特許第6828430号(P6828430)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6828430
(24)【登録日】2021年1月25日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】ステアリングホイール
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/06 20060101AFI20210128BHJP
【FI】
   B62D1/06
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-253399(P2016-253399)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2017-214050(P2017-214050A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年11月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-104542(P2016-104542)
(32)【優先日】2016年5月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】318002149
【氏名又は名称】Joyson Safety Systems Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】羽場 豊
(72)【発明者】
【氏名】長田 健志
(72)【発明者】
【氏名】米田 拓矢
【審査官】 村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/198499(WO,A1)
【文献】 特開2016−030471(JP,A)
【文献】 特開2014−163719(JP,A)
【文献】 特開2009−132359(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102008036161(DE,A1)
【文献】 特表2016−521654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00−1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングハブ部、ホイール部、及び該ステアリングハブ部から延出し、該ホイール部に連なるスポーク部を有するステアリングホイールであって、
前記ホイール部は、
ステアリングホイールを周回する芯金と、
前記芯金を覆う被覆層と、
を備え、
前記芯金の周回方向の一部にバイブレータ収容部が設けられており、
該バイブレータ収容部にあっては、ホイール部径方向の芯金の断面形状が略U字形状となっており、
前記芯金の内部にバイブレータ収容部を区画形成する隔壁が設けられており、
該バイブレータ収容部を覆うケースが該芯金に取り付けられており、
該芯金と該ケースとの間の該バイブレータ収容部にバイブレータが配置されており、
該バイブレータは該ケースに取り付けられており、
前記ケースは、長方形状の底面、該底面の長手方向の側部から立ち上がる長手側壁、及び該底面の短手方向の側部から立ち上がる短手側壁を有し、
前記底面からケース内部を仕切る仕切壁が垂設されており、
該仕切壁は前記短手方向に沿って延在し、
前記バイブレータは該仕切壁に取り付けられており、
前記バイブレータは、モータ本体、該モータ本体から突出する回転駆動軸、及び該回転駆動軸に取り付けられた錘を有し、
前記仕切壁には前記回転駆動軸を挿通した切欠きが形成され、該切欠きを挟んで第1ボルト挿通孔が設けられており、
前記回転駆動軸が突出する前記モータ本体の端面には第1ボルト穴が形成されており、前記第1ボルト挿通孔を介して該第1ボルト穴にボルトが螺合して、該モータ本体が前記仕切壁に取り付けられていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項2】
請求項において、前記ケースの前記長手側壁と前記芯金の側壁とが対向し、該ケースの前記短手側壁と該芯金の前記隔壁とが対向していることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項3】
請求項において、前記ケースの前記短手側壁からケース外側に向かって張り出した第1張出部に第2ボルト挿通孔が設けられており、
前記芯金の前記隔壁から前記バイブレータ収容部とは反対側に張り出した第2張出部に第2ボルト穴が設けられており、
前記第2ボルト挿通孔に挿通されたボルトが該第2ボルト穴に螺合していることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項4】
請求項1からまでのいずれか1項において、前記ケースと前記芯金及び前記隔壁との間には封止材が設けられていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項において、前記短手側壁に設けられた配線孔に挿通された配線をさらに備え、該配線は前記芯金の内部に前記周回方向に沿って配置されていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項6】
請求項5において、前記芯金の内部に、前記配線の位置決め固定を行うリブが設けられていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項7】
請求項5又は6において、前記配線の先端部は電子制御回路に接続され、
該電子制御回路は少なくとも一面が開放された基板収容ケースに収容され、
該基板収容ケースの開放面は他部材で覆われていることを特徴とするステアリングホイール。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項において、前記バイブレータの前記錘は、前記回転駆動軸に直交する方向の寸法が、前記モータ本体の幅よりも小さいことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項において、前記バイブレータの前記錘は、前記回転駆動軸に直交する方向の寸法が、前記モータ本体の高さよりも小さいことを特徴とするステアリングホイール。
【請求項10】
請求項8又は9において、前記ケースは長手方向に湾曲していることを特徴とするステアリングホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイブレータが設けられたステアリングホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
道路の車線をカメラで認識し、車両が車線から逸脱した時、又は逸脱が予想される時に、振動モータによりステアリングホイールを揺動させて運転手に知らせるようにしたステアリングホイールが知られている。
【0003】
従来のステアリングホイールでは、振動モータをスポーク部に取り付けていた(例えば特許文献1参照)。そのため、振動モータを取り付けるためのスポーク部が必要となったり、振動モータの取り付けスペースを確保するためにスポーク部を太くする必要があったりして、ステアリングホイールのデザインの自由度が制約されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−30471号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2016/0114826号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バイブレータを備え、デザイン自由度の高いステアリングホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のステアリングホイールは、ステアリングハブ部、ホイール部、及び該ステアリングハブ部から延出し、該ホイール部に連なるスポーク部を有するステアリングホイールであって、前記ホイール部は、ステアリングホイールを周回する芯金と、前記芯金を覆う被覆層と、を備え、前記芯金の周回方向の一部にバイブレータ収容部が設けられており、該バイブレータ収容部にあっては、ホイール部径方向の芯金の断面形状が略U字形状となっており、前記芯金の内部にバイブレータ収容部を区画形成する隔壁が設けられており、該バイブレータ収容部を覆うケースが該芯金に取り付けられており、該芯金と該ケースとの間の該バイブレータ収容部にバイブレータが配置されており、該バイブレータは該ケースに取り付けられているものである。
【0007】
本発明の一態様では、前記ケースは、長方形状の底面、該底面の長手方向の側部から立ち上がる長手側壁、及び該底面の短手方向の側部から立ち上がる短手側壁を有する。
【0008】
本発明の一態様では、前記底面からケース内部を仕切る仕切壁が垂設されており、該仕切壁は前記短手方向に沿って延在し、前記バイブレータは該仕切壁に取り付けられている。前記短手側壁に設けられた配線孔に挿通された配線をさらに備え、該配線は前記芯金の内部に前記周回方向に沿って配置されていてもよい。
【0009】
本発明の一態様では、前記バイブレータは、モータ本体、該モータ本体から突出する回転駆動軸、及び該回転駆動軸に取り付けられた錘を有し、前記仕切壁には前記回転駆動軸を挿通した切欠きが設けられ、前記モータ本体が前記仕切壁に取り付けられている。
【0010】
本発明の一態様では、前記ケースの前記長手側壁と前記芯金の側壁とが対向し、該ケースの前記短手側壁と該芯金の前記隔壁とが対向している。
【0011】
本発明の一態様では、前記ケースの前記短手側壁からケース外側に向かって張り出した第1張出部にボルト挿通孔が設けられており、前記芯金の前記隔壁から前記バイブレータ収容部とは反対側に張り出した第2張出部にボルト穴が設けられており、前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトが該ボルト穴に螺合している。
【0012】
本発明の一態様では、前記ケースと前記芯金及び前記隔壁との間には封止材が設けられている。
【0013】
本発明の一態様では、前記短手側壁に設けられた配線孔に挿通された配線をさらに備え、該配線は前記芯金の内部に前記周回方向に沿って配置されている。
【0014】
本発明の一態様では、前記配線の先端部は電子制御回路に接続され、該電子制御回路は少なくとも一面が開放された基板収容ケースに収容され、該基板収容ケースの開放面はボディカバー等の他部材で覆われている。
【0015】
本発明の一態様では、前記バイブレータの前記錘は、前記回転駆動軸に直交する方向の寸法が、前記モータ本体の幅及び高さよりも小さい。
【0016】
本発明の一態様では、前記ケースは長手方向に湾曲している。
【発明の効果】
【0017】
本発明のステアリングホイールでは、芯金の内部に区画形成されたバイブレータ収容部をケースが覆い、芯金とケースとの間の該バイブレータ収容部にバイブレータが配置されている。スポーク部にバイブレータを取り付ける必要がないため、ステアリングホイールのデザイン自由度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係るステアリングホイールの正面図である。
図2図1のII-II線に沿う断面図である。
図3】バイブレータケースの斜視図である。
図4】バイブレータの斜視図である。
図5】バイブレータを取り付けたバイブレータケースの斜視図である。
図6】ホイール部の芯金を反乗員側から見た斜視図である。
図7】芯金へのバイブレータケース取付方法を説明する分解斜視図である。
図8】(a)は配線の配置例を示す平面図であり、(b)は(a)のb−b線断面図である。
図9】変形例による芯金の平面図である。
図10】変形例によるバイブレータケースの斜視図である。
図11】(a)は変形例によるバイブレータの斜視図であり、(b)は(a)の矢印方向からみた側面視図である。
図12】(a)(b)は基板収容ケースの斜視図である。
図13】基板収容ケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。以下の説明において、ステアリングホイールの左右方向とは、それぞれ、該ステアリングホイールを車両直進時の操舵姿勢とした状態における車体の左右方向に合致する。また、ステアリングホイールの12時側及び6時側は、ステアリングホイールを正面から(即ち乗員側から)見たときの上側及び下側を示し、3時側は右側、9時側は左側を示す。
【0020】
図1は実施の形態に係るステアリングホイール1の正面図であり、図2図1のII-II線に沿う断面図である。ステアリングホイール1は、この実施の形態では所謂2本スポークタイプのものであり、その中央のステアリングハブ部7から左右に向かってそれぞれスポーク部8L,8Rが延出し、各スポーク部8L,8Rの先端側がそれぞれステアリングホイール1の外周のホイール部2に連なっている。
【0021】
なお、ステアリングホイール1に設けられるスポーク部の個数及び配置はこれに限定されない。ステアリングハブ部7の中央のボス部7aが車両のステアリングシャフト(図示略)の先端に係合する。
【0022】
ホイール部2は、ステアリングホイール1を周回する円環状の芯金3(図6参照)と、芯金3を覆う被覆層とを有する。この実施の形態では、被覆層は、発泡合成樹脂層(この実施の形態では発泡ウレタン層4)と、発泡ウレタン層4を覆い、ホイール部2の最表面を形成する皮革5とを含む。皮革5は、発泡ウレタン層4を一巻きし、縫合糸(図示略)によって縫い合わせたものである。皮革5としては、牛革などの天然皮革のほか、人工皮革を用いることができる。
【0023】
ホイール部2の6時側(下側)に設けられたバイブレータ収容部S(図6参照)にはバイブレータ20が設置されている。バイブレータ20は、ケース10に固定され、このケース10が芯金3に取り付けられている。
【0024】
図3は、ケース10の斜視図である。図3に示す通り、ケース10は、略長方形状の底面11と、底面11の長手方向の側部から立ち上がる長手側壁12,12と、底面11の短手方向の側部から立ち上がる短手側壁13,13とを有する、上面が開放した長函状容器である。ケース10は、例えばアルミ合金や亜鉛合金等の金属材料で構成されている。
【0025】
短手側壁13,13からケース外側に向かって張り出した張出部14,14には、後述するボルト42(図7参照)を挿通するためのボルト挿通孔14a,14aが設けられている。短手側壁13,13の上面と、張出部14,14の上面とは面一状になっている。短手側壁13,13の一方には、配線(図示略)を通すための配線孔13aが設けられている。配線孔13aにはスリット13bが設けられている。
【0026】
底面11の長手方向の途中部分から、ケース内部を仕切る薄板状の仕切壁15が垂設されている。仕切壁15は、ケース短手方向に沿って延在し、両端が長手側壁12,12に連結されている。仕切壁15のケース短手方向の中央部に設けられた切り欠き部が、後述するバイブレータ20の軸23(図4参照)を挿通する軸挿通部15aとなっている。また、仕切壁15には、この軸挿通部15aを挟んで、後述するボルト40(図5参照)を挿通するための2つのボルト挿通孔15b,15bが設けられている。
【0027】
図4は、バイブレータ20の斜視図である。図4に示す通り、バイブレータ20は、略々直方体形状のモータ本体21の一方の端面21bから回転駆動軸23を突出させ、回転駆動軸23の端部に偏心した錘24が取り付けられている。回転駆動軸23は、端面21bから突出する軸支部22により回動自在に軸支されている。この端面21bには、雌ネジを有する2つのボルト穴21a,21aが形成されている。
【0028】
バイブレータ20の回路基板25には、電圧を供給する配線(図示略)を結合するコネクタや、電気ノイズを除去するICチップを設けた電子回路等の複数の素子26が搭載されている。この回路基板25に、モータ本体21が組み付けられている。
【0029】
バイブレータ20をケース10に取り付けるには、まず、図5に示すように、バイブレータ20の軸支部22を、ケース10の仕切壁15の軸挿通部15aに嵌合させ、バイブレータ20をケース10にセットする。軸挿通部15aは切欠き状となっているため、錘24が取り付けられているバイブレータ20を容易にケース10にセットすることができる。次に、ボルト挿通孔15b,15bを介してボルト(スクリュー)40,40を、モータ本体21の端面21bのボルト穴21a,21aに螺合させる。これにより、バイブレータ20をケース10に取り付けて固定することができる。
【0030】
バイブレータ20をケース10に取り付けた後、スリット13bから配線Hを配線孔13a内に嵌め込み、素子26に接続する。あるいはまた、配線孔13aから通した配線Hが素子26に接続されたバイブレータ20をケース10に取り付けてもよい。
【0031】
図6は、ホイール部2の芯金3を反乗員側から見た斜視図である。ホイール部2の6時側において、芯金3は、ホイール部2の径方向の断面形状が略U字形となっている。即ち、芯金3は、1対の側壁3d,3dと、該側壁3d,3dの乗員側同士を結ぶ天壁(符号略)とを有しており、反乗員側が開放している。芯金3は、鉄などの金属で作製される。芯金3の6時側において、芯金3のU字溝の内部を仕切り、バイブレータ収容部Sを区画形成する2つの隔壁3a,3aが設けられている。隔壁3a,3a間が、バイブレータ20を収容するバイブレータ収容部Sとなっている。隔壁3a,3aはU字溝の両側壁3d,3dに連結されている。隔壁3a,3aは、例えば溶接等により芯金3に接合される。芯金3のU字溝は角型U字溝になっていてもよい。
【0032】
隔壁3a,3aからバイブレータ収容部Sとは反対側に張り出した張出部3b,3bには、雌ネジを有するボルト穴3c,3cが形成されている。隔壁3a,3aの反乗員側の面と、張出部3b,3bの反乗員側の面とは面一状になっている。
【0033】
バイブレータ20が取り付けられたケース10を芯金3に取り付けるには、まず、図7に示すように、ケース10をバイブレータ収容部Sに対向させ、ケース10の長手側壁12,12の縁部(上面)12a,12a(図3参照)と、芯金3のU字溝の側壁3d,3dの反乗員側の面とを当接させる。また、ケース10の短手側壁13,13の縁部(上面)と、芯金3の隔壁3a,3aの縁部(反乗員側の面)とを当接させる。これにより、バイブレータ収容部Sの開放面が、ケース10によって覆われる。
【0034】
そして、ケース10のボルト挿通孔14a,14aと、芯金3のボルト穴3c,3cとの位置を合わせ、ボルト(スクリュー)42,42をボルト挿通孔14a,14aに挿通し、ボルト穴3c,3cに螺合させる。これにより、ケース10を芯金3に固定することができる。
【0035】
ケース10を芯金3に取り付ける際に、ケース10と芯金3との間の隙間を封止材30(図2参照)で封止加工することが好ましい。封止材30には、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)やウレタンエラストマー等を用いることができる。
【0036】
図8(a)(b)に示すように、バイブレータ収容部Sから配線孔13aを介して引き出されている配線Hは、芯金3のU字溝内を周回方向に引き回され、ホイール部2とスポーク部8L又は8Rとの接続箇所からスポーク部8L又は8Rに沿ってステアリングハブ部7まで誘導され、ステアリングハブ部7から出た配線先端のコネクタが電子制御回路(図示略)に接続される。芯金3のU字溝内にリブを設け、U字溝内で配線Hの位置決め固定を行えるようにすることが好ましい。
【0037】
ケース10を芯金3に取り付けた後、芯金3を発泡ウレタン層4で覆う。発泡ウレタン層4は、芯金3のU字溝内に埋め込まれると共に、芯金3及びケース10を覆う。次に、発泡ウレタン層4を皮革5で覆って縫合することで、ステアリングホイール1を作製することができる。ケース10と芯金3との間を封止加工しているため、バイブレータ収容部S内への発泡ウレタン層4の進入を防止できる。
【0038】
本実施の形態では、ボルト40を用いてケース10にバイブレータ20を固定し、バイブレータ付ケースをボルト42で芯金3に取り付けるという簡易な作業で、バイブレータ20をステアリングホイール1に組み付けることができる。
【0039】
バイブレータ20をホイール部2の芯金3に取り付けるため、バイブレータ20を取り付けるためのスポーク部は不要であり、スポーク部を太くする必要もなく、ステアリングホイール1のデザインの自由度を向上させることができる。
【0040】
バイブレータ20のモータ本体21の端面21bがケース10の底面から垂設された仕切壁15に当接し、このケース10が芯金3に取り付けられているため、バイブレータ20が発生する振動が芯金3に効率良く伝わり、ステアリングホイール1を把持する運転者に振動を知覚させやすくすることができる。
【0041】
芯金3のU字溝内にバイブレータ20の全体が収容されるように構成する場合、バイブレータ20のサイズに比例して、芯金3を太く(U字溝を大きく)する必要がある。しかし、本実施形態では、上面が開放した長函状容器であるケース10と、芯金3のU字溝とで囲まれた領域にバイブレータ20を配置する。すなわち、芯金3のU字溝内にはバイブレータ20の一部のみが位置する。そのため、バイブレータ20のサイズを大きくしても、芯金3の太さを抑えることができる。
【0042】
上記実施の形態では、ボルト42を用いてケース10の長手方向の両側を芯金3にネジ留めしていたが、ケース10をスライドさせて長手方向の一側の上下方向の動きを規制し、他側をネジ留めするような構成としてもよい。
【0043】
上記実施の形態では、バイブレータ20をホイール部2の6時側(下側)に設けていたが、12時側(上側)など他の位置に設けてもよい。また、バイブレータ20を複数設けてもよい。
【0044】
上記実施の形態では、バイブレータ20がケース10に取り付けられていたが、バイブレータ20を芯金3に取り付けてもよい。例えば、ケース10の仕切壁15と同様の部材を芯金3のバイブレータ収容部S内に設け、バイブレータ20をバイブレータ収容部S内にセットして該部材に取り付ける。その後、バイブレータ収容部Sをケース10で覆う。
【0045】
上記実施の形態は、いずれも本発明の一例であり、本発明は図示の状態に限定されない。例えば、芯金3の径方向の断面形状はU字形状に限定されず、J字形状でもよい。
【0046】
芯金3を覆う被覆層の発泡合成樹脂層4と皮革5との間にヒータが設けられていてもよい。芯金3を覆う被覆層から皮革5を省略してもよい。
【0047】
ホイール部2のバイブレータ収容部S及びその近傍は皮革5で覆わず、脱着可能としたケース10の表面が露出するように構成されていてもよい。このような構成にすることでバイブレータ20を容易に交換することができる。
【0048】
図6に示す芯金3は、バイブレータ収容部Sが設けられる6時側が直線状のフラット部になっており、このような芯金3を用いた場合、ステアリングホイール1は、いわゆるフラットボトム型(Dシェイプ)になり得る。
【0049】
ステアリングホイール1を真円形状とする場合、図9に示す芯金3Aのように、バイブレータ収容部Sを長手方向(周回方向)に沿ってやや湾曲した形状とし、それに合わせて、図10に示すように、長手方向に湾曲したケース10Aを用いることが好ましい。
【0050】
このようなケース10Aに取り付けるバイブレータは、図11(a)(b)に示すように、錘24Aを小さくしたバイブレータ20Aとすることが好ましい。図11(b)は、図11(a)の矢印V方向から見たバイブレータ20Aの側面視図である。
【0051】
錘24Aは、回転駆動軸23の軸方向に直交する方向での断面が略半円形状又は略扇形状になっており、半径をr、モータ本体21の幅をW、高さをHとした場合、2r<W、2r<Hとなる。
【0052】
錘24Aの回転駆動軸23に直交する方向の寸法は、モータ本体の幅W及び高さHよりも小さい。言い換えれば、錘24Aが回転駆動軸23の軸心を中心に回転した際の回転軌跡の最外周縁27は、図11(b)の側面視において、モータ本体21の端面21bの外周縁よりも内側に位置する。
【0053】
錘24Aの回転駆動軸23に平行な方向の寸法は、バイブレータ収容部Sのサイズや、要求される振動量に応じて適宜決定される。
【0054】
このように錘24Aを小さくすることで、湾曲したケース10Aへのバイブレータ20Aの取り付けが容易となる。
【0055】
バイブレータ収容部Sの形成箇所は芯金3Aの6時側(下側)に限定されず、1又は複数の任意の箇所に設けることができる。
【0056】
バイブレータ収容部Sから引き出され、芯金3、3Aの溝内を周回方向に引き回された配線Hは、ステアリングハブ部7近傍に設けられた電子制御回路に接続される。電子制御回路は、図12(a)に示すような、6個の平坦面からなる略直方体状の基板収容ケース50に収容されて、ステアリングホイールのボディカバーに接着剤等で固着して配置される。
【0057】
基板収容ケースは、少なくとも一部が湾曲した形状となっていてもよい。例えば、図12(b)に示すように、湾曲面56bが平坦面56aに連なった基板収容ケース50Aを用いてもよい。
【0058】
図13に示すように、一面を開放した基板収容ケース50Bに電子制御回路を収容してもよい。基板収容ケース50Bの開放面の周縁部57をボディカバーに当接させ、接着剤等で固着する。開放面はボディカバー等の他部材によって覆われて閉塞される。一面を開放することで、基板収容ケース50Bのサイズを小型化することができ、ステアリングホイールのデザイン自由度を高めることができる。
【0059】
基板収容ケースは、開放面をボディカバー等の他部材で覆うことができる場合は、2面以上を開放面としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ステアリングホイール
2 ホイール部
3 芯金
4 発泡ウレタン層
5 皮革
7 ステアリングハブ部
8L,8R スポーク部
10 ケース
20 バイブレータ
30 封止材
40,42 ボルト
図1
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図13