特許第6828561号(P6828561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6828561-油圧機器の作動油中の不純物検出装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6828561
(24)【登録日】2021年1月25日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】油圧機器の作動油中の不純物検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/30 20060101AFI20210128BHJP
【FI】
   G01N33/30
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-73582(P2017-73582)
(22)【出願日】2017年4月3日
(65)【公開番号】特開2018-179515(P2018-179515A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年1月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川本 真大
【審査官】 三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−046004(JP,A)
【文献】 特開平11−107313(JP,A)
【文献】 特開平05−332301(JP,A)
【文献】 特開2005−225215(JP,A)
【文献】 特開2016−113819(JP,A)
【文献】 特開2000−303504(JP,A)
【文献】 特開2006−161753(JP,A)
【文献】 特表2018−506037(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0061805(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N33/30
G01N1/00−1/44
F15B20/00−21/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然流下により作動油タンクへ作動油が流出する高さレベルに設置される、所定量の作動油を一時的に貯えるサブタンクと、
前記サブタンクと前記作動油タンクとを接続し、前記サブタンクから前記作動油タンクへ自然流下により作動油を流出させるための油流路と、
前記油流路に設けられ、作動油に混入した不純物を検出するセンサと、
前記油流路に設けられ、所定量の作動油を前記サブタンクに一時的に貯えるため、および前記サブタンクと前記作動油タンクとを連通させるための連通弁と、
前記サブタンクに設けられ、大気中と前記サブタンクの中とを連通させるための給排気弁と、
前記サブタンクの中の作動油の量が所定量に達したら、前記サブタンクから前記作動油タンクへ作動油を流出させるオーバーフロー流路と、
前記給排気弁の開閉を制御するコントローラであって、前記サブタンクに作動油を貯えるときに前記給排気弁を開から閉にするコントローラと、
を備える、油圧機器の作動油中の不純物検出装置。
【請求項2】
請求項に記載の油圧機器の作動油の不純物検出装置において、
前記サブタンクの底側内壁面が、水平方向に対して傾斜する斜面とされており、
前記斜面により形成された、前記サブタンクの最底部に前記油流路が接続されている、 油圧機器の作動油中の不純物検出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の油圧機器の作動油の不純物検出装置において、
前記油流路の、前記センサよりも下流側部分に、前記不純物を捕捉するフィルタが配置されている、
油圧機器の作動油中の不純物検出装置。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の油圧機器の作動油の不純物検出装置において、
前記サブタンクの内底の高さレベルが、前記作動油タンクの油面上限レベルよりも高くなるように、前記サブタンクが設置されている、
油圧機器の作動油中の不純物検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧機器の作動油に混入した金属摩耗粉などの不純物を検出するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術に関し、例えば特許文献1に記載のものがある。特許文献1に記載の作動油の汚れ状態診断装置は、作動油の流路が内部に形成された透明のガラス材料からなるマイクロセルと、マイクロセルに埋め込まれた光センサと、マイクロセルの上流端にコネクタを介して取り付けられたミニポンプとを備える。光センサおよびミニポンプが配置されたマイクロセルは、作動油を採取する採取管の途中に取り付けられる。採取管の一端は、作動油タンクの底部側に接続され、採取管の他端は、作動油の戻し管路に接続される。ミニポンプにより吸引された作動油タンク内の作動油は、マイクロセルの内部に形成された流路を流れる。作動油中に混入した不純物は、光センサにて検出される。
【0003】
上記した作動油の汚れ状態診断装置により、油圧ショベルなどに用いられる油圧駆動回路の作動油中に混入した金属の摩耗粉および砂などの不純物を、インラインで連続的に検出でき、作動油の汚染状態を安定して診断できる、と特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−221793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の作動油の汚れ状態診断装置では、不純物の検出精度を確保するために、作動油の流速を安定化させる必要があり、上記したミニポンプの設置が不可欠である。
【0006】
また、作動油の全量が戻る作動油タンク内から作動油を採取して、その作動油中に混入した不純物を検出する構成であるため、作動油の汚染状態の検出は可能であるものの、油圧で作動する機器、すなわち油圧機器の状態異常を検出することまでは困難である。なお、油圧機器が状態異常となると、その多くの場合、油圧機器のケーシング内に金属の摩耗粉などの不純物が生じ、生じた不純物は作動油に混入する。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポンプによる作動油の流速安定化を必要とせず、且つ、油圧機器の状態異常をも検出し得る、油圧機器の作動油中の不純物検出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る油圧機器の作動油中の不純物検出装置は、自然流下により作動油タンクへ作動油が流出する高さレベルに設置される、所定量の作動油を一時的に貯えるサブタンクと、前記サブタンクと前記作動油タンクとを接続し、前記サブタンクから前記作動油タンクへ自然流下により作動油を流出させるための油流路と、前記油流路に設けられ、作動油に混入した不純物を検出するセンサと、前記油流路に設けられ、所定量の作動油を前記サブタンクに一時的に貯えるため、および前記サブタンクと前記作動油タンクとを連通させるための連通弁と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る上記した不純物検出装置によると、不純物を検出するセンサが設けられた油流路に、ポンプを用いることなく作動油を流すことができる。所定量の作動油をサブタンクに一時的に貯えることで、センサを動作させる際、センサが設けられた油流路を流れる作動油の流速を安定させることができる。すなわち、本発明に係る不純物検出装置は、ポンプによる作動油の流速安定化を必要としない。また、本発明に係る上記した不純物検出装置によると、作動油タンクとは別にサブタンクが設けられることで、例えば、油圧モータおよび油圧ポンプのケーシングドレンをサブタンク経由で作動油タンクに戻し、各種油圧シリンダの戻り油を作動油タンクに直接戻す、というようにすることができる。これにより、全ての油圧機器のドレンを作動油タンクへ直接戻すことでは困難であった、油圧機器の状態異常の検出が可能となる。すなわち、本発明に係る不純物検出装置は、油圧機器の状態異常を検出し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る不純物検出装置を含む、不純物検出装置まわりの機器構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明に係る不純物検出装置は、油圧で動作する機器、すなわち油圧機器の作動油に混入した金属の摩耗粉、砂などの不純物を検出するための装置である。本発明に係る不純物検出装置は、油圧機器を搭載する例えば油圧ショベル、油圧クレーンなどの建設機械に適用される。
【0012】
(不純物検出装置の構成)
図1に基づいて、本発明の一実施形態に係る不純物検出装置、およびその周辺の機器の構成について説明する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る不純物検出装置は、作動油タンク1の上部側面に設けられたサブタンク2と、サブタンク2の底部と作動油タンク1とを接続する配管3(油流路)と、配管3に設けられた連通弁4、センサ5、および油フィルタ6(フィルタ)と、サブタンク2から作動油タンク1へ作動油を流出させるオーバーフロー管16(オーバーフロー流路)と、サブタンク2の上部に設けられた給排気弁7と、コントローラ14とを有する。
【0014】
作動油タンク1は、油圧機器の作動油を収容するタンクである。作動油タンク1には、油面上限レベルLmmax、および油面下限レベルLmminが予め設定されている。作動油タンク1には、油面計10が取り付けられている。作動油タンク1内の作動油の液面は、油面計10にて常時監視されている。
【0015】
作動油タンク1の底部にはサクションストレーナ15が取り付けられている。作動油タンク1内の上部には、フィルタ室11が設けられている。フィルタ室11には、リターンフィルタ12、およびバイパス逆止弁13が収容されている。作動油タンク1の天上部には、エアブリーザ9が取り付けられている。エアブリーザ9は、給排気機能およびエアフィルタ機能を有する公知の機器である。なお、作動油タンク1内の空間(フィルタ室11を除く)は、エアブリーザ9により大気圧よりも高い圧力とされている。
【0016】
サブタンク2は、油圧機器から吐出された作動油を一時的に貯えるタンクである。サブタンク2の底側内壁面は、水平方向に対して傾斜する斜面2aとされている。当該斜面2aにより形成された、サブタンク2の最底部に配管3の一端が接続されている。配管3の他端は、作動油タンク1の底側の側面に接続されている。本実施形態では、サブタンク2の内底は、その中心部に向かって下っていくすり鉢状とされている。サブタンク2の天井部には、エアフィルタ8を介して給排気弁7が取り付けられている。給排気弁7は、大気中とサブタンク2の中とを連通させるための弁である。給排気弁7は、例えば電磁弁であり、コントローラ14によりその開閉が制御される。
【0017】
配管3には、サブタンク2側から順に、前記した連通弁4、センサ5、および油フィルタ6が設けられている。連通弁4は、所定量の作動油をサブタンク2に一時的に貯えるため、およびサブタンク2と作動油タンク1とを連通させるための弁である。連通弁4は、例えば電磁弁であり、コントローラ14によりその開閉が制御される。センサ5は、作動油に混入した不純物を検出するためのものであり、例えば光学式のセンサである。センサ5が光学式のセンサである場合、センサ5は、例えば、配管3を挟むように、その両側に配置された発光部(不図示)および受光部(不図示)を有する。配管3のうちのセンサ5が配置された部分は、例えば透明にされる。
【0018】
油フィルタ6は、サブタンク2から流出してきた作動油中に含まれる不純物を捕捉するためのものである。
【0019】
サブタンク2は、自然流下によりその底部から作動油タンク1へ作動油が流出する高さレベルに設置される。本実施形態では、サブタンク2は、その内底の高さレベルLsbが、作動油タンク1の油面上限レベルLmmaxよりも高くなる位置に設置されている。
【0020】
なお、「自然流下により作動油が流出する」とは、ポンプなどの動力を用いることなく作動油が流出する、ということである。
【0021】
サブタンク2には、油面上限レベルLsmaxが予め設定されている。油面上限レベルLsmaxは、オーバーフロー管16の吸込みレベルと等しい。サブタンク2内の作動油の液面が上昇してきて、油面上限レベルLsmaxに達すると、サブタンク2内の作動油は、オーバーフロー管16から作動油タンク1へ流出する。ここで、詳しくは後述するが、作動油に混入した不純物をセンサ5で検出する前に、連通弁4および給排気弁7を閉にして、サブタンク2内に作動油を貯える。オーバーフロー管16の存在により、サブタンク2内の作動油の液面レベルは、油面上限レベルLsmaxを超えることはない。換言すれば、オーバーフロー管16の存在により、サブタンク2内の作動油の液面レベルは、油面上限レベルLsmaxに維持される。サブタンク2の油面上限レベルLsmaxの設定により、作動油のセンサ5部通過流速を調整することができる。サブタンク2の平断面積は、例えば、想定されるセンサ5の必要な動作時間により決定される。サブタンク2の平断面積が大きい程、センサ5の有効動作時間を長く確保できる。サブタンク2の平断面積が大きい程、サブタンク2に一時的に貯えられる作動油の量が多くなるからである。
【0022】
なお、オーバーフロー管16の下端(下流端)は、当該下端が常時、作動油の中に没するように、作動油タンク1の油面下限レベルLmminよりも下方に位置するようにされている。
【0023】
図1に、油圧機器の例として、油圧ポンプ21、油圧モータ22、油圧シリンダ23、コントロールバルブ24,25が示されている。油圧ポンプ21は、例えば油圧ショベルのエンジン(不図示)で駆動されて圧油を吐出するものである。油圧モータ22は、例えば油圧ショベルの上部旋回体(不図示)を旋回させるものである。油圧シリンダ23は、例えば油圧ショベルのバケットを動作させるためのものである。コントロールバルブ24は、油圧モータ22への圧油の給排をコントロールするバルブであり、コントロールバルブ25は、油圧シリンダ23への圧油の給排をコントロールするバルブである。なお、油圧機器の種類、数量は、上記に限定されるものではない。
【0024】
点線で示すように、油圧ポンプ21、および油圧モータ22のケーシングドレン(ドレン油(作動油でもある))は、サブタンク2の底部側面からサブタンク2内に入れられている。当該ケーシングドレンは、サブタンク2から、オーバーフロー管16経由または配管3経由で作動油タンク1に戻される。油圧モータ22、および油圧シリンダ23から吐出された戻り油(作動油)は、作動油タンク1に直接戻されている。作動油タンク1に戻った戻り油(作動油)は、サクションストレーナ15を経て、油圧ポンプ21に流れ、循環使用される。なお、油圧ポンプ21、および油圧モータ22のケーシングドレンが流れる配管は、サブタンク2接続部近辺を除いて、サブタンク2の内底の高さレベルLsbよりも低いレベルに配設される。
【0025】
(不純物検出装置の動作)
以下の説明では、前記した各機器が油圧ショベルを構成する機器であるとしている。
【0026】
油圧ショベルのエンジンがONされると、コントローラ14は、連通弁4および給排気弁7を開から閉にする。オペレータが油圧ショベルを操作すると、油圧ポンプ21により作動油タンク1から油圧モータ22、油圧シリンダ23などの各油圧アクチュエータへ作動油が流れる。油圧モータ22、および油圧シリンダ23などの各油圧アクチュエータから吐出した戻り油(作動油)は、作動油タンク1に直接戻る。一方、油圧ポンプ21、および油圧モータ22のケーシングドレン(ケーシングドレンは、作動油でもあるので、以下、「作動油」と記載する)は、サブタンク2に流入する。このとき、連通弁4が閉にされているので、サブタンク2に流入した作動油は、サブタンク2内に溜まっていく。サブタンク2内の作動油の液面レベルが、油面上限レベルLsmaxに達すると、サブタンク2内の作動油は、オーバーフロー管16から作動油タンク1へ流出する。オーバーフロー管16の下端は、当該下端が常時、作動油の中に没しているので、オーバーフロー管16の空気を作動油が押し退けるようにして、サブタンク2内の作動油は、オーバーフロー管16から作動油タンク1へ流出する。なお、油圧ショベルは、その動作中、荒地を走行したり、エンジンなどの機器が振動したりしているので、サブタンク2まわりは粉塵が舞い易い。サブタンク2に粉塵などのゴミが入ることはエアフィルタ8で防止されるが、給排気弁7が閉にされていることで、ゴミの侵入はより防止される。また、前記したように作動油タンク1内は、大気圧よりも高い圧力とされている。また、作動油タンク1の作動油の液面は、油圧ショベルの様々な動作により変動する。仮に、給排気弁7が開の状態であると、サブタンク2内の圧力は大気圧となるので、オーバーフロー管16を介して、作動油タンク1からサブタンク2へ作動油が逆流することがあり得る。なお、必ず逆流するというものではない。給排気弁7が閉にされていることで、作動油タンク1からサブタンク2への作動油の逆流が防止される。
【0027】
ここで、油圧ポンプ21、及び/又は油圧モータ22に状態異常が生じていると、例えば金属の摩耗粉(鉄粉など)が発生し、そのケーシングドレン(作動油)に発生した金属の摩耗粉が混入する。金属の摩耗粉は、作動油とともにサブタンク2に流入し、粒子径が大きい摩耗粉は、サブタンク2の底部に沈殿する。粒子径が小さい摩耗粉は、作動油中を浮遊している。
【0028】
オペレータは、油圧ショベルでの作業が終了すると、エンジンをOFFにする。エンジンがOFFされると、コントローラ14は、連通弁4および給排気弁7を閉から開に戻す。連通弁4および給排気弁7が開になると、サブタンク2内の不純物(金属の摩耗粉など)が混入した作動油は、その自重および大気圧にて、自然流下により、配管3を通って作動油タンク1へ向かって流れる。このとき、コントローラ14は、センサ5を動作させて、作動油に混入している不純物の量を計測する。なお、センサ5部分を通過した不純物は、油フィルタ6にて補足される。
【0029】
サブタンク2内の作動油がなくなると、配管3内の流速がゼロとなるため、センサ5部分を通過する不純物はなくなる。コントローラ14は、例えばセンサ5による計測値がゼロで安定したら不純物の計測を終了する。
【0030】
コントローラ14は、不純物の計測値が、状態異常の閾値を超えているか否か判定する。なお、状態異常の閾値は、油圧機器の稼働時間、操作履歴、および負荷履歴などの情報からコントローラ14が計算する。コントローラ14は、その判定結果を、モニタに出力する。
【0031】
(変形例)
前記した実施形態では、サブタンク2の内底は、その中心部に向かって下っていくすり鉢状とされている。これに代えて、サブタンク2の内底が、その隅に向かって下っていく形状とされていてもよい。この場合、配管3は、サブタンク2の内底の隅に位置する最底部に接続される。さらには、サブタンク2の内底は、テーパ形状ではなく、平坦であってもよい。
【0032】
前記した実施形態において、給排気弁7が省略されてもよい。すなわち、サブタンク2内が、大気中と常に連通した状態とされてもよい。
【0033】
前記した実施形態において、オーバーフロー管16が省略されてもよい。この場合、例えば、サブタンク2内の油面レベルが油面上限レベルLsmaxに達した時点で、コントローラ14にて、連通弁4を開にする。なお、油圧ポンプ21、および油圧モータ22のケーシングドレンは、作動油タンク1に直接戻される流路が確保されている必要がある。
【0034】
前記した実施形態では、サブタンク2から作動油タンク1へ自然流下により作動油を流出させるための油流路として配管3が用いられている。当該油流路として、ゴムホースなどが用いられてもよい。
【0035】
前記した実施形態では、油圧ポンプ21、および油圧モータ22のケーシングドレンは、サブタンク2経由で作動油タンク1に戻され、油圧モータ22、および油圧シリンダ23から吐出された戻り油は、作動油タンク1に直接戻されている。油圧機器の戻り油を、サブタンク2経由で作動油タンク1に戻すか、作動油タンク1に直接戻すか、のバリエーションは様々ある。
【0036】
前記した実施形態では、連通弁4および給排気弁7の開閉、センサ5の操作などを全てコントローラ14による制御で行っているが、連通弁4および給排気弁7の開閉、センサ5の操作などを人が手動で行ってもよい。
【0037】
(作用効果)
前記した不純物検出装置は、自然流下により作動油タンク1へ作動油が流出する高さレベルに設置される、所定量の作動油を一時的に貯えるサブタンク2と、サブタンク2と作動油タンク1とを接続し、サブタンク2から作動油タンク1へ自然流下により作動油を流出させるための配管3と、配管3に設けられ、作動油に混入した不純物を検出するセンサ5と、配管3に設けられ、所定量の作動油をサブタンク2に一時的に貯えるため、およびサブタンク2と作動油タンク1とを連通させるための連通弁4と、を備える。
【0038】
この構成によると、不純物を検出するセンサ5が設けられた配管3にポンプを用いることなく作動油を流すことができる。所定量の作動油をサブタンク2に一時的に貯えることで、センサ5を動作させる際、センサ5が設けられた配管3を流れる作動油の流速を安定させることができる。また、前記した不純物検出装置によると、作動油タンク1とは別にサブタンク2が設けられることで、油圧モータ22および油圧ポンプ21のケーシングドレンをサブタンク2経由で作動油タンク1に戻し、油圧モータ22、および油圧シリンダ23を作動させた後の作動油(戻り油)を作動油タンク1に直接戻す、というようにすることができる。これにより、全ての油圧機器のドレンを作動油タンクへ直接戻すことでは困難であった、油圧モータ22および油圧ポンプ21のケーシングドレンに含まれる不純物の検出が可能となる。
【0039】
前記した不純物検出装置は、サブタンク2に設けられ、大気中とサブタンク2の中とを連通させるための給排気弁7をさらに備える。
【0040】
この構成によると、サブタンク2へのゴミの侵入を防止することができる。また、作動油タンク1からサブタンク2への作動油の逆流を防止することができる。
【0041】
前記した不純物検出装置は、サブタンク2の中の作動油の量が所定量に達したら、サブタンク2から作動油タンク1へ作動油を流出させるオーバーフロー管16をさらに備える。
【0042】
この構成によると、サブタンク2に一時的に貯える作動油の量を、容易且つ確実に、所定量とすることができる。
【0043】
前記した不純物検出装置を構成するサブタンク2の底側内壁面は、水平方向に対して傾斜する斜面2aとされており、当該斜面2aにより形成された、サブタンク2の最底部に配管3が接続されている。
【0044】
この構成によると、サブタンク2の底部に沈殿した作動油中の不純物を、サブタンク2中に残すことなく、センサ5が設けられた配管3に流すことができる。これにより、作動油中に混入した不純物の検出精度が向上する。
【0045】
前記した不純物検出装置では、配管3の、センサ5よりも下流側部分に、不純物を捕捉する油フィルタ6が配置されている。
【0046】
油圧機器は、作動油タンク1から作動油が供給される。この構成によると、サブタンク2内の作動油中の不純物が作動油タンク1へ流出することを防止できる。これにより、油圧機器の二次故障を防止できる。
【0047】
前記した不純物検出装置では、サブタンク2の内底の高さレベルLsbが、作動油タンク1の油面上限レベルLmmaxよりも高くなるように、サブタンク2が設置されている。
【0048】
この構成によると、サブタンク2内の全ての作動油を、より確実にセンサ5が設けられた配管3に流すことができる。
【符号の説明】
【0049】
1:作動油タンク
2:サブタンク
2a:斜面
3:配管(油流路)
4:連通弁
5:センサ
6:油フィルタ(フィルタ)
7:給排気弁
14:コントローラ
16:オーバーフロー管(オーバーフロー流路)
21:油圧ポンプ(油圧機器)
22:油圧モータ(油圧機器)
23:油圧シリンダ
図1