(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術により、コンバインにより穀稈を刈り取ることで、収穫作業の効率を向上させることができる。
【0005】
しかしながら、収穫作業の効率を向上させる点について、さらなる改善の余地がある。コンバインにより、圃場の穀稈を刈り取る場合に、作物に水滴が付着していると、脱穀時の負荷が大きくなるなど、収穫作業の効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンバインによる収穫作業の効率を向上させる飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、コンバイン(2)によって穀稈を刈り取る前の圃場を飛行する農作業支援用の飛行体(20)において、作物との距離を計測する距離計測部(23)と、前記距離計測部(23)による計測結果に基づき、前記飛行体(20)が前記作物よりも所定距離上方を飛行するように駆動部(30)を制御する飛行調整部(26B)と、前記作物に付着した水滴を風圧によって除去する除去部(24)とを備え
、前記飛行調整部(26B)は、前記作物の湿り度合いに基づいて前記飛行体(20)の飛行速度を調整することを特徴とする飛行体(20)とする。
【0009】
請求項
2に記載の発明は、前記除去部(24)は、飛行用の回転翼(24)である請求項
1に記載の飛行体(20)とする。
【0010】
請求項
3に記載の発明は、前記飛行調整部(26B)は、予め設定された飛行経路(R)の飛行が完了した後に、充電設備(7)に着陸するように前記駆動部(30)を制御する請求項1
または請求項
2に記載の飛行体(20)とする。
【0011】
請求項
4に記載の発明は、前記飛行調整部(26B)は、前記飛行体(20)に備えたバッテリ(29)の残量が所定値以下になると、前記充電設備(7)に着陸するように前記駆動部(30)を制御する請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の飛行体(20)とする。
【0012】
請求項
5に記載の発明は、前記飛行調整部(26B)は、前記飛行体(20)に備えたバッテリ(29)の残量が前記飛行体(20)を充電設備(7)まで飛行させることができる下限の電力量になると、前記充電設備(7)に着陸するように前記駆動部(30)を制御する請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の飛行体(20)とする。
【0013】
請求項
6に記載の発明は、前記飛行調整部(26B)は、前記飛行体(20)に備えたバッテリ(29)の残量が前記飛行体(20)を充電設備(7)まで飛行させることができる下限の電力量よりも少なくなった場合に、前記圃場に着陸するように前記駆動部(30)を制御する請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の飛行体(20)とする。
【0014】
請求項
7に記載の発明は、前記飛行体(20)が前記圃場に着陸した場合に、着陸地点を報知する報知部(26C)を備える請求項
6に記載の飛行体(20)とする。
【0015】
請求項
8に記載の発明は、前記飛行調整部(26B)は、前記コンバイン(2)の作業経路(C)に沿った飛行経路(R)を飛行するように、前記駆動部(30)を制御する請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の飛行体(20)とする。
【0016】
請求項
9に記載の発明は、前記飛行調整部(26B)は、前記飛行体(20)を揺動させながら飛行するように、前記駆動部(30)を制御する請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の飛行体(20)とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、作物に付着した水滴を除去することができ、収穫作業を効率よく行うことができる。例えば、コンバインの脱穀装置での脱穀負荷を小さくすることができ、また、穀粒の損傷を低減することができる。
【0018】
また、請求項
1に記載の発明によれば
、作物の湿り度合いに基づいて飛行体の飛行速度を調整し、例えば、湿り度合いが高い場合には、飛行速度を小さくする。これにより、作物に付着した水滴が多い場合であっても、水滴を除去することができる。
【0019】
請求項
2に記載の発明によれば、請求項
1に記載の発明の効果に加えて、飛行用の回転翼によって発生する風圧によって作物に付着した水滴を除去することで、簡易な構成の飛行体によって作物に付着した水滴を除去することができる。
【0020】
請求項
3に記載の発明によれば、請求項1
または請求項
2に記載の発明の効果に加えて、飛行経路の飛行を完了した後に、飛行体は、充電設備に着陸するので、飛行体による作業が容易となる。
【0021】
請求項
4に記載の発明によれば、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、飛行体に備えたバッテリの残量が所定値以下になると、飛行体は、充電設備に着陸するので、電力不足により飛行体が墜落することを防止することができる。
【0022】
請求項
5に記載の発明によれば、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、飛行体に備えたバッテリの残量が飛行体を充電設備まで飛行させることができる下限の電力量になると、飛行体は、充電設備に着陸するので、電力不足により飛行体が墜落することを防止することができる。
【0023】
請求項
6に記載の発明によれば、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、飛行体に備えたバッテリの残量が飛行体を充電設備まで飛行させることができる下限の電力量よりも少なくなった場合には、飛行体は、圃場に着陸するので、電力不足により飛行体が墜落することを防止することができる。
【0024】
請求項
7に記載の発明によれば、請求項
6に記載の発明の効果に加えて、圃場に着陸した場合に、着陸地点を報知するので、作業者は、飛行体を容易に見つけることができる。
【0025】
請求項
8に記載の発明によれば、請求項1から請求項
7のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、飛行体は、コンバインの作業経路に沿った飛行経路を飛行するので、コンバインによる刈り取り作業を行いながら、飛行体により作物に付着した水滴を除去することができる。
【0026】
請求項
9に記載の発明によれば、請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、飛行体は、揺動しながら飛行するので、作物に付着した水滴を効率的に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。そして、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0029】
実施形態に係る飛行体20は、コンバイン2により作物の穀稈を刈り取る前に、圃場を飛行する農業支援用の飛行体20に関するものである。なお、飛行体20は、コンバイン2により穀稈の刈り取り作業を開始する前に圃場を飛行させてもよく、また、コンバイン2により穀稈の刈り取り作業を行いながら圃場を飛行させてもよい。すなわち、穀稈を刈り取る前とは、コンバイン2による刈り取り作業を開始する前の状態と、コンバイン2による刈り取り作業を開始した後であり、かつ穀稈が刈り取られていない状態とを含む。
【0030】
まず、コンバイン2について
図1および
図2を参照し説明する。
図1は、コンバイン2の概略側面図である。
図2は、コンバイン2の概略平面図である。なお、以下の説明では、コンバイン2の通常の使用態様時における前後方向、左右方向、上下方向を、各部位におけるそれぞれの前後方向、左右方向、上下方向として説明する。
【0031】
コンバイン2は、走行装置3と、作業装置4とを備える。また、コンバイン2は、前部上方に、操縦席5bなどが設けられた操縦部5aを覆うキャビン5が設けられ、キャビン5の上部に受信アンテナ6が設けられる。また、キャビン5の上部には、飛行体20が着陸可能であり、着陸した飛行体20のバッテリ29(
図4参照)を充電する充電設備7が設けられる。なお、充電設備7の設置場所は、キャビン5の上部に限られることはない。
【0032】
操縦部5aには、各種操作レバーや、計器類や、各種情報を表示する表示部(モニタ)などが設けられる。また、操縦部5aには、情報処理端末が設けられてもよい。
【0033】
受信アンテナ6は、例えば、キャビン5の上部に設けられる。受信アンテナ6は、GPS(Global Positioning System)アンテナやGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナなどである。すなわち、コンバイン2は、受信アンテナ6を介してコンバイン2の位置(緯度および経度)に関する信号を受信し、位置を認識することができる。
【0034】
充電設備7は、例えば、電磁誘導方式や磁界共鳴方式などの非接触充電により、飛行体20のバッテリ29を充電する。
【0035】
走行装置3は、機体フレーム上に設置されたエンジン(不図示)から動力が伝達されて周回する左右一対のクローラベルト3Aを備える。走行装置3は、クローラベルト3Aを周回させることで、コンバイン2を走行させる。なお、クローラベルト3Aは、ゴムなどの弾性体により無端状に形成される。
【0036】
作業装置4としては、たとえば、機体フレームの前部に設けられた刈取装置4Aと、機体フレームの上部における左右一側(左側)に設けられた脱穀装置4Bと、機体フレームの上部における左右他側(右側)に設けられた貯留装置(グレンタンク)4Cと、貯留装置4Cの後方に直立している縦オーガ、待機状態では脱穀装置4Bおよび貯留装置4Cの上方に横たわる横オーガを有する排出装置(穀粒排出オーガ)4Dとを備える。
【0037】
刈取装置4Aは、圃場の穀稈を分草する分草杆、分草した穀稈を引き起こす引起装置、引き起こした穀稈の根元を切断する刈刃などを備える。刈取装置4Aは、圃場に植立している穀稈を分草杆で分草し、分草した穀稈を引起装置で引き起こし、引き起こした穀稈を刈刃で刈り取る。刈取装置4Aの後方には、刈り取った穀稈を脱穀装置4Bに向けて搬送する穀稈搬送装置が設けられる。
【0038】
脱穀装置4Bは、作物の脱穀を行った後に、選別部で選別した穀粒を、揚穀装置で貯留装置4Cへと送り込む。貯留装置4Cは、貯留した穀粒を、排出装置4Dの縦オーガの下部へと送り込む。排出装置4Dは、縦オーガに送り込まれた穀粒を縦オーガの上部から横オーガへと送り込み、横オーガに送り込まれた穀粒を横オーガの先端部に設けられた排出筒から運搬車などへと排出する。
【0039】
コンバイン2は、作業者により運転されてもよく、また、運転の一部、または運転の全部が自動走行により行われてもよい。
【0040】
次に、飛行体20について
図3、
図4を参照し説明する。
図3は、飛行体20の概略斜視図である。
図4は、飛行体20の概略ブロック図である。
【0041】
飛行体20は、いわゆるドローンであり、設定された飛行経路R(
図5参照)に沿って飛行する。飛行体20は、例えば、本体部20aから放射状に延在する4本のアーム部20bの先端に、それぞれ回転翼24が設けられる。回転翼24は、各アーム部20bに設けられたモータ30の駆動が伝達されて回転する。回転翼24は、回転により発生する風圧によって作物に付着した水滴を吹き飛ばし、水滴を除去する。回転翼24は、除去部を構成する。
【0042】
本体部20aの下部には、カメラ22と、距離センサ23とが設けられる。カメラ22は、例えば、2点支持により姿勢変更自在に取り付けられる。
【0043】
距離センサ23は、圃場の作物(穀稈および穀粒を含む。)との距離を計測可能な装置として設けられる。例えば、距離センサ23は、超音波、レーザ、ミリ波レーダなどにより作物の上端との距離を計測する。なお、距離センサ23は、作物との距離を計測できればよく、例えば、ステレオカメラであってもよい。距離センサ23は、距離計測部を構成する。
【0044】
本体部20aの上部には、受信アンテナ25が設けられる。受信アンテナ25は、GPSアンテナや、GNSSアンテナなどである。飛行体20は、コンバイン2と同様に、受信アンテナ25を介して飛行体20の位置(緯度および経度)に関する信号を受信し、位置を認識することができる。
【0045】
本体部20aの内部には、飛行制御を行うための制御部26、通信部27、記憶部28、バッテリ29などが設けられる。
【0046】
制御部26には、距離センサ23、受信アンテナ25、カメラ22、モータ30、通信部27、記憶部28、バッテリ29などが接続される。モータ30は、駆動部を構成する。
【0047】
通信部27は、飛行体20と、例えば、操縦装置(不図示)や、コンバイン2との間で信号などを送受信する。
【0048】
記憶部28は、ハードディスクやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。記憶部28は、地図情報や、飛行経路Rなどを記憶する。
【0049】
飛行経路Rは、通信部27を介して送信された信号に基づいて記憶部28に記憶される。飛行経路Rは、例えば、
図5に示すように、コンバイン2による作業経路Cに沿って設定される。
図5は、飛行経路Rの一例を示す図である。コンバイン2による作業経路Cが、圃場(
図5中、「F」とする。以下においても、圃場Fと称する場合がある。)左回り、すなわち反時計回りの渦巻き経路である場合には、飛行経路Rは、左回りの渦巻き経路に設定される。飛行経路Rは、位置(緯度および経度)に関する情報を含む。
【0050】
バッテリ29は、例えば、リチウムイオン電池や、ニッケル水素電池、金属空気電池、全固体電池などの二次電池であるが、燃料電池としてもよい。バッテリ29は、例えば、飛行体20がコンバイン2に着陸した場合には、コンバイン2に設けられた充電設備7により充電可能である。また、バッテリ29は、例えば、コンバイン2の外部に設けた充電設備によっても充電可能である。
【0051】
制御部26は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、制御部26は、一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0052】
制御部26は、ROMに記録されたプログラム(図示略)をRAMを作業領域として使用して実行することにより機能する複数の処理部を備える。具体的には、制御部26は、バッテリ残量検出部26Aと、飛行調整部26Bとを備える。
【0053】
バッテリ残量検出部26Aは、バッテリ29の残量、すなわちSOC(State of Charge)を検出する。バッテリ残量検出部26Aは、バッテリ29のSOCが所定値、例えば、30%以下であるか否かを判定する。
【0054】
飛行調整部26Bは、バッテリ29のSOCが所定値以下である場合には、コンバイン2の位置と、飛行体20の位置とに基づき、飛行体20がコンバイン2のキャビン5(
図2参照)の上部に着陸し、充電設備7(
図2参照)によってバッテリ29を充電するように制御信号を生成する。
【0055】
飛行調整部26Bは、バッテリ29のSOCが所定値よりも大きい場合には、設定された飛行経路Rと、飛行体20の位置とに基づき、飛行経路Rに沿って飛行体20が飛行するように制御信号を生成する。
【0056】
飛行調整部26Bは、飛行体20による飛行経路Rの飛行が完了した場合には、コンバイン2の位置と、飛行体20の位置とに基づき、飛行体20がコンバイン2のキャビン5(
図2参照)の上部に着陸するように制御信号を生成する。
【0057】
なお、飛行調整部26Bは、飛行体20による飛行経路Rの飛行が完了した場合には、コンバイン2のキャビン5とは異なる着陸地点であり、予め設定された着陸地点に着陸するように制御信号を生成してもよい。
【0058】
また、飛行調整部26Bは、バッテリ29のSOCが所定値よりも大きい場合には、飛行体20と作物の上端との距離が所定距離となるように制御信号を生成する。すなわち、飛行調整部26Bは、飛行体20が作物よりも所定距離上方を飛行するように制御信号を生成する。所定距離は、予め設定された値であり、回転翼24の回転によって発生する風圧で作物に付着した水滴を吹き飛ばすことが可能な距離である。
【0059】
飛行調整部26Bによって生成された制御信号は、各モータ30に伝達され、各モータ30の回転軸の回転速度が制御され、各回転翼24の回転速度が制御され、飛行体20の飛行が制御される。すなわち、飛行調整部26Bは、飛行体20の飛行を制御する。
【0060】
次に、本実施形態に係る飛行体20の飛行制御について
図6を参照し説明する。
図6は、飛行体20の飛行制御を説明するフローチャートである。
【0061】
制御部26は、設定された飛行経路Rに沿って飛行体20を飛行させる(S10)。距離センサ23は、作物の上端との距離を計測する(S11)。
【0062】
制御部26は、計測結果に基づいて作物の上端との距離が所定距離となるように飛行体20の飛行高さを調整する(S12)。これにより、作物の上端と飛行体20との距離が所定距離に維持され、作物に付着した水滴が回転翼24の回転によって生じる風圧によって吹き飛ばされ、除去される。
【0063】
制御部26は、バッテリ29のSOCが所定値以下であるか否かを判定する(S13)。バッテリ29のSOCが所定値以下である場合には(S13;Yes)、制御部26は、飛行体20をコンバイン2の充電設備7に向けて飛行させ、飛行体20を充電設備7に着陸させる(S15)。
【0064】
制御部26は、バッテリ29のSOCが所定値よりも大きい場合には(S13;No)、飛行経路Rの飛行が完了したか否かを判定する(S14)。
【0065】
制御部26は、飛行経路Rの飛行が完了した場合には(S14;Yes)、飛行体20をコンバイン2の充電設備7に向けて飛行させ、飛行体20を充電設備7に着陸させる(S15)。
【0066】
制御部26は、飛行経路Rの飛行が完了していない場合には(S14;No)、飛行経路Rに沿った飛行を継続する(S10)。
【0067】
飛行体20は、コンバイン2によって作物の穀稈の刈り取り作業を行う前の圃場を、作物の上端との距離を所定距離に維持しつつ、飛行経路Rに沿って飛行する。これにより、回転翼24の回転によって発生する風圧で、作物に付着した水滴を吹き飛ばし、水滴を除去する。そのため、コンバイン2によって穀稈を刈り取る際に、水滴の付着が少ない作物の穀稈を刈り取ることができ、収穫作業を効率よく行うことができる。作物に付着した水滴を除去することで、例えば、脱穀装置4Bでの脱穀負荷を小さくすることができる。また、脱穀負荷を小さくすることで、穀粒の損傷を低減することができる。
【0068】
また、飛行体20は、回転翼24によって発生する風圧によって、作物に付着した水滴を除去する。これにより、簡易な構成の飛行体20により、作物に付着した水滴を除去することができる。
【0069】
また、飛行体20は、飛行経路Rの飛行が完了すると、自動的にコンバイン2の充電設備7に向けて飛行し、充電設備7に着陸する。これにより、飛行経路Rの飛行が完了した後における作業者の操作が不要となり、飛行体20による作業が容易となる。
【0070】
また、飛行体20は、バッテリ29のSOCが所定値以下になると、コンバイン2の充電設備7に向けて飛行し、充電設備7に着陸して充電を行う。これにより、バッテリ29の電力不足により、飛行体20が飛行不能となることを抑制し、飛行体20が墜落することを防止することができる。
【0071】
また、飛行体20は、コンバイン2の作業経路Cに沿って設定された飛行経路Rに基づいて飛行する。これにより、飛行体20により作物に付着した水滴を除去しつつ、コンバイン2による刈り取り作業を行うことができる。
【0072】
上記した実施形態に加えて、以下で説明する変形例を適用してもよい。
【0073】
変形例に係る飛行体20は、作物の濡れ具合に、すなわち湿り度合いに基づいて飛行速度を調整可能であってもよい。変形例に係る飛行体20は、湿度センサ(不図示)を設け、作物の湿り度合いを検出し、検出した湿り度合いに基づいて飛行速度を調整可能であってもよい。例えば、飛行調整部26Bは、湿り度合いが高い場合に、飛行速度を小さくなるように制御信号を生成する。これにより、湿り度合いが高い場合には、回転翼24により発生する風を長い時間作物に当てて、風圧によって作物に付着した水滴を除去することができる。そのため、作物に付着した水滴が多い場合であっても、水滴を除去し、収穫作業を効率よく行うことができる。
【0074】
なお、変形例に係る飛行体20は、湿り度合いに基づいた作業者の操作(例えば、スイッチ操作)により飛行速度を調整可能であってもよい。
【0075】
変形例に係る飛行体20は、作業者の操作に基づいてコンバイン2の充電設備7に向けて飛行し、充電設備7によって充電可能であってもよい。
【0076】
変形例に係る飛行体20は、バッテリ29のSOCが、飛行体20をコンバイン2の充電設備7まで確実に飛行させることができる所定下限値、すなわち下限の電力量(下限SOC)になると、コンバイン2の充電設備7に向けて飛行し、充電設備7により充電を行ってもよい。例えば、飛行調整部26Bは、充電設備7までの距離を飛行するために必要なバッテリ29の下限SOCと、現在のバッテリ29のSOCとを比較し、現在のバッテリ29のSOCが下限SOCになると、コンバイン2の充電設備7に向けて飛行し、充電設備7により充電を行うように制御信号を生成する。なお、所定下限値は、余裕代を含んでもよい。これにより、電力不足により飛行体20が墜落することを防止することができる。
【0077】
なお、所定下限値は、予め設定された値であってもよく、例えば、バッテリ29のSOCが5%となる値であってもよい。
【0078】
変形例に係る飛行体20は、バッテリ29のSOCが所定下限値よりも少なくなった場合には、飛行を中止し、圃場に着陸してもよい。具体的には、飛行調整部26Bは、圃場に着陸するように制御信号を生成する。これにより、電力不足により飛行体20が墜落することを防止することができる。
【0079】
また、変形例に係る飛行体20は、
図7に示すように、報知部26Cを備えてもよい。
図7は、変形例に係る飛行体20の概略ブロック図である。報知部26Cは、飛行体20が圃場に着陸した場合に、飛行体20が着陸した地点の位置情報を通信部27を介して、例えば、作業者が有する操縦装置や、情報処理端末に送信する。また、報知部26Cは、ランプ(不図示)を点灯(点滅)させてもよい。これにより、圃場に着陸している飛行体20を作業者に知らせることができ、作業者は、飛行体20を容易に見つけることができる。
【0080】
また、変形例に係る飛行体20は、回転翼24とは別の装置であり、作物に付着した水滴を除去する送風装置を設けてもよい。
【0081】
上記した飛行体20は、コンバイン2の作業経路Cに沿った飛行経路Rに基づいて飛行したがこれに限られることはない。飛行体20は、
図8〜
図12などに示す飛行経路Rに沿って飛行してもよい。
【0082】
図8は、飛行経路Rの変形例(その1)を示す図である。変形例(その1)の飛行経路Rは、例えば、飛行体20が圃場Fの長手方向に往復した後に、圃場Fの短手方向に移動し、さらに圃場Fの長手方向に往復する飛行を繰り返す経路である。
【0083】
図9は、飛行経路Rの変形例(その2)を示す図である。変形例(その2)の飛行経路Rは、例えば、飛行体20が旋回しながら圃場Fの長手方向に飛行する経路である。
【0084】
図10は、飛行経路Rの変形例(その3)を示す図である。変形例(その3)の飛行経路Rは、例えば、飛行体20が圃場Fの長手方向に沿ってジグザグに飛行する経路である。
【0085】
図11は、飛行経路Rの変形例(その4)を示す図である。変形例(その4)の飛行経路Rは、例えば、飛行体20が圃場Fの短手方向に8の字を描きながら、長手方向に沿って飛行する経路である。
【0086】
図12は、飛行経路Rの変形例(その5)を示す図である。変形例(その5)の飛行経路Rは、飛行体20が、例えば、
図12において実線で示す第1経路を飛行した後に、
図12において破線で示す第2経路を飛行する経路である。
【0087】
第1経路は、飛行体20が、圃場Fの長手方向の一方の端から、もう一方の端に向けて飛行した後に、圃場Fの短手方向に沿って所定の移動距離を移動し、圃場Fの長手方向のもう一方の端から、一方の端に向けて飛行する蛇行飛行を繰り返す経路である。
【0088】
第2経路は、飛行体20が圃場Fの短手方向の一方の端から、もう一方の端に向けて飛行した後に、圃場Fの長手方向に沿って所定の移動距離を移動し、圃場Fの短手方向のもう一方の端から、一方の端に向けて飛行する蛇行飛行を繰り返す経路である。すなわち、第1経路および第2経路は、蛇行する方向が異なる経路である。
【0089】
上記した変形例の飛行経路Rを飛行することで、飛行体20は、作物に対し、様々な方向から風を当てることができ、作物に付着した水滴を効率的に吹き飛ばし、水滴を除去することができる。
【0090】
変形例に係る飛行体20は、
図13に示すように、飛行体20を揺動させながら飛行してもよい。
図13は、変形例に係る飛行体20の飛行状態を示す模式図である。これにより圃場Fの作物(
図13中、「S」とする。)に対し、様々な方向から風を当てることができ、作物Sに付着した水滴を効率的に吹き飛ばし、水滴を除去することができる。
【0091】
変形例に係る飛行体20は、防護ネット(不図示)を回収可能なローラ(不図示)を下部に設けてもよい。変形例に係る飛行体20は、圃場に害鳥防止用、および害獣防止用に設置された防護ネットをローラにより巻き取ることができる。
【0092】
例えば、作物の上方に設置された防護ネットを回収する場合には、水平方向に設けた軸を中心に回転可能なローラを設ける。また、圃場の外周を囲むように設置された防護ネットを回収する場合には、上下方向に設けた軸を中心に回転可能なローラを設ける。これにより、変形例に係る飛行体20は、防護ネットを作物に接触させることなく、容易に短時間で回収することができる。特に、広い圃場において、防護ネットの回収が容易となる。また、防護ネットをローラによって巻き取ることで、防護ネットの再利用が容易となる。
【0093】
また、変形例に係る飛行体20は、圃場に防護ネットを設置する際に用いられてもよい。これにより、防護ネットを容易に設置することができる。
【0094】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。