特許第6829511号(P6829511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6829511
(24)【登録日】2021年1月26日
(45)【発行日】2021年2月10日
(54)【発明の名称】遮蔽装置および車両
(51)【国際特許分類】
   B60R 13/10 20060101AFI20210128BHJP
   B62J 50/26 20200101ALI20210128BHJP
【FI】
   B60R13/10
   B62J50/26
【請求項の数】17
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-198621(P2020-198621)
(22)【出願日】2020年11月30日
【審査請求日】2020年12月11日
(31)【優先権主張番号】特願2020-141038(P2020-141038)
(32)【優先日】2020年8月24日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2020-179722(P2020-179722)
(32)【優先日】2020年10月27日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518310710
【氏名又は名称】glafit株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】鳴海 禎造
(72)【発明者】
【氏名】古岡 睦章
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−110741(JP,A)
【文献】 特開2004−182152(JP,A)
【文献】 特開2011−079505(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/10
B62J 50/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のナンバープレートを遮蔽するように動作可能な遮蔽部と、
前記車両の駆動力を制限する駆動力制限部によって前記車両の駆動力が制限されているとき、前記遮蔽部による前記ナンバープレートの遮蔽を可能とし、
前記駆動力制限部によって前記車両の駆動力が制限されていないとき、前記遮蔽部による前記ナンバープレートの遮蔽を不可とする制御部と
を備える、遮蔽装置。
【請求項2】
車両のナンバープレートを遮蔽するように動作可能な遮蔽部と、
前記遮蔽部が前記ナンバープレートを遮蔽している間、前記車両の駆動力を制限する駆動力制限部と
を備える、遮蔽装置。
【請求項3】
前記駆動力の制限は、前記車両の速度を所定の最高速度を超えないように制限することである、請求項1または2に記載の遮蔽装置。
【請求項4】
前記車両は、モーターによって駆動される、請求項1〜3のいずれかに記載の遮蔽装置。
【請求項5】
前記駆動力制限部は、前記モーターの出力を制御することによって前記車両の駆動力を制限する、請求項4に記載の遮蔽装置。
【請求項6】
前記駆動力制限部は、前記車両の機械的な構成を変更することによって前記車両の駆動力を制限する、請求項1〜5のいずれかに記載の遮蔽装置。
【請求項7】
前記遮蔽部は、前記ナンバープレートを遮蔽する遮蔽状態と、前記ナンバープレートを露出させる露出状態とを有する、請求項1〜6のいずれかに記載の遮蔽装置。
【請求項8】
前記遮蔽部を、前記露出状態に固定可能な第1固定部をさらに有する、請求項7に記載の遮蔽装置。
【請求項9】
前記第1固定部は、前記遮蔽部を前記露出状態に固定する固定状態と、前記遮蔽部を前記露出状態に固定しない解除状態とを有する、請求項8に記載の遮蔽装置。
【請求項10】
前記固定状態および前記解除状態は電気的または機械的に切り替え可能である、請求項9に記載の遮蔽装置。
【請求項11】
前記固定状態の前記第1固定部は、前記遮蔽部の一端を支持する、請求項9または10に記載の遮蔽装置。
【請求項12】
前記車両の駆動力が制限されているとき、前記第1固定部を変位させて、前記遮蔽部を前記遮蔽状態にするための操作を受け付ける第1固定解除部をさらに含む、請求項8〜11のいずれかに記載の遮蔽装置。
【請求項13】
前記遮蔽部を、前記露出状態に固定可能な第2固定部をさらに有する、請求項8〜12のいずれかに記載の遮蔽装置。
【請求項14】
前記第2固定部は、前記遮蔽部を前記露出状態に固定する固定状態と、前記遮蔽部を前記露出状態に固定しない解除状態とを有する、請求項13に記載の遮蔽装置。
【請求項15】
前記第2固定部を変位させて、前記遮蔽部を前記遮蔽状態にするための操作を受け付ける第2固定解除部をさらに含む、請求項13または14に記載の遮蔽装置。
【請求項16】
前記第1固定解除部は前記遮蔽部の一端側に設けられ、前記第2固定解除部は、前記遮蔽部の他端側に設けられる、請求項12に従属する請求項15に記載の遮蔽装置。
【請求項17】
ナンバープレートを有する車両であって、
請求項1〜16のいずれかに記載の遮蔽装置を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮蔽装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、用途に応じて様々な使用方法を提供可能な車両の開発が進められている(たとえば、特許文献1参照)。このような車両においては、目的または状況等に応じて、ユーザーが使用方法を選択することができる。
【0003】
さらに近年では、電動バイクとしての使用および自転車としての使用を切り換えられる車両も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020−91272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような車両においては、ユーザーがどの方法で車両を使用しているのかを、周囲が認識できることが望ましい。さらに、自転車が電動アシスト機能を有する場合にも、車両が電動バイクとして使用されているのか、自転車または電動アシスト自転車として使用されているのかを、周囲が認識できることが望ましい。
【0006】
ここで、電動バイク等の車両には、ナンバープレートが設けられる必要がある。一方、自転車または電動アシスト自転車等の車両には、ナンバープレートが設けられる必要はない。このため、ナンバープレートを視認できるとき、周囲は、この車両を電動バイク等と認識し、ナンバープレートを視認できないとき、周囲は、この車両を自転車または電動アシスト自転車等と認識する。
【0007】
したがって、ユーザーがどの方法で車両を使用しているのかを、周囲に適切に認識させるために、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレートを遮蔽可能な遮蔽装置および車両を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記によって達成される。
【0009】
遮蔽装置は、遮蔽部と、制御部とを備える。遮蔽部は、車両のナンバープレートを遮蔽するように動作可能である。制御部は、車両の駆動力を制限する駆動力制限部によって車両の駆動力が制限されているとき、遮蔽部によるナンバープレートの遮蔽を可能とし、駆動力制限部によって車両の駆動力が制限されていないとき、遮蔽部によるナンバープレートの遮蔽を不可とする。
【0010】
遮蔽装置は、遮蔽部と、駆動制限部とを備える。遮蔽部は、車両のナンバープレートを遮蔽するように動作可能である。駆動制限部は、遮蔽部がナンバープレートを遮蔽している間、車両の駆動力を制限する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遮蔽装置および車両は、遮蔽部を有しており、少なくとも、ナンバープレートが遮蔽されている間は、駆動制限部により、車両の駆動力が制限される。換言すれば、ユーザーが、車両の駆動力を制限して車両を使用するとき、ナンバープレートを遮蔽することができる。したがって、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレートを遮蔽することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る遮蔽装置の概略構成を表す斜視図である。
図2図1に示した遮蔽装置の異なる状態を表す斜視図である。
図3図1に示した遮蔽装置の他の斜視図である。
図4図3に示した遮蔽装置の異なる状態を表す斜視図である。
図5】(A)は、図1等に示した第1固定部の固定状態、(B)は解除状態を各々表す平面図である。
図6図1等に示した遮蔽装置の第1状態〜第8状態を表す一覧表である。
図7図6に示した第1状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
図8図6に示した第2状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
図9図6に示した第3状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
図10図6に示した第4状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
図11図6に示した第5状態〜第8状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
図12】(A)は、第2実施形態に係る遮蔽装置を有する車両の一例の前面、(B)は側面、(C)は後面、各々の概略構成を表す平面図である。
図13】第2実施形態に係る遮蔽装置の第9状態〜第16状態を表す一覧表である。
図14図13に示した第12状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
図15図13に示した第15状態の遮蔽装置の構成の一例を表す回路図である。
図16】第3実施形態に係る遮蔽装置の第17状態〜第24状態を表す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して本発明の遮蔽装置および車両の実施形態を説明する。なお、図中、同一の部材には同一の符号を用いた。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0014】
〔第1実施形態〕
<遮蔽装置20の構成>
図1図4は、本発明の第1実施形態に係る車両の要部の構成を表す斜視図である。図1図4には、車両の遮蔽装置20の概略構成を、車両本体(後述の図7等の車両本体10)のナンバープレート11とともに表している。図1および図3は、周囲からナンバープレート11が視認できるときの遮蔽装置20の構成を表す斜視図である。図1および図3は、互いに異なる方向の斜視図である。図2および図4は、周囲からナンバープレート11が視認できないときの遮蔽装置20の構成を表す斜視図である。図2および図4は、互いに異なる方向の斜視図である。
【0015】
本実施形態に係る車両は、たとえば、原動機付き自転車である。この車両は、たとえば、ペダル(後述の図12(A)(B)(C)のペダル52参照)を有しており、原動機(具体的には、後述の図7図11のモーター15)の動力が車輪に伝達されない状態で使用することが可能である。以下の説明では、原動機の動力が車輪に伝達されない状態を、原動機の動力が遮断された状態という。原動機の動力が遮断された状態は、たとえば、原動機に電源が接続されていない状態や、原動機に電源が接続されているものの電子的制御または機械的制御等の各種方法によって原動機の駆動が停止されている状態、あるいは、クラッチ等の機構によって原動機の動力が車輪に伝達されないようになっている状態等、車両が原動機の動力によって駆動され得ないあらゆる状態を含む。原動機の動力が遮断されないとき、この車両は電動バイクとして使用され、原動機の動力が遮断されるとき、この車両は自転車として使用される。遮蔽装置20は、たとえば、このような車両のナンバープレート11に取り付けられている。
【0016】
遮蔽装置20は、たとえば、ナンバープレート11の表面(数字等が記載されている面)側に設けられた遮蔽部21と、遮蔽部21の両端に設けられた側板22A,22Bと、側板22Aおよび側板22Bをつなぐ連結板23とを有している。たとえば、側板22Aに、第1固定部25、第1固定解除部24および遮断部28が設けられており、遮蔽部21に、第2固定部27および第2固定解除部26が設けられている。以下の説明では、ナンバープレート11の長辺方向をX方向、ナンバープレート11の短辺方向をZ方向、ナンバープレート11に対して垂直方向をY方向とも言う。
【0017】
以下、遮蔽装置20の各部の構成を説明する。
【0018】
(遮蔽部21)
遮蔽部21は、たとえば、略矩形の板状部材である。遮蔽部21は、たとえば、不透明である。遮蔽部21の大きさは、たとえば、ナンバープレート11の大きさと同程度である。遮蔽部21の大きさは、ナンバープレート11より大きくてもよく、あるいは、ナンバープレート11の主要部(たとえば、数字部分)を覆うことができれば、ナンバープレート11より小さくてもよい。たとえば、略矩形状の遮蔽部21の長辺の一方(図1図4の紙面上方向)の両端が側板22A,22Bに取り付けられている。
【0019】
この遮蔽部21は、ナンバープレート11を遮蔽するように動作する。具体的には、遮蔽部21は、ナンバープレート11を遮蔽する遮蔽状態と、ナンバープレート11を露出させる露出状態とを有している。図1および図3に示した遮蔽部21は露出状態であり、図2および図4に示した遮蔽部21は遮蔽状態である。
【0020】
露出状態の遮蔽部21は、たとえば、ナンバープレート11に略垂直に設けられている。遮蔽部21が露出状態のとき、周囲から車両のナンバープレート11が視認される。遮蔽状態の遮蔽部21は、たとえば、ナンバープレート11に略平行に設けられ、ナンバープレート11を覆っている。遮蔽部21が遮蔽状態のとき、周囲から車両のナンバープレート11が視認できなくなる。遮蔽状態では、ナンバープレート11の主要部が覆われていれば、ナンバープレート11の一部が遮蔽部21から露出されていてもよい(図4)。たとえば、遮蔽部21では、長辺の一方を軸として回動することにより、露出状態および遮蔽状態が切り替わる。
【0021】
遮蔽部21は、たとえば、側板22A側に、突部21Pを有している。この突部21Pは、側板22A側の遮蔽部21の短辺が延在した部分であり、遮蔽状態のとき、ナンバープレート11からZ方向に突出して配置される(図2図4)。露出状態のとき、突部21Pは、側板22Aに重なる位置に配置される(図1図3)。たとえば、この突部21Pには、突部21PをX方向に貫通する穴21Hが設けられている。
【0022】
(側板22A,22B)
側板22A,22Bは、略四角形の板状部材であり、たとえば、ナンバープレート11を間にして、互いにX方向に対向している。たとえば、側板22A,22Bは、YZ平面に平行であり、ナンバープレート11に略垂直に設けられている。側板22Aには、たとえば、側板22AをX方向に貫通する穴22Hが設けられている。この穴22Hは、たとえば、第1固定部25(より具体的には、後述の可動部25M)に重なる位置に設けられている。側板22Bには、たとえば、2つの切欠部(切欠部C1,C2)が設けられている。切欠部C1,C2は、互いに交差する方向に設けられている。たとえば、切欠部C1はY方向に設けられ、切欠部C2はZ方向に設けられている。
【0023】
(連結板23)
連結板23は、ナンバープレート11の裏面側に配置されている。連結板23は、たとえば、略矩形の板状部材である。たとえば、この連結板23は、XY平面に平行であり、側板22A,22Bに略垂直に設けられている。
【0024】
(第1固定部25)
第1固定部25は、たとえば、側板22Aのうち、側板22Bとの非対向面に設けられている。この第1固定部25は、たとえば、側板22A側で、遮蔽部21を露出状態に固定する役割を担っている。換言すれば、第1固定部25は、遮蔽部21を露出状態に固定可能である。この第1固定部25は、たとえば、露出状態の遮蔽部21のX方向の一端を支持することにより、遮蔽部21を露出状態に固定する。
【0025】
第1固定部25は、遮蔽部21を露出状態に固定する固定状態と、遮蔽部21を露出状態に固定しない解除状態とを有している。第1固定部25は、たとえば、可動部25Mと、可動部25Mを収容するフレーム25Fとを含んでいる。第1固定部25は、たとえば、ソレノイド等により構成されている。
【0026】
図5(A)(B)は、固定状態および解除状態の第1固定部25の一例を表す平面図である。図5(A)は、固定状態の第1固定部25を表し、図5(B)は、解除状態の第1固定部25を表している。可動部25Mは、たとえば、X方向に延在する棒状部材であり、X方向に沿って移動する。
【0027】
固定状態の第1固定部25では、解除状態に比べて、可動部25Mが側板22B側に近づき、側板22Aの穴22Hを介して遮蔽部21(より具体的には突部21P)の穴21Hに挿入される。これにより、遮蔽部21の露出状態が固定される。一方、解除状態の第1固定部25では、固定状態に比べて、可動部25Mが側板22B側から離れ、遮蔽部21の穴21Hから外れる。これにより、側板22A側では、遮蔽部21の露出状態が維持されなくなる。第1固定部25の固定状態および解除状態は、たとえば、ソレノイドにより、電気的に切り替えられる。第1固定部25の固定状態および解除状態は、機械的に切り替えられてもよく、あるいは、電気的および機械的の両方により切り替えられてもよい。
【0028】
(第1固定解除部24)
第1固定解除部24は、たとえば、側板22Aのうち、側板22Bとの非対向面に設けられており、第1固定部25と異なる位置に配置されている。第1固定解除部24は、ユーザーの操作を受け付けることにより、第1固定部25を固定状態から解除状態に切り替えることが可能となる。
【0029】
第1固定解除部24は、たとえば、押しボタン式の2連スイッチを含んでいる。ユーザーが第1固定解除部24を押下することにより、第1固定部25を固定状態から解除状態に切り替えるための操作が受け付けられる。
【0030】
本実施形態では、原動機の動力が遮断されているときに、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けると、第1固定部25は固定状態から解除状態となる。一方、原動機の動力が遮断されていないときに、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けても、第1固定部25の固定状態が維持される。即ち、遮蔽装置20は、原動機の動力が遮断されていないとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を不可とし、原動機の動力が遮断されているとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を可能とする。したがって、ユーザーは、モーター15の動力を遮断して車両を使用するときのみ、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。この第1固定部25と第1固定解除部24との電気的な関係は、後述する。
【0031】
(第2固定解除部26、第2固定部27)
第2固定解除部26および第2固定部27は、たとえば、一体化して配置されている。この一体化した第2固定解除部26および第2固定部27は、遮蔽部21の側板22B側の端面(YZ平面)に設けられている。換言すれば、第2固定解除部26および第2固定部27は、遮蔽部21のX方向の他端側に設けられている。
【0032】
第2固定部27は、たとえば、板バネ等の付勢部材を含む板状部材であり、遮蔽部21から離れる方向に付勢されている。この第2固定部27は、側板22B側で、遮蔽部21を露出状態に固定する役割を担っている。換言すれば、第2固定部27は、遮蔽部21を露出状態に固定可能である。
【0033】
第2固定部27は、遮蔽部21を露出状態に固定する固定状態と、遮蔽部21を露出状態に固定しない解除状態とを有している。たとえば、第2固定部27の一部が側板22Bの切欠部C1に嵌合されることにより、第2固定部27は固定状態となり、側板22B側で遮蔽部21の露出状態が固定される。たとえば、切欠部C1から第2固定部27を外すことにより、第2固定部27は解除状態に切り替わる。
【0034】
第2固定部27は、たとえば、遮蔽部21を遮蔽状態に維持する役割も担っている。たとえば、第2固定部27の一部が側板22Bの切欠部C2に嵌合されることにより、遮蔽部21の遮蔽状態が固定される。
【0035】
第2固定解除部26は、ユーザーの操作を受け付けることにより、第2固定部27を固定状態から解除状態に切り替えることが可能となる。第2固定解除部26は、たとえば、ボタン形状を有しており、ユーザーが第2固定解除部26を押下することにより、第2固定部27を固定状態から解除状態に切り替えるための操作が受け付けられる。
【0036】
第2固定解除部26がユーザーに押下されると、固定状態の第2固定部27は、付勢力に反して遮蔽部21に近づく。これにより、第2固定部27が切欠部C1から外れ、第2固定部27は解除状態となる。切欠部C2に嵌合された第2固定部27は、ユーザーが第2固定解除部26を押下することにより、切欠部C2から外れる。
【0037】
(遮断部28)
遮断部28は、たとえば、側板22Aのうち、側板22Bとの対向面に設けられている。この遮断部28は、遮蔽部21が遮蔽状態にあるときに、原動機の動力を遮断する役割を担っている。遮断部28は、たとえば、遮蔽部21が遮蔽状態にあるとき、原動機への電源の供給を遮断する。
【0038】
遮断部28は、たとえば、切り替えスイッチを含んでいる。遮断部28では、この切り替えスイッチが、遮蔽部21の遮蔽状態および露出状態の切り替えと連動して切り替わる。たとえば、遮蔽部21が露出状態にあるとき、遮断部28に遮蔽部21の突部21Pが接している(図3)。このとき、遮断部28は、原動機への電源の供給を遮断しない。一方、遮蔽部21が露出状態から遮蔽状態に切り替えられると、遮断部28から突部21Pが離れ、遮断部28のスイッチが切り替わる。これにより、遮断部28は、原動機への電源の供給を遮断する。
【0039】
本実施形態では、遮蔽装置20が、このような遮断部28を有しているので、少なくとも、遮蔽部21が遮蔽状態の間、原動機の動力が遮断される。これにより、ナンバープレート11を遮蔽した状態での、電動バイクとしての車両の使用を防ぐことができる。
【0040】
<遮蔽装置20の回路構成>
次に、図6とともに、図7図11を用いて、遮蔽装置20の回路構成を説明する。図6は、遮蔽部21、車両本体(後述の車両本体10)のキースイッチ(後述のキースイッチ12)および原動機(後述のモーター15)、第1固定解除部24および第1固定部25各々の状態を表す一覧表である。図7図11は、図6に示した各状態での遮蔽装置20の回路構成を表す。
【0041】
遮蔽装置20は、たとえば、車両の電源30と第1固定解除部24との間に設けられた降圧モジュール31およびダイオード32と、第1固定解除部24に接続された非常用電源33と、非常用電源33と第1固定解除部24との間に設けられたダイオード34と、第1固定解除部24と第1固定部25との間に設けられたリレー35とを有している(図7図11)。ここでは、たとえば、第1固定解除部24、第1固定部25およびリレー35が、本発明の制御部の一具体例に対応する。なお、本発明の「駆動力制限部によって車両の駆動力が制限されているとき」には、遮断部28またはキースイッチによって、原動機の動力が遮断されているときが含まれる。即ち、ここでは、遮断部28またはキースイッチが、本発明の「駆動力制限部」の一具体例に対応する。
【0042】
車両本体10には、たとえば、遮断部28を介して電源30に接続されたキースイッチ12と、キースイッチ12と第1固定解除部24との間に設けられたコントローラー13と、コントローラー13に接続されたスロットル14およびモーター15とが設けられている(図7図11)。
【0043】
電源30は、たとえば、車両に搭載されているバッテリーであり、この電源30により、遮蔽装置20および車両本体10に電源が供給される。電源30の電圧は、たとえば、24V〜36Vである。電源30は、遮断部28により車両本体10への電源の供給が遮断されている間、車両の電装品、具体的には、ヘッドライトおよびテールライト等に電源を供給してもよい。
【0044】
降圧モジュール31は、電源30と第1固定部25との間に設けられており、電源30の電圧を、第1固定部25の定格電圧に適合する電圧まで降圧させる。ダイオード32は降圧モジュール31に、ダイオード34は非常用電源33に、各々逆電圧がかからないようにするための保護用のダイオードである。
【0045】
非常用電源33は、たとえば、USB電源であり、ダイオード34を介して、第1固定解除部24、リレー35および第1固定部25に接続されている。遮蔽装置20には、この非常用電源33が設けられているので、電源30から遮蔽装置20に電源が供給されない場合であっても、第1固定部25に電源を供給することが可能となる。
【0046】
第1固定解除部24と第1固定部25との間に設けられたリレー35は、第1固定解除部24の状態と、車両本体10のコントローラー13からのオン信号の有無とに応じて、第1固定部25を制御する。
【0047】
キースイッチ12は、オン状態で、コントローラー13を介してスロットル14およびモーター15に電源を供給する。即ち、ユーザーが、キースイッチ12をオン状態とすることにより、車両を電動バイクとして使用することが可能となる。
【0048】
コントローラー13は、キースイッチ12と第1固定解除部24との間に設けられている。このコントローラー13により、スロットル14およびモーター15が制御される。キースイッチ12がオン状態となると、コントローラー13から第1固定解除部24にオン信号が送信される。
【0049】
スロットル14は、電動バイクとして使用される車両の走行スピードを調整する。モーター15は、電源30から供給される電力により動力を発生する。ユーザーが、車両を電動バイクとして使用するとき、この動力により、車両の車輪が駆動される。
【0050】
たとえば、このような車両の回路構成により、図6に示した第1状態〜第8状態の各状態が実現される。
【0051】
第1状態〜第4状態では、遮蔽部21が露出状態であり、遮断部28の切り替えスイッチを介して、電源30が車両本体10に接続されている(図7図10)。
【0052】
(第1状態、第2状態)
このとき、ユーザーが、キースイッチ12をオン状態とすると、モーター15に電源30から電源が供給され、コントローラー13から第1固定解除部24にオン信号が送信される(図7図8)。この後、ユーザーが、第1固定解除部24のボタンを押下してオン状態としても、リレー35により、第1固定部25への電流供給が阻まれ、第1固定部25の固定状態が維持される(第1状態)。第1固定解除部24がオフ状態である場合には、リレー35に電流が供給されず、第1固定部25の固定状態が維持される(第2状態)。
【0053】
(第3状態、第4状態)
遮蔽部21が露出状態のとき、ユーザーが、キースイッチ12をオフ状態とすると、モーター15に電源が供給されず、コントローラー13はオン信号を生成しない(図9図10)。このとき、ユーザーが、第1固定解除部24をオン状態とすると、リレー35を介して第1固定部25に電流が供給される(図9)。これにより、第1固定部25が、固定状態から解除状態に切り替わる(第3状態)。第1固定解除部24がオフ状態である場合には、リレー35に電流が供給されず、第1固定部25の固定状態が維持される(第4状態)。
【0054】
(第5状態〜第8状態)
第5状態〜第8状態では、遮蔽部21が遮蔽状態であり、遮断部28の切り替えスイッチにより、車両本体10が電源30から遮断されている(図11)。この第5状態〜第8状態では、キースイッチ12および第1固定解除部24のオンオフ状態に関わらず、第1固定部25は解除状態となっている。
【0055】
<遮蔽装置20の動作>
このような遮蔽装置20は、たとえば、以下のようにして動作する。
【0056】
ユーザーが、車両を電動バイクとして使用するとき、キースイッチ12はオン状態、遮蔽部21は露出状態である。このとき、第1固定部25は固定状態に維持され、遮蔽部21は露出状態に固定される。したがって、ユーザーが、車両を電動バイクとして使用している間、車両のナンバープレート11は周囲から視認される。
【0057】
この後、ユーザーにより、キースイッチ12がオン状態からオフ状態に切り替えられ、かつ、第1固定解除部24のボタンおよび第2固定解除部26が同時に押下されると、第1固定部25および第2固定部27が解除状態となる。これにより、ユーザーは遮蔽部21を固定状態から遮蔽状態に切り替えることができる。したがって、ユーザーが、車両を自転車として使用するとき、遮蔽状態の遮蔽部21により、車両のナンバープレート11が周囲から視認されなくなる。遮蔽部21が遮蔽状態の間、遮断部28により、電源30からモーター15への電源の供給が遮断される。
【0058】
なお、ユーザーが第2固定解除部26を押下した後、遮蔽部21を回転させることにより、遮蔽部21は遮蔽状態から露出状態、第1固定部25は、解除状態から固定状態に切り替わる。
【0059】
<遮蔽装置20および車両の作用効果>
本実施形態の遮蔽装置20および車両は、遮蔽部21を有しており、少なくとも、ナンバープレート11が遮蔽されている間は、モーター15の動力が遮断されている。具体的には、遮蔽部21が遮蔽状態のとき、遮断部28により、電源30からモーター15への電源の供給が遮断される。
【0060】
また、この遮蔽装置20および車両では、ユーザーが、モーター15の動力を遮断して車両を使用するとき、ナンバープレート11を遮蔽することができる。具体的には、ユーザーが、キースイッチ12をオフ状態とすることにより、遮蔽部21を露出状態から遮蔽状態に切り替えることが可能となる。
【0061】
このように、この遮蔽装置20および車両では、モーター15の動力が遮断されているとき、即ち、ユーザーが自転車として車両を使用するとき、ナンバープレート11を遮蔽することができる。したがって、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。
【0062】
また、この遮蔽装置20および車両は、第1固定部25および第2固定部27を有しているので、遮蔽部21を露出状態に固定することができる。これにより、ユーザーが電動バイクとして車両を使用している間、安定して遮蔽部21の露出状態が維持される。
【0063】
また、第1固定部25は、ユーザーにより、キースイッチ12がオフ状態とされたときに、解除状態となり得る。したがって、キースイッチ12がオン状態での、露出状態から遮蔽状態への遮蔽部21の切り替えの誤操作等を防ぐことができる。
【0064】
また、第1固定部25および第2固定部27をともに解除状態としたとき、遮蔽部21を露出状態から遮蔽状態に切り替えることが可能となる。これにより、露出状態から遮蔽状態への遮蔽部21の切り替えの誤操作等を防ぐことができる。
【0065】
また、第1固定解除部24は側板22A、第2固定解除部26は側板22Bに設けられている。即ち、遮蔽部21の一端側に第1固定解除部24、他端側に第2固定解除部が設けられている。したがって、第1固定解除部24および第2固定解除部26は、たとえば、車両を降りたユーザーにより、両手で操作される。よって、露出状態から遮蔽状態への遮蔽部21の切り替えの誤操作等を防ぐことができる。
【0066】
以上のように、本実施形態の遮蔽装置20および車両は、遮蔽部21を有しており、少なくとも、ナンバープレート11が遮蔽されている間は、モーター15の動力が遮断されている。換言すれば、ユーザーが、モーター15の動力を遮断して車両を使用するとき、即ち、ユーザーが自転車として車両を使用するとき、ナンバープレート11を遮蔽することができる。したがって、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。
【0067】
以下、上記第1実施形態で説明した遮蔽装置の他の実施形態を説明する。なお、以下では、説明の重複を避けるため、上記第1実施形態で説明した車両および遮蔽装置の各構成と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0068】
〔第2実施形態〕
遮蔽装置20は、他の車両に取り付けられていてもよい。たとえば、遮蔽装置20は、電動バイク、電動アシスト自転車および自転車として使用可能な車両に取り付けられていてもよい。第2実施形態では、電動バイク、電動アシスト自転車および自転車として使用可能な車両に取り付けられる遮蔽装置20について説明する。この点を除き、第2実施形態で説明する遮蔽装置20は、上記第1実施形態で説明した遮蔽装置20と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏する。
【0069】
図12(A)(B)(C)は、本発明の第2実施形態に係る遮蔽装置20が取り付けられる車両本体10の概略構成を表す平面図である。図12(A)は、この車両本体10の前面、図12(B)は側面、図12(C)は後面の構成を各々表している。車両本体10は、アクセルグリップ51、ペダル52、後輪53、前輪54、サドル55およびミラー56等を有している。ユーザーが、キースイッチ12をオン状態とした後、アクセルグリップ51を操作すると、モーター15が駆動し、車両(車両本体10)を電動バイクとして使用することができる。ユーザーが、キースイッチ12をオン状態とした後、所定のペダル52の踏力を発生させると、モーター15が駆動し、車両を電動アシスト自転車として使用することができる。ユーザーが、キースイッチ12をオフ状態とすると、モーター15が駆動せず、車両は自転車として使用することができる。車両本体10は、アクセルグリップ51に代えて、あるいは、アクセルグリップ51とともに、車両を電動バイクとして使用するためのスイッチ、ボタン、レバーおよびポテンショメーター等のうちの少なくとも1つを有していてもよい。
【0070】
ここでは、車両を電動アシスト自転車として駆動させるためのペダル52が本発明の第1の操作子の一具体例に対応し、電動バイクとして駆動させるためのアクセルグリップ51が本発明の第2の操作子の一具体例に対応する。また、ペダル52を用いてモーター15を駆動させるとき、車両の駆動力が制限されている。なお、アクセルグリップ51に代えて、あるいは、アクセルグリップ51とともに、車両を電動バイクとして駆動させるためのスイッチ、ボタン、レバーおよびポテンショメーター等が用いられる場合は、これらの構成が第2の操作子に対応する。
【0071】
この車両本体10に取り付けられる遮蔽装置20は、たとえば、上記第1実施形態で説明したのと同様に、遮蔽部21、側板22A,22B、連結板23、第1固定解除部24、第1固定部25、第2固定解除部26、第2固定部27および遮断部28を有している(図1図4参照)。
【0072】
本実施形態では、アクセルグリップ51によるモーター15の動力が遮断されているときに、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けると、第1固定部25は固定状態から解除状態となる。一方、アクセルグリップ51によるモーター15の動力が遮断されていないときに、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けても、第1固定部25の固定状態が維持される。即ち、遮蔽装置20は、アクセルグリップ51によるモーター15の動力が遮断されていないとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を不可とし、アクセルグリップ51によるモーター15の動力が遮断されているとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を可能とする。したがって、ユーザーは、アクセルグリップ51によるモーター15の動力を遮断して車両を使用するときに、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。この第1固定部25と第1固定解除部24との電気的な関係は、後述する。
【0073】
図13は、遮蔽部21、車両本体10のキースイッチ12およびモーター15、第1固定解除部24および第1固定部25各々の状態を表す一覧表である。図14および図15は各々、図13に示した第12状態、第15状態での遮蔽装置20の回路構成を表す。
【0074】
遮蔽装置20では、電源30と車両本体10のコントローラー13との間に、リレー35、第1固定解除部24が接続されている(図14および図15)。第1固定部25は、第1固定解除部24と遮断部28との間に接続されている。ここでは、遮蔽装置20が、車両本体10のコントローラー13に接続された第1信号生成部41および第2信号生成部42を有している(図14および図15)。
【0075】
第1信号生成部41は、ペダル52の動きを検知して第1信号を生成する。具体的には、ペダル52がユーザーの踏力に基づく操作を受け付けたとき、第1信号生成部41により第1信号が生成される。キースイッチ12がオン状態のとき、この第1信号がコントローラー13に送られると、モーター15が駆動される。
【0076】
第2信号生成部42は、アクセルグリップ51の動きを検知して第2信号を生成する。具体的には、アクセルグリップ51がユーザーからの操作を受け付けたとき、第2信号生成部42により第2信号が生成される。キースイッチ12がオン状態のとき、この第2信号がコントローラー13に送られると、モーター15が駆動される。第2信号生成部42は、たとえば、コントローラー13と遮断部28との間に接続されている。これにより、遮蔽部21が遮蔽状態のときには、第2信号生成部42とコントローラー13との間の接続が、遮断部28により遮断される。換言すれば、遮断部28は、遮蔽部21がナンバープレート11を遮蔽している間、アクセルグリップ51によるモーター15の動力を遮断する。
【0077】
本実施形態では、遮蔽装置20が、このような遮断部28を有しているので、少なくとも、遮蔽部21が遮蔽状態の間、アクセルグリップ51によるモーター15の動力が遮断される。これにより、ナンバープレート11を遮蔽した状態での、電動バイクとしての車両の使用を防ぐことができる。
【0078】
車両本体10は、たとえば、キースイッチ12に接続された灯火類43を有している。灯火類43は、たとえば、車両本体10の前照灯等を含んでいる。キースイッチ12がオン状態のとき、電源30から灯火類43に電流が供給されるので、ユーザーは前照灯等を使用することができる。
【0079】
たとえば、このような車両の回路構成により、図13に示した第9状態〜第16状態の各状態が実現される。
【0080】
第9状態〜第12状態では、遮蔽部21が露出状態である。
【0081】
ユーザーが、キースイッチ12をオン状態とすると、リレー35に電源が供給される。このとき、第1固定解除部24がオン状態およびオフ状態のどちらの場合も、電源30からリレー35を介した第1固定部25への電流供給がなされず、第1固定部25の固定状態が維持される(第9状態、第10状態)。
【0082】
遮蔽部21が露出状態のとき、ユーザーが、キースイッチ12をオフ状態とすると、リレー35に電源が供給されなくなる。このとき、ユーザーが、第1固定解除部24をオン状態とすると、第1固定部25に電流が供給され、第1固定部25が、固定状態から解除状態に切り替わる(第11状態)。第1固定解除部24がオフ状態である場合には、第1固定部25に電流が供給されず、第1固定部25の固定状態が維持される(第12状態、図14)。
【0083】
第13状態〜第16状態では、遮蔽部21が遮蔽状態であり、遮断部28の切り替えスイッチにより、第2信号生成部42がモーター15から遮断されている(図15)。このとき、ユーザーが、キースイッチ12をオン状態とすると、第1信号生成部41を介したモーター15への電源供給が可能となる(第13状態、第14状態)。即ち、遮蔽部21がナンバープレート11を遮蔽している間、ペダル52によるモーター15の動力は遮断されない。この第13状態〜第16状態では、キースイッチ12および第1固定解除部24のオンオフ状態に関わらず、第1固定部25は解除状態となっている。
【0084】
このような遮蔽装置20は、たとえば、以下のようにして動作する。
【0085】
ユーザーが、車両を電動バイクとして使用するとき、キースイッチ12はオン状態、遮蔽部21は露出状態である。このとき、第1固定部25は固定状態に維持され、遮蔽部21は露出状態に固定される。したがって、ユーザーが、車両を電動バイクとして使用している間、車両のナンバープレート11は周囲から視認される。
【0086】
この後、ユーザーにより、キースイッチ12がオン状態からオフ状態に切り替えられ、かつ、第1固定解除部24のボタンおよび第2固定解除部26が同時に押下されると、第1固定部25および第2固定部27が解除状態となる。これにより、ユーザーは遮蔽部21を固定状態から遮蔽状態に切り替えることができる。したがって、ユーザーが、車両を電動アシスト自転車または自転車として使用するとき、遮蔽状態の遮蔽部21により、車両のナンバープレート11が周囲から視認されなくなる。遮蔽部21が遮蔽状態の間、遮断部28により、第2信号生成部42からモーター15への電流の供給が遮断される。一方、第1信号生成部41からモーター15への電流の供給は遮断されない。即ち、ユーザーは、遮蔽部21が遮蔽状態の間、車両を電動バイクとして使用することはできないものの、電動アシスト自転車として使用することが可能となる。
【0087】
このような第2実施形態の遮蔽装置20および車両も、上記第1実施形態で説明したのと同様に、遮蔽部21を有しており、少なくとも、ナンバープレート11が遮蔽されている間は、アクセルグリップ51によるモーター15の動力が遮断される。換言すれば、ユーザーが、アクセルグリップ51によるモーター15の動力を遮断して車両を使用するとき、即ち、ユーザーが電動アシスト自転車または自転車として車両を使用するとき、ナンバープレート11を遮蔽することができる。したがって、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。
【0088】
なお、上記第2実施形態では、第1の操作子と第2の操作子とは、異なる構成によって実現されるものとして説明したが、これに限定されない。第1の操作子と第2の操作子とは、ペダルやスイッチ等の同一の構成によって実現され、それぞれ使用方法を異ならせることによって、第1の操作子および第1の操作子とは異なる第2の操作子として実現されるようにしてもよい。たとえば、第1の操作子および第2の操作子を、ともにペダル52によって実現してもよい。この場合、たとえば、車両が電動アシスト自転車のモードに設定されている場合には、ユーザーがペダル52を漕いでモーター15を駆動できるように設定され、車両が電動バイクのモードに設定されている場合には、ユーザーがペダル52を漕いでモーター15を駆動させることができないかわりに、ユーザーがペダル52をアクセルペダルのように踏み込んでモーター15を駆動できるように設定されてもよい。
【0089】
〔第3実施形態〕
遮蔽装置20は、さらに他の車両に取り付けられていてもよい。たとえば、遮蔽装置20は、電動バイクおよびキックボードとして使用可能な車両に取り付けられていてもよい。また、遮蔽装置20が取り付けられる車両は、2輪以外の車両であってもよく、たとえば、3輪または4輪等の車両であってもよい。たとえば、遮蔽装置20は、電動自動車(電動バイクを含む)およびシニアカー(電動車いす)として使用可能な車両、または、ミニカーおよびシニアカーとして使用可能な車両等に取り付けられていてもよい。このような車両では、たとえば、ユーザーが、車両の駆動力を切り替えることにより、車両の使用方法が切り替えられる。第3実施形態では、このような車両に取り付けられる遮蔽装置20について説明する。この点を除き、第3実施形態で説明する遮蔽装置20は、上記第1実施形態で説明した遮蔽装置20と同様の構成を有しており、同様の作用効果を奏する。
【0090】
ここで、電動自動車およびミニカー等の車両には、ナンバープレートが設けられる必要がある。一方、キックボードおよびシニアカー等の車両には、ナンバープレートが設けられる必要はない。
【0091】
本発明の第3実施形態に係る遮蔽装置20が取り付けられる車両本体は、たとえば、モーター(たとえば、図7等のモーター15)によって、駆動される。車両は、たとえば、このモーターとともに駆動力制限部を有している。駆動力制限部は、車両本体に設けられていてもよく、遮蔽装置20に設けられていてもよい。あるいは、車両本体および遮蔽装置各々に駆動力制限部が設けられていてもよい。このような駆動力制限部は、車両の駆動力を制限するための構成である。たとえば、駆動力制限部は、車両の速度が所定の最高速度を超えないように、車両の駆動力を制限する。たとえば、シニアカーとして使用可能な車両に設けられた駆動力制限部は、車両の最高速度が6km/時程度を超えないように、車両の駆動力を制限する。駆動力制限部は、たとえば、ソフトウェアや専用のハードウェア回路等によって実現されてもよく、機械的な構成によって実現されてもよく、これらの組み合わせによって実現されてもよい。たとえば、駆動力制限部は、モーターの出力を制御することによって車両の駆動力を制限してもよい。あるいは、駆動力制限部は、クラッチまたはギア比等の車両の機械的な構成を変更してモーターから車輪への動力の伝達を制限することによって車両の駆動力を制限してもよい。また、駆動力制限部は、機械的な構成の変更として、使用するモーターを高出力なモーターと低出力なモーターとの間で切り換えることによって車両の駆動力を制限してもよい。駆動力制限部は、上記のようなモーターの出力の制御および機械的な構成の変更を組み合わせて車両の駆動力を制限してもよい。
【0092】
このような駆動力制限部が機能して車両の駆動力が制限されるとき、ユーザーは、車両をシニアカーまたはキックボード等として使用することができる。一方、駆動力制限部が機能せずに車両の駆動力が制限されないとき、ユーザーは、車両を電動自動車またはミニカー等として使用することができる。
【0093】
第3実施形態に係る遮蔽装置20は、たとえば、遮蔽部21、側板22A,22B、連結板23、第1固定解除部24、第1固定部25、第2固定解除部26および第2固定部27を有している(図1図4参照)。ここでは、たとえば、第1固定解除部24および第1固定部25が、本発明の制御部の一具体例を構成する。なお、制御部は、所定のプログラムを実行することによって各種処理を実行するためのCPUおよび記憶部等により構成され、第1固定解除部24および第1固定部25を電子的に制御してもよい。
【0094】
本実施形態では、この制御部が、駆動力制限部によって車両の駆動力が制限されているとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を可能とし、駆動力制限部によって車両の駆動力が制限されていないとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を不可とする。
【0095】
なお、本発明の「駆動力制限部によって車両の駆動力が制限されているとき」には、キースイッチ等によって、モーターの動力が遮断されているときが含まれる。この場合、キースイッチ等が、本発明の「駆動力制限部」の一具体例を構成する。
【0096】
たとえば、制御部は、モーターの動力が遮断されているとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を可能とする。一方、モーターの動力が遮断されていないときに、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けても、第1固定部25の固定状態が維持される。
【0097】
図16は、遮蔽部21、車両本体のキースイッチ、車両の駆動力、第1固定解除部24および第1固定部25各々の状態を表す一覧表である。
【0098】
第17状態〜第20状態では、遮蔽部21が露出状態である。
【0099】
ユーザーが、キースイッチをオン状態とすると、モーターに電源が供給される。このとき、第1固定解除部24がオン状態およびオフ状態のどちらの場合も、たとえば、第1固定部25への電流供給がなされず、第1固定部25の固定状態が維持される(第17状態、第18状態)。
【0100】
遮蔽部21が露出状態のとき、ユーザーが、キースイッチ12をオフ状態とすると、モーターに電源が供給されなくなる。このとき、ユーザーが、第1固定解除部24をオン状態とすると、第1固定部25に電流が供給され、第1固定部25が、固定状態から解除状態に切り替わる(第19状態)。第1固定解除部24がオフ状態である場合には、第1固定部25に電流が供給されず、第1固定部25の固定状態が維持される(第20状態)。
【0101】
第21状態〜第24状態では、遮蔽部21が遮蔽状態である。このとき、ユーザーが、キースイッチをオン状態とすると、モーターへの電源供給が可能となるが、駆動力制限部によって、車両の駆動力が制限される(第21状態、第22状態)。即ち、遮蔽部21がナンバープレート11を遮蔽している間、車両の駆動力が制限される。この第21状態〜第24状態では、キースイッチおよび第1固定解除部24のオンオフ状態に関わらず、第1固定部25は解除状態となっている。
【0102】
このような遮蔽装置20は、たとえば、以下のようにして動作する。
【0103】
ユーザーが、車両を電動自動車またはミニカーとして使用するとき、キースイッチはオン状態、遮蔽部21は露出状態である。このとき、第1固定部25は固定状態に維持され、遮蔽部21は露出状態に固定される。したがって、ユーザーが、車両を電動自動車またはミニカーとして使用している間、車両のナンバープレート11は周囲から視認される。
【0104】
この後、ユーザーにより、キースイッチがオン状態からオフ状態に切り替えられ、かつ、第1固定解除部24のボタンおよび第2固定解除部26が同時に押下されると、第1固定部25および第2固定部27が解除状態となる。これにより、ユーザーは遮蔽部21を固定状態から遮蔽状態に切り替えることができる。したがって、ユーザーが、車両をキックボードまたはシニアカーとして使用するとき、遮蔽状態の遮蔽部21により、車両のナンバープレート11が周囲から視認されなくなる。遮蔽部21が遮蔽状態の間、駆動力制限部により、車両の駆動力が制限される。即ち、ユーザーは、遮蔽部21が遮蔽状態の間、車両を電動自動車またはミニカーとして使用することができず、キックボードまたはシニアカーとして使用することが可能となる。
【0105】
このような第3実施形態の遮蔽装置20および車両も、上記第1実施形態で説明したのと同様に、遮蔽部21を有しており、少なくとも、ナンバープレート11が遮蔽されている間は、車両の駆動力が制限される。換言すれば、ユーザーが、車両の駆動力を制限して車両を使用するとき、即ち、ユーザーがキックボードまたはシニアカーとして車両を使用するとき、ナンバープレート11を遮蔽することができる。したがって、車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレート11を遮蔽することが可能となる。
【0106】
以上、実施形態において本発明の遮蔽装置および車両について説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができる。たとえば、上記実施形態で説明した遮蔽装置および車両の各部の構成、形状および大きさ等は一例であり、他の構成、形状および大きさ等であってもよい。
【0107】
たとえば、図7図11図14および図15に示した遮蔽装置の回路構成は、一例であり、本発明の遮蔽装置は他の回路構成を有していてもよい。また、上記第1、第2実施形態では、遮断部28が、モーター15への電源の供給を遮断可能である例を説明したが、遮断部28は、クラッチ等の構成によってモーター15から車輪への動力の伝達を遮断してもよい。さらに、遮蔽部21、第1固定解除部24、第1固定部25、第2固定解除部26、第2固定部27等の他の構成も、上記実施形態の構成に限定されず、上記実施形態において説明された機能と同様の機能を電気的方法または機械的方法等の各種方法によって達成可能な構成であれば、いかなる構成によって実現されてもよい。たとえば、上記実施形態では、遮蔽部21は、ナンバープレート11を遮蔽または露出するように軸周りに回転する略矩形の板状部材である例について説明したが、これに限定されない。たとえば、遮蔽部21は、ナンバープレート11を遮蔽または露出するようにスライド動作するシャッターによって構成されてもよい。あるいは、遮蔽部21は、ナンバープレート11自体を移動させることによってナンバープレート11を遮蔽または露出させる駆動構造によって構成されてもよい。あるいは、遮蔽部21は、電気的、磁気的、光学的方法等によってナンバープレート11を遮蔽または露出させるように動作する構成であってもよい。
【0108】
上記第2実施形態では、アクセルグリップ51およびペダル52によるモーター15の動力が遮断されているとき、即ち、キースイッチ12がオフ状態のとき、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けると、第1固定部25は固定状態から解除状態となる例を説明した。しかし、第1固定部25を固定状態から解除状態とするためには、少なくとも、アクセルグリップ51によるモーター15の動力が遮断されていればよく、ペダル52によるモーター15の動力は遮断されていなくてもよい。
【0109】
また、上記第2実施形態では、車両本体10が一つのモーター15を有する例を説明したが、車両本体10は、複数のモーター15を有していてもよい。たとえば、車両本体10が、第1信号生成部41に接続された第1モーターと、第2信号生成部42に接続された第2モーターとを有していてもよい。
【0110】
また、上記第2実施形態では、アクセルグリップ51およびペダル52を用いてモーター15を駆動させることが可能な車両について説明したが、車両は他の操作子によってモーター駆動が可能に構成されていてもよい。さらに、車両は、モーターを駆動させるための操作子を3つ以上有していてもよい。
【0111】
上記第3実施形態では、モーターの動力が遮断されているとき、即ち、キースイッチがオフ状態のとき、第1固定解除部24がユーザーの操作を受け付けると、第1固定部25は固定状態から解除状態となる例を説明した。しかし、第1固定部25を固定状態から解除状態とするためには、少なくとも車両の駆動力が制限されていればよく、モーターの動力は遮断されていなくてもよい。即ち、モーターの動力が遮断されていない状態であっても、車両の速度が所定の最高速度を超えないように制限されていれば、第1固定部25が固定状態から解除状態とされてもよい。
【0112】
なお、ナンバープレート11を遮蔽または露出することは、ナンバープレート11と他の構成とを重ねてナンバープレート11を隠したり、ナンバープレート11および他の構成のいずれかを移動させてナンバープレート11を表出させたりするような形態に限定されない。ナンバープレート11を遮蔽または露出させることには、歩行者や他の通行車両等のナンバープレート11を視認すべき対象からナンバープレート11を視認不可能または視認可能に切り替えるためのあらゆる形態が含まれ得る。たとえば、ナンバープレート11を単に下方に向けて歩行者や他の通行車両等から視認不可能にすることは、ナンバープレート11を遮蔽させることに含まれ得る。また、たとえば、ナンバープレート11を電子的ディスプレイ等によって実現することが可能である場合には、当該電子的ディスプレイに表示されたナンバープレート11に相当する情報を非表示にすることが、ナンバープレート11を遮蔽させることに含まれ得る。あるいは、ナンバープレート11を取り外し可能に構成するとともにナンバープレート11の取り外しを検知するセンサーを設けた場合には、当該センサーを介してナンバープレート11の取り外しを検知することが、ナンバープレート11を遮蔽させることに含まれ得る。この場合、センサーがナンバープレート11の取り付けを検知することが、ナンバープレート11を露出させることに含まれ得る。
【符号の説明】
【0113】
10 車両本体、
11 ナンバープレート、
12 キースイッチ、
13 コントローラー、
14 スロットル、
15 原動機、
20 遮蔽装置、
21 遮蔽部、
22A,22B 側板、
23 連結板、
24 第1固定解除部、
25 第1固定部、
26 第2固定解除部、
27 第2固定部、
28 遮断部、
30 電源、
31 降圧モジュール、
32,34 ダイオード、
33 非常用電源、
35 リレー、
41 第1信号生成部、
42 第2信号生成部、
43 灯火類、
51 アクセルグリップ、
52 ペダル、
53 後輪、
54 前輪、
55 サドル、
56 ミラー。
【要約】
【課題】車両の使用方法の切り替えに応じて、ナンバープレートを遮蔽可能な遮蔽装置および車両を提供する。
【解決手段】遮蔽装置20は、遮蔽部21および制御部を有している。遮蔽部21は、車両のナンバープレート11を遮蔽するように動作可能である。制御部は、車両の駆動力を制限する駆動力制限部によって車両の駆動力が制限されているとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を可能とし、駆動力制限部によって車両の駆動力が制限されていないとき、遮蔽部21によるナンバープレート11の遮蔽を不可とする。
【選択図】図1
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