(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6829137
(24)【登録日】2021年1月25日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20210128BHJP
B65D 50/12 20060101ALI20210128BHJP
B05B 11/00 20060101ALI20210128BHJP
【FI】
B65D47/34 200
B65D50/12
B05B11/00 101E
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-69697(P2017-69697)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-172123(P2018-172123A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−344823(JP,A)
【文献】
特開2009−202906(JP,A)
【文献】
特開平10−095450(JP,A)
【文献】
特開平08−268452(JP,A)
【文献】
特開2001−240110(JP,A)
【文献】
実開昭57−186348(JP,U)
【文献】
実開昭62−137237(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 11/00
B65D 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部(4)から、基筒部(10)を経て外面にねじ部(16)が形成された先筒部(14)に連続する口頸筒(8)を起立させた容器体(2)と、
前記先筒部(14)の外面に螺合された装着筒(24)を介して、前記容器体(2)に挿入されたシリンダ(28)の上部が前記口頸筒(8)へ着脱可能に装着されるとともに、吐出ヘッド(38)を有する作動部材(34)の下半部を前記シリンダ(28)内に上方付勢状態で昇降可能に嵌挿させ、作動部材の昇降により容器体(2)内の液体をシリンダ(28)内へ吸い上げ、かつシリンダ(28)内から吐出ヘッド(38)より吐出することが可能に設けた吐出ポンプ(20)と、
前記基筒部(10)の周囲に設けたカバーリング(40)と
を具備し、
前記カバーリング(40)は、前記基筒部(10)を囲む下方位置から、前記装着筒(24)の外面全体を覆う上方位置へ移動可能であるとともに、この上方位置で装着筒(24)に対して回動自在であり、
前記上方位置へ移動したカバーリング(40)が装着筒(24)の外面から離脱しないように垂直方向に対して係止する係止手段(E)を設けた吐出容器において、
前記係止手段(E)は、カバーリング(40)の内面に付設された上側係合突部(44A)及び下側係合突部(44B)で形成されており、
前記上側係合突部(44A)は可撓性を有し、
カバーリング(40)が下方位置から上方位置へ移動したときに前記上側係合突部(44A)が装着筒(24)の外面を乗り越えて当該装着筒(24)の上端面に係止するとともに、前記下側係合突部(44B)が装着筒(24)の下端面に突き当たり、上側係合突部(44A)及び下側係合突部(44B)の間に装着筒(24)を挟持するように形成されたことを特徴とする、吐出容器。
【請求項2】
前記カバーリング(40)には、同数の上側係合突部(44A)及び下側係合突部(44B)が周方向に間欠的にかつ上方から見て上側係合突部(44A)及び下側係合突部(44B)が重ならないように互い違いに形成されたことを特徴とする、請求項1記載の吐出容器。
【請求項3】
前記基筒部(10)の回りで前記カバーリング(40)を支える仮留め手段(T)を設け、この仮留め状態で前記上側係合突部(44A)が装着筒(24)の下方にあるように形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記カバーリング(40)は、前記装着筒(24)全体を覆うことが可能なカバー筒部(42)を有するとともに、このカバー筒部(42)から拡径段部(46)を介して嵌合用筒部(48)を垂下させており、
前記カバー筒部(42)の内面上端部に上側係合突部(44A)を、当該内面の下端部に下側係合突部(44B)をそれぞれ付設させており、
前記基筒部(10)外面に嵌合凸部(12)を付設しており、
前記仮留め手段(T)は、嵌合凸部(12)と拡径段部(46)とで形成され、拡径段部(46)が嵌合凸部(12)に突き当たるまでカバーリング(40)を押し下げることでカバーリング(40)が仮留めされるように形成したことを特徴とする請求項3に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばホテルなどの業務用で吐出容器を使用する場合に、容器体内に異物を混入されるなどの悪戯を予防する措置を講ずることが望まれる。
こうした要請に応える吐出容器として、口頸部を起立する容器体と、その口頸部に装着された吐出ポンプと、カバーリングとからなり、
吐出ポンプは、容器体の口頸部の外面に螺合された装着筒の上端から内向きフランジを突出するとともに、この内向きフランジと口頸部との間にシリンダの上端の鍔部を挟持させて、当該ポンプを容器体内へ垂設させ、このシリンダ内に作動部材の下半部を昇降自在にかつ上方付勢状態で垂下させてなり、
カバーリングは、前記装着筒の外面に昇降自在に嵌合されており、
装着筒に対するカバーリングの上限位置で装着筒にカバーリングをロックするとともに下限位置でロックを解除するロック機構が設けられており、
上限位置にあるカバーリングを回転させると装着筒がともに回転して口頸部から離脱させることができるとともに、下限位置にあるカバーリングを回転させると、カバーリングが装着筒に対して空転して、装着筒を螺脱させることができないように構成されたものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−240110
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の吐出容器は、口頸部に対してカバーリングを下限位置にセットしてホテルの客室などに装備させ、この状態でカバーリングを回転しても吐出ポンプを取り外すことができないとともに、従業員が内容物を詰め替えるときには、カバーリングを上限位置に移動して吐出ポンプを容器体から外し、新しい容器体を充填できるようにしている。
しかしながら、例えば中身が洗口剤などである場合には詰め替え又は差し替えを行わないので、一旦、吐出ポンプの装着筒を容器体の口頸部に締め付けて螺着させ、利用者の使用に供した後には、再び吐出ポンプを取り外すことができない形態とすることが望まれる。
もっとも前記装着筒を口頸部に締め付ける際に稀に装着筒の締め付けトルクが規定値よりしまう場合があるため、そうした事態に備えて増し締めの余地を残すことが望ましい。
また吐出容器を家庭で使用する場合には前記悪戯などの心配がないので、容器体及び吐出ポンプは従来の構成を大きく変更することなく、カバーリングを省略した形態で提供することができるようにすることが、コスト面からも好都合である。
【0005】
本発明の第1の目的は、容器体に装着した吐出ポンプの装着筒の外面をカバーリングで覆うことで吐出ポンプの不正な取外しを防止するとともに、そのカバー状態を解除できない吐出容器を提供することである。
本発明の第2の目的は、容器体への吐出ポンプの取り付け作業を的確に行うことができる吐出容器を提供することである。
本発明の第3の目的は、従来の吐出ポンプの既知の構造にカバーリングを適用することで前記各目的を実現できる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の手段は、胴部4から、基筒部10を経て外面にねじ部16が形成された先筒部14に連続する口頸筒8を起立させた容器体2と、
前記先筒部14の外面に螺合された装着筒24を介して、前記容器体2に挿入されたシリンダ28の上部が前記口頸筒8へ着脱可能に装着されるとともに、吐出ヘッド38を有する作動部材34の下半部を前記シリンダ28内に上方付勢状態で昇降可能に嵌挿させ、作動部材の昇降により容器体2内の液体をシリンダ28内へ吸い上げ、かつシリンダ28内から吐出ヘッド38より吐出することが可能に設けた吐出ポンプ20と、
前記基筒部10の周囲に設けたカバーリング40と
を具備し、
前記カバーリング40は、前記基筒部10を囲む下方位置から、前記装着筒24の外面全体を覆う上方位置へ移動可能であるとともに、この上方位置で装着筒24に対して回動自在であり、
前記上方位置へ移動したカバーリング40が装着筒24の外面から離脱しないように垂直方向に対して係止する係止手段Eを設け
た吐出容器において、
前記係止手段Eは、カバーリング40の内面に付設された上側係合突部44A及び下側係合突部44Bで形成されており、
前記上側係合突部44Aは可撓性を有し、
カバーリング40が下方位置から上方位置へ移動したときに前記上側係合突部44Aが装着筒24の外面を乗り越えて当該装着筒24の上端面に係止するとともに、前記下側係合突部44Bが装着筒24の下端面に突き当たり、上側係合突部44A及び下側係合突部44Bの間に装着筒24を挟持するように形成された。
【0007】
本手段では、
図1に示す如く、胴部4から、基筒部10を経て先筒部14に連続する口頸筒8を起立させた容器体2を設けるとともに、前記先筒部14に吐出ポンプ20の装着筒24を螺着させ、かつ基筒部10の周囲に設けたカバーリング40を、同図に示す下方位置から、
図6に示すように装着筒24の外面全体を覆う上方位置へ移動することができるようにしている。この状態では、カバーリング40が装着筒24の外面全体を覆っているため、装着筒24を手で回すことができず、またカバーリング40を回転させると装着筒24に対して空転するために、やはり装着筒24を回転させることができない。従って口頸筒8に対して装着筒24を螺脱させて吐出ポンプ20を取り外すことができず、異物を容器体に混入させることもできない。またカバーリング40は、前記上方位置に移動した後に係止手段Eにより装着筒24から離脱させることができないので、悪戯防止機能が確実なものとなる。
【0009】
また本手段では、前述の係止手段Eを、
図1から
図3に示すようにカバーリング40の内面に付設された上側係合突部44A及び下側係合突部44Bで形成することを提案している。これら上側係合突部44A及び下側係合突部44Bは、装着筒24の上端面及び下端面にそれぞれ当接するように形成している。吐出ポンプ20の装着筒24は従来の容器の既知の構造であり、カバーリング40の取付けのための特別の仕組みを設ける必要はないから、カバーリング40を省略した形態でも体裁が悪くなったり、その仕組みを設けるためにコストを生ずることがない。
【0010】
第
2の手段は、第
1の手段を有し、かつ
前記カバーリング40には、同数の上側係合突部44A及び下側係合突部44Bが周方向に間欠的にかつ上方から見て上側係合突部44A及び下側係合突部44Bが重ならないように互い違いに形成された。
【0011】
本手段では、カバーリング40には、同数の上側係合突部44A及び下側係合突部44Bが
図2に示すように周方向に間欠的に、かつ
図3に示すように上方から見て上側係合突部44A及び下側係合突部44Bが重ならないように互い違いに形成された構造を提案している。この構成では、カバーリング40を金型成形するときに型抜きが容易であるので、製造し易い。
【0012】
第
3の手段は、第
1の手段又は第
2の手段を有し、かつ
前記基筒部10の回りで前記カバーリング40を支える仮留め手段Tを設け、この仮留め状態で前記上側係合突部44Aが装着筒24の下方にあるように形成した
【0013】
本手段では、
図1に示す如く、基筒部10の回りで前記カバーリング40を支える仮留め手段Tを設けている。この仮留め状態で前記上側係合突部44Aが装着筒24の下方にあるので、この状態では、カバーリング40によって邪魔されることなく、装着筒24の回転操作を行うことができる。たとえば口頸筒8に対する装着筒24の締め付けトルクが所定量に足りないと気づいたときに、締め増しを行うことも可能である。
【0014】
第
4の手段は、第
3の手段を有し、かつ
前記カバーリング40は、前記装着筒24全体を覆うことが可能なカバー筒部42を有するとともに、このカバー筒部42から拡径段部46を介して嵌合用筒部48を垂下させており、
前記カバー筒部42の内面上端部に上側係合突部44Aを、当該内面の下端部に下側係合突部44Bをそれぞれ付設させており、
前記基筒部10外面に嵌合凸部12を付設しており、
前記仮留め手段Tは、嵌合凸部12と拡径段部46とで形成され、拡径段部46が嵌合凸部12に突き当たるまでカバーリング40を押し下げることでカバーリング40が仮留めされるように形成した。
【0015】
本手段では、
図1に示す如く、カバーリング40は、前記装着筒24全体を覆うことが可能であり、内面の上端部及び下端部にそれぞれ上側係合突部44A及び下側係合突部44Bが設けたカバー筒部42と、このカバー筒部42から拡径段部46を介して垂下した嵌合用筒部48とを有する。基筒部10の外面には嵌合凸部12が付設されており、この嵌合凸部12と拡径段部46とで前述の仮留め手段Tを形成している。これらの構造は簡易であるので、廉価に製造できる。
【発明の効果】
【0016】
第1の手段に係る発明によれば、カバーリング40は口頸筒8の基筒部10を囲む下方位置から、前記装着筒24の外面全体を覆う上方位置へ移動することにより装着筒24に対して回動自在であり、かつ上方位置でカバーリング40が上方位置へ移動した後に装着筒24の外面から離脱しないようにカバーリング40を係止する係止手段Eを設けたから、異物を混入させるなどの不正行為を確実とすることができる。
また第
1の手段に係る発明によれば、前記係止手段Eは、カバーリング40の内部に付設された上側係合突部44A及び下側係合突部44Bで形成され、カバーリング40が上方位置で移動したときにそれら上側係合突部44A及び下側係合突部44Bの間に装着筒24が挟持されるように設けたので、装着筒24を含む吐出ポンプ20は既存の構造でよく、既知の吐出容器に本発明のカバーリング40を適用できる。
第
2の手段に係る発明によれば、前記カバーリング40には、同数の上側係合突部44A及び下側係合突部44Bが周方向に間欠的にかつ上方から見て上側係合突部44A及び下側係合突部44Bが重ならないように互い違いに形成されているから、前記カバーリング40を金型成形することが容易である。
第
3の手段に係る発明によれば、前記基筒部10の回りで前記カバーリング40を支える仮留め手段Tを設け、この仮留め状態で前記上側係合突部44Aが装着筒24の下方にあるから、口頸筒8に吐出ポンプ20の装着筒24を着脱する際にカバーリング40が邪魔になることがなく、必要により装着筒24の締め増しを行うことができる。
第
4の手段に係る発明によれば、カバーリング40は、装着筒24全体を覆うことが可能なカバー筒部42から拡径段部46を介して嵌合用筒部48を垂下させており、拡径段部46が基筒部10の外面に付設された嵌合凸部12に突き当たることで仮留め手段Tとして機能するようにしたから、カバーリング40の構成を簡易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る吐出容器の一部を切り欠いた側面図である。
【
図2】
図1の吐出容器の主要部材(カバーリング)の縦断面図である。
【
図4】
図1の吐出容器の各部材を分解状態で示す説明図である。
【
図5】
図4の各部材を組み付ける作業の説明図である。
【
図6】
図4の組み付け作業の後にカバーリングを所定箇所に移動する作業の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1から
図6は、本発明の実施形態に係る吐出容器を示している。この吐出容器は、容器体2と、吐出ポンプ20と、カバーリング40とで形成されている。これら各部材は、合成樹脂や金属で形成することができる。
【0019】
容器体2は、胴部4から肩部6を介して口頸筒8を起立している。この口頸筒8は、
図1に示す初期状態で後述のカバーリング40をセットするための基筒部10と、後述の装着筒24を螺合させるための先筒部14とを有する。
前記基筒部10は、先筒部14より大径で長く形成されている。図示例では、肩部6の上端から縦筒部10aを経て上端小径のテーパ状筒部10bへ連設させており、縦筒部10aの下端寄りには嵌合凸部12が周設されている。前記縦筒部10aは、嵌合凸部12が設けられた箇所を除いて、後述の装着筒24とほぼ同外径に形成されている。
前記先筒部14の外面には
図4に示す如くねじ部16が形成されている。
【0020】
吐出ポンプ20は、従来公知の構成であり、図示例では、装着部材22と、シリンダ28と、抜止め部材32と、作動部材34とで構成されているが、これらの構造は適宜変更することができる。
前記装着部材22は、前記口頸筒8の先筒部14の外面に螺合させた装着筒24を有し、この装着筒24の上端から、
図4に示す内向きフランジ26を突設している。
前記シリンダ28は、そのシリンダ周壁の上端から外方突出する鍔部30を有する(
図4参照)。そして鍔部30を前記口頸筒8と内向きフランジ26との間に挟持させることにより、容器体2内に前記シリンダ28が垂設されている。シリンダ28の下部からは容器体2の底部側へ吸い上げパイプ29が垂下されている。
前記抜止め部材32は、後述の作動部材34の抜け出しを防止するためにシリンダ28の上部に取り付けられた環状の部材である。好適な一例として、抜止め部材32は、頂壁32aの裏面から、内筒及び外筒を2重筒状に垂設させるとともに、上記シリンダ28の周壁を鍔部30より上方へ延長し、この延長壁部の内外面に前記内筒及び外筒を嵌着させて固定するとよい。
作動部材34は、その下半部をシリンダ28内に上方付勢状態で昇降可能に挿入させるとともに、シリンダ28内から抜止め部材32の内部を通るステム36を起立し、このステムの上端に吐出ヘッド38を付設している。吐出ヘッド38は吐出ノズル38aを有する。ステム36の上部には
図5に示すように螺条37が形成されており、
図1の状態では、前記抜止め部材32の内筒に作動部材34をネジ留めさせている。もっともこれらの構造は適宜変更することができる。
図示はしないが、シリンダ28の下部には第1逆止弁が、作動部材34の適所には第2逆止弁がそれぞれ形成されており、シリンダ28に対する作動部材34の上下動により、液体を容器体2内から第1逆止弁を介してシリンダ28内へ吸い込み、かつ第2逆止弁を介して吐出ノズル38aから外部へ吐出できるように構成している。
【0021】
カバーリング40は、
図1において、前記口頸筒8の基筒部10を囲むように設けられており、図示例において、基筒部10と同程度の長さを有する。カバーリング40は、
図1に示す下方位置から
図6に示す上方位置へ移動可能に設けられている。
図示のカバーリング40は、カバー筒部42の下端から拡径段部46を介してカバー筒部42より大径の嵌合用筒部48を垂下させてなる。
前記カバー筒部42は、前記装着筒24の外面全体を覆うことが可能な筒長を有する。
本実施形態では、
図2に示す如く、カバー筒部42の内面上端部に上側係合突部44Aが、当該内面の下端部に下側係合突部44Bがそれぞれ付設されている。カバーリング40が
図6に示す上方位置にある状態では、上側係合突部44Aが装着筒24の上端面に、下側係合突部44Bが装着筒24の下端面にそれぞれ当接されることにより、上側係合突部44A及び下側係合突部44Bの間に装着筒24が挟持される。これら上側係合突部44A及び下側係合突部44Bは、前記カバー筒部42が
図6に示す上方位置から上方及び下方へ離脱することを防止する係止手段Eを形成する。
前記上側係合突部44A及び下側係合突部44Bは、カバー筒部42の周方向に間欠的に複数設けることが望ましい。さらに好適な図示例では、同数の上側係合突部44A及び下側係合突部44Bを、上方から見て重ならないように
図3に示すように互い違いに形成している。これにより、カバーリング40を金型で成形することが容易となる。
図示の上側係合突部44Aは、カバー筒部42の上端部から下内方へ突出した逆刺状の突片であり、
図5の状態からカバーリング40を押し上げるときには、装着筒24の外面に当接して弾性的に撓むとともに、装着筒24を乗り越えたときには、原形状に復帰し、装着筒24の上端面に係止するように形成されている。
下側係合突部44Bは、カバー筒部42の内面下端部から水平に内方突設されている。もっともこの構造は適宜変更することができ、例えば下側係合突部44Bをカバー筒部42の内面下端部から下内方或いは上内方へ突出しても構わない。
前記嵌合用筒部48は、前記拡径段部46より直筒状に垂下しており、嵌合用筒部48の内面には前記嵌合凸部12がスライド可能に当接されている。
嵌合凸部12と拡径段部46とは、カバーリング40の仮留め手段Tを形成している。すなわち、前記口頸筒8の回りにカバーリング40を嵌合させる際に、拡径段部46が嵌合凸部12に突き当たるまでカバーリング40を下降させることで、カバーリング40が一定の高さで仮留めされる。その状態では、上側係合突部44Aは、装着筒24の下方にあるように設計されている。従って口頸筒8へ装着筒24を螺着させるときに、カバーリング40が邪魔になることがない。
本願容器の組立の際には、前記カバーリング40は、予め容器体2の口頸筒8の基筒部10に嵌合させておき、この状態で容器体2に内容物を充填するとよい。次に口頸筒8の先筒部14に吐出ポンプ20の装着筒24を嵌挿すると、
図1の構成となる。
【0022】
前記構成において、
図1の状態は、商品としての流通段階での態様であり、装着筒24は未だカバーリング40で覆われていないので、装着筒24を操作することができる。この状態で、吐出ヘッド38を抜止め部材32に対して回転して、
図5に示す如く、吐出ヘッド38をステム36とともに引き上げる。初期状態では、シリンダ28の内部には空気が入っているので、幾度か作動部材34を昇降させて空気を排気する(初期プライミング)と液体を吐出できる状態になる。
次にカバーリング40を
図6に示すように引き上げると、上側係合突部44A及び下側係合突部44Bが装着筒24の上下両端部に係止するので、装着筒24から離脱させることができない。この状態では、カバーリング40を回転操作しても、装着筒24に対してカバーリング40が空転するので、装着筒24を口頸筒8から螺脱させることができない。またカバーリング40は装着筒24の外面全体を覆っているので、装着筒24を直接手で回転させることもできない。従って、容器体に異物を混入する悪戯を完全に防止できる。
なお、前記吐出ヘッド38を上昇させてからカバーリング40を上昇させる理由を説明する。仮に吐出ヘッド38を上昇させる前にカバーリング40を装着筒24の回りにセットすると、口頸筒8に対して装着筒24を締め付ける作業において稀に締め付けトルクが規定値より低かった場合に、装着筒24をさらに締め増すことができず、使用不可能となってしまう可能性がある。こうした事態を回避し、締め増しの余地を残すために、先に吐出ヘッド38を上昇させることを先行させるのである。
【符号の説明】
【0023】
2…容器体 4…胴部 6…肩部 8…口頸筒
10…基筒部 10a…縦筒部 10b…テーパ状筒部 12…嵌合凸部
14…先筒部 16…ねじ部
20…吐出ポンプ 22…装着部材 24…装着筒 26…内向きフランジ
28…シリンダ 29…吸上げパイプ 30…鍔部
32…抜止め部材 32a…頂壁
34…作動部材 36…ステム 37…螺条 38…吐出ヘッド 38a…吐出ノズル
40…カバーリング 42…カバー筒部 44A…上側係合突部
44B…下側係合突部 46…拡径段部 48…嵌合用筒部
E…係止手段 T…仮留め手段