特許第6828904号(P6828904)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6828904
(24)【登録日】2021年1月25日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】破砕機の破砕爪およびその強化方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 23/08 20060101AFI20210128BHJP
   B02C 1/02 20060101ALI20210128BHJP
   B02C 1/10 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   E04G23/08 D
   B02C1/02 A
   B02C1/10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-140165(P2018-140165)
(22)【出願日】2018年7月26日
(65)【公開番号】特開2020-16087(P2020-16087A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年7月12日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510186410
【氏名又は名称】油機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】清水 啓
(72)【発明者】
【氏名】後藤 誠司
【審査官】 兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−108670(JP,A)
【文献】 特開2006−007172(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0131454(US,A1)
【文献】 米国特許第4616417(US,A)
【文献】 国際公開第92/18708(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 23/08
B02C 1/02,1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のアーム部が支軸を中心に開閉して、前記アーム部の先端に設けられた爪部により被破砕物を挟み込み破砕する破砕機の破砕爪において、
前記アーム部には、前記爪部の爪先が前記支軸を中心に描く仮想円弧から外側にはみ出る前記アーム部の厚み面に、前記アーム部の外側辺から出っ張る摩耗材であり、複数の部材が所定間隔空けて配置された摩耗材であって、前記外側辺の最遠部が前記支軸を中心に描く仮想円弧に沿う方向に、前記最遠部を中心にして所定間隔空けて配置された摩耗材が設けられた破砕機の破砕爪。
【請求項2】
前記摩耗材は、前記支軸から最遠部の位置に設けられた請求項1記載の破砕機の破砕爪。
【請求項3】
前記摩耗材は、被破砕物に接触する第1部材と、前記第1部材より軟質であり、前記アーム部と溶接される第2部材とを備えた請求項1または2に記載の破砕機の破砕爪。
【請求項4】
前記第1部材は、高張力鋼より形成され、
前記第2部材は、一般構造用圧延鋼材により形成された請求項3記載の破砕機の破砕爪。
【請求項5】
前記摩耗材と前記アーム部との間に隙間が形成された請求項1から4のいずれかの項に記載の破砕機の破砕爪。
【請求項6】
一対のアーム部が支軸を中心に開閉して、前記アーム部の先端に設けられた爪部により被破砕物を挟み込み破砕する破砕機の破砕爪の強化方法において、
前記爪部の爪先が前記支軸を中心に描く仮想円弧から外側にはみ出る前記アーム部の厚み面に、前記アーム部の外側辺から出っ張る摩耗材であり、複数の部材が所定間隔空けて配置された摩耗材であって、前記外側辺の最遠部が前記支軸を中心に描く仮想円弧に沿う方向に、前記最遠部を中心にして所定間隔空けて配置された摩耗材を設ける破砕機の破砕爪の強化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対のアーム部が支軸を中心に開閉して、アーム部の先端に設けられた爪部により被破砕物を挟み込み破砕する破砕機の破砕爪およびその強化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物やその基礎部分などの構造物を撤去するときには、重機のアーム先端に破砕爪が設けられた破砕機によって、構造物などの被破砕物を破砕して撤去される。
破砕機の破砕爪は、一対のアーム部が支軸を中心に開閉して、アーム部に設けられた爪部により被破砕物を挟み込み破砕する。
しかし、破砕を続けると破砕機は被破砕物との擦れから爪部が摩耗する。そのため、爪部の耐摩耗性や強度を高めた従来の破砕機が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の破砕機の爪は、爪本体の表面の穴の各々に高硬度スタッドを嵌合して溶接することで、破砕作業時に、爪本体の表面から僅かに突出した高硬度スタッドの先端で破砕対象物を受け、破砕対象物が直接爪本体に接触するのを防止して爪全体の実質的な耐磨耗性や強度を向上させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−248101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の破砕機の爪では、高硬度スタッドが爪本体に点在した状態で設けられているため、高硬度スタッドが被破砕物を形成するコンクリートを破砕するが、爪自体もコンクリートと接触するものと思われる。
爪部が摩耗すれば、爪部は消耗部材であるため、爪部をアーム部から切り離し交換すればよい。しかし、支軸によって開閉するアーム部が摩耗すると、特許文献1の図面(図6参照)からも判るように、油圧シリンダに連結されたアーム部を簡単に交換することは容易ではない。また、摩耗部分を補修するにしても、摩耗したアーム部に肉盛溶接するなどしなければならず、手間が掛かる。
【0006】
爪部は、被破砕物に直接的に接触するため、作業者は最も摩耗する部分として認識しており注視するものであるが、アーム部は気が付かないうちに摩耗して細り、亀裂が入ると、折損して爪部ごと脱落するおそれがある。
【0007】
そこで本発明は、爪部を支持するアーム部の強化を図ることができると共に、メンテナンスのタイミングを図ることができることにより、アーム部の摩耗を予防することができる破砕機の破砕爪およびその強化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一対のアーム部が支軸を中心に開閉して、前記アーム部の先端に設けられた爪部により被破砕物を挟み込み破砕する破砕機の破砕爪において、前記アーム部には、前記爪部の爪先が前記支軸を中心に描く仮想円弧から外側にはみ出る前記アーム部の厚み面に、摩耗材が設けられたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、一対のアーム部が支軸を中心に開閉して、前記アーム部の先端に設けられた爪部により被破砕物を挟み込み破砕する破砕機の破砕爪の強化方法において、前記爪部の爪先が前記支軸を中心に描く仮想円弧から外側にはみ出る前記アーム部の厚み面に、摩耗材を設けることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、アーム部が支軸を中心に開閉して爪部の爪先を被破砕物に減り込ませると、爪部の爪先が支軸を中心に描く仮想円弧から外側にはみ出るアーム部の厚み面が被破砕物に擦れながら進行する。摩耗材が、この仮想円弧からはみ出るアーム部の厚み面に設けられていることで、爪部を被破砕物へ減り込ませても、摩耗材がアーム部の代わりに被破砕物に接触して被破砕物を破砕し、摩耗するため、アーム部は保護される。従って、破砕機は、爪部を支持するアーム部の摩耗を抑止することで、アーム部自体の補修を回避できる。
【0011】
前記摩耗材は、前記支軸から最遠部の位置に設けられることができる。摩耗材が、アーム部の最遠部に設けられていることで、アーム部が開閉するときに被破砕物を強く抉るように移動するアーム部の最遠部を保護することができる。
【0012】
前記摩耗材を、前記アーム部の厚み方向に沿って溶接された複数の部材により形成することができる。アーム部の最遠部が円弧状の厚み面により形成されていても、厚み面の湾曲形状に合わせて、摩耗材を形状変形することなく、厚み面に取り付けることができる。また、複数の部材が溶接により固定されていることで簡単に複数の部材を取り付けることができる。
【0013】
前記摩耗材を、被破砕物に接触する第1部材と、前記第1部材より軟質であり、前記アーム部と溶接される第2部材とを備えたものとすることができる。アーム部と溶接される第2部材が、第1部材より軟質であるため、第1部材より第2部材の方が溶融しやすく、アーム部と一体化しやすい。そのため、第2部材を強固にアーム部に固着させることができ、第2部材より硬質な第1部材を外側に向けて摩耗材を配置することができるので、第1部材を被破砕物に接触させ、破砕することができる。
【0014】
前記第1部材を、高張力鋼より形成され、前記第2部材は、一般構造用圧延鋼材により形成することができる。第2部材が一般構造用圧延鋼材により形成されているため、十分な強度で摩耗材をアーム部に固着させることができる。また、摩耗材の摺動側が高張力鋼より形成されているため、アーム部から出っ張る摩耗材が被破砕物と接触して破砕するので、爪部が破砕する被破砕物の周辺も一緒に、効果的に破砕することができる。
【0015】
前記摩耗材と前記アーム部との間に隙間が形成されていると、摩耗材にクラックが入ってもアーム部に伝搬してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、摩耗材がアーム部の代わりに被破砕物に接触して被破砕物を破砕し、摩耗するため、アーム部は保護されるので、爪部を支持するアーム部の摩耗を抑止することで、アーム部自体の補修を回避できる。よって、本発明は、爪部を支持するアーム部の強化を図ることができると共に、メンテナンスのタイミングを図ることができることにより、アーム部の摩耗を予防することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る破砕機を示す図あり、破砕爪のアーム部が開いた状態を示す図である。
図2図1に示す破砕爪のアーム部が閉じた状態を示す図である。
図3図1に示す破砕爪の側面図である。
図4図1に示す破砕爪の摩耗材をアーム部に取り付けた状態を説明するための図であり、(A)は摩耗材とアーム部を隙間なく取り付けた状態の図、(B)は摩耗材とアーム部との間に隙間が形成された状態の図、(C)は摩耗材が摩耗した状態の図である。
図5図1および図2に示す破砕機を重ねた状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る破砕機の破砕爪を図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、破砕機10は、図示しない重機(ベースマシン)のアーム先端に設けられ、建物やその基礎部分などの構造物を挟み込み、破砕したり、掴んで引き剥がしたりするものである。
【0019】
破砕機10は、破砕爪20と、油圧シリンダ30と、連結部40とを備えている。
破砕爪20は、一対のアーム部21と、一対のアーム部21を支軸22により連結する本体部23と、アーム部21の先端に設けられた爪部24と、アーム部21に設けられた摩耗材25とを備えている。
【0020】
アーム部21は、平面視して三角形状に形成されている。爪部24が設けられた側とは反対の内側の角部21mは、支軸22を介して本体部23と連結されている。また、支軸22が設けられた側とは反対の外側の角部21nは、油圧シリンダ30が連結されている。
【0021】
アーム部21の内側辺21pの先端部は、アーム部21が閉じた状態(図2参照)で爪部24,24の爪先24a同士が突き合わせるように、爪部24の先端を中心に向かわせる仮想取付面21vが形成されている。
アーム部21の内側辺21pには、凹部21aと、厚みを徐々に薄くした刃状の凸部21bとが形成されている。
アーム部21の外側辺21qは、アーム部21が支軸22を中心に回転したときに、最遠部P1が描く仮想円弧R1(図5参照)からはみ出さないように形成された外側に向かって膨らむ円弧部21cと、円弧部21cから角部21nに向かって内側に緩やかに凹む円弧部21dとが形成されている。
爪部24は、四角錐状に形成され、アーム部21により支持されている。
【0022】
図3に示すように、摩耗材25は、アーム部21の側面である厚み面21sであり、図1に示す爪部24の爪先24aが支軸22を中心に描く仮想円弧R2(図5参照)から外側にはみ出るアーム部21の厚み面21sに、摩耗材25が設けられている。
本実施の形態では、支軸22を中心にアーム部21を開閉したときの最遠部P1の厚み面21sに、溶接により固着されている。
【0023】
更に、本実施の形態では、複数の部材から成る摩耗材25として、3枚の帯状の板材を、アーム部21の厚み方向F1に沿って、最遠部P1を中心に所定間隔空けて配置している。
摩耗材25は、図4(A)に示すように、被破砕物に接触する高張力鋼より形成された第1部材25aと、第1部材25aより軟質な一般構造用圧延鋼材(SS材)により形成され、アーム部21と溶接される第2部材25bとを備えている。
【0024】
本実施の形態では、摩耗材25の側面に溶接金属を盛る隅肉溶接によりアーム部21に固着している。このとき、摩耗材25の底面とアーム部21の厚み面21sとの間を隙間なく溶接してもよいし、図4(B)に示すように、摩耗材25とアーム部21との間に隙間Sが形成されていてもよい。
【0025】
油圧シリンダ30は、シリンダ31から伸びるピストンロッド32の先端部が本体部23に連結すると共に、シリンダ31の基端部がアーム部21に連結されている。
連結部40は、重機から延びるアーム先端に連結される。
【0026】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る破砕機10の破砕爪20の使用状態および強化方法について、図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すように、破砕機10は、油圧シリンダ30の伸張および縮小により、破砕爪20のアーム部21を開閉して、爪部24により被破砕物を挟み込んだり、掴み引き剥がしたりして、被破砕物を破砕する。
破砕を繰り返すことで爪部24が摩耗すると、作業者は、最初はアーム部21から連続して形成された爪部24を、仮想取付面21vの位置で切断して、代わりの爪部24を溶接により一体的に取り付ける交換作業を行う。
【0027】
図5に示すように、アーム部21の先端(爪部24の爪先24a)が支軸22を中心に円弧を描くように移動するため、アーム部21を閉じると爪部24が被破砕物に接触するだけでなく、爪部24を被破砕物へ減り込ませるときに、摩耗材25が無い場合では、爪部24の爪先24aが支軸22を中心に描く仮想円弧R2から外側にはみ出るアーム部21の厚み面21sが被破砕物に擦れながら進行する。特に、アーム部21の最遠部P1が被破砕物を抉るように移動するため強く擦れる。そうなると、アーム部21の最遠部P1が摩耗し、アーム部21の先端部が細くなる。
【0028】
爪部24は先端部が丸く摩耗すると、作業者は爪部24の寿命に気が付き、交換しようとする。しかし、アーム部21の最遠部P1付近は、摩耗しても気が付き難く、そのまま使用を継続すると、アーム部21の先端部分に亀裂が入り、折損して爪部24ごと脱落するおそれがある。
【0029】
そこで、アーム部21の最遠部P1に3枚の摩耗材25を溶接して取り付け、アーム部21の強化を図る。
図3および図4(A)に示すように、摩耗材25の取り付け方は、まず、SS材(第2部材25b)をアーム部21の側面である厚み面21sに向けると共に、摩耗材25の長さ方向F2をアーム部21の厚み方向F1に合わせて配置する。そして、摩耗材25の側面とアーム部21の厚み面21sとによってできた隅部について、厚み方向F1に沿って隅肉溶接して、摩耗材25をアーム部21に固着する。このとき、隅肉溶接の厚みは、少なくとも第2部材25b(SS材)以上の厚みとする。
【0030】
隅肉溶接は、第2部材25bとアーム部21とを溶接している。第2部材25bは、高張力鋼(第1部材25a)より軟質なSS材により形成されているため、第1部材25aより第2部材25bの方が溶融しやすく、アーム部21と一体化しやすい。そのため、高張力鋼より形成された第1部材25aよりSS材により形成された第2部材25bの方が強固にアーム部21に固着させることができる。
【0031】
従って、十分な強度で摩耗材25をアーム部21に固着させることができる。また、耐摩耗性の高い第1部材25aを外側に向けて摩耗材25を配置することができるので、高張力鋼を被破砕物に接触させ、破砕させることができる。
【0032】
特に、摩耗材25の摺動側が高張力鋼より形成されているため、アーム部21から出っ張る摩耗材25が被破砕物と接触して破砕するので、爪部24が破砕する周辺も一緒に、効果的に破砕することができる。
【0033】
アーム部21を開閉させながら被破砕物の破砕を繰り返すと、アーム部21の最遠部P1に配置された摩耗材25が開閉時に円弧を描きながら移動する際にアーム部21の代わりに擦れることで、図4(B)に示すように摩耗材25が摩耗する。
アーム部21から出っ張る摩耗材25が摩耗することで、作業者は摩耗材25の摩耗度合いをひと目で確認することができるため、摩耗材25の交換時期を容易に認識することができる。また、摩耗材25が摩耗していることを発見することで、爪部24の摩耗をチェックする契機とすることができる。
【0034】
更に、爪部24の摩耗に問題なければ、摩耗材25を取り替えるだけで、また破砕爪20を使用することができる。
【0035】
このようにして、摩耗材25がアーム部21の最遠部P1に設けられていることで、爪部24を被破砕物へ減り込ませても、摩耗材25がアーム部21の代わりに被破砕物に接触して被破砕物を破砕し、摩耗するため、アーム部21の最遠部P1は保護される。従って、破砕機10は、爪部24を支持するアーム部21の摩耗を抑止することで、アーム部21自体の補修を回避できる。
よって、破砕爪20は、爪部24を支持するアーム部21の強化を図ることができると共に、メンテナンスのタイミングを図ることができることにより、アーム部の摩耗を予防することができる。
【0036】
また、摩耗材25がアーム部21の厚み方向F1に沿って固定された複数の板材により形成されているため、最遠部P1が円弧状の厚み面21sにより形成されていても、厚み面21sの湾曲形状に合わせて、摩耗材25を形状変形することなく、厚み面21sに取り付けることができる。
【0037】
更に、特許文献1に記載の破砕機の爪では、爪本体の表面の穴に高硬度スタッドを嵌合して溶接しているため、予め爪部に穴を開けておかなければならいない。しかし、図1に示す破砕爪20では、アーム部21に、複数の板材により形成された摩耗材25が溶接されているため、爪部24に穴を設ける必要がなく、摩耗材25を簡単にアーム部21に取り付けることができる。
【0038】
摩耗材25の底面とアーム部21の厚み面21sとの間を溶接等により固着させると、摩耗材25とアーム部21とが溶融して隙間なく一体化させることができる。摩耗材25とアーム部21とを隙間なく一体化させると、摩耗材25にクラックが入ったときに、クラックが摩耗材25からアーム部21に延びてしまい、やがてアーム部21に大きな亀裂となることがある。
しかし、本実施の形態では、図4(B)に示すように、摩耗材25の底面とアーム部21の厚み面21sとの間に隙間Sを形成すれば、摩耗材25にクラックが入ったとしても、アーム部21に伝搬しないため、亀裂が徐々に大きくなってしまうことを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、建物やその基礎部分などの構造物を撤去する際に使用される破砕機に好適であり、特に、コンクリート構造物の撤去に最適である。
【符号の説明】
【0040】
10 破砕機
20 破砕爪
21 アーム部
21a 凹部
21b 凸部
21c 円弧部
21d 円弧部
21m,21n 角部
21p 内側辺
21q 外側辺
21s 厚み面
21v 仮想取付面
P1 最遠部
22 支軸
23 本体部
24 爪部
24a 爪先
25 摩耗材
25a 第1部材
25b 第2部材
30 油圧シリンダ
31 シリンダ
32 ピストンロッド
40 連結部
F1 厚み方向
F2 長さ方向
P1 最遠部
R1,R2 仮想円弧
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5