(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自給式呼吸器(self−contained breathing apparatus)(SCBA)などの送気マスク(supplied−air respirator)によれば、機械的補助がなければ呼吸が困難又は不可能な火災や限られた空間などの危険な環境においても、呼吸することが可能になる。送気マスクは、例えば、全面形面体(full facepiece)、ハーネス及びキャリヤアセンブリ、呼吸用の高圧圧縮空気(又は他の酸素含有ガス)を収容するガスシリンダ、及び少なくとも1つ、より典型的には2つの圧力調節器を備えることができる。第1の又は第1段の調節器は、通常、エアシリンダの近くに取り付けられ、エアシリンダからの圧縮空気の比較的高い圧力を大気圧強まで低減するように機能する。
【0003】
濾過式呼吸用保護具(air purifying respirator)(APR)をヘルメット又は防護服に取り付けて、呼吸用マスク及び換気用防護服に濾過された空気を供給することができる。これらのデバイスは、フィルタによって生じる吸気抵抗を低減し、面体(facepiece)に陽圧を生成することによって、保護レベルを増加させるものである。
【0004】
動力付き濾過式呼吸用保護具(powered air purifying respirator)(PAPR)は、継続的に呼吸用保護具に陽圧の空気を供給して、呼吸用保護具において陽圧を保持する。PAPRは、周囲の空気がユーザのマスク、ヘルメット又はフードに入ることを防止することによって個人的な呼吸保護を提供するために、軍事、工業及び/又は危険な環境で一般的に使用される。呼吸の危険要因としては、粒子状物質、有害なガス、又は蒸気を挙げることができるが、これらは、周囲の空気をフィルタに通すことによって除去される。一般的には、動力付き濾過式呼吸用保護具は、周囲空気に1つ以上のフィルタを通過させて呼吸用保護具の入口開口部に供給するための動力付きファンを備えている。ファン及びフィルタは、面体上に取り付けてもよく、場合によっては、ベルト又はバックパックに取り付けて、ホース及びファンを介して面体に接続してもよい。ファンの電源は、通常、面体から離して取り付けられるが、マスク自体に取り付けることもできる。
【0005】
フェースマスク又は面体は、一般的にはユーザの顔面に密閉されていて、ユーザが周囲の環境を見ることができるレンズを備えてもよい。面体はまた、吸入された空気がフェースマスク内に入るまでに通る第2段の調節器と流体連通するためのインターフェース又はマウントと、排出された空気がマスクから出ていく排気ポートとを備えている。面体の中には、吸入空気と排出空気の双方に単一のポートが使用されるものがある。他の面体では、別々のポートが使用される。ユーザの呼吸によって、第2段の調節器により加圧空気の供給を制御するためのバルブシステムが制御されるが、このバルブシステムには吸気弁及び排気弁が含まれる。面体内に周囲圧力に対して僅かな陽圧を保持することが望ましい場合が多い。面体内で陽圧が保持される送気マスクの面体は、プレッシャデマンド形面体と呼ばれることが多く、他の送気マスクの面体は、デマンド形面体と呼ばれることが多い。
【0006】
面体(ヘッドトップとも呼ばれる)は、一般的にユーザの顔面又は首に密封されていて、ユーザが周囲環境を見ることができるレンズを含み得る。面体又はヘッドトップはまた、吸入された空気が面体又はヘッドトップ内に入るまでに通過するフィルタ又はホースが流体連通するためのインターフェース又はマウントと、排出された空気がマスクから出ていく排気ポートとを備えている。面体の中には、吸入空気と排出空気の双方に単一のポートが使用されるものがある。他の面体又はヘッドトップでは、別々のポートが使用されるものがある。ユーザの呼吸によって、加圧空気又は陰圧空気の供給を制御するための(例えば、吸入弁及び吐出弁が含まれる)バルブシステムが制御される。
【0007】
例えば、呼吸装置の空気供給源、電源及び/又は他のシステム、の状態に関するデータ、ユーザの近傍の他のユーザに関する情報、避難警報及び/又は他の情報、を含む情報を呼吸装置のユーザに提供することが望ましい場合がしばしばある。情報ディスプレイが、多くの方法で呼吸装置のユーザに提供されている。一例では、ディスプレイを第2段の調節器の近傍に設けることができる。別の例では、代わりに、レンズの外側部分にディスプレイを設けてもよい。呼吸装置の面体の外側にあるディスプレイの場合、面体のレンズの非常に近くに配置しない限り、煙又は他の環境条件により、ディスプレイのユーザの視界が不明瞭になる恐れがある。更に、過酷な環境条件は、ディスプレイの動作に悪影響を及ぼし得るものである。また、ディスプレイを面体の近傍に配置する場合には、ユーザの視界を過度に妨げないような注意が必要である。
【0008】
面体の内部にディスプレイを設ければ、ディスプレイに及ぼす周囲環境の1つ以上の悪影響を排除することができるが、例えば、面体の重量、面体の重心、ユーザの視界、面体のコスト及び/又は面体の他の側面に関連する、他の問題を呈する恐れがある。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は単なる表現であり、本開示の特定のパラメータを描写することを意図したものではない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すことを意図しており、そのため、範囲を限定するものとみなされるものではない。図面において、同様の番号は同様の要素を表す。
【0014】
本開示に係る改良されたマスクについて、システム及び方法の実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下により詳細に説明する。このシステムは、多くの異なる形態で具体化してもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈してはならない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分かつ完全となるように提供され、本システムと方法の範囲を当業者に十分に伝える。
【0015】
便宜上及び明瞭化のために、「頂部」、「底部」、「上方の」、「下方の」、「垂直の」、「水平の」、「横の」及び「縦の」などの用語は、図面に現れる半導体製造装置の構成要素の幾何学的形状及び向きに関する、これらの構成要素及びそれらの構成部分の相対的な配置及び向きを説明するために、使用するものである。これらの用語は、具体的に上述した語、それらの派生語、及び類似の意味の語を含んでいる。
【0016】
本明細書で使用する場合、単数で列挙されて、単語「a」又は「an」で始まる要素又は動作は、複数の要素又は動作も同様に潜在的に含むものと理解される。更に、本開示の「一実施形態」への言及は、列挙された特徴を組み込む追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈することを意図するものではない。
【0017】
ここで
図1A及び
図1Bを参照して、面体(あるいは、フェースマスク又はヘッドトップとも呼ばれる)を搭載したフィードバック及び呼吸システムを含む例示的なマスクをより詳細に説明する。本明細書で使用される場合、「前方の」、「前方に」、「後方の」、「後方に」、「上に」、「下に」などの用語は、
図1A及び
図1Bに示すマスク10を着用して略直立した人に関連付けられた基準方向を指す。
【0018】
図示のように、マスク10は、例えばシリコンゴムから製造し得る接顔体12を備え、ユーザの顔面の周りを密封する後部開口部14を備える。一般に、接顔体12は、ユーザの顎領域の周りを密封する顎部分16と、ユーザの顔面の各側面の周りを密封する側面部分18、20と、顎部分16の反対側にあってユーザの額部の周りを密封する額部分22とを含む。接顔体12は、接顔体12の周辺リム又は縁部に沿って延びる密封部材28によってレンズ24に取り付けられる。接顔体12は、接顔体をユーザが着用するヘッドネット(図示せず)に取り付けるための複数の締結具30A〜30E(例えば、留め金又はバックル)を含んでいる。マスク10は、接顔体12のいずれかの側面部分18又は20に連結されたA/Vカメラ48などの記録又はフィードバックデバイスを更に備えることができ、その構造及び動作について、後でより詳細に説明する。
【0019】
マスク10は、レンズ24の下側部分に対応する1組の開口部を通って形成された第1及び第2の呼吸及び/又はフィルタリング構成要素32、34を更に備えることができる。一実施形態では、第1及び第2の呼吸及び/又はフィルタリング構成要素32、34は、第1及び第2の接続部36、38で密封部材28に連結される。図示のように、第1及び第2の接続部36、38は各々密封リング40を含むが、この密封リング40は、第1及び第2の接続部36、38の周囲に延びて、レンズ24の両側に配置されることにより、レンズ24との密閉係合、嵌合又は接続を形成することができる。
【0020】
図示のように、レンズ24は、その下側部分を貫通して配置された略中央の開口部42を備える。中央開口部42は、レンズ24の前端壁44に形成されるが、この前端壁44は、顎部分16から離れるように延びる。例示的な実施形態では、レンズ24は、例えば、透明なポリカーボネートなどのポリマー材料から射出成形することができる。
【0021】
ここで、
図1A〜
図2Bを参照して、面体をより詳細に説明する。図示のように、マスク10は、レンズ24と接顔体12との間に配置された面体50を更に備えるが、面体50は、通常、着用者の口と鼻を覆うように構成される。面体50は、本体52と、本体52からレンズ24の中央開口部42に向かって延びる前側部分56とを含む。面体50の本体52は、その中に形成された複数の開口部58A〜58D及び61を有するが、これら開口部58−A、58−D及び61は、各々第1及び第2の呼吸及び/又はフィルタリング構成要素32、34を受け入れ、かつ/又はユーザからの音声を発する、ように構成されている。
【0022】
図示のように、面体50の前側部分56は、その遠位端に配置された保持フランジ60を含む。保持フランジ60は、その中に形成された開口部61を有し、これはレンズ24の中央開口部42と略位置合わせされている。保持フランジ60は、開口部61を取り囲んで前側部分56から略垂直に延びる内部棚62を更に備えている。リム64は、内部棚62から延びる。
【0023】
例示的な実施形態では、面体50は、圧力調節器(図示せず)、又は陰圧の空気及び陽圧の空気を含む濾過空気、に連結され、これによって、前側部分56の開口部61を通して、要求に応じて、呼吸ガスがユーザに供給される。圧力調節器は、内部にダイヤフラムが配置されたハウジングを含むことができるが、このダイヤフラムは、調節器を、面体50の内部と流体連通する内側チャンバと、周囲環境(通常は周囲圧力である)と流体連通する外側チャンバとに分割する。ダイヤフラムは、入口弁を開閉する作動機構に連結されている。ユーザの呼吸によって、内側チャンバと外側チャンバとの間に圧力差が生じ、これがダイヤフラムの変位を引き起こし、それによって、入口弁を制御する(例えば、開閉する)。その結果、調節器は、プレッシャデマンド形調節器、又は陽圧若しくは陰圧のバルブシステムとすることができる。
【0024】
1つの非限定的な実施形態では、保持フランジ60はリマソン形状を有する。したがって、圧力調節器及び/又は呼吸源及びそれに関連するインターフェースは、内部棚62と、保持フランジ60のリム64との不規則な形状によって「鍵付け」することができる。図示のように、リマソン形状及びリム64の点68の存在により、保持フランジ60に非対称性がもたらされ、これによって、面体50の前側部分56のインターフェースポートに、圧力調節器を1つの方向にのみ取り付けできることを確実にする。
【0025】
ここで
図2〜
図4を参照して、マスク10のフィードバックシステムをより詳細に説明する。図示のように、フィードバックシステム65は、面体50の前側部分56に連結されたディスプレイ装置70を備え、このディスプレイ装置70は、以下に更に詳細に説明するように、例えば有線又は無線接続を介してカメラ48(
図1)と通信する。ディスプレイ装置70は、シャーシ71及びシャーシカバー72を備えることができ、この中に形成された各開口を通して前側部分56を受け入れるように構成されている。一実施形態では、シャーシ71は、1組のネジによってシャーシカバー72に連結してもよい。図示のように、シャーシ71は、前面74及び上面75を有する円弧状のフランジ73を含み、前面74はレンズ24に略隣接して配置される(
図1及び
図2)。シャーシ71は、シャーシをアイピース77に回転可能に連結するために、円弧状フランジ73に連結されたヒンジ76を更に備える。
【0026】
図3Aに最もよく示されているように、シャーシ71は、前側部分56のフランジ60を受け入れる大きさの凹部78を備えることができる。具体的には、保持フランジ60の内部棚62は、凹部78内に設置されているが、フランジ60のリム64は、図示のようにシャーシ71の開口部から突出してもよい。シャーシ71は、ディスプレイ装置70をレンズ24に取り外し可能に固定するための1組の締結具(例えば、留め金)67、69を更に含んでいる。
【0027】
シャーシ71は、それを貫通して形成された調節用開口80を更に含む。調節用開口80は、シャーシ71を貫通して延び、シャーシカバー72のブラケット82を貫通する対応する開口部81と略位置合わせされている。調節用開口80及び開口部81は、その中に挿入されてアイピース77の位置を調節するツール(図示せず)の入口を提供するものである。例えば、ツール(例えば、ピン又はロッド)は、アイピース77と係合して、アイピース77を、ヒンジ76のピンによって形成される軸を中心に回転させることができる。これによって、ユーザは、マスク10を取り外す必要なく、アイピース77の位置を手動で外から調節することができる。
【0028】
更に示すように、アイピース77は、電子回路のカバー84から延びるシリンダ又はチャンバ83と、プリント回路基板(PCB)86を内部に収容するように構成された取り外し可能な蓋85とを含む。PCB86は、視覚的なイメージ及びフィードバックをユーザに提供するためにシリンダ83内に配置された、光学系87及びディスプレイ88(例えば、マイクロディスプレイ)と共に動作する。本明細書で使用するディスプレイ88としては、1つ以上の発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、白熱ランプ、及び/又は他の種類の視覚インジケータが、個別に又は任意の組み合わせで挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
一実施形態では、PCB86には、以下により詳細に説明するように、第1のデータ通信システム97が含まれる。アイピース77には、電池チャンバ92内に配置された電池コンテナ91により保持される1つ以上の電池などの電源90によって、電力を供給してもよい。電池チャンバ92には、その一端にヒンジ94によって回動可能に固定された電池ハッチ93を含むことができる。図示のように、電源90は、複数のタブ96A〜96Cによって電池チャンバ92とスナップ嵌め係合が得られるように構成された電池ホルダ95内に固定されている。電源90は、シャーシカバー72内に延びる絶縁配線66を介して、ディスプレイ装置70に電力を供給することができる。例示的な実施形態では、電源90は、顎部分16(
図1A及び
図1B)に近接する領域において、マスク10の内部、即ち面体50とレンズ24との間に配置される。
【0030】
ここで
図1A及び
図1B、
図5A及び
図5B、並びに
図6を参照して、フィードバックシステムのカメラ48について、より詳細に説明する。例示的な実施形態では、カメラ48は、取付ブラケット98の有無にかかわらず、接顔体12及びレンズ24の外部に連結された赤外線画像カメラである。他の実施形態では、カメラ48は、接顔体12及び/又はレンズ24に直接連結されなくてもよいことが理解されよう。その代わりに、カメラ48は、レンズ24及び面体50の外部、例えば、ヘルメットの上に配置することができ、あるいは、ユーザが着用する胸部ハーネス又はベルトに取り付けてもよい。本明細書の実施形態は、1つの特定のカメラ位置又はカメラタイプに限定されない。
【0031】
カメラ48は、ジンバル構造で電子制御装置によってズーム可能であり、ズーム可能なカメラ並びに魚眼レンズカメラの組み合わせを含むことができ、あるいは反射屈折ミラーカメラ、又は、赤外線若しくは紫外線若しくは任意の組み合わせなどの他の好適なカメラシステムとしてもよい。ヘッドアップディスプレイ(HUD)又はマスク内ディスプレイ(IMD)の一部として、複数のカメラ及び/又はマイクロホンを使用することができることは理解されよう。更に、他のカメラタイプを使用することができ、本開示は幾何学的形状又はカメラタイプに限定されない。例えば、複数のカメラの代わりに単一の全方位ミラーレンズカメラを使用することができる。カメラは、可視カメラに限定されず、赤外線、紫外線、又はその他、又は任意の組み合わせであってもよい。更に、複数のカメラ及びカメラタイプからのデータは、データの理解及び有用性を高めるために、連結及び/又は整列及び/又は重ね合わせてもよい。
【0032】
図6に最もよく示されているように、カメラ48には、1組の締結要素104(例えば、ねじ)によって主ハウジング100に固定された蓋102が更に含まれる。一実施形態では、蓋102には、電源ボタン108を受け入れるためにそこに形成された開口部106が含まれる。主ハウジング100内に配置されたPCBスタック110のスイッチ又は接点を作動させるために、電源ボタン108をユーザが押下することができる。カメラ48は、レンズ114、レンズガスケット116、レンズ保持器118、光源120(例えばライトパイプ)、及び光源Oリング122、を含み得るレンズアセンブリ112を更に備えている。
【0033】
例示的な実施形態では、カメラ48は、PCBスタック110及びレンズアセンブリ112に電力を供給するために、電池キャリア130内に収容された1つ以上の電池(図示せず)などの内部電源128を含んでいる。電池キャリア130は、電池ハッチのOリング132、134と、その底端部に配置された電池ハッチ136とを備える。カメラ48は、電池とPCBスタック110/レンズアセンブリ112とを電気的に接続するための電源ケーブル140及び電圧ブリッジ142を更に備える。カメラ48はまた、例えば、
図7A及び
図7Bの異なるカメラ角度によって示されるように、マスク10の略水平な視野面に対して調節可能であってもよい。
【0034】
例示的な実施形態では、カメラ48は、ディスプレイ88(
図4)と無線(WiFi、Bluetooth、赤外線(IR)、又は他の好適な無線技術)で通信するように構成される。例えば、PCBスタック110は、アイピース77のPCB86に関する第1のデータ通信システム97と動作可能な第2のデータ通信システム113を含むことができる。一実施形態では、第1のデータ通信システム97は、限定はしないが、呼吸ガスタンク(図示せず)と流体連通する圧力変換器と、PASSデバイスと、電源90と、通信技術において既知の有線又は無線の方法でユーザ及び/又は任意の通信システムと通信可能に接続された遠隔測定システムと、を含むさまざまな構成要素からのデータ、あるいは固定式又は可搬式のガス検出デバイスからの情報、を受信することができる。第1のデータ通信システム97は、構成要素から受信したデータを伝達して、ディスプレイ88によりユーザに表示される映像出力を生成するが、その非限定的な例を、
図8の例示的なディスプレイ出力120A〜120Iによって示す。1つの非限定的な実施形態では、ディスプレイ出力120B〜120Dによって示されるように、カメラ48からキャプチャされた画像に、マスク10に連結された酸素源に残っている酸素の量などの情報を重ね合わせることができる。他の実施形態では、係る情報には、1)電池の電力レベル、2)マスクのユーザによる使用時間、3)現在の位置情報、4)特定のエリアの他の人々に関する情報、5)地図情報、6)温度情報、及び/又はその他、が含まれ得る。
【0035】
例示的な実施形態では、カメラ48によって受信された赤外線画像データは、第2のデータ通信システム113によって処理され、第1のデータ通信システム97に無線送信される。カメラ48は、第1のデータ通信システム97に送信されて超音波画像として表示され得る追加のコンピュータ生成画像を提供するために、超音波送受信機を含むか又は組み込んでもよい。カメラ48は、ユーザが遭遇した環境のIR、可視光画像又は低光画像、超音波画像などの環境情報をキャプチャし、第1のデータ通信システム97に圧縮形式又は非圧縮形式で送信することができる。
【0036】
ここで
図9A〜
図11を参照して、別の実施形態に係る面体装着型フィードバック及び呼吸システムを含む例示的なマスクをより詳細に説明する。図示のように、マスク210には、例えばシリコンゴムから製造することができて、ユーザの顔面の周りを密封する後部開口部214を含む、接顔体212が備えられる。一般に、接顔体212には、ユーザの顎領域の周りを密封する顎部分216と、ユーザの顔面の各側面の周りを密封する側面部分218、220と、顎部分216の反対側にあってユーザの額部の周りを密封する額部分222とが含まれる。接顔体212は、その周辺リム又は縁部に沿って延びる密封部材228によって、レンズ224に取り付けられる。接顔体212は、接顔体212をユーザが着用するヘッドネット223(
図11)に取り付けるための複数の締結具230A〜230N(例えば、留め金又はバックル)を備えている。マスク210は、側面部分218に連結されたカメラ248を更に備えることができ、その構造及び動作については、以下により詳細に説明する。
【0037】
マスク210は、レンズ224の下側部分にある開口を通して形成された1組の呼吸及び/又はフィルタリング構成要素(図示せず)を受け入れるように構成される。一実施形態では、上記1組の呼吸及び/又はフィルタリング構成要素は、密封部材228に連結される。例えば、マスク210は、電力を供給されているか、又は電力を供給されていない濾過式呼吸用保護具(PAPR)を受け入れることができる。
【0038】
図示のように、レンズ224には、その中に配置された略中央の開口部242が含まれる。中央開口部242は、レンズ224の前端壁244に形成し得る。開口部の下方には、レンズ224の下部の周りに形成された一体化された底部分246がある。この底部分246は、前端壁244を含むレンズ224の形状に略一致するが、この構成は、限定することを意図したものではない。図示のように、底部分246には、レンズ224の遠位端251と略同一平面であってそこから延びる、上縁部249が含まれる。底部分246の外縁部252は、密封部材228に連結されてもよい。底部分246には、レンズの中央開口部242及び面体250の開口部261と略位置合わせされた半円形の開口部254を更に含むことができる。底部分246には、1組の対応する開口部234を通して形成された1つ以上の呼吸及び/又はフィルタリング構成要素232を更に含むことができる。
【0039】
マスク210は、レンズ224と接顔体212との間に配置された面体250を更に含み、面体250は、一般に、ユーザの口と鼻を覆うように構成される。例示的な実施形態では、面体250は、圧力調節器又は濾過システム(図示せず)に連結されており、これらは必要に応じて、面体250の中の開口部261を通して、呼吸ガスをユーザに供給する。
【0040】
マスク210は、面体250に連結されたディスプレイ装置270を更に備えており、このディスプレイ装置270は、以下で更に詳細に説明するように、例えば、有線又は無線接続を介してカメラ248と通信する。図示のように、ディスプレイ装置270は、本体272及びアイピース277を備えている。例示的な実施形態では、アイピース277は、視覚的なイメージ及びフィードバックをユーザに提供するためにアイピース277のシリンダ又はチャンバ内に配置された、光学系287及びディスプレイ288(
図9C)を操作するPCB(図示せず)を備えている。一実施形態では、PCBには、第1のデータ通信システム297が含まれる。アイピース277には、単一又は複数の電源290、例えば、一体化された底部分246内に配置された1つ以上の電池(
図10)によって電力を供給してもよい。例示的な実施形態では、電源290は、レンズ224及び面体250の外部に配置される。
【0041】
上記と同様に、カメラ248は、接顔体212及びレンズ224の外部に連結された赤外線画像カメラであってもよい。他の実施形態では、カメラ248は、レンズ224及び接顔体212の外部又は遠隔に配置することができる。例えば、カメラ248は、ユーザが着用するヘルメット、胸部ハーネス、又はベルトに取り付けることができる。本明細書の実施形態は、1つの特定のカメラ位置又はカメラタイプに限定されないことが理解されよう。
【0042】
カメラ248は、ジンバル構造で電子制御装置によってズーム可能であり、ズーム可能なカメラ並びに魚眼レンズカメラの組み合わせを含むことができ、あるいは反射屈折ミラーカメラ、又は、赤外線若しくは紫外線若しくは任意の組み合わせなどの他の好適なカメラシステムとしてもよい。ヘッドアップディスプレイ(HUD)又はマスク内ディスプレイ(IMD)の一部として、複数のカメラ及び/又はマイクロホンを使用することができることは理解されよう。更に、他のカメラタイプを使用することができ、本開示は幾何学的形状又はカメラタイプに限定されない。
【0043】
例示的な実施形態では、カメラ248は内部電源、例えば1つ以上の電池を備えず、代わりに一体化された底部分246内の電源290と通信して、電源290から電力を受信する。あるいは、カメラ248は、第2段の調節器又は濾過式呼吸システム(図示せず)などの外部源から電力を受信する。一実施形態では、
図11に示すように、カメラ248は、導管260を通って延びる1組のワイヤを介して、電源290及び第1のデータ通信システム297に電気的に連結される。絶縁され得る導管260には、底部分246の外縁部252から延びる第1部分260−Aと、密封部材228に沿ってカメラ248に向かって上方に延びる第2部分260−Bとが含まれる。
【0044】
例示的な実施形態では、カメラ248はまた、導管260の配線を介して、ディスプレイ288に映像データを伝達する。例えば、カメラ248のPCBスタック(図示せず)には、アイピース277のPCBに関する第1のデータ通信システム297と動作可能な第2のデータ通信システム313が含まれ得る。例えば、例示的な実施形態では、カメラ248によって受信された赤外線画像データは、第2のデータ通信システム313によって処理されて、第1のデータ通信システム297に無線で送信される。カメラ48には、第1のデータ通信システム297に送信されて超音波画像として表示され得る、追加のコンピュータ生成画像を提供するために、超音波送受信機を含むか又は組込むことができる。カメラ248は、ユーザが遭遇した環境のIR、可視光画像又は低光画像、超音波画像などの環境情報をキャプチャし、第1のデータ通信システム297に圧縮形式又は非圧縮形式で送信することができる。
【0045】
更に、第1のデータ通信システム297は、限定はしないが、呼吸ガスタンク(図示せず)と流体連通する圧力変換器と、PASSデバイスと、電源290と、通信技術において既知の有線又は無線の方法でユーザ及び/又は任意の通信システムと通信可能に接続された遠隔測定システムと、を含むさまざまな構成要素からのデータを受信することができる。第1のデータ通信システム297は、構成要素から受信したデータを伝達して、ディスプレイ288によりユーザに表示される映像出力を生成するが、その非限定的な例を、
図8の例示的なディスプレイ出力120A〜120Iによって示す。
【0046】
本明細書で説明される第1のデータ通信システム(97、297)及び第2のデータ通信システム(113、313)の一方又は双方は、マイクロコントローラ、コンピュータシステム、コンピューティングデバイスなどを含み得ることが理解されるであろう。これは、他の多くの汎用又は専用コンピューティングシステム環境又は構成で動作するシステム/サーバを含むことができる。コンピュータシステム/サーバでの使用に好適であり得る周知のコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成の例としては、パーソナルコンピュータシステム、サーバコンピュータシステム、シンクライアント、シッククライアント、ハンドヘルド又はラップトップデバイス、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサに基づくシステム、セットトップボックス、プログラム可能な家電、ネットワークPC、ミニコンシステム、メインフレームコンピュータシステム、及び任意の上述したシステム又はデバイスを含む分散クラウドコンピューティング環境、その他を挙げることができる。
【0047】
コンピュータシステム/サーバは、コンピュータシステムによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータシステム実行可能命令の一般的な関連において、説明することができる。一般に、プログラムモジュールとしては、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、ロジック、データ構造などを挙げることができる。コンピュータシステム/サーバは、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理デバイスによってタスクが実行される分散クラウドコンピューティング環境で実施することができる。分散型クラウドコンピューティング環境では、プログラムモジュールは、メモリ記憶デバイスを含む、ローカルコンピュータシステム記憶媒体及びリモートコンピュータシステム記憶媒体の双方に配置してもよい。
【0048】
一実施形態では、コンピュータシステム/サーバは、汎用コンピューティングデバイスの形態である。コンピュータシステム/サーバの構成要素としては、1つ以上のプロセッサ又は処理ユニットと、システムメモリと、システムメモリを含むさまざまなシステム構成要素をプロセッサに連結するバスとを挙げることができる。このバスは、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、高速グラフィックポート、及びプロセッサ、又はさまざまなバスアーキテクチャのいずれかを使用するローカルバス、を含むいくつかの種類のバス構造のうちの1つ以上を表す。係るアーキテクチャとしては、ISA(Industry Standard Architecture)バス、MCA(Micro Channel Architecture)バス、EISA(Enhanced ISA)バス、VESA(Video Electronics Standards Association)ローカルバス、及びPCI(Peripheral Component Interconnects)バスを挙げることができる。
【0049】
コンピュータシステム/サーバは、通常、さまざまなコンピュータシステム可読媒体を備えている。係る媒体は、コンピュータシステム/サーバによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができ、それは、揮発性及び不揮発性媒体の双方、取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体の双方を含む。
【0050】
システムメモリとしては、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はキャッシュメモリなどの揮発性メモリの形態のコンピュータシステム可読媒体を挙げることができる。コンピュータシステム/サーバは、他の取り外し可能/不可能な、揮発性/不揮発性コンピュータシステム記憶媒体を更に備えることができる。一例にすぎないが、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体(図示はしないが、一般的には「ハードドライブ」と呼ばれる)に読み書きするために、ストレージシステムを設けてもよい。図示されていないが、CD−ROM、DVD−ROM又は他の光媒体、などの取り外し可能な不揮発性光ディスクに読み書きするための磁気ディスクドライブを設けてもよい。係る場合、各々は、1つ以上のデータ媒体インターフェースによってバスに接続し得る。以下に更に示して説明するように、メモリとして、本発明の実施形態の機能を実行するように構成された1組(例えば、少なくとも1個)のプログラムモジュールを有する少なくとも1つのプログラム製品を挙げることができる。
【0051】
1組(例えば、少なくとも1個)のプログラムモジュールを有するプログラム/ユーティリティ、並びに、オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータは、メモリに記憶することができる。オペレーティングシステム、1つ以上のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータ、又はそれらのいくつかの組み合わせ、の各々は、ネットワーク環境の実装を備えてもよい。プログラムモジュールは、一般的に本明細書で説明される本発明の実施形態の機能及び/又は方法を実行する。
【0052】
コンピュータシステム/サーバはまた、ユーザがカメラ及び/又はディスプレイと対話することを可能にする1つ以上の外部デバイスと通信することもできる。係る通信は、入出力(I/O)インターフェースを介して行うことができる。更に、コンピュータシステム/サーバは、ネットワークアダプタを介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)、クラウド型ネットワーク、一般的なワイドエリアネットワーク(WAN)、及び/又は公衆ネットワーク(例えば、インターネット)などの1つ以上のネットワークと通信することができる。
【0053】
前述に基づいて、当業者には、本開示は、幅広い有用性及び適用が可能であることが容易に理解されるであろう。本明細書に具体的に記載されたもの以外の開示の多くの実施形態及び適合、並びに多くの変形、修正、及び同等な構成は、本開示の本質又は範囲から逸脱することなく、本開示及び前述のその説明によって明らかであるか、あるいは十分に示唆されるものである。したがって、本開示はその好ましい実施形態に関連して本明細書で詳細に説明されているが、本開示は単に本発明の開示の例示的かつ典型的なものにすぎず、本開示の十分かつ実現可能な開示を提供する目的でのみ、なされるものと理解されたい。前述の開示は、本開示を限定するか、そうでなければ、係る他の実施形態、適合、変形、修正又は同等な構成を排除するように解釈することを意図するものではなく、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されるものである。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定する目的で使用するものではない。