【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日 平成28年4月6日〜平成28年4月8日 集会名 高機能素材ワールド2016内 第7回高機能フィルム展 開催場所 東京ビッグサイト(東京都江東区有明3−11−1) 公開者 原 知之、関口 勝
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態による欠陥検査装置について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態による欠陥検査装置1の構成を示す概略構成図である。
欠陥検査装置1は、撮像部11、欠陥検出部12、ロータリエンコーダ13、検査部17、膜厚センサ14、ロボット15、膜厚測定部16を有し、被検査物50の検査を行なう。
被検査物50は、連続シート状のものであり、例えば、フィルムや透明膜がコーティングされた金属板、ゴム板、樹脂板等がある。以下の実施形態においては、被検査物50がフィルムである場合を一例として説明する。被検査物50は、後述する搬送方向において長尺状のものである。被検査物50の短軸方向が幅方向(X軸方向)に対応し、長軸(長尺)方向(Y軸方向)が搬送方向に対応する。
【0013】
撮像部11は、被検査物50の全幅を対象として照明するライン状照明装置と、その透過光または反射光を受光するラインセンサとを含んで構成される。撮像部11の撮像範囲の長手方向は、被検査物50の走行方向に対して直交する方向となるように配置される。
このライン状照明装置は、例えば、蛍光灯、石英ロッド照明、LED照明などが使用される。このラインセンサは、例えば素子数2048〜8192素子のものが用いられる。この素子数は、被検査物50の幅、走行速度、分解能、設置スペースなどに応じて、適切な素子数、速度(例えば、データレート、スキャンレート等)のものが所定の台数分使用される。また、ラインセンサは、ライン状照明装置から照射された光が被検査物50を透過した透過光を受光する。ラインセンサによる透過光の受光は、被検査物50が搬送方向に搬送された状態において行なわれる。ラインセンサは、被検査物50の表面の色調の濃淡に応じた電気信号(欠陥データ)を欠陥検出部12に出力する。言い換えると、ラインセンサは、被検査物50の走行方向に対して直交する方向におけるライン(以下、検査ライン)単位で、被検査物50の表面の光強度分布に応じた電気信号を出力する。ラインセンサとしては、例えば、CMOS(相補型MOS)カメラ、CCD(Charge−Coupled Device)カメラが挙げられる。
【0014】
撮像部11のライン状照明装置は、被検査物50の裏面側に配置され、撮像部11のラインセンサは、被検査物50の表面側に配置される。ここでは、被検査物50を透過した透過光をラインセンサによって受光する場合について説明するが、ライン状照明装置を被検査物50の表面側に配置し、ライン状照明装置からの光が被検査物50によって反射された反射光をラインセンサによって受光する構成とすることもできる。
【0015】
欠陥検出部12は撮像部11のラインセンサと接続される画像処理用コンピュータ及び画像ボードから構成され、ラインセンサから得られる画像データに基づいて被検査物50の欠陥に関して検出を行なう。この欠陥検出部12は、例えば、2値化部、ランレングス符号化部、及び連結性処理部を含んで構成されている。欠陥検出部12は、撮像部11のラインセンサから入力された欠陥データを予め決められた閾値に基づいて2値化を行い、欠陥データの圧縮後、連結性処理を行い、欠陥の特徴量(欠陥の形状の特徴を表す情報。例えば欠陥の周囲長、面積、幅、長さ、縦横比、面積率)を測定する。この欠陥検出部12として、株式会社メック製の画像処理装置LSC−6000を使用することができる。
【0016】
ロータリエンコーダ13は、自身が有する測定部の車輪を、主に搬送ロールに接触させて、搬送ロールの回転数に基づいて検査長を測定する。この搬送ロールは、被検査物50を搬送方向に搬送する。ここで、検査長は、被検査物50のY軸方向において検査開始位置からの距離を表す。
【0017】
膜厚センサ14は、ロボット15により被検査物の搬送方向に対して直交方向に搬送されることで、被検査物50の幅方向において往復移動する。膜厚センサ14の移動範囲は検査部17で得られた製品幅に応じて決まる。この製品幅は、撮像部11から得られた撮像結果が欠陥検出部12においてデータ解析されることで、被検査物50の両端の位置を検出することができる。
この膜厚センサ14は光源からの光を被検査物50に対して照射する光ファイバを有している。膜厚センサ14は、この光ファイバから照射された光が被検査物50の表面や被検査物50の積層構造における各層において反射されることで、この反射光を入射用プローブヘッドの受光部によって受光する。この受光された光は、光ファイバを介して膜厚測定部16に入射される。
【0018】
ロボット15は、被検査物50の幅方向に沿う方向(搬送方向に直交する方向)に沿って設けられた直線状のガイドレールと、このガイドレールに沿って移動する移動台とを有しており、検査部17からの制御信号に従って、移動台を移動させる。このロボット15は、例えば、一軸のロボットである。移動台には、膜厚センサ14が載置されており、ガイドレールに沿って被検査物50の幅方向に対して膜厚センサ14を往復移動させる。この実施形態において、ロボット15は、被検査物50の搬送方向において、撮像部11の下流側に配置される場合について説明するが、撮像部11に対して上流側となるように配置してもよい。
【0019】
膜厚測定部16は、分光方式の膜厚測定装置である。光源には可視光のハロゲンが使用され、膜厚センサ14の光ファイバに対して光を出射する。また、膜厚測定部16は、光ファイバから出射され被検査物50から反射した光を、膜厚センサ14の入射用プローブヘッドを介して入射し、この入射光を分光し、膜厚測定を行う。この場合、膜厚測定部16は、可視光の反射を利用する膜厚測定装置であるため、透明フィルム及び透明のコーティング層のみの測定となるが、被検査物50が複数の層から構成されていたとしても、層毎の膜厚測定が可能である。
この膜厚測定部16は、被検査物50の厚みを測定する膜厚センサ14を被検査物50の幅方向に移動させつつ、被検査物50の厚みを測定する。
【0020】
検査部17は、ロータリエンコーダ13から得られるエンコーダ値に基づいて、被検査物50を搬送方向に搬送した距離を算出し、y座標の座標値を得る。
また、検査部17は、膜厚測定を行なわせる指示を表す制御信号と膜厚測定部16をロボット15に出力する。検査部17は、この制御信号に応じて膜厚測定部16から得られた膜厚情報に対し、当該制御信号を出力した際のロボット15のX軸方向における座標位置xと、当該制御信号を出力した際のロータリエンコーダ13から得られたエンコーダ値とからなる座標(x,y)を対応付けて記憶する。ただし、ここでは、対応付けして記憶する座標については、後述する座標の補正を行なう。
【0021】
検査部17は、欠陥検出部12によって得られた欠陥検出結果と当該欠陥検出結果の被検査物における位置を表す第1座標とを含む欠陥検査結果と、膜厚測定部16によって測定された膜厚と当該膜厚が測定された被検査物における位置を表す第2座標とを含む膜厚測定結果と、に基づいて、欠陥検出結果と膜厚測定結果とが、被検査物50に対応した座標を表すマップに対して表された検査結果マップを生成する。
検査部17は、得られた検査結果を表示装置の画面上に出力する。この表示装置は、検査部17が有するようにしてもよいし、外部に液晶表示装置等のディスプレイが接続されてもよい。また、この出力は、画面上への表示だけでなく、電子データの出力や、印刷であってもよい。
【0022】
検査部17は、欠陥検出部12から出力される欠陥検査結果と、膜厚測定部16から出力される膜厚情報と、膜厚測定時のロボット位置(x,y)とを取得する。
検査部17は、撮像部11で検出した欠陥中心の座標を(X、Y)とし、ロボット15(膜厚センサ14)の座標を(x、y)とした場合は、以下の様に座標の補正を行なう。
ロボット15(膜厚センサ14)のx座標は、ロボット15のX軸方向における原点を0とし、撮像部11のX座標における製品端(製品始点端)をW
0=0mmとした場合、ロボット15(膜厚センサ14)のx座標(製品端W
0=0mmに対応するロボット15のx座標)は、x=Δxmmとなる。そのため、検査部17は、ロボット15(膜厚センサ14)のx座標を、X=x−Δxに基づいて求める。
膜厚センサ14のy座標は、撮像部11のY座標からLmm離れているとした場合、膜厚センサ14の現在の位置からLmmのオフセット処理を行い、撮像部11との座標ズレを補正する。そのため、検査部17は、ロボット15(膜厚センサ14)のy座標を、Y=y−L(y=Y+L)に基づいて求める。ここで、Lは、撮像部11と膜厚センサ14との距離を表す。
検査部17は、このような座標の補正を行なうことで、膜厚センサ14の座標(x,y)を、撮像部11の座標(X,Y)に一致させる。この欠陥検査結果には、欠陥が検出された被検査物50の座標を表すX軸方向における座標Xと、Y軸方向における座標Yと、欠陥検査の結果が含まれる。
【0023】
次に示す表1は、上述した欠陥検査装置1において検査する場合に用いられる機器や被検査物50の実施例を説明する表である。この表において、実施例を説明したが、これに限られるものではなく、種々の機器や被検査物50を適用することが可能である。
【0025】
図2は、
図1における欠陥検査装置1の膜厚測定と欠陥検出の処理の流れ(検査開始から膜厚測定の一回目の往路)を説明するフローチャートである。
ステップS11:検査部17は、欠陥検査を開始する。ここでは、検査部17は、欠陥検査の開始時において、被検査物50のY座標の値がY=0としてリセットし、被検査物50が搬送ロールによって搬送される距離をロータリエンコーダ13から得られるエンコーダ値に基づいて測定する。リセットするタイミングとしては、例えば、検査開始ボタンによる検査開始信号が入ったタイミングで行う。
また、検査部17は、検査開始時において、撮像部11及び欠陥検出部12を介して得られる、被検査物50の撮像結果を基に、被検査物50の幅方向における両端を検出することで、被検査物50の検査幅(製品幅に対応)Wを測定する。これに基づいて、検査部17は、製品端W
0のX座標(Δx)を求め、X=0とする。
【0026】
ステップS12:ロボット15は、検査部17から検査開始の制御信号を受信すると、検査幅Wの測定結果に基づいて、その検査幅Wに対応したX軸方向の範囲(x=Δx+D〜Δx+W−D)において、往復移動をする。ここで距離(製品端との間隔)Dは、X軸方向における製品端の一端(欠陥開始の基準となる製品端)の座標から、実際に膜厚測定(欠陥検査)が開始される位置を表す座標までの距離である。
ここでは、ロボット15は、膜厚センサ14を搭載して移動するにあたり、膜厚センサ14の測定位置が、検査幅Wに対応したX軸方向の範囲(x=Δx+D〜Δx+W−D)に対応するように往復移動する。
【0027】
ステップS13:検査部17は、膜厚測定部16に測定を行なわせる指示を表す制御信号を出力する。膜厚測定部16は、検査部17からの制御信号に基づいて、膜厚センサ14から得られた結果を基に膜厚測定を行う。
【0028】
ステップS14:検査部17は、膜厚測定部16に制御信号を出したときのロボット位置(測定位置(x座標))とロータリエンコーダ13のエンコーダ値に応じたy座標を取得する。膜厚測定部16は、膜厚センサ14から得られた値に基づく膜の厚さの測定結果と、その膜の厚さを測定した被検査物50における座標を表す座標(x、y)とを含む膜厚情報を検査部17に出力する。
【0029】
ステップS15:検査部17は、内部又は外部に設けられた表示装置の画面上に検査マップをリアルタイムで出力する。ここでは、検査部17は、欠陥検査結果と膜厚測定結果を検査マップ上に表示する。
【0030】
ここでは、検査部17は、欠陥検出部12から得られた、欠陥検査の結果とその欠陥検査が行なわれた座標位置と、膜厚測定部16から出力された膜厚情報に含まれる座標とを基に、欠陥検査の結果と膜厚の測定結果とを同じ検査マップ上に重ねて表示を行う。重ねて表示を行なうにあたり、検査部17は、座標の補正を行なう。
ここで、膜厚センサ14の座標(x、y)は、
X=x−Δx、Y=y−L
の式に基づいて算出することで、座標位置の補正を行い、撮像部11において欠陥検査の結果の(X、Y)座標系に対応する位置となるようにする。
【0031】
図3は、上述した実施形態における検査部17と膜厚測定部16の制御タイミングを示す図である。横軸は時間の結果を表し、縦軸は欠陥検査装置1内の各部又は制御項目を表す。
時刻T1において、欠陥検査が開始されると、検査部17は、この検査開始タイミング(検査開始)において、被検査物50の製品幅(検査幅)の測定(検査幅測定)を行う。
被検査物50の製品幅の測定が完了すると、この測定完了の時刻T2において、ロボット15による移動(ロボット移動)を行なわせ、膜厚測定開始位置(撮像部基準側の製品端)に移動させる。また、ロボット15が膜厚測定開始位置への移動が完了した時刻T3において、膜厚測定部16は、ロータリエンコーダ13から得られる信号に基づいて、測定間隔(30mm)のカウントを始める。この測定間隔は、Y軸方向における距離(被検査物50が搬送された距離)である。この測定間隔(30mm)のカウントは、ロボット15が、被検査物50の一端側から他端側に到達するまでの間において所定回数(38回)だけ行う。例えば、製品幅が380mmであり、x方向測定間隔が10mmであるとした場合には、所定回数として38回行なう。
【0032】
また、検査部17は、時刻T3において、膜厚測定部16に膜厚測定要求の制御信号を出力する。膜厚測定部16は、時刻T3において、この制御信号に基づき、膜厚測定を開始し、膜厚データ解析を行なう。検査部17は膜厚測定要求の制御信号を出力した時点におけるロボット15の幅方向における位置(x座標)とロータリエンコーダ13から得られるエンコーダ値のy座標を取得する。検査部17は、撮像部11と膜厚センサ14とのそれぞれの座標における位置の補正は、X=x−Δx、Y=y−Lの式に基づいて算出する。膜厚測定部16での膜厚データ解析が終了した時刻T4において、膜厚測定部16は、検査部17に対し、膜厚データの解析結果として得られる膜厚の測定結果を膜厚データとして送信する(膜厚情報送信)。また、ロボット15をx座標における次の膜厚測定位置に移動させる(ロボット移動)。
【0033】
検査部17は、時刻T3における測定間隔の測定を開始してから所定の測定間隔(30mm)が到来したことをロータリエンコーダ13からのエンコーダ値に基づいて検出すると、この測定間隔が到来したことを検出したタイミングである時刻T3’において、膜厚測定部16に対して、膜厚測定要求の制御信号を出力し、膜厚測定部16に膜厚測定と膜厚データ解析を行なわせる。膜厚測定部16は、時刻T3’において、この制御信号に基づき、膜厚測定を開始し、膜厚データ解析を行なう。ここのタイミングにおいて膜厚の測定が行なわれるX方向における位置は、前回の測定を行なったX方向における位置から10mmだけ被検査物50のX軸方向における他端側へ移動した位置である。
【0034】
検査部17は、膜厚測定要求の制御信号を出力した時点(時刻T3’)におけるロボット15の幅方向における位置(x座標)とロータリエンコーダ13から得られるエンコーダ値のy座標を取得する。検査部17は、撮像部11と膜厚センサ14とのそれぞれの座標における位置の補正は、X=x−Δx、Y=y−Lの式に基づいて算出する。
膜厚測定部16は、膜厚データ解析が終わったタイミングである時刻T4’において検査部17に膜厚データを送信し、ロボット15をX軸方向における次の膜厚測定位置に移動させる。また、時刻T3’から時刻T4’(時刻T3’’から時刻T4’’)における処理を、その後も、膜厚センサ14が被検査物50のX軸方向における検査開始位置(撮像部11の検査開始基準側の端部)に対応する一端側の反対側である他端側に到達するまで繰り返し行う(例えば、測定間隔のカウント数が38回に到達するまで行なう)。膜厚センサ14が、被検査物50のX軸方向における検査開始位置と反対である他端側端まで膜厚の測定が完了すると、膜厚測定部16は、ロボット15を被検査物50のX軸方向における検査開始位置(撮像部11の検査開始基準側の端部)に移動させる。
【0035】
言い換えると、時刻T3から時刻T3’’までの間において、X軸方向における膜厚の測定は、38回行なわれる。膜厚測定の1回あたりにおいてY軸方向に搬送される被検査物50の距離は30mmであるため、時刻T3から時刻T3’’までの間において、ロボット15は、X軸方向において、10mm×38回であるため380mm進み、被検査物50は、Y軸方向において、30mm×38回=1140mm進む。
【0036】
ここで、測定間隔のカウントが終了する時刻T3’’から次の測定間隔のカウントが開始される時刻T3’’’までの被検査物50が搬送方向に搬送される搬送距離(被検査物50の他端側に到達したロボット15が、被検査物50の一端側に戻るまでの間に被検査物50が搬送方向に搬送される搬送距離)は、150mmである。
また、この実施形態においては、被検査物50のX軸方向の幅が380mmである場合、被検査物50のX軸方向における他端側に到達したロボット15が被検査物50のX軸方向における一端側(撮像部11の検査開始基準側)に戻るまでの移動時間は1.5secである。
【0037】
そのため、被検査物50の搬送速度5m/minである場合、ロボット15が戻ってくるまでの移動時間1.5secにおいて、被検査物50は、Y軸方向に125mm搬送される。そのため、この実施形態において、測定間隔(30mm)のカウントが38回終わった時刻T3’’から次の膜厚の測定を開始する時刻T3’’’までの被検査物50のY軸方向における搬送距離は、余裕をもって150mmとした。すなわち、ロータリエンコーダ13のエンコーダ値に基づいて、被検査物50がY軸方向に150mm搬送される間に、膜厚センサ14は、被検査物50の他端側から一端側に戻り、その後、次の膜厚の測定が開始されるまで待機する。
【0038】
次に、膜厚測定部16は、時刻T3’’’において、ロータリエンコーダ13からのエンコーダ値に基づいて、Y軸方向における測定間隔(30mm)のカウントを始める。また、同じく時刻T3’’’において、検査部17から膜厚測定部16に膜厚測定要求の制御信号を出力し、この制御信号を受けて、膜厚測定部16は、膜厚測定と膜厚データ解析を行う。検査部17は、この膜厚測定要求の信号を出した時点における被検査物50の座標(x、y)を取得する。
【0039】
時刻T3から時刻T4(または時刻T3’から時刻T4’、時刻T3’’から時刻T4’’、または時刻T3’’’から時刻T4’’’)までは、膜厚測定部16の測定時間と膜厚データ解析にかかる解析時間に依存する。
例えば、膜厚測定部16が1回(X軸方向における1箇所)の膜厚測定を行う時間は3msec、膜厚データ解析を行う時間は約100msec、ロボット移動時間(x方向測定間隔10mmの場合)は50msecとなるため、T3からT3’までで必要な時間は約0.2sec(=153msec)となる。検査対象の搬送速度5m/minの場合は0.2secで17mm搬送する。すなわち、膜厚測定部16がX軸方向における1箇所の測定を行なう間に、被検査物50がY軸方向に搬送される距離である搬送距離は、17mmである。そのため、測定間隔は余裕をもって30mmとした。そのため、被検査物50がY軸方向に30mm搬送される間に、1箇所の膜厚測定が完了する。
【0040】
図4、
図5は、上述した実施形態における膜厚測定の一例を示す図である。
膜厚測定部16は、欠陥検査装置1が測定した検査幅(ロボット15が被検査物50のX軸方向における一端側から他端側まで移動する距離)に対応するロボット移動幅9において、ロボット15が1往復する間に、往路において被検査物50のX軸方向における他端側まで到達するまで膜厚測定部16が移動と停止を繰り返して測定を行ない、その後、被検査物50のX軸方向における一端側に戻る。
膜厚センサ14の測定は、X軸方向における膜厚測定位置(始点位置)101から膜厚測定位置(終点位置)103の往路のみ行い、復路では膜厚測定位置(中間)102では停止せずに(膜厚の測定を行なわずに)膜厚測定位置(始点位置)101まで戻る。x方向における膜厚を測定する測定間隔Aは、任意で設定されてもよい。なお、ロボットゼロ位置15aと膜厚測定位置(始点位置)101との間において、膜厚センサ14の測定は行なわない。
【0041】
この実施形態においては、製品端W
0から製品端(製品終点端)W
1までの幅(X軸方向の距離)が380mmである被検査物50の膜厚測定を行った。膜厚測定位置(始点位置)101は製品端W
0から5mm(距離D)、x方向測定間隔Aは10mm間隔で設定を行い、一回の往復でX軸方向において38回の膜厚測定を行った。
膜厚センサ14は、連続シート状物(被検査物50)がY軸方向に搬送されている間において、幅方向に移動しつつ測定する。そのため、膜厚を1回あたりに測定する検査対象上の測定エリア131は、測定毎に斜め方向にずれていく。
測定エリア131のX軸方向における幅Bは、膜厚センサ14のファイバ径に依存する。また、測定エリア131のY軸方向における膜厚測定長さCは、膜厚測定部16の露光時間と被検査物50の搬送速度に依存する。また、測定エリアのY軸方向における測定開始から、次の測定エリアのY軸方向における測定開始位置までの距離である測定間隔Eは、
図4を用いて説明したように、測定間隔の30mmとなる。
【0042】
図6、
図7は、
図4及び
図5において説明した実施形態における膜厚測定の結果を表す膜厚マップ表示の一例を示す図である。
図4及び
図5に示す測定方法に従い、膜厚センサ14の軌道151(往路)では膜厚測定を行い、膜厚測定部の軌道152(復路)では膜厚測定を行っていない。
図6において、膜厚マップは、膜厚正常部の領域における膜厚を2.1μm〜1.9μmとした場合、膜厚が1.9μm以下の測定がされた場合は、測定されたエリアを白色として表示される(膜厚表示F)。また、膜厚が2.1μm以上の測定がされた場合は、測定されたエリアを黒色として表示される(膜厚表示G)。膜厚正常部(2.1μm〜1.9μm)は、灰色として表示される(膜厚表示H)。そして、膜厚測定部16は、膜厚測定結果をこの測定された膜厚に応じた表示態様にする表示ルールに従い、例えば、縦軸を被検査物50のX軸方向、横軸を被検査物50のY軸方向とし、X軸とY軸において対応する位置(x,y)に、膜厚の測定結果に応じた表示態様で表示した膜厚マップ141を表示する。
ここで、膜厚正常部は、被検査物50として用いられるシート状の製品によって決まるものであり、例えば、その検査対象であるシート状の製品の仕様(あるいは規格)において正常として定められた値の範囲に基づいて決まる。
【0043】
図7において、膜厚マップ141は、X軸方向における測定開始位置のx位置を中心とした幅Iと、測定開始位置から次の測定までの距離Jで囲まれる領域を膜厚表示ブロック161とし、検査マップ上に、それぞれの膜厚表示ブロックをX軸方向及びY軸方向に測定された座標に従って連続的に並べて表示される。幅Iは、x方向測定間隔(
図5の符号A)と同じとする。また、距離Jは、等間隔である。
膜厚表示ブロック161では測定エリア開始位置から次の測定エリア開始位置との境界に位置するように測定エリア131が表示されるが、測定エリア131が膜厚表示ブロック161の中心(幅I及び距離Jのそれぞれの中心に対応する位置)となるように表示することも可能である。
この膜厚マップ141は、欠陥検出部12の検査結果と、膜厚測定部16の測定結果とに基づいて、検査部17によって生成され、表示される。
【0044】
図8は、上述した実施形態における検査部17が生成する欠陥検出マップの一例を示す図である。
検査部17は、撮像部11のラインセンサから得られた画像データをもとに欠陥検出処理を行い、欠陥検出マップ170を生成し、表示装置の画面上に表示する。欠陥検出マップ170において表示される欠陥の位置とその種別を表す記号は、検査部17の条件にて設定可能となる。
例えは、以下の通りに設定可能である。
異物欠陥が検出された場合は、「○」として表示する。この図においては、この欠陥が検出された位置に対応させて、異物欠陥181が「○」によって表示される。異物欠陥とは、例えば、異物が被検査物に付着した状態である欠陥である。
ムラ欠陥が検出された場合は、「☆」として表示する。この図においては、この欠陥が検出された位置に対応させて、ムラ欠陥182が「☆」によって表示される。ムラ欠陥とは、被検査物50の表面において平坦にならず凸状または凹状の形状が生じた欠陥である。
スジ欠陥が検出された場合は、「□」として表示する。この図においては、この欠陥が検出された位置に対応させて、スジ欠陥183が「□」によって表示される。スジ欠陥とは、搬送方向と平行に連続して生じたムラ、汚れである。
検査部17は、この表示条件をもとに、検出された欠陥の種別に応じた記号を、その欠陥が検出された座標に対応する位置に表示された、欠陥検出マップ170を生成して表示する。
【0045】
図9、
図10は、上述した実施形態における欠陥検出結果と膜厚情報とを合わせた検査マップの一例を示す図である。
図9は、被検査物50の複数の層のうち第1層を表示している検査マップ23の一例を表し、
図10は、被検査物50の複数の層のうち第2層を表示している検査マップ24の一例を表す図である。
ここで、被検査物50が複数の層によって構成されている場合、欠陥検査装置1は、層毎に膜厚測定を行なうことができる。例えば、被検査物50が複数の層によって構成されている場合としては、基材フィルムの一方側の主面(例えば表面)にコーティング層が形成されており、基材フィルムの他方側の主面(例えば裏面)にコーティング層が形成されている場合がある。このような場合、カーブフィッティング法またはFFT(高速フーリエ変換)を行なって、被検査物50からの反射光(または透過光)のスペクトルを解析することで、各層の膜厚を測定することができる。この場合、膜厚マップは、各層毎に得られる。そして、例えば被検査物50の複数の層のうち第1層を表示している検査マップ23(
図9)と第2層を表示している検査マップ24(
図10)を比較すると、ムラ欠陥及びスジ欠陥がどちらの層で発生しているかが容易に判定可能となる。
このような層毎の検査マップは、例えば、検査部17に設けられた入力装置(キーボードやマウス)を介して入力される指示に従い、どの層を表示するかを選択することができる。具体的には、特定の層の検査マップを選択して表示してもよいし、多数の層のうち任意の層を2つ以上選択して並べて表示するようにしてもよい。
【0046】
図9において、検査マップ23は、第1層における膜厚マップと欠陥検出マップとが重ねられた場合の結果マップである。
図10において、検査マップ24は、第2層における膜厚マップと欠陥検出マップとが重ねられた場合の結果マップである。
図9、
図10において、縦軸が被検査物50のX軸方向に対応し、横軸が被検査物50のY軸方向に対応する。膜厚異常で発生するムラ欠陥(ムラ欠陥182、☆のマーク)及びスジ欠陥(スジ欠陥183、□のマーク)の座標が、膜厚測定で得られた膜厚異常のエリア内に位置する場合は、検査マップ23、検査マップ24により確認が容易となる。また、座標が一致した場合は「膜厚異常欠陥」として分類可能となる。
ここで、検査部17は、座標が一致したか否かの判断は、例えば、欠陥検査結果における欠陥の座標の所定の範囲内に、膜厚情報の座標がある場合に、座標が一致したと判断してもよい。
図9において、第1層において膜厚が他のエリアと異なるエリアについては、当該他のエリアの表示態様とは異なる表示態様にて表示される。すなわち、
図10において、第2層においては、いずれのエリアにおいても膜厚は規格の範囲内に収まっていることがわかるが、
図9において、第2においては、ムラ欠陥182があるエリアの膜厚が他のエリアよりも薄くなっていることがわかり、スジ欠陥183があるエリアの膜厚が他のエリアよりも厚くなっていることがわかる。
【0047】
以下、図面を参照しながら本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態における欠陥検査装置1の構成は、第1の実施形態における構成とはほぼ同じであるが、撮像部11より下流に設置されたロボット15は、X軸方向において一定間隔で膜厚を測定するのではなく、欠陥検出部12によって欠陥が検出されたことに基づいて、その欠陥が検出された座標について、膜厚を測定する。すなわち、測定間隔Aは適用しない。
【0048】
図11は、第2の実施形態における膜厚測定と欠陥検出の処理ステップを示す図である。
ステップS21において、検査部17は、欠陥検出を開始し、Y軸方向における座標Yをリセット(Y=0)する。また、検査部17は、検査対象の検査幅(製品幅)Wを測定し、製品端W
0の場合におけるX座標(Δx)を求め、X=0とする。
ステップS22において、検査部17は、撮像部11によって得られた撮像結果に基づいて、欠陥検出部12が欠陥を検出した場合に、この結果が、膜厚(ムラ・スジ等)に分類される欠陥であるか否かを判定する。検査部17は、欠陥検出部12の検査結果に基づいて、膜厚に関する欠陥があることが分類された場合(膜厚に関する欠陥を検出した場合)、欠陥が検出されたX座標に移動する制御信号をロボット15に出力する。ロボット15は、この制御信号に従い、指定されたX座標(x=X+Δx)に移動する。
【0049】
ステップS23において、検査部17は、膜厚測定を行なう直前における、被検査物50の搬送速度を測定し、膜厚測定長さC(C=搬送速度×測定時間)を算出する。搬送速度は、例えば、ロータリエンコーダから得られるパルスを基に測定する。また、検査部17は、欠陥が検出されたY座標をロータリエンコーダ13のエンコーダ値に基づいて、y=Y+L−C/2の位置を算出し、その座標yにおいて膜厚センサ14に測定を行なわせる制御信号を出力する。この制御信号を受け、膜厚センサ14は、膜厚測定を行う。
【0050】
ステップS24において、膜厚測定部16は、膜厚センサ14によって測定を行なって得られた膜厚情報を検査部17に出力する。ステップS25において、検査部17は、欠陥検出結果に基づいて、結果マップに表示するとともに、膜厚測定部16から送られてきた膜厚情報についても測定位置をもとに同じ結果マップ上に重ねて表示する。
【0051】
図12は、第2実施形態の欠陥検査装置における膜厚測定部16の制御タイミングを示す図である。
膜厚(ムラ・スジ等)に分類される欠陥を時刻T1において検出すると、検査部17は、時刻T2において、ロボット15に対し、欠陥が検出されたX座標の位置である座標X(x=X+Δx)に移動をさせる。
時刻T2においてロボット15が座標X(x=X+Δx)に移動した後、膜厚測定を行うまでの間に、時刻T3において搬送速度を測定し、膜厚測定長さ(C=搬送速度×測定時間)を算出する。そして、欠陥が検出された際のY座標をもとに、Y+L−C/2から求まる時刻T4において、検査部17から膜厚測定部16に膜厚測定要求の制御信号を出力し、膜厚測定部16は、この制御信号に基づいて膜厚測定と膜厚データ解析を行う。
膜厚測定部16は、膜厚データ解析が終わった時刻T5において、検査部17に膜厚データを送信する。
【0052】
図13、
図14は、第2の実施形態における撮像部11と膜厚センサ14の関係を示す図である。ここでは、膜厚測定部16は、被検査物50の測定対象部位について測定を行なう測定区間であって被検査物50の搬送方向における測定区間の略中央に欠陥が位置するように、測定開始タイミングを搬送速度に応じて決定して測定する。
撮像部11で膜厚(ムラ・スジ等)に分類される欠陥を検出した場合、その欠陥がロボット15(膜厚センサ14は、)に到達する前に欠陥のX座標に移動する(
図13)。ロボット15(膜厚センサ14は、)が移動した後、膜厚センサ14は、欠陥到達まで待機し、Y+L−C/2から求まるタイミングで膜厚測定を行う(
図14)。これにより、例えば、ムラ欠陥182が検出された座標において、膜厚センサ14が膜厚測定を行なうことができる。
上記の条件で膜厚測定することで、被検査物50の搬送速度が変動しても目標欠陥の直上を膜厚測定することが可能となる。被検査物50の搬送速度が変動する場合としては、例えば、被検査物50の搬送開始直後における搬送速度の加速中であったり、被検査物50の搬送終了直前における搬送速度の減速中であったり、搬送中に搬送速度を変更する指示があった場合などがある。
【0053】
図15は、膜厚に分類される欠陥の位置と膜厚センサ14によって測定が行なわれる範囲との関係を示す図である。
図15(a)において、搬送速度が所定の速度よりも遅い場合において、膜厚センサ14によって測定される測定エリア131(いわゆる露光される被検査物50の範囲)は、被検査物50のY軸方向における距離C1の範囲である。そして、その距離C1の中央にムラ欠陥182が位置するように、ムラ欠陥182のC1/2だけ前の位置が膜厚測定の開始位置(符号221)として求まり(Y+L−C1/2)、この位置から測定が行なわれる。
図15(b)において、搬送速度が所定の速度よりも早い場合において、膜厚センサ14によって測定される測定エリア131(いわゆる露光される被検査物50の範囲)は、被検査物50のY軸方向における距離C2の範囲である。そして、その距離C2の中央にムラ欠陥182が位置するように、ムラ欠陥182のC2/2だけ前の位置が膜厚測定の開始位置(符号222)として求まり(Y+L−C2/2)、この位置から測定が行なわれる。
ここでは、露光時間を一定とした場合には、距離C1と距離C2では、搬送速度が速いため、距離C2の方が長い。
【0054】
図16は、第2実施形態に欠陥検出と膜厚情報を合わせたマップ(検査マップ25)の一例を示す図である。
図13、
図14で得られた欠陥検出結果と膜厚情報とを結果マップに表示することで欠陥部位に膜厚異常が発生していることが容易に判断できる。また、欠陥検査結果において膜厚に欠陥があると分類された位置において、膜厚異常が測定された場合は「膜厚異常欠陥」として分類可能となる。結果マップ表示は、膜厚正常部が2.1μm〜1.9μmである場合、膜厚が1.9μm以下として測定がされた座標は、測定された座標を含むエリアを白色として表示する(膜厚表示F)。膜厚が2.1μm以上として測定がされた場合は、測定された座標を含むエリアを黒色として表示する(
図16においては、黒色に表示される欠陥はない)。膜厚が正常値の範囲内(2.1μm〜1.9μm)である測定エリアは、灰色として表示される(符号H)。また、欠陥検出の表示は以下の通りに設定する。また、ここでは、欠陥検査結果として、異物欠陥181が記号〇によって表示され、ムラ欠陥182が記号☆によって表示され、スジ欠陥183が記号□によって表示されている。
ここで、膜厚測定位置を表す測定エリアを結果マップ上に表示する場合のサイズは、X軸方向における膜厚表示ブロック幅K、Y軸方向における膜厚表示ブロック長さMは、任意で設定可能である。また、膜厚測定位置のマップ表示は欠陥中心座標を中心とすることができる。
【0055】
以下、図面を参照しながら第3の実施形態について詳細に説明する。
図17は、第3の実施形態における欠陥検査装置の構成を表す図である。この第3の実施形態において、第1(第2)の実施形態と同じ構成については、その説明を省略し、主に相違する点について説明する。この第3の実施形態において、第1(第2)の実施形態と相違する点は、撮像部11の上流側に膜厚センサ18、ロボット19、膜厚測定部20が設けられた点である。ここでは、ロータリエンコーダ13は、Y軸方向においてロボット19と撮像部11の間に位置する場合について図示しているが、撮像部11と膜厚センサ14、18と同じ搬送速度の位置であればどこでもよい。
【0056】
図18は、第3の実施形態における膜厚測定と欠陥検出の処理ステップを示す図である。
ステップS31において、検査部17は、欠陥検出を開始する。その際、Y座標をリセットする(Y=0)。また、検査部17は、検査対象の検査幅(製品幅)Wを測定し、製品端W
0を座標Xにおいて0としたときのx座標との差(Δx
1、Δx
2)を、ロボット15(Δx
2)と、ロボット19(Δx
1)について算出する。次に、ステップS32において、検査幅Wの測定をもとに、ロボット19(膜厚センサ18)は、幅方向に(x
1=Δx
1+D〜Δx
1+W−D)の範囲を往復する移動を開始する。次に、ステップS33において、検査部17は膜厚測定部20に測定する制御信号を出し、膜厚測定部20は、検査部17からの制御信号に基づいて、膜厚センサ18によって、膜厚測定を行う。
ステップS34において、検査部17は、膜厚測定部20に測定を行なわせる制御信号を出力した時点におけるロボット19の位置(測定位置(x
1座標))とエンコーダ値のy
1座標を、ロボット19、ロータリエンコーダ13から取得する。
膜厚測定部20は、測定した膜厚情報を検査部17に出力する。
【0057】
次にステップS35において、検査部17は、欠陥検出結果を結果マップに表示する。また、膜厚測定部20から送信された膜厚情報も、測定位置をもとに同じ結果マップに重ねて表示する。
ここで、膜厚センサ18の座標(x
1、y
1)は、
X=x
1−Δx
1、Y=y
1+L
1
に基づいて座標の補正を行い、撮像部11の(X、Y)座標と一致させる。ここで、L
1は、Y軸方向における膜厚センサ18から撮像部11までの距離である。
次に、ステップS36において、上記の測定結果に基づいて、「膜厚異常欠陥」に分類された欠陥があったと判定された場合、欠陥のX座標に移動する制御信号をロボット15に出力し、ロボット15は、欠陥が検出されたX座標(x
2=X+Δx
2)に移動する。
検査部17は、膜厚測定を行なう直前における、被検査物50の搬送速度を測定し、膜厚測定長さC(C=搬送速度×測定時間)を算出する。
また、検査部17は、エンコーダ値から得られた欠陥のY座標をもとにy
2=Y+L
2−C/2の位置で、膜厚センサ14に膜厚測定を行なわせる制御信号を出力し、膜厚センサ14は、この制御信号に基づいて膜厚測定を行う。ここで、L
2は、Y軸方向における撮像部11から膜厚センサ14までの距離である。
【0058】
この第3の実施形態において、欠陥検出部12と膜厚センサ14の制御タイミングは
図3と同じであり、欠陥検出部12と膜厚センサ18の制御タイミングは
図12と同じである。撮像部11と膜厚センサ14の関係は、
図13、
図14と同じである。
【0059】
次に、本発明における第4の実施形態について説明する。この第4実施形態における構成は、
図17の構成と同じであるが、一部の処理内容が異なる。
図19は、第4の実施形態における膜厚測定と欠陥検出の処理ステップを説明する図である。
ステップS41において、検査部17は、欠陥の検出を開始し、Y軸方向における座標Yをリセット(Y=0)する。また、検査部17は、検査対象の検査幅(検査対象の製品幅)Wを測定し、製品端W
0の場合におけるX座標をX=0としたときのx座標との差(Δx
1、Δx
2)を、ロボット15(Δx
2)と、ロボット19(Δx
1)について算出する。
ステップS42において、検査幅Wの測定をもとに、ロボット19(膜厚センサ18)は、幅方向に(x
1=Δx
1+D〜Δx
1+W−D)の範囲を往復する移動を開始する。次に、ステップS43において、検査部17は、膜厚測定部20に測定する制御信号を出し、膜厚測定部20は、検査部17からの欠陥検査装置からの制御信号により膜厚センサ18によって、膜厚測定を行う。
ステップS44において、検査部17は、膜厚測定部20に制御信号を出力したときのロボット19の位置(測定位置(x
1座標))とエンコーダ値のy
1座標をロボット19、ロータリエンコーダ13から取得する。
膜厚測定部20は、測定した膜厚情報を検査部17に出力する。
【0060】
次に、ステップS45において、検査部17は、欠陥検出結果を結果マップに表示する。また、膜厚測定部20から送信された膜厚情報も、測定位置をもとに同じ結果マップに重ねて表示する。
ここで、膜厚センサ18の座標(x
1、y
1)は、
X=x
1−Δx
1、Y=y
1+L
1
に基づいて座標の補正を行い、撮像部11の(X、Y)座標と一致させる。
次に、ステップS46において、膜厚測定部20にて「膜厚異常」が測定された場合、「膜厚異常」が測定されたX座標に移動する制御信号をロボット15に出し、ロボット15は、膜厚異常の欠陥が検出されたX座標(x
2=X+Δx
2)に移動する。
検査部17は、膜厚異常が発生したY座標をもとに、y
2=Y+L
2−Jの位置から膜厚測定を行なわせる制御信号を膜厚センサ14に出力し、膜厚センサ14は、検査部17からの制御信号に基づいて、X座標(x
2=X+Δx
2)の位置において膜厚測定を行う。この膜厚測定におけるY軸については、y
2=Y+L
2+Jの位置まで等間隔で複数回行う。
したがって、膜厚センサ14の測定間隔は、膜厚センサ18の測定間隔よりも狭い範囲で細かく測定する。ここで、Jは、膜厚測定部20が行なう膜厚測定のY軸方向において、測定位置から次の測定位置までの距離であり、この間、X軸における座標は変更しない。そのため、膜厚測定部20にて「膜厚異常」が測定された場合には、その「膜厚異常」が発見されたX軸座標は同じにし、Y軸方向における一定範囲内において等間隔で複数の膜厚測定を行なう。これにより、「膜厚異常」を測定したエリアを含む特定範囲内を細かく膜厚測定することができる。
【0061】
図20は、第4の実施形態における欠陥検査装置と膜厚装置の制御タイミングを示す図である。
膜厚測定部20で膜厚異常を測定したタイミングは時刻T1である。
時刻T2において、検査部17からの制御信号に基づいて、ロボット15が膜厚異常のX(x
2=X+Δx
2)位置に移動する。検査部17は、膜厚異常のY座標をもとにy
2=Y+L
2−Jの時刻T3において、膜厚測定部16に、膜厚測定を行なわせる制御信号を出力する。この制御信号を受け、膜厚測定部16は、膜厚測定と膜厚データ解析を行う。さらに、この時刻T3において、測定間隔(30mm)のカウントを始める。膜厚測定部16において膜厚データ解析が終了した時刻T4において、膜厚測定部16は、検査部17に膜厚情報を送信する。
一方、測定間隔(30mm)の時刻T3’(T3”)が到来すると、検査部17は、膜厚測定部16に膜厚測定要求の制御信号を出力し、膜厚測定部16は、膜厚測定と膜厚データ解析を行う。
膜厚測定部16での膜厚データ解析が終了した時刻T4’(T4”)において、膜厚測定部16は、検査部17に膜厚情報を送信する。測定間隔のカウントはy
2=Y+L
2+Jまで行う。これにより、y
2=Y+L
2−Jからy
2=Y+L
2+Jの範囲内において等間隔に膜厚測定が行なわれる。ここで、同じX座標位置にて膜厚測定部20が欠陥検出結果として膜厚異常を連続で測定した場合は、膜厚異常が終息するまで(膜厚異常がなくなるまで)、検査部17は、膜厚測定部16に対する測定間隔のカウントを持続させることが可能である。
一方、膜厚測定部16の測定タイミングに係わらず、膜厚測定部20は、継続して膜厚測定を行っている。膜厚測定部20の制御タイミングは、
図3に示すタイミングと同様に行なう。
【0062】
図21は、第4の実施形態における膜厚測定の結果である膜厚マップの一例を示す図である。
上述の第1の実施形態の測定条件を踏まえて、製品幅が380mmであり、搬送速度を5m/minとして測定を行なった場合、膜厚測定部20では、測定開始位置(例えば第1測定位置300)から次の測定位置(例えば第2測定位置301)までの距離Jは、1290mm(30mm間隔で38回の測定を行うと1140mmとなり、測定終点から次の測定始点までのロボット移動時では150mmの間隔は測定しないため合わせて1290mmとなる。)となり、また、次の測定位置(例えば、第3測定位置302)までを合わせると2580mmの距離となる。膜厚測定部20によって膜厚異常が、第2測定位置301における膜厚表示ブロックの一部である分割膜厚表示ブロック310において測定された場合、その分割膜厚表示ブロック310の膜厚異常が測定されたY軸上の測定位置(第2測定位置301)を基準とし、Y軸方向における前後の範囲(第1測定位置300から第3測定位置302まで)を膜厚測定部16によって細かく測定することができる。
【0063】
具体的には、膜厚測定部16は、膜厚測定部20で膜厚異常が検出された位置(第2測定位置301)から距離JをさかのぼったY座標(第1測定位置300)から膜厚測定を開始し、膜厚測定部20で膜厚異常が検出されなくなる位置を含む測定エリアが終了するまで膜厚測定を行う(ここでは、第3測定位置302まで)。
膜厚測定部20では3回(第1測定位置300、第2測定位置301、第3測定位置302の位置)しか測定できていないエリアを、膜厚測定部16を用い、測定間隔を30mmとして測定した場合には、第1測定位置300から第3測定位置302の位置まで、合計76回測定することが可能となる。また、膜厚情報のマップ表示も膜厚測定部16で測定した測定エリアは、膜厚測定部20によって測定された測定エリアに比べて、より詳細に(短い間隔で)表示することが可能となる。例えば、膜厚測定部16を用いずに膜厚測定部20のみを用いて膜厚測定を行なった場合には、第2測定位置301から第3測定位置302に示す範囲について、膜厚異常として画面上に表示されるが、ここでは、膜厚測定部16によって膜厚測定をさらに行ない、その測定結果も踏まえて膜厚情報を判定するため、例えば、規定よりも膜厚が薄い膜厚異常として測定された領域は、第2測定位置301から第3測定位置302までの測定エリアよりも狭い測定領域(分割膜厚表示ブロック群320)において、白色でマップ表示される。
【0064】
また、膜厚測定部16に膜厚測定部20とは違う多点膜厚装置(例えば、C11295(浜松ホトニクス株式会社製))を適用した場合には、幅方向に複数点(2点〜15点)を同時に測定することも可能となる。
図22は、第4の実施形態において、多点膜厚装置を用いた場合における膜厚測定の結果である膜厚マップの一例を示す図である。この例においては、膜厚測定部16として多点膜厚装置を用い、膜厚測定部20によって幅方向の領域330において膜厚異常が測定された場合には、この幅方向の領域330に示す範囲において、多点膜厚装置(膜厚測定部16)にて膜厚測定を行ない、X軸方向において複数箇所(
図22においては3箇所)を同時に測定することができる。これにより、膜厚測定部20によって測定される測定エリアのX軸方向についてより細かく分割(ここでは3分割)し、その分割領域毎に膜厚測定をし、膜厚マップを作成することができる。
【0065】
上述した実施形態において、膜厚センサとして分光干渉法に基づいて、被検査物からの反射光のスペクトルを解析するようにしたので、被検査物に対して非接触で膜厚を測定することができる。これにより、タッチロールを利用する測定装置を利用すると、機械的に高さ方向の位置が変動しないことに起因して測定精度が低下することを回避することができる。
【0066】
また、上述の実施形態において、欠陥検査装置は、欠陥検出部が検出した膜厚欠陥(ムラ・スジ等)と膜厚測定部から得られた膜厚異常のエリアが一致した場合は、膜厚異常欠陥として分類することができる。
また、欠陥検査装置は、欠陥検出部が検出した膜厚欠陥(ムラ・スジ等)がどのコーティング層で発生しているかを分類できる。
【0067】
上述した実施形態における欠陥検査装置をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0068】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。