【実施例】
【0036】
本発明の実施例について、インターポーザーの製造方法と、半導体装置の製造方法を含めて説明する。
(本発明例1)
以下、本発明例1について、
図1及び
図2を参照しつつ、
図3から
図8を用いて説明する。
基板1は、厚さが0.3mm、大きさが200mm×200mm、熱膨張率が4ppm/℃の低膨張ガラスで形成した。
無機密着層4は、スパッタにて、0.1μm厚のCr膜(熱膨張率:8ppm/℃)と、0.2μm厚のCu膜を積層して形成した。
また、電解銅めっき2(熱膨張率:16ppm/℃)の層を、導電性材料を用いて形成し、貫通電極3をフィルド銅めっき構成で形成し、導電層5は、他の構成に応じた膜厚で形成した。
【0037】
絶縁性樹脂層7の材料には、エポキシ系樹脂からなるABFを使用した。
配線群8の材料には、シード層に無電解銅めっきを使用し、電解銅めっきの厚さを8μmとし、配線群のLS値を10μmとし、セミアディティブ法により形成した。
導通ビア9は、コンフォーマルめっきにて形成した。絶縁性樹脂層7への導通ビア9の形成には、UV−YAGレーザーを使用した。
基材1への貫通孔13の形成には、ピコ秒レーザーを使用した。貫通孔13と導通ビア9の内径は、50μmφとした。
本発明例1のインターポーザー100の製造方法としては、貫通孔形成工程と、無機密着層形成工程と、導電層・貫通電極形成工程と、不要層除去工程と、絶縁性樹脂層工程と、ビア形成工程と、配線群・導通ビア形成工程を含む方法を用いた。
貫通孔形成工程では、
図3中に示すように、基板1に対し、ピコ秒レーザーにて貫通孔13を形成した。
【0038】
無機密着層形成工程では、
図4中に示すように、基材1の両面に対し、スパッタCr膜とスパッタCu膜を連続して成膜し、基材1の表面と貫通孔13内に、無機密着層4を形成した。
導電層・貫通電極形成工程では、
図5中に示すように、基材1の両面に対し、無機密着層4の上に、導電性材料を用いて電解銅めっき2を形成した。これに加え、貫通孔13内に銅めっきを充填したフィルドめっき構成により、貫通孔13内に貫通電極3を形成した。
不要層除去工程では、
図6中に示すように、基材1の両面に形成した電解銅めっき2を、ケミカルポリッシュで除去し、さらに、無機密着層4のCrスパッタ膜を硝酸セリウムアンモニウム水溶液にてエッチング除去して、基材1に貫通電極3を配置したコア基板10を形成した。
【0039】
絶縁性樹脂層工程及びビア形成工程では、
図7中に示すように、コア基板10の両面に絶縁性樹脂層7をラミネートし、貫通電極3上の絶縁性樹脂層7にUV−YAGレーザーにてビア孔を形成した。ここで、ビア孔の径は、貫通電極3の径よりも小径とした。また、UV−YAGレーザー加工にて生じたビア孔内の塵を、アルカリ水溶液系の処理液でデスミアしてクリーニングした。
配線群・導通ビア形成工程では、絶縁性樹脂層7の上に、シード層として無電解銅めっきを形成した。さらに、シード層の上へ、
図8中に示すように、ネガ形レジストにて配線群8と導通ビア9が開口したレジストパターンを形成し、セミアディティブ法により、導電性材料として電解銅めっきを8μm厚で形成した後、レジスト及び不要部分のシード層を除去して、配線群8と導通ビア9を形成した。
【0040】
また、本発明例1の半導体装置200の製造方法としては、上述したインターポーザーの製造方法で製造されたインターポーザー100に導通パッドを形成する導通パッド形成工程と、導通パッド上に半導体素子11を固定する半導体素子固定工程を含む方法を用いた。
導通パッド形成工程では、基板1へ感光性のソルダーレジスト12を積層して露光及び現像を行い、Ni/Auめっきにて導通パッド部を形成した。
半導体素子固定工程では、ハンダにより、導通パッド上に半導体素子11を固定した。
なお、本発明例1では、片面の配線群8の層数を2層とし、表面の被覆層をソルダーレジスト12とし、導通パッド表面の表面処理をNi/Auとしたが、これらの構成は、特に限定するものではない。
【0041】
(本発明例2)
以下、本発明例2について、
図1から
図8を参照しつつ、
図9から
図15を用いて説明する。
基板1は、厚さが0.3mm、大きさが200mm×200mm、熱膨張率が4ppm/℃の低膨張ガラスで形成した。
無機密着層4は、スパッタにて、0.1μm厚のCr膜(熱膨張率:8ppm/℃)と、0.2μm厚のCu膜を積層して形成した。
また、電解銅めっき2(熱膨張率:16ppm/℃)の層を、導電性材料を用いて形成し、貫通電極3をコンフォーマル銅めっき構成で形成し、導電層5を8μmの膜厚で形成した。
また、貫通電極3のスルーホールの内部には、銅粉と有機樹脂の混合材料からなる導電性ペーストを充填した。
【0042】
絶縁性樹脂層7の材料には、エポキシ系樹脂からなるABFを使用した。
配線群8の材料には、シード層に無電解銅めっきを使用し、電解銅めっきの厚さを8μmとし、配線群のLS値を10μmとし、セミアディティブ法により形成した。
導通ビア9は、コンフォーマルめっきにて形成した。絶縁性樹脂層7への導通ビア9の形成には、UV−YAGレーザーを使用した。
基材1への貫通孔13の形成には、ピコ秒レーザーを使用した。貫通孔13と導通ビア9の内径は、50μmφとした。
導通パッド部は、Ni/Auめっきにて形成し、半導体素子11とは、ハンダによる接続を想定した。
【0043】
本発明例2のインターポーザー100の製造方法としては、貫通孔形成工程と、無機密着層形成工程と、導電層・貫通電極形成工程と、ランド形成工程と、絶縁性樹脂層工程と、ビア形成工程と、配線群・導通ビア形成工程を含む方法を用いた。
貫通孔形成工程では、
図9中に示すように、基板1に対し、ピコ秒レーザーにて貫通孔13を形成した。
無機密着層形成工程では、
図10中に示すように、基材1の両面に対し、スパッタCr膜とスパッタCu膜を連続して成膜し、基材1の表面と貫通孔13内に、無機密着層4を形成した。
導電層・貫通電極形成工程では、
図11中に示すように、基材1の両面に対し、無機密着層4の上に、導電性材料を用いて電解銅めっき2を形成した。これに加え、貫通孔13内に銅めっきを充填したコンフォーマルめっき構成により、貫通孔13内に貫通電極3を形成した。また、貫通電極3のスルーホール内部は、導電性ペーストを真空印刷にて充填させた後に硬化させた。
【0044】
ランド形成工程では、
図12中に示すように、基材1の両面に形成した電解銅めっき2と、貫通電極3のうち、貫通孔13から突出した導電性ペーストを、ケミカルポリッシュにて基材1上の厚さが3μmになるまで研磨し、スルーホール部の導電性ペーストの蓋として機能するめっきとして、基材1の表面に電解銅めっきを厚さ5μmで形成した。さらに、ランド形成工程では、
図13中に示すように、貫通電極3の両端に、貫通電極3と同じ大きさのランド6を形成するために、感光性レジストでランド6を被覆したレジストパターンを形成し、基材1の表面のランド6以外の部分の銅めっきと、無機密着層4のCrスパッタ膜とをウエットエッチングして、基材1に貫通電極3を配置したコア基板10を形成した。
【0045】
絶縁性樹脂層工程及びビア形成工程では、
図14中に示すように、コア基板10の両面に絶縁性樹脂層7をラミネートし、貫通電極3上の絶縁性樹脂層7にUV−YAGレーザーにてビア孔を形成した。ここで、ビア孔の径は、貫通電極3の径よりも小径とした。また、UV−YAGレーザー加工にて生じたビア孔内の塵を、アルカリ水溶液系の処理液でデスミアしてクリーニングした。
配線群・導通ビア形成工程では、絶縁性樹脂層7の上に、シード層として無電解銅めっきを形成した。さらに、シード層の上へ、
図15中に示すように、ネガ形レジストにて配線群8と導通ビア9が開口したレジストパターンを形成し、セミアディティブ法により、導電性材料として電解銅めっきを8μm厚で形成した後、レジスト及び不要部分のシード層を除去して、配線群8と導通ビア9を形成した。
【0046】
また、本発明例2の半導体装置200の製造方法としては、上述したインターポーザーの製造方法で製造されたインターポーザー100に導通パッドを形成する導通パッド形成工程と、導通パッド上に半導体素子11を固定する半導体素子固定工程を含む方法を用いた。
導通パッド形成工程では、基板1へ感光性のソルダーレジスト12を積層して露光及び現像を行い、Ni/Auめっきにて導通パッド部を形成した。
半導体素子固定工程では、ハンダにより、導通パッド上に半導体素子11を固定した。
なお、本発明例2では、片面の配線群8の層数を2層とし、表面の被覆層をソルダーレジスト12とし、導通パッド表面の表面処理をNi/Auとしたが、これらの構成は、特に限定するものではない。
【0047】
(本発明例1及び2の評価)
本発明例1の実施により、基材1と電解銅めっき2の間に位置し、熱膨張率を有する無機密着層4を形成する事で、基材1と貫通電極3の密着性が向上し、且つ熱膨張熱収縮の条件下での信頼性試験にて、貫通電極3の剥離を回避することが可能なインターポーザー100を得ることが可能であることを確認した。
また、本発明例2の実施により、基材1と電解銅めっき2の間に位置し、熱膨張率を有する無機密着層4を形成する事で、基材1と貫通電極3の密着性が向上し、且つ熱膨張熱収縮の条件下での信頼性試験にて、貫通電極3の剥離を回避することが可能なインターポーザー100を得ることが可能であることを確認した。
【0048】
(比較例)
以下、比較例について、
図1から
図15を参照しつつ、
図16から
図22を用いて説明する。
基板1は、厚さが0.3mm、大きさが200mm×200mm、熱膨張率が4ppm/℃の低膨張ガラスで形成した。
無機密着層4は、スパッタにて、0.2μm厚のCu膜で形成した。
また、電解銅めっき2(熱膨張率:16ppm/℃)の層を、導電性材料を用いて形成し、貫通電極3をコンフォーマル銅めっき構成で形成し、導電層5を8μmの膜厚で形成した。
また、貫通電極3のスルーホールの内部には、銅粉と有機樹脂の混合材料からなる導電性ペーストを充填した。
【0049】
絶縁性樹脂層7の材料には、エポキシ系樹脂からなるABFを使用した。
配線群8の材料には、シード層に無電解銅めっきを使用し、電解銅めっきの厚さを8μmとし、配線群のLS値を10μmとし、セミアディティブ法により形成した。
導通ビア9は、コンフォーマルめっきにて形成した。絶縁性樹脂層7への導通ビア9の形成には、UV−YAGレーザーを使用した。
基材1への貫通孔13の形成には、ピコ秒レーザーを使用した。貫通孔13と導通ビア9の内径は、50μmφとした。
比較例のインターポーザー100を製造する方法では、まず、
図16中に示すように、基板1に対し、ピコ秒レーザーにて貫通孔13を形成した。
【0050】
次に、
図17中に示すように、基材1の両面に対し、スパッタCu膜を成膜し、基材1の表面と貫通孔13内に、無機密着層4を形成した。
そして、
図18中に示すように、無機密着層4の上に、導電性材料を用いて電解銅めっき2を形成した。これに加え、貫通孔13内に銅めっきを充填したコンフォーマルめっき構成により、貫通孔13内に貫通電極3を形成した。また、貫通電極3のスルーホール内部は、導電性ペーストを真空印刷にて充填させた後に硬化させた。
次に、
図19中に示すように、基材1の両面に形成した電解銅めっき2と、貫通電極3のうち、貫通孔13から突出した導電性ペーストを、ケミカルポリッシュにて基材1上の厚さが3μmになるまで研磨し、スルーホール部の導電性ペーストの蓋として機能するめっきとして、基材1の表面に電解銅めっきを厚さ5μmで形成した。
【0051】
そして、
図20中に示すように、貫通電極3と電気的に導通のとれた配線群8を形成するために、感光性レジストで配線群8を被覆したレジストパターンを形成し、基材1の表面の、配線群8以外の銅めっきと無機密着層4のCrスパッタ膜をウエットエッチングして、基材1に導電層5と貫通電極3を配置したコア基板10を形成した。
さらに、
図21中に示すように、コア基板10の両面に絶縁性樹脂層7をラミネートし、貫通電極3上の絶縁性樹脂層7にUV−YAGレーザーにてビア孔を形成した。ここで、ビア孔の径は、貫通電極3の径よりも小径とした。また、UV−YAGレーザー加工にて生じたビア孔内の塵を、アルカリ水溶液系の処理液でデスミアしてクリーニングした。
【0052】
そして、絶縁性樹脂層7の上に、シード層として無電解銅めっきを形成した。さらに、シード層の上へ、
図22中に示すように、ネガ形レジストにて配線群8と導通ビア9が開口したレジストパターンを形成し、セミアディティブ法により、導電性材料として電解銅めっきを8μm厚で形成した後、レジスト及び不要部分のシード層を除去して、配線群8と導通ビア9を形成した。
また、比較例の半導体装置200を製造する方法では、上述したインターポーザーの製造方法で製造されたインターポーザー100に対し、基板1へ感光性のソルダーレジスト12を積層して露光及び現像を行い、Ni/Auめっきにて導通パッド部を形成した。
そして、ハンダにより、導通パッド上に半導体素子11を固定した。
【0053】
(比較例の評価)
比較例の実施により、基材1の両面の配線群8間で導通の取れた両面配線群を得ることは可能であったものの、熱膨張熱収縮の条件下での信頼性試験にて、銅配線と基材1の熱膨張率の差により、貫通電極3と導電層5が基材1から剥離する不具合を生じたことを確認した。
(本発明例と比較例との対比)
以上説明したように、本発明によれば、熱膨張や熱収縮による、基材1からの貫通電極3及び導電層5の剥離を防止することが可能であるとともに、充分な信頼性を有するインターポーザー100及び半導体装置200を提供することが可能であることを確認した。