(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2個の第1および第2の回転操作用ハンドルを備え、それぞれ第1および第2の回転運動変換治具を介して第1および第2のカップリングに連結されており、前記第1および第2のカップリングは、2個の第1および第2のフラップを備えた気流式分級装置の前記第1および第2のフラップに、それぞれ連結されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のフラップ制御機構。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の実施形態の統合化された分級装置の上面図。
【
図3】分級装置をフラップ制御機構側から見た背面図。
【
図4】フラップ制御機構のローレットハンドルの回転方向を示す側面図。
【
図5】第1のフラップの基準位置を設定する工程の分級機構部の正面図。
【
図6】第1および第2のフラップの先端部分の拡大図。
【
図7】第2のフラップの基準位置を設定する工程の分級機構部の正面図。
【
図8】第2のフラップの基準位置を設定する工程の第1および第2のフラップの先端部分の拡大図。
【0024】
以下、図面を参照して本発明の各実施形態について説明する。同一又は同類の部材には同一の符号を用いるか又は添え字のみ異ならせて表示するものとし、重複した説明を省略しているが、各実施形態の記載は本発明の技術的思想を理解するために合目的的に解釈され、実施形態の記載に限定解釈されるべきものではない。
【0025】
(実施形態1)
図1に、本発明の1実施形態における統合化された分級装置1の上面図を示す。
図1に示す統合化された分級装置1(以下簡単に分級装置1と称す)は、分級機構2と、分級機構2に内蔵されているフラップの位置を制御するためのフラップ制御機構3とが統合化された分級装置である。
図1は、分級機構2に2つのフラップを有する例を示す。
【0026】
回転運動連結部材である第1のカップリング4と第2のカップリング5とが分級機構2とフラップ制御機構3とを連結し、その結果、統合化された分級装置1が構成されている。具体的には、第1のカップリング4は、後述する第1のフラップ203の第1のフラップシャフト208に、第2のカップリング5は、後述する第2のフラップ204の第2のフラップシャフト209に連結されている。
本実施形態においては市販されているカップリング(軸継手)の内で、特に回転運動に対して剛性が高いものを選択する必要がある。
【0027】
また、分級機構2は従来の手動によりフラップ位置を設定する気流式分級装置に相当する。分級機構2は、上述のようにコアンダ効果を用いて、粉体の分級を行うことができる。なお、
図1中、Dで示す矢印は、分級機構2の奥行き方向の長さを示す。
【0028】
図2は、分級機構2の内部構造を示す正面図である。分級機構2は、
図2に示すように、コアンダブロック201、気流導入口202、第1のフラップ203、第2のフラップ204、側壁ブロック205、ノズル206、噴出口207を備える。
粉体原料は、気流導入口202から気流とともに分級機構2内部へと導入され、噴出口207から噴出される。噴出口207から噴出された気流は、コアンダブロック201の壁面に沿って流れる。コアンダブロック201の壁面は、噴出口207近傍の湾曲した形状と直線形状を有する。導入された気流は、コアンダブロック201の湾曲した壁面に沿って曲げられる。
【0029】
コアンダブロック201と第1のフラップ203とで挟まれた第1の領域、第1のフラップ203と第2のフラップ204とで挟まれた第2の領域、第2のフラップ204と側壁ブロック205とで挟まれた第3の領域の3つの分級領域が画定される。
粉体原料は、異なった粒径の粒子粉体を含み、各粒子の慣性粒子径に依存して各分級領域に粉体が分級される。すなわち第1、第2、第3の領域に、それぞれ微細粉、中粉、粗粉に分級された粉体原料が気流とともに流入するため、それぞれの領域に流れ込んだ粉体を第1の流出口210、第2の流出口211、第3の流出口212を経由して回収することで、サイズに応じて分級された粉体を得ることができる。
【0030】
なお、
図2において、例えば気流導入口202が反対側になるよう左右反転させても良い。分級装置1を用いて分級作業を行う環境に応じて、変更が可能である。
【0031】
第1のフラップ203、第2のフラップ204の先端は、各分級領域を決定するため、分級精度に直接的に影響する。第1のフラップ203、第2のフラップ204は、それぞれ第1のフラップシャフト208、第2のフラップシャフト209を回転軸として回動(回転)可能である。
第1のフラップシャフト208の中心から第1のフラップ203の先端(図中右下端部)までの距離を第1のフラップ203のフラップ長、第2のフラップシャフト209の中心から第2のフラップ204の先端(図中右下端部)までの距離を第2のフラップ204のフラップ長と定義する。
【0032】
フラップ長は、例えば100〜130[mm]である。第1のフラップ203と第2のフラップ204のフラップ長は同じであっても良く、また異なっても良い。すなわち第1のフラップ203のフラップ長より第2のフラップ204のフラップ長が長くても、短くても良い。これらのフラップ長は、分級条件に合わせて設定する。
【0033】
図3は、分級装置1をフラップ制御機構3側から見た背面図であり、フラップ制御機構3の構造を示す。なお、
図2の正面図、
図3の背面図は、説明のための便宜的用語であり、
図3を正面図と
図2を背面図と定義しても良いことは言うまでもない。
【0034】
フラップ制御機構3は、手動回転操作用ハンドルである第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302、回転操作用ハンドルの回転位置を表示する第1のポジションインジケータ303および第2のポジションインジケータ304、手動回転操作の回転数の減速およびその回転方向を直角に変更する回転運動伝達治具である第1のウォームギア305および第2のウォームギア306を備え、これらは筐体300に設置されている。
【0035】
第1のローレットハンドル301、第2のローレットハンドル302は、筐体300の両側壁面に回転自在に設置されている。
【0036】
第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302は、それぞれ第1の連結棒308および第2の連結棒309を介して、第3のカップリング310および第4のカップリング311に機械的に連結されている。
第3のカップリング310および第4のカップリング311は、第1のウォームギア305および第2のウォームギア306に機械的に連結されている。
カップリング(回転継手)を用いることにより、接続を溶接や接着等の分解不可能な方法ではなく、分解可能な方法で行うことが出来、かつ組立時の位置ズレや芯ズレを吸収することが出来る。
【0037】
その結果、手動操作によって第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302に加えられた回転運動は、それぞれ第1のウォームギア305および第2のウォームギア306に伝達される。
【0038】
図4は、
図3の左側面部を示し、第1のローレットハンドル301が筐体300に設置されている状態およびその回転操作方向を示す。具体的には、第1のローレットハンドル301は、図中矢印で示す両方向に回転(回動)可能である。これに対して第1のフラップ203は、回転運動変換治具である第1のウォームギア305によって、
図2の第1のフラップシャフト208を軸に回転(回動)可能である。
また、第2のローレットハンドル302は、
図4と対向する面の筐体300に、第1のローレットハンドル301と同様に回転可能に設置されている。これに対して第2のフラップ204は、回転運動変換治具である第2のウォームギア306によって、
図2の第2のフラップシャフト209を軸に回転(回動)可能である。
なお、第1のローレットハンドル301と第2のローレットハンドル302とを筐体300側面の同じ側に設置することも可能である。
【0039】
第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302の回転数(回転角度)は、それぞれ第1のポジションインジケータ303および第2のポジションインジケータ304により計測され、表示される。
【0040】
上述のとおり第1および第2のウォームギア305、306は、減速機としての役割を果たす。例えば、第1および第2のウォームギア305、306の減速比を50対1とすると、第1および第2のローレットハンドル301、302が1回転すると、その回転数は50分の1に減少される。
【0041】
また、第1および第2のウォームギア305、306は、回転運動の軸方向(あるいは回転ベクトルの方向)を90度回転することができ、第1および第2のローレットハンドル301、302の回転運動の軸方向は、90度転換する。従って、筐体300の側面に垂直な軸周りの回転運動(例えば
図4の矢印)は、
図3で示される筐体300の面に垂直な軸周りの回転運動に変換される。
【0042】
サーボモータを用いた分級装置の場合、サーボモータの回転軸は、フラップの回転軸と平行であり、プーリー等により回転運動を伝達し、フラップを回転してする。このような構成の場合、サーボモータの支持および制御のため、奥行き方向に長いスペースを必要とする。
【0043】
しかし、回転運動の軸を90度転換することにより、本実施形態のフラップ制御機構3を使用した分級装置1は、その奥行きを、サーボモータを使用した分級装置と比較し、短くすることができる。このことは以下に述べるように、分級装置において、特に有用であり、大きな利点である。
【0044】
通常、分級機構2は、
図1、
図2に示されるように、
図2の正面図から観察される幅(図中Wで示す)および高さ(図中Hで示す)の距離と比較し、
図1に観察される奥行き(図中Dで示す)の長さは短く、例えば数十分の1程度である。実際、分級装置を使用する場合、工場あるいは試作ライン等の現場で、この独特の形状に合わせて分級装置の設置レイアウトが決められることが多い。
具体的には、
図2の左右方向については、粉体原料の供給ラインや分級後に粉体の回収ラインを設置するため、充分なスペースが確保されているが、奥行き方向については、装置占有面積が少なくなるよう、工場内での装置がレイアウトされていることが多い。
【0045】
そのため、サーボモータを使用した分級装置を導入する場合、サーボモータの厚みに加え、重量のあるサーボモータを支持する筐体部分を必要とし、既存の分級装置との置き換えをする場合、しばしば他の装置を含めたレイアウト変更も必要となり、これに伴い、粉体を気流で移送するための配管系統の変更工事も必要となることがある。従って、装置の設置工事費用が増大する。
【0046】
しかし、本実施形態のフラップ制御機構3を使用した分級装置1は、奥行き方向の増大を極力抑え、フラップ調整作業を
図2の左右側面側から可能とすることで、工場等における既存の装置のレイアウトを大きく変更することなく、本実施形態の高い分級装置を容易に設置することができる。
【0047】
なお、フラップ調整作業を
図2の左右側面側から行うが、上述のように
図2の左右方向については充分なスペースが確保されていることが多く、フラップ調整作業スペースを新たに確保する必要が無い。
さらに、フラップを正面に形成された覗き窓から、作業者が容易に目視で確認しながらフラップを手動回転操作することができる。
【0048】
また、サーボモータを使用した分級装置の場合、駆動系、制御系の電源を必要とする。しかし、分級装置自体は、電力を必要としない。そのため、既存の手動でフラップ調整を行う分級装置(以下手動式の分級装置と称す)の場合、その設置箇所に電源供給ラインが無い場合がある。このような場合、電源を必要とするサーボモータを使用した分級装置では、新たに電源ラインの設置スペースの確保と電源ラインの新たな設置工事及び工事費用が必要となることがある。
【0049】
しかし、本実施形態のフラップ制御機構3において、電源を不要とするポジションインジケータや電池式のポジションインジケータを使用することで、電源ラインの追加を不要にでき、電源供給ラインに関しても、新たな設置工事が不要となる。
【0050】
分級機構2とフラップ制御機構3とは、
図1に示すように、第1および第2のカップリング4、5で連結されている。具体的には、第1のカップリング4は、第1のウォームギア305と第1のフラップシャフト208を連結し、第2のカップリング5は、第2のウォームギア306と第2のフラップシャフト209を連結する。
これにより、第1および第2のローレットハンドル301、302の回転運動は、それぞれ第1および第2のウォームギア305、306により減速され、回転軸方向が90°転換され、筐体の正面に設置された第1および第2のカップリング4、5を介して、第1および第2のフラップシャフト208、209に伝達される。
【0051】
第1および第2のフラップ203、204は、気流により移送された粉体を分級するため、気流の影響を受けないよう剛性の高い構造物であり、重量物である。そのためフラップを移動させるために1〜3[Nm]程度の大きなトルクが必要となる。
さらに第1および第2のフラップ203、204は近接した状態で設置されている。このような配置での重量物を精度良く第1および第2のフラップシャフト208、209を軸に回転させるためには、回転運動を正確に伝達するとともに、それ以外の運動の伝達を抑制する必要がある。
しかし、上記構成とすることにより、手動操作によってもフラップ位置の微調整が可能となる。
【0052】
従って、既存の分級装置を利用して、分級装置に内蔵されているフラップの軸に、カップリングの一方を設置し、他方を本実施形態のフラップ制御機構3のウォームギアに接続することで、既存の手動式の分級装置に本実施形態のフラップ制御機構3を統合し、手動によるフラップの回転操作を伝達することができる統合化した分級装置を得ることができる。
【0053】
なお、第1および第2のローレットハンドル301、302には、それぞれ第1および第2のストッパ(固定治具)312、313が設けられており、第1および第2のローレットハンドル301、302を固定することができる。
【0054】
表1は、第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302の回転量と第1のフラップ203および第2のフラップ204の各先端の移動量との相関を示す。表1では、ウォームギアの減速比が1/50、第1のフラップ203および第2のフラップ204のフラップ長がそれぞれ110および122[mm]の例を示すが、これらの値に限定されるものではない。
【0055】
表1
【0056】
この例の場合、第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302を1回転させると、第1のフラップ203および第2のフラップ204の先端はそれぞれ13.823および15.331[mm]移動する。
または、第1のフラップ203および第2のフラップ204の先端を1[mm]移動させるに必要な第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302の回転角度は、それぞれ26.043および23.482[°]となる。
【0057】
フラップの先端の可動範囲は、例えば20[mm]であるが、高い分級精度を実現するため、第1のフラップ203および第2のフラップ204の先端の移動量の分解能は、例えば1[mm]となる。この場合、第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302の回転角度は、上記のとおりそれぞれ26.043および23.482[°]となる。
さらに高い分級精度を実現するため、第1のフラップ203および第2のフラップ204の先端の移動量の分解能を0.5[mm]とした場合でも、第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302の回転角度は、13.022および11.741[°]である。
これらの第1のローレットハンドル301および第2のローレットハンドル302の回転角度は、手動操作でも十分に対応可能な大きさである。
すなわち、第1および第2のフラップの先端の移動精度を、1[mm]あるは0.5[mm]とすることが可能となる。
【0058】
従って、高額なサーボモータを使用した制御システムを用いることなく、高い分級精度を再現性よく実現することが可能となる。
また、ウォームギアにより回転駆動方向を転換することにより、分級機構部の奥行き方向に、わずかにフラップ制御機構部の設置領域が延びるだけであり、装置占有面積の増大を極力抑えることができる。従って、従来の分級装置を本発明の分級装置に置き換える場合でも、現場での設置レイアウトの変更が極力抑えることができる。
【0059】
また、従来の手動操作でフラップ位置を調整する分級装置の場合、フラップを回転させるための軸を分級装置外部から操作できるようになっている。従って、この軸に対して本実施形態のフラップ制御機構を接続することで、従来の分級装置に対して容易に改造することができ、既存の資産を有効活用することもできる。
【0060】
なお、上記実施形態では、手動操作の回転運動の減速と方向転換のため、各フラップに対して1個のウォームギアを使用している、複数のギア(歯車)を組合せ、回転運動の方向転換とさらなる減速をすることも可能である。
しかし、ギアの咬みあわせ個数が増加すると、ギア同士の咬みあわせの遊び部分での誤差(バックラッシュ)が増大する。本実施形態に示すように、1個のウォームギアを使用することにより、バックラッシュの影響を極力抑えることができる。
【0061】
また、上記実施形態において、2個のフラップの位置を調整するフラップ制御機構部について説明したが、フラップの数は1個でもよく、また2個より多くても良い。ただし、実際には、フラップ数は2個である場合が多い。
【0062】
(第2実施形態)
以下では、第1の実施形態の分級装置1の第1のフラップ203、第2のフラップ204の先端部の位置調整方法について説明する。
【0063】
まず、第1のステップにおいて、一旦第1のフラップ203の先端が、コアンダブロック201の表面から遠ざかる方向に第1のフラップ203が回転するように、第1のローレットハンドル301を手動で回転させる。
【0064】
その後、第2のステップにおいて、第1のローレットハンドル301を逆方向に回転させ、第1のフラップ203の先端をコアンダブロック201の表面に接近させ、さらに表面に接触させる。(
図5参照)
このときの第1のローレットハンドル301の回転位置を、第1のフラップ203の基準位置とし、第1のローレットハンドル301に接続されている第1のポジションインジケータ303の表示を第1の基準値、例えばゼロ(0)にセットする。
以上の工程により、第1のフラップ203の基準位置の設定が完了する。
【0065】
次に、第2のフラップ204の基準位置の設定を行う。
【0066】
コアンダ効果を利用した気流分級装置においては、コアンダブロックの湾曲表面に沿って流体を流し、粉体の慣性を応用して分級する。そのため、コアンダブロック201の湾曲表面のプロファイル(曲率)を基準に第1および第2のフラップ203、204の先端位置を画定することが、高精度な分級を得るために有効である。
例えば、2個のフラップの位置を決定するために、コアンダブロックの湾曲表面のプロファイルに沿った層流をシミュレーションにより算出した結果を有効に活用することができる。
【0067】
図6に示すとおり、コアンダブロック201の湾曲表面のプロファイルと平行で、コアンダブロック201の湾曲表面から所定の距離だけ離間した仮想の基準湾曲線9を準備し、この基準湾曲線9と第2のフラップ204の先端の旋回軌跡(以下第2の旋回軌跡11と称す)との交点を基準に、先端位置を画定する。
図6においては、所定の距離として25[mm]の例を示し、矢印で示す点Pが第2のフラップ204の基準位置となる交点である。
なお、第1のフラップ203の先端の旋回軌跡を、第1の旋回軌跡10と称す。
【0068】
第1の旋回軌跡10と第2の旋回軌跡11に対して、
図6に示すように、仮想的に目盛を付する。第1の旋回軌跡10は、コアンダブロック201の湾曲表面との交点をゼロに設定し、第2の旋回軌跡11は、点Pを基準とし、その値は、例えば25[mm]に設定する。
【0069】
以上は、仮想的(理論的)に決定した第2のフラップ204の基準位置であるが、以下実際に、第2のフラップ204の基準位置(点P)を設定する方法(工程)について説明する。
【0070】
まず第3のステップにおいて、第2のフラップ204の先端がコアンダブロック201の表面から遠ざかる方向に第2のフラップ204が回転するように、第2のローレットハンドル302を手動で回転し、さらに第1のフラップ203の先端がコアンダブロック201の表面から遠ざかる方向に回転するように第1のローレットハンドル301を手動で回転させる。
【0071】
この状態で、第1および第2のフラップ203、204の先端とコアンダブロック201の表面に間隙を設けることができる。
【0072】
次に第4のステップにおいて、
図7に示すとおり、第1および第2のフラップ203、204の先端とコアンダブロック201の表面との間隙に、基準値設定用バー8を挿入する。
ここで基準値設定用バー8は、長尺な直方体形状をなし、長手方向の対向する2つの面が互いに平行である。この対向する2つの面の間隔は所定の値(幅)である。
これらの2つの面の一方は、コアンダブロック201の表面に接触させる。これにより、コアンダブロック201の表面に接触した側の基準値設定用バー8の面は、コアンダブロック201の直線領域の延長になる。
【0073】
その後第5のステップにおいて、第2のフラップ204の先端がコアンダブロック201の表面に近づく方向(逆方向)に第2のフラップ204が回転するように、第2のローレットハンドル302を手動で回転し、第2のフラップ204の先端を基準値設定用バー8の表面に接触させる。
第2のフラップ204の先端が接触する基準値設定用バー8の表面は、コアンダブロック201の表面に接触した側の基準値設定用バー8の面と対向する面である。そのため、第2のフラップ204の先端は、コアンダブロック201の壁面の直線形状部分から基準値設定用バー8の幅の距離だけ離間する。
【0074】
図8は、コアンダブロック201の湾曲形状領域近傍での、基準値設定用バー8の位置を示す拡大図である。基準設定バー8の一方の側面(コアンダブロック201と反対側の側面)は、コアンダブロック201の湾曲形状領域近傍で、第2の旋回軌跡11と交差点Qを有する。
【0075】
図8では、この交差点Qは、第2の旋回軌跡11上で点Pから5[mm]離間した例を示している。従って第6のステップにおいて、第2のフラップ204の先端が基準値設定用バー8の表面接触した位置において、第2のポジションインジケータ304の表示値を第2の基準値として、例えば30[mm]に設定する。 その結果、この交差点Qから第2の旋回軌跡11に沿ってコアンダブロック201方向に5[mm]移動した点が、基準点Pとなる。
【0076】
すなわち、分級機構部の設計データから、コアンダブロック201の壁面と基準設定バー8との位置関係が既知であり、点Pと点Qとの相対関係(上記例では差分5[mm])が既知である(理論的に算出できる)ため、上記のような実証試験により、位置を検知した点Qを基にして点Pを求めることができる。
【0077】
上記のように第2のフラップ204の基準点Pはオフセットを設け第2のポジションインジケータ304において25[mm]に設定したが、ゼロと設定することも可能である。
しかし、上記のように第1および第2の基準値を定めることにより、第1および第2のフラップ先端位置を、共にコアンダブロック201の表面を基準にして設定することができるため、第1および第2のフラップ先端位置関係が理解し易く、分級処理条件決定作業を円滑に進めることができるという利点がある。さらに、流体シミュレーションとの結果に合わせた分級処理条件の設定も容易になる。
【0078】
なお、交差点Qの第2の旋回軌跡11上の位置は30[mm]に限るものではなく、また、基準点Pは第2の旋回軌跡11上25[mm]に限るものでもない。上記方法に従い、コアンダブロック201の表面を基準にして基準点を設定できれば良い。
【0079】
また、第1および第2のフラップ203、204を、ともにその先端がコアンダブロック201の表面から遠ざかる方向に回転した後に、コアンダブロック201または基準値設定用バー8の表面に近接する方向へと、同一の方向に回転させ基準点を設定する。そのため、第1および第2のフラップ203、204の基準位置を設定する場合、第1および第2のウォームギア305、306に組み込まれたギアは、共に同じ方向に回転移動しているため、個々のバックラッシュによる誤差を収束させることができる。これにより誤差の発生を防止することができる。第1および第2のフラップ203、204の先端の位置を精度良く設定することができる。
【0080】
ここで、例えば第2のフラップ204を回転し、その先端が
図2に示す側壁ブロック205の表面に接触する位置を、第2のフラップ204の基準値を設定することも可能である。しかし、この場合、第1のフラップ203と第2のフラップ204の先端の基準位置を決定する回転操作が逆方向となり、第1および第2のウォームギア305、306間でバックラッシュの誤差が足し合わされてしまう。
従って、本実施形態の基準位置の設定方法により、このような誤差は抑制することができるため、高精度な位置の設定が可能となる。
【0081】
第1および第2のフラップ203、204の先端の位置を精度よく設定する手順は次のとおりである。
先ず、設定したい位置をコアンダブロック201から5mmとすると、第1のフラップ203の基準位置からローレットハンドル301を逆回転させ、所望の位置を通過した位置まで回転させ、再度、基準位置設定時に回転させた方向へローレットハンドル301を回転させる。
このとき、所望の5mmの位置でローレットハンドル301の回転を停止させると第1のフラップ203の位置が精度よく設定できることになる。
上記の手法により第2のフラップ204の先端の位置も設定を行う。
また、側壁ブロック205の表面に接触する位置を基準位置とする場合も前記と同様な手順により設定することが可能となる。
【0082】
本実施形態の方法により分級装置のフラップ位置の調整を行った場合のフラップの先端の誤差量と、サーボモータを用いた分級装置のフラップの先端の誤差量とを比較した結果を表2に示す。
【0083】
表2
【0084】
表2の結果から、手動にて位置調整を行った本実施形態のフラップ先端の位置の誤差は、サーボモータを用いて位置調整を行ったフラップ先端の位置の誤差と同等であることが分かる。実施形態1のフラップ制御機構を用い実施形態2の位置調整方法を実践することにより、手動操作の調整であるにも関わらず、高額なサーボモータを使用したフラップ位置制御装置と遜色のない、高い位置合わせ精度を実現できることが確認された。