特許第6829042号(P6829042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6829042ウエストベルト用メッシュ生地及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6829042
(24)【登録日】2021年1月25日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】ウエストベルト用メッシュ生地及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20210128BHJP
   A41C 1/08 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
   A61F5/02 K
   A41C1/08
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-204246(P2016-204246)
(22)【出願日】2016年10月18日
(65)【公開番号】特開2018-64696(P2018-64696A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2019年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】595020355
【氏名又は名称】株式会社セイホウ
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】青木 朋治
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝文
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 康弘
(72)【発明者】
【氏名】野本 純一
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−271159(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3150887(JP,U)
【文献】 特開2006−045691(JP,A)
【文献】 特開2007−162015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/00− 5/02
A41C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯成分が鞘成分に覆われて前記芯成分の融点よりも前記鞘成分の融点が低い複数のフィラメントによって形成されたマルチフィラメントの編糸を含むウエストベルト用メッシュ生地であって、
複数の前記編糸が引き揃えられて同行する編組織を有し、
前記編組織の複数の前記編糸が重なり合った部分において、相接する前記編糸の前記鞘成分は互いに融着されており、重なり合った前記編糸の束は、複数の前記フィラメントが前記ウエストベルト用メッシュ生地の表面に沿った方向に多く拡がるよう前記ウエストベルト用メッシュ生地の厚さ方向に潰れていることを特徴とするウエストベルト用メッシュ生地。
【請求項2】
前記芯成分は、融点が230℃から270℃のポリエステル樹脂から形成され、
前記鞘成分は、融点が130℃から190℃のポリエステル樹脂から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウエストベルト用メッシュ生地。
【請求項3】
前記編糸の太さが200dtexから350dtexであり、
前記ウエストベルト用メッシュ生地の厚さが0.5mmから1.0mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のウエストベルト用メッシュ生地。
【請求項4】
芯成分が鞘成分に覆われて前記芯成分の融点よりも前記鞘成分の融点が低い複数のフィラメントによって形成されたマルチフィラメントの芯鞘構造糸を含むメッシュ状の編地を編成する工程と、
前記編地を一対のカレンダロールの間に通過させて加熱及び加圧するカレンダ加工工程と、を具備し、
前記編地を編成する工程において、前記編地は、複数の前記芯鞘構造糸を引き揃えて編み立てられ、
前記カレンダ加工工程において、同行する複数の前記芯鞘構造糸を、複数の前記フィラメントが前記編地の表面に沿った方向に多く拡がるように前記編地の厚さ方向に潰すことを特徴とするウエストベルト用メッシュ生地の製造方法。
【請求項5】
前記カレンダ加工工程において、前記編地に35kN/mから100N/mの線圧力が加えられることを特徴とする請求項4に記載のウエストベルト用メッシュ生地の製造方法。
【請求項6】
前記芯成分は、融点が230℃から270℃のポリエステル樹脂から形成され、
前記鞘成分は、融点が130℃から190℃のポリエステル樹脂から形成され、
前記カレンダ加工工程において、前記編地は、130℃から220℃の温度に加熱された前記カレンダロールによって加熱されることを特徴とする請求項4または請求項5に記載のウエストベルト用メッシュ生地の製造方法。
【請求項7】
前記編地は、前記鞘成分よりも融点が高い単一の素材からなる複数のフィラメントによって形成されるレギュラー糸を含み、
前記編地を編成する工程において、前記編地は、前記芯鞘構造糸と前記レギュラー糸を引き揃えて編み立てられることを特徴とする請求項4ないし請求項6の何れか1項に記載のウエストベルト用メッシュ生地の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適度な剛性と通気性が求められる用途に好適なウエストベルト用メッシュ生地及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、身体の腰部に巻着されることにより、身体を支え、罹患脊椎の固定や負荷の軽減、背腰筋の筋力低下の補助、腰痛の軽減、体型の矯正等を行うウエストベルトが知られている。この種のウエストベルトでは、例えば、身体の背中に対応する部分等に、所定の形態で身体を固定して支持するために、適度な剛性を有する生地が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、背当てとなる背部に剛性化加工生地を有するウエストベルトが開示されている。同文献の剛性化加工生地は、鞘成分の融点が芯成分の融点より低い芯鞘型複合フィラメント糸等によって形成される。そして、剛性化加工生地に熱セットが施されることにより芯鞘型複合フィラメント糸の鞘成分が融着し、所定の剛性が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−271159号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のとおり、ウエストベルト等の製品に用いられる生地には、身体等を支持するという製品の機能を確保するために、適度な硬さが要求される。また、この種の身体に装着される製品では、製品の長期着用による発汗やかぶれ等の支障を抑制するために、通気性を有する生地が求められる。
【0006】
しかしながら、上記した従来技術の剛性化加工生地では、生地の通気性及び硬さを維持しつつ肌触りを良くする観点から改良の余地があった。即ち、通気性を確保するためにメッシュ状の生地を採用し、剛性を高めるために生地を硬くすると、生地の肌触りが損なわれてしまう。これとは逆に、生地の肌触りを良くするために生地を柔らかくすると、ウエストベルト等に求められる形態維持機能が損なわれてしまう。
【0007】
具体的に説明すると、一般的な編地では、編糸が重なり合った部分は生地が厚くなるので、そのような編糸の交差部分に対応して生地の表面に凸部が形成され、生地の表面は凹凸状になっている。上記した従来技術の剛性化加工生地では、熱セットによって糸同士が融着して固まっているので、糸の重なりに対応して形成される生地表面の前記凸部が硬く形成される。そのため、生地表面から突出する硬い凸部によって皮膚等が刺激されることとなるので、従来技術の剛性化加工生地は肌触りが良くなかった。
【0008】
また、従来、肌触りを改善するため、剛性化加工生地の表面に形成された凸部が直接的に人体等に触れないように、剛性化加工生地の表面に別布等を貼り付けることも行われていた。しかしながら、剛性化加工生地に別布を貼り付ける方法では、剛性化加工生地の通気性が阻害されるという問題点がある。
【0009】
また、上記した従来技術の剛性化加工生地では、編糸のフィラメント等の一部分が生地の端部から外部に飛び出し易いという問題点があった。剛性化加工生地の端部近傍から突出する硬くて細いフィラメント等が皮膚に触れると、痛みを感じることもある。そのため、従来、剛性化加工生地の端部が直接肌に触れないように、生地の端部をバイアステープ等の略帯状の別布で覆う縁巻き仕上げ等が行われていた。また、縁巻き仕上げを2回行い、バイアステープ等を2枚重ねにすることも行われていた。しかしながら、生地の端部を覆う縁巻き用の別布が薄い場合、硬い糸状のフィラメント等が縁巻き用の別布を貫通して外部に突出してしまうこともあった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、適度な剛性を有し、通気性に優れ、薄くて肌触りが良いウエストベルト用メッシュ生地及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のウエストベルト用メッシュ生地は、芯成分が鞘成分に覆われて前記芯成分の融点よりも前記鞘成分の融点が低い複数のフィラメントによって形成されたマルチフィラメントの編糸を含むウエストベルト用メッシュ生地であって、複数の前記編糸が引き揃えられて同行する編組織を有し、前記編組織の複数の前記編糸が重なり合った部分において、相接する前記編糸の前記鞘成分は互いに融着されており、重なり合った前記編糸の束は、複数の前記フィラメントが前記ウエストベルト用メッシュ生地の表面に沿った方向に多く拡がるよう前記ウエストベルト用メッシュ生地の厚さ方向に潰れていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のウエストベルト用メッシュ生地の製造方法は、芯成分が鞘成分に覆われて前記芯成分の融点よりも前記鞘成分の融点が低い複数のフィラメントによって形成されたマルチフィラメントの芯鞘構造糸を含むメッシュ状の編地を編成する工程と、前記編地を一対のカレンダロールの間に通過させて加熱及び加圧するカレンダ加工工程と、を具備し、前記編地を編成する工程において、前記編地は、複数の前記芯鞘構造糸を引き揃えて編み立てられ、前記カレンダ加工工程において、同行する複数の前記芯鞘構造糸を、複数の前記フィラメントが前記編地の表面に沿った方向に多く拡がるように前記編地の厚さ方向に潰すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のウエストベルト用メッシュ生地によれば、芯成分が鞘成分に覆われて前記芯成分の融点よりも前記鞘成分の融点が低い複数のフィラメントによって形成された編糸を含むウエストベルト用メッシュ生地であって、複数の前記編糸が重なり合った部分において、相接する前記編糸の前記鞘成分は互いに融着されており、重なり合った前記編糸の束は、生地の厚さ方向に潰れている。これにより、ウエストベルト等の用途に適した剛性と通気性が得られると共に、ウエストベルト用メッシュ生地の表面に形成される凸部を小さくすることができ、ウエストベルト用メッシュ生地の肌触りを良くすることができる。
【0014】
また、ウエストベルト用メッシュ生地の表面に形成される凸部が小さくなり肌触りが改善されることにより、例えば、ウエストベルト等の素材として本発明のウエストベルト用メッシュ生地を用いる場合、ウエストベルト用メッシュ生地の表面に別布等を貼り付ける必要がない。これにより、ウエストベルト等の製品の通気性が良くなり、また、製品を薄く軽量に仕上げることができる。
【0015】
また、ウエストベルト用メッシュ生地は、重なり合った編糸の束が生地の厚さ方向に潰れているため、編成された編地がそのまま熱セットされた状態で用いられる従来技術の剛性化加工生地よりも薄く形成される。これにより、ウエストベルト等の製品を薄く形成することができる。
【0016】
また、相接する編糸の鞘成分は互いに融着されており、且つ、重なり合った編糸の束が生地の厚さ方向に潰れていることにより、編糸を構成するフィラメント等がウエストベルト用メッシュ生地の端部から突き出てしまうことを抑えることができる。これにより、ウエストベルト用メッシュ生地の端部の肌触りが改善される。また、編糸を構成するフィラメント等がウエストベルト用メッシュ生地の端部を覆うバイアステープ等を貫通して外部に突出してしまうことが抑えられるので、ウエストベルト用メッシュ生地を用いた製品の不良率を下げることができる。また、バイアステープ等を2枚重ねにする必要がなくなり、更には、バイアステープ等による縁仕上げをなくして、ウエストベルト用メッシュ生地の端部をそのまま製品の端部とすることもできる。よって、ウエストベルト用メッシュ生地を用いた製品の生産性を高めることができる。
【0017】
また、本発明のウエストベルト用メッシュ生地によれば、前記芯成分は、融点が230℃から270℃のポリエステル樹脂から形成され、前記鞘成分は、融点が130℃から190℃のポリエステル樹脂から形成されても良い。これにより、ウエストベルト用メッシュ生地が所定の温度条件下で加熱された際に、芯成分は溶融せず、鞘成分のみを溶融または軟化させることができる。そのため、鞘成分が相接する他のフィラメントの鞘成分または他の編糸と融着し、編糸を構成する複数のフィラメントの芯成分が鞘成分で覆われて一体化し、ウエストベルト用メッシュ生地は所定の剛性が得られる。その結果、ウエストベルト用メッシュ生地は、ウエストベルト等の素材として用いられた際に、身体を好適に支える優れた形態維持機能を発揮することができる。
【0018】
また、本発明のウエストベルト用メッシュ生地によれば、前記編糸の太さが200dtex(デシテックス)から350dtexであり、前記ウエストベルト用メッシュ生地の厚さが0.5mmから1.0mmであっても良い。このように、好適な太さの編糸が用いられ、好適な厚みに仕上げられることにより、ウエストベルト用メッシュ生地1は、ウエストベルト等の用途に特に適した強度、剛性及び通気性を有し、且つ、肌触りの良い素材となる。
【0019】
また、本発明のウエストベルト用メッシュ生地の製造方法によれば、芯成分が鞘成分に覆われて前記芯成分の融点よりも前記鞘成分の融点が低い複数のフィラメントによって形成された芯鞘構造糸を含むメッシュ状の編地を編成する工程と、前記編地を一対のカレンダロールの間に通過させて加熱及び加圧するカレンダ加工工程と、を具備する。これにより、ウエストベルト用メッシュ生地の重なり合った編糸の束は、一対のカレンダロールによって潰された状態で融着される。そのため、ウエストベルト等の用途に適した剛性と通気性を有し、且つ、表面に形成される凸部が小さく、薄くて肌触りが良いウエストベルト用メッシュ生地が得られる。
【0020】
また、カレンダ加工工程において編地を加熱しながら加圧することにより、ウエストベルト用メッシュ生地に用いられる編糸の隙間を減らして編糸同士を密着させた状態で融着させることができる。これにより、ウエストベルト用メッシュ生地の端部から編糸のフィラメント等が突き出てしまうことを抑制することができる。よって、ウエストベルト用メッシュ生地の端部に触れた際の引っ掛かり等が少なくなり、端部近傍の肌触りが良くなる。
【0021】
また、カレンダ加工工程で編地が加熱及び加圧されることにより、ウエストベルト用メッシュ生地の重なり合った編糸の束は、生地の厚さ方向に潰されて略扁平状に形成され、ウエストベルト用メッシュ生地の端部においても、編糸の束は、略扁平状になる。これにより、ウエストベルト用メッシュ生地の端部近傍の肌触りを良くすることができる。
【0022】
また、本発明のウエストベルト用メッシュ生地の製造方法によれば、前記カレンダ加工工程において、前記編地に35kN/mから100kN/mの線圧力が加えられても良い。これにより、編地を好適に潰して編糸同士を好適に密着させた状態で鞘成分を融着させることができる。即ち、潰し過ぎによってウエストベルト用メッシュ生地の開口が塞がれてしまうことや、編糸の密着不良によってウエストベルト用メッシュ生地の剛性が低下してしまうことを回避することができる。よって、適度な剛性と通気性を有し、薄くて肌触りの良いウエストベルト用メッシュ生地を製造することができる。
【0023】
また、本発明のウエストベルト用メッシュ生地の製造方法によれば、前記芯成分は、融点が230℃から270℃のポリエステル樹脂から形成され、前記鞘成分は、融点が130℃から190℃のポリエステル樹脂から形成され、前記カレンダ加工工程において、前記編地は、150℃から220℃の温度に加熱された前記カレンダロールによって加熱されても良い。これにより、芯成分を溶融させずに維持しつつ鞘成分のみを溶融または軟化させて編糸同士を好適に融着させることができ、ウエストベルト等に好適な剛性を有し、形態安定性に優れるウエストベルト用メッシュ生地を得ることができる。
【0024】
また、本発明のウエストベルト用メッシュ生地の製造方法によれば、前記編地は、前記鞘成分よりも融点が高い単一の素材からなる複数のフィラメントによって形成されるレギュラー糸を含み、前記編地を編成する工程において、前記編地は、前記芯鞘構造糸と前記レギュラー糸を引き揃えて編み立てられても良い。これにより、編地の編糸が重なり合う部分等において、芯鞘構造糸とレギュラー糸が分散されて配置される。その結果、芯鞘構造糸の鞘成分とレギュラー糸のフィラメントとの熱融着が良好になり、レギュラー糸のフィラメント等の飛び出しが少なく、表面の凸部が小さくて肌触りの良いウエストベルト用メッシュ生地を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る(A)ウエストベルト用メッシュ生地、(B)ウエストベルト用メッシュ生地に用いられる芯鞘構造糸、(C)ウエストベルト用メッシュ生地の素材となる編地の編糸の束、の断面を模式的に示す略図である。
図2】本発明の実施形態に係るウエストベルト用メッシュ生地を編成する編機のガイド孔近傍を示す略図である。
図3】本発明の実施形態に係るウエストベルト用メッシュ生地の製造工程を示すフロー図である。
図4】本発明の実施形態に係るウエストベルト用メッシュ生地の製造装置を示す概略図である。
図5】本発明の実施形態に係るウエストベルト用メッシュ生地の製造方法におけるカレンダ加工を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るウエストベルト用メッシュ生地が用いられるウエストベルトの平面図である。
図7】本発明の実施形態に係るウエストベルト用メッシュ生地が用いられるウエストベルトの他の例を示す平面図である。
図8】本発明の実施例及び比較例に係るウエストベルト用メッシュ生地の評価結果を示す表である。
図9】本発明の(A)実施例、(B)比較例、に係るウエストベルト用メッシュ生地の断面を示す写真である。
図10】本発明の(A)他の実施例、(B)他の比較例、に係るウエストベルト用メッシュ生地の断面を示す写真である。
図11】本発明の実施例及び比較例に係るウエストベルト用メッシュ生地の(A)摩擦係数、(B)表面粗さ、の測定結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るウエストベルト用メッシュ生地及びその製造方法を図面に基づき詳細に説明する。
図1(A)は、本発明の実施形態に係るウエストベルト用メッシュ生地1の断面を模式的に示す略図であり、図1(B)は、メッシュ生地1に用いられる芯鞘構造糸3の断面を模式的に示す略図であり、図1(C)は、メッシュ生地1の素材となる編地2の編糸9が重なる部分の断面を模式的に示す略図である。
【0027】
ウエストベルト用メッシュ生地1(以下、「メッシュ生地1」と言う。)は、例えば、ウエストベルトやサポータ、鞄等に用いられるメッシュ状の生地である。メッシュ生地1は、図6に示すウエストベルト10において、ウエストベルト10が身体に装着された際に背中側に固定される部分等に用いられ、腰椎を支持するために好適な剛性を有する。
【0028】
図1(A)ないし(C)に示すように、メッシュ生地1は、芯成分5が鞘成分6に覆われた芯鞘構造を有する複数のフィラメント4によって形成された芯鞘構造糸3を編糸9として含むメッシュ状の生地である。また、メッシュ生地1は、編糸9として、レギュラー糸であるポリエステル糸7等を含んでも良い。即ち、メッシュ生地1は、芯鞘構造糸3及びポリエステル糸7の2種類の編糸9を含む。
【0029】
図1(A)に示すように、1つの芯鞘構造糸3を構成する鞘成分6は、融着により一体的に構成されている。また、芯鞘構造糸3、ポリエステル糸7等の複数の編糸9が重なり合った部分において、相接する芯鞘構造糸3の鞘成分6は互いに接合されており、芯鞘構造糸3と相接するポリエステル糸7のフィラメント8も鞘成分6によって接合されている。このように、メッシュ生地1は、メッシュ生地1の編糸9となる芯鞘構造糸3が、ポリエステル糸7等の他の編糸9に接合されることにより、適度な硬さに形成される。
【0030】
また、芯鞘構造糸3やポリエステル糸7等の編糸9が重なる部分は、メッシュ生地1の厚さ方向に潰れており、略扁平状に形成される。即ち、編糸9が交差する部分等においてメッシュ生地1の主面から厚さ方向に突出する凸部等は、突出寸法が小さく、突出する先端近傍が略平坦に形成されている。
【0031】
図1(A)及び(C)に示すように、メッシュ生地1は、芯鞘構造糸3、ポリエステル糸7等の編糸9から、例えば、シングルラッセル、ダブルラッセル、トリコット、経メリヤス等の編み方によってメッシュ状に編成された編地2を素材としている。
【0032】
図1(B)に示すように、メッシュ生地1に用いられる芯鞘構造糸3は、芯成分5が鞘成分6に覆われている芯鞘構造を有する複数のフィラメント4によって形成されている。ここで、メッシュ生地1をウエストベルト等に用いる場合には、芯鞘構造糸3の太さは、200dtexから350dtexが好ましく、より好ましくは250dtexから300dtexである。これにより、メッシュ生地1は、ウエストベルト等の用途に好適な厚さ及び剛性となる。
【0033】
なお、芯鞘構造糸3が200dtexよりも細いと、メッシュ生地1が薄くなり、メッシュ生地1の剛性や引き裂き強度、耐久性等が低下するので、ウエストベルト等の用途に求められる所望の性能が得られない。また、芯鞘構造糸3の太さが350dtexよりも太いと、形成されるメッシュ生地1が厚くなり、メッシュ生地1が硬くなり過ぎる。そのため、ウエストベルト等として用いられた際に、メッシュ生地1を身体に沿って曲げ難くなってしまう。
【0034】
芯鞘構造を有するフィラメント4の芯成分5は、例えば、融点が230℃から270℃のポリエステル樹脂によって形成される。芯成分5として、具体的には、ポリエチレンテレフタレート等が用いられる。他方、鞘成分6は、例えば、融点が130℃から190℃のポリエステル樹脂によって形成される。なお、鞘成分6は、融点よりも低い温度で軟化し、溶融または軟化した状態で、他のフィラメント4またはポリエステル糸7のフィラメント8等に接合可能となる。なお、芯成分5の融点と鞘成分6の融点は、30℃以上離れていることが望ましい。
【0035】
このように、鞘成分6として、芯成分5よりも融点の低い素材が用いられことにより、芯鞘構造糸3を所定の温度まで加熱して、芯成分5を溶融させずに、鞘成分6のみを溶融または軟化させることができる。そのため、フィラメント4の鞘成分6が、図1(A)に示すように、他のフィラメント4の鞘成分6に一体的に融着されると共に、他の編糸9であるポリエステル糸7のフィラメント8等に融着された構成が可能となる。これにより、メッシュ生地1は、ウエストベルト等の用途において身体を支持して固定するために必要な所定の剛性が得られ、所望の形態維持機能を発揮することができる。
【0036】
また、芯鞘構造糸3に含まれる芯成分5と鞘成分6の質量比率は、6:4から2:8が好ましく、より好ましくは、5:5から3:7である。芯鞘構造糸3に含まれる鞘成分6が40質量%未満になると、編糸9同士の融着が好適に行われず、所望の接合力が得られないことがある。また、芯鞘構造糸3に含まれる鞘成分6が80質量%を超えると、即ち、芯成分5が20質量%未満であると、メッシュ生地1の強度が低下してしまう。
また、メッシュ生地1に用いられる芯鞘構造糸3の混用比率は、メッシュ生地1の全体に対して40質量%から100質量%であることが好ましく、更に好ましくは、50質量%から70質量%である。
【0037】
図1(C)に示すように、メッシュ生地1に含まれるポリエステル糸7は、それぞれ単一素材からなる複数のフィラメント8から構成されるマルチフィラメント糸であり、例えば、ポリエステル樹脂等によって形成される。ポリエステル糸7は、芯鞘構造糸3の鞘成分6よりも融点が高い糸であり、後述するカレンダ加工工程S40(図3参照)において、溶融しない糸である。具体的には、ポリエステル糸7の融点は、230℃から270℃である。なお、ポリエステル糸7の太さは、200dtexから350dtexが好ましく、より好ましくは250dtexから300dtexである。
【0038】
メッシュ生地1の素材である編地2において、芯鞘構造糸3やポリエステル糸7等の編糸9の横断面形状は、それぞれ略円形状に形成されている。また、複数の編糸9が交差等して束状に重なり合う部分では、重なり合う編糸9の束は、全体として、横断面形状が略円形状に形成されている。また、芯鞘構造糸3を構成するそれぞれのフィラメント4の間や、ポリエステル糸7を構成するそれぞれのフィラメント8の間には隙間が形成されており、編糸9同士の間にも隙間がある。そして、編地2を素材として、後述するカレンダ加工工程S40が実行されることにより、鞘成分6が溶融または軟化し、編地2が厚さ方向に押し潰された状態で固化して、図1(A)に示すメッシュ生地1が得られる。
【0039】
図2は、メッシュ生地1を編成する編機30のガイド孔31近傍を示す略図である。図2に示すように、本実施形態に係る編地2(図1参照)は、芯鞘構造糸3とポリエステル糸7を引き揃えて編み立てられる。具体的には、2本の芯鞘構造糸3と2本のポリエステル糸7が1本ずつ交互に引き揃えられて、合計4本の編糸9が、編機30の同一のガイド孔31に挿通されて同一の編組織に編成される。即ち、編地2は、2本の芯鞘構造糸3と2本のポリエステル糸7が1本ずつ交互に引き揃えられて同行する編組織を有する。
【0040】
上記のように、芯鞘構造糸3とポリエステル糸7を引き揃えて編地2が編み立てられることにより、編糸9が重なり合う部分等において、芯鞘構造糸3とポリエステル糸7が分散されて配置される。これにより、芯鞘構造糸3の鞘成分6とポリエステル糸7のフィラメント8との熱融着が良好になり、フィラメント8(図1参照)等の飛び出しが少なく、表面の凸部が小さくて肌触りの良いメッシュ生地1が得られる。
【0041】
次に図3ないし図5を参照して、メッシュ生地1の製造方法について詳細に説明する。
図3は、メッシュ生地1の製造工程を示すフロー図である。図4は、メッシュ生地1のカレンダ加工工程S40で用いられる製造装置20を示す概略図である。図5は、メッシュ生地1の製造方法におけるカレンダ加工を示す図である。
【0042】
図3に示すように、メッシュ生地1の製造方法は、準備工程S10と、熱セット工程S20と、引き伸ばし工程S30と、カレンダ加工工程S40と、巻き取り工程S50と、を具備する。
先ず、準備工程S10では、編地2を編成する編機30によって、芯鞘構造糸3(図1参照)を含む編地2が編成される。前述のとおり、編地2は、芯鞘構造糸3とポリエステル糸7を引き揃えて編み立てられる
【0043】
次に、熱セット工程S20が実行され、準備工程S10で編成された編地2に熱セットが施される。具体的には、編地2は、適度なテンションが加えられて編目が整えられた状態で、図示しないヒートセット装置の所定温度に昇温されている温風加熱式のチャンバ内に送られる。ここで、ヒートセット装置のチャンバ内温度は、芯鞘構造糸3の鞘成分6(図1参照)の融点に対応して適宜設定され、芯成分5(図1参照)の融点よりも低い温度であり、例えば、160℃から220℃、好ましくは、170℃から200℃である。
【0044】
このように編地2がヒートセット装置のチャンバ内を通過して所定温度に加熱されることにより、編地2に含まれる芯鞘構造糸3の鞘成分6が融着し、編地2の編目が安定すると共に、編地2の剛性が高められる。
【0045】
なお、従来技術の剛性化加工生地は、熱セットが施されて剛性化された状態で用いられていたが、前述のとおり、生地表面から硬い凸部が突出して肌触りが良くなかった。また、従来技術の剛性化加工生地は、端部の肌触りも良くなかった。
【0046】
そこで、本実施形態に係るメッシュ生地1の製造方法では、メッシュ生地1の肌触りを改善するために、熱セット工程S20の後に、カレンダ加工工程S40等が行われる。
具体的には、図3及び図4に示すように、熱セット工程S20を経た編地2は、籠21等に収納される。そして、編地2は、カレンダ加工を行う製造装置20にセットされる。
【0047】
次に、引き伸ばし工程S30では、編地2は、所定の間隔で配置された複数のテンションロール22の間に通される。これにより、編地2のしわやたるみ等が引き伸ばされる。そして、テンションロール22を通過して引き伸ばされた編地2は、ガイドロール23によって、加熱ロール24まで導かれる。
【0048】
引き伸ばし工程S30の後、一対のカレンダロールである加熱ロール24及びプレスロール25によって編地2を加熱して圧縮するカレンダ加工工程S40が行われる。図5に示すように、加熱ロール24及びプレスロール25は、略円柱状に形成される金属製のロールであり、互いの回転軸が略平行になるよう隣接して配置されている。加熱ロール24とプレスロール25の間には、編地2が通過可能な間隙が形成されている。
【0049】
加熱ロール24まで導かれた編地2は、所定の温度に加熱された加熱ロール24の外周に沿って移動して、加熱ロール24の外周によって加熱される。即ち、編地2は、図5に鎖線で示す領域Aにおいて、加熱ロール24の外周に当接して加熱される。そして、編地2は、鎖線で示す領域B内の加熱ロール24とプレスロール25の間を通過して圧縮され、その後、加熱ロール24から離れてプレスロール25に沿って移動する。
【0050】
カレンダ加工工程S40における編地2の加熱温度は、例えば、130℃から220℃が好ましく、より好ましくは、140℃から180℃である。これにより、図1に示すように、芯成分5やポリエステル糸7を溶融させず、鞘成分6のみを溶融または軟化させて、芯鞘構造糸3やポリエステル糸7等の編糸9を接着し、ウエストベルト等に適した剛性を有するメッシュ生地1を形成することができる。
【0051】
なお、編地2の加熱温度が220℃よりも高いと、芯成分5やポリエステル糸7が溶融または軟化して編地2の形状が崩れてしまう恐れがある。また、加熱温度が高いと、溶融した鞘成分6が加熱ロール24に付着してしまうという問題も生ずる。他方、編地2の加熱温度が130℃よりも低いと、芯鞘構造糸3の鞘成分6が十分に溶融または軟化せず、融着が不十分となり、メッシュ生地1に所望の硬さや形態保持性が得られなくなってしまう。なお、カレンダ加工工程S40における加熱温度は、熱セット工程S20における加熱温度よりも低くても良い。
【0052】
そして、図5に示すように、編地2は、加熱ロール24とプレスロール25の間を通過することにより、加熱ロール24及びプレスロール25に挟まれて圧縮される。この時、プレスロール25には、加熱ロール24に対向する所定の荷重が加えられている。これにより、図1(C)に示すように、編地2を構成する芯鞘構造糸3やポリエステル糸7等の編糸9の重なり部分は、図5に示す加熱ロール24及びプレスロール25によって狭圧されて、図1(A)に示すように、潰される。このように、メッシュ生地1の表面に形成される凸部が小さく潰され、メッシュ生地1が薄く形成されて、メッシュ生地1の肌触りが良くなる。なお、メッシュ生地1の主面の摩擦係数は、0.2以下が好ましい。また、メッシュ生地1の主面の表面粗さは、15μm以下が好ましい。
【0053】
なお、プレスロール25によって編地2に加えられる線圧力は、35kN/mから100kN/mが好ましく、より好ましくは、60kN/mから80kN/mである。加えられる線圧力が35kN/mよりも低いと、編地2の芯鞘構造糸3やポリエステル糸7等の編糸9の束を十分に圧縮することができず、形成されるメッシュ生地1の表面に凸部が残ってしまう恐れがある。また、鞘成分6が芯鞘構造糸3の他のフィラメント4やポリエステル糸7のフィラメント8と融着せずに、メッシュ生地1の端部において、フィラメント4やフィラメント8が飛び出してしまう恐れもある。また、加えられる線圧力が100kN/mよりも高いと、編地2の編糸9が潰れ過ぎて、メッシュ生地1の形状が崩れてしまう。例えば、潰れ過ぎた編糸9によってメッシュ生地1の開口が塞がれて、通気性が悪くなる恐れもある。
【0054】
また、前述のように、カレンダ加工工程S40では、加熱ロール24によって編地2が加熱され、加熱ロール24及びプレスロール25で狭圧されて、編地2の加熱と加圧が略同時に行われる。これにより、メッシュ生地1に用いられる編糸9の隙間やポリエステル糸7のフィラメント8の隙間等を減らして、編糸9同士を密着させて、融着させることができる。そのため、芯鞘構造糸3のフィラメント4や、ポリエステル糸7のフィラメント8が、メッシュ生地1の端部から飛び出してしまうことを抑制することができる。
【0055】
また、カレンダ加工工程S40で編地2が加熱及び加圧されることにより、編糸9の横断面形状は、それぞれ略円形状から略楕円形状になり、編糸9の重なり部分は、図1(A)に示すように、略扁平状に形成される。前述のように、端部からのフィラメント8等の飛び出しが抑制されて編糸9の束が略扁平状に形成されることにより、メッシュ生地1の端部に触れた際の引っ掛かり等が少なくなり、メッシュ生地1の端部近傍の肌触りが改善される。
【0056】
また、編糸9を構成するフィラメント4等がメッシュ生地1の端部を覆うバイアステープ等を貫通して外部に突出してしまうことが抑えられるので、メッシュ生地1を用いた製品の不良率を下げることができる。また、従来技術のようにバイアステープ等を2枚重ねにする必要がなくなり、更には、バイアステープ等による縁仕上げをなくして、メッシュ生地1の端部をそのまま製品の端部とすることもできる。よって、メッシュ生地1を用いた製品の生産性を高めることができる。
【0057】
そして、図4に示すように、カレンダ加工工程S40を経て形成されたメッシュ生地1は、プレスロール25に沿って移動し、テンションロール26に導かれる。テンションロール26は、所定の位置関係で配列される複数のロールにより構成される。メッシュ生地1は、テンションロール26の複数のロールの間を通過することにより引き伸ばされる。また、テンションロール26は、メッシュ生地1の張力を調整可能に、例えば、上下方向に移動自在に設けられており、テンションロール26が移動することにより、メッシュ生地1に適度なテンションが加えられる。そして、テンションロール26を通過したメッシュ生地1は、巻取機27に導かれる。
【0058】
次に、巻き取り工程S50では、完成したメッシュ生地1が、製造装置20の巻取機27によってロール状に巻き取られる。そして、巻き取られたメッシュ生地1は、ウエストベルト等の製品の素材として用いられる。
【0059】
図6は、メッシュ生地1を素材として用いた製品の一例としてのウエストベルト10の平面図である。図6に示すように、ウエストベルト10は、人体の、背中側に固定される背部11と、脇側に固定される脇部12と、腹側に固定される腹部13と、を有する。
【0060】
背部11には、芯鞘構造糸3(図1参照)とポリエステル糸7(図1参照)とを含んで形成されるメッシュ生地1が用いられる。このように、背部11に所定の剛性を有するメッシュ生地1を用いることにより、身体を好適に支えることができる。
【0061】
また、背部11は、メッシュ生地1のみによって形成されており、メッシュ生地1の表面に別布等が貼り付けられていない。これにより、ウエストベルト10の通気性を良くすると共に、ウエストベルト10を薄く軽量に仕上げることができ、ウエストベルト10のフィット感を高めることができる。
【0062】
背部11の左右両側には、脇部12が設けられる。脇部12は、縫製等によって背部11の端部に接続されている。脇部12は、例えば、パワーネット等によって編成される伸縮性編地17によって形成される。伸縮性編地17に用いられる糸としては、例えば、ポリウレタン糸や天然ゴム伸縮糸、ナイロンフィラメント糸等が挙げられる。このように編成された脇部12は、ウエストベルト10の長手方向に伸縮自在であり、これにより、ウエストベルト10を装着した際のフィット感が高められる。
【0063】
脇部12の背部11に対して反対側となる端部には、腹部13がそれぞれ設けられる。腹部13には、例えば、メッシュ生地1が用いられ、脇部12の端部に縫製等によって接続される。また、少なくとも一方の端部側の腹部13、即ち腹部13a及び腹部13bの少なくとも何れかの表裏一方の面には、面ファスナの雌面を有する面ファスナ雌材16が設けられている。
【0064】
面ファスナ雌材16には、例えば、50dtexから80dtexの太さの芯鞘構造糸3が用いられる。面ファスナの雌面は、1本の起毛糸と2本の地糸によってアトラス編のトリコット地を編成して起毛糸をループ状に起毛させることにより形成される。また、面ファスナ雌材16のループ状の起毛が形成されない面側には、面ファスナ雌材16のメッシュの孔を塞がないように樹脂コーティングが施されても良い。
【0065】
また、面ファスナの雌面が設けられた腹部13aまたは腹部13bに対して反対の端部側になる腹部13bまたは腹部13aの前記一方の面の反対側となる他方の面の所定の位置には、面ファスナの雄面を有する図示しない布地等が設けられている。面ファスナの雄面は、糸がフック状に起毛されている。面ファスナの雄面のフック状の起毛が面ファスナの雌面のループ状の起毛に引っ掛かることにより、ウエストベルト10は、腹部13a及び腹部13bが重なり合った状態で固定される。
【0066】
このように、ウエストベルト10に面ファスナを用いることにより、腹部13a及び腹部13bの重なり具合を調節することができ、ウエストベルト10を身体に好適に固定することができる。また、ウエストベルト10を身体から外す際には、腹部13a、13bを引きはがすことにより、ウエストベルト10を容易に取り外すことができる。なお、面ファスナの雄面は、腹部13a、13bの両方に設けられても良いし、腹部13a、13bの何れか一方にのみ設けられても良い。
【0067】
ウエストベルト10の縁部には、縁巻部14が形成される。縁巻部14は、例えば、バイアステープ等の別布によって背部11、脇部12及び腹部13の端部を覆うことにより形成される。これにより、ウエストベルト10全体の端部を覆うことができ、端部の肌触りを良くすることができる。また、背部11及び腹部13に用いられるメッシュ生地1は、編糸9のフィラメント4(図1参照)等がメッシュ生地1の端部から突き出し難いので、縁巻部14に用いられる別布は、従来製品よりも薄くても良い。
【0068】
図7は、メッシュ生地1が用いられる製品の他の例であるウエストベルト110の平面図である。図7に示すように、ウエストベルト110は、ウエストベルト110の一端から他端に向かって連続的に編成された伸縮性編地17によって一体的に形成されている。所定形状に編成された伸縮性編地17に、メッシュ生地1、面ファスナ雌材16が設けられることにより、ウエストベルト110の背部111及び腹部113が形成されている。
【0069】
背部111には、メッシュ生地1が、伸縮性編地17と重なり合って、縫製等によって固定されている。また、メッシュ生地1の左右の端部には、該端部を覆うように別布が縫着されても良い。脇部112は、伸縮性編地17によって形成されている。具体的には、脇部112には、他の布等が縫着されていない。
【0070】
腹部113には、面ファスナ雌材16が、伸縮性編地17と重なりあって、縫製等によって固定されている。また、面ファスナ雌材16の脇部112側の端部には、該端部を覆うように別布が縫着されても良い。また、ウエストベルト110の腹部113には、図6に示すウエストベルト10と同様に、面ファスナの雄面が設けられる。また、ウエストベルト110の周囲端部には、ウエストベルト110の端部を覆うように、縁巻部114が形成される。
【0071】
また、背部111には、合成樹脂等から略板状に形成される補強部材としての支柱115が取り付けられている。支柱115は、メッシュ生地1に取り付けられ、更に支柱115を覆うように支柱115の表面側に別布が縫着される。これにより、ウエストベルト110の強度が高められる。
【0072】
なお、ウエストベルト10、110には、伸縮自在な編地若しくは織物等からなる、例えば、ゴム紐等のベルト部材が設けられても良い。これにより、ウエストベルト10、110は、前述の面ファスナに加えて、伸縮自在なベルト部材によって、身体に固定されるようになる。このような構成により、ウエストベルト10、110の締め付け力を高めることができる。
【0073】
また、ウエストベルト10、110の周囲端部には縁巻部14、114が設けられるとしたが、メッシュ生地1の端部に縁巻部14、114が形成されずに、メッシュ生地1の端部が露出している構成でも良い。
【0074】
[実施例]
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明は以下に挙げる実施例によって何ら限定されるものではない。
図3等を参照して説明した製造方法によって、図1に示すメッシュ生地1として、2種類の試料P1及び試料P2を作製し、各種の評価を行った。
【0075】
先ず、準備工程S10として、試料P1及び試料P2の素材となるメッシュ状の編地2として試料P1a及び試料P2aをそれぞれ編成した。試料P1a及び試料P2aは、何れも経メリヤス編であり、編み方が異なる。
【0076】
試料P1の素材である試料P1aに用いられる編糸9は、芯鞘構造糸3及びポリエステル糸7の2種類である。試料P1aに用いられる芯鞘構造糸3は、芯成分5がポリエチレンテレフタレート、鞘成分6が低融点のポリエステル樹脂からなる16本のフィラメント4から構成されている。即ち、芯鞘構造糸3は、16F(フィラメント)の糸である。芯成分5の融点は、250℃から270℃であり、鞘成分6の融点は180℃である。また、試料P1aの芯鞘構造糸3は、太さが277.8dtexである。
【0077】
また、試料P1aに用いられるポリエステル糸7は、48Fで、太さが277.8dtexのレギュラーポリエステル糸である。ポリエステル糸7の融点は、250℃から270℃である。また、試料P1aに素材として含まれる各編糸9の比率は、芯鞘構造糸3が50質量%、ポリエステル糸7が50質量%である。作製した試料P1aの大きさは、幅が150cm、長さが35mである。試料P1aの編目密度は、18コース/インチ、19ウェール/インチである。
【0078】
試料P2の素材である試料P2aは、試料P1aと編み方が異なる編地2である。試料P2aに用いられる編糸9の種類及びその混用比率は、試料P1aと同じである。作製した試料P2aの大きさは、幅が125cm、長さが50mである。試料P2aの編目密度は、17コース/インチ、19ウェール/インチである。
【0079】
そして、試料P1a及び試料P2aについて、加熱温度170℃の条件下で、図3に示す熱セット工程S20を実行して、それぞれに熱セットを施した。その後、試料P1a及び試料P2aをそれぞれ図4に示す製造装置20にセットし、図3に示す引き伸ばし工程S30、カレンダ加工工程S40及び巻き取り工程S50を実行し、メッシュ生地1の試料P1及び試料P2を形成した。試料P1を形成するカレンダ加工工程S40における加熱温度は、150℃である。また、カレンダ加工工程S40におけるプレスロール25による線圧力は、65.3kN/mである。試料P1の送り速度は、毎分2.5mである。
【0080】
試料P2を形成するカレンダ加工工程S40における加熱温度は、試料P1の場合と同じく、150℃である。試料P2を形成する際のカレンダ加工工程S40における線圧力は、78.4kN/mである。また、試料P2の送り速度は、毎分2.5mである。
【0081】
[比較例]
比較例として、編み方の異なる2種類のメッシュ生地の試料P11及びP12を作製した。試料P11の素材となる編地2は、前述の実施例に係る試料P1の素材である試料P1aと同一であり、試料P12の素材となる編地2は、前述の実施例に係る試料P2の素材である試料P2aと同一である。
【0082】
比較例としてのメッシュ生地の試料P11及び試料P12では、カレンダ加工工程S40を行わずに、従来技術のメッシュ生地と同じように、温風加熱式のヒートセット装置を用いて熱セット処理を行って、芯鞘構造糸3を融着させた。熱セット処理における試料P11及びP12の加熱温度は、170℃である。
【0083】
上記の方法で作製された試料P1、試料P2、試料P11及び試料P12について、厚み寸法及び剛軟度を測定し、目視及び指触により編糸9の接合状況、触感、風合い、端部の状況等を比較評価した。
【0084】
図8は、本発明の実施例に係るメッシュ生地1の試料P1、P2及び比較例に係るメッシュ生地の試料P11、P12の評価結果を示す表である。
図8に示すように、本発明の実施例に係るカレンダ加工工程S40を経た試料P1の厚さは、約0.75mmから0.90mmであった。これに対し、従来技術の熱セットによって同じ素材である試料P1aから作製された比較例としての試料P11の厚さは、約1.4mmであった。このように、本発明の実施例による試料P1の厚さは、比較例の試料P11の厚さのおよそ1/2であった。
【0085】
また、編み方の異なる実施例に係る試料P2の厚さは、約0.50mmから0.55mmであった。これに対し、従来技術の熱セットによって同じ素材である試料P2aから作製された比較例としての試料P12の厚さは、約0.9mmであった。このように、実施例に係る試料P2の厚さは、比較例の試料P12の厚さのおよそ1/2であった。
【0086】
また、カレンダ加工工程S40を経た実施例に係る試料P1及び試料P2は、何れも主面が滑らかで良好な肌触りであった。比較例の試料P11及び試料P12の主面は、何れもざらついた手触りであり、試料P1及び試料P2とは、顕著に相違していた。
また、比較例の試料P11及び試料P12では、メッシュ生地の端部に手を滑らすと引っ掛かる感触があるが、本発明の実施例に係る試料P1及び試料P2は、メッシュ生地1の端部も滑らかで引っ掛かりも感じられない。
【0087】
また、試料P1、P2、P11、P12について、JIS L1096 A法(45°カンチレバー法)に準拠して、カンチレバー値(剛軟度)を測定した。試験片の大きさは、試料P1及び試料P11については、横25mm、縦300mm、試料P2及び試料P12については、横20mm、縦300mmである。測定の結果、試料P1のカンチレバー値は、20cm、試料P2については、21cmであった。試料P11及び試料P12の何れについても、ウエストベルト等の用途に好適な剛性であることが分かる。
【0088】
図9(A)は、実施例に係るメッシュ生地1の試料P1の断面を示す写真であり、図9(B)は、比較例としての従来技術の方法による試料P11の断面を示す写真である。図10(A)は、編み方を変えた実施例に係るメッシュ生地1の試料P2の断面を示す写真であり、図10(B)は、比較例としての従来技術の方法による試料P12の断面を示す写真である。なお、図9及び図10に示す写真は、マイクロスコープを用いて撮影され、それぞれの撮影倍率は、50倍である。
【0089】
図9(A)に示すように、カレンダ加工工程S40で加熱圧縮されて形成された試料P1では、メッシュ生地1を構成する編糸9の束がメッシュ生地1の厚さ方向に潰れていることが分かる。これに対し、図9(B)に示す比較例の試料P11では、編糸9の束は横断面略円形状に形成されており、潰れていない。また、比較例の試料P11では、芯鞘構造糸3のフィラメント4や、ポリエステル糸7のフィラメント8が飛び出ていることも見て取れるが、図9(A)に示す試料P1では、フィラメント4やフィラメント8の飛び出しは小さい。
【0090】
図10(A)及び(B)に示すように、編み方を変えて評価した実施例の試料P2及び比較例の試料P12についても、上記と同様の評価結果となった。即ち、図10(A)から明らかなように、実施例に係る試料P2では、編糸9が重なった部分がメッシュ生地1の厚さ方向に潰れて略扁平状に形成されており、フィラメント4やフィラメント8の飛び出しも殆どない。これに対し、図10(B)に示す比較例に係る試料P12では、編糸9が潰れておらず、フィラメント4間の間隔またはフィラメント8間の間隔が広く、フィラメント4やフィラメント8の飛び出しも大きい。
【0091】
図11(A)は、本発明の実施例に係るメッシュ生地1の試料P1、P2及び比較例に係るメッシュ生地の試料P11、P12について摩擦係数を測定した結果の一例を示す表であり、図11(B)は、試料P1、P2、P11、P12について表面粗さを測定した結果の一例を示す表である。
【0092】
前述のとおり作製された試料P1、試料P2、試料P11及び試料P12について、カトーテック株式会社製の「KES−FB4−A 表面試験機」を用いて、摩擦係数及び表面粗さを測定した。なお、測定は、各試料の表面のタテ方向及びヨコ方向、並びに裏面のタテ方向及びヨコ方向について、それぞれ行っている。
【0093】
図11(A)に示すように、測定の結果、本発明の実施例に係る試料P1の摩擦係数は、表面のタテ方向が0.118、表面のヨコ方向が0.127、裏面のタテ方向が0.115、裏面のヨコ方向が0.186であった。また、試料P2の摩擦係数は、表面のタテ方向が0.117、表面のヨコ方向が0.166、裏面のタテ方向が0.148、裏面のヨコ方向が0.162であった。
【0094】
これに対して、比較例である試料P11の摩擦係数は、表面のタテ方向が0.147、表面のヨコ方向が0.284、裏面のタテ方向が0.141、裏面のヨコ方向が0.176であった。また、試料P12の摩擦係数は、表面のタテ方向が0.148、表面のヨコ方向が0.178、裏面のタテ方向が0.144、裏面のヨコ方向が0.215であった。
【0095】
また、図11(B)に示すように、本発明の実施例に係る試料P1の表面粗さは、表面のタテ方向が4.12μm、表面のヨコ方向が7.88μm、裏面のタテ方向が8.79μm、裏面のヨコ方向が11.47μmであった。また、試料P2の表面粗さについて、表面のタテ方向が3.42μm、表面のヨコ方向が13.18μm、裏面のタテ方向が7.95μm、裏面のヨコ方向が5.32μmであった。
【0096】
これに対して、比較例の試料P11の表面粗さは、表面のタテ方向が5.16μm、表面のヨコ方向が20μm以上、裏面のタテ方向が20μm以上、裏面のヨコ方向が12.09μmであった。また、試料P12の表面粗さは、表面のタテ方向が7.95μm、表面のヨコ方向が20μm以上、裏面のタテ方向が10.48μm、裏面のヨコ方向が11.59μmであった。
【0097】
上記の測定結果により、カレンダ加工工程S40で加熱圧縮されて形成された試料P1、試料P2は、温風加熱式のヒートセット装置を用いて熱セット処理が施された後にカレンダ加工工程S40が実行されていない試料P11、P12よりも摩擦係数及び表面粗さが小さくなっている。これにより、カレンダ加工工程S40を行うことにより、メッシュ生地1の主面が滑らかで良好な肌触りになることが示された。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0099】
1 ウエストベルト用メッシュ生地
2 編地
3 芯鞘構造糸
4 フィラメント
5 芯成分
6 鞘成分
7 ポリエステル糸
8 フィラメント
9 編糸
10、110 ウエストベルト
11、111 背部
12、112 脇部
13、113 腹部
14、114 縁巻部
16 面ファスナ雌材
17 伸縮性編地
20 製造装置
21 籠
22 テンションロール
23 ガイドロール
24 加熱ロール
25 プレスロール
26 テンションロール
27 巻取機
30 編機
31 ガイド孔
115 支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11