(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、構成された実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付す。
【0008】
図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0009】
また、本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を導入する。この座標系においては、半導体基板の上面に平行な方向であって相互に直交する2方向をX方向(D1)及びY方向(D2)とし、X方向及びY方向の双方に対して直交する方向、すなわち各層の積層方向をZ方向(D3)とする。
【0010】
<1>第1実施形態
<1−1>構成
<1−1−1>メモリシステムの構成
図1を用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの基本的な構成を概略的に説明する。メモリシステム4は、半導体記憶装置1、及びメモリコントローラ2を備えている。
【0011】
<1−1−2>メモリコントローラの構成
メモリコントローラ2は、パーソナルコンピュータ等のホスト(外部機器)3から命令を受けて、半導体記憶装置1からデータを読み出したり、半導体記憶装置1にデータを書き込んだりする。
【0012】
メモリコントローラ2は、ホストインタフェース(Host interface(I/F))21と、データバッファ22と、レジスタ23と、CPU24と、デバイスインタフェース(Device Interface(I/F))25と、ECC回路26と、を備えている。
【0013】
ホストインタフェース21は、ホスト3と接続されている。このホストインタフェース21を介して、ホスト3とメモリシステム4との間でデータの送受信等が行われる。
【0014】
データバッファ22は、ホストインタフェース21に接続される。データバッファ22は、ホストインタフェース21を介してホスト3からメモリシステム4に送信されたデータを受け取り、これを一時的に記憶する。また、データバッファ22は、メモリシステム4からホストインタフェース21を介してホスト3へ送信されるデータを一時的に記憶する。データバッファ22は、揮発性のメモリでも、不揮発性のメモリでも良い。
【0015】
レジスタ23は、例えば揮発性のメモリであり、CPU24により実行される設定情報、コマンド、及びステータスなどを記憶する。レジスタ23は、揮発性のメモリでも、不揮発性のメモリでも良い。
【0016】
CPU24は、メモリシステム4の全体の動作を司る。CPU24は、例えばホスト3から受けたコマンドに従って半導体記憶装置1に対する所定の処理を実行する。
【0017】
デバイスインタフェース25は、メモリコントローラ2と、半導体記憶装置1との間で各種信号などの送受信を行う。
【0018】
ECC回路26は、データバッファ22を介して、ホスト3から受信した書き込みデータを受信する。そして、ECC回路26は、書き込みデータにエラー訂正符号を付加する。ECC回路26は、エラー訂正符号が付された書き込みデータを、例えばデータバッファ22、またはデバイスインタフェース25に供給する。
【0019】
また、ECC回路26は、デバイスインタフェース25を介して半導体記憶装置1から供給されたデータを受信する。ECC回路26は、半導体記憶装置1から受信したデータにエラーが存在するか否かの判定を行う。ECC回路26は、受信したデータにエラーが存在すると判定する場合、受信したデータに対してエラー訂正符号を用いてエラー訂正処理を行う。そして、ECC回路26は、エラー訂正処理したデータを、例えばデータバッファ22、デバイスインタフェース25等に供給する。
【0020】
<1−1−3>半導体記憶装置
図2を用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置の基本的な構成を概略的に説明する。
【0021】
第1実施形態に係る半導体記憶装置1は、周辺回路10、及びメモリ領域11を備えている。
【0022】
メモリ領域11は、複数のバンクBK(
図2の例では2個のバンクBK)を備える。例えば、これらバンクBKは、独立に活性化することが可能である。バンクBKの詳細については後述する。
【0023】
周辺回路10は、カラムデコーダ12と、ワード線ドライバ13と、ロウデコーダ14と、コマンドアドレス入力回路15と、コントローラ16と、IO回路17と、を備えている。
【0024】
カラムデコーダ12は、外部制御信号に基づいて、コマンドアドレス信号CAによるコマンドまたはアドレスを認識して、ビット線BL及びソース線SLの選択を制御する。
【0025】
ワード線ドライバ13は、少なくともバンクBKの一辺に沿って配置される。また、ワード線ドライバ13は、データ読出しまたはデータ書込みの際に、メインワード線MWLを介して選択ワード線WLに電圧を印加するように構成されている。
【0026】
ロウデコーダ14は、コマンドアドレス入力回路15から供給されたコマンドアドレス信号CAのアドレスをデコードする。より具体的には、ロウデコーダ14はデコードしたロウアドレスを、ワード線ドライバ13に供給する。それにより、ワード線ドライバ13は、選択ワード線WLに電圧を印加することができる。
【0027】
コマンドアドレス入力回路15には、メモリコントローラ(ホストデバイスとも記載する)2から、各種の外部制御信号、例えば、チップセレクト信号CS、クロック信号CK、クロックイネーブル信号CKE、及びコマンドアドレス信号CA等が入力される。コマンドアドレス入力回路15は、コマンドアドレス信号CAをコントローラ16に転送する。
【0028】
コントローラ16は、コマンドとアドレスとを識別する。コントローラ16は、半導体記憶装置1を制御する。
【0029】
IO回路17は、データ線DQを介してメモリコントローラ2から入力された入力データ、又は選択されたバンクから読み出された出力データを一時的に格納する。入力データは、選択されたバンクのメモリセル内に書き込まれる。
【0030】
<1−1−4>バンクBK
図3を用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置のバンクBKの基本的な構成を概略的に説明する。
【0031】
バンクBKは、メモリアレイ20aと、センスアンプ/ライトドライバ(SA/WD)20bと、ページバッファ20cと、を備えている。
【0032】
メモリアレイ20aは、複数のメモリセルMCがマトリクス状に配列されて構成される。メモリアレイ20aには、複数のワード線WL0〜WLi−1(iは2以上の整数)、複数のビット線BL0〜BLj−1(jは2以上の整数)、及び複数のソース線SL0〜SLj−1が配設される。1本のワード線WLには、メモリアレイ20aの一行が接続され、1本のビット線BL及び1本のソース線SLからなる1対には、メモリアレイ20aの一列が接続される。
【0033】
メモリセルMCは、磁気抵抗効果素子(MTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子)30、及び選択トランジスタ31から構成される。選択トランジスタ31は、例えばNチャネルMOSFETから構成される。
【0034】
MTJ素子30の一端は、ビット線BLに接続され、他端は選択トランジスタ31のドレイン(ソース)に接続される。選択トランジスタ31のゲートは、ワード線WLに接続され、ソース(ドレイン)はソース線SLに接続される。
【0035】
センスアンプ/ライトドライバ20bは、メモリアレイ20aのビット線方向に配置されている。センスアンプ/ライトドライバ20bは、センスアンプと、ライトドライバとを備えている。グローバルビット線GBLを介してビット線BLに接続され、メインワード線MWLを介して選択ワード線WLに接続されたメモリセルMCに流れる電流を検知することによって、メモリセルに格納されたデータを読み出す。ライトドライバは、グローバルビット線GBLを介してビット線BLに、またはグローバルソース線GSLを介してソース線SLに接続され、メインワード線MWLを介して選択ワード線WLに接続されたメモリセルMCに電流を流すことによってデータを書き込む。そして、センスアンプ/ライトドライバ20bは、コントローラ16からの制御信号に基づいて、ビット線BL及びソース線SLを制御する。センスアンプ/ライトドライバ20bとデータ線DQとの間のデータの授受は、IO回路17を介して行われる。
【0036】
ページバッファ20cは、メモリアレイ20aからリードしたデータまたはメモリコントローラ2から受信した書込みデータを一時的に保持する。メモリアレイ20aへのデータの書込みは、複数のメモリセル単位(ページ単位)で行われる。このように、一括してメモリアレイ20aに書込まれる単位を「ページ」と呼ぶ。また、本実施形態に係るページバッファ20cは、バンクBK毎に設けられ、バンクBKの全ページのデータを一時的に格納することができる程度の記憶容量を有している。
【0037】
尚、上述したバンクBKの構成は一例であり、バンクBKはこれ以外の構成であっても良い。
【0038】
<1−1−5>メモリセルMC
<1−1−5−1>概略
<1−1−5−1−1>第1例
続いて、
図4を用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルMCの構成の第1例について概略的に説明する。
図4に示すように、第1実施形態に係るメモリセルMCのMTJ素子30の一端はビット線BLに接続されており、他端は選択トランジスタ31の一端に接続されている。そして選択トランジスタ31の他端はソース線SLに接続されている。TMR(tunneling magnetoresistive)効果を利用したMTJ素子30は、2枚の強磁性層F,Pとこれらに挟まれた非磁性層(トンネル絶縁膜)Bとからなる積層構造を有し、スピン偏極トンネル効果による磁気抵抗の変化によりデジタルデータを記憶する。MTJ素子30は、2枚の強磁性層F,Pの磁化配列によって、低抵抗状態と高抵抗状態とを取り得る。例えば、低抵抗状態をデータ“0”と定義し、高抵抗状態をデータ“1”と定義すれば、MTJ素子30に1ビットデータを記録することができる。もちろん、低抵抗状態をデータ“1”と定義し、高抵抗状態をデータ“0”と定義してもよい。
【0039】
例えば、MTJ素子30は、記憶層(フリー層、記録層)F、非磁性層B、参照層(ピン層、固定層)P、を順次積層して構成される。参照層Pおよび記憶層Fは、強磁性体で構成されており、非磁性層Bは、絶縁膜(例えば、Al
2O
3,MgO)からなる。参照層Pは、磁化方向が固定されている層であり、記憶層Fは、磁化方向が可変であり、その磁化の向きによってデータを記憶する。
【0040】
書込み時に矢印A1の向きに電流を流すと、ピン層Pの磁化の向きに対してフリー層Fのそれが反平行状態(AP状態)となり、高抵抗状態(データ“1”)となる。書込み時に矢印A2の向きに電流を流すと、ピン層Pとフリー層Fとのそれぞれの磁化の向きが平行状態(P状態)となり、低抵抗状態(データ“0”)となる。このように、MTJ素子は、電流を流す方向によって異なるデータを書き込むことができる。上述の「磁化方向が可変」とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わることを示す。また、「磁化方向が固定」とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わらないことを示す。
【0041】
<1−1−5−1−2>第2例
続いて、
図5用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルMCの構成の第2例について概略的に説明する。以下では、第1例と異なる点のみ説明する。
図5に示すように、第2例においては、MTJ素子30は、参照層(ピン層、固定層)P、非磁性層B、記憶層(フリー層、記録層)Fを順次積層して構成される。
【0042】
書込み時に矢印A3の向きに電流を流すと、ピン層Pの磁化の向きに対してフリー層Fのそれが反平行状態(AP状態)となり、高抵抗状態(データ“1”)となる。書込み時に矢印A4の向きに電流を流すと、ピン層Pとフリー層Fとのそれぞれの磁化の向きが平行状態(P状態)となり、低抵抗状態(データ“0”)となる。
【0043】
なお、以下ではメモリセルMCの構成は、第1例に基づいて半導体記憶装置について説明する。
【0044】
<1−1−5−2>断面
次に、
図6を用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置のメモリセルMCの断面について概略的に説明する。
【0045】
図6に示すように、アクティブエリアAAは、半導体基板100に形成される素子分離領域(STI)110によって、区画される。素子分離領域110は、例えばシリコン酸化膜によって構成される。
【0046】
アクティブエリアAAの表面上には、ソース/ドレイン拡散領域101及びソース/ドレイン拡散領域102が設けられる。ソース/ドレイン拡散領域101及びソース/ドレイン拡散領域102間のアクティブエリアAAの表面上には、ゲート絶縁膜103を介して、ゲート電極104が設けられる。ゲート電極104は、ワード線WLとして用いられる。アクティブエリアAA上に設けられたゲート絶縁膜103及びゲート電極104の積層構造は、選択トランジスタ31として機能する。尚、選択トランジスタ31は、ゲート電極104が、アクティブエリアAA内の溝(リセス)内にゲート絶縁膜103を介して埋め込まれた構造を有しても良い。
【0047】
MTJ素子30の上端は、ビット線コンタクト(BLC)106を介してビット線(BL)107に接続される。また、MTJ素子30の下端は、ビット線コンタクト(BLC)105を介して、選択トランジスタ31のソース/ドレイン拡散領域101に接続される。選択トランジスタ31のソース/ドレイン拡散領域101は、ソース線コンタクト(SLC)108を介してソース線(SL)109に接続される。上記コンタクトは、例えばアルミ(Al)、またはタングステン(W)等で構成される。また、ビット線107及びソース線109は、例えば銅(Cu)、またはアルミ(Al)等で構成される。
【0048】
MTJ素子30は、少なくとも、参照層30a(P)、非磁性層30b(B)、及び記憶層30c(F)を含む。非磁性層30b(B)は、固定層30a(P)と記憶層30c(F)とに挟まれる。MTJ素子30の下部に、下部電極30dが設けられる。下部電極30dは、記憶層30c(F)と、ビット線コンタクト105と、を電気的に接続する。MTJ素子30の上部に、上部電極30eが設けられる。上部電極30eは、参照層30a(P)と、ビット線コンタクト106と、を電気的に接続する。
【0049】
参照層30a(P)及び記憶層30c(F)は、垂直磁気異方性を有する磁性層である。参照層30a(P)及び記憶層30c(F)の磁化(磁化方向)は、層面(膜面)に対してほぼ垂直である。記憶層30c(F)の磁化の向きは可変であり、参照層30a(P)の磁化の向きは不変(固定状態)である。
【0050】
参照層30a(P)には、例えば、TbCoFe、CoとPtを積層させた人工格子、FePtをL10に規則化させた結晶膜等を用いてもよい。尚、参照層30a(P)と非磁性層30b(B)の間にCoFeBを挟むことで、参照層30a(P)の分極率を向上させ、高いMR比(磁気抵抗比)を得ることが可能になる。
【0051】
非磁性層30b(B)は、非磁性材料からなり、非磁性金属、非磁性半導体、絶縁体等を用いることができる。非磁性層30b(B)には、例えば、MgOが用いられてもよい。MgOを非磁性層30b(B)として用いることで、高いMR比を得ることが可能になる。
【0052】
記録層30c(F)には、例えば、磁性材料としてたとえばCoFeBを用いてもよい。記録層30cは、2層以上の積層構造を有しても良い。その場合、記憶層30cは、たとえばCoFeBまたはCoFeを主成分とする2つの磁性層と、それらの間に挟まれた非磁性金属層との積層構造であってもよい。
【0053】
下部電極30dは、低電気抵抗及び耐拡散耐性に優れた材料が望まれる。下部電極30dとして、例えば、Ta/Cu/Taの積層膜を用いてもよい。
【0054】
上部電極30eは、電極としての機能の他、MTJ素子30をパターニングする際のマスクとしても用いられる。このため、上部電極30eとしては、低電気抵抗及び耐拡散耐性に優れた材料で、かつ、耐エッチング耐性又は耐ミリング耐性に優れた材料が望まれる。上部電極30eとして、例えば、Ta/Ruの積層膜が用いられる。
また、上部電極30eと参照層30aとの間に、シフトキャンセル層が配置されても良い。シフトキャンセル層は、参照層30aから記録層30cへ漏れる磁場を調整する層である。シフトキャンセル層により、記憶層30cが保持する情報を安定的に維持することができる。
【0055】
尚、MTJ素子30は、ビット線コンタクト105の直上に設けられるが、中間配線層を用いて、ビット線コンタクト105の直上からずれた位置(例えば、選択トランジスタ31のゲート電極104の上方)に設けられてもよい。
【0056】
メモリセルMCでは、層間絶縁層(Inter-Layer Dielectric)ILDが設けられる。層間絶縁層ILDは、絶縁層120を備える。
【0057】
絶縁層120は、素子分離領域110の上面に設けられる。絶縁層120は、MTJ素子30、ビット線107、ビット線コンタクト105、106、ソース線109、ソース線コンタクト108、及びゲート電極104をそれぞれ電気的に分離する。
【0058】
<1−1−5−3>MTJ素子の特性
ここで、MTJ素子の特性について説明する。MTJ素子のデータ保持指標である熱擾乱係数dEは、dE=(Ku×V)/(kb×T)で示されることが知られている。Kuは記憶層の磁気異方性定数である。Vは記憶層の体積である。kbは、ボルツマン定数である。Tは温度である。熱擾乱定数dEは、Vに比例して減少していくことが知られている。熱擾乱定数dEが低下すると、MTJ素子のデータ保持特性が低下し、書込み特性が向上する。逆に、熱擾乱定数dEが増加すると、MTJ素子のデータ保持特性が向上し、書込み特性が低下する。
【0059】
ここで、記憶層の体積Vの変化について簡単に説明する。ここでは、一例として、記憶層Fが円柱状である場合について説明する。
【0060】
まず、
図7を用いて、記憶層Fの断面積の変化による体積の変化について説明する。
【0061】
図7に示すように、2つの記憶層F−1と、記憶層F−2の体積Vを比較する。記憶層F−1と、記憶層F−2のD3方向に沿った高さはそれぞれH1で同一である。他方で、記憶層F−1のD1及びD2方向に沿った断面における直径DM1は、記憶層F−2のD1及びD2方向に沿った断面における直径DM2(DM1<DM2)よりも小さい。そのため、記憶層F−1の体積V1は、記憶層F−2の体積V2(V1<V2)よりも小さくなる。
【0062】
この場合、記憶層F−1は、記憶層F−2よりも書込み特性が高い。また、記憶層F−2は、記憶層F−1よりもデータ保持特性が高い。
【0063】
次に、
図8を用いて、記憶層Fの高さの変化による体積の変化について説明する。
【0064】
図8に示すように、2つの記憶層F−1と、記憶層F−2の体積Vを比較する。記憶層F−1と、記憶層F−2のD1及びD2方向に沿った断面における直径は、それぞれDM1で同一である。他方で、記憶層F−1のD3方向に沿った高さH1は、記憶層F−2のD3方向に沿った高さH2(H1<H2)よりも低い。そのため、記憶層F−1の体積V1は、記憶層F−2の体積V2(V1<V2)よりも小さくなる。
【0065】
この場合、
図7で説明した場合と同様に、記憶層F−1は、記憶層F−2よりも書込み特性が高い。また、記憶層F−2は、記憶層F−1よりもデータ保持特性が高い。
【0066】
図7及び
図8では、円柱形状の記憶層F−1と、記憶層F−2と、において、高さまたは断面における直径の片方が異なる場合について説明した。しかし、円柱形状の記憶層F−1と、記憶層F−2と、において、高さ及び断面における直径がそれぞれ異なっていても良い。
【0067】
尚、記憶層の体積は、MTJ素子の体積とも見なすことができる。そこで、以下では簡単のため、記憶層の体積をMTJ素子の体積と記載する。また、体積をサイズとも記載することがある。
【0068】
<1−1−6>メモリ領域
上記にて記憶層の体積に依存して、MTJ素子の特性が変化することについて説明した。本実施形態では、上述した原理を鑑み、MTJ素子の体積毎に領域を分け、それぞれ目的別に使い分ける。
【0069】
図9を用いて、上記領域について説明する。
【0070】
図9に示すように、メモリ領域11は、第1領域11aと、第2領域11bと、に分割される。そして、第1領域11aは複数のバンクBK1を備えている。また、第2領域11bは複数のバンクBK2を備えている。
【0071】
バンクBK1含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。つまり、バンクBK1は、バンクBK2よりも書込み特性が高いバンクとなる。また、バンクBK2は、バンクBK1よりもデータ保持特性が高いバンクとなる。
【0072】
このため、書込み特性が高いバンクBK1を備える第1領域11aは、短期記憶用の領域として利用される。また、データ保持特性が高いバンクBK2を備える第2領域11bは、長期記憶用の領域として利用される。
【0073】
このように、本実施形態では、MTJ素子の体積毎に領域を分け、それぞれの領域の用途を変えている。
【0074】
<1−2>動作
<1−2−1>第1書込み動作
次に、
図10を用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの第1書込み動作について説明する。
【0075】
[ステップS1001]
メモリコントローラ2は、ホスト3から書込み命令を受信すると、短期記憶用の第1領域11aのバンクBK1に対して書込み動作を行う。
【0076】
[ステップS1002]
メモリコントローラ2は、例えばレジスタ23内に記憶されている、バンクBK1に関する経過時間情報をリセットする。この経過時間情報とは、バンクBK毎に記憶され、バンクBKにデータが書込まれてからどの程度時間が経緯したかを示す情報である。
【0077】
[ステップS1003]
メモリコントローラ2は、例えばレジスタ23内に記憶されている、バンクBK1に関する経過時間情報をタイマ(不図示)などで計測する。そして、メモリコントローラ2は、上記経過時間情報をモニタする。
【0078】
[ステップS1004]
メモリコントローラ2は、経過時間が、例えばレジスタ23内に記憶されている閾値情報(第1時間)を超えるか否かを判定する。メモリコントローラ2は、経過時間が、第1時間を超えないと判定する場合(ステップS1004、NO)、ステップS1003を繰り返す。
【0079】
[ステップS1005]
メモリコントローラ2は、経過時間が、第1時間を超えると判定する場合(ステップS1004、YES)、短期記憶用の第1領域11aのバンクBK1に記憶されているデータを、長期記憶用の第2領域11bのバンクBK2に書込む。
【0080】
なお、dEが小さいときは記憶層の磁化反転が容易におこるため、書き込み電流を小さくすることができるが、dEが大きいときは記憶層の磁化反転が起こりにくい。そのため、ステップS1001と、S1005において、同じ書き込み電流を用いて書込みを行うと、書込み不良が起こる可能性がある。そのため、ステップS1005の書込みにおいては、ステップS1001の書込みと比較し、書き込み電圧を高くする、または書き込みパルスを長くする必要がある。
【0081】
以上のように、第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの第1書込み動作においては、データを記憶してからの経過時間に応じて、短期記憶用の領域から長期記憶用の領域にデータを移動させる。
【0082】
<1−2−2>第2書込み動作
次に、
図11を用いて、第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの第2書込み動作について説明する。
【0083】
[ステップS1101]
メモリコントローラ2は、ホスト3から書込み命令を受信すると、短期記憶用の第1領域11aのバンクBK1に対して書込み動作を行う。
【0084】
[ステップS1102]
メモリコントローラ2は、例えばレジスタ23内に記憶されている、バンクBK1に関する読み出し回数情報をリセットする。この読み出し回数情報とは、バンクBK毎に記憶され、バンクBKにデータが書込まれてから、何回当該バンクに対して読み出し動作が行われたかを示す情報である。
【0085】
[ステップS1103]
メモリコントローラ2は、バンクBK1に関して読み出し動作が行われると、例えばレジスタ23内に記憶されている、バンクBK1に関する読み出し回数情報をカウントアップする。そして、メモリコントローラ2は、例えばレジスタ23内に記憶されている、バンクBK1に関する読み出し回数情報をモニタする。
【0086】
[ステップS1104]
メモリコントローラ2は、読み出し回数が、例えばレジスタ23内に記憶されている閾値情報(第1値)を超えるか否かを判定する。メモリコントローラ2は、読み出し回数が、第1値を超えないと判定する場合(ステップS1104、NO)、ステップS1103を繰り返す。
【0087】
[ステップS1105]
メモリコントローラ2は、読み出し回数が、第1値を超えると判定する場合(ステップS1104、YES)、短期記憶用の第1領域11aのバンクBK1に記憶されているデータを、長期記憶用の第2領域11bのバンクBK2に書込む。
【0088】
なお、ステップS1101と、S1105において、同じ書き込み電流を用いて書込みを行うと、書込み不良が起こる可能性がある。そのため、ステップS1105の書込みにおいては、ステップS1101の書込みと比較し、書き込み電圧を高くする、または書き込みパルスを長くする必要がある。
【0089】
以上のように、第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムにおいては、データを記憶してからの読み出し回数に応じて、短期記憶用の領域から長期記憶用の領域にデータを移動させる。
【0090】
また、第1実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムにおいては、短期記憶用の領域への書込み回数は、長期記憶用の領域への書込み回数よりも多くなる。
【0091】
<1−3>具体例
ここで、第1領域11a、及び第2領域11bの具体例について例示する。
【0092】
具体例1としては、第1領域11aがL1キャッシュ(1次キャッシュとも記載し、データバッファ22の一部として機能する)、第2領域11bがL2キャッシュ(2次キャッシュとも記載し、データバッファ22の一部として機能する)という例が考えられる。
【0093】
また、具体例2としては、第1領域11aがL2キャッシュ、第2領域11bがL3キャッシュ(3次キャッシュとも記載し、データバッファ22の一部として機能する)という例が考えられる。
【0094】
更に、具体例3としては、第1領域11aがL3キャッシュ、第2領域11bがDRMAM代替という例が考えられる。
【0095】
また、具体例4としては、第1領域11aが短期記憶用のDRAM代替、第2領域11bが長期記憶用のDRAM代替という例が考えられる。
【0096】
更に、具体例5としては、第1領域11aがDRAM代替、第2領域11bがSCM(ストレージクラスメモリ)という例が考えられる。
【0097】
なお、第1領域11a、及び第2領域11bの具体例としては、上述した例以外のものであっても良い。
【0098】
<1−4>効果
上述した実施形態によれば、領域によってMTJ素子の体積を変更する。そして、領域毎に、用途を変えている。具体的には、書込み命令を受けたとき、まず短期記憶領域にデータを書込む。そして、短期記憶領域に記憶されているデータが、所定の条件を満たす場合、長期保存領域にデータを移動させる。
【0099】
このように、上述した実施形態によれば、領域の特性毎に、用途を変更することで、良好な書込み特性、及び良好なデータ保持特性を両立し、パッケージ(半導体記憶装置、またはメモリシステム)のサイズを小さくすることができる。その結果、高品質な半導体記憶装置を提供することができる。
【0100】
<1−5>変形例
第1実施形態では、第1領域11a、及び第2領域11bがともにメモリとして動作する場合を説明した。しかし、これに限らず、第1領域11a、または第2領域11bのどちらかがMTJ素子で構成されたロジック回路であっても良い。例えば、ロジック回路において、MTJ素子の体積を小さくすると、高速動作を行うことが可能となる。例えば、第1領域11aがMTJ素子で構成されたロジック回路である場合、第1領域11aは、例えば周辺回路10の一部として機能する。
【0101】
<2>第2実施形態
第2実施形態について説明する。第2実施形態では、メモリ領域が3つに分けられている場合について説明する。尚、第2実施形態に係る装置の基本的な構成及び基本的な動作は、上述した実施形態に係る装置と同様である。従って、上述した実施形態で説明した事項及び上述した実施形態から容易に類推可能な事項についての説明は省略する。
【0102】
<2−1>メモリ領域
図12を用いて、第2実施形態に係るメモリ領域11について説明する。
【0103】
図12に示すように、メモリ領域11は、第1領域11aと、第2領域11bと、第3領域11cと、に分割される。そして、第1領域11aは複数のバンクBK1を備えている。また、第2領域11bは複数のバンクBK2を備えている。また、第3領域11cは複数のバンクBK3を備えている。
【0104】
バンクBK1含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。また、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK3含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。換言すると、バンクBK1、バンクBK2、及びバンクBK3のうち、バンクBK1のMTJ素子の体積が最も小さくなる。
【0105】
バンクBK2は、バンクBK3よりも書込み特性が高いバンクとなる。バンクBK1は、バンクBK2よりも書込み特性が高いバンクとなる。換言すると、バンクBK1、バンクBK2、及びバンクBK3のうち、バンクBK1が最も書込み特性が高くなる。
【0106】
また、バンクBK2は、バンクBK1よりもデータ保持特性が高いバンクとなる。また、バンクBK3は、バンクBK2よりもデータ保持特性が高いバンクとなる。換言すると、バンクBK1、バンクBK2、及びバンクBK3のうち、バンクBK3が最もデータ保持特性が高くなる。
【0107】
このため、書込み特性が高いバンクBK1を備える第1領域11aは、短期記憶用の領域として利用される。書込み特性、並びにデータ保持特性が中程度のバンクBK2を備える第2領域11bは、中期記憶用の領域として利用される。また、データ保持特性が高いバンクBK3を備える第3領域11cは、長期記憶用の領域として利用される。
【0108】
このように、本実施形態では、MTJ素子の体積毎に領域を分け、それぞれの領域の用途を変えている。
【0109】
<2−2>動作
<2−2−1>第1書込み動作
次に、
図13を用いて、第2実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの第1書込み動作について説明する。
【0110】
[ステップS2001]〜[ステップS2005]
ステップS2001〜S2005は、上述したステップS1001〜S1005と同様の動作である。
【0111】
[ステップS2006]
メモリコントローラ2は、レジスタ23内に記憶されているバンクBK2に関する経過時間情報をタイマなどで計測する。そして、メモリコントローラ2は、上記経過時間情報をモニタする。
【0112】
[ステップS2007]
メモリコントローラ2は、経過時間が、例えばレジスタ23内に記憶されている閾値情報(第2時間)を超えるか否かを判定する。メモリコントローラ2は、経過時間が、第2時間を超えないと判定する場合(ステップS2007、NO)、ステップS2006を繰り返す。
【0113】
[ステップS2008]
メモリコントローラ2は、経過時間が、第21時間を超えると判定する場合(ステップS2007、YES)、中期記憶用の第2領域11bのバンクBK2に記憶されているデータを、長期記憶用の第3領域11cのバンクBK3に書込む。
【0114】
なお、ステップS2001と、S2005と、S2008と、において、同じ書き込み電流を用いて書込みを行うと、書込み不良が起こる可能性がある。そのため、ステップS2005の書込みにおいては、ステップS2001の書込みと比較し、書き込み電圧を高くする、または書き込みパルスを長くする必要がある。同様に、ステップS2008の書込みにおいては、ステップS2005の書込みと比較し、書き込み電圧を高くする、または書き込みパルスを長くする必要がある。
【0115】
以上のように、第2実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの第1書込み動作においては、データを記憶してからの経過時間に応じて、短期記憶用の領域から中期記憶用の領域、更に中期記憶用の領域から長期記憶用の領域にデータを移動させる。
【0116】
<2−2−2>第2書込み動作
次に、
図14を用いて、第2実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの第2書込み動作について説明する。
【0117】
[ステップS2101]〜[ステップS2105]
ステップS2101〜S2105は、上述したステップS1101〜S1105と同様の動作である。
【0118】
[ステップS2106]
メモリコントローラ2は、バンクBK2に関して読み出し動作が行われると、例えばレジスタ23内に記憶されているバンクBK2に関する読み出し回数情報をカウントアップする。そして、メモリコントローラ2は、レジスタ23内に記憶されているバンクBK2に関する読み出し回数情報をモニタする。
【0119】
[ステップS2107]
メモリコントローラ2は、読み出し回数が、例えばレジスタ23内に記憶されている閾値情報(第2値)を超えるか否かを判定する。メモリコントローラ2は、読み出し回数が、第2値を超えないと判定する場合(ステップS2107、NO)、ステップS2106を繰り返す。
【0120】
[ステップS2108]
メモリコントローラ2は、読み出し回数が、第2値を超えると判定する場合(ステップS2107、YES)、中期記憶用の第2領域11bのバンクBK2に記憶されているデータを、長期記憶用の第3領域11cのバンクBK3に書込む。
【0121】
なお、ステップS2101と、S2105と、S2108と、において、同じ書き込み電流を用いて書込みを行うと、書込み不良が起こる可能性がある。そのため、ステップS2105の書込みにおいては、ステップS2101の書込みと比較し、書き込み電圧を高くする、または書き込みパルスを長くする必要がある。同様に、ステップS2108の書込みにおいては、ステップS2105の書込みと比較し、書き込み電圧を高くする、または書き込みパルスを長くする必要がある。
【0122】
以上のように、第2実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムにおいては、データを記憶してからの読み出し回数に応じて、短期記憶用の領域から中期記憶用の領域、更に中期記憶用の領域から長期記憶領域にデータを移動させる。
【0123】
また、第2実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムにおいては、短期記憶用の領域への書込み回数は、中期記憶用の領域への書込み回数よりも多くなる。また、中期記憶用の領域への書込み回数は、長期記憶用の領域への書込み回数よりも多くなる。
【0124】
<2−3>具体例
ここで、第1領域11a、第2領域11b、及び第3領域11cの具体例について例示する。
【0125】
具体例1としては、第1領域11aがL1キャッシュ、第2領域11bがL2キャッシュ、第3領域11cがL3キャッシュという例が考えられる。
【0126】
また、具体例2としては、第1領域11aがL2キャッシュ、第2領域11bがL3キャッシュ、第3領域11cがDRAM代替という例が考えられる。
【0127】
更に、具体例3としては、第1領域11aがL3キャッシュ、第2領域11bが短期記憶用のDRAM代替、第3領域11cが長期記憶用のDRAM代替という例が考えられる。
【0128】
また、具体例4としては、第1領域11aがL3キャッシュ、第2領域11bがDRAM代替、第3領域11cがSCMという例が考えられる。
【0129】
更に、具体例5としては、第1領域11aが短期記憶用のDRAM代替、第2領域11bが長期記憶用のDRAM代替、第3領域11cがSCMという例が考えられる。
【0130】
なお、第1領域11a、第2領域11b及び第3領域11cの具体例としては、上述した例以外のものであっても良い。
【0131】
<2−4>効果
上述した実施形態によれば、第1実施形態と同様に、領域によってMTJ素子の体積を変更する。そして、第1実施形態と同様に、領域毎に、用途を変えている。第2実施形態では、第1実施形態よりも細かく領域が分けられている。そのため、より細かい用途で領域を使い分けることが可能となる。
【0132】
このように、上述した実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0133】
<2−5>変形例
第2実施形態では、第1領域11a、第2領域11b、及び第3領域11cがメモリとして動作する場合を説明した。しかし、これに限らず、第1領域11a、第2領域11b、及び第3領域11cのうち、何れかがMTJ素子で構成されたロジック回路であっても良い。例えば、第1領域11aがMTJ素子で構成されたロジック回路である場合、第1領域11aは、例えば周辺回路10の一部として機能する。
【0134】
<3>第3実施形態
第3実施形態について説明する。第3実施形態では、メモリ領域が4つに分けられている場合について説明する。尚、第3実施形態に係る装置の基本的な構成及び基本的な動作は、上述した実施形態に係る装置と同様である。従って、上述した実施形態で説明した事項及び上述した実施形態から容易に類推可能な事項についての説明は省略する。
【0135】
<3−1>メモリ領域
図15を用いて、第3実施形態に係るメモリ領域11について説明する。
【0136】
図15に示すように、メモリ領域11は、第1領域11aと、第2領域11bと、第3領域11cと、第4領域11dと、に分割される。そして、第1領域11aは複数のバンクBK1を備えている。また、第2領域11bは複数のバンクBK2を備えている。また、第3領域11cは複数のバンクBK3を備えている。また、第4領域11dは複数のバンクBK4を備えている。
【0137】
バンクBK1含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。また、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK3含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。更に、バンクBK3含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK4含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。換言すると、バンクBK1、バンクBK2、バンクBK3、及びバンクBK4のうち、バンクBK1のMTJ素子の体積が最も小さくなる。
【0138】
バンクBK3は、バンクBK4よりも書込み特性が高いバンクとなる。バンクBK2は、バンクBK3よりも書込み特性が高いバンクとなる。バンクBK1は、バンクBK2よりも書込み特性が高いバンクとなる。換言すると、バンクBK1、バンクBK2、バンクBK3、及びバンクBK4のうち、バンクBK1が最も書込み特性が高くなる。
【0139】
また、バンクBK2は、バンクBK1よりもデータ保持特性が高いバンクとなる。また、バンクBK3は、バンクBK2よりもデータ保持特性が高いバンクとなる。また、バンクBK4は、バンクBK3よりもデータ保持特性が高いバンクとなる。換言すると、バンクBK1、バンクBK2、バンクBK3、及びバンクBK4のうち、バンクBK4が最もデータ保持特性が高くなる。
【0140】
本実施形態では、MTJ素子の体積毎に領域を分け、それぞれの領域の用途を変える。
【0141】
<3−2>具体例
ここで、第1領域11a、第2領域11b、第3領域11c、及び第4領域11dの具体例について例示する。
【0142】
具体例1としては、第1領域11aがL1キャッシュ、第2領域11bがL2キャッシュ、第3領域11cがL3キャッシュ、第4領域11dがDRAM代替という例が考えられる。
【0143】
また、具体例2としては、第1領域11aがL2キャッシュ、第2領域11bがL3キャッシュ、第3領域11cがDRAM代替、第4領域11dがSCMという例が考えられる。
【0144】
更に、具体例3としては、第1領域11aがL2キャッシュ、第2領域11bがL3キャッシュ、第3領域11cが短期記憶用のDRAM代替、第4領域11dが長期記憶用のDRAM代替という例が考えられる。
【0145】
また、具体例4としては、第1領域11aがL3キャッシュ、第2領域11bが短期記憶用のDRAM代替、第3領域11cが長期記憶用のDRAM代替、第4領域11dがSCMという例が考えられる。
【0146】
なお、第1領域11a、第2領域11b、第3領域11c、及び第4領域11dの具体例としては、上述した例以外のものであっても良い。
【0147】
<3−3>効果
上述した実施形態によれば、第1実施形態と同様に、領域によってMTJ素子の体積を変更する。そして、第1実施形態と同様に、領域毎に、用途を変えている。第3実施形態では、第2実施形態よりも更に細かく領域が分けられている。そのため、より細かい用途で領域を使い分けることが可能となる。
【0148】
このように、上述した実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0149】
<3−4>変形例
第3実施形態では、第1領域11a、第2領域11b、第3領域11c、及び第4領域11dがメモリとして動作する場合を説明した。しかし、これに限らず、第1領域11a、第2領域11b、第3領域11c、及び第4領域11dのうち、何れかがMTJ素子で構成されたロジック回路であっても良い。例えば、第1領域11aがMTJ素子で構成されたロジック回路である場合、第1領域11aは、例えば周辺回路10の一部として機能する。
【0150】
<4>第4実施形態
第4実施形態について説明する。第4実施形態では、MTJ素子を用いたチップ(レイヤー)が複数積層される半導体記憶装置(MCP(マルチチップパッケージ))について説明する。尚、第4実施形態に係る装置の基本的な構成及び基本的な動作は、上述した実施形態に係る装置と同様である。従って、上述した実施形態で説明した事項及び上述した実施形態から容易に類推可能な事項についての説明は省略する。
【0151】
<4−1>構成
図16を用いて、第4実施形態に係る半導体記憶装置の基本的な構成を概略的に説明する。
【0152】
図16に示すように、第4実施形態に係る半導体記憶装置1は、例えば、性能の異なる第1レイヤーLY1及び第2レイヤーLY2を有している。そして、第1レイヤーLY1及び第2レイヤーLY2は、TSV(Through Silicon Via)を用いて、D3方向に積層され、電気的に接続されている。尚、第1レイヤーLY1及び第2レイヤーLY2を区別しない場合は、単にレイヤーLY等と称す。
【0153】
なお、半導体記憶装置1は、1つのレイヤーから構成されていても良い。また、半導体記憶装置1は、複数のレイヤーから構成されても良い。
【0154】
図17を用いて、第4実施形態に係るレイヤーの第1例について説明する。
【0155】
図17に示すように、第1レイヤーLY1は、第1領域11aを備えている。そして、第1領域11aは複数のバンクBK1を備えている。また、第2レイヤーLY2は、第2領域11bを備えている。そして、第2領域11bは複数のバンクBK2を備えている。
【0156】
バンクBK1含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。
【0157】
このため、バンクBK1は、バンクBK2よりも書込み特性が高いバンクとなる。また、バンクBK2は、バンクBK1よりもデータ保持特性が高いバンクとなる。
【0158】
第1実施形態と同様に、MTJ素子の体積毎に領域を分け、それぞれの領域の用途を変える。
【0159】
続いて、
図18を用いて、第4実施形態に係るレイヤーの第2例について説明する。
【0160】
図18に示すように、第1レイヤーLY1は、第1領域11a及び第2領域11bを備えている。そして、第1領域11aは複数のバンクBK1を備えている。また、第2領域11bは複数のバンクBK2を備えている。また、第2レイヤーLY2は、第3領域11c及び第4領域11dを備えている。そして、第3領域11cは複数のバンクBK3を備えている。また、第4領域11dは複数のバンクBK4を備えている。
【0161】
バンクBK1含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。また、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK3含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。更に、バンクBK3含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK4含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。換言すると、バンクBK1、バンクBK2、バンクBK3、及びバンクBK4のうち、バンクBK1のMTJ素子の体積が最も小さくなる。
【0162】
つまり、バンクBK1、バンクBK2、バンクBK3、及びバンクBK4のうち、バンクBK1が最も書込み特性が高くなる。また、バンクBK1、バンクBK2、バンクBK3、及びバンクBK4のうち、バンクBK4が最もデータ保持特性が高くなる。
【0163】
第3実施形態と同様に、MTJ素子の体積毎に領域を分け、それぞれの領域の用途を変える。
【0164】
尚、各レイヤーの例はこれに限らず、適宜変更可能である。また、積層されるレイヤーの数も任意である。また、各レイヤーの積層順序も適宜変更可能である。
【0165】
<4−2>効果
上述した実施形態によれば、MTJ素子を用いたチップが複数積層されている。そして、それらをTSVなどで接続することでパッケージの中で複数の異なる動作を実現することが可能となる。その結果、上述した各実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0166】
<5>第5実施形態
第5実施形態について説明する。第5実施形態では、MOFETを用いたチップ(レイヤー)と、MTJ素子を用いたチップ(レイヤー)と、が複数積層されるメモリシステム(SiP(システムインパッケージ))について説明する。尚、第5実施形態に係る装置の基本的な構成及び基本的な動作は、上述した実施形態に係る装置と同様である。従って、上述した実施形態で説明した事項及び上述した実施形態から容易に類推可能な事項についての説明は省略する。
【0167】
<5−1>構成
図19を用いて、第5実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステムの基本的な構成を概略的に説明する。
【0168】
図19に示すように、第5実施形態に係る半導体記憶装置を含むメモリシステム4は、例えば、性能の異なる第1レイヤーLY1及び第2レイヤーLY2を有している。例えば、第1レイヤーLY1は、メモリコントローラ2である。また、例えば、第2レイヤーLY2は、半導体記憶装置1である。そして、第1レイヤーLY1及び第2レイヤーLY2は、TSVを用いて、D3方向に積層され、電気的に接続されている。
【0169】
なお、半導体記憶装置1は、複数のレイヤーから構成されても良い。
【0170】
続いて、
図20を用いて、第5実施形態に係るレイヤーの例について説明する。
【0171】
図20に示すように、第1レイヤーLY1は、ホストインタフェース21と、データバッファ22(L1キャッシュ22a、及びL2キャッシュ22b)と、レジスタ23と、CPU24と、デバイスインタフェース(Device Interface(I/F))25と、ECC回路26と、を備えている。
【0172】
第2レイヤーLY2は、第1領域11a及び第2領域11bを備えている。そして、第1領域11aは複数のバンクBK1を備えている。また、第2領域11bは複数のバンクBK2を備えている。
【0173】
バンクBK1含まれるMTJ素子の体積は、バンクBK2含まれるMTJ素子の体積よりも、小さいものとする。
【0174】
このため、バンクBK1は、バンクBK2よりも書込み特性が高いバンクとなる。また、バンクBK2は、バンクBK1よりもデータ保持特性が高いバンクとなる。
【0175】
第1実施形態と同様に、MTJ素子の体積毎に領域を分け、それぞれの領域の用途を変える。
【0176】
尚、各レイヤーの例はこれに限らず、適宜変更可能である。また、積層されるレイヤーの数も任意である。また、各レイヤーの積層順序も適宜変更可能である。
【0177】
<5−2>効果
上述した実施形態によればMOFETを用いたチップ(レイヤー)と、MTJ素子を用いたチップ(レイヤー)と、が複数積層されている。そして、それらをTSVなどで接続することでパッケージの中で複数の異なる動作を実現することが可能となる。その結果、上述した各実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【0178】
<6>その他
なお、上述した各実施形態において、メモリ領域11を、MTJ素子の体積に応じて領域を分け、領域毎に使い分ける事について説明した。上述した、各領域の面積や配置などは一例であり、適宜変更可能である。
【0179】
また、上述した各実施形態では、メモリセルMCの構成として、第1例を適用する場合について説明した。しかし、上述した各実施形態では、メモリセルMCの構成として、第2例を適用しても良く、第1例を適用した場合と同様な効果を得ることができる。
【0180】
また、上述した各実施形態において、メモリシステム、または半導体記憶装置はそれぞれパッケージでも良い。
【0181】
また、上記各実施形態における接続なるタームは、間に例えばトランジスタあるいは抵抗等、他の何かを介在させて間接的に接続されている状態も含む。
【0182】
ここでは、抵抗変化素子として磁気抵抗効果素子(Magnetic Tunnel junction(MTJ)素子)を用いてデータを記憶するMRAMを例に説明したが、これに限らない。
【0183】
例えば、MRAMと同様の抵抗変化型メモリ、例えばReRAM、PCRAM等のように抵抗変化を利用してデータを記憶する素子を有する半導体記憶装置にも適用可能である。
【0184】
また、揮発性メモリ、不揮発性メモリを問わず、電流または電圧の印加にともなう抵抗変化によりデータを記憶、もしくは、抵抗変化にともなう抵抗差を電流差または電圧差に変換することにより記憶されたデータの読み出しを行うことができる素子を有する半導体記憶装置に適用可能である。
【0185】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施することが可能である。さらに、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示された構成要件を適宜組み合わせることによって種々の発明が抽出される。例えば、開示された構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、所定の効果が得られるものであれば、発明として抽出され得る。