【文献】
長橋 賢吾,最新 FinTechの基本と仕組みがよ〜くわかる本,日本,株式会社秀和システム,2016年12月10日,初版,pp.106-108
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出部は、前記診断項目ごとに重み値を設定し、異常値が存在する場合にそれぞれの診断項目ごとに該当する重み値を与え、診断項目ごとにそれぞれ該当する重み値について加算処理することにより、前記健康スコアを算出する、
請求項1に記載の仮想通貨付与システム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本実施形態の仮想通貨付与システムにかかるネットワーク構成図を示す。本システムは、利用者10、20、30からアクセスされるシステムサーバ100と、ネットワークを介して接続された医療診断サーバ110、金融機関120、130のサーバを備える。
【0013】
利用者10、20、30は、医療診断サーバ110を備える病院で、基礎となる全体的な健康診断をすることにより、医療診断サーバ110で利用者の健康状態にかかる基礎診断結果を取得する。医療診断サーバ110はシステムサーバ100から見て外部にあり、システムサーバ100で取得をした診断結果を評価するという位置関係から、十分に認証されたものとして存在している。一方で利用者10、20、30は、利用者10、20、30が装着又は携帯する携帯端末を介して、利用者10、20、30の日常的な健康に関して日常診断情報をシステムサーバ100に送信する。
【0014】
システムサーバ100は、こうして取得した基礎診断結果及び日常診断情報に基づき、利用者10、20、30に対して仮想通貨を付与するとともに、金融機関120、130のサーバへと、健康診断レポートを作成して送信する。
【0015】
システムサーバ100、医療診断サーバ110、金融機関120、130のサーバは、それぞれCPU(Central Processing Unit)と,ROM(Read Only Memory)と,RAM(Random Access Memory)と,画像処理部と,メモリを備えている。CPU,ROM,RAM,画像処理部及びメモリは,バスを介して相互に接続されている。
【0016】
CPUは,ROMに記録されているプログラム,又はメモリからRAMにロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAMには,CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0017】
画像処理部は,DSP(Digital Signal Processor)や,VRAM(Video Random Access Memory)等から構成されており,CPUと協働して,画像のデータに対して各種画像処理を施す。
【0018】
メモリは,DRAMやキャッシュメモリ,磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク,或いは半導体メモリ等何らかの記憶媒体が挙げられる。メモリは,バスにより接続されるもののみならず,ドライブを介して読み書きされるものも含まれる。本実施形態で記憶されたデータは,一時的記憶も不揮発性メモリによる長期記憶の場合も,このメモリにいったん記憶するものとして説明する。
【0019】
システムサーバ100、医療診断サーバ110、金融機関120、130のサーバのそれぞれには入出力インターフェースが接続されている。入出力インターフェースを介して,表示部,撮像部,入力部,通信部が接続されている。入力部は,各種ボタンにより構成され,ユーザの指示操作を受け付ける。通信部は,インターネットを含むネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する。
【0020】
システムサーバ100、医療診断サーバ110、金融機関120、130のサーバは,それぞれ以上の各構成を備えるが,機能的構成についてはそれぞれ後述する。各機能的構成は,CPU,ROM,RAM,画像処理部及びメモリの協働動作により機能的に実現される。これらの各部の機能は電子回路又はプログラムによって提供されるモジュール構成であり,プログラムについてはROMに格納され,CPUにより適宜読み出しながら各部と協働することで実行される。
【0021】
(本システムの機能的構成)
図2は、本実施形態の仮想通貨付与システムにかかる機能ブロック図を示す。本実施形態の仮想通貨付与システムは、主にシステムサーバ100によって実現される。システムサーバ100は制御部200を有する。制御部200は、本実施の形態にかかる健康診断に関する情報取得処理、仮想通貨付与のためのパラメータ算出処理の他、システムの起動および終了処理を含むシステムサーバ100の全体制御を実行する。
【0022】
(健康診断処理)
健康診断処理について、
図2及び
図3を参照して説明する。
図3は、基礎診断結果及び日常診断情報の取得の概要を示す。
【0023】
制御部200は、利用者10、20、30の健康状態を診断して基礎診断結果305を取得する基礎診断部210を備える。制御部200は、利用者10、20、30が装着又は携帯する健康診断端末300を介して、利用者10、20、30の日常的な健康に関して、診断項目320ごとの測定値を含む日常診断情報310を取得する定常診断部220を備える。健康診断端末300の一例として、携帯端末やタブレット、通信可能な各種医療機器が含まれる。
【0024】
まず利用者10は、病院内にて全体的な健康診断を行い、その結果として医療診断サーバ110は、基礎診断結果305及び日常診断情報310を取得する。基礎診断結果305は、病院にて健康診断して得られる診断結果全般である。日常診断情報310は、健康診断端末300によって取得可能な健康診断情報全般である。病院内で日常診断情報310を基礎診断結果305と共に取得しておいて、その上で健康診断端末300で取得更新してもよいし、病院内では基礎診断結果305のみの取得とし、日常診断情報310は取得しなくてもよい。
【0025】
利用者10は、病院を出た後、適宜必要な時期に健康診断端末300を介して日常診断情報310を入力する。入力した日常診断情報310はシステムサーバ100に送信され、システムサーバ100内の日常診断情報310を随時更新していく。システムサーバ100内で随時更新された日常診断情報310は、医療診断サーバ110に送られて、共に情報を更新していく。
【0026】
(基礎診断結果305と日常診断情報310)
基礎診断結果305と日常診断情報310は、それぞれ診断項目320ごとの測定値の組み合わせからなる。例えば、項目Aについて測定値xxx、項目Bについて測定値yyy、という測定値が、基礎診断結果305と日常診断情報310のそれぞれの診断項目ごとに含まれる。
【0027】
病院で行う健康診断により得られる基礎診断結果305及び日常診断情報310の診断項目320として、実年齢、性別、体格(ボディマス指数)、身長、体重、血圧、尿検査(尿蛋白)、血中脂質(HDLコレステロール、中性脂肪)、肝機能(GOT、γ−GTP)、血糖値(HbA1c)等の各診断項目320が挙げられる。この他、腹囲、視力、聴力、心電図検査、X線検査、心拍数、体脂肪率を測定してもよい。
【0028】
このうちの、日常診断情報310に該当する診断項目320としては、血圧、心拍数、体脂肪率、歩数、脈拍、睡眠時間等が考えられるが、機器の進化により、基礎診断結果305及び日常診断情報310の境界は常時変更しうる。例えば、携帯端末のカメラにより自らの画像を撮影することにより、過去の情報との比較により、身長、体重、腹囲を算出することも将来的にはあり得る。視力、聴力についても外部機器により測定して接続することにより、その外部機器から携帯端末に測定結果を取り込むことも考えられる。その他も、外部機器による測定及び携帯端末への取り込みや、又は携帯端末自身で測定することも将来的にはあり得るが、これらの現在携帯端末で取得可能な情報及び、将来的に取得されうる情報全般を、日常診断情報310の診断項目320として含む。
【0029】
日常診断情報310は、健康診断端末300により利用者の健康状態を直接診断して診断結果を取得することが望ましいが、簡易な健康診断を行い得る施設や、健康診断端末300に直接接続されない機器による健康診断を行い、その結果を日常診断情報310として利用者が直接入力するということも考えられる。利用者自ら入力ということで、診断項目320によっては不正入力の可能性は否定できないが、例えば血圧、尿検査(尿蛋白)、血中脂質(HDLコレステロール、中性脂肪)、肝機能(GOT、γ−GTP)、血糖値(HbA1c)等については、利用者にとってもなじみがなく、不正確な値を入力する動機は少ない。また、後述するエラー算出のロジックにより不正入力を防止することもできる。
【0030】
(健康診断後の処理)
制御部200はさらに、日常診断情報310について、複数の診断項目320のそれぞれを評価して評価結果を得る評価部230を備える。基礎診断結果305及び複数の診断項目320ごとの評価結果の組み合わせに基づいて、健康スコアを算出する算出部240を備える。
【0031】
システムサーバ100はさらに、健康スコアについて所定の変換レートで仮想通貨に換算し、利用者10、20、30に付与する付与部250と、外部の認証された医療診断サーバ110との間で通信を行う通信部260と、基礎診断結果305及び日常診断情報310に基づいて、健康診断レポートを作成するレポート作成部270をさらに備える。
【0032】
システムサーバ100と医療診断サーバ110との間では通信部260を介して通信が行われる。基礎診断部210は、医療診断サーバ110から送られてきた基礎診断結果305を、通信部260を介した通信により取得する。従って基礎診断部210は、システムサーバ100側にあっても医療診断サーバ110側にあってもよい。
【0033】
定常診断部220は、健康診断端末300を介して得られた日常診断情報310を、ネットワークを介して少なくとも1日に1回以上受信することで取得する。通信部260は、取得した日常診断情報310を医療診断サーバ110に転送し、医療診断サーバ110側でも情報を更新することにより、システムサーバ100と医療診断サーバ110で、基礎診断結果305と日常診断情報310を共有する。
【0034】
(エラー判定処理)
次に評価処理について説明する。評価部230は、取得した基礎診断結果305と日常診断情報310からエラー判定処理を実行する。取得した基礎診断結果305と日常診断情報310の診断項目320は多岐にわたっている一方で、相互に独立したデータもあれば、互いに相関しあうデータも存在する。例えば、身長が180cmで、体重が60kgで、BMIが30を超える場合は、そのデータの組み合わせは明らかに誤りがある。評価部230は、取得した基礎診断結果305と日常診断情報310に含まれる。
【0035】
評価部230は、取得した基礎診断結果305と日常診断情報310の各診断項目320のデータについて、エラー判定のロジックを適用して演算を行う。例えば複数の診断項目の測定値の組み合わせに対して、他の診断項目の許容値の範囲を対応付けたリストとして設定しておく。若しくは上記複数の診断項目の測定値を入力として、他の診断項目の許容値の範囲を出力とする計算式を設定する。
【0036】
エラー判定の演算結果は、各診断項目320について、不適正値、グレー値、適正値に分類する。許容値の範囲内にあれば適正値、許容値の境界付近の値をグレー値、境界付近を超えて許容値の範囲を超える場合には不適正値として出力する。グレー値は設けずに、許容値の範囲内を適正値、範囲外を不適正値と判定してもよい。
【0037】
例えば診断項目Aの値が170、診断項目Bの値が70の場合、診断項目Cの許容値の範囲を10から25とする。診断項目Cの値が10から25の範囲の場合は適正値、9以下または26以上の場合は不適正値とする。7−9及び26−28をグレー値とすることもできる。
【0038】
不適正値が1つでも含まれれば、その取得した日常診断情報310には不適正な値が含まれるので、利用者に対して通知する。もちろん単なる誤入力の場合もあるので、再度の入力を促して、次は正確なデータを取得する。一方で、誤入力でも不正でもないのにエラーの判定が出る場合もあるので、利用者による入力画面には、システムサーバ100側との連絡が可能なように構成しておく。
【0039】
所定回数以上の不正入力があった場合には、仮想通貨の発行を中止とするようにしてもよい。この場合、健康診断自体は継続実施してもよく、健康診断自体への参加を不許可としてもよい。ただし、中止処理とするよりは、抑制効果の高い警告を行うべきである。例えば評価部230により不適正値の取得が認められた場合には、医療診断サーバ110にその旨を通知し、病院関係者から直接利用者に対して注意を行わせてもよい。これにより、利用を継続させつつ、精度の高いデータの入力を確保することができる。
【0040】
評価部230は、過去のデータとの整合性の観点からエラー判定してもよい。例えば、評価部230は、少なくとも1つの診断項目320について、過去に取得した測定値の分布から基準値を求める。そして、求めた基準値に対する測定値のばらつきを、その少なくとも1つの診断項目320についての不正状況として表示することで、そのばらつき状況に基づいてエラー判定の評価をしてもよい。
【0041】
また健康年齢を異常値算出に用いることができる。健康年齢の算出は、統計データを分析することで計算ロジックを作成する。実際にかかった治療費と健康データを突き合わせ、線形、非線形の重回帰分析で求めることができる。推定された健康年齢と実年齢が1〜3標準偏差以上離れた場合を異常値として認定し、健康診断結果の提出を求める。
【0042】
(評価処理)
以上のように評価部230はエラー判定処理を行った上で、データチェックのロジックを走らせることにより、医療機関による評価処理用のデータを作成する。作成されたデータそのものから健康状態を評価するのは、医療機関関係者にとっても負担が大きいので、複数診断項目320の組み合わせから健康状態の試算処理を行い、試算による仮の健康状態のデータを、元となる各診断項目320のデータと組み合わせ評価処理用のデータを作成する。
【0043】
データチェックのロジックも、エラー判定のロジックと同様に、許容値の範囲により提示する。例えば複数の診断項目320の測定値の組み合わせに対して、他の診断項目320の許容値の範囲を対応付けたリストとして設定しておく。若しくは上記複数の診断項目の測定値を入力として、他の診断項目320の許容値の範囲を出力とする計算式を設定する。エラー判定の場合には、明らかにあり得ない測定値を除くために行っていたが、疑いが大きいものの、エラーであるとまでは言えない測定値という場合もある。このようなデータチェックのロジックについても複数の診断項目320の測定値の組み合わせにより作成する。また、エラー判定のロジックで用いたグレー値を、評価処理用のデータとして用いることもできる。
【0044】
作成した評価処理用のデータは、通信部260により、医療診断サーバ110に送信される。医療診断サーバ110を有する医療機関では、医療関係者が評価処理用のデータを参照して各診断項目320のデータを評価する。また医療機関では、生年月日、健康診断受診日、性別、BMI(または身長、体重)、最高血圧、最低血圧、中性脂肪、HDL、LDL、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、HbA1c(または空腹時血糖)、尿糖、尿蛋白の整合性をチェックする。特に、不整脈であるか否かをデータから判定する。
【0045】
評価した結果が適正であれば適正である旨の評価情報を、適正でないと判断された場合はその旨の評価情報を評価部230に送信する。評価処理用のデータが適正でない場合には、医療関係者自身が修正処理するようにしてもよい。修正処理後のデータは、評価情報に含めて評価部230に送信する。
【0046】
ここで評価部230は、医療診断サーバ110への送信に応答して送られてきた評価情報に基づいて、複数の診断項目320のそれぞれを評価する。評価部230での評価処理は、評価情報が適正である旨を示す場合にのみ進め、適正でない場合は、入力段階で不適正であったの場合と同様の処理を行う。
【0047】
(健康スコア算出)
図4は、健康スコアの算出処理の一例を示す。算出部240は、基礎診断結果305及び日常診断情報310の評価結果に基づいて、健康スコア400を算出する。例えば診断項目320毎に基準範囲を設けておいて、その基準範囲に含まれない場合は、その診断項目320については健康でなく、健康スコア400に加算しない(例えば項目A)。一方で、基準範囲に含まれる場合は、診断項目320毎にウェイト値を設けておき、ウェイト値をかけて健康スコア400に加算する。例えば、項目Bと項目Cは基準範囲内に含まれるので、項目Bについてはウェイトの1倍を加算し、項目Cについてはウェイトの6倍を加算する。このようにすべての診断項目320について、加算可能な値を加算していくことにより、健康スコア400を算出する方法が考えられる。
【0048】
一方で健康スコア400の例として、健康年齢が一例として挙げられる。健康年齢の算出は、統計データを分析することで計算ロジックを作成する。実際にかかった治療費と健康データを突き合わせ、線形、非線形の重回帰分析で求めることができる。例えば、基礎診断結果305及び日常診断情報310の測定値として生年月日、健康診断受診日、性別、BMI(または身長、体重)、最高血圧、最低血圧、中性脂肪、HDL、LDL、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、HbA1c(または空腹時血糖)、尿糖、尿蛋白を入力することにより、健康年齢を算出することができる。
【0049】
図5は、本実施形態においてネットワーク上で仮想通貨が付与される流れを示す。付与部250では健康スコアについて所定の変換レートで仮想通貨510に換算するので、システムサーバ100は、換算された仮想通貨510を利用者10、20、30に付与する。特に
図3の例では利用者10が健康診断しているので、利用者10に仮想通貨510の付与処理を行う。
【0050】
例えば利用者10の想定健康スコア400を40点と設定しておいて、実際に健康スコア400が70点だった場合、その差分の30点分を所定の変換レートで仮想通貨510に変換する。健康スコア400として健康年齢を用いた場合、例えば利用者10が実年齢40歳であったとしても、健康年齢は最大で55歳程度であることもありうる。そこで設定年齢を55歳としておいて、算出部240で算出された健康年齢が、実は45歳であった場合には、設定の55歳と実測定の45歳の差分に基づいて、所定の変換レートで仮想通貨510に変換する。
【0051】
一方で、得られた健康診断の結果は、他の金融機関でも必要とするので、契約している金融機関120及び金融機関130から所定の入金を受けることにより、健康診断レポート520を送付する。健康診断レポート520は、基礎診断結果305と日常診断情報310の各診断項目320のデータを列挙するとともに、各データの評価及び健康スコア400を含める。
【0052】
以上のように、病院で正確な基礎診断結果305を取得した上で、時系列な健康情報である日常診断情報310の取得に対して、仮想通貨510を還元するので、利用者10、20、30による本システムの利用及び健康維持に対するインセンティブを高めることができる。一方で、金融機関では正確な健康データを取得することができるので、正確なリスク管理が可能となる。
【0053】
金融機関側の負担についても、例えばあらかじめ健康年齢が高いなどの健康面での低めの設定により利用料金や保険料金を設定しておいて、その差分相当をシステムサーバ100の管理者に支払えばよい。利用者10、20、30からすれば、最初は金融コストを高めに支払っておいて、仮想通貨510によってキャッシュバックすればよいので、トータルとして負担にならない。
【0054】
一方で、診断結果をフィードバックすることで、利用者10、20、30がより健康に励むインセンティブとなるので、本システムにより利用者10、20、30がより健康になることが期待される。また継続的に健康診断を受けているというのと同じことであるので、自ら継続的に健康状態を把握することへの動機づけともなる。この際に、携帯端末からの情報だけでは日常的なデータは取得できるものの、信頼性としては十分ではなく、一方で病院での診断データは信頼はできるものの、日常的に常時取得できない。両者の組み合わせにより、正確な健康スコア400の算出が可能となる。
【0055】
従って、保険に対する支払いリスクや、金融面での貸し倒れリスクを減少させることが期待される。これらの組み合わせにより、健康データに関するより適切なデータを得ることができ、仮想通貨510への適切な変換に寄与することができる。仮想通貨510として利用者に還元することができるので、健康維持のインセンティブを高めることができる。利用者からすると加入して健康状態を送るだけで仮想通貨510が還元されるので、加入する負担は小さい。従って多くの加入者を確保することができ、仮想通貨の流通量を増すことができる。
【0056】
(運動情報との比較)
本システムでは健康情報を基に健康スコア400を算出しているが、運動情報も共に用いることは可能であるが、健康情報と運動情報は区別される。近年はスマートホンの加速度センサなどから利用者の運動状態を測定可能であるので、測定された運動情報を利用するという選択肢も方向として考えられる。しかしながら、同程度の運動でも、その運動量が適切かどうかは、利用者の状態により大きく異なる。場合によっては運動をすることが好ましくない状態の利用者もいる。運動状態では利用者の健康状態測定としては遠まわしであり、利用者の健康状態そのものを測定することが求められている。
【0057】
運動しているというのは、健康状態が正常なものがより健康になるための手段であり、そのこと自体はもちろん好ましいものであるが、例えば事業の継続に影響を与えるような健康状態というのは、どの程度健康を害しているかという、どちらかというとネガティブな情報である。どれだけ運動に励んでいるかというのは、金融関係者にとっては実のところそれほど重要な情報ではなく、どれだけ健康を害しているかが重要な情報となる。
【0058】
このようなネガティブな情報を自主的に提供するというのは通常は望まれないが、健康であることを示す情報を継続的に提供して還元を受けるということであれば、抵抗は少なくなると思われる。
【0059】
図6は、本実施形態の健康スコア算出処理のフローチャートである。まず利用者10は、病院にて健康診断をする。このとき入力された基礎診断の結果として、医療診断サーバ110は、基礎診断結果305を取得する(ステップS610)。
【0060】
続いて病院内又はシステムサーバ100にて、日常診断情報310を取得する(ステップS620)。日常診断情報310は、最初のループでは病院内で医療診断サーバ110により取得し、次回以降のループで、利用者10が装着又は携帯する健康診断端末300を介して取得する。次に、基礎診断結果305と日常診断情報310は、システムサーバ100に送られ、システムサーバ100にて取得される(ステップS630)。最初のループでは医療診断サーバ110から、次回以降は健康診断端末300から送られる。
【0061】
次に評価部230は、エラー判定処理を行う(ステップS640)。エラー判定処理は、送られてきた基礎診断結果305と日常診断情報310について、各診断項目320ごとに行う。そして、評価部230はデータチェックロジックを走らせ(ステップS650)、評価処理用のデータを作成し、通信部260を介して医療診断サーバ110に送信する(ステップS660)。これらの処理は健康診断を継続する限りステップS620に戻って継続され、継続しない場合は一連の処理を終了する。
【0062】
図7は、本実施形態の仮想通貨付与処理及びレポート作成処理のフローチャートである。医療診断サーバ110に送信された評価処理用のデータに基づいて、病院側で日常診断情報310についての評価情報を入力する(ステップS710)。そして評価情報をシステムサーバ100に送信し、システムサーバ100で評価情報を取得する(ステップS720)。
【0063】
算出部240では、評価された基礎診断結果305と日常診断情報310に基づいて健康スコア400を算出する(ステップS730)。そして、仮想通貨510に換算し(ステップS740)、付与部250にて仮想通貨510を利用者10に付与する。そして、健康レポートを作成し、利用者10及び該当する金融機関に送信し、一連の処理を終了する。
【0064】
以上,本発明について実施例を用いて説明したが,本発明の技術的範囲は上記実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施例に,多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが,特許請求の範囲の記載から明らかである。