島津製作所製オートグラフを用い、剥離速度50mm/分、室温の条件でT形剥離を行い、NRシートおよびCRシート間の中央値剥離強度(単位=幅25.4mm当たりのN)を測定した。
その結果、中央値剥離強度は約65N/25.4mmであった。
図1は、オートグラフにより測定された剥離強度のグラフである。
【0034】
比較例1
実施例1において、接着性組成物1を使用せず、その替わりにメチルエチルケトンを塗布したこと以外は実施例1を繰り返した。
その結果、中央値剥離強度は約20N/25.4mmであった。
【0035】
実施例2
表1の配合物1の配合処方に基づき、各種成分を混練し、8インチ径ロール機により約3mmの厚みにシート出しを行い、NRシートを調製した。同様に、表4の配合物4の配合処方に基づき、各種成分を混練し、8インチ径ロール機により約3mmの厚みにシート出しを行い、CRシートを調製した。
調製されたNRシート1全面に、メチルエチルケトンを2回にわたり適量塗布し、乾燥させた後、その上にCRシートを圧着して貼り合わせた。
一晩放置後、ブラダープレス(圧力0.4MPa)を用い、150℃、40分の条件により加硫接着を行い、供試体(幅25.4mm、長さ150mm)を切り出した。
(株)島津製作所製オートグラフを用い、剥離速度50mm/分、室温の条件でT形剥離を行い、NRシートおよびCRシート間の中央値剥離強度(単位=幅25.4mm当たりのN)を測定した。
その結果、中央値剥離強度は約88N/25.4mmであった。
【0036】
実施例3
表1の配合物1の配合処方に基づき、各種成分を混練し、8インチ径ロール機により約3mmの厚みにシート出しを行い、NRシートを調製した。同様に、表3の配合物3の配合処方に基づき、各種成分を混練し、8インチ径ロール機により約3mmの厚みにシート出しを行い、NBRシートを調製した。
調製されたNRシート全面に、表5の配合物5(接着性組成物2)を2回にわたり適量塗布し、乾燥させた後、その上にNBRシートを圧着して貼り合わせた。
一晩放置後、ブラダープレス(圧力0.4MPa)を用い、150℃、40分の条件により加硫接着を行い、供試体(幅25.4mm、長さ150mm)を切り出した。
(株)島津製作所製オートグラフを用い、剥離速度50mm/分、室温の条件でT形剥離を行い、NRシートおよびNBRシート間の中央値剥離強度(単位=幅25.4mm当たりのN)を測定した。
その結果、中央値剥離強度は約99N/25.4mmであった。
【0037】
比較例2
実施例3において、接着性組成物2を使用せず、その替わりにメチルエチルケトンを塗布したこと以外は実施例3を繰り返した。
その結果、中央値剥離強度は約18N/25.4mmであった。
【0038】
なお、前記実施例におけるT形剥離試験において、剥離箇所の応力集中を避けるために各シートに裏打ち布を貼着した場合、各中央値剥離強度はさらに5〜8倍上昇することを、本発明者は確認している。
図1